JP2002356105A

JP2002356105A - 空気入りタイヤ

Info

Publication number: JP2002356105A
Application number: JP2001163673A
Authority: JP
Inventors: Yoshiki Sato; 芳樹佐藤
Original assignee: Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Current assignee: Toyo Tire Corp
Priority date: 2001-05-31
Filing date: 2001-05-31
Publication date: 2002-12-10

Abstract

(57)【要約】【課題】リブに設けたサイプに隣接する陸部の偏摩耗
を抑制して、摩耗中期以降のノイズを低減しつつ、ドラ
イ路面での操縦安定性を高めることができる空気入りタ
イヤを提供する。【解決手段】複数のサイプ１１を介してタイヤ全周に
連続するリブ１を有するトレッドパターンを備えた空気
入りタイヤにおいて、前記サイプ１１は、タイヤ幅方向
又は斜め方向の基準面Ｂを有すると共に、その基準面Ｂ
に対して各々逆側に突出した凹部１１ａと凸部１１ｂを
有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数のサイプを介
してタイヤ全周に連続するリブを有するトレッドパター
ンを備えた空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】空気入りタイヤは、ブロック基調パター
ンで構成されるスタッドレスタイヤ（冬用タイヤ）と、
タイヤ全周に連続するリブを部分的又は全体的に有する
夏用タイヤ（いわゆるリブ基調タイヤ）とに大別でき
る。冬用タイヤのようなブロック基調の空気入りタイヤ
は、アイス路面やスノー路面での制動性能、トラクショ
ン性能、グリップ力等に優れるが、走行時のパターンノ
イズが大きく、ドライ路面での操縦安定性も不十分とな
る。

【０００３】このため、通常使用される夏用タイヤで
は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝によって形成され
るリブの構成比率を大きくして、陸部の打撃音を低減す
ることで走行時のパターンノイズを抑えている。しか
し、陸部を周方向に連続させることにより陸部剛性が高
まり、接地性が悪化するため、これを改善すべく、夏用
タイヤでもタイヤ幅方向又は斜め方向のサイプをリブに
設ける場合がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな夏用タイヤでは、リブをサイプで分断することによ
り、サイプに隣接する陸部が倒れ込み易くなり、接地時
の滑り量が大きくなるため、耐偏摩耗性が悪化すること
が判明した。更に、偏摩耗が生じた摩耗中期以降のタイ
ヤでは、偏摩耗によって走行時のノイズが増大すること
が判明した。また、ドライ路面での走行時の手応え感も
乏しく、操縦安定性も悪化する傾向があった。

【０００５】一方、スタッドレスタイヤでは、主に夏用
タイヤと異なる理由でブロックに複数のサイプが形成さ
れ、サイプの形状を深さ方向で変化させて、サイプの倒
れ込みを抑制した、いわゆる３次元サイプも知られてい
る（特開２００１−１７２２号公報等）。しかし、これ
まで３次元サイプを夏用タイヤのリブに採用した例は知
られていなかった。

【０００６】そこで、本発明の目的は、リブに設けたサ
イプに隣接する陸部の偏摩耗を抑制して、摩耗中期以降
のノイズを低減しつつ、ドライ路面での操縦安定性を高
めることができる空気入りタイヤを提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の如き
本発明により達成できる。即ち、本発明の空気入りタイ
ヤは、複数のサイプを介してタイヤ全周に連続するリブ
を有するトレッドパターンを備えた空気入りタイヤにお
いて、前記サイプは、タイヤ幅方向又は斜め方向の基準
面を有すると共に、その基準面に対して各々逆側に突出
した凹部と凸部を有することを特徴とする。

【０００８】上記において、前記凹部と凸部とが、サイ
プ幅方向及びサイプ深さ方向に何れも交互に配列された
球面状の凹部と凸部であることが好ましい。

【０００９】また、前記リブは、タイヤ周方向に所定間
隔を開けて配置され、片側が閉塞した横溝又は斜め溝を
有し、その横溝又は斜め溝の中間に１本以上の前記サイ
プが配置されていることが好ましい。

【００１０】［作用効果］本発明によると、タイヤ全周
に連続するリブに凹部と凸部を有するサイプを介在させ
ているため、横力や前後力が生じた際に凹部及び凸部に
より隣接する陸部間で係合作用が生じ、これによって両
陸部のズレや倒れ込みを抑制することができる。このた
め、偏摩耗を効果的に防止して、摩耗中期以降のノイズ
を低減することができ、しかもドライ路面での操縦安定
性を高めることができる。

