JP2002354737A - 回転電機、及びそれを用いた密閉型圧縮機 - Google Patents

回転電機、及びそれを用いた密閉型圧縮機

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修 風間
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庸賀 田島
Koji Masumoto
浩二 増本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁部材の取扱が容易で、スロット面積の狭
小化を招くことのない高品質な回転電機、及びそれを電
動機に用いた密閉型圧縮機を提供する。 【解決手段】 本発明の回転電機は、絶縁部材12とし
て、少なくともティース部2の積層方向一端面2a及び
この一端面2aから連なる両側のスロット壁面部10a
全長に跨って該ティース部を覆うように形成されたティ
ース部断面略コ字状の第1の絶縁成形体13と、上記テ
ィース部2の積層方向他端面2bを覆うように配設さ
れ、端部が上記第1の絶縁成形体13のコ字状の開口部
13aに係合するティース部断面略I字状の第2の絶縁
成形体14とを用いて構成するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば空調機や冷
凍機を用途とする圧縮機駆動用の電動機などとして好ま
しく用いられる回転電機、及びそれを電動機として用い
た密閉型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13は例えば特開平11−41849
号公報などに示された従来の回転電機としての電動機を
示す部分断面側面図、図14は上記従来の電動機の固定
子鉄心のティース部に用いられている絶縁部材を示す側
断面図である。図において、1はリング状の固定子を構
成する鉄心、2はティース部で、鉄心1に円周方向に等
間隔で、かつ放射状に内側に複数突出するように形成さ
れている。3は絶縁部材であるインシュレータ、4は巻
線であり、該巻線4は各ティース部2にインシュレータ
3を装着固定した後、それぞれ巻回されている。5は回
転軸、6はこの回転軸5を回転自在に支承する軸受、7
は回転軸5に固着され、回転軸5と一体的に回転する回
転子である。
【0003】次に、上記インシュレータ3の構造につい
て説明する。図14において、31は負荷側インシュレ
ータ3aの薄肉凸部、32は反負荷側インシュレータ3
bの薄肉凹部である。このように構成されたインシュレ
ータ3を、薄肉凹部32に薄肉凸部31を嵌め込むこと
で図13に示すように鉄心1のティース部2に固定して
いる。33はインシュレータ3の筒状体部で、ここに巻
線4が巻装される。鉄心1は電磁鋼鈑を積層した構造で
あり、積層厚みがばらついていてもインシュレータ3の
薄肉凸部31と薄肉凹部32との重複幅で調整され、巻
線4が鉄心1のティース部2と接触しないようになって
いる。
【0004】図15は例えば実開平3−45049号公
報に示された従来の電動機固定子の他の絶縁構造例を示
す構成図である。図において、8は断面が鉄心1のティ
ース部2の間隙であるスロット10に挿入されるインシ
ュレータスロットであり、ポリサレフォンなどの絶縁材
料を用い、押し出し成形により造られている。9はつば
付きインシュレータで、ポリフェニレンサルファイド
(PPS)などが用いられ、外周の形状は鉄心1の外周
と同一形状になっている。つば付きインシュレータ9の
一面側には外周に沿ってつば91が形成されているた
め、前記インシュレータスロット8を嵌合した上でつば
91によって鉄心1端面につば付きインシュレータ9を
固定することができるため、作業性が良い。なお、92
は図示しない巻線の渡り線を係止するためのかえしであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転電機である
電動機は以上のように構成されており、特開平11−4
1849号公報に示された従来の電動機では、絶縁部材
であるインシュレータ3に機械強度の弱い薄肉凸部31
と薄肉凹部32が存在するために、インシュレータ3の
輸送時に薄肉凸部31や薄肉凹部32が割れてしまった
り、凸部と凹部を嵌めこむ時に干渉して割れてしまい、
絶縁耐力の低下といった品質低下を生じることとなるの
で、品質維持のための余分なチェックを必要とするとい
う問題があった。また、薄肉部の強度確保のために肉厚
を増やすと、薄肉部の重合部はさらに厚くなって、スロ
ットの面積が小さくなり、巻線できる線径が小さくなっ
て効率向上の妨げになってしまうという問題があった。
【0006】また、実開平3−45049号公報に示さ
れた従来の電動機では、つば付きインシュレータ9の外
周形状は鉄心1の外周と同一形状であるが、片面には外
周とスロット10に沿ってつば91が形成されていて、
つば91によって鉄心1の端面に固定しているために、
スロット面積が小さくなるという問題があった。
【0007】この発明は上記のような従来技術の問題点
を解消するためになされたもので、絶縁部材の取扱が容
易で、スロット面積の狭小化を招くことのない高品質な
回転電機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る回転電機
