JP2002356653A - 電着用水性分散液、高誘電率フィルム及び電子部品 - Google Patents

電着用水性分散液、高誘電率フィルム及び電子部品

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JP2002356653A
JP2002356653A JP2001163466A JP2001163466A JP2002356653A JP 2002356653 A JP2002356653 A JP 2002356653A JP 2001163466 A JP2001163466 A JP 2001163466A JP 2001163466 A JP2001163466 A JP 2001163466A JP 2002356653 A JP2002356653 A JP 2002356653A
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resin
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high dielectric
aqueous dispersion
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JP2001163466A
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Nobuyuki Ito
信幸 伊藤
Hideaki Masuko
英明 増子
Satomi Hasegawa
里美 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れ、電着により薄膜で且つ耐
電圧の高い高誘電率のフィルムを形成する電着用水性分
散液、この水性分散液から形成された高誘電率フィル
ム、更にはこの高誘電率フィルムを備えた電子部品を提
供する。 【解決手段】 本電着用水性分散液は、水性媒体中
に、平均粒子径1μm以下且つ誘電率が10以上30以
下の無機粒子(酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
酸化タンタル等)と、重合性化合物及び重合体の少なく
とも一方からなる樹脂(カチオン電荷を有するポリイミ
ド系樹脂、エポキシ系樹脂等)とを含む。本高誘電率フ
ィルム(誘電率が6以上、耐電圧は1.5kV以上)は
上記電着用水性分散液を用いた電着により形成される。
本電子部品は上記高誘電率フィルムを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電着用水性分散
液、この水性分散液から形成された高誘電率フィルム、
及びこの高誘電率フィルムを備えた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】多層プリント配線基板等に高誘電率の層
を設け、この層をコンデンサ等に利用する技術が知られ
ている。この高誘電率層は、例えば熱硬化性樹脂の有機
溶剤溶液に高誘電率の無機粉末を添加したものを、熱硬
化性樹脂の脆さを補うためにガラス繊維等の繊維強化材
に含浸させ、溶剤を飛散させて硬化させる等の方法によ
り作成されている。上記従来の方法には、繊維強化材を
用いるため高誘電率層の厚みを薄く(例えば50μm以
下)することができず、またTiO2等の無機粉末に比
べて繊維強化材の比誘電率は比較的小さいことから静電
容量の高いコンデンサが得られないという問題がある。
【0003】この問題を解決するものとして、特開平9
−12742号公報には、フィルム形成能を有する熱硬
化性樹脂を用いることにより上記構成から繊維強化材を
不要とした高誘電率フィルムが開示されている。この公
報によれば、上記熱硬化性樹脂及び高誘電率の無機粉末
を含む樹脂ワニスを調整し、これを塗布、乾燥すること
によりフィルムを作製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平9
−12742号公報記載の発明においては、高誘電率の
無機粉末は一般に比重が大きく樹脂ワニス中において経
時により沈降する等、この樹脂ワニスは貯蔵安定性に欠
けるため、フィルム作製の直前に樹脂ワニスをその都度
調整しなくてはならなかった。また、溶液の塗布乾燥に
よりフィルムを形成するので、得られるフィルムの膜厚
精度を高くすることが困難であり、また基板上の特定の
位置にのみフィルムを形成する場合等において操作性が
よいとは言い難いものであった。更に、任意の配線上に
選択的に高誘電率層を形成しようとした場合、従来の樹
脂ワニスではフォトリソグラフィー、印刷法等を組み合
わせて形成位置を規定する必要がある。しかし、フォト
リソグラフィーを用いた形成方法では高コスト、工程が
煩雑等の問題があり、また印刷法では加工精度が低いと
いう問題があった。また、特開2001−106977
公報には誘電率30以上のチタン系金属酸化物粒子を用
いて高誘電率フィルムを得られる方法が示されている
が、耐電圧が低い問題があった。
【0005】本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、電着
により薄膜で且つ耐電圧の高い高誘電率のフィルムを形
成する電着用水性分散液、この水性分散液から形成され
た高誘電率フィルム、更にはこの高誘電率フィルムを備
えた電子部品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電着可能
な所定の樹脂及び小粒径の無機粒子が水性媒体中に分散
された電着用水性分散液を用いることにより、上記課題
が解決されることを見出して本発明を完成した。即ち、
請求項1記載の電着用水性分散液は、水性媒体中に、平
均粒子径1μm以下且つ誘電率が10以上30未満の無
機粒子と、重合性化合物及び重合体の少なくとも一方か
らなる樹脂とが分散していることを特徴とする。また、
請求項6記載の高誘電率フィルムは、請求項1から5の
いずれか一項記載の電着用水性分散液を用いた電着によ
り形成されたことを特徴とする。そして、請求項7記載
の電子部品は、請求項6に記載の高誘電率フィルムを備
えることを特徴とする。
