JP2002362578A - プラスチックフィルム製包装袋及び複合素材包装袋 - Google Patents

プラスチックフィルム製包装袋及び複合素材包装袋

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックフイルムの厚さが10〜250
μmであるラスチック製包装袋において生分解性が非常
に良好であり、さらに包装袋としての強度的特性を保持
したプラスチック製包装袋を提供する。 【解決手段】 プラスチックフィルム製包装袋におい
て、該プラスチックフイルムが生分解性プラスチックと
酵母を主成分とし、該プラスチックフイルムの厚さが1
0〜250μmであることを特徴とするプラスチック製
包装袋及び該プラスチックフィルムとクラフト紙からな
る複合素材包装袋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用中は通常のプ
ラスチックと同じように使えて、使用後は自然界の微生
物によって、速やかに水と二酸化炭素に分解され、自然
に還るプラスチック製包装袋及びクラフト紙とプラスチ
ックフィルムからなる複合素材包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活様式の変化や生活水準、所得
水準の向上等により、新しい商品があふれ、豊かな物質
文化が形成されたが、これにともない、事業所や家庭か
ら排出されるゴミの量も急増しており、ゴミ処理の問題
は大きな社会問題となっている。
【0003】これらゴミ処理のうち、可燃プラスチック
に関しては、一般にポリエチレン樹脂で代表される熱可
塑性樹脂に各種顔料を添加したもの、あるいは添加しな
い熱可塑性樹脂に詰められたゴミを、焼却炉で焼却し、
焼却後の残灰や燃え残りは埋立処分するという方法が採
られている。
【0004】しかしながら、可燃ゴミの焼却処理には以
下のような問題があった。すなわち、燃焼中に発生する
ダイオキシンの生成の問題、NOxによる大気汚染、焼却
後に多量に発生する残灰や燃え残りを処分する埋め立て
地等の不足、残灰中の有害成分の埋め立て地での漏洩、
などである。また、可燃ゴミ中に燃焼カロリ−の高いプ
ラスチック廃棄物やプラスチック製ゴミ袋が多量に含ま
れている場合には、焼却炉の炉内温度上昇の原因となっ
て焼却炉が破損する等の問題があった。特に、ダイオキ
シンの生成の問題は、ダイオキシン類削減対策として新
ガイドラインにおいて、緊急対策と恒久対策に区分し、
また既設炉及び新設炉において排出濃度が規定された。
【0005】このような問題を解決する方法としては、
例えば、低酸素濃度下で燃焼させてNOx量を抑制する方
法、散水しながら燃焼するなどして炉内を一定温度以下
にコントロ−ルし温度上昇による焼却炉の破損を防止す
る方法、有害物質を含んでいる残灰を不溶化処理し、さ
らにセメント固化してから埋め立て処分する方法等が提
案されている。更に、可燃ゴミと一緒に焼却処分される
プラスチック製ゴミ袋についても、従来のゴミ袋に代え
て、炭酸カルシウムを多量に含有させた半透明のゴミ袋
を義務づけて、ゴミの減量化と燃焼カロリ−の低下を図
る自治体もでてきている。
【0006】一方、一般に使用されている従来のプラス
チックの代わりに土壌中で分解する生分解性のプラスチ
ックが開発され、従来のプラスチックと区別して使用す
る動きが顕著になっている。生分解性プラスチックと
は、使用中には通常のプラスチックと同じように使え
て、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に
分解され、自然に還るプラスチックである。
【0007】しかし、従来の生分解性プラスチックは分
解はされるが、多くは合成品であり、生態系に存在する
ものでなく、多くの微生物は栄養源として積極的に資化
するものではない。そのため生分解性の良いプラスチッ
クであっても、条件によっては分解に時間がかかること
が問題であった。特に、プラスチック製包装袋及びクラ
フト紙とプラスチックフィルムからなる複合素材包装袋
において、コンポスト処理や土中に埋めて処理する場合
に、速やかに生分解されるものがなかった。早期に分解
しないと、コンポスト処理及び土中に埋めて処理すると
きに、巻き付きや飛散が発生し、大きな問題となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