は、絶縁部材として、少なくともティース部の積層方向
一端面、及びこの一端面から連なる両側のスロット壁面
部全長に跨って該ティース部を覆うように形成されたテ
ィース部断面略コ字状の第1の絶縁成形体と、上記ティ
ース部の積層方向他端面を覆うように配設され、端部が
上記第1の絶縁成形体のコ字状の開口部に係合するティ
ース部断面略I字状の第2の絶縁成形体とを用いて構成
するようにしたものである。
【0009】また、第1の絶縁成形体は、断面略コ字状
の開口部における開口寸法が開口底部における間隔より
も広く形成されてなる成形型により成形されたものであ
ることを特徴とするものである。
【0010】また、第1の絶縁成形体は、断面略コ字状
のスロット壁面部を覆う部分の絶縁厚さが開口部から開
口底部に向けて厚くなるようにテーパ状に形成されてな
ることを特徴とするものである。
【0011】さらに、鉄心のティース部は、スロット壁
面部の少なくとも一方に凹部を有してなり、絶縁部材
は、少なくとも上記ティース部の積層方向一端面及びこ
の一端面から連なる上記スロット壁面部の凹部に跨るよ
うに形成され、上記凹部側の端部に、該凹部に進入して
係止される断面略クランク状に屈曲形成された係合部及
びこの係合部から上記凹部内をティース部の積層方向他
端面方向に延在し、スロットに面して形成された重合部
を有する第1の絶縁成形体と、上記ティース部の積層方
向他端面側に配設され、該他端面とこの他端面から連な
る上記スロット壁面部の凹部に跨るように形成され、こ
の凹部側の端部が上記第1の絶縁成形体の重合部に重合
する第2の絶縁成形体とからなるものである。
【0012】また、ティース部断面積に対する凹部断面
積を20%以下としたものである。
【0013】また、第1の絶縁成形体、及び第2の絶縁
成形体の何れか一方に巻線を係止し得る係止部を備えた
ことを特徴とするものである。
【0014】さらにまた、絶縁部材として、スロット底
部及び隣接するティース部の各スロット壁面部を覆うと
共に、積層方向の一端部側にティース部の積層方向一端
面に係合し得るかえし部を有し、積層方向の他端部側に
係合部を有する薄葉材からなる第1の絶縁成形体と、テ
ィース部の積層方向他端面を絶縁すると共に、上記第1
の絶縁成形体の係合部と係合する第2の絶縁成形体とを
用いて構成するようにしたものである。
【0015】また、第2の絶縁成形体は巻線を係止し得
る係止部を備えているものである。
【0016】さらにこの発明の密閉型圧縮機は、上記何
れかに記載の回転電機を電動機として圧縮機の駆動用に
搭載したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1ないし図4は
本発明の実施の形態1になる回転電機としての電動機の
要部を示すもので、図1は固定子鉄心のティース部の絶
縁構成を模式的に示す断面端面図、図2は図1に示す第
1の絶縁成形体の構造を示す図であり、図2(a)は平
面図、図2(b)は正面図、図2(c)は左側面図、図
2(d)は右側面図、図2(e)は背面図である。図3
は固定子鉄心の形状と巻線後の状態を示す平面図、図4
は巻線後の固定子を示す側面図である。なお、図1は図
3に示す固定子鉄心のティース部2に絶縁部材12を装
着後のI−I矢視断面端面図に相当し、また、図1の絶
縁成形体13は図2(a)、図2(c)のI−I矢視断
面端面図に相当している。また、図5はこの実施例の電
動機を冷凍サイクルの駆動源として用いた場合の例とし
ての密閉型回転式圧縮機を示す要部断面図である。
【0018】図において、2は固定子を構成する鉄心1
のティース部であり、鉄心1に円周方向に等間隔で、か
つ放射状に内側に複数突出して形成され、薄い電磁鋼板
からなる鉄板を積層して作られている。11は固定子で
あり、複数のティース部2とティース部2、2相互の間
隙であるスロット10を有する鉄心1と、ティース部2
に絶縁部材12を介して巻装された巻線4と、電源供給
線であるリード線4aによって構成されている。なお、
2aはティース部2の積層方向の一端面であり、図3に
おける表面側に形成され、2bはティース部2の積層方
向の他端面であり、図3の背面側に形成されている。1
0aはティース部2によって形成されているスロット壁
面部、10bはスロット底部である。
【0019】12は絶縁部材であり、ティース部2の積
層方向の一端面2a、及びこの一端面2aから連なる両
側のスロット壁面部10a、10a全長に跨って該ティ
ース部2を覆うように形成されたティース部断面略コ字
状の第1の絶縁成形体13と、上記ティース部2の積層
方向他端面2bを覆うように配設され、端部が上記第1
の絶縁成形体13の開口部13aに係合するティース部
断面略I字状の第2の絶縁成形体14とからなってい
る。第1の絶縁成形体13はティース部2の積層方向の
一端面2a側から装着されてティース部2の一端面2a
と両側面のスロット壁面部10a全長を絶縁する。第2
の絶縁成形体14は図1の下側から装着され、係合部1
4aを第1の絶縁成形体13の開口部13aに嵌合させ
ることにより、ティース部2の他端面2bを覆い、第1
の絶縁成形体13と協働してティース部2の周囲全体を
電気的に絶縁する。なお、図2中に示す13tは鉄心1
のティース部2が挿入される部分である。
