JP2002355235A - 化粧料塗布膜の評価方法およびこれに使用する化粧皮膚用レプリカ剤 - Google Patents

化粧料塗布膜の評価方法およびこれに使用する化粧皮膚用レプリカ剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際に化粧料を塗布した状態の評価を、簡単
に、かつより正確に行うことのできる方法を提供するこ
と。 【解決手段】 化粧料を塗布した皮膚上に、粘着性と柔
軟性を有し、実質的に収縮しない皮膜を形成することの
できるレプリカ剤を塗布し、レプリカ剤が皮膜を形成し
た後、これを皮膚から剥離し、当該皮膜が写し取った皮
膚の形状と当該皮膜に付着した化粧料を観察することを
特徴とする化粧料塗布膜の評価方法およびこれに使用す
る化粧皮膚用レプリカ剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料塗布膜の評
価方法に関し、更に詳細には、メーキャップ化粧料等の
化粧料の皮膚上の状態を観察することができ、塗布した
化粧料についての情報を提供することのできる化粧料塗
布膜の評価方法およびこれに使用する化粧皮膚用レプリ
カ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】化粧料においては、その品質特性を把握
するために、バルク自体に関する物理的性質の評価と、
使用時の官能特性評価や、使用後に形成された化粧料塗
布膜や肌質の状態評価など、様々な観点からの評価が行
われており、これらの評価は化粧料を開発していく上で
極めて重要なことである。
【0003】上記のうち、バルク自体に関する物理的性
質の評価の例としては、化粧水やクリーム、リキッドフ
ァンデーションといった流動性を持つ剤型における、色
調、液性、粘度、粘性の評価項目が挙げられる。また、
ファンデーション、アイシャドー、白粉といった固形剤
型においては、色調、硬度、密度といった評価項目があ
げられる。
【0004】また、化粧料を使用した際の官能特性評価
では、パネラーにより実際の使用感などを評価するケー
スが多く、この評価を客観化するため、その指標特性を
数値化した機器を用いた評価も利用されている。
【0005】ところで、近年、素肌の微細な表面状態を
観察する方法として、粘着テープなどで、角質をストリ
ッピングしたものを観察する方法や、レプリカ剤を用い
て皮膚レプリカを作成し、観察を行う方法が行われてい
る。この方法において使用されるレプリカ剤としては、
ジオルガノポリシロキサンを主成分としたもの(特開昭
55−106139号等)、ポリビニルアルコールを主
成分としたもの(特開平5−317292号等)などが
知られている。
【0006】一方、化粧料を皮膚上に塗布して形成され
た化粧料塗布膜や肌質の状態の評価に関しては、例え
ば、実際皮膚上に塗布した状態を目視やマイクロスコー
プなどによって観察し、評価する方法や、人工的に作成
した皮膚を用いて、その人工皮膚上に化粧料を塗布し、
観察を行う方法等が報告されている(特開平11−16
9390号)。
【0007】しかしながら、ファンデーション等の粉体
を含んだ化粧料を皮膚上に塗布した時の状態観察を試み
た場合、目視やマイクロスコープにより観察する方法で
は、表面状態は観察できるが、断面からの観察は行え
ず、またよりミクロな観察には限界があり、観察中の被
験者への負担が大きくなることがあった。また、人工皮
膚上に化粧料を塗布したものを用いて観察を行う方法で
は、初期状態の塗布膜の観察は可能であっても、例え
ば、発汗等による化粧料塗布膜のくずれ等時間経過後の
状態を観察することはできないなど、実際の人間の皮膚
での状態を正確に再現する点において充分満足できるも
のではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、実際に
化粧料を塗布した状態の評価については、未だ十分にそ
の評価方法が確立したといえない状態であり、本発明
は、簡単に、かつより正確に化粧料塗布後の状態を評価