【0007】以下、本発明について詳しく説明する。 (1)無機粒子について 本発明において使用する「無機粒子」の誘電率は、10
以上30以下であり、好ましくは10〜29、より好ま
しくは15〜29、更に好ましくは18〜25である。
これが10未満の場合は得られるフィルム等の誘電率が
小さくなり好ましくなく、30を越えると耐電圧が小さ
くなり好ましくない。このような無機粒子としては、金
属酸化物からなるものが好ましく用いられ、特に酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ハ
フニウム、酸化タンタルが好ましい。また、水性媒体へ
の分散性を向上させるために、上記材料からなる粒子の
表面をシリカ、アルミナ等で変性した粒子も好適に用い
られる。
【0008】この無機粒子の平均粒子径は1μm以下で
ある必要があり、0.5μm以下であることが好まし
く、0.2μm以下であることが更に好ましい。平均粒
子径が1μmを超えると、水性媒体に対する無機粒子の
分散性が不足して十分な貯蔵安定性が得られないためで
ある。平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常は
0.01μm以上である。
【0009】(2)樹脂について (2−1)樹脂の組成 本発明において使用する「樹脂」は、上記「重合性化合
物及び重合体の少なくとも一方」からなる。ここで、
「重合性化合物」とは重合性基を有する化合物を指し、
完全硬化前の前駆的重合体、重合性オリゴマー及び単量
体などを含む意味である。一方、上記「重合体」とは実
質的に重合反応が完了した化合物を指す。但し、加熱、
湿気などにより、この重合体を電着後に架橋させること
も可能である。樹脂は電着を可能とするために電荷を有
することが好ましく、この電荷はアニオン型でもカチオ
ン型でもよいが、電着時の電極酸化を防止するためには
カチオン型であることが好ましい。このアニオン型電荷
の種類は特に限定されないが、カルボキシル基、スルホ
ン酸基又はそれらのアニオン基等が挙げられ、カチオン
型電荷の種類も特に限定されないが、アミノ基(一級、
二級、三級を問わない。)、そのカチオン基、更にはそ
の第四級イオン基等が挙げられる。
【0010】上記樹脂は、特に限定されないが、ポリイ
ミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、フッ素系樹脂及びシリコン系樹脂から選
択される一種又は二種以上からなることが好ましい。こ
の各樹脂は、各樹脂の変成樹脂を含む意味に用いられ
る。この変成樹脂としては、例えば、ポリイミドを例に
とって説明すれば、ポリイミド骨格に他の官能基等の他
要素を導入したものでもよいし、このポリイミド樹脂と
他の樹脂(例えば反応基を有するアクリル樹脂、エポキ
シ樹脂等)とを混合しその後両者を反応させて得た樹脂
でもよい。更に、これらの樹脂に加えて、更に上記に例
示する樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。
【0011】本発明においては、電着により機械的特
性、化学的特性及び電気的特性に優れた高誘電率フィル
ムを形成できることから、ポリイミド系樹脂を主成分と
する樹脂を用いることが特に好ましい。ここで、「ポリ
イミド系樹脂」とは、電着後の加熱などにより硬化可能
な前駆的重合体(たとえばポリアミック酸など。)、ポ
リイミド系樹脂の形成に用いられる単量体、オリゴマー
などをも含む意味であり、他の樹脂についても同様であ
る。更に、この「ポリイミド系樹脂」とは、ポリイミド
樹脂又はその前駆的重合体、ポリイミド樹脂の形成に用
いられる単量体と他の単量体との共重合体樹脂又はその
前駆的重合体、ポリイミド樹脂又はその前駆的重合体と
他の化合物との反応物などをも含む意味であり、他の樹
脂(「エポキシ系樹脂」、「アクリル系樹脂」、「ポリ
エステル系樹脂」、「フッ素系樹脂」及び「シリコン系
樹脂」等)についても同様である。
【0012】(2−2)樹脂の水性エマルジョン 本発明の水性分散液は通常、上記樹脂が水性媒体に分散
した水性エマルジョンを用いて調整される。ここで「水
性媒体」とは水を含有する媒体を意味し、この水性媒体
中における水の含有率は通常5重量%以上、好ましくは
10重量%以上である。場合により水と共に使用される
他の媒体としては、例えば非プロトン性極性溶媒(上記
ポリアミック酸あるいはポリイミドの製造に使用される
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸
エチル、乳酸エチル等)、ケトン類(メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等)、フェノール類、アルコール
類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチ
ルプロピレングリコール等)等を挙げることができる。
【0013】以下、主としてポリイミド系樹脂からから
なる樹脂の水性エマルジョン(以下、「ポリイミド系樹
脂エマルジョン」という。)、主としてエポキシ系樹脂
からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「エポキシ系
樹脂エマルジョン」という。)、主としてアクリル系樹
脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「アクリル
系樹脂エマルジョン」という。)、主としてポリエステ
ル系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「ポ
リエステル系樹脂エマルジョン」という。)、主として
フッ素系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、
「フッ素系樹脂エマルジョン」という。)及び主として
シリコン系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以
下、「シリコン系樹脂エマルジョン」という。)の製造
方法について説明する。
【0014】(i)ポリイミド系樹脂エマルジョンの製