中には通常のプラスチックと同じように使えて、使用後
は自然界の微生物によって速やかに水と二酸化炭素に分
解され、自然に還るプラスチック製包装袋及びクラフト
紙とプラスチックフィルムからなる複合素材包装袋を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、生分解性プ
ラスチックと酵母を主成分とし、かつ厚さが10〜25
0μmであるプラスチックフィルムからなるプラスチッ
ク製包装袋によって達成された。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用される生分解性プラ
スチックとは、生分解性プラスチックとして知られてい
る全ての樹脂が使用可能である。例えば、ポリヒドロキ
シブチレート等の微生物が生産する樹脂、ポリカプロラ
クトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジ
ペート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ
エチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、
ポリビニルアルコール等の化学合成樹脂、さらに酢酸セ
ルロース、熱可塑化澱粉等の天然物を変性した樹脂が使
用可能である。物性面からは、生分解性ポリエステルが
好ましい。生分解性ポリエステルとしては、前記したポ
リカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブ
チレンアジペート、ポリブチレンサクシネート・アジペ
ート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、
ポリ乳酸などが挙げられる。特に、フィルムの柔軟性や
生分解性の点から、ポリブチレンサクシネートが好まし
い。
【0011】本発明における酵母に特に制限はなく、ト
ルラ酵母、パン酵母、ビール酵母等の酵母を用いること
ができる。例えば、サッカロマイセス・セレピシェ(IF
O 1954、IFO 0309、IAM 4274)、キャンディダ・ユーテ
ィリス(IFO 0619、ATCC 15239)、トルロプシス・ノダ
エンシス(IFO 1942)、トルロプシス・ステラタ(IFO
1953)、ハンゼヌラ・アノマラ(IFO l150)等があげら
れる。これらの酵母において、核酸など有用な内容物を
取り除いた脱核酸酵母がより好ましい。これらは水抽出
により、水溶性成分が除去されており、また酵母エキス
のような熱処理に不安定なものも除かれているので、熱
安定性が高く、また生分解性プラスチックの資化速度を
大幅に上げることが出来る。本発明のプラスチックフィ
ルムにおいて、酵母、脱核酸酵母が生分解性プラスチッ
クに対して1〜55重量%含有されることが好ましい。
この範囲を外れると生分解性が悪化したり、フィルムの
柔軟性や強度が劣化する。特に10〜30重量%の範囲
が好ましい。
【0012】本発明では、さらに炭酸カルシウムを含有
すると、酵母添加による着色性を緩和するという点で好
ましい。本発明のプラスチックフィルムにおいて、炭酸
カルシウムが5〜30重量%含有されることが好まし
い。この範囲を外れると着色性を緩和することが出来
ず、フィルムの柔軟性や強度が劣化する。
【0013】本発明のプラスチックフィルムでは、上記
成分のみからなるフィルムでもよいが、従来の他の添加
剤も添加することができる。例えば、ブロッキング防止
剤、帯電防止剤、目やに防止剤を添加することができ
る。これらにおいて、本発明の生分解性プラスチック及
び酵母、さらには炭酸カルシウムからなるプラスチック
フィルムが90重量%以上占めることが好ましい。
【0014】本発明のプラスチックフィルムは、厚さが
10〜250μmである。この範囲を外れると、包装袋
としての強度機能が損なわれる。
【0015】本発明のプラスチックフィルムは、通常、
酵母と生分解性プラスチックを一定の割合で配合して、
混練した後に成形体に加工する。使用する混練装置、成
形装置に特に制限は無く、従来既知の装置が使用可能で
ある。
【0016】例えば、混練装置としてはロールミル、イ
ンテンシブミキサー、単軸押出機、二軸押出機等が挙げ
られる。混練温度は、生分解性プラスチックの軟化点以