【0020】図2〜図4に示される130は第1の絶縁
成形体13と一体的に成形された係止部であり、この係
止部130には、渡り線4bを周方向に這わせるための
平行に設けられた複数の周方向溝130a、巻線の端部
を巻き付けることにより巻装した巻線が緩むことを防止
する鍵状突起部130b、リード線4a固定用の貫通穴
130c、突起部130d、貫通穴130cに通じる溝
部130e、渡り線4bを任意の周方向溝130aに導
くための軸方向溝130fなどが形設されている。な
お、渡り線4bは巻線4と電気的な接続点(図示省略)
までの間の引回し線であり、間隔を空けて平行に設けら
れた周方向溝130aに沿って独立に這わせることがで
きるために、渡り線4bが複数隣接したときに相互の絶
縁距離を確保できる。また、貫通穴130c及び溝部1
30eは、巻線端部と電気的に接続されたリード線4a
を固定するための固定手段としての糸15を通すために
用いられる。
【0021】上記係止部130はスロット底部10bよ
りも外径側に設けられているが、それぞれの最外周は図
3及び図4に示すように鉄心1の外径よりも小さくなる
ように形成されている。また、第2の絶縁成形体14に
も必要により係止部140が一体的に設けられ、巻線時
に一時的に巻線端部を保持し得る鍵状突起部140b、
複数の巻線端部をカシメた金属端子を挿入して電気的な
接続部をなし得る軸方向溝140fなどが形成されてい
る。上記ティース部断面略コ字状の第1の絶縁成形体1
3、ティース部断面略I字状の第2の絶縁成形体14
は、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PB
T(ポリブチレンテレフタレート)、LCP(リキッド
クリスタラインポリマー:液晶ポリマー)等の絶縁樹脂
の成形品が好ましく用いられるが、もとよりこれら絶縁
材料のみに限定されるものではない。また、図5におい
て、17はシェル16の中に固定された電動機であり、
上記のように構成された固定子11、回転子7、及びこ
の回転子7を一体的に固着している回転軸5からなって
いる。18は冷媒ガスを圧縮する圧縮要素部であり、回
転軸5によって駆動される。なお、その他の符号につい
ては各図を通じて、同一、もしくは相当部分に同一符号
を付しているので説明を省略する。
【0022】この実施の形態1による電動機は上記のよ
うに構成され、組立時、巻線を始める前に、ティース部
2に断面コ字状の第1の絶縁成形体13を装着し、コ字
状の開口部13aに断面I字状の第2の絶縁成形体14
が装着される。第1の絶縁成形体13及び第2の絶縁成
形体14には薄肉部が存在しないので、輸送、組立、そ
の他ハンドリング時に割れや欠けが生じることがなく、
ティース部2への取り付けも容易である。このようにし
てティース部2を電気的に絶縁した後、巻線4が順次巻
装される。巻装後の巻線端部は鍵状突起部130bに一
時的に巻き付けることで次行程まで巻線4が緩まないよ
うに保持できる。巻線の端部は渡り線4bとして周方向
溝130aを這わせ、別のティース部に巻装された巻線
の端部と電気的に接続されて中性点(図示省略)となっ
たり、リード線4aと電気的に接続される。
【0023】また、周方向溝130aは周方向に平行に
複数設けているため、巻線端部をそれぞれ独立して中性
点やリード線接続部へ誘導することが可能である。この
時に、渡り線4bを固定するための手段を別途必要とし
ないので安価で、結線の作業性がよく、結線作業の自動
化も可能である。また、リード線4aは貫通穴130c
を通した固定手段としての糸15によって固定される。
さらに周方向溝130a、鍵状突起部130b、貫通穴
130c等を有する係止部130の最外周は鉄心1の外
周よりも小さくなるように形成されているので、例えば
図5のような空調機用圧縮機のように固定子11を筒状
のシェル16内に焼嵌め固定することができる。
【0024】なお、この例においては、第1の絶縁成形
体13の開口部13aの間隔は装着作業性が失われない
範囲でティース部2の寸法より狭くすることで、装着後
も容易に外れることがないため、工作性をよくすること
もできる。
【0025】なお、上記実施の形態1では周方向溝13
0a、鍵状突起部130b、貫通穴130c等を有する
係止部130を第1の絶縁成形体13に一体的に設けた
場合について説明したが、該係止部130は第2の絶縁
成形体14の方に設けても同様の効果が得られる。
【0026】実施の形態2.図6はこの発明の実施の形
態2になる回転電機のティース部における絶縁部材を模
式的に示す断面端面図である。図において、13は上記
実施の形態1と同様のティース部断面略コ字状の第1の
絶縁成形体であるが、開口部13aの位置がティース部
2の他端面2bの位置と略同一の位置となるように形成
されている。そして、第2の絶縁成形体14の第1の絶
縁成形体13に対する係合部14aは、実施の形態1で
は鍵状に形成されているのに対し、直線状に形成されて
いる。上記第1の絶縁成形体13と第2の絶縁成形体1
4の突き合わせ面や係合部分の角部13c、14bは、
図示しない巻線の傷つき防止のために段差をなくすこと
は当然であるが、さらにはそれぞれ曲面に形成されてい
る。その他の構成は上記実施の形態1の例と同様であ
る。
