JP2002353152A - 窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体基板の製造方法

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JP2002353152A JP2001391160A JP2001391160A JP2002353152A JP 2002353152 A JP2002353152 A JP 2002353152A JP 2001391160 A JP2001391160 A JP 2001391160A JP 2001391160 A JP2001391160 A JP 2001391160A JP 2002353152 A JP2002353152 A JP 2002353152A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラック等を発生させることなく、さらに、
欠陥密度が小さく且つ生産性に優れた窒化物半基板を確
実に得られるようにする。 【解決手段】 まず、母材基板11の主面上に、窒化物
半導体が実質的に成長しない材料からなり、ストライプ
状に開口する複数の開口部12aを有するマスク膜12
Bを形成する。次に、母材基板11上に、マスク膜12
Bを介して窒化物からなる半導体層13を選択的に成長
する。次に、半導体層13における母材基板11との界
面にレーザ光を照射して、半導体層13を母材基板11
から剥離することにより、半導体層13から窒化物半導
体基板13Aを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視発光ダイオー
ド装置又は青紫色レーザ装置に用いる窒化物半導体基板
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウ
ム(InN)及び窒化アルミニウム(AlN)等のIII-
V族窒化物半導体は、青色又は緑色発光ダイオード(L
ED)装置、青色半導体レーザ装置又は高温動作が可能
な高速トランジスタ装置等に用いる化合物半導体材料と
して好適である。
【0003】ところで、従来から、窒化物半導体を成長
させる基板には、サファイア(単結晶Al23、炭化ケ
イ素(SiC)、シリコン(Si)又はヒ化ガリウム
(GaAs)からなる絶縁性基板が良く知られている。
【0004】しかしながら、組成が窒化物半導体層とは
異なるサファイア等からなる異種の基板上に窒化物半導
体を成長させると、成長する窒化物半導体と該基板との
間の熱膨張係数の差によって、基板が反ったり、クラッ
クが発生したりして、窒化物半導体の結晶性が劣化する
ことが知られている。
【0005】そこで、近年、基板を窒化物半導体により
形成し、窒化物半導体からなる基板上に、同種の窒化物
半導体からなる素子構造を形成することにより、異種の
基板に起因する問題を解決する試みがなされている。
【0006】例えば、窒化物半導体基板の製造方法の一
例として、母材となる基板(母材基板)の上に窒化物半
導体層を比較的に厚く成長し、成長した窒化物半導体層
と母材基板との界面にレーザ光を照射する。レーザ光を
照射された窒化物半導体層が局所的に加熱されて昇華
し、窒化物半導体層が母材基板から剥離することによ
り、窒化物半導体層から窒化物半導体基板を得るという
方法が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の窒化物半導体基板の製造方法は、レーザ光によって
母材基板から窒化物半導体層を剥離する場合に、レーザ
光の走査の途中、すなわち、窒化物半導体層と母材基板
とにおけるレーザ光を照射されている界面のみが剥離
し、他の部分が接合したままの状態となる。その際、窒
化物半導体層と母材基板との接合部分に応力が集中し
て、窒化物半導体層中にクラックが発生するという問題
がある。その結果、室温程度のレーザ光を照射すること
によって、窒化物半導体基板を歩留まり良く製造するこ
とが困難となる。
【0008】また、母材基板上に窒化物半導体を成長す
る際に、窒化物半導体に対して格子不整合による貫通欠
陥が導入されるため、得られる窒化物半導体基板におけ
る欠陥密度が大きいという問題もある。
【0009】本発明は、前記従来の問題を解決し、クラ
ック等を発生させることなく、さらに、欠陥密度が小さ
く且つ生産性に優れた窒化物半基板を確実に得られるよ
うにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は、窒化物半導体層を成長させる母材基板の
主面上に、窒化物からなる半導体層を選択的に成長させ
るマスク膜を形成する構成とする。
【0011】具体的に、本発明に係る第1の窒化物半導
体基板の製造方法は、母材基板の主面上に、窒化物半導
体が実質的に成長しない材料からなり、複数の開口部を
有するマスク膜を形成する第1の工程と、前記母材基板
上に、マスク膜を介して窒化物からなる半導体層を選択
的に成長する第2の工程と、半導体層における母材基板
との界面にレーザ光を照射して、半導体層を母材基板か
ら剥離することにより、半導体層から半導体基板を形成
する第3の工程とを備えている。
【0012】第1の窒化物半導体基板の製造方法による
と、母材基板上にマスク膜を介して窒化物からなる半導
体層を選択的に成長するため、該半導体層が成長する際
に、マスク膜に応力を集中させることができるので、半
導体層に生じる応力を低減することができる。このた
め、窒化物からなる半導体層に生じる割れやクラックを
低減することができる。その上、マスク膜には窒化物半
導体が実質的に成長しない材料を用いているため、半導
体層がマスク膜の上に回り込むように成長するので、半
導体層に導入される貫通欠陥を低減することができる。
これにより、結晶品質及び生産性に優れた窒化物半導体
基板を得ることができる。
【0013】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、母材基板は主面の面方位が{0001}面であるサ
ファイアからなり、第1の工程が、各開口部を、母材基
板における晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致した
ストライプ状に形成することが好ましい。このようにす
ると、母材基板を構成する{0001}面を主面に持つ
サファイアに対し、その上に成長する窒化物半導体の晶
帯軸方向が30°ずれる。このため、ストライプの長手
方向が母材基板の晶帯軸の<1−100>方向に沿うよ
うにマスク膜の開口部を形成すると、マスク膜の上にせ
り出して成長する半導体層の成長面を良好な{1−10
1}面とすることができる。
【0014】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、母材基板は主面の面方位が{0001}面である炭
化ケイ素又は窒化アルミニウムからなり、第1の工程
が、各開口部を、母材基板における晶帯軸の<11−2
0>方向とほぼ一致したストライプ状に形成することが
好ましい。このようにすると、母材基板を構成する{0
001}面を主面に持つ炭化ケイ素又は窒化アルミニウ
ムの晶帯軸と、その上に成長する窒化物半導体の晶帯軸
とが一致する。このため、ストライプの長手方向が母材
基板の晶帯軸の<11−20>方向に沿うようにマスク
膜の開口部を形成すると、マスク膜の上に張り出して成
長する半導体層の成長面を良好な{1−101}面とす
ることができる。
【0015】第1の窒化物半導体基板の製造方法は、第
1の工程よりも前に、母材基板の主面に凹凸状領域を形
成する工程をさらに備え、第1の工程が、凹凸状領域の
凸部の頂面が開口部から露出するように形成する工程を
含むことが好ましい。
【0016】このようにすると、母材基板上にマスク膜
を介して半導体層を成長する際に、母材基板の主面に形
成した凹凸状領域の凸部に応力が集中するため、成長す
る半導体層に生じる応力がより一層低減する。このた
め、成長時に半導体層に生じる割れやクラックがさらに
減少する。
【0017】この場合に、母材基板は主面の面方位が
{0001}面であるサファイアからなり、凹凸状領域
を形成する工程は、母材基板の主面に互いに並行に延び
る複数の凹状溝を、母材基板における晶帯軸の<1−1
00>方向とほぼ一致するように形成する工程を含むこ
ことが好ましい。
【0018】また、この場合に、母材基板は主面の面方
位が{0001}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニ
ウムからなり、凹凸状領域を形成する工程は、母材基板
の主面に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、母材基板
における晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致するよ
うに形成する工程を含むことが好ましい。
【0019】また、この場合に、第1の工程が、母材基
板における凹凸状領域の上に全面にわたってマスク形成
膜を形成する工程と、マスク形成膜を覆うようにレジス
ト膜を塗布する工程と、レジスト膜に対してエッチング
を行なって、レジスト膜を凹凸状領域の凹部に残すこと
により、マスク形成膜における凹凸状領域の凸部の上側
部分を露出する工程と、凹部に残されたレジスト膜をマ
スクとして、マスク形成膜に対してエッチングを行なう
工程とを含むことが好ましい。
【0020】さらに、この場合のレジスト膜をエッチン
グする工程が、酸素プラズマを用いることが好ましい。
【0021】この場合のマスク形成膜は酸化物からなる
ことが好ましい。
【0022】母材基板の主面に凹凸状領域を形成する場
合の第2の工程において、母材基板と半導体層との間に
は空隙が形成されることが好ましい。このようにする
と、形成された空隙により、レーザ光を照射した際に発
生する熱が半導体層と母材基板との界面に集中するため
熱効率が向上する。その結果、レーザ光の光密度を低減
しても、半導体層を十分に剥離できるようになるため、
レーザ照射装置に高出力な光源が不要となり、結果的に
製造コストを低減することができる。その上、レーザ照
射時の熱分解により発生する半導体層からの高圧の窒素
ガスを空隙に効率良く発散できるため、剥離時の半導体
層にクラック等が導入される虞が一層低減する。
【0023】また、第1の窒化物半導体基板の製造方法
において、第3の工程が、レーザ光を、少なくとも半導
体層におけるマスク膜の開口部からの露出部分に照射す
ることが好ましい。このようにすると、レーザ光の照射
時間を短縮することができるため、レーザ照射工程のス
ループットが向上して、生産性に優れる。
【0024】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、第1の工程が複数の開口部を島状に形成し、第3の
工程が、レーザ光を、半導体層におけるマスク膜の各開
口部からの露出部分と同期するように走査しながら照射
することが好ましい。このようにすると、レーザ光の光
源としてパルス状の光源を用いることができるため、レ
ーザ光の出力値を高めることができるので、レーザ光の
照射時間を短縮できる。その上、母材基板と半導体層と
の剥離を確実に行なえるようになる。
【0025】さらに、第1の窒化物半導体基板の製造方
法において、第1の工程が複数の開口部を島状に形成
し、第3の工程が、レーザ光を、半導体層におけるマス
ク膜の開口部からの露出部分を走査しながら、露出部分
の複数を同時に照射することが好ましい。このように、
半導体層におけるマスク膜の開口部からの露出部分の複
数を同時に照射するため、レーザ光の照射時間をさらに
短縮することができる。
【0026】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、マスク膜が酸化シリコン、窒化シリコン又はタング
ステンからなることが好ましい。
【0027】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、マスク膜における互いに隣接する開口部の開口端同
士の間隔が半導体層の厚さとほぼ等しいかそれ以下であ
ることが好ましい。
【0028】第1の窒化物半導体基板の製造方法におい
て、マスク膜の開口部の開口幅が、互いに隣接する開口
部の開口端同士の間隔の約10倍以下であることが好ま
しい。
【0029】本発明に係る第2の窒化物半導体基板の製
造方法は、母材基板の主面に対して選択的にエッチング
を行なって、母材基板の主面に凹凸状領域を形成する第
1の工程と、母材基板における凹凸状領域の上に該凹凸
状領域の凹部との間に空隙が形成され且つその上面が平
坦となるように、窒化物からなる半導体層を成長する第
2の工程と、半導体層における母材基板との界面にレー
ザ光を照射して、半導体層を母材基板から剥離すること
により、半導体層から半導体基板を形成する第3の工程
とを備えている。
【0030】第2の窒化物半導体基板の製造方法による
と、窒化物からなる半導体層を、母材基板における凹凸
状領域の上に該凹凸状領域の凹部との間に空隙が形成さ
れるように選択的に成長するため、該半導体層が成長す
る際に、母材基板における凹凸状領域の凸部部分に応力
を集中させることができるので、半導体層に生じる応力
を低減することができる。このため、成長時に窒化物か
らなる半導体層に生じる割れやクラックを防止すること
ができる。その上、半導体層が母材基板の凹部上に空隙
を形成しながら張り出すように成長するため、半導体層
に導入される貫通欠陥を低減することができる。このよ
うに、結晶品質及び生産性に優れた窒化物半導体基板を
得ることができる上に、母材基板にマスク膜を設ける必
要がないため、製造プロセスが簡略化される。
【0031】なお、本願明細書では、便宜上、ミラー指
数の上にバーを付す代わりに、該指数の前に負符号
「−」を付してその反転を表わしている。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の第1
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】図1(a)〜図1(d)乃至図3(a)〜
図3(d)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導
体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0034】まず、図1(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イア(酸化アルミニウムの単結晶)からなる母材基板1
1を用意する。母材基板11の主面の面方位は(000
1)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に
鏡面仕上げがされている。
【0035】サファイアは、そのバンドギャップが8.