上に設定する必要があるが、原料の特性や配合比、混練
状況などに応じて適宜選択する。
【0017】また、フィルム成形加工する方法として
は、例えばキャスティング法(溶液流延法)、T型ダイ
スやインフレーションダイを使用するエキストルージョ
ン法(溶融押出法)、カレンダー法、二軸延伸法等が挙
げられる。さらに表面酸化、ラミネート加工、コーティ
ング加工、真空蒸着処理、帯電防止処理、発泡処理等も
可能である。
【0018】本発明で使用されるプラスチック製包装袋
とは、業務用及び家庭用のゴミ袋、スーパー等で使用さ
れるレジ袋、5kg〜30kg以上の内容物を入れる肥
料袋、米麦などの穀類袋、無機及び有機の化学薬品袋、
セメント袋、各種土壌袋、塩袋、道路塗装用塗料袋であ
り、クロスヤ−ンを含め、プラスチックのみで構成され
た包装袋である。又100kg〜1tの内容物を入れる
各種大型のフレキシブルコンテナ袋を含む。
【0019】さらに、本発明における複合素材包装袋と
は、上記本発明で得られるプラスチックフィルムとクラ
フト紙からなるものである。これは、防湿性の要請のあ
る各種クラフト紙袋である。例えば、外層はクラフト紙
でプラスチックフィルムを袋にした内袋から構成される
複合素材包装袋、クラフト紙とプラスチックフィルムが
貼りあわせてあるラミネート原紙を使用した複合素材包
装袋、クラフト紙とクロスヤ−ンが貼りあわせてあるラ
ミネート原紙を使用した複合素材包装袋、2層以上の袋
で層間にプラスチックフィルムを入れた複合素材包装
袋、プラスチックフィルムをクラフト紙2枚で貼り合わ
せた複合素材ポリサンド紙を使用した複合素材包装袋、
等である。紙袋には、ミシン袋と底貼袋がある。
【0020】本発明によって、積極的に資化されるプラ
スチックフィルムとすることができる。従来、コンポス
ト処理や土中に埋めて処理する場合、分解に時間がかか
りすぎる場合は、巻き付きや飛散が発生しトラブルとな
っていた。しかし、本発明により、トラブルになる前に
早期に分解し、円滑にコンポスト処理及び土中に埋めて
処理することが可能となる。
【0021】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は、その範囲に限定されるもので
はない。なお、例中の部及び%は、特に断らない限り、
それぞれ重量部及び重量%を示している。
【0022】・試験項目および試験方法 (1)生分解性試験 促進試験として、コンポスター(松下電工製生ゴミ処理
機、松下電工製「生ゴミイーターEH431」なお、生ゴ
ミの代わりに食パンとドッグフード・水を定期的に投入
する。)を使用し、試験片を100mm×100mmに
カットし、各5枚をコンポスターに投入、分解の状態を
日もしくは週単位で適時回収して状態を目視で判定し
た。試験片がほぼバラバラになった時点を生分解性の終
了点とした。 (2)フィルムの引張破断伸度及び強度 下記の条件で試験片の引っ張り破断伸度(%)及び破断
強度(kgf/cm)を測定した。引っ張り破断伸度は、下記
の式から算出した。 試験機 :引張試験機(テンシロン、東洋製機製) スピード:100mm/min、 ロードセル:100kg、 スパン:30mm、温度23℃、湿度50%RH 引っ張り破断伸度(%)=(破断時の長さ/引っ張り前
の長さ)×100
【0023】実施例1 脱核酵母(商品名:酵母B 日本製紙(株)製)を目開
き38μmの篩で分級した。篩を通過した脱核酵母10部
と、ポリブチレンサクシネート(商品名:ビオノーレ
昭和高分子(株)製)90部をラボプラストミル(東洋精
機(株)製)を用いて温度150℃で混練した。混練後熱
圧プレス機を用いて下記の条件で熱圧成形し、厚さ60
μmのフィルムを作製して試料とした。試験結果を表1
に示す。 熱圧プレス条件温度 :150℃ 圧力 :220kg/cm2 保持時間:約10分
【0024】実施例2、3、4 表1に示すように脱核酵母とポリブチレンサクシネート
の配合比率を変更した他は実施例1と同様にして試験を
実施した。結果を表1に示す。
【0025】実施例5 実施例1においてフィルムの厚さを60μmから150
μmに変更した他は実施例1と同様にして試験を実施し
た。結果を表2に示す。
【0026】実施例6、7、8 表2に示す脱核酵母とポリブチレンサクシネートの配合
比率を変更した他は実施例5と同様にして試験を実施し
た。結果を表2に示す。