造方法 本発明における樹脂がポリイミド系樹脂からなる場合に
は、機械的特性、化学的特性及び電気的特性に優れたポ
リイミド系の高誘電率フィルムを形成できるため特に好
ましい。このようなポリイミド系フィルムを電着により
作製する好ましい方法としては下記の二種類が挙げられ
る。 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水性ポ
リマーとの複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジ
ョンを電着液として、この複合粒子を電着する方法。 (C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物との複合
粒子を含む粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョン
を電着液としてこの粒子を電着し、電着されたポリアミ
ック酸を加熱により脱水閉環する方法。これらの方法に
おいて使用するポリイミド系樹脂エマルジョンを製造す
る方法としては、上記の方法については特開平11−
49951公報に記載の方法が、また上記の方法につ
いて特開平11−60947号公報に記載の方法が例示
される。
【0015】上記の方法において使用するポリイミド
系樹脂エマルジョンの製造方法について更に詳しく説明
する。 「(A)有機溶媒可溶性のポリイミド」の合成法は特に
限定されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合し
て重縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリア
ミック酸を加熱イミド化法又は化学イミド化法により脱
水閉環反応させることにより、ポリイミドを合成するこ
とができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ン化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロッ
ク構造を有するポリイミドを合成することも可能であ
る。この有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、カル
ボキシル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド
基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基(a)
を1種以上有することが好ましい。反応性基(a)を有
するポリイミドの合成方法としては、例えば、ポリアミ
ック酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミ
ン化合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等の
反応原料として、反応性基(a)を有する化合物を使用
し、脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方法
等を挙げることができる。
【0016】「(B)親水性ポリマー」は、親水性基と
して、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ス
ルホン酸基、アミド基等を1種以上有し、水に対する2
0℃の溶解度が、通常、0.01g/100g以上、好
ましくは0.05g/100g以上である親水性ポリマ
ーからなる。前記親水性基に加えて、前記(A)成分中
の反応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以
上有することが好ましい。このような反応性基(b)と
しては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カル
ボキシル基のほか、前記親水性基と同様の基等を挙げる
ことができる。このような親水性ポリマーは、親水性基
及び/又は反応性基(b)を有するモノビニル単量体を
単独重合又は共重合させるか、あるいはこれらのモノビ
ニル単量体と他の単量体とを共重合させることにより得
ることができる。
【0017】この(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと
(B)親水性ポリマーとを、反応性基(a)と親水性ポ
リマー中の反応性基(b)とが適切な反応性を有する組
み合わせとなるように選択し、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反
応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少
なくとも一部を除去することにより、該ポリイミドと該
親水性ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含む複
合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得るこ
とができる。
【0018】次に、上記の方法において使用するポリ
イミド系樹脂エマルジョンの製造方法について更に詳し
く説明する。ポリイミドの前駆体である「(C)ポリア
ミック酸」の合成法は、特に限定されるものではない
が、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック
酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応を多段階で行うこと
により、ブロック構造を有するポリアミック酸を合成す
ることも可能である。なお、ポリアミック酸を脱水閉環
させることにより部分的にイミド化したポリアミック酸
も使用可能である。
【0019】一方、「(D)疎水性化合物」は、前記ポ
リアミック酸中の少なくともアミド酸基と反応しうる基
(以下、「反応性基」という。)を有する化合物であ
る。この反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソ
シアナート基、カルボジイミド基、水酸基、メルカプト
