JP2002356786A - クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法

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JP2002356786A
JP2002356786A JP2001164903A JP2001164903A JP2002356786A JP 2002356786 A JP2002356786 A JP 2002356786A JP 2001164903 A JP2001164903 A JP 2001164903A JP 2001164903 A JP2001164903 A JP 2001164903A JP 2002356786 A JP2002356786 A JP 2002356786A
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hot
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English (en)
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Kiyomasa Tatsumi
斉正 辰己
Yasuo Tsujimoto
康男 辻本
Giichi Ando
義一 安東
Koji Tanida
孝次 谷田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ni/Coイオン含有溶液での処理を必要とせず
に、またスキンパス圧延を行っても効果的に耐黒変性を
改善できる技術を開発する。 【解決手段】連続焼鈍した鋼板を、Al:0.15 〜0.3 質量
%含む溶融亜鉛めっき浴へ浸漬して溶融亜鉛めっきを施
した後、420 ℃〜600 ℃で加熱して、めっき皮膜中にA
l:0.25 〜1.0 質量%、Fe: 0.5 〜6.0 質量%含有さ
せ、次いで、合計Cr量に対する3価クロムが割合(Cr3+
/ T.Cr)が35〜60%であり、付着量が金属クロムとして
10〜100mg/m2であるクロメート処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロメート処理溶
融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法、特に耐黒変性を示
すクロメート処理溶融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】めっき浴にて溶融めっきを行った鋼板の
表面にクロメート処理を施すことは、溶融亜鉛系めっき
鋼板の防錆処理として従来から広く使用されている手法
である。
【0003】しかし、クロメート処理を施した溶融亜鉛
系めっき鋼板では、鋼板の表面が黒く変色する「黒変」
と呼ばれる表面の色調変化が起こる。この黒変は、めっ
き時に表面に現れるスパングルの中のある特定の結晶方
位のところにおいて特に顕著に見られるという特徴があ
り、したがって、ハーティ法やゼロミスト法などでスパ
ングルの成長を抑制したり、また、めっき浴中に含まれ
るPbを低減させるなどの手段によりスパングルをミニマ
イズド化することが黒変防止にある程度有効であると考
えられている。
【0004】しかし、これらの方法ではある程度スパン
グルの成長は抑制できるが完全には抑制できないため、
このような方法のみでは不十分であり、耐黒変性の改善
についてはさらに様々な対策が行われている。
【0005】特開昭59−177381号公報には、溶融亜鉛め
っきを施した後、NiイオンおよびCoイオンを含有する溶
液で処理してからクロメート処理する耐黒変性に優れた
溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法が開示されている。こ
こに開示されている技術ではめっき表層の活性度を低下
させることにより耐黒変性は向上するが、めっき表層に
析出したNiやCoが亜鉛との間で局部電池を形成するた
め、耐食性が損なわれることがあるという問題点があ
る。