【0027】実施例9 実施例1においてフィルムの厚さを60μmから200
μmに変更した他は実施例1と同様にして試験を実施し
た。結果を表3に示す。
【0028】実施例10、11、12 表3に示す脱核酵母とポリブチレンサクシネートの配合
比率を変更した他は実施例9と同様にして試験を実施し
た。結果を表3に示す。
【0029】比較例1 脱核酵母無添加に変更した他は実施例1と同様にして試
験を実施した。結果を表1に示す。
【0030】比較例2,3 表1に示す脱核酵母とポリブチレンサクシネートの配合
比率を変更した他は実施例1と同様にして試験を実施し
た。結果を表1に示す。
【0031】比較例4 脱核酵母無添加に変更した他は実施例5と同様にして試
験を実施した。結果を表2に示す。
【0032】比較例5、6 表1に示す脱核酵母とポリブチレンサクシネートの配合
比率を変更した他は実施例5と同様にして試験を実施し
た。結果を表2に示す。
【0033】比較例7 脱核酵母無添加に変更した他は実施例9と同様にして試
験を実施した。結果を表3に示す。
【0034】比較例8、9 表3に示す脱核酵母とポリブチレンサクシネートの配合
比率を変更した他は実施例9と同様にして試験を実施し
た。結果を表3に示す。
【0035】
【表1】 表1 フィルムの厚さ 60μm PBS:ポリブチレンサクシネート
【0036】
【表2】表2 フィルムの厚さ 150μm
【0037】
【表3】表3 フィルムの厚さ 200μm
【0038】実施例13 実施例1においてポリブチレンサクシネートの代わりに
ポリカプロラクトン及びポリ乳酸を使用して作製した厚
さ150μmのフィルムについて生分解性試験を行なっ
た結果、ポリブチレンサクシネートより時間がかかる
が、1.5週間で分解した。尚、破断強度は7.5kgf/cm
であった。
【0039】実施例14 実施例1においてポリブチレンサクシネートと酵母の他
に炭酸カルシウムのマスターバッチ(カルペットA)1
0%を配合して作製した厚さ150μmのフィルムにつ
いて生分解性試験を行なった結果、1週間で分解した。
外観が白いプラスチック製包装袋が得られた。尚、破断
強度は6.5kgf/cmであった。
【0040】実施例15 実施例1で得られたプラスチック製包装袋を内袋にし、
2層クラフト紙袋(坪量84g/cm)とからなる複合
素材包装袋を作製、一部を地中に埋め、分解性を評価し
たところ、3週間で内袋がバラバラに分解した。
【0041】
【発明の効果】上記のように、プラスチックフィルムの
厚さが10〜250μmであるプラスチック製包装袋に
おいて、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂単
独では生分解が十分では無い。これに対して本発明のプ
ラスチック製包装袋及び複合素材包装袋は十分な強度を
有し、かつ生分解も早いことが明らかであり、産業上有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八代 洵 東京都北区王子5−21−1 日本製紙株式 会社内 (72)発明者 佐竹 寿巳 埼玉県児玉郡上里町七本木2380 日本製袋 株式会社内 Fターム(参考) 3E064 BA05 BA60 BB03 BB04 BC20 EA22 EA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性プラスチックと酵母を主成分と
    し、かつ厚さが10〜250μmであるプラスチックフ
    ィルムからなるプラスチック製包装袋。
  2. 【請求項2】 該プラスチックフィルムにおいて、酵母
    を1〜55重量%含有する請求項1記載のプラスチック
    製包装袋。
  3. 【請求項3】 該プラスチックフィルムがさらに、炭酸
    カルシウムを含有する請求項1又は2記載のプラスチッ
    ク製包装袋。
  4. 【請求項4】 生分解性プラスチックが生分解性ポリエ
    ステルである請求項1〜3いずれか1項記載のプラスチ
    ック製包装袋。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項記載のプラス
    チックフィルムとクラフト紙からなる複合素材包装袋。
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