基、ハロゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスル
ホニル基、ジアゾ基、カルボニル基等を挙げることがで
きる。これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以上
存在することができる。なお、「疎水性」とは、水に対
する20℃の溶解度が、通常、0.05g/100g未
満、好ましくは0.01/100g未満、更に好ましく
は0.005g/100g未満であることを意味する。
【0020】このような疎水性化合物としては、例え
ば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル、
グリシジル(メタ)アクリレート、1,3,5,6−テ
トラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,
N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミ
ン、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ポリカルボジイミド、コレステロール、ベ
ンジルアルコールp−トルエンスルホン酸エステル、ク
ロロ酢酸エチル、トリアジントリチオール、ジアゾメタ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等から選択され
る1種又は2種以上を使用することができる。
【0021】この(C)ポリアミック酸と(D)疎水性
化合物とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合し、
場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することに
より、ポリアミック酸と疎水性化合物とを同一粒子内に
含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを
得ることができる。
【0022】なお、上記及びの方法において用いら
れるテトラカルボン酸二無水物は特に限定されるもので
はなく、その例としては、(1)ブタンテトラカルボン
酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシ
ルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボ
キシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5
−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−
フラン−1,3−ジオン等の脂肪族テトラカルボン酸二
無水物あるいは脂環式テトラカルボン酸二無水物;
(2)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げること
ができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独
で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】また、上記及びの方法において用いら
れるジアミン化合物は特に限定されるものではなく、そ
の例としては、(1)p−フェニレンジアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香
族ジアミン類;(2)1,1−メタキシリレンジアミ
ン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
等の脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミン類;(3)
2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−6−ジ
メチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジア
ミノ−5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミノフェ
ニル)フェニルアミン等の、分子内に2つの第一級アミ
ノ基及び該第一級アミノ基以外の窒素原子を有するジア
ミン類;(4) モノ置換フェニレンジアミン類;
(5)ジアミノオルガノシロキサン等を挙げることがで
きる。これらのジアミン化合物は、単独で又は2種以上
を混合して使用することができる。
【0024】(ii)エポキシ系樹脂エマルジョンの製造
方法 エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平9−2
35495号公報、同9−208865号公報に記載の
方法などによればよい。
【0025】(iii)アクリル系樹脂エマルジョンの製造
方法 アクリル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではないが、例えば通常の乳化重合法により製造
できる。単量体としては一般的なアクリル系及び/又は
メタクリル系単量体から選択される一種又は二種以上を
用いればよい。このとき、粒子を電着可能とするため
に、アミノ基などのカチオン性基を有する単量体、又は
カルボキシル基、スルホン酸基、フォスフォノ基等など
のアニオン性基を有する単量体を共重合させることが好
ましく、その共重合量は使用する単量体全体に対して5
〜80重量%(より好ましくは10〜50重量%)とす
ることが好ましい。上記アミノ基を有する単量体の具体
例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドなどが好ましく使用
される。
【0026】(iv)ポリエステル系樹脂エマルジョンの
製造方法 ポリエステル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定
されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開昭5
7−10663号公報、同57−70153号公報、同