【００１１】前記凹部と凸部とが、サイプ幅方向及びサ
イプ深さ方向に何れも交互に配列された球面状の凹部と
凸部である場合、凹部と凸部が球面状であるため、係合
が比較的均一な面で行われ、また、サイプ形成用のブレ
ードが製造し易くなり、加硫成型後のタイヤの脱型性も
良好になる。また、凹部と凸部とが交互に配列されてい
るため、サイプの各方向から生じる力に対して均一な係
合作用を得て、より偏りなく陸部の摩耗を防止できる。

【００１２】前記リブは、タイヤ周方向に所定間隔を開
けて配置され、片側が閉塞した横溝又は斜め溝を有し、
その横溝又は斜め溝の中間に１本以上の前記サイプが配
置されている場合、横溝又は斜め溝を設けるため、排水
性を増加してウエット路面での操縦安定性を高めること
ができ、また、それらの片側が閉塞しているため、走行
時のノイズを抑制できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。本発明の空気入りタ
イヤは、図１に示すように、複数のサイプ１１，１２を
介してタイヤ全周に連続するリブ１，２を有するトレッ
ドパターンＴを備える。本実施形態では、タイヤ周方向
に連なる周方向溝３，４により区分された４列のリブ
１，２が形成されている例を示す。

【００１４】リブ１には、タイヤ幅方向から傾斜し両側
が開口する複数のサイプ１１が、タイヤ周方向に等間隔
で形成されている。リブ２には、サイプ１１より傾斜角
が小さく片側（タイヤ外側）が閉塞した複数のサイプ１
２が、タイヤ周方向に等間隔で形成されている。本発明
におけるサイプ１１，１２は、少なくとも片側が開口し
たものであればよく、サイプ１１も片側のみが開口した
ものでもよい。また、片側のみが開口するサイプ１１を
設ける場合、開口箇所は交互に開口するものでもよい。
サイプ１１，１２の傾斜角は、タイヤ幅方向に対して０
〜４５°が好ましく、１０〜３０°がより好ましい。

【００１５】本発明におけるサイプ１１，１２は、横溝
等を有しない場合には、タイヤ周方向に５〜５０ｍｍ間
隔（ピッチ）で形成されるのが好ましく、６〜３０ｍｍ
間隔がより好ましい。本発明では、凹部及び凸部による
前述の係合作用によって、従来の夏用タイヤよりサイプ
のピッチを小さくすることができるが、ピッチが小さす
ぎると、耐偏摩耗性が悪化する傾向があり、ピッチが大
きすぎると、接地性が悪化する傾向がある。

【００１６】図２（ａ）は、図１のＣ１−Ｃ２線に沿っ
て、サイプ１１の内壁面を露出させた要部拡大図であ
る。この図２（ａ）では、サイプ１１の内壁面の凹凸が
分かり易いように、−記号と＋記号を付してある。図２
（ｂ）は、図２（ａ）のＤ１−Ｄ２矢視によるリブ１の
断面図である。図２（ｃ）は、図２（ａ）のＤ３−Ｄ４
矢視によるリブ１の断面図である。

【００１７】本発明では、図１〜図２に示すように、サ
イプ１１，１２は、タイヤ幅方向又は斜め方向の基準面
Ｂを有すると共に、その基準面Ｂに対して各々逆側に突
出した凹部１１ａと凸部１１ｂを有する。本実施形態で
は、サイプ幅方向及びサイプ深さ方向に何れも交互に配
列された球面状の凹部１１ａと凸部１１ｂを設けた例を
示す。この例では、隣接する凹部１１ａと凸部１１ｂと
の境界には平面部が存在しないが、平面部が介在しても
よい。

【００１８】図２における凹部１１ａと凸部１１ｂとの
直径φａは１．０〜３．０ｍｍが好ましい。直径φａが
１．０ｍｍ未満であると、係合作用が小さくなり、偏摩
耗を効果的に防止しにくくなる傾向がある。直径φａが
３．０ｍｍを超えると、係合作用が小さくて動き易く、
耐偏摩耗性が悪化する傾向がある。

【００１９】サイプ幅方向の凹部１１ａと凸部１１ｂと
のピッチＰ１、及びサイプ深さ方向のピッチＰ２は、何
れもφａからφａの２倍の大きさが好ましい。φａの２
倍を超えると、係合作用が小さくなり、偏摩耗を効果的
に防止しにくくなる傾向がある。

【００２０】凹部１１ａと凸部１１ｂの突出高さｂは、
１．０〜３．０ｍｍが好ましい。突出高さｂが１．０ｍ
ｍ未満であると、係合作用が小さくなり、偏摩耗を効果
的に防止しにくくなる傾向がある。突出高さｂが３．０
ｍｍを超えると、加硫成型後のタイヤの脱型性が悪化す
る傾向がある。

【００２１】サイプ１１，１２の深さは、３．０〜８．
０ｍｍが好ましく、溝幅は０．２〜１．０ｍｍが好まし
い。また、リブ１，２を区分する周方向溝３，４の深さ
との関係では、サイプ１１，１２の深さは、周方向溝深
さ：サイプ深さ＝１：０．２〜１：０．８が好ましい。