することのできる方法の提供をその課題とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、化粧料、
特に粉体を含んだ化粧料を皮膚に塗布した後の皮膚や塗
布膜の状態を観察、評価できる方法を確立すべく、検討
を行った結果、従来提供されている皮膚レプリカ剤は、
化粧料を塗布した皮膚の評価には適切でないことがわか
った。そこで、全く新しい観点から、化粧料を塗布した
皮膚の評価に適するレプリカ剤に要求される性質を検討
した結果、特定の性質を有する皮膜を形成することので
きるレプリカ剤を用いれば、実際の皮膚に塗布されたも
のと同じ状態で化粧料塗布膜を写し取ることができ、実
際に化粧料を塗布した状態を種々の面から評価し得るこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、化粧料を塗布した皮膚
上に、粘着性と柔軟性を有し、実質的に収縮しない皮膜
を形成することのできるレプリカ剤を塗布し、レプリカ
剤が皮膜を形成した後、これを皮膚から剥離し、当該皮
膜が写し取った皮膚の形状と当該皮膜に付着した化粧料
を観察することを特徴とする化粧料塗布膜の評価方法を
提供するものである。
【0011】また、本発明は、前記化粧料塗布膜中の粉
体の分散状態を観察することにより、塗布膜の均一性や
深さ方向の情報を評価する方法を提供するものである。
【0012】さらに本発明は、上記方法に使用できる化
粧皮膚用レプリカ剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の化粧料塗布膜の評価方法
は、化粧料を塗布した皮膚上に、粘着性と柔軟性を有
し、実質的に収縮しない皮膜を形成することのできるレ
プリカ剤を塗布し、当該レプリカ剤が皮膜を形成した
後、この皮膜を皮膚から剥離し、転写物すなわち皮膜が
写し取った皮膚の形状と付着した化粧料を観察すること
により行われる。なお、本明細書中において、「レプリ
カ剤」とは、塗布後経時的に皮膜を形成し、皮膚の表面
の形状や化粧料粉体を写し取ることのできる皮膜を形成
する製剤を意味し、また、「皮膜」とは、レプリカ剤を
使用することにより、皮膚上に形成された膜状物を意味
する。更に、「転写物」とは、皮膚上から剥がし取った
後の皮膜を意味し、また、同時に剥がし取られた化粧料
も含まれる。
【0014】この評価方法で使用される皮膜は、粘着性
と柔軟性を有し、実質的に収縮しないものであることが
必要である。すなわち、適度な粘着性があるため、皮膚
上に塗布した化粧料を皮膜上に写し取ることができる。
また、適度な柔軟性があるため、塗布後の皮膚の動きに
も追随することができ、塗布した化粧料をきれいに写し
取ることができる。更に、当該皮膜が実質的に収縮しな
いものであるため、皮膚のしわや毛穴を正確に写し取る
ことが可能となる。
【0015】形成される皮膜に求められる物性は、より
詳しくは次の通りである。 (1)B型粘度計による硬化前(塗布時)の粘度が10
〜15Pa・s(25℃) (2)硬化による皮膜形成後の体積減少率が10%以下 (3)JIS K 6850に準じた方法により測定した
硬化後の皮膜の引っ張り強度が10〜30MPa (なお、(2)および(3)は、観察試料として適する
完全に硬化した状態での値である。)
【0016】上記のような皮膜を形成するために用いら
れるレプリカ剤としては、種々の皮膜形成性物質が利用
されるが、エポキシ系樹脂、水溶性アクリル系樹脂、シ
リコーン系樹脂が挙げられ、その一例としては、エポキ
シ系樹脂の皮膜形成性物質を挙げることができる。
【0017】このエポキシ系樹脂皮膜形成性物質の好ま
しいものとしては、例えば、エポキシ系樹脂と有機アミ
ン誘導体やチオール誘導体の組合せによる皮膜形成物質
を挙げることができる。この皮膜形成物質は、主にエポ
キシ系樹脂を含有する第1剤と、主に有機アミン誘導体
を含有する第2剤を混合することにより得られるもので
ある。上記エポキシ系樹脂のうち、好ましいものの例と
しては、4,4'−イソプロピリデンジフェニルジグリシ
ジルエーテル等が挙げられ、また、有機アミン誘導体の
好ましいものの例としては、N−アミノエチルピペラジ
ン等が挙げられる。