【0027】上記のように、実施の形態2によれば、テ
ィース部断面略コ字状の第1の絶縁成形体13の各角部
13cと、ティース部断面略I字状の第2の絶縁成形体
14の各角部14bを曲面にすることで、突き合わせ箇
所や嵌合箇所がなだらかに繋がり、寸法がばらついて多
少の段差ができてしまっても巻線が傷つきにくくなると
いう利点が得られる。また、上記のように第1の絶縁成
形体13と第2の絶縁成形体14を突き合わせるように
した場合においても、実施の形態1と同様、割れや欠け
による絶縁耐力の低下や品質低下のない回転電機を提供
できる効果がある。
【0028】なお、図6に示す例では第2の絶縁成形体
14の幅をティース部2の幅よりも第1の絶縁成形体1
3の厚さの約2倍に相当する分だけ長く形成したが、こ
れに限定されず、例えば第2の絶縁成形体14の幅をテ
ィース部2の幅と略等しく形成し、コ字状の第1の絶縁
成形体13のティース部積層方向の長さを第2の絶縁成
形体14の厚さ分だけ長く形成し、係合部14aがスロ
ット壁面部、即ちティース部側面の延長線上に形成され
るようにしても差し支えない。
【0029】実施の形態3.図7はこの発明の実施の形
態3になる回転電機に用いるティース部断面略コ字状の
第1の絶縁成形体とその成形方法を説明するもので、図
7(a)はコ字状の開口端部に向う部分、即ちスロット
壁面部に当接する部分の断面形状をテーパ状にした第1
の絶縁成形体の成形寸法を模式的に説明する断面端面
図、図7(b)は開口部の幅を単純に広げて成形すると
仮定した場合の問題を説明する要部断面図、図7(c)
は図7(a)の絶縁成形体を成形する場合の成形型を示
す要部断面図である。図において、13はスロット壁面
部に当接する部分の断面形状をテーパ状にしたティース
部断面略コ字状の第1の絶縁成形体、20は上型、21
は下型である。
【0030】この実施の形態3においては、第1の絶縁
成形体13のスロット壁面部に当接する部分の厚さを、
開口底部13b付近でt1、開口部13a付近でt2と
したときに、t1>t2、の関係が成立し、かつ開口方
向のテーパ角度αが、α>0、となる寸法に下型21が
形成されている。また、下型21は、第1の絶縁成形体
13の開口底部13bにおける間隔をL1、開口部13
aの間隔をL2としたときに、L1<L2となるような
寸法に形成されている。
【0031】通常、成型品は上型20と下型21との間
隙に樹脂を流し込んで成形されるが、例えばPPS、P
BT、LCP等の絶縁樹脂を用いた断面略コ字状の第1
の絶縁成形体13のような形状の成型品は、開放されて
いる開口部13aの間隔である幅L2が型の設計値に対
して狭くなる傾向がある。このために開口部13aの幅
L2をティース部と同じ幅で設計した場合、成形品の開
口部13aの幅L2がティース部2の幅よりもかなり狭
くなってしまうことがあり、コ字状絶縁成形体13のテ
ィース部2への装着作業性が悪くなる場合がある。
【0032】これを未然に防ぐために、開口部13aの
幅L2は、成形後にティース部2の幅に相当するL1と
等しくなるか、装着作業性に支承のない範囲でL1より
若干小さくなるように縮小を見込んだ値に予め広くする
必要があるが、図7(b)のように開口部の幅をティー
ス部の幅よりも単純に大きくすると、上型20を外した
後、コ字状の絶縁成形体13を上から取り出そうとした
時に、下型21に引っかかって抜けなくなってしまう。
しかし、上記図7(a)のように断面形状をテーパ状と
することで、図7(c)のように開口部13aをティー
ス部2の幅より大きく取った場合でも型21の上下抜き
方向に対してコ字状の外側を平行にすることができ、下
型21から抜きやすくティース部2への装着作業性の良
い絶縁部材が得られる。
【0033】上記のように、実施の形態3によれば、断
面略コ字状である第1の絶縁成形体のスロット壁面部を
絶縁する部分の断面形状を、開口底部13bから開口部
13aに向けて細くなるようにテーパ状にし、開口部1
3aの幅L2を開口底部13bにおける幅L1よりも予
め広くした成形型を用いて成形したことにより、成形性
の向上が図られ、成形後の開口部13aの幅がティース
部2の幅と同一か、若干狭い所望の幅の装着作業性に優
れた絶縁成形体を得ることができる。この他、実施の形
態1と同様、絶縁部材の輸送や取扱による割れや欠けの
心配がなく、これら絶縁成形体の厚さを最低限の絶縁距
離を確保できる厚さとすることで、スロットの面積を広
くすることができ、固定子巻線の占積率の高い高効率な
回転電機を得ることができる。
【0034】実施の形態4.図8はこの発明の実施の形
態4に係る電動機の要部を示すもので、図8(a)はテ
ィース部に絶縁材を装着した状態を模式的に示す断面端
面図、図8(b)はティース部に絶縁材を装着するとき
の状況を模式的に説明する断面図である。図において2
cはティース部2の側面、即ちスロット壁面部10aに
設けられた凹部であり、この凹部2cはティース部2の
端面2a、2bと平行に設けられている。13は少なく
もティース部2の積層方向一端面2aと、この一端面2
aから連なる両側のスロット壁面部10aの凹部2cと
に跨るように断面略コ字状に形成され、コ字状の開口端
部が断面略クランク状に屈曲形成され、上記凹部2cに
没入して係止される係合部13d、及びこの係合部13