58−174421号公報に記載の方法などによればよ
い。
【0027】(v)フッ素系樹脂エマルジョンの製造方
法 フッ素系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定される
ものではなく、従来公知の方法、例えば特開平7−26
8163号公報に記載の方法などによればよい。
【0028】(vi)シリコン系樹脂エマルジョンの製造
方法 シリコン系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平10−
60280号公報に記載の方法などによればよい。
【0029】(3)水性分散液について 本発明の水性分散液は、水性媒体中に上記樹脂及び上記
無機粒子が分散したものである。なお、水性媒体の意味
は上述と同様である。この水性分散液は、電着により誘
電率6以上(好ましくは7以上)のフィルムを与えるも
のであることが好ましい。水性分散液に含まれる無機粒
子と樹脂との体積比は、5/95〜80/20の範囲で
あることが好ましく、10/90〜60/40であるこ
とがより好ましい。無機粒子の割合が5体積%未満で
は、高誘電率のフィルムを得ることが困難である。一
方、無機粒子の割合が80体積%を超える場合には、フ
ィルムの成膜性が不足するため好ましくない。水性分散
液の好ましいpHは2〜10(より好ましくは3〜
9)、好ましい固形分濃度は1〜50重量%(より好ま
しくは5〜20重量%)、20℃における好ましい粘度
は1〜100mPa・sである。pH、固形分濃度又は
粘度が上記範囲を外れると、粒子の分散性等が低下して
貯蔵安定性が不足したり、取り扱い時や使用時の作業性
が低下する場合がある。更に、本発明の水性分散液の粘
度は、好ましくは500mPa/s以下、より好ましく
は100mPa/s以下、更に好ましくは50mPa/
s以下、特に好ましくは30mPa/s以下である。特
に、固形分濃度が20%の場合における粘度が上記に示
す各範囲内とすることができる。
【0030】この水性分散液は、無機粒子の水分散液
と樹脂の水分散液とを混合する、樹脂の水分散液中に
無機粒子を添加混合するなどの方法により調製すること
ができる。このうちの方法を用いることが好ましい。
また、樹脂の水分散液と混合する前における無機粒子の
水分散液のpHは、混合時の安定性を向上させるため
に、硝酸、硫酸、水酸化カリウム等を用いてpH2〜1
0に調製されていることが好ましい。本発明の水性分散
液は、二層分離や粘度の著しい変化等を起こすことなく
貯蔵可能な期間が20℃において5日間以上(より好ま
しくは7日間以上、更に好ましくは10日間以上、特に
好ましくは14日以上)となる貯蔵安定性を有するもの
とすることができる。
【0031】なお、本発明の水性分散液は、上記樹脂及
び無機粒子に加えて、下記式(1)で示されるオルガノ
シラン、このオルガノシランの有する加水分解性基の一
部又は全部が加水分解された加水分解物、及びこの加水
分解物が部分的に脱水縮合した部分縮合物から選択され
る少なくとも一種(以下、「オルガノシラン縮合物等」
という。)を含有してもよい。このような電着用水性分
散液から形成されたフィルムは、特に電着後に加熱硬化
させた場合には、フィルム中でオルガノシラン縮合物等
が架橋することにより、機械的特性、化学的特性硬度及
び電気的特性に優れたものとなる。
【0032】
【化1】 (R1nSi(OR24-n (1) (式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8の一価の有機
基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1
〜6のアシル基又はフェニル基を示し、nは1又は2の
整数である。R1及びR2は同一であってもよいし、異な
っていてもよい。)
【0033】上記式(1)において、R1の炭素数1〜
8の有機基としては、直鎖又は分岐を有するアルキル
基、ハロゲン置換されたアルキル基、ビニル基、フェニ
ル基及び3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等を
挙げることができる。尚、R1はカルボニル基を有して
いてもよい。また、R1は炭素数1〜4のアルキル基又
はフェニル基であることが好ましい。R2の炭素数1〜
5のアルキル基又は炭素数1〜6のアシル基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、n−ペンチル基、アセチル基、プ
ロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。なお、R2
は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0034】好ましく使用されるオルガノシランの例と
しては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びフェニル
トリエトキシシランが挙げられる。これらのオルガノシ
ランは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0035】上記「オルガノシラン縮合物等」は、本発
明の電着用水性分散液中において、上記樹脂と複合体粒
子を形成していることが好ましい。この「複合体粒子」
とは、上記樹脂を構成する化合物とオルガノシラン縮合
物等とが化学的に結合したもの、上記樹脂の表面及び/
又は内部にオルガノシラン縮合物等が吸着したものなど
を指す。このオルガノシラン縮合物等の使用量は、上記
樹脂を100重量部として0.1〜500重量部とする
ことが好ましく、0.5〜250重量部とすることがよ
り好ましい。オルガノシラン縮合物等の使用量が0.1
重量部未満では、所望の効果が得られない場合があり、
一方500重量部を超える場合にはフィルムの密着性な
どが低下する傾向にある。
【0036】このような複合体粒子は、下記〔1〕又は
〔2〕の方法等によって製造することができる。尚、こ
れらの方法を組み合わせてもよい。 〔1〕上記樹脂のエマルジョンに上記オルガノシランを
添加し、オルガノシランの少なくとも一部を上記樹脂に
吸収させた後、このオルガノシランの加水分解反応及び