【0018】なお、本発明の方法で用いられるレプリカ
剤は、粉体を含まないことが望ましい。
【0019】本発明の方法による化粧料塗布膜の評価
は、上記のようにして皮膜が写し取った皮膚の形状と当
該皮膜に付着した化粧料を観察することにより行われる
が、この観察手段としては、電子顕微鏡により転写物を
観察することが好ましい。この方法によれば粉体個々の
存在を把握でき、塗布膜の均一性の評価が可能であり、
また、転写物を包埋樹脂で包埋処理し、切片を作製する
ことで、塗布膜の断面を観察することも可能となり、こ
れにより深さ方向の情報を得ることができる。なお、
「化粧料塗布膜の均一性」とは、表面からの各粉体の分
散状態や存在状態をみることであり、「深さ方向の情
報」とは、化粧料塗布膜の厚さの度合い、皮膚の起伏と
化粧料粉体の存在位置の関係や各粉体の分散状態や存在
状態をみることを示す。
【0020】また、電子顕微鏡で塗布膜を観察する場合
において、電子顕微鏡の加速電圧を変化させて観察すれ
ば、加速電圧を大きくするにつれて、化粧料塗布膜の表
面から深い位置までの情報が得られる。つまり、転写物
を低い加速電圧で観察すると、試料の表面部分すなわ
ち、肌に一番近い位置の化粧膜の情報が観察できる。加
速電圧を上げていくと、肌に一番近い位置から遠い位置
までの情報、すなわち、化粧膜すべての状態を観察する
ことができる。また、加速電圧を変化させて観察する
と、塗布膜の表面から内部への深さ方向の情報を得るこ
とができる。
【0021】より具体的に、本発明による化粧料塗布膜
の評価方法を示せば次の通りである。 まず、皮膚上に評価すべき化粧料を塗布する。この
とき、比較するものがある場合には、塗布膜は同一条件
で作製することが望ましいため、例えばマットやチップ
などの小道具や塗布回数は同じにすべきである。 化粧料塗布膜の上からレプリカ剤を塗布する。レプ
リカ剤で覆う面積は2cm程度が望ましい。小さすぎ
ると剥がす時に力の影響を受けてしまい、大きいと硬化
するまでに長時間を要することになる。この時、皮膜の
厚みは1〜5mm程度が好ましい。これ以上の皮膜の厚
みでは、硬化時間が長くなり、また、これ以下であると
肌から剥がす際の力が影響を及ぼす。また、覆う際に塗
布膜の状態が変化してしまうような力は加えないよう注
意する必要がある。 30分ほどして、皮膜がおおよそ硬化したら、端を
少し剥がし、さらに、肌から垂直方向に横からの力が加
わらないように皮膜を剥がし、転写物を得る。 この転写物は完全に硬化するまで静置しておき、そ
の後、適当な大きさに切り、観察に用いる。
【0022】
【作用】従来より使用されている、ジオルガノポリシロ
キサンを主成分としたレプリカ組成物は、粉体の転写が
不十分な場合があり、また、レプリカ組成物中に粉体を
含んでいる場合は、皮膚上に存在する粉体の観察を正確
に行うことはできないことがあった。
【0023】また、ポリビニルアルコールを主成分とし
たレプリカ組成物では、皮膚上での粉体の挙動を高倍率
で観察するために、電子顕微鏡下での観察を行おうとす
ると、該レプリカ組成物中には水分が含まれるため、電
子線によるダメージや、試料作製時の熱による影響など
を受け、良好な観察結果が得られない場合があった。
【0024】更に、皮膚の角質を観察するときに用いら
れる粘着テープなどを用いて、塗布膜をストリッピング
する方法に応用し、粉体の状態を観察する場合、従来の
粘着テープでは粉体を平面でとらえるため、皮膚の立体
的な形状を反映した塗布膜の様子を細部まで観察するこ
とはできない場合があった。
【0025】これに対し、本発明で用いるレプリカ剤
は、硬化メカニズムが、熱、溶剤揮発による硬化ではな
く、更に適当な粘着性と柔軟性および強度を有するた
め、化粧料塗布部の状態を正確に観察することが可能と
なったものである。すなわち、接着性を有するため、肌
上の化粧料塗布膜中の粉体を正確に転写することができ
るとともに、硬化メカニズムが熱や溶剤の揮発によるも
のではないため、樹脂の収縮が殆どなく、また、適度な
柔軟性および強度により皮膚の状態を正確に転写するこ
とができるのである。また、粉体を含まないレプリカ剤
を用いることにより、皮膚に塗布された粉体の状態の観