dから上記凹部2c内でティース部2の積層方向他端面
2b方向に延在するように形成され、スロットに面して
形成された重合部13eを有する第1の絶縁成形体であ
る。14は上記ティース部2の積層方向他端面2b側か
らスロット壁面部10aの一方及び他方の凹部2cに跨
るように断面略コ字状に形成され、コ字状の開口端部が
上記第1の絶縁成形体13の重合部13eに重合する第
2の絶縁成形体である。
【0035】上記第1の絶縁成形体13と第2の絶縁成
形体14は、ともにPPS、PBT、LCP等の絶縁樹
脂の成形品である。そして、上記実施の形態1と同様に
渡り線などを係止するための係止部を備えており、巻
線、組立後は図3、図4と同様の電動機を構成し、例え
ば図5と同様の密閉型圧縮機の電動機などとして好まし
く用いることができるが、巻線後の構成、動作について
は上記実施の形態1と略同様であるので、図示及び説明
を省略する。
【0036】図9は上記凹部2cの磁路に直角な面方向
の断面積と電動機効率低下割合の計算結果との関係を表
した特性図で、ティース部2のI−I線に沿う断面積に
対する凹部2cの断面積が大きくなるほど電動機効率が
低下することを示している。
【0037】この実施の形態4に係る電動機は上記のよ
うに構成され、第1の絶縁成形体13はティース部2の
一端面2a側より挿入し、クランク状の係合部13dが
凹部2cに嵌合するように装着することでティース部2
に固定することができる。次に他端面2b側より第2の
絶縁成形体14をティース部2に挿入し、重合部13e
の所で重なるように装着する。ティース部2の積層方向
の厚みに偏差があったとしても、重合部13eの重なり
幅が変化することで吸収でき、ティース部2と図示しな
い固定子巻線は電気的に絶縁される。このようしてティ
ース部2を電気的に絶縁した後、固定子巻線が巻装され
る。巻装後の巻線端部は、実施の形態1と同様に処理さ
れる。
【0038】次に、上記凹部2cについて説明する。凹
部2cは磁路となるティース部2の側表面に設けられて
いるために、凹部2cの磁路に直角な面方向の断面積を
大きくしてしまうと磁束の乱れや局所的な磁束の集中を
引き起こすために電動機効率が低下する。そのため、凹
部2cの断面積は、ティース部2の断面積に対して20
%までの範囲内とすることが望ましい。この範囲内であ
れば、図9で示されているようにティース部2の断面積
に対する凹部断面積の比率と電動機効率低下割合の関係
が線形であり、電動機効率低下の割合も約2%以下に抑
えることができる。
【0039】なお図8(b)に示すように、係合部13
dの凹部2cに対する進入量(即ち突起幅)Aは、例え
ば該凹部2cの深さDと略同一寸法(A=D)に形成さ
れる。この場合、第1の絶縁成形体13をティース部2
に挿入する際にA寸法分だけ第1の絶縁成形体13の係
合部13dを開くことになるので、断面略コ字状の屈曲
部であるB部に応力がかかり、割れ、ひびの原因とな
る。これを未然に防ぐために、上記係合部13dの凹部
2cに対する進入量A、及び第1の絶縁成形体13の屈
曲部であるB部から係合部13dまでの長さCの各寸法
は、応力によるひびや割れが生じない適当な許容範囲内
に設定される。
【0040】この場合、上記断面略コ字状の屈曲部であ
るB部から係合部13dまでの長さCを大きくすること
で、装着時に係合部13dを開く角度を小さくできるの
で、上記凹部2cの積層方向の位置は、中央部よりも他
端面2bの側に寄せて設けるようにしても良い。
【0041】上記のように、この発明の実施の形態4に
よれば、ティース部2に固定される第1の絶縁成形体1
3が容易に外れることがないため工作性が良く、しかも
これら第1の絶縁成形体13及び第2の絶縁成形体14
には機械強度の弱い薄肉部が存在しないので、輸送中の
割れや欠けの心配がなく、第1の絶縁成形体13及び第
2の絶縁成形体14を絶縁距離を確保できる最低限の厚
さとすることで、ティース部2の間隙であるスロットの
面積を広くすることができ、巻線の占積率の高い高効率
な電動機を得ることができる。また、図示を省略してい
る渡り線や電源供給線であるリード線の固定などを行う
ための係止部を実施の形態1と同様、第1の絶縁成形体
13及び第2の絶縁成形体14の任意の一方に一体的に
設けることができるので、結線の作業性がよく、結線作
業の自動化も可能である。さらに上記係止部の最外周を
鉄心の外周よりも小さくしておけば、図5のような冷凍
機用圧縮機のように固定子11を筒状のシェル16内に
焼嵌め固定することができる。
【0042】なお、上記説明では、第1の絶縁成形体1
3を係止するための凹部2cをティース部2の両側面に
設けた例を示したが、一方の側面のみに設けた場合でも
同様の効果が期待できる。この場合には、第1の絶縁成
形体13のティース部断面形状は例えば略L字型、ある
いは「し」の字を下へ向う方向から右方向へ曲がる部分
と、右へ向う方向から上方向に曲がる2つの角部で角張
らせた形状にし、第2の絶縁成形体の断面形状は、第1
の絶縁成形体と協働してティース部2の全周を包囲する
ように形成することにより、同様の絶縁構成を得ること
ができる。
【0043】実施の形態5.図10、図11、及び図1
2はこの発明の実施の形態5になる電動機の要部を示す
もので、図10(a)は固定子鉄心のティース部に絶縁