縮合反応を進行させる。 〔2〕水系媒体に分散された上記オルガノシラン縮合物
等の存在下で上記樹脂を生成させる反応を行う。
【0037】上記〔1〕の方法においてオルガノシラン
を樹脂に吸収させるには、エマルジョン中にオルガノシ
ランを添加して十分に攪拌するなどの方法によればよ
い。このとき、添加したオルガノシランの10重量%以
上(より好ましくは30重量%以上)を粒子に吸収させ
ることが好ましい。吸収が不十分な段階でオルガノシラ
ンの加水分解・縮合反応が進んでしまうのを避けるため
に、反応系のpHを通常4〜10、好ましくは5〜1
0、更に好ましくは6〜8に調製することができる。オ
ルガノシランを樹脂に吸収させるための処理温度は70
℃以下とすることが好ましく、より好ましくは50℃以
下、更に好ましくは0〜30℃である。処理時間は通常
5〜180分であり、20〜60分程度とすることが好
ましい。吸収されたオルガノシランを加水分解・縮合さ
せる際の温度は、通常30℃以上、好ましくは50〜1
00℃、より好ましくは70〜90℃であり、好ましい
重合時間は0.3〜15時間、より好ましくは1〜8時
間である。
【0038】また、上記〔2〕の方法においては、上記
オルガノシランを、ホモミキサー又は超音波混合機等を
用いて、アルキルベンゼンスルホン酸等の強酸性乳化剤
の水溶液中で混合し、加水分解・縮合させることによっ
て、水系媒体に分散されたオルガノシラン縮合物等が得
られる。このオルガノシラン縮合物等の存在下で、好ま
しくは乳化重合により上記樹脂を生成させればよい。
【0039】(4)高誘電率フィルムについて 本発明の水性分散液は、そのまま、あるいはこれを希釈
又は濃縮して、また必要に応じて従来公知の添加剤を適
宜配合して、高誘電率フィルム形成用の電着液に用いら
れる。この電着液を用いた通常の電着方法により、水性
分散液中の無機粒子及び樹脂を電極表面等に電着して高
誘電率フィルムを製造することができる。本発明の高誘
電率フィルムを製造するにあたっては、電着された粒子
の樹脂成分を更に加熱硬化させることが好ましい。加熱
硬化の条件は特に限定されるものではないが、好ましい
加熱温度は100℃〜400℃であり、より好ましくは
150〜300℃である。また、好ましい加熱時間は5
分以上であり、より好ましくは10分以上である。
【0040】本発明の水性分散液によると、誘電率6以
上(より好ましくは7以上)の高誘電率フィルムを得る
ことができる。また、体積抵抗率は1012Ω・cm以上
(より好ましくは1013Ω・cm以上、特に好ましくは
1014Ω・cm以上)のものとすることができる。耐電
圧は1.5kV以上(より好ましくは1.6kV以上、
特に好ましくは1.8kV以上)のものとすることがで
きる。更に、この高誘電率フィルムの厚さは50μm以
下(より好ましくは30μm以下、特に好ましくは20
μm以下)であることが好ましい。フィルム厚さの下限
は特に限定されないが、通常は1μm以上である。更
に、上記に示す種々の物性の組合せとすることができ、
例えば、好ましくはフィルムの厚さが50μm以下、体
積抵抗率が1012Ω・cm以上、且つ耐電圧が1.5k
V以上であり、より好ましくフィルムの厚さが30μm
以下、体積抵抗率が1013Ω・cm以上、且つ耐電圧が
1.6kV以上であり、更に好ましくはフィルムの厚さ
が20μm以下、体積抵抗率が1014Ω・cm以上、且
つ耐電圧が1.8kV以上である。
【0041】(5)電子部品について 本発明の高誘電率フィルムによると、上記に示すよう
に、薄膜で絶縁耐圧の高い静電容量の大きなコンデンサ
等を形成することができる。また、この高誘電率フィル
ムを備えたプリント回路基板、半導体パッケージ、半導
体装置、コンデンサ、高周波用アンテナ等の電子部品
は、小型で且つ高密度のものとすることができる。ま
た、本発明の高誘電率フィルムは、絶縁耐圧が高い薄膜
層が得られるので半導体製造装置などに用いる静電吸着
装置(静電チャック)に使用することができる。誘電率
が高く薄膜のため従来のものよりも低電圧で、大きな吸
着力を得ることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明を更に具体的に説明する。なお、以下において、特
記しない限り、「部」及び「%」は重量基準である。
【0043】(1)無機粒子分散液の調製 (合成例1:酸化アルミニウム分散液)酸化アルミニウ
ム粒子(バイコフスキー社製、平均粒子径0.1μm、
誘電率10)20部及びイソプロピルアルコール80部
をホモミキサーで混合した後、更に20分間の超音波分
散を行って、凝集物のない酸化アルミニウムのアルコー
ル分散液(固形分濃度20%)を得た。
【0044】(合成例2:酸化タンタル分散液)五酸化
タンタル粒子(三井金属鉱業社製、平均粒子径0.5μ
m、誘電率22)20部及び乳酸エチル80部をホモミ
キサーで混合した後、更にビーズミルで10分間の分散
を行って、凝集物のない五酸化タンタルのアルコール分
散液(固形分濃度20%)を得た。
【0045】(合成例3:酸化ジルコニウム分散液)酸
化ジルコニウム粒子(三井金属鉱業社製、平均粒子径
0.1μm、誘電率20)20部及びブチルアルコール
80部をホモミキサーで混合した後、更に20分間の超
音波分散を行って、凝集物のない酸化ジルコニウムのア
ルコール分散液(固形分濃度20%)を得た。
【0046】(2)樹脂エマルジョンの調製 (合成例4:ポリイミド系樹脂エマルジョン)テトラカ
ルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ジフェニ
ルスルホンテトラカルボン酸二無水物32.29g(9
0ミリモル)及び1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フ
ラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジ
オン3.00g(10ミリモル)、ジアミン化合物とし
て2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン36.95g(90ミリモル)及びオルガ
ノシロキサンLP7100(信越化学製の商品名)2.