【0006】ところで、黒変が発生する要因の一つとし
て、溶融めっき鋼板に対するスキンパスミルによる圧延
が挙げられる。通常、スキンパスミルによる圧延を行わ
ない溶融亜鉛系めっき鋼板の表面にクロメート処理を施
しても黒変は現われにくい。これはめっき皮膜表面に存
在する酸化皮膜が黒変を防いでいると考えられている。
しかし、スキンパスミルによる圧延を行った場合、表層
の酸化皮膜が破壊され、未酸化のめっき層が表層に現わ
れる。このようなめっき層の上にクロメート処理を行う
ため、めっき皮膜とクロメート皮膜との界面が酸素欠乏
状態になり、その結果、化学的に不安定な化合物が表層
に生成され、この化合物が黒っぽくなり黒変を呈するの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の課題
は、耐黒変性を示す溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
を提供することである。
【0008】さらに本発明の具体的課題は、Niイオンお
よび/またはCoイオン含有溶液での処理を必要とせず
に、したがって耐食性の劣化をもたらすことなく、効果
的に耐黒変性を改善できる技術を開発することである。
【0009】ここに、かかる課題を解決するためには、
簡単には、スキンパスミルによる圧延工程を省略するこ
とにより黒変を防止する手段が考えられる。しかし、ス
キンパスミルによる圧延は表層のドロスなどの微小欠陥
を等しくして表面を美麗化させ、また、鋼板の粗度コン
トロールや機械的特性の改善などユーザの用途により必
要性が高く、特にスキンパスミルの圧延工程の省略によ
り鋼板表面の粗度が十分得られなければ、鋼板を所定の
幅にスリットする際に使用するテンションパッドと鋼板
との擦れにより疵がつきやすく外観を損なうおそれがあ
り、耐黒変性の改善対策としてスキンパスミルによる圧
延を行わずにめっき鋼板を製造することは困難である。
【0010】したがって、本発明のさらに具体的課題
は、溶融亜鉛系めっき鋼板にスキンパスミル圧延を行っ
ても効果的に耐黒変性を改善できる技術を開発すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者らは、
上記のような問題点を解決するため、さらに様々な試行
を重ねた結果、めっき後に鋼板を加熱することによっ
て、めっき後スキンパスミルによる圧延、つまりスキン
パス圧延を行い、めっき皮膜上にクロメート処理を施し
ても、耐テンションパット性、耐食性を損なわず、且つ
耐黒変性が良好な鋼板を製造できることを見出し、本発
明を完成した。
【0012】特願2000−362984号において本件出願人は
上述のめっき鋼板についてそのすぐれた特性を見い出し
たが、今回はかかるめっき鋼板がクロメート皮膜を設け
たときの耐黒変性に特にすぐれていることを見い出した
のである。
【0013】すなわち、本発明は、次の通りである。 (1)鋼板と、その上に設けた溶融亜鉛系めっき皮膜と、
該めっき皮膜上に設けたクロメート皮膜とを備えたクロ
メート処理鋼板において、前記めっき皮膜が、Alを0.25
質量%〜1.0 質量%、Feを0.5 質量%〜6.0 質量%含有
し、前記クロメート皮膜の合計Cr量に対する3価クロム
の割合 (Cr3+/T.Cr)が35〜60%であって、かつ該クロメ
ート皮膜の付着量が金属クロムとして10〜100mg/m2であ
ることを特徴とする、耐食性および耐黒変性を示すクロ
メート処理溶融亜鉛系めっき鋼板。
【0014】(2)前記めっき皮膜の表面粗度Raが0.4 μm
以上、PPI が60以上である上記(1)記載のクロメート処
理溶融亜鉛系めっき鋼板。 (3)連続焼鈍した鋼板を、Alを0.15質量%〜0.3 質量%
含む溶融亜鉛系めっき浴へ浸漬して溶融亜鉛系めっきを
施した後、得られためっき鋼板を420 ℃〜600 ℃の範囲
で加熱することにより、めっき皮膜中にAlが0.25質量%
〜1.0 質量%、Feが0.5 質量%〜6.0 質量%含有される
ようにし、次いで該めっき皮膜の上に、合計Cr量に対す
る3価クロムの割合 (Cr3+/T.Cr)が35〜60%であり、付