材を装着した状態を示すティース部断面端面図、図10
(b)はティース部の内径側表面図、図11は図10に
おける第1の絶縁材を示す斜視図、図12は巻線後の電
動機固定子を示す側面図である。図において、13は厚
さが例えば0.1〜0.5mm程度で、例えばPET
(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレ
ンナフタレート)、アラミッド紙等の絶縁フィルム等の
薄葉材からなる第1の絶縁成形体であり、図11に示す
ようにスロットと同形状に予め折曲成形されている。
【0044】13fは第1の絶縁成形体13の一端部に
設けられたかえし部である。この第1の絶縁成形体13
を、ティース部2の一方の端面2a方向より図示しない
スロット内に挿入したときに、上記かえし部13fがテ
ィース部2の一端面2aに当接することにより、第1の
絶縁成形体13がスロット内に係止される。なお、13
hはスロット底部に当接する部分、13iはスロット壁
面部に当接する部分、13jは磁極部内側に当接する部
分である。14は薄葉材からなる第1の絶縁成形体13
を固定するための第2の絶縁成形体であり、例えばPP
S、PBT、LCP等の絶縁樹脂の成形品で、隣接する
スロットにそれぞれ装着された第1の絶縁成形体13、
13の他端部の係合部13g、13g相互をティース部
2との間にそれぞれ挟み込んで固定すると共に、ティー
ス部2の他端面2bを絶縁している。
【0045】図10(b)に示すように、ティース部2
の内径側の面には軸方向に複数の内周溝1aが設けられ
ている。また、図12において、140は第2の絶縁成
形体14に一体的に設けられた係止部であり、この係止
部140には渡り線4bを這わせるための複数の周方向
溝140a、巻線時に一時的に巻線を係止するための鍵
状突起部140b、固定手段としての糸15を挿通する
ための貫通穴140c、この貫通穴140cを形成する
ための突起部140dなどが形設されている。なお、1
bは鉄心1に軸方向に複数設けられている外周溝であ
る。
【0046】この実施の形態5に係る電動機は上記のよ
うに構成され、薄葉材からなる第1の絶縁成形体13は
かえし部13fにより、スロット10から抜け落ちるこ
となくスロット壁面部及びスロット底部を絶縁すること
ができる。また、スロットの絶縁に樹脂成形の絶縁部材
よりも薄い絶縁フィルム等の薄葉材を用いているため
に、スロットの面積を広くすることができ、巻線の占積
率の高い高効率な電動機を得ることができる。なおこの
実施例では、ティース部2の一端面2aは露出している
が、かえし部13fにより図示しない巻線との間に間隙
が形成され、該間隙により鉄心1と巻線との間の電気的
絶縁が確保されている。
【0047】また、第2の絶縁成形体14には薄肉部が
なく輸送中の割れや欠けの心配がない。第2の絶縁成形
体14は、内周側の固定用突起部14cをティース部2
の内周溝1aに嵌合させ、外周側の固定用突起部14d
を鉄心1の外周溝1bに嵌合させることにより、ティー
ス部の他端面2bに固定される。このようにしてティー
ス部2を電気的に絶縁した後、図示しない固定子巻線が
巻装される。巻装後の巻線端部を鍵状突起部140bに
巻き付けることで次行程まで巻線が緩まないようにでき
る。巻線の端部は周方向溝140aに這わせて、別の巻
線端部と電気的に接続されて中性点となったり、リード
線4aと電気的に接続される。周方向溝140aは周方
向に平行に複数設けているため、巻線端部をそれぞれ独
立して中性点へ誘導することが可能である。また、リー
ド線4aは固定用の貫通穴140cを通した固定手段と
しての糸15によって緊縛される。
【0048】鉄心1に設けられた上記内周溝1aおよび
外周溝1bの長さは固定用突起部14c、14dと同程
度の短いものとしてもよいし、図10(a)、図12に
示すように、鉄心1の幅(積層厚さ)全長としてもよ
い。鉄心1の幅全長とした場合、内周溝1aはティース
部2の内周部においてティース部2とスロット10との
磁気抵抗の差を緩和し、トルクリップルを低減するグル
ーブと同様の効果を得ることができる。また、外周溝1
bは巻線の巻装時に鉄心固定爪(図示省略)の装着用の
溝として利用することができる。さらに、周方向溝14
0a、鍵状突起部140b、貫通穴140c、突起部1
40d等を有する係止部140の最外周を鉄心1の外周
よりも小さくしておくことにより、図5に例示した空調
機用の圧縮機のように固定子11を筒状のシェルに焼き
嵌め固定することができる。
【0049】さらに、内周溝1aと外周溝1bの幅を固
定用突起部14c、または14dよりも広くした上で、
この電動機を冷凍機等の冷媒用圧縮機に適用した場合に
は、内周溝1aおよび外周溝1bを冷媒ガスの流路とす
ることができ、鉄心1の磁束密度の高い所に冷媒ガス流
路用の貫通穴を設けずにすむので、電動機効率の低下を
防ぐことができる。さらに、巻線を固定処理する際に
は、係止部140に設けた平行に存在する複数の周方向
溝140aを使って渡り線4bを這わせることができる
ために、渡り線4bを固定するための手段を別途必要と
しないので安価で結線の作業性がよく、結線作業の自動
化も可能である。
【0050】なお、上記実施の形態5の説明では、第2
の絶縁成形体14と第1の絶縁成形体13を係合させる