察を正確に行うことが可能となる。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるもので
はない。
【0027】実 施 例 1 化粧料塗布膜の観察及び評価:次の組成のパウダーファ
ンデーション、白粉およびアイシャドーについて、後記
のレプリカ剤および評価方法によりその塗布膜を観察、
評価した。
【0028】( 被検化粧料 ) (1)パウダーファンデーション/組成(質量%):微
粒子酸化チタン(5)、酸化チタン(10)、酸化亜鉛
(5)、マイカ(37)、タルク(15)、有機粉体
(ナイロン末)(5)、シリカ(5)、酸化鉄(3)、
流動パラフィン(3)、ワセリン(1)、ジメチルポリ
シロキサン(3)、スクワラン(3)、パラメトキシケ
イ皮酸2−エチルヘキシル(5) (2)白粉/組成(質量%):酸化チタン(2)、タル
ク(50)、マイカ(37)、有機粉体(ポリメタクリ
ル酸メチル重合体)(5)、流動パラフィン(3)、ジ
メチルポリシロキサン(2)、ワセリン(1) (3)アイシャドー/組成(質量%):マイカ(3
0)、有機粉体(ナイロン末)(10)、雲母チタン
(30)、タルク(20)、ワセリン(2)、流動パラ
フィン(6)、ジメチルポリシロキサン(2)
【0029】( レプリカ剤 ) 第1剤 ; 4,4'−イソプロピリデンジフェニルジグリ
シジルエーテル 第2剤 ; 30%以下のN−アミノエチルピペラジンを
含有するノニルフェノール 第1剤と第2剤の配合比;1:1
【0030】なお、上記レプリカ剤により形成される皮
膜の物性は次の通りである。 (I)塗布時の粘度: 約12Pa・s(25℃) (II)硬化前と硬化後での体積減少率: 約3% (III)硬化後の皮膜の引っ張り強度: 約20MPa
【0031】( 評価方法 )各被検化粧料を市販のマッ
トに5回こすりとり、人の腕部に5回なぞり、化粧料塗
布膜を形成した。次に、その上から上記レプリカ剤を、
できるだけ化粧料塗布膜に影響を及ぼさないように塗布
した。30分ほど静置し、レプリカ剤が硬化し、皮膜形
成した後、端の部分を少し剥がし、その後できるだけ塗
布面に垂直な力で皮膜を剥がし、転写物を得た。
【0032】この転写物(剥がした後の皮膜)は、その
後3時間程度硬化が完全に完了するまで放置し、硬化
後、およそ5mm四方に切り、本評価における観察試料
とした。この観察試料は走査型電子顕微鏡(JSM−6
301F:日本電子(株)製、加速電圧15kV)を用
いて観察を行い、得られる反射電子像からの情報を粉体
の情報として観察した。
【0033】( 観察結果 ) (1) パウダーファンデーション 皮溝や毛穴の部分にコントラストの強い部分が集中して
存在し、形状から、配合されている微粒子酸化チタンが
皮溝や毛穴の部分に多く存在していることが観察され
た。また、皮丘部分には、配合されているタルクやマイ
カが均一に分散している状態が観察された。 (2)白粉 配合されているタルクやマイカが皮丘部分に均一に分散
している状態が観察された。 (3)パウダーアイシャドウ 配合されている雲母チタンやマイカなどの板状粉体が皮
丘部分に存在している状態が観察された。
【0034】以上の結果から、本発明の方法によって形
成された皮膜は、化粧料塗布膜中の粉体の存在状態を正
確に転写していることが示されており、よって、本発明
の方法は、目視やマイクロスコープによる観察等の従来
法に比べ、化粧料塗布膜についてより有効な評価方法で
あることが確認できた。
【0035】更に、(1)のパウダーファンデーション
に関し、化粧料塗布膜形成後3時間通常の生活をしても
らい、実施例1と同様な方法で転写物を得て、実施例1
と同様な方法で観察を行ったところ、皮丘部分に存在し
ていたタルクやマイカが減少し、皮溝部分近辺に粉体が
集まっていることが観察された。これより、経時での化
粧料塗布膜の変化を確認することができた。
【0036】実 施 例 2 化粧料塗布膜の残存状態の確認:実施例1で用いたもの
と同組成のパウダーファンデーションを皮膚上に塗布し
た後、市販のクレンジング料または洗顔料で洗浄した。