着量が金属クロム量として10〜100mg/m2であるクロメー
ト処理を施すことを特徴とするクロメート処理溶融亜鉛
系めっき鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明にかかるクロメート処理溶
融亜鉛系めっき鋼板においては、めっき後に鋼板を加熱
することで耐黒変性を向上させるが、同時にめっき後に
鋼板を加熱することでめっき皮膜と鋼板の界面に析出す
る合金層の存在がめっき皮膜と鋼板との密着性、つまり
めっき密着性へ影響を及ぼす。したがって、めっき密着
性を損なわないように製造条件を限定する必要がある。
換言すれば、そのように密着性を改善することで、めっ
き処理後にクロメート皮膜を設けた場合に優れた耐黒変
性が予想外にも得られるのである。
【0016】めっき皮膜中に含有されるAl濃度は、0.25
質量%未満の場合、めっき時にめっきと鋼板の界面に生
成するFe2Al5相の合金層の厚みが不均一になり、鋼板を
ガスワイピング後に加熱する際に、Fe2Al5が薄い部分で
めっき皮膜と鋼板の界面に脆いFe−Zn系の合金層が析出
しやすくなり、めっき密着性が損なわれる。
【0017】めっき皮膜中のAl濃度が高濃度になると、
めっき皮膜と鋼板の界面にFe2Al5相以外にFeAl3 相が析
出し、このFeAl3 相はFe−Zn系の合金層の成長を促進す
るため、めっき密着性が損なわれる。
【0018】また、通常使用する溶融亜鉛系めっき浴で
はめっき皮膜中のAl濃度が1.0 質量%超にはなり得な
い。好ましくは、0.25〜0.6 %である。めっき皮膜中の
Fe%については、めっき後、加熱することで増加する
が、本発明に於いて耐黒変性に及ぼす効果が明確になる
レベルまで加熱した結果、めっき皮膜中に少なくとも0.
5 質量%以上のFe%が含有されることを見出した。しか
し、めっき皮膜中のFe%が6.O 質量%超では、脆いFe−
Zn系の合金層が析出し、めっき密着性が損なわれる。
【0019】このようにしてめっき皮膜の密着性、さら
には耐黒変性を確保するための製造技術としては、亜鉛
めっき浴中のAl含有量について、めっき皮膜中のAlが0.
25質量%〜1.O 質量%になるように、0.15質量%〜0.3
質量%の範囲とする。好ましくは、0.15〜0.2 %であ
る。
【0020】ここに、AlはZnに比べてFeとの反応性が高
く、めっき皮膜と鋼板の界面にFe2Al5相が析出するた
め、Alは皮膜中にめつき浴の濃度以上に濃化する。この
めっき浴中Al濃度は通常のGlめっき浴であり、本発明を
実施するにあたり、浴の入れ替え等が必要でないので、
低コストで製品を製造することができる。
【0021】また、めっき皮膜中のFe%が0.5 質量%〜
6.0 質量%となるように、めっき後の鋼板の温度が460
℃〜600 ℃の範囲内となるように加熱する。460 ℃未満
では、後述するが耐黒変性に対して十分な効果が現れな
いし、600 ℃超ではめっき皮膜中のFe%が、6.O 質量%
以上の高濃度になるため、めっき密着性さらにはクロメ
ート処理後の耐黒変性が損なわれる。
【0022】クロメート処理は、合計Cr量に対する3価
のCrの割合 (Cr3+/T.Cr)が35〜60%のクロム酸化合物を
有する処理液を使用して行う。3価のクロムの割合が35
%未満では表面の黄色味が強く商品価値としては低くな
る。逆に60%超では、クロメート皮膜中に存在するクロ
ムの多くが安定なCr2O 3 となる結果、自己修復作用を持
つ可溶性クロムの割合が低くなり耐食性が劣化する。好
ましくは、40〜55%である。
【0023】また付着量は金属クロム量として10〜100m
g/m2が良い。10mg/m2 未満では十分な耐食性が得られ
ず、100mg/m2超では外観を損ない、また経済的でない。
好ましくは、15〜65mg/m2 である。
【0024】溶融めっき処理およびクロメート処理は上
記において規定する以外の処理条件は従来法に準じれば
よく、本発明においては何ら制限されない。本発明によ
り耐黒変性が向上するメカニズムは明らかではないが、
次のように考えられる。ガスワイピングされた後の凝固