7eVであるため、該バンドギャップに相当するエネル
ギーの波長である142.5nmよりも長い波長の光を
透過する。そのため、波長が248nmのKrFエキシ
マレーザ光又は波長が355nmのNd:YAGレーザ
の3次高調波光はサファイアを透過する。
【0036】(マスク膜形成工程)次に、図1(b)に
示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするR
Fスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが
約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク
形成膜12Aを堆積する。
【0037】次に、図1(c)に示すように、フォトリ
ソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法
により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを
有するマスク膜12Bを形成する。
【0038】ここで、図2を用いてマスク膜12Bの詳
細な構成を説明する。
【0039】図2(a)及び図2(b)に示すように、
マスク膜12Bの開口部12aは、サファイアの晶帯軸
の<1−100>方向に沿ってストライプ状に延び、開
口部12aの幅は約10μmで、互いに隣接する開口部
12aの開口端同士の間隔は約30μmである。
【0040】なお、本願明細書においては、晶帯軸の<
1−100>方向とは、晶帯軸の[1−100]方向と
等価な方向のいずれか1つを指し、特定の一方向を表わ
さない。例えば、<1−100>方向と等価な方向は、
[1−100]、[−1100]、[01−10]、
[0−110]、[10−10]及び[−1010]で
ある。同様に、面方位の{1−100}面とは、面方位
の(1−100)面と等価な方向のいずれか1つの面を
指す。
【0041】(窒化物半導体成長工程)III 族源である
塩化ガリウム(GaCl)とV族源であるアンモニア
(NH3)とを原料とするハイドライド気相成長(HV
PE)法により、母材基板11のの上にマスク膜12B
を介して、窒化ガリウム(GaN)からなる半導体層1
3を成長する。III 族源の塩化ガリウムは、金属ガリウ
ム(Ga)と塩化水素(HCl)とを、900℃程度の
大気圧下で反応させて生成する。
【0042】また、母材基板11の主面上で窒化ガリウ
ムの核形成密度を増大させるため、半導体層13を成長
するよりも前に、基板温度を約1000℃に保ち、塩化
ガリウムのみを15分間程度供給する処理を行なう(以
下、このプロセスをGaCl処理と呼ぶ)。なお、核形
成密度を増大させるには、GaCl処理に代えて、母材
基板11上に、窒化ガリウムからなり、400℃〜80
0℃程度の比較的に低温で成長させる、いわゆる低温バ
ッファ層を設けても良く、また、母材基板11の主面に
対してアンモニアによる窒化処理を行なっても良い。さ
らには、低温バッファ層と窒化処理とを組み合わせても
良い。
【0043】以下、半導体層13の成長の詳細を説明す
る。
【0044】図1(d)に示すように、GaCl処理を
行なった後、母材基板11の上に塩化ガリウム及びアン
モニアを導入して、窒化ガリウムからなる半導体層13
の成長を始める。半導体層13は、酸化ケイ素からなる
マスク膜12B上には成長しないため、母材基板11の
開口部12aからの露出部分から成長する。さらに成長
を続けると、半導体層13は、マスク膜12Bの開口部
12aから該マスク膜12Bの上へ張り出すように成長
する。このとき、半導体層13における開口部12aか
らの張り出し部分の側面は、窒化ガリウム結晶の面方位
の{1−101}面となる。
【0045】これは、母材基板11を構成するサファイ
アの面方位に対して窒化ガリウム結晶の面方位が30°
ずれて成長するという現象に加え、マスク膜12Bの開
口部12aが延びる方向(ストライプ方向)をサファイ
アの晶帯軸の<1−100>方向に合わせているためで
ある。また、窒化ガリウム結晶の{1−101}面は成
長速度が比較的に小さいため出現し易いことにもよる。
【0046】このように、第1の実施形態においては、
半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、マスク膜
12Bの開口部12aのストライプ方向を設定している
ため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに埋め込
み成長を行なうことが、より容易となる。半導体層13
は厚さが約200μmとなるまで成長を行なう。これに
より、マスク膜12Bは埋め込まれて、平坦な表面を持
つ半導体層13を得ることができる。
【0047】次に、図3(a)に示すように、室温付近
にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基
板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に反
りが生じる。
【0048】第1の実施形態においては、母材基板11
の主面上にマスク膜12Bを設けているため、母材基板
11と半導体層13とが界面の全面で接合している場合
と比べて、母材基板11に生じる反りが小さくなる。例
えば、ストライプ方向の曲率半径が80cm程度とな
り、該ストライプ方向と基板面内で垂直な方向の曲率半
径が1m程度となることを確認している。なお、比較の
ために、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設け
ないで半導体層13を成長し、その後の母材基板11の
曲率半径を調べると60cm程度であった。
【0049】(レーザ照射工程)半導体層13に対する
レーザ照射は、図4に示すようなレーザ照射装置を用い
る。
【0050】図4に示すように、レーザ出射部1から出
射されたレーザ光10は、スキャンレンズ2によって2
次元に走査されて、半導体層13に照射される。ここで
は、半導体層13に対して、レーザ光10を母材基板1
1の主面と反対側の面から照射している。レーザ光10
は光路上に置かれた複数の集光レンズ3A、3Bによっ
て、半導体層13上におけるレーザ光10のビーム径を
調節することができる。なお、集光レンズ3A、3Bに
代えて、適当な開口パターンを有するスリットを集光手
段として用いても良い。
【0051】さらに、レーザ照射装置は、レーザ光10
の透過率が高く且つ可視光の反射率が高いミラー4と、
該ミラー4を介して入力される可視光10aを受ける画
像認識部5とを備えている。画像認識部5は、入力され
る可視光10aにより、半導体層13におけるレーザ照
射位置を認識して、スキャンレンズ2の回転位置を制御
する。
【0052】ところで、レーザ照射時に、半導体層13
に対する冷却又は加熱は行なわないでもよい。しかしな
がら、半導体層13の反りを修復するために、レーザ照
射装置に半導体層13を800℃程度以下に加熱する加
熱手段を設けてもよい。また、熱膨張係数差による剥離
を促進するため、半導体層13を冷却する冷却手段を設
けてもよい。
【0053】レーザ光源には、波長355nmのNd:
YAGの3次高調波を用いている。パルス幅は約30n
sで、パルス周期は約50kHzとしている。レーザ光
10を集光して約20μm径の円形状ビームとすること
により、1.0J/cm2 程度の光密度を得ている。サ
ファイアはレーザ光10に対して透明であるため、前述
したように、母材基板11の裏面側から該母材基板11
を通して半導体層13にレーザ光10を照射している。
【0054】レーザ光10を照射する際には、前述した
ように、母材基板11と共に半導体層13が反っている
ため、集光レンズ3A、3Bを調整してレーザ光10の
スポット径が一定となるように制御を行なうことが好ま
しい。
【0055】第1の実施形態においては、レーザ光10
を半導体層13と母材基板11との界面に沿って選択的
に照射する。すなわち、母材基板11におけるマスク膜
12Bの開口部12aからの露出部分と半導体層13と
における界面に沿ってレーザ光10が連続的に照射され
るように、レーザ光10の走査速度を50cm/sとす
る。このとき、ストライプ状の開口部12aにおいて走
査方向に隣り合う照射位置の中心間隔は約10μmとし
ている。従って、照射位置の中心間隔がレーザ光10の
ビーム径の約20μmよりも小さいため、パルス状の照
射であっても半導体層13と母材基板11との界面を連
続的に照射することができる。その上、パルス照射時に
走査を止めることなく、すなわち光軸を走査したままで
照射を行なったとしても、レーザ光10を半導体層13
に対して連続的に照射することができる。
【0056】図3(b)はレーザ照射工程の途中段階に
おける母材基板11の断面構成を示している。
【0057】半導体層13はレーザ光を吸収して加熱さ
れる。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度
が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された
部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せず
に、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この
局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層1
3におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウ
ム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0058】ガリウム層13aは25℃以上の温度では
液体であり、それ以下の温度でも非常に軟らかい材料で
あるため、ガリウム層13aを介した母材基板11と半
導体層13との結合力は極めて小さくなる。その結果、
熱膨張係数差による応力が、母材基板11と半導体層1
3との接合部分に集中する。
【0059】また、半導体層13の熱分解によって窒素
ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及
びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態と
なる。
【0060】第1の実施形態においては、半導体層13
におけるレーザ照射部分の周囲にマスク膜12Bが形成
されている。マスク膜12Bの上には窒化ガリウムから
なる半導体層13が直接には成長しない。このため、半
導体層13のマスク膜12Bの上側部分は、マスク膜1
2Bの開口部12aから基板面に平行に張り出すように
成長している。その結果、マスク膜12Bと半導体層1
3とは、原子同士の結合手ではなく、いわゆる分子間力
のみで結合している。そのため、マスク膜12Bと半導
体層13との接合力は小さい。
【0061】従って、レーザ光の照射によって、半導体
層13と母材基板11との直接の接合部分が分解される
と、半導体層13に生じている応力は、接合力が小さい
マスク膜12Bと半導体層13とが適当な形状で分離す
ることにより解放される。また、このとき、高圧の窒素
ガスは、マスク膜12Bと半導体層13との分離により
発散される。
【0062】このような剥離のメカニズムにより、レー
ザ光の照射中の半導体層13には、母材基板11の主面
に垂直な方向に伸展するクラックが生じないことを確認
している。
【0063】従って、図3(c)に示すように、半導体
層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ光
を照射することにより、半導体層13は母材基板11か
ら剥離する。
【0064】次に、図3(d)に示すように、塩化水素
によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層
13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研
磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導
体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このとき
の窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2イ
ンチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや
周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0065】以上説明したように、第1の実施形態によ
ると、半導体層13における母材基板11の主面上に設
けたマスク膜12Bの開口部12aにのみ選択的にレー
ザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面
に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削
減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上す
ることができる。
【0066】第1の実施形態においては、マスク膜12
Bの開口部12aの面積の和はマスク膜12Bの面積の
4分の1であるため、レーザ光の照射時間は少なくとも
4分の1とすることができる。実際には、基板の全面を
照射する場合は、レーザ照射位置が前回に照射した部分
に対してもその一部が重なるように照射するため、結果
的に、第1の実施形態に係るレーザ光の照射時間は4分
の1以下となる。
【0067】具体的には、ビーム径が20μmのレーザ
光で、照射位置が互いに10μmずつ重なるように照射
した場合、第1の実施形態においては、径が約5.1c
mの半導体層13に対して約4分でレーザ光の照射が終
了する。一方、従来のように半導体層13の全面に10
μmずつ重なるように照射すると、レーザ光の照射工程
に、およそ30分もの時間が必要となる。
【0068】また、第1の実施形態においては、マスク