に際し、図10(a)では、第1の絶縁成形体13の係
合部13gを第2の絶縁成形体14で挟み込んでティー
ス部2に固定したが、これに限定されるものではなく、
例えば第2の絶縁成形体14と第1の絶縁成形体13を
溶着したり、さらには、巻線を巻装している間のみ第1
の絶縁成形体13が動かないようにしておけば、係合部
13g端面が固定されていなくても同様の効果が得られ
る。また、第2の絶縁成形体14を鉄心1に固定する場
合も内周溝1aおよび外周溝1bに限らず鉄心1の端面
に凹部(図示せず)を設けて固定用突起部14cをその
凹部に嵌合して固定したり、さらには接着剤を用いて固
定してもよい。
【0051】ところで上記各実施の形態の説明では、テ
ィース部2が鉄心1に円周方向に等間隔で、かつ放射状
に内側に複数突出している場合について説明したが、鉄
心1の形状としてはティース部2が、円周方向に不等間
隔であっても、放射状外側であってもよい。また、例示
した絶縁材料は、好ましく用いられる材料の一例を示し
たものに過ぎない。さらに、回転子が固定子の外側を回
転するもの、巻線を巻回してなるティース部が回転子と
して構成されたものなどでも同様の効果が得られる。さ
らにまた、便宜上電動機を主体に説明したが、発電機で
あっても同様の効果が得られることは勿論であり、さら
に、用途も特に密閉型圧縮機の駆動用に限定されないこ
とは当然である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
ティース部の絶縁部材として、少なくともティース部の
積層方向一端面、及びこの一端面から連なる両側のスロ
ット壁面部全体に跨って該ティース部を覆うように形成
されたティース部断面略コ字状の第1の絶縁成形体と、
上記ティース部の積層方向他端面を覆うように配設さ
れ、端部が上記第1の絶縁成形体のコ字状の開口部に係
合するティース部断面略I字状の第2の絶縁成形体とを
用いて構成するようにしたことにより、絶縁部材に機械
強度の弱い薄肉部がなく、絶縁部材の取扱が容易で、ス
ロット面積の狭小化を伴わない高品質な回転電機を提供
できる効果がある。
【0053】また、スロット壁面部の少なくとも一方に
凹部を設け、絶縁部材として、少なくともティース部の
積層方向一端面及びこの一端面から連なる上記スロット
壁面部の凹部に跨るように形成され、上記凹部側の端部
に、該凹部に進入して係止される断面略クランク状に屈
曲形成された係合部及びこの係合部から上記凹部内をテ
ィース部の積層方向他端面方向に延在し、スロットに面
して形成された重合部を有する第1の絶縁成形体と、上
記ティース部の積層方向他端面側に配設され、該他端面
とこの他端面から連なる上記スロット壁面部の凹部に跨
るように形成され、この凹部側の端部が上記第1の絶縁
成形体の重合部に重合する第2の絶縁成形体とを用いて
構成したことにより、絶縁部材の取扱が容易で、加工性
も優れた回転電機を提供できる効果がある。
【0054】さらに、絶縁部材として、スロット底部及
び隣接するティース部の各スロット壁面部を覆うと共
に、積層方向の一端部側にティース部の積層方向一端面
に係合し得るかえし部を有し、積層方向の他端部側に係
合部を有する薄葉材からなる第1の絶縁成形体と、ティ
ース部の積層方向他端面を絶縁すると共に、上記第1の
絶縁成形体の係合部と係合する第2の絶縁成形体とを用
いて構成するようにしたことにより、絶縁部材の取扱が
容易で、加工性も優れた回転電機を提供できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による電動機固定子鉄
心のティース部の絶縁構成を模式的に示す断面端面図。
【図2】図1に示す第1の絶縁成形体の構造を示す図。
【図3】この発明の実施の形態1による電動機固定子鉄
心の形状と巻線後の状態を示す平面図。
【図4】図3の固定子の巻線後の状態を示す側面図。
【図5】この発明の実施の形態1による電動機を冷凍サ
イクルの駆動源として用いた場合の例としての密閉型回
転式圧縮機を示す要部断面図。
【図6】この発明の実施の形態2になる電動機のティー
ス部における絶縁部材を模式的に示す断面端面図。
【図7】この発明の実施の形態3になる回転電機に用い
る断面コ字状の第1の絶縁成形体とその成形方法を説明
する図。
【図8】この発明の実施の形態4に係る電動機の要部を
示す断面端面図。
【図9】図8に示す実施の形態の凹部2aの断面積と電
動機効率低下割合の計算結果との関係を表した特性図。
【図10】この発明の実施の形態5になる電動機の要部
を示す図。
【図11】図10における第1の絶縁材を示す斜視図。
【図12】図10の固定子ティース部に巻線後の電動機
固定子を示す側面図。
【図13】従来の電動機を示す部分断面側面図。
【図14】従来の電動機のティース部に用いられている
絶縁部材を示す側断面図。
【図15】従来の電動機固定子の他の絶縁構造例を示す
構成図。
【符号の説明】