した亜鉛めっき皮膜の表面には前述のようにガスワイピ
ング時の振動によるめっきの凹凸や、めっき浴中で付着
したドロスが存在するが、めっき皮膜の表面を再溶解
し、ワイピング時の振動から解放された状態でめっきを
凝固させることによって、めっきの凹凸を消滅し、ま
た、同時にめっきを再加熱し一部合金化させることによ
って、めっき浴中で付着したドロスがめっき皮膜と鋼板
の界面に移動するが、この時、黒変に悪影響を及ぼすと
されているめっき表層中にあるAlの濃化層もめっき層内
に拡散することにより、めっき表面のAl濃化層が減少
し、黒変性が向上すると考えられる。
【0025】序いでながら、従来にあっても、溶融亜鉛
めっき鋼板には、Alを0.15質量%程度以下含有した溶融
亜鉛系めっき浴でめっきを行い、次いで付着量調節後に
鋼板を加熱してめっき皮膜中のFeが8〜12質量%になる
ようにめっき皮膜を合金化する合金化溶融亜鉛めっき鋼
板がある。しかし、本発明は、このような従来の合金化
溶融亜鉛めっき鋼板とは、合金化の程度で区別され、ク
ロメート皮膜を設けた場合の耐黒変性の改善という効果
の点で異なり、さらに合金化処理を行わないいわゆるGI
鋼板と同等の特性を期待できるのであって、これまでに
ない新規な材料であり、その特性は従来材からは予想さ
れないすぐれたものである。
【0026】本発明の好適態様にあって、めっき後は、
表面粗度が中心線粗さ(Ra)で0.4 μm 以上、ピークカウ
ントインデックス(PPI) で60以上になる様、スキンパス
ミルにて圧延する。これにより耐テンションパット性に
優れるめっき鋼板が得られる。
【0027】めっき後の表面粗さを0.4 μm 以上にする
ことでテンションパッドにより削り取られたZn粉がめっ
き表層の凹部にたまったり、Zn粉の抜けがよくなるため
にZn粉の凝集が起こりにくくパッドキズの発生を抑えら
れるものと考えられる。
【0028】またPPI を60以上とすることでテンション
パッドによりつぶされる部分が分散するために、Zn粉の
凝集が抑えられると考えられる。粗さの上限は耐テンシ
ョンパットに対しては特に規制しないが表面外観の点か
ら、Ra 2.0μm 以下、PP1 が300 以下であれば良い。
【0029】次に、実施例によって本発明の効果をさら
に具体的に説明する。
【0030】
【実施例】表1に本発明の実施例および表2に比較例を
示す。本発明では亜鉛めっき鋼板の素材に、次の組成を
有する低炭素鋼、P添加鋼、および極低炭素鋼を用い
た。
【0031】(1) [C]=0.02〜0.18質量%、[Si]≦0.20
質量%、[Mn]=0.10〜1.00質量%、[P] ≦0.05質量%
および[S]≦0.05質量%と不可避元素と鉄からなる低炭
素鋼、(2) [C]=0.002 〜0.01質量%、[Si] ≦0.50質
量%、[Mn]=0.50〜1.00質量%、[P] ≧0.05質量%お
よび[S]≦0.05質量%と不可避元素と鉄からなるP添加
鋼、(3) [C]≦0.02質量%、[Si]≦0.20質量%、[Mn]
≦0.10質量%、[P]≦0.05質量%、[S]≦0.05質量%と
不可避元素と鉄からなる極低炭素鋼。
【0032】これらの鋼素材を連続溶融亜鉛めっきライ
ンにて、亜鉛めっき浴中のAl濃度が0.15〜0.30質量%の
浴に浸漬した後、片面のめっき付着量が30g/m2〜150g/m
2 の範囲で溶融めっきを行ってから、得られためっき鋼
板を420 〜600 ℃の範囲で再加熱した。
【0033】めっき皮膜中のFeおよびAlの含有量につい
ては、めっき皮膜を塩酸で溶解した溶液をICP で定量分
析して求めた。耐黒変性についてはクロメート処理後の
めっき鋼板から、長さ:150mm 、幅:70mmの試験片を多
数採取し、これらを積層し、防錆紙で梱包し、湿度85
%、温度60℃の恒温恒湿雰囲気中で保管し、保管前後の
めっき面の明度を色彩色差計を用いてJIS Z8730 に規定
される方法で測定し、保管前後での明度変化(ΔL*)を
求めた。黒変が著しいほどΔL*が大きくなる。
【0034】本発明では、ΔL*が5以下の場合を耐黒変
性が優れるとして評価すると共に、目視にて以下のよう