膜12Bの開口部12aがストライプ状に延びているた
め、レーザ光の光軸の走査が単純化されるので、効率的
に照射を行なうことができる。
【0069】また、第1の実施形態においては、ストラ
イプ状の開口部12aを有するマスク膜12Bを介し
て、母材基板11の主面上に、窒化ガリウムからなる半
導体層13を埋め込み成長しているため、半導体層13
の表面における貫通欠陥の密度は約1×106 cm-2
ある。これに対し、従来のサファイアからなる基板上に
成長した窒化ガリウムからなる半導体層における欠陥密
度は、1×109 cm-2程度である。
【0070】このように、第1の実施形態によると、レ
ーザ光の照射時間を4分の1以下と著しく低減できる上
に、欠陥密度をも低減された窒化物半導体基板13Aを
確実に得ることができる。
【0071】また、マスク膜12Bの厚さを0.1μm
程度としたが、マスク膜12Bの厚さはこれに限定され
ず、母材基板11の主面を覆うことが可能な連続的な膜
であればよい。このような連続的な膜を得るには、マス
ク膜12Bの厚さは、好ましくは、およそ0.001μ
m以上とするのが良い。
【0072】なお、第1の実施形態においては、母材基
板11上において、マスク膜12Bの開口部12aのス
トライプ方向をサファイアの晶帯軸の<1−100>方
向としたが、母材基板11に用いる材料によっては、窒
化ガリウムからなる半導体層13の結晶面の面方位が異
なる場合がある。そのような場合は、半導体層13にお
ける晶帯軸の<11−20>方向にストライプ方向を一
致させることが好ましい。
【0073】例えば、母材基板11として、炭化ケイ素
(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場
合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層
13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するた
め、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ま
しい。
【0074】なお、マスク膜12Bの開口部12aの開
口幅を約10μmとし、互いに隣接する開口部12aの
開口端同士の間隔、すなわち1本のストライプの幅を約
30μmとしたが、これらの寸法には好ましい範囲があ
る。
【0075】まず、ストライプの幅の上限は、半導体層
13によるマスク膜12Bの埋込み成長により規制され
る。すなわち、ストライプの幅が小さい方がマスク膜1
2Bを埋め込むのに必要な面積が小さくなるため、半導
体層13の厚さが比較的に小さい場合でも埋め込むこと
ができる。そこで、マスク膜12Bのストライプの幅は
半導体層13の厚さとほぼ同程度かそれ以下とすること
が好ましく、第1の実施形態では、200μm程度かそ
れ以下とするのが良い。
【0076】これに対し、ストライプの幅の下限は、レ
ーザ照射時に半導体層13に導入されるクラックと関係
する。すなわち、ストライプの幅を極端に小さくする
と、クラックが、マスク膜12Bの近傍、又は半導体層
13と母材基板11との界面近傍に留まらず、半導体層
13の内部にまで伸展する虞がある。従って、マスク膜
12Bのストライプの幅は約1μm以上とすることが好
ましい。
【0077】また、マスク膜12Bの開口部12aの開
口幅の上限も、クラックの発生と関係する。すなわち、
ストライプの幅の10倍程度以下とすることが好まし
い。一方、開口幅の下限については、特に限定されない
が、前述したように第1の実施形態においては、レーザ
照射の位置合わせに可視光を用いているため、視認性を
確保する必要から1μm程度以上とすることが好まし
い。
【0078】なお、第1の実施形態においては、マスク
膜12Bの開口パターン12aをストライプパターンと
したが、他のパターンでも、直線状に連続するパターン
であれば、レーザ光の光軸の走査が単純化されて好まし
い。さらに、渦巻状のような一筆書きパターンとする
と、1回の走査で半導体層13の全体をレーザ照射でき
るため好ましい。なお、この場合においても、開口部1
2aのパターンの開口端面の面方位は、窒化ガリウムの
{1−101}面と一致するように形成することが、よ
り好ましい。
【0079】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0080】図5(a)〜図5(c)乃至図7(a)〜
図7(c)は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導
体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0081】第2の実施形態は、マスク膜における開口
部の形状をストライプパターンに代えてドット(島状)
パターンとしている。ここでは、第1の実施形態と同一
の構成部材には同一の符号を付している。
【0082】まず、図5(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0083】(マスク膜形成工程)次に、図5(b)に
示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするR
Fスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが
約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク
形成膜12Aを堆積する。
【0084】次に、図5(c)に示すように、フォトリ
ソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法
により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを
有するマスク膜12Cを形成する。
【0085】ここで、図6を用いてマスク膜12Cの詳
細な構成を説明する。
【0086】図6に示すように、マスク膜12Cの各開
口部12aは、径がそれぞれ約10μmの円形状であっ
て、一辺が30μmの正三角形を最密に並べたときの各
正三角形の頂点の位置に配置されている。このときの正
三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−100}面
と一致するようにパターニングされている。なお、母材
基板11の周縁部において、ドットパターンが欠けてい
ると、欠けた部分において半導体層13は良好に成長し
ない虞があるため、母材基板11の周縁部には開口部1
2aを設けないようにする。
【0087】(窒化物半導体成長工程)次に、図7
(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アン
モニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法によ
り、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11
の主面上に、マスク膜12Cを介して窒化ガリウムから
なる半導体層13を成長する。このとき、マスク膜12
Cの上には窒化ガリウムからなる結晶核が付着せず、従
って半導体層13が成長しない。その結果、母材基板1
1におけるマスク膜12Cの開口部12aの露出部分か
ら半導体層13が成長し始め、さらに成長し続けると、
半導体層13は開口部12aから該開口部12a同士の
間の領域上に張り出すように成長する。
【0088】マスク膜12Cの各開口部12aの平面形
状は円形(ドット)状ではあるが、各開口部12aを図
6のように配置していることから、窒化ガリウムの{1
−101}面の成長速度は比較的に小さい。このため、
厚さが1μm程度の半導体層13を成長した段階のマス
ク膜12C上には、半導体層13における互いに隣接す
る3つの開口部12aからの張り出し部分によって6つ
の{1−101}面に囲まれた空隙が生じる。さらに、
成長し続けると、各開口部12aから周囲に張り出す窒
化ガリウムが{1−101}面で合体して、その結果、
マスク膜12Cは埋め込まれる。マスク膜12Cが半導
体層13により埋め込まれた後も、該半導体層13の厚
さが約200μmとなるまで成長させると、半導体層1
3の表面は平坦となる。その後、室温付近にまで基板温
度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱
膨張係数の差によって、図7(a)に示すように母材基
板11に反りが生じる。このときに生じた反りは、基板
面上の方向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m
程度となる。
【0089】(レーザ照射工程)第2の実施形態におい
ても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件
も同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約2
0μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50k
Hzである。このとき、マスク膜12Cの開口部12a
の径は約10μmであり、ビーム径の約20μmよりも
小さいため、1回のパルス照射で、半導体層13におけ
るマスク膜12Cの1つの開口部12a上に位置する部
分を照射することができる。
【0090】第2の実施形態の特徴として、レーザ光の
出射周期を開口部12aの形成位置に同期して照射して
いる。具体的には、前述したように隣接する開口部12
a同士の中心位置の距離は約30μmであり、パルス周
波数が50kHzであることから、走査速度を150c
m/sとすることにより、ドット状で且つ列状に配置さ
れた開口部12aの位置に同期してパルス照射を行なう
ことができる。このとき、図4に示した画像認識部5か
らの位置情報をスキャンレンズ2にフィードバックし
て、照射位置を微調整しながらレーザ光の照射を行なう
ことが好ましい。
【0091】前述したように、半導体層13は、照射さ
れたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス
幅が約30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体
層13はレーザ光が照射された部分が局所的に加熱され
る。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の
照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガス
とを生じる。
【0092】第2の実施形態においては、母材基板11
のレーザ照射位置である開口部12aの周囲には、マス
ク膜12Cが形成されているため、第1の実施形態と同
様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照
射によって、半導体層13と母材基板11との開口部1
2aにおける接合部分が熱分解されると、半導体層13
に生じている応力は、互いの結合力が小さいマスク膜1
2Cと半導体層13とが適当な形状で分離することによ
り解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガ
スは、マスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で
分離することにより発散される。
【0093】このような剥離のメカニズムにより、第2
の実施形態においては、レーザ照射中に半導体層13に
対して、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するク
ラックが生じない。
【0094】従って、図7(b)に示すように、半導体
層13と母材基板11とのマスク膜12Cの複数の開口
部12aにおける接合界面のすべてにレーザ光を照射す
ることにより、半導体層13は母材基板11から剥離す
る。
【0095】次に、図7(c)に示すように、塩化水素
によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層
13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研
磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導
体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このとき
の窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2イ
ンチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや
周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0096】以上説明したように、第2の実施形態によ
ると、半導体層13と母材基板11との界面にのみ選択
的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層1
3の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射
時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループット
を向上することができる。
【0097】その上、ドット状の複数の開口部12aが
分散して配置されているため、1つの開口部12aに対
して1つのレーザパルスを照射することにより、半導体
層13における開口部12aから露出する母材基板11
との界面を局所的に加熱して剥離している。その結果、
レーザの照射位置が互いに重なるように照射する必要が
なくなるため、第1の実施形態と比べても、レーザ光の
照射時間をさらに短縮することができる。
【0098】具体的には、第2の実施形態においては、
ビーム径が約20μmのレーザ光を用い、径が約5.1
cmの半導体層13に対してわずか約1分30秒でレー
ザ光の照射を終了することができる。一方、従来の照射