【００２２】本発明の空気入りタイヤは、上記の如きト
レッドパターンＴを備える以外は、通常の空気入りタイ
ヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法な
どが何れも本発明に採用できる。

【００２３】［他の実施形態］以下、本発明の他の実施
の形態について説明する。

【００２４】（１）前述の実施形態では、サイプの凹部
と凸部とが上下・左右に交互に規則正しく形成されてい
る例を示したが、ランダムに配置されたり、配置の規則
性が異なるものでもよい。但し、凹部と凸部とが上下又
は左右に交互に規則正しく形成されているのが好まし
く、その数や形状・大きさによって、凹部と凸部とがあ
る程度バランスされているのが好ましい。図２では２段
×１１列の例を示したが、１段〜４段とすることも可能
であるまた、他の配置としては、第２サイプ部の凹部と
凸部とを左右（横方向）に交互に形成しながら、上下
（深さ方向）には凹部又は凸部の何れかだけとするもの
や、逆に上下にのみ交互に形成するもの、あるいは、正
方形の四隅に配置せずに正三角形などの配置としてもよ
い。図３（ａ）に示すもの（表現方法は図２（ａ）と同
様）は、正方形の四隅に凹部又は凸部の何れかを配置す
ると共に、その中央の位置に他方を配置する例である。

【００２５】（２）前述の実施形態では、凹部と凸部と
の形状が、球面状である例を示したが、より半球状に近
いものや、円錐状に近いもの、三角錐状や四角錐状に近
いものでもよい。四角錐状にした場合の例を図３（ｂ）
に示す（表現方法は図２（ａ）と同様）。

【００２６】また、凹部と凸部との縦横幅、最大深さ
を、それらが設けられる位置によって変化させてもよ
い。例えば溝底に深い位置ほど縦横幅、最大深さを、大
きく又は小さくしてもよい。

【００２７】（３）前述の実施形態では、図１に示すよ
うなトレッドパターンの例を示したが、本発明では、前
述したサイプを介してタイヤ全周に連続するリブを１本
以上有していればよい。特に、タイヤショルダー部にこ
のようなリブを１本づつ有しているのが好ましい。これ
によって、サイプに隣接する陸部の偏摩耗を効果的に抑
制して、摩耗中期以降のノイズを低減しつつ、ドライ路
面での操縦安定性をより高めることができる。

【００２８】（４）また、リブの形状は、直線溝によっ
て区分された直線状のリブに限らず、ジグザグ状のリブ
や、片側が閉塞した横溝又は斜め溝を有するリブであっ
てもよい。横溝を有するリブの例としては、図４に示す
ものが挙げられる。

【００２９】この例では、リブ１，２は、タイヤ周方向
に所定間隔を開けて配置され、片側が閉塞した横溝１
５，１６を有し、その横溝１５，１６の中間に１本以上
のサイプ１１，１２が配置されている。サイプ１１，１
２が１本の場合は、横溝１５，１６の中央に平行に配置
するのが好ましい。また、２本以上形成する場合には、
サイプ同士の間隔と横溝１５，１６との間隔が略等しい
ことが好ましい。

【００３０】本発明において、横溝１５，１６は、タイ
ヤ周方向に２０〜６０ｍｍ間隔（ピッチ）で形成される
のが好まししい。また、横溝１５，１６は、排水性の点
からタイヤの赤道線側が閉塞していることが好ましい。
また、閉塞端と周方向溝との距離（タイヤ幅方向の間
隔）は、３〜１０ｍｍが好ましい。

【００３１】（５）前述の実施形態では、図２に示すよ
うに、サイプの基準面がリブ表面に対して垂直になるよ
うに形成された例を示したが、リブ表面の法線に対して
サイプの基準面が若干（例えば１５°以下）傾斜してい
てもよい。また、サイプの基準面は、平面である必要は
なく、従来の夏用タイヤのサイプと同様に湾曲した曲面
であってもよい。

【００３２】

【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、タイヤの各性能評価
は、次のようにして行った。

【００３３】（１）耐摩耗性能タイヤを実車（国産２０００ｃｃクラスの４ドアＦＦセ
ダン）に装着（使用リム１５×６ＪＪ）し、１名乗車の
荷重条件にて、所定のコースを１２０００ｋｍ走行した
ときの段差摩耗量（サイプに隣接する陸部の段差）を測
定し、指数で評価した。なお、評価は従来品（比較例
１）を１００としたときの指数表示で示し、数値が大き
いほど良好な結果を示す。