それぞれの場合について、洗浄後の化粧料塗布膜の残存
状況を、実施例1のレプリカ剤及び評価方法を用いて観
察し、比較・評価した。
【0037】この結果、クレンジング料を用いて洗浄し
た場合は粉体は観察されなかったのに対し、洗顔料で洗
浄した場合は粉体が皮溝に残っている状態が観察され
た。従って、本発明の方法はメイクアップ除去料等の除
去剤の評価に関しても有効であることが確認できた。
【0038】実 施 例 3 化粧料塗布膜の均一性の評価:実施例1で用いたものと
同組成のパウダーファンデーションにおいて、製造方法
を、(a)組成粉体をよく混合して製造したものと、
(b)粉体を簡易に混合して製造したものとの2品を調
製した。このパウダーファンデーション2品を皮膚上に
塗布して化粧料塗布膜を形成した後、実施例1と同様の
レプリカ剤及び評価方法を用いて転写物を走査型電子顕
微鏡(JSM−6700F:日本電子(株)製、加速電
圧:10kV、観察像:反射電子像)にて観察を行い、
比較・評価した。観察した顕微鏡写真を図1((a)に
対応)及び図2((b)に対応)にそれぞれ示す。
【0039】図1及び図2の結果から分かるように、
(a)では、コントラストの強い部分が一様に存在して
いることより、粉体が皮丘部分に均一に分散している状
態が確認された。一方、(b)では、コントラストの強
い部分が数箇所存在していることより、粉体が凝集して
存在し、不均一な化粧膜を形成していることが判った。
このように、製造方法の異なる2品において、肌上での
粉体の分散状態には差が認められ、よって、本発明の方
法は化粧料塗布膜の均一性の評価に関して有効であるこ
とが確認できた。
【0040】さらに、元素分析装置(EDX:日本電子
(株)製)を用いて、転写物の酸化チタン由来のチタン
元素について、元素マッピングを行った。その結果、
(a)では、一様な強度分布を示しているのに対し、
(b)では強度分布の差が大きく、チタン元素がばらつ
いて分布していることが確認できた。このように2品の
粉体の分布状態には差が認められ、この結果からも本発
明の方法が化粧料塗布膜の均一性の評価に関して有効で
あることが確認できた。
【0041】また、本実施例と同様の方法を用いること
により、化粧料塗布方法、例えば、指、マット、ブラシ
等を用いた時による相違、剤型による相違、日焼け止め
効果等の評価が可能であることが予想される。
【0042】実 施 例 4 化粧料塗布膜の深さ方向の情報の評価:実施例3で調製
したパウダーファンデーション(a)を、皮膚上に塗布
して化粧料塗布膜を形成させた後、実施例1と同様のレ
プリカ剤及び評価方法を用いて観察試料を作成し、以下
の観察条件で観察した。ただし、化粧料塗布膜の直接表
面からの観察は、5、10及び15kVの3種類の加速
電圧を用いて行った。また、化粧料塗布膜の断面を観察
する際には、実施例1と同様に、転写物を包埋樹脂で包
埋処理して切片を作成し、断面を観察した。直接表面か
ら観察した顕微鏡写真を図3〜図5に示す。
【0043】図3〜図5の結果より、図3の加速電圧5
kVの時では、粉体の情報が中心部分のみに観察されて
いるが、図4の加速電圧10kV、図5の加速電圧15
kVにした時では、粉体が観察されている領域が拡大
し、肌表面から化粧膜の形成している状態を観察するこ
とができた。
【0044】一方、断面方向の観察結果からは、皮膜を
断面図として観察することができ、皮膜の厚さの度合が
皮丘部分では、板状粉体が薄い膜を形成しているのに対
し、皮溝部分では、微粒子の酸化チタンが集中して存在
し、溝を埋めるように存在している様子が観察された。
化粧膜の厚さの度合も皮丘部分と皮溝部分ではで異なる
ことが判った。
【0045】以上の結果から、本発明の方法が、化粧料
塗布膜の深さ方向の情報の評価に有効であることが確認
できた。
【0046】
【発明の効果】本発明の評価方法によれば、皮膚上に塗
布した化粧料の塗布膜の状態をレプリカ剤の皮膜に正確
に転写することができ、この転写物により肌上での化粧
料塗布膜の状態を、平面的あるいは断面として、例えば
化粧料中の各粉体の分布や挙動を評価することができ
る。またそれだけでなく、化粧料をクレンジング料等で