方法では、前述したように、レーザ光の照射工程に30
分程度の時間を要しており、第2の実施形態に係る製造
方法は、レーザ照射工程の著しい短縮を可能とする。
【0099】また、第2の実施形態においては、マスク
膜12Cに設ける複数の開口部12aを周期的なドット
パターンとしているため、レーザ光の光軸の走査が単純
化されるので、効率的にレーザ照射を行なうことができ
る。
【0100】また、第2の実施形態においては、窒化ガ
リウムからなる半導体層13を、母材基板11の主面上
に形成された複数の開口部12aを有するマスク膜12
Cを介して埋め込み成長しているため、半導体層13の
表面における貫通欠陥密度は約1×106 cm-2であ
る。
【0101】以上示したように、第2の実施形態による
と、半導体層13に対するレーザ照射時間を約1分30
秒と著しく低減できる上に、欠陥密度が著しく低減した
領域を有する窒化物半導体基板13Aを得ることができ
る。
【0102】なお、第2の実施形態においては、マスク
膜12Cに形成する各開口部12aの平面形状を円形状
としたが、レーザ光のビーム径に納まる形状であれば、
その平面形状は問われない。
【0103】また、開口部12aの配置パターンは、よ
り好ましくは、図6に示したように、各開口部12aが
配置される辺の方向が、窒化ガリウムの面方位の{1−
101}面と一致するように構成するのが良い。
【0104】また、第2の実施形態においては、各開口
部12aの配置パターンを、正三角形が最密に並んだ場
合の各正三角形の頂点の位置としたが、他の配置パター
ンであっても、レーザ照射される面積を少なくして、レ
ーザ照射工程を短縮することができる。
【0105】さらに、この場合において、前述したよう
に、成長する窒化ガリウムの{1−101}面同士が合
体するように開口部12aを配置することが好ましい。
また、この場合においても、マスク膜12Cに開口部1
2aを周期的に配置することにより、レーザ光の光軸の
走査を単純化することが、より好ましい。
【0106】また、第2の実施形態においては、マスク
膜12Cの開口部12aの開口径を約10μm、開口部
12a同士の中心位置の距離を約30μmとしたが、開
口部12aの配置及び寸法には、好ましい範囲がある。
【0107】まず、開口部12a同士の中心位置の距離
は、半導体層13の厚さ程度以下とすることが好まし
く、第2の実施形態においては、約200μm以下とす
るのが良い。なお、開口部12a同士の中心位置の距離
は、互いに隣接する開口部12aの開口端同士の間隔と
みなしても、実質的に問題はない。
【0108】さらに、開口部12a同士の中心位置の距
離は、半導体層13にクラックが導入されない程度に大
きくすることが好ましく、1μm以上とすることが好ま
しい。
【0109】一方、開口部12aの開口径においても、
クラックが伸展しない程度以下とすることが好ましく、
開口部12a同士の中心位置の距離の10倍以下とする
ことが好ましい。なお、開口径の下限は、特に限定され
ないが、第2の実施形態においては、レーザ照射の位置
合わせに可視光を用いているため、視認性を確保する必
要から、1μm以上とすることが好ましい。
【0110】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0111】図8(a)〜図8(c)及び図9(a)〜
図9(c)は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導
体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0112】第3の実施形態は、マスク膜における開口
部に対するレーザの照射方法を変えている。ここでは、
第2の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付し
ている。
【0113】まず、図8(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0114】(マスク膜形成工程)次に、図8(b)に
示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするR
Fスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが
約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク
形成膜12Aを堆積する。
【0115】次に、図8(c)に示すように、フォトリ
ソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法
により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを
有するマスク膜12Cを形成する。この場合の開口部1
2aのパターンも図6に示したパターンと同様の、正三
角形の最密配置である。
【0116】(窒化物半導体成長工程)次に、図9
(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アン
モニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法によ
り、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11
の主面上に、マスク膜12Cを介して窒化ガリウムから
なる半導体層13を成長する。このとき、母材基板11
におけるマスク膜12Cの開口部12aの露出部分から
半導体層13が成長し始める。続いて、半導体層13は
開口部12aから該開口部12a同士の間の領域上に張
り出し、さらにその表面が平坦化するまで成長させる。
その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導
体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、
図9(a)に示すように母材基板11に反りが生じる。
このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほとんど
依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0117】(レーザ照射工程)第3の実施形態におい
ては、図4に示したレーザ照射装置におけるレーザ出射
部1の出力値を大きくしている。レーザ光には、波長が
355nmのNd:YAGレーザの3次高調波を用い
る。レーザ光が高出力であるため、レーザ光のビーム径
を5mm程度にまで大きくしても、約1.0J/cm2
の光密度を得ることができる。但し、パルス周期は高出
力であるために小さく、約10Hzである。パルス幅は
約10nsとしており、母材基板11と半導体層13と
の界面を局所的に加熱するのに十分なパルス幅である。
【0118】ここでも、サファイアはレーザ光に対して
透明であるため、母材基板11の裏面側から該母材基板
11を通して半導体層13にレーザ光を照射する。
【0119】レーザ光の半導体層13に対する照射は、
少なくとも半導体層13と母材基板11との界面をすべ
て照射する必要があるため、ここでは、半導体層13の
全面にわたって照射する。具体的には、照射部分が2m
mずつ重なるように、母材基板11の周縁部から内側に
向かって順次照射する。なお、レーザ光の走査時の線速
度を約30cm/sとすることにより、2mmずつ照射
位置を重ねることができる。すなわち、母材基板11の
外縁部に沿ってレーザ照射を行ない、1周分のレーザ照
射を終えると照射位置を3mmだけ母材基板11の内側
にずらすことにより、半径方向の照射位置を2mmずつ
重ねることができる。
【0120】前述したように、半導体層13は、照射さ
れたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス
幅が約10nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体
層13は、レーザ光が照射された部分が局所的に加熱さ
れる。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光
の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガ
スとを生じる。
【0121】第3の実施形態においては、母材基板11
のレーザ照射位置である開口部12aの周囲には、マス
ク膜12Cが形成されているため、第1の実施形態と同
様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照
射によって、半導体層13と母材基板11との開口部1
2aにおける接合部分が熱分解されると、半導体層13
に生じている応力は、互いの結合力が小さいマスク膜1
2Cと半導体層13とが適当な形状で分離することによ
り解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガ
スは、マスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で
分離することにより発散される。
【0122】従って、図9(b)に示すように、半導体
層13と母材基板11との接合部分のすべてに対してレ
ーザ光を照射することにより、半導体層13を母材基板
11から剥離することができる。
【0123】次に、図9(c)に示すように、塩化水素
によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層
13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研
磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導
体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このとき
の窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2イ
ンチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや
周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0124】以上説明したように、第3の実施形態によ
ると、母材基板11の主面上に設けたマスク膜12Cの
開口部12aは約30μmの間隔で分散して形成されて
いるが、照射するレーザ光のビーム径が5mmと大きい
ため、一度に約1万個以上の開口部12aに対して照射
できるので、照射時間を著しく低減することができる。
具体的には、第3の実施形態においては、径が約5.1
cmの半導体層13に対してわずか1分程度でレーザ照
射を終えることができる。
【0125】また、レーザ光の照射径を大きくしても、
レーザ光による熱応力によって、半導体層13にクラッ
クが導入されたり、割れたりすることはない。その上、
母材基板11の主面上にマスク膜12Cを介して、窒化
ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長している
ため、半導体層13の表面における欠陥密度は約1×1
6 cm-2である。
【0126】このように、第3の実施形態によると、レ
ーザ光の照射径を大きくすることにより、レーザ光の照
射時間を著しく低減できる上に、成長する半導体層13
にクラックや割れが導入されず、欠陥密度が著しく減少
した窒化物半導体基板を得ることができる。
【0127】なお、第3の実施形態においては、半導体
層13の全面に対してレーザ光の照射を行なっている
が、半導体層13におけるマスク膜12Cの開口部12
aからの露出部分のみを照射すれば良い。その場合に
は、半導体層13の全面を照射する場合と比べて、レー
ザ光の照射時間を短くすることができる。
【0128】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0129】図10(a)〜図10(d)乃至図14
(a)〜図14(c)は本発明の第4の実施形態に係る
窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示し
ている。
【0130】第4の実施形態は、母材基板の主面に凹凸
状領域を形成し、形成した凹凸状領域のうち凸部領域の
頂面を開口する開口部を持つようにマスク膜を形成する
構成とする。ここでは、第1の実施形態と同一の構成部
材には同一の符号を付している。
【0131】まず、図10(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0132】(母材基板加工工程)次に、図10(b)
に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板
11の主面上に、厚さが約2μm、幅が約10μm及び
間隔が約30μmのストライプ状の第1のレジストパタ
ーン31を形成する。このときのストライプの方向は、
サファイアの晶帯軸の<1−100>方向である。
【0133】次に、図10(c)に示すように、例えば
反応性イオンエッチング(RIE)法により、第1のレ
ジストパターン31をマスクとして母材基板11に対し
てエッチングを行なう。エッチングガスには塩素(Cl
2 )ガスを用い、約5Paの圧力で出力値が約200W
のプラズマを発生し、1時間程度のエッチングを行なっ
て、母材基板11の主面に、深さが約1μmのストライ
プ状の凹状溝11aを形成する。
【0134】なお、本工程においては、200W程度の
出力のプラズマを用いているため、第1のレジストパタ
ーン31の両側部はエッチングされて、それぞれ丸みが
生じている。
【0135】次に、図10(d)に示すように、第1の
レジストパターン31を除去すると、主面が凹凸状の凹
凸状領域20を有する母材基板11を得ることができ
る。
【0136】ここで、図11(a)及び図11(b)を
用いて凹凸状領域20の詳細を説明する。図11(a)
は凹凸状領域20の平面構成を示し、図11(b)は図
11(a)のXIb−XIb線における断面構成を示してい
る。