に評価した。 ○:黒変がわずかに認められるか、全くない。
【0035】△:黒変が多少認められる。 ×:黒変が顕著に認められる。 加工性については、めっき鋼板に密着曲げを行い、めっ
き皮膜にクラックまたは剥離が発生したか否かを観察し
て、以下の3段階の指標で評価し、1 、2 レベルを合格
とした。
【0036】1:クラックおよび剥離の発生が無し 2:クラックは発生するが剥離は無し 3:めっき剥離が発生 耐食性についてはSST 促進試験(JISZ 2371に準じる)
で5%白錆発生率となるまでの時間で評価した。
【0037】○:250 時間超 △:75〜250 時間 ×:75時間未満 クロメート処理の色調については色差計で供試材と無処
理材とのΔb (供試材のb値−無処理材のb値)を測定
し、下記評価基準で皮膜外観を評価した。
【0038】○:Δbが3未満 △:Δbが3以上、5未満 ×:Δbが5以上 また、比較例としてめっき後、加熱を行わない亜鉛めっ
き鋼板にNi処理(めっき鋼板をNi2+水溶液に浸漬して、
Niを0.1g/m2 の付着量で置換析出させたものを施し、そ
の上にクロメート処理を行い評価した。
【0039】表面粗さにはスキンパスミルのロールに初
期のRaが2.0 μm 、PPI が150 のショットダルロールを
用い鋼板の伸率0.5 %を与えながら、圧延距離が100km
以下の距離内でのロールで圧延を行うことにより所望の
粗さを得た。
【0040】比較例として初期のRaが1.0 μm 、PPl が
120 の粗さの低いショットダルロールを用いて同様に鋼
板の伸率0.5 %を与え、圧延距離長さが50km、100km の
ロールを使用したところでそれぞれスキンパス圧延を行
ったものと、スキンパス圧延なしのものを作成した。こ
れら各例における耐テンションパット性については、実
際の製造ラインでのテンションパット性に相関があるこ
とで知られる耐磨耗試験方法(JIS H 8503)でのテーパ
式磨耗試験装置で、磨耗輪に濾紙をはる方法を採用し、
下記の3段階で評価した。
【0041】 ○:表面外観に変化無し。または一部黒色化。 △:全体的に薄く黒色化。 ×:黒色化大 本発明で規定している亜鉛めっき浴中のAl濃度の範囲で
めっきすることにより、めっき皮膜中Al含有量が0.25〜
1.0 質量%にすることができ、まためっき後の再加熱温
度を420 〜600 ℃にすることによって、めっき皮膜中の
Fe含有量が0.5質量%〜6.O 質量%となり、めっき密着
性を確保しつつ耐黒変性に優れた鋼板を得ることができ
た。
【0042】一方、表2の比較例に示すように、めっき
後の加熱温度が420 ℃以下になると耐黒変性が劣り、60
0 ℃を超える高温になってしまうと、めっき皮膜中のFe
−Zn合金の成長が進みめっきの密着性が劣化し加工性が
劣る。
【0043】また、亜鉛めっき浴中のAl濃度が0.15質量
%以下の場合は、めっき後の再加熱の際にめっき皮膜中
のFe%が急激に高まるため、本発明で述べるめっき皮膜
中のFe含有量が得られずめっきの密着性が劣る。
【0044】クロメート処理はクロム付着量10mg/m2
満で耐食性が劣り、100mg/m2超では外観を損なう。ま
た、Cr3+/T.Cr の割合が35%未満では表面の黄色みが強
く、60%超では耐食性が劣る。
【0045】めっき後加熱を行わない溶融亜鉛系めっき
鋼板にNi処理+クロメート処理を行った場合、耐黒変性
は良好であるが、耐食性が劣る。耐テンションパット性
についてはめっき鋼板表面のRaが0.4 μm 以上、PPI が
60以上で良好な結果が得られた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】各表における (注) は次の通りである。 (*1) LC: [C] =0.02〜0.18質量%、[Si]≦0.20質量% [Mn] =0.10〜1.00質量%、 [P] ≦0.05質量%、 [S]
≦0.05質量% ハイテン: [C] =0.002 〜0.01質量%、[Si]≦0.50質