49g(10ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリド
ン450gに溶解して、室温で12時間反応させた。そ
の後、この反応溶液に、ピリジン32g及び無水酢酸7
1gを添加し、100℃で3時間脱水閉環反応を行っ
た。次いで、反応溶液を減圧留去して精製し、固形分1
0%のポリイミド溶液を得た。ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル100部を入れた反応容器を、窒素ガ
ス雰囲気下で85℃に保持し、この反応容器に、n−ブ
チルアクリレート65部、ジメチルアミノエチルアクリ
レート30部、グリシジルメタアクリレート5部及びア
ゾビスイソブチロニトリル1部からなる混合液を5時間
かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を行なっ
た。滴下終了後、85℃で更に2時間撹拌を続けて、溶
液重合を完結させ、固形分50%のアクリルポリマー溶
液を得た。ポリイミド溶液50部(固形分)とアクリル
ポリマー溶液30部(固形分)とエピコート828(油
化シェルエポキシ社製の商品名)20部を混合し、70
℃×3時間反応させた後、酢酸3部を徐々に添加して混
合し、pH調整を行った。次いで、蒸留水1000部を
徐々に添加しつつ強く撹拌して、ポリイミド系樹脂を主
成分とする樹脂のカチオン性エマルジョンを得た。
【0047】(合成例5;エポキシ系樹脂エマルジョ
ン)トリレンジイソシアネートと2−エチルヘキサノー
ルからなるブロックイソシアネート46.3部と、エピ
コート828(油化シェルエポキシ社製の商品名)とジ
エチルアミンとを反応させて得られたエポキシアミン付
加物89.3部とを混合し、pH調節剤として酢酸3.
8部を加えた。これを、イオン交換水1200部中に攪
拌しながら投入することによって、エポキシ系樹脂前駆
体を主成分とする樹脂のカチオン性エマルジョンを得
た。
【0048】(合成例6:ポリエステル系樹脂エマルジ
ョン)ジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソ
フタレート388部、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸ジメチル178部、エチレングリコール443部、ネ
オペンチルグリコール400部、酢酸亜鉛0.44部、
酢酸ナトリウム0.04部、三酸化アンチモン0.43
部を反応器に仕込み、140〜220℃で4時間かけて
エステル交換反応を行った。次に260℃20mmHg
の真空下重縮合反応を1時間行ってポリエステル系樹脂
を得た。このポリエステル系樹脂30部をイソプロパノ
ール14部と水56部の混合液中に入れ、70〜75℃
で3時間かけて分散させることによって、ポリエステル
系樹脂重合体を主成分とするアニオン性樹脂のエマルジ
ョンを得た。 (合成例7:チタン酸バリウム分散液)チタン酸バリウ
ム粒子(堺化学工業製、平均粒子径0.5μm、誘電率
2000)20部及び乳酸エチル80部をホモミキサー
で混合した後、更にビーズミルで10分間の分散を行っ
て、凝集物のないチタン酸バリウムのアルコール分散液
(固形分濃度20%)を得た。
【0049】(3)水性分散液の調製 (実施例1)合成例1で得られた酸化アルミニウム分散
液350部(固形分換算で70部)と、合成例4で得ら
れたポリイミド系樹脂エマルジョン600部(固形分換
算で30部)とを混合して水性分散液を調製した。
【0050】(実施例2)合成例2で得られた五酸化タ
ンタル分散液400部(固形分換算で80部)と、合成
例4で得られたポリイミド系樹脂エマルジョン400部
(固形分換算で20部)とを混合して水性分散液を調製
した。
【0051】(実施例3)合成例3で得られた酸化ジル
コニウム分散液350部(固形分換算で70部)と、合
成例4で得られたポリイミド系樹脂エマルジョン600
部(固形分換算で30部)とを混合して水性分散液を調
製した。
【0052】(実施例4)ポリイミド系樹脂エマルジョ
ンに代えて、合成例5で得られたエポキシ系樹脂エマル
ジョンを用いた点以外は、実施例2と同様にして水性分
散液を調製した。
【0053】(実施例5)ポリイミド系樹脂エマルジョ
ンに代えて、合成例6で得られたポリエステル系樹脂エ
マルジョンを用いた点以外は、実施例2と同様にして水
性分散液を調製した。
【0054】(比較例1)合成例1で得られた酸化アル
ミニウム分散体に代えて、合成例7で得られた本発明の
範囲外のチタン酸バリウム分散体を用いた点以外は、実
施例1と同様にして水性分散液を調製した。
【0055】(比較例2)ポリイミド系樹脂ワニス(宇
部興産株式会社製、商品名「ユピファインST」)60
0部(固形分換算で60部)中に、合成例1で用いた酸
化アルミニウム粒子40部を添加混合してフィルム形成
用のワニスを得た。
【0056】(4)フィルムの形成及び性能評価 上記実施例1〜5及び比較例1の水性分散液中に、それ
ぞれ陰極としての銅板及び対向電極としてのSUS板を
配置し、10Vの定電圧法により陰極側の銅板上に粒子
を電着させた。尚、実施例5においては陽極板に所定の
粒子を電着させた。その後、100℃で10分加熱し、
更に250℃で30分間加熱して厚さ20μmのフィル
ムを得た。なお、比較例1では成膜性不良によりフィル
ムを得ることができな且つた。また、比較例2のワニス
を銅板上に塗布して100℃で10分加熱し、更に25
0℃で30分間加熱して厚さ10μmのフィルムを得
た。