除去した後の皮膚の状態を転写し、その残査の有無を観
察することにより、除去剤の評価をすることが可能とな
る。さらに、化粧料塗布膜の均一性や、皮膚表面からの
化粧料塗布膜の厚さの度合及び該塗布膜の表面から内部
への深さ方向の状態観察などの評価を行うことも可能と
するものである。
【0047】また、本発明の評価方法を用いることで、
化粧料塗布方法による相違、剤型による相違、経時での
化粧料塗布膜の変化、日焼け止め効果等の評価、いわゆ
るSPF値(Sun Protection Factor)の類推等も可能
となる。
【0048】従って、本発明の評価方法は化粧料塗布膜
の評価方法として、新しい化粧料や化粧料除去剤の開
発、評価等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3におけるファンデーション(a)に
対する観察試料の、直接表面から観察した電子顕微鏡写
真(上段:反射電子像、下段:チタン元素のマッピング
像)である。
【図2】 実施例3におけるファンデーション(b)に
対する観察試料の、直接正面から観察した電子顕微鏡写
真(上段:反射電子像、下段:チタン元素のマッピング
像)である。
【図3】 実施例4における観察試料の、直接表面から
観察した電子顕微鏡写真(加速電圧:5kV)である。
【図4】 実施例4における観察試料の、直接表面から
観察した電子顕微鏡写真(加速電圧:10kV)であ
る。
【図5】 実施例4における観察試料の、直接表面から
観察した電子顕微鏡写真(加速電圧:15kV)であ
る。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀山 浩一 東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセ ー研究本部内 Fターム(参考) 4C038 VA04 VB22 VC20 4J036 AD08 DC38 JA15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化粧料を塗布した皮膚上に、粘着性と柔
    軟性を有し、実質的に収縮しない皮膜を形成することの
    できるレプリカ剤を塗布し、レプリカ剤が皮膜を形成し
    た後、これを皮膚から剥離し、当該皮膜が写し取った皮
    膚の形状と当該皮膜に付着した化粧料を観察することを
    特徴とする化粧料塗布膜の評価方法。
  2. 【請求項2】 レプリカ剤として、皮膚親和性と粉体に
    対する吸着力を持つものを使用する請求項第1項記載の
    化粧料塗布膜の評価方法。
  3. 【請求項3】 レプリカ剤により形成される皮膜が、次
    の物性を有するものである請求項第1項または第2項記
    載の化粧料塗布膜の評価方法。 (1)B型粘度計による硬化前(塗布時)の粘度が10
    〜15Pa・s(25℃) (2)硬化による皮膜形成後の体積減少率が10%以下 (3)JIS K 6850に準じた方法により測定した
    硬化後の皮膜の引っ張り強度が、10〜30MPa
  4. 【請求項4】 レプリカ剤として、エポキシ系樹脂と有
    機アミン誘導体の組合せを利用する請求項第1項ないし
    第3項の何れかの項記載の化粧料塗布膜の評価方法。
  5. 【請求項5】 化粧料塗布膜の均一性を評価するもので
    ある請求項第1項ないし第4項のいずれかの項記載の化
    粧料塗布膜の評価方法。
  6. 【請求項6】 化粧料塗布膜の深さ方向の情報を評価す
    るものである請求項第1項ないし第5項のいずれかの項
    記載の化粧料塗布膜の評価方法。
  7. 【請求項7】 電子顕微鏡を用いて行われるものである
    請求項第1項ないし第6項のいずれかの項記載の化粧料
    塗布膜の評価方法。
  8. 【請求項8】 エポキシ系樹脂を含有する第1剤および
    有機アミン誘導体を含有する第2剤よりなり、いずれに
    も粉体を含まない化粧皮膚用レプリカ剤。
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