1 鉄心、 2 ティース部、 2a 一端面、 2b 他端面、 2c 凹部、 4 巻線、 4a リード線、 4b 渡り線、 5 回転軸、 10 スロット、 10a スロット壁面部、 10b スロット底部、 11 固定子、 12 絶縁部材、 13 第1の絶縁成形体、 13a 開口部、 13b 開口底部、 13c 角部、 13d 係合部、 13e 重合部、 13f かえし部、 13g 係合部、 130 係止部、 14 第2の絶縁成形体、 14a 係合部、 14b 角部、 14c、14d 固定用突起部、 140 係止部、 15 固定手段(糸)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 風間 修 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 田島 庸賀 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 増本 浩二 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3H003 AA05 AB04 AC03 CF06 5H002 AA07 AB01 AE07 5H604 AA08 BB01 BB10 BB14 BB17 CC01 CC05 CC16 DA14 DA20 DB26 PB03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のティース部を有し、隣接するティー
    ス部の間にスロットを形成してなる積層された鉄心と、
    上記ティース部に絶縁部材を介して巻装された巻線とを
    有する回転電機において、上記絶縁部材は、少なくとも
    ティース部の積層方向一端面及びこの一端面から連なる
    両側のスロット壁面部全長に跨って該ティース部を覆う
    ように形成されたティース部断面略コ字状の第1の絶縁
    成形体と、上記ティース部の積層方向他端面を覆うよう
    に配設され、端部が上記第1の絶縁成形体のコ字状の開
    口部に係合するティース部断面略I字状の第2の絶縁成
    形体とを用いてなることを特徴とする回転電機。
  2. 【請求項2】第1の絶縁成形体は、断面略コ字状の開口
    部における開口寸法が開口底部における間隔よりも広く
    形成されてなる成形型により成形されたものであること
    を特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 【請求項3】第1の絶縁成形体は、断面略コ字状のスロ
    ット壁面部を覆う部分の絶縁厚さが開口部から開口底部
    に向けて厚くなるようにテーパ状に形成されてなること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の回転電機。
  4. 【請求項4】複数のティース部を有し、隣接するティー
    ス部の間にスロットを形成してなる積層された鉄心と、
    上記ティース部に絶縁部材を介して巻装された巻線とを
    有する回転電機において、上記鉄心のティース部は、ス
    ロット壁面部の少なくとも一方に凹部を有してなり、上
    記絶縁部材は、少なくとも上記ティース部の積層方向一
    端面及びこの一端面から連なる上記スロット壁面部の凹
    部に跨るように形成され、上記凹部側の端部に、該凹部
    に進入して係止される断面略クランク状に屈曲形成され
    た係合部及びこの係合部から上記凹部内をティース部の
    積層方向他端面方向に延在し、スロットに面して形成さ
    れた重合部を有する第1の絶縁成形体と、上記ティース
    部の積層方向他端面側に配設され、該他端面とこの他端
    面から連なる上記スロット壁面部の凹部に跨るように形
    成され、この凹部側の端部が上記第1の絶縁成形体の重
    合部に重合する第2の絶縁成形体とからなることを特徴
    とする回転電機。
  5. 【請求項5】ティース部断面積に対する凹部断面積が2
    0%以下であることを特徴とする請求項4記載の回転電
    機。
  6. 【請求項6】第1の絶縁成形体、及び第2の絶縁成形体
    の何れか一方に巻線を係止し得る係止部を備えているこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載
    の回転電機。
  7. 【請求項7】複数のティース部を有し、隣接するティー
    ス部の間にスロットを形成してなる積層された鉄心と、
    上記ティース部に絶縁部材を介して巻装された巻線とを
    有する回転電機において、上記絶縁部材は、スロット底
    部及び隣接するティース部の各スロット壁面部を覆うと
    共に、積層方向の一端部側にティース部の積層方向一端
    面に係合し得るかえし部を有し、積層方向の他端部側に
    係合部を有する薄葉材からなる第1の絶縁成形体と、テ
    ィース部の積層方向他端面を絶縁すると共に、上記第1
    の絶縁成形体の係合部と係合する第2の絶縁成形体とか
    らなることを特徴とする回転電機。
  8. 【請求項8】第2の絶縁成形体は巻線を係止し得る係止
    部を備えていることを特徴とする請求項7記載の回転電
    機。
  9. 【請求項9】請求項1ないし請求項8の何れかに記載の
    回転電機を搭載してなることを特徴とする密閉型圧縮
    機。
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