【0137】図11(b)に示すように、凹状溝11a
の幅は底部において約30μmであり、該凹状溝11a
同士に挟まれてなる凸部領域11bの幅は下部において
約10μmである。ここで、凸部領域11bにおける両
側面はその上部が下部に対して約0.5μmずつ小さく
なるようにサイドエッチングされている。
【0138】また、図11(a)に示すように、凹状溝
11a、すなわち凸部領域11bが延びる方向は、サフ
ァイアの晶帯軸の<1−100>方向である。以下、凸
部領域11bが延びる方向をストライプ方向と呼ぶ。
【0139】(マスク膜形成工程)次に、図12(a)
に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとする
RFスパッタ法により、母材基板11の凹凸状領域20
の上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2
からなるマスク形成膜12Aを堆積する。ここで、前述
したように、第1のレジストパターン31をRIE用の
マスクとしたため、母材基板11の凸部領域11bの両
側面はサイドエッチングされて傾斜している。このた
め、マスク形成膜12Aは凸部領域11bの頂部の各角
部において段切れを起こさずに堆積することができる。
【0140】次に、図12(b)に示すように、母材基
板11のマスク形成膜12Aの上の全面にレジスト膜3
2Aをスピンコートする。具体的には、レジスト膜32
Aには、粘性が約20cp以下のレジスト材を用いると
共に、凹凸状領域20が埋まる程度の回転数でスピンコ
ートを行なう。このように、レジスト膜32Aの粘性が
比較的に小さいため、レジスト膜32Aの表面はほぼ平
坦となる。その後、該レジスト膜32Aを100℃程度
の温度でベーキングして乾燥させる。
【0141】次に、図12(c)に示すように、出力値
が約50Wの酸素プラズマを用いたRIEにより、レジ
スト膜32Aに対して、マスク形成膜12Aにおける凸
部領域11bの頂面上に位置する部分が露出するまでエ
ッチングを行なう。これにより、エッチングされたレジ
スト膜32Aから、凹状溝11aを埋めると共にマスク
形成膜12Aを覆う第2のレジストパターン32Bが形
成される。マスク形成膜12Aは酸化ケイ素からなるた
め、レジスト膜32Aのマスク形成膜12Aに対するエ
ッチング選択比の値は大きい。従って、酸素プラズマに
よってマスク形成膜12Aはほとんどエッチングされる
ことがない。
【0142】次に、図12(d)に示すように、第2の
レジストパターン32Bをマスクとして、フッ酸を含む
溶液によりマスク形成膜12Aに対してエッチングを行
なうことにより、マスク形成膜12Aから、母材基板1
1における凸部領域11bの頂面を開口するストライプ
状の開口部12aを有するマスク膜12Bが形成され
る。その後、第2のレジストパターン32Bを有機溶剤
等により除去する。
【0143】このように、第4の実施形態に係るマスク
膜形成工程によると、フォトリソグラフィ法を用いるこ
となく、マスク膜12Bの開口部12aを自己整合的に
形成するため、開口部12aにマスクずれ等が生じるこ
とがない。従って、母材基板11の主面に形成した凹凸
状領域20の各凸部領域11bの頂面のみを露出するマ
スク膜12Bを確実に形成することができる。
【0144】(窒化物半導体成長工程)次に、図13
(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アン
モニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法によ
り、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11
の主面上に、マスク膜12Bを介して窒化ガリウムから
なる半導体層13を成長する。このとき、半導体層13
は、酸化ケイ素からなるマスク膜12B上には成長しな
いため、母材基板11におけるマスク膜12Bの開口部
12aからの露出部分、すなわち凸部領域11bの頂面
から成長する。さらに成長を続けると、半導体層13
は、凸部領域11bの頂面から基板面に平行な方向(横
方向)に、マスク膜12Bと接することなく成長する。
このとき、半導体層13の凸部領域11bの頂面から横
方向に成長した部分の側面は、窒化ガリウム結晶の面方
位の{1−101}面となる。
【0145】次に、図13(b)に示すように、半導体
層13をさらに、厚さが200μm程度になるまで成長
させる。これにより、表面が平坦な半導体層13を得る
と共に、成長した半導体層13とマスク膜12Bとの間
には空隙21が形成される。
【0146】このように、第4の実施形態においては、
半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、母材基板
11における凸部領域11bのストライプ方向を設定し
ているため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに
選択成長を行なうことが、一層容易となる。
【0147】次に、図13(c)に示すように、室温付
近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材
基板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に
反りが生じる。
【0148】第4の実施形態においては、母材基板11
と半導体層13とが界面の全面で接合している場合と比
べて、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けて
いるため、生じる反りが小さくなる。例えば、ストライ
プ方向の曲率半径が80cm程度となり、該ストライプ
方向と基板面内で垂直な方向の曲率半径が1m程度とな
る。なお、前述したように、母材基板11の主面上にマ
スク膜12Bを設けないで半導体層13を成長し、その
後の母材基板11の曲率半径を調べると60cm程度で
あった。
【0149】(レーザ照射工程)第4の実施形態におい
ても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件
も第1の実施形態と同等としている。例えば、レーザ光
のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパル
ス周期は約50kHzである。
【0150】図14(b)はレーザ照射工程の途中段階
における母材基板11の断面構成を示している。
【0151】半導体層13はレーザ光を吸収して加熱さ
れる。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度
が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された
部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せず
に、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この
局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層1
3におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウ
ム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0152】前述したように、ガリウム層13aは25
℃以上の温度では液体であり、それ以下の温度でも非常
に軟らかい材料であるため、ガリウム層13aを介した
母材基板11と半導体層13との結合力は極めて小さく
なる。その結果、熱膨張係数差による応力が、母材基板
11の各凸部領域11bと半導体層13との接合部分に
集中する。
【0153】また、半導体層13の熱分解によって窒素
ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及
びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態と
なる。しかしながら、第4の実施形態においては、レー
ザ光の照射位置である凸部領域11bの周囲に空隙21
が形成されているため、レーザ光の照射によって、半導
体層13と母材基板11との接合部分が分解されると、
半導体層13に生じた応力は空隙21が広がることによ
り解放される。その上、発生した高圧の窒素ガスは、空
隙21に発散される。
【0154】さらに、第4の実施形態においては、成長
した半導体層13とマスク膜12Bとの間に空隙21を
設けることにより、レーザ光を照射した際に発生する熱
を、半導体層13と母材基板11との界面に集中させる
ことができる。これにより、半導体層13を熱分解させ
る際に必要なレーザ光の光密度を低減できるため、より
低コストな低出力のレーザ光源を用いたとしても、半導
体層13を母材基板から確実に剥離することができるよ
うになる。このとき、レーザ照射中の半導体層13に
は、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラッ
クが生じることがない。
【0155】従って、図14(b)に示すように、半導
体層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ
光を照射することにより、半導体層13は母材基板11
から剥離する。
【0156】次に、図14(c)に示すように、塩化水
素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体
層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を
研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半
導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このと
きの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2
インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラック
や周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在す
る。
【0157】以上説明したように、第4の実施形態によ
ると、半導体層13における母材基板11の主面上に設
けたマスク膜12Bの開口部12aから露出する凸部領
域11bにのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来
のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比
べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射
工程のスループットを向上することができる。
【0158】第4の実施形態においては、母材基板11
の凸部領域11bの面積の和は母材基板11の面積の4
分の1であるため、レーザ光の照射時間は少なくとも4
分の1とすることができる。
【0159】実際に、母材基板11の主面の全面に対し
てレーザ光を照射する場合には、母材基板11の主面を
xy平面とすると、x方向とy方向との双方でレーザ光
の照射位置が重なるように照射する。具体的には、ビー
ム径が20μmのレーザ光を用いて、照射位置が互いに
10μm程度重なるようにした場合に、主面の全面を1
0μm程度重なるように照射すると、レーザ光の照射工
程に、30分程度もの時間が必要となる。
【0160】これに対し、第4の実施形態においては、
x方向にのみレーザ光の照射位置が重なるように照射す
れば良い。従って、レーザ光を10μm程度重なるよう
に照射した場合には、径が約5.1cmの母材基板11
に対して4分程度で照射し終える。このように、従来と
比べて、レーザ光の照射時間は4分の1以下にまで短縮
することができる。
【0161】また、マスク膜12Bの開口部12aから
露出する、母材基板11の凸部領域11bがストライプ
状に延びているため、レーザ光の光軸の走査が単純化さ
れるので、効率的に照射を行なうことができる。
【0162】また、ストライプ状の開口部12aを有す
るマスク膜12Bを介して、母材基板11の主面上に、
窒化ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長して
いるため、半導体層13の表面における貫通欠陥の密度
は約1×106 cm-2である。
【0163】このように、第4の実施形態によると、レ
ーザ光の照射時間を4分の1以下と著しく低減できる上
に、欠陥密度をも低減された窒化物半導体基板13Aを
確実に得ることができる。
【0164】なお、第4の実施形態においては、母材基
板11の凹凸状領域20をRIE法により形成したが、
該凹凸状領域20の形成条件及び形成方法は、これに限
定されない。例えば、イオンミリング法又は電子サイク
ロトロン共鳴(ECR)エッチング法等の用いることが
できる。
【0165】また、第1のレジストパターン31をレジ
スト材により形成する代わりに、金若しくはニッケル等
の金属、又は酸化ケイ素若しくは窒化ケイ素等の誘電体
等からなり、エッチング雰囲気で著しく腐食しない材料
を用いることができる。
【0166】また、母材基板11上に設けた凹凸状領域
20の凹状溝11aの深さを約1μmとしたが、浅くし
過ぎると、成長する半導体層13とマスク膜12Bとが
接触する場合がある。但し、半導体層13とマスク膜1
2Bとが接触する部分が生じたとしても、第1の実施形
態と同様の効果を得ることができる。一方、凹状溝11
aの深さを大きくすると、マスク形成膜12Aの上にレ
ジスト膜32Aを塗布しても、マスク形成膜12A上の
凹凸状領域20がレジスト膜32Aによって平坦に埋め
込まれない虞がある。但し、このような場合には、レジ
スト膜32Aの塗布及びベーキングを、該レジスト膜3
2Aの表面が平坦となるまで繰り返せば良い。従って、
半導体層13とマスク膜12Bとが接触しないために
は、凹状溝11aの深さは大きい方が好ましく、約0.