量% [Mn] =0.50〜1.00質量%、 [P] ≦0.05質量%、 [S] ≦0.05質量% ULC : [C] ≦0.02質量%、[Si]≦0.20質量% [Mn]≦0.10質量%、 [P] ≦0.05質量%、 [S] ≦0.0
5質量% (*2)密着曲げ後のめっき皮膜を観察 1:めっき皮膜にクラック・剥離の発生無く良好。
【0049】2:めっき皮膜にクラック発生するが剥離
は発生しない。 3:めっき皮膜が剥離する。 (*3)黒変性評価としてサンプルを積層し、防錆紙で梱
包し、湿度85%、温度60℃の恒温恒湿雰囲気中で保管
し、保管前後のめっき面の明度を色彩色差計を用いて測
定。
【0050】(*4)めっき表面の黒変を目視評価 ○:黒変がわずかに認められるか、全くない。 △:黒変が多少認められる。
【0051】×:黒変が顕著に認められる。
【0052】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、CoイオンまたはNiイオンを含む溶液での処理を必要
とせず、またスキンパスミルによる圧延を行っても、黒
変は生じることがなく、耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっ
き鋼板とその製造方法が得られるのであって、本発明の
実際上の意義は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安東 義一 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 谷田 孝次 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA13 BA06 BA12 BB08 CA16 CA19 CA20 DA16 4K027 AA05 AA22 AB05 AB28 AB44 AC74 AE22 4K044 AB02 BA10 BA15 BB03 BC02 CA11 CA16 CA42 CA53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板と、その上に設けた溶融亜鉛系めっ
    き皮膜と、該めっき皮膜上に設けたクロメート皮膜とを
    備えたクロメート処理鋼板において、前記めっき皮膜
    が、Alを0.25質量%〜1.0 質量%、Feを0.5 質量%〜6.
    0 質量%含有し、前記クロメート皮膜の合計Cr量に対す
    る3価クロムの割合 (Cr3+/T.Cr)が35〜60%であって、
    かつ該クロメート皮膜の付着量が金属クロムとして10〜
    100mg/m2であることを特徴とする、耐食性および耐黒変
    性を示すクロメート処理溶融亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記めっき皮膜の表面粗度Raが0.4 μm
    以上、PPI が60以上である請求項1記載のクロメート処
    理溶融亜鉛系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 連続焼鈍した鋼板を、Alを0.15質量%〜
    0.3 質量%含む溶融亜鉛系めっき浴へ浸漬して溶融亜鉛
    系めっきを施した後、得られためっき鋼板を420 ℃〜60
    0 ℃の範囲で加熱することにより、めっき皮膜中にAlが
    0.25質量%〜1.0 質量%、Feが0.5 質量%〜6.0 質量%
    含有されるようにし、次いで該めっき皮膜の上に、合計
    Cr量に対する3価クロムの割合 (Cr3+/T.Cr)が35〜60%
    であり、付着量が金属クロム量として10〜100mg/m2であ
    るクロメート処理を施すことを特徴とするクロメート処
    理溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008045185A (ja) * 2006-08-21 2008-02-28 Nisshin Steel Co Ltd 耐食性,耐黒変性に優れた化成処理鋼板

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