【0057】実施例1〜5及び比較例1、2の水性分散
液又はワニスにつき、その貯蔵安定性を下記方法により
評価した。また、電着により得られたフィルムの性能を
下記方法により評価した。その結果を表1及び表2に示
す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】〔貯蔵安定性〕プラスチック瓶に水性分散
液又はワニスを入れ、20℃で10日間保存したときの
分散状態及び粘度を目視にて観察した。評価結果は下記
基準で示す。 ○:粘度、分散状態ともに変化なし ×:二層に分離する 〔誘電率、誘電正接、体積抵抗率及び耐電圧〕JIS
K6481に準拠して測定した。 〔耐湿熱性(HAST試験)〕硬化フィルムについて、
121℃、湿度100%、2気圧の条件下で、72時間
耐湿熱性試験を行って、試験の前後で赤外線分光測定を
実施し、その変化の程度により、耐湿熱性を下記基準で
評価した。 ○・・・変化がなく耐性が認められる ×・・・変化が大きく耐性が認められない
【0061】表1及び表2から判るように、樹脂を含ま
ない水性分散体である比較例1は成膜性をもたず、また
フィルムの誘電率が40と大きいものの耐電圧が0.5
kVと小さかった。更に、樹脂ワニスに無機粒子を添加
した比較例2は、貯蔵安定性に欠け、しかも耐湿熱性も
優れなかった。一方、実施例1〜5の水性分散体はいず
れも貯蔵安定性に優れ、またこの水性分散体から電着に
よって形成されたフィルムはいずれも電気的特性が良好
であった。即ち、電気的特性としては、誘電率が7〜1
1、体積抵抗率が1013〜10 15Ω・cm、耐電圧が
1.8〜2kVといずれも優れ、性能バランスに優れて
いることが判る。特に、樹脂としてポリイミドを用いた
実施例1〜3では、特に体積抵抗率の高い(1015Ω・
cm)フィルムが得られた。更に、実施例1〜5の水性
分散体はいずれも水系分散体の粘度が、比較例2のワニ
スの場合(1000mPa.s)と比べて、10mP
a.sと小さく、作業性にも優れることが判る。
【0062】
【発明の効果】本発明の電着用水性分散液は、上述のよ
うに貯蔵安定性に優れることから、高誘電率フィルム作
製の都度この液を調製する必要がない。これにより、本
発明の水性分散液によると高誘電率フィルムの生産性が
向上する。また、ワニスとは異なり水性媒体を用いてい
るので作業環境の点からも好ましい。更に、本発明の高
誘電率フィルムは、上記水性分散液を用いた電着により
作製されるので、電着条件の調製等により膜厚制御が容
易であり、また塗布により作製された場合等に比べてフ
ィルムの形成性に優れ、基体への追随性にも優れる。更
に、導電性基体(配線等)上に選択的に高誘電率フィル
ムを形成させることができ、フォトリソグラフィーや印
刷法等に比べて安価で高精度に高誘電率フィルムを作成
できる。本発明の高誘電率フィルムは、薄膜で耐電圧が
高く且つ高誘電率であるので、プリント回路基板、半導
体パッケージ、コンデンサ、高周波用アンテナ等の電子
部品等において好適に利用される。本発明の電子部品
は、上記高誘電率フィルムを備えることから、小型化、
薄膜化することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 5/00 Z 5/44 5/44 Z 7/12 7/12 179/08 179/08 Z C25D 13/06 C25D 13/06 B 13/10 13/10 B 15/00 15/00 D (72)発明者 長谷川 里美 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA60 AF40 AH13 BB02 BC01 4J002 CM041 DE096 DE146 FD016 GQ05 HA04 4J038 CD091 CG001 DB001 DD001 DJ021 DL031 HA216 KA20 MA08 MA10 NA17 PA03 PB09 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に、平均粒子径1μm以下且
    つ誘電率が10以上30以下の無機粒子と、重合性化合
    物及び重合体の少なくとも一方からなる樹脂と、を含む
    ことを特徴とする電着用水性分散液。
  2. 【請求項2】 電着により得られたフィルムの誘電率が
    6以上である請求項1記載の電着用水性分散液。
  3. 【請求項3】 上記無機粒子は、酸化アルミニウム、酸
    化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸
    化タンタルから選ばれた少なくとも1種である請求項1
    又は2記載の電着用水性分散液。
  4. 【請求項4】 上記樹脂は電荷を有し、ポリイミド系樹
    脂からなる請求項1から3のいずれか一項記載の電着用
    水性分散液。
  5. 【請求項5】 上記無機粒子と上記樹脂との体積比が5
    /95〜80/20である請求項1から4のいずれか一
    項記載の電着用水性分散液。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか一項に記載の
    電着用水性分散液を用いた電着により形成されたことを
    特徴とする高誘電率フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の高誘電率フィルムを備
    えることを特徴とする電子部品。
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