05μm以上とするのが好ましい。
【0167】また、第4の実施形態においては、マスク
膜12Bの厚さを約0.1μmとしたが、マスク膜12
Bの厚さはこれに限定されず、母材基板11の主面を覆
うことが可能な連続的な膜であればよい。但し、母材基
板11の凹凸状領域20の凸状領域11bの側面がサイ
ドエッチングされたような、好ましい斜面形状であれ
ば、マスク膜12Bの厚さは、0.001μm以上でよ
い。従って、凸部領域11bの側面が基板面に対してほ
ぼ垂直である場合には、マスク形成膜12Bが段切れを
起こさない程度に厚くする必要があることはいうまでも
ない。但し、マスク膜12Bの厚さを凹状溝11aの深
さよりも大きくすると、空隙21が形成されなくなる。
【0168】なお、第4の実施形態においては、母材基
板11上において、凸部領域11bのストライプ方向を
サファイアの晶帯軸の<1−100>方向としたが、母
材基板11の材料によっては、窒化ガリウムからなる半
導体層13の結晶面の面方位が異なる場合がある。その
ような場合は、半導体層13における晶帯軸の<11−
20>方向にストライプ方向を一致させることが好まし
い。
【0169】例えば、母材基板11として、炭化ケイ素
(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場
合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層
13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するた
め、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ま
しい。
【0170】なお、第4の実施形態においては、凹状溝
11aの幅を約30μmとし、凸部領域11bの幅を約
10μmとしたが、これらの寸法には好ましい範囲があ
る。
【0171】まず、凹状溝11aの幅の上限は、半導体
層13による凹状溝11aの被覆成長により規制され
る。すなわち、凹状溝11aの幅が小さい方が被覆成長
するのに必要な面積が小さくなるため、半導体層13の
厚さが比較的に小さい場合でもマスク膜12Bを覆うこ
とができる。従って、凹状溝11aの幅は半導体層13
厚さとほぼ同程度かそれ以下とすることが好ましく、第
4の実施形態では、200μm程度かそれ以下とするの
が良い。
【0172】これに対し、凹状溝11aの幅の下限は、
レーザ照射時に半導体層13に導入されるクラックと関
係する。すなわち、凹状溝11aの幅を極端に小さくす
ると、空隙21が変形することによる応力の緩和が生じ
にくくなる虞がある。従って、凹状溝11aの幅は約1
μm以上とすることが好ましい。
【0173】また、凸部領域11bの幅の上限も、クラ
ックの発生と関係する。すなわち、凸部領域11bの幅
の10倍以下とすることが好ましい。一方、凸部領域1
1bの幅の下限については、特に限定されないが、第4
の実施形態においては、レーザ照射の位置合わせに可視
光を用いることから、視認性を確保するため約1μm以
上とすることが好ましい。
【0174】なお、第4の実施形態においては、母材基
板11の主面に設けた凸部領域11bをストライプパタ
ーンとしたが、他のパターンでも、直線状に連続するパ
ターンであれば、レーザ光の光軸の走査が単純化されて
好ましい。さらに、渦巻状のような一筆書きパターンと
すると、1回の走査で半導体層13の全体をレーザ照射
できるため好ましい。なお、この場合においても、凸部
領域11bの側面の面方位は、窒化ガリウムの{1−1
01}面と一致するように形成することが、より好まし
い。
【0175】(第5の実施形態)以下、本発明の第5の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0176】図15(a)〜図15(e)乃至図17
(a)〜図17(d)は本発明の第5の実施形態に係る
窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示し
ている。
【0177】第5の実施形態は、母材基板の主面に設け
る凹凸状領域の凸部の形状をストライプパターンに代え
てドットパターンとしている。ここでは、第4の実施形
態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0178】まず、図15(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0179】(母材基板加工工程)次に、図15(b)
に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板
11の主面上に、1つの径が約10μmで、隣接同士の
中心位置の距離が約30μmのドットパターンを有する
レジストパターン33を形成する。
【0180】レジストパターン33は、図16の平面図
に示すように、一辺が30μmの正三角形を最密に並べ
たときの各正三角形の頂点の位置に配置されている。こ
のときの正三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−
100}面と一致するようにパターニングされている。
なお、母材基板11の周縁部において、ドットパターン
が欠けていると、欠けた部分において半導体層13は良
好に成長しない虞があるため、母材基板11の周縁部に
はドットパターンを配置しないようにしている。
【0181】次に、図15(c)に示すように、第4の
実施形態と同等の条件のRIE法により、レジストパタ
ーン33をマスクとして母材基板11に対してエッチン
グを行なって、母材基板11の主面が1μm程度の深さ
に掘り下げられてなる低部11dを形成する。
【0182】次に、図15(d)に示すように、レジス
トパターン33を除去することにより、該レジストパタ
ーン33が転写されてなり、それぞれがドット状を有す
る複数の凸部11eを形成する。凸部11eの断面形状
は図11(b)とほぼ同等であり、凸部11eの幅は約
10μmである。凸部11eの側面は上部の径が下部の
径よりも約0.5μm小さくなるサイドエッチングがな
されている。また、隣接する凸部11e同士の中心位置
の距離は約30μmである。これにより、母材基板11
の主面には、凹部に相当する低部11dと凸部11eと
からなる凹凸状領域20を形成する(マスク膜形成工
程)次に、図15(e)に示すように、アルゴン(A
r)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材
基板11の凹凸状領域20の上に、厚さが約0.1μm
の酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12A
を堆積する。
【0183】次に、図17(a)に示すように、マスク
形成膜12Aに対して選択的にエッチングを行なって、
マスク形成膜12Aから、母材基板11の凸部11eの
頂面を露出する複数の開口部12aを有するマスク膜1
2Cを形成する。開口部12aの形成方法は、図示はし
ないが第4の実施形態と同様である。すなわち、レジス
ト膜をマスク形成膜12A上に平坦化されるようにスピ
ンコートし、その後、酸素プラズマによるRIEによる
エッチバックを行なって、レジスト膜を低部11d上に
のみ残す。その後、残されたレジスト膜をマスクとし
て、フッ酸を含む溶液によりマスク形成膜12Aに対し
てエッチングを行なうことにより、マスク形成膜12A
から、母材基板11の凸部11eの頂面を開口するドッ
ト状の開口部12aを有するマスク膜12Cが形成され
る。残されたレジスト膜を除去すると、図17(a)に
示す状態を得る。
【0184】(窒化物半導体成長工程)次に、図17
(b)に示すように、アンモニアと塩化ガリウムとを原
料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条
件により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、窒化
ガリウムからなる半導体層13を成長する。
【0185】マスク膜12Cの各開口部12aから露出
する凸部11eの頂面の平面形状は円形(ドット)状で
あるが、各開口部12aを図16のように配置してお
り、窒化ガリウムの{1−101}面の成長速度は比較
的に小さい。このため、厚さが1μm程度の半導体層1
3を成長した段階のマスク膜12C上には、半導体層1
3における互いに隣接する3つの開口部12aからの張
り出し部分によって6つの{1−101}面に囲まれた
空隙が生じる。さらに、成長し続けると、各開口部12
aから周囲に張り出す窒化ガリウムが{1−101}面
で合体して、その結果、マスク膜12Cは空隙21が形
成されるように覆われる。マスク膜12Cが半導体層1
3により覆われた後も、該半導体層13の厚さが約20
0μmとなるまで成長させると、半導体層13の表面は
平坦となる。その後、室温付近にまで基板温度を降下さ
せると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の
差によって、図17(b)に示すように母材基板11に
反りが生じる。このときに生じた反りは、基板面上の方
向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m程度とな
る。
【0186】(レーザ照射工程)第5の実施形態におい
ても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件
も同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約2
0μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50k
Hzである。このとき、母材基板11の凸部11eの頂
面の径は約10μmであり、ビーム径の約20μmより
も小さいため、1回のパルス照射で、半導体層13にお
ける1つの凸部11eとの界面を照射することができ
る。
【0187】第5の実施形態の特徴として、レーザ光の
出射周期を凸部11eの形成位置に同期して照射してい
る。具体的には、前述したように隣接する凸部11e同
士の中心位置の距離は約30μmであり、パルス周波数
が50kHzであることから、走査速度を150cm/
sとすることにより、列状に配置された凸部11eの位
置に同期してパルス照射を行なうことができる。このと
き、図4に示した画像認識部5からの位置情報をスキャ
ンレンズ2にフィードバックして、照射位置を微調整し
ながらレーザ光の照射を行なうことが好ましい。
【0188】前述したように、半導体層13は、照射さ
れたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス
幅が約30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体
層13はレーザ光が照射された部分が局所的に加熱され
る。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の
照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガス
とを生じる。
【0189】第5の実施形態においては、母材基板11
のレーザ照射位置である母材基板11の凸部11eの周
囲には、マスク膜12Cが形成されているため、第4の
実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、
レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11
の凸部11eとの接合部分が熱分解されると、半導体層
13に生じている応力は、空隙21が適当な形状で分離
することにより解放される。また、熱分解により生じた
高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0190】このような剥離のメカニズムにより、第5
の実施形態においては、レーザ照射中に半導体層13に
対して、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するク
ラックが生じない。
【0191】従って、図17(c)に示すように、半導
体層13と母材基板11の凸部11eとの接合界面のす
べてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は
母材基板11から剥離する。
【0192】次に、図17(d)に示すように、塩化水
素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体
層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を
研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半
導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このと
きの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2
インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラック
や周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在す
る。
【0193】以上説明したように、第5の実施形態によ
ると、半導体層13と母材基板11との界面にのみ選択
的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層1
3の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射
時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループット
を向上することができる。
【0194】その上、母材基板11の主面にドット状の
複数の凸部11eが分散して配置されているため、1つ
の凸部11eに対して1つのレーザパルスを照射するこ
とにより、半導体層13と母材基板11の凸部11eと
の界面を局所的に加熱して剥離している。その結果、レ
ーザの照射位置が互いに重なるように照射する必要がな
くなるため、第4の実施形態と比べても、レーザ光の照
射時間をさらに短縮することができる。
【0195】具体的には、第5の実施形態においては、
ビーム径が約20μmのレーザ光を用い、径が約5.1
cmの半導体層13に対してわずか約1分30秒でレー
ザ光の照射を終了することができる。一方、従来の照射
方法では、前述したように、レーザ光の照射工程に30
分程度の時間を要しており、第5の実施形態に係る製造
方法は、レーザ照射工程の著しい短縮を可能とする。
【0196】また、母材基板11の複数の凸部11eを
周期的なドットパターンとしているため、レーザ光の光
軸の走査が単純化されるので、効率的にレーザ照射を行
なうことができる。
【0197】また、第5の実施形態においては、窒化ガ
リウムからなる半導体層13を、母材基板11の主面上
に形成された開口部12aを有するマスク膜12Cを介
して埋め込み成長しているため、半導体層13の表面に
おける貫通欠陥密度は約1×106 cm-2である。
【0198】以上示したように、第5の実施形態による
と、半導体層13に対するレーザ照射時間を約1分30
秒と著しく低減できる上に、欠陥密度が著しく低減した
領域を有する窒化物半導体基板13Aを得ることができ
る。
【0199】なお、母材基板11の凸部11eの凸部の
頂面の形状を円形状としたが、レーザ光のビーム径に納
まる形状であれば、その平面形状は問われない。
【0200】また、凸部11eの配置パターンは、より
好ましくは、図16に示したように、各凸部11eが配
置される辺の方向が、窒化ガリウムの面方位の{1−1
01}面と一致するように構成するのが良い。