【００３４】（２）摩耗後ノイズ性能耐摩耗性能テスト後（１２０００ｋｍ走行後）のタイヤ
を同じ実車に装着し、ドライバー２名による官能評価を
行い結果を指数で評価した。なお、評価は従来品（比較
例１）を１００としたときの指数表示で示し、数値が大
きいほど良好な結果を示す。

【００３５】（３）新品ノイズ性能、ドライ操縦安定性新品（試作後）のタイヤを同じ実車に装着し、ドライバ
ー２名による官能評価を行い結果を指数で評価した。な
お、評価は従来品（比較例１）を１００としたときの指
数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。

【００３６】実施例１図１に示すようなトレッドパターンにおいて、図２のよ
うな形状のサイプを下記のサイズにてリブに形成してサ
イズ１９５／６５Ｒ１５のラジアルタイヤを製造した。
このタイヤを用いて、上記の各性能評価を行った結果を
表１に示す。

【００３７】サイプ深さを７ｍｍ、溝幅を０．６ｍｍ、
ピッチＰ１を２ｍｍ、Ｐ２を２ｍｍ、凹部・凸部の突出
高さｂ１ｍｍ、直径φａ２ｍｍ、形状球面とした。中央
リブ幅３４ｍｍ、ショルダーリブ幅２９ｍｍとした。

【００３８】比較例１（従来品）実施例１において、図５の（ａ１）（ａ２）に示すよう
に、平面サイプとしたこと（従来の平面サイプ）以外
は、実施例１と同様にして、サイズ１９５／６５Ｒ１５
のラジアルタイヤを製造し、上記の各性能評価を行っ
た。その結果を表１に示す。なお、図５（ａ１）はトレ
ッド面を示す図であり、（ａ２）はＡ１−Ａ２に沿って
リブ１のサイプ２０の内壁面を露出させた図である。

【００３９】比較例２実施例１において、図５の（ｂ１）（ｂ２）に示すよう
に、周期２ｍｍ、振幅１ｍｍの波形サイプとしたこと以
外は、実施例１と同様にして、サイズ１９５／６５Ｒ１
５のラジアルタイヤを製造し、上記の各性能評価を行っ
た。その結果を表１に示す。なお、図５（ｂ１）はトレ
ッド面を示す図であり、（ｂ２）はＢ１−Ｂ２に沿って
リブ１のサイプ２１の内壁面を露出させた図（＋と−は
凹凸を示す）である。

【００４０】比較例３実施例１において、図５の（ｃ１）（ｃ２）に示すよう
に、幅３ｍｍ、深さ８ｍｍの横溝でリブを分断してブロ
ックにしたこと以外は、実施例１と同様にして、サイズ
１９５／６５Ｒ１５のラジアルタイヤを製造し、上記の
各性能評価を行った。その結果を表１に示す。なお、図
５（ｃ１）はトレッド面を示す図であり、（ｃ２）はＣ
１−Ｃ２に沿ってブロック２２のサイプ１２の内壁面を
露出させた図である。

【００４１】

【表１】表１の結果が示すように、実施例ではリブの倒れ込み抑
制効果により、耐偏摩耗性、摩耗中期以降のノイズ性
能、ドライ路面での操縦安定性を従来品より大幅に高め
ることができる。これに対して、波形サイプを設けた比
較例２では、何れの改善効果も実施例より劣っていた。
また、ブロックタイプの比較例３では、摩耗後ノイズ性
能、新品ノイズ性能、ドライ操縦安定性が何れも従来品
より劣化した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の空気入りタイヤの一例のトレッド面を
示す平面図

【図２】本発明におけるサイプの一例の要部を示す要部
拡大図

【図３】本発明におけるサイプの他の例の要部を示す要
部拡大図

【図４】本発明の空気入りタイヤの他の例のトレッド面
を示す平面図

【図５】比較例で用いた空気入りタイヤを示す説明図

【符号の説明】

１リブ２リブ１１サイプ１１ａ凹部１１ｂ凸部１２サイプ１２ａ凹部１２ｂ凸部１５斜め溝１６斜め溝ＴトレッドパターンＢ基準面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】複数のサイプを介してタイヤ全周に連続
するリブを有するトレッドパターンを備えた空気入りタ
イヤにおいて、前記サイプは、タイヤ幅方向又は斜め方向の基準面を有
すると共に、その基準面に対して各々逆側に突出した凹
部と凸部を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項２】前記凹部と凸部とが、サイプ幅方向及び
サイプ深さ方向に何れも交互に配列された球面状の凹部
と凸部である請求項１記載の空気入りタイヤ。
【請求項３】前記リブは、タイヤ周方向に所定間隔を
開けて配置され、片側が閉塞した横溝又は斜め溝を有
し、その横溝又は斜め溝の中間に１本以上の前記サイプ
が配置されている請求項１又は２に記載の空気入りタイ
ヤ。