【0201】また、第5の実施形態においては、各凸部
11eの配置パターンを、正三角形が最密に並んだ場合
の各正三角形の頂点の位置としたが、他の配置パターン
であっても、レーザ照射される面積を少なくして、レー
ザ照射工程を短縮することができる。
【0202】さらに、この場合において、前述したよう
に、成長する窒化ガリウムの{1−101}面同士が合
体するように凸部11eを配置することが好ましい。ま
た、この場合においても、母材基板11の主面に凸部1
1eを周期的に配置することにより、レーザ光の光軸の
走査を単純化することが、より好ましい。
【0203】また、第5の実施形態においては、凹凸状
領域20における凸部11eの径を約10μm、凸部1
1e同士の中心位置の距離を約30μmとしたが、凸部
11eの配置及び寸法には、それぞれ好ましい範囲があ
る。
【0204】まず、開口部12a同士の中心位置の距離
は、半導体層13の厚さ程度以下とすることが好まし
く、第5の実施形態においては、約200μm以下とす
るのが良い。なお、凸部11e同士の中心位置の距離
は、互いに隣接する凸部11e同士の側面同士の間隔と
みなしても、実質的に問題はない。
【0205】さらに、凸部11e同士の中心位置の距離
は、半導体層13にクラックが導入されない程度に大き
くすることが好ましく、1μm以上とすることが好まし
い。
【0206】一方、凸部11eの径の上限は、クラック
が半導体層13に伸展しない程度以下とすることが好ま
しく、凸部11e同士の中心位置の距離の10倍以下と
することが好ましい。なお、凸部11eの径の下限は、
特に限定されないが、第5の実施形態においては、レー
ザ照射の位置合わせに可視光を用いているため、視認性
を確保する必要から、1μm以上とすることが好まし
い。
【0207】(第6の実施形態)以下、本発明の第6の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0208】図18(a)〜図18(e)及び図19
(a)〜図19(d)は本発明の第6の実施形態に係る
窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示し
ている。
【0209】第6の実施形態は、母材基板の主面に形成
した凹凸状領域の凸部に対するレーザの照射方法を変え
ている。ここでは、第5の実施形態と同一の構成部材に
は同一の符号を付している。
【0210】まず、図18(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0211】(母材基板加工工程)次に、図18(b)
に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板
11の主面上に、1つの径が約10μmで隣接間の中心
位置の距離が約30μmのドットパターンを有するレジ
ストパターン33を形成する。
【0212】レジストパターン33は、図16の平面図
に示すように、一辺が30μmの正三角形を最密に並べ
たときの各正三角形の頂点の位置に配置されている。こ
のときの正三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−
101}面と一致するようにパターニングされている。
【0213】次に、図18(c)に示すように、第4の
実施形態と同等の条件のRIE法により、レジストパタ
ーン33をマスクとして母材基板11に対してエッチン
グを行なって、母材基板11の主面が1μm程度の深さ
に掘り下げられてなる低部11dを形成する。
【0214】次に、図18(d)に示すように、レジス
トパターン33を除去することにより、該レジストパタ
ーン33が転写されてなり、それぞれがドット状を有す
る複数の凸部11eを形成する。凸部11eの断面形状
は図11(b)とほぼ同等であり、凸部11eの幅は約
10μmである。凸部11eの側面は上部の径が下部の
径よりも約0.5μm小さくなるサイドエッチングがな
されている。また、隣接する凸部11e同士の中心位置
の距離は約30μmである。これにより、母材基板11
の主面には、凹部に相当する低部11dと凸部11eと
からなる凹凸状領域20を形成する。
【0215】(マスク膜形成工程)次に、図18(e)
に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとする
RFスパッタ法により、母材基板11の凹凸状領域20
の上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2
からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0216】次に、図19(a)に示すように、第4の
実施形態と同様の方法により、マスク形成膜12Aに対
して選択的にエッチングを行なって、マスク形成膜12
Aから、母材基板11の凸部11eの頂面を露出する複
数の開口部12aを有するマスク膜12Cを形成する。
【0217】(窒化物半導体成長工程)次に、図19
(b)に示すように、アンモニアと塩化ガリウムとを原
料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条
件により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、窒化
ガリウムからなる半導体層13を成長する。第5の実施
形態と同様に、半導体層13の厚さが約200μmとな
るまで成長させると、半導体層13の表面は平坦とな
る。その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、
半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によっ
て、図19(b)に示すように母材基板11に反りが生
じる。このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほ
とんど依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0218】(レーザ照射工程)第6の実施形態におい
ては、図4に示したレーザ照射装置におけるレーザ出射
部1の出力値を大きくしている。レーザ光には、波長が
355nmのNd:YAGレーザの3次高調波を用い
る。レーザ光が高出力であるため、レーザ光のビーム径
を5mm程度にまで大きくしても、約1.0J/cm2
の光密度を得ることができる。但し、パルス周期は高出
力であるために小さく、約10Hzである。パルス幅は
約10nsとしており、母材基板11と半導体層13と
の界面を局所的に加熱するのに十分なパルス幅である。
【0219】ここでも、サファイアはレーザ光に対して
透明であるため、母材基板11の裏面側から該母材基板
11を通して半導体層13にレーザ光を照射する。
【0220】レーザ光の半導体層13に対する照射は、
少なくとも半導体層13と母材基板11との界面をすべ
て照射する必要があるため、ここでは、半導体層13の
全面にわたって照射する。具体的には、照射部分が2m
mずつ重なるように、母材基板11の周縁部から内側に
向かって順次照射する。なお、レーザ光の走査時の線速
度を約30cm/sとすることにより、2mmずつ照射
位置を重ねることができる。すなわち、母材基板11の
外縁部に沿ってレーザ照射を行ない、1周分のレーザ照
射を終えると照射位置を3mmだけ母材基板11の内側
にずらすことにより、半径方向の照射位置を2mmずつ
重ねることができる。
【0221】前述したように、半導体層13は、照射さ
れたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス
幅が約10nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体
層13は、レーザ光が照射された部分が局所的に加熱さ
れる。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光
の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガ
スとを生じる。このように、レーザ光の照射によって、
半導体層13と母材基板11の凸部11eとの接合部分
が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、
空隙21が適当な形状で分離することにより解放され
る。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、空隙
21に発散される。第6の実施形態においては、母材基
板11のレーザ照射位置である母材基板11の凸部11
eの周囲には、マスク膜12Cが形成されているため、
第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。すな
わち、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基
板11の凸部11eとの接合部分が熱分解されると、半
導体層13に生じている応力は、空隙21が適当な形状
で分離することにより解放される。また、熱分解により
生じた高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0222】従って、図19(c)に示すように、半導
体層13と母材基板11との接合部分のすべてに対して
レーザ光を照射することにより、半導体層13を母材基
板11から剥離することができる。
【0223】次に、図19(d)に示すように、塩化水
素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体
層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を
研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半
導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このと
きの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2
インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラック
や周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在す
る。
【0224】以上説明したように、第6の実施形態によ
ると、母材基板11の主面上に設けた各凸部11eは約
30μmの間隔で分散して形成されているが、照射する
レーザ光のビーム径が5mmと大きいため、一度に約1
万個以上の凸部11eに対して照射できるので、照射時
間を著しく低減することができる。具体的には、第6の
実施形態においては、径が約5.1cmの半導体層13
に対してわずか1分程度でレーザ照射を終えることがで
きる。
【0225】また、レーザ光の照射径を大きくしても、
レーザ光による熱応力によって、半導体層13にクラッ
クが導入されたり、割れたりすることはない。その上、
母材基板11の主面上にマスク膜12Cを介して、窒化
ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長している
ため、半導体層13の表面における欠陥密度は約1×1
6 cm-2である。
【0226】このように、第6の実施形態によると、レ
ーザ光の照射径を大きくすることにより、レーザ光の照
射時間を著しく低減できる上に、成長する半導体層13
にクラックや割れが導入されず、欠陥密度が著しく減少
した窒化物半導体基板を得ることができる。
【0227】なお、第6の実施形態においては、半導体
層13の全面に対してレーザ光の照射を行なっている
が、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの界面
のみを照射すれば良い。その場合には、半導体層13の
全面を照射する場合と比べて、レーザ光の照射時間を短
くすることができる。
【0228】(第7の実施形態)図20(a)〜図20
(e)及び図21(a)〜図21(e)は本発明の第7
の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順
の断面構成を示している。
【0229】第7の実施形態は、母材基板の凹凸状領域
にマスク膜を形成することなく、凸部に頂面に半導体層
を選択成長する構成とする。ここでは、第4の実施形態
と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0230】まず、図20(a)に示すように、径が約
5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファ
イアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の
主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対
側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0231】(母材基板加工工程)次に、図20(b)
に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板
11の主面上に、厚さが約2μm、幅が約10μm及び
間隔が約30μmのストライプ状の第1のレジストパタ
ーン31を形成する。このときのストライプの方向は、
サファイアの晶帯軸の<1−100>方向である。
【0232】次に、図20(c)に示すように、例えば
反応性イオンエッチング(RIE)法により、第1のレ
ジストパターン31をマスクとして母材基板11に対し
てエッチングを行なう。エッチングガスには塩素(Cl
2 )ガスを用い、約5Paの圧力で出力値が約200W
のプラズマを発生し、1時間程度のエッチングを行なっ
て、母材基板11の主面に、深さが約1μmのストライ
プ状の凹状溝11aを形成する。
【0233】次に、図20(d)に示すように、第1の
レジストパターン31を除去すると、主面が凹凸状の凹
凸状領域20を有する母材基板11を得ることができ
る。
【0234】(窒化物半導体成長工程)次に、図20
(e)に示すように、GaCl処理を行なった後、アン
モニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法によ
り、第4の実施形態と同等の条件により、母材基板11
の凹凸状領域20の上に、窒化ガリウムからなる半導体
層13を直接に成長する。ここで、半導体層13は、母
材基板11の主面の面方位が(0001)面であるた
め、半導体層13においてもその(0001)面を主面
として成長する。1000℃程度の成長温度とすると、
(0001)面上における成長速度と比べて、他の面、
すなわち凸部領域11bの側面方向(横方向)における
成長速度の方が大きい。従って、母材基板11の凸部領
域11bのほぼ頂面から横方向に成長する。さらに成長
を続けると、半導体層13は、凹状溝11aの底面と接
することなく、該凹状溝12aの上方を横方向に成長す
る。このとき、半導体層13における凸部領域11bの
頂面から横方向に成長した部分の側面は、窒化ガリウム
結晶の面方位の{1−101}面となる。
【0235】次に、図21(a)に示すように、半導体
層13をさらに、厚さが200μm程度になるまで成長
させる。これにより、表面が平坦な半導体層13を得る
と共に、成長した半導体層13と母材基板11の凹状溝
11aとの間には空隙21が形成される。
【0236】このように、第7の実施形態においては、
半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、母材基板
11における凸部領域11bのストライプ方向を設定し
ているため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに
選択成長を行なうことが、一層容易となる。
【0237】次に、図21(b)に示すように、室温付
近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材
基板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に
反りが生じる。
【0238】第7の実施形態においては、母材基板11
と半導体層13とが界面の全面で接合している場合と比
べて、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けて
いるため、生じる反りが小さくなる。例えば、ストライ
プ方向の曲率半径が80cm程度となり、該ストライプ
方向と基板面内で垂直な方向の曲率半径が1m程度とな
る。
【0239】(レーザ照射工程)第7の実施形態におい
ても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件
も第1の実施形態と同等としている。例えば、レーザ光
のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパル
ス周期は約50kHzである。
【0240】図21(c)はレーザ照射工程の途中段階
における母材基板11の断面構成を示している。
【0241】半導体層13はレーザ光を吸収して加熱さ
れる。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度
が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された
部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せず
に、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この
局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層1
3におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウ
ム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0242】前述したように、熱膨張係数差による応力
が、母材基板11の各凸部領域11bと半導体層13と
の接合部分に集中する。
【0243】また、半導体層13の熱分解によって窒素
ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及
びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態と
なる。しかしながら、第7の実施形態においては、レー
ザ光の照射位置である凸部領域11bの周囲に空隙21
が形成されているため、レーザ光の照射によって、半導
体層13と母材基板11との接合部分が分解されると、
半導体層13に生じた応力は空隙21が広がることによ
り解放される。その上、発生した高圧の窒素ガスは、空
隙21に発散される。
【0244】さらに、第7の実施形態においては、成長
した半導体層13と母材基板11との間に空隙21を設
けることにより、レーザ光を照射した際に発生する熱
を、半導体層13と母材基板11との界面に集中させる
ことができる。これにより、半導体層13を熱分解させ
る際に必要なレーザ光の光密度を低減できるため、より
低コストな低出力のレーザ光源を用いたとしても、半導
体層13を母材基板から剥離することができるようにな
る。このとき、レーザ照射中の半導体層13には、母材
基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じ
ることがない。
【0245】従って、図21(d)に示すように、半導
体層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ
光を照射することにより、半導体層13は母材基板11
から剥離する。
【0246】次に、図21(c)に示すように、半導体
層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を
研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半
導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このと
きの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2
インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラック
や周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在す
る。
【0247】以上説明したように、第7の実施形態によ
ると、半導体層13における母材基板11の主面上に設
けた凹凸状領域20の凸部領域11bにのみ選択的にレ
ーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全
面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を
削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上
することができる。
【0248】また、ストライプ状の凸部領域11bにマ
スク膜を形成することなく、窒化ガリウムからなる半導
体層13を母材基板11上に直接に選択成長しているた
め、半導体層13の表面における貫通欠陥の密度は約1
×106 cm-2である。
【0249】このように、第7の実施形態においては、
凹状領域20の凹状溝11aを覆うマスク膜を設けてい
ないため、製造工程が簡単化される。
【0250】従って、第7の実施形態によると、レーザ
光の照射時間を著しく低減できる上に、欠陥密度をも低
減された窒化物半導体基板13Aを比較的容易に且つ確
実に得ることができる。
【0251】なお、半導体層13と母材基板11とが接
触しないためには、凹状溝11aの深さは大きい方が好
ましく、約0.05μm以上とするのが好ましい。
【0252】また、母材基板11上において、凸部領域
11bのストライプ方向をサファイアの晶帯軸の<1−
100>方向としたが、母材基板11の材料によって
は、窒化ガリウムからなる半導体層13の結晶面の面方
位が異なる場合がある。そのような場合は、半導体層1
3における晶帯軸の<11−20>方向にストライプ方
向を一致させることが好ましい。
【0253】例えば、母材基板11として、炭化ケイ素
(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場
合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層
13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するた
め、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ま
しい。
【0254】また、母材基板11の主面に設けた凸部領
域11bをストライプパターンとしたが、第2の実施形
態又は第5の実施形態のように、ドット状の凸部として
もよい。
【0255】ところで、以上に説明した第1〜第7の各
実施形態においては、半導体層13を窒化ガリウムとし
たが、窒化ガリウムに代えて、窒化アルミニウムガリウ
ム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGa
N)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、又
は窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGa
N)を用いても、同様の効果を得ることができ、それぞ
れの組成を有する窒化物半導体基板13Aを得られるこ
とはいうまでもない。
【0256】また、各実施形態においては、母材基板1
1にサファイアを用いたが、これに限られず、サファイ
アに代えてスピネル基板等のレーザ光に対して透明な材
料からなる母材基板を用いても同様の効果を得ることが
できる。
【0257】また、各実施形態で用いたNd:YAGの
3次高調波レーザに代えて、母材基板11に対して透明
で且つ半導体層13に吸収される波長で発振し、パルス
幅が数ms以下の短いパルス状のレーザ光を用いても同
様の効果を得ることができる。このようなレーザ光に
は、例えば、ArFレーザ、KrFレーザ、XeClレ
ーザ又は窒素レーザ等がある。
【0258】また、各実施形態においては、レーザ光の
光密度を約1.0J/cm2 としたが、レーザ光の光密
度には下限があり、半導体層13を分解できる以上の光
密度が必要である。窒化ガリウムを分解するために必要
な光密度は、半導体層13に直射した場合では、約0.
1mJ/cm2 以上である。レーザ光が半導体層13に
到達した時点では、母材基板11の表面における反射及
び散乱、及び母材基板11と半導体層13との界面にお
ける反射及び散乱等により、入射されるレーザ光のうち
の十数%は低減されていると考えられる。
【0259】また、第1〜第6の実施形態において、酸
化ケイ素からなるマスク形成膜12Aの堆積にRFスパ
ッタ法を用いたが、酸化ケイ素の堆積条件及び堆積方法
は、特に限定されず、CVD法又は蒸着法でもよい。堆
積したケイ素(Si)を熱酸化する方法等を用いてもよ
い。
【0260】また、マスク形成膜12Aは酸化ケイ素に
限られず、窒化物からなる半導体層13が直接に成長し
にくい材料であればよい。そのような材料として、例え
ば、窒化ケイ素(SiN)又はタングステン(W)が挙
げられる。
【0261】また、各実施形態において、窒化物半導体
成長工程におけるGaCl処理を15分間程度とした
が、GaCl処理には好ましい処理時間がある。GaC
l処理を極端に短くすると、サファイアからなる母材基
板11上の主面上に窒化ガリウムが成長しにくくなる。
このため、母材基板11上には、サファイアの面方位に
規制されずに、多結晶の窒化ガリウムが成長してしまう
ことがある。
【0262】これに対し、GaCl処理を極端に長くす
ると、マスク膜12Bの上にも窒化ガリウムの結晶核が
形成されてしまい、マスク膜12Bを構成する酸化ケイ
素はアモルファスであるため、ここでも、窒化ガリウム
が単結晶でなくなることがある。従って、GaCl処理
は、母材基板11に窒化ガリウムのエピタキシャル成長
が実現され、且つ、窒化ガリウムのマスク膜12B上へ
の成長が抑制される時間内で行なうことが好ましい。例
えば、第1の実施形態における条件下では、約30秒か
ら3時間である。
【0263】また、各実施形態において、半導体層13
の成長温度を約1000℃としたが、半導体層13がマ
スク膜12Bを平坦に埋め込むことができる温度範囲が
あり、例えば900℃以上とすることが好ましい。ここ
で、成長温度を高くする程、マスク膜12Bが埋め込ま
れ易くなる。これに対し、成長温度を極端に高くする
と、半導体層13の成長よりも昇華が支配的となり、半
導体層13が成長しなくなるため、各実施形態の条件下
では、成長温度の上限を約1500℃とすることが好ま
しい。
【0264】
【発明の効果】本発明に係る窒化物半導体基板の製造方
法によると、半導体層が成長する際に、マスク膜に応力
が集中するため、半導体層に生じる応力を低減すること
ができる。その結果、窒化物からなる半導体層に生じる
割れやクラックを低減することができる。その上、マス
ク膜に窒化物半導体が実質的に成長しない材料を用いて
いるため、半導体層がマスク膜の上に回り込むように成
長するので、半導体層に導入される貫通欠陥を低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示し、(a)はマス
ク膜の平面図であり、(b)は(a)のIIb−IIb線に
おける断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基
板の製造方法に用いるレーザ出射装置の模式的な構成図
である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体基
板の製造方法におけるマスク膜を示す平面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係
る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図10】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図11】(a)及び(b)は本発明の第4の実施形態
に係る窒化物半導体基板の製造方法を示し、(a)は母
材基板の凹凸状領域の平面図であり、(b)は(a)の
XIb−XIb線における断面図である。
【図12】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の第4の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図14】(a)〜(c)は本発明の第4の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図15】(a)〜(e)は本発明の第5の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体
基板の製造方法におけるドットパターン形成用のレジス
トパターンを示す平面図である。
【図17】(a)〜(d)は本発明の第5の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図18】(a)〜(e)は本発明の第6の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図19】(a)〜(d)は本発明の第6の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図20】(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図21】(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態に
係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【符号の説明】
1 レーザ出射部 2 スキャンレンズ 3A 集光レンズ 3B 集光レンズ 4 ミラー 5 画像認識部 10 レーザ光 10a 可視光 11 母材基板 11a 凹状溝 11b 凸部領域 11d 低部 11e 凸部 12A マスク形成膜 12B マスク膜 12C マスク膜 12a 開口部 13 半導体層 13a ガリウム層 13A 窒化物半導体基板 20 凹凸状領域 21 空隙 31 第1のレジストパターン 32A レジスト膜 32B 第2のレジストパターン 33 レジストパターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 油利 正昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BE15 DB01 ED05 ED06 EE07 FJ03 TB03 TC12 TC17 TK11 5F045 AA04 AB14 AC02 AC12 AD07 AD08 AD09 AD10 AD11 AF02 AF09 AF13 BB12 CA11 DA53 DB02 DB04

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材基板の主面上に、窒化物半導体が実
    質的に成長しない材料からなり、複数の開口部を有する
    マスク膜を形成する第1の工程と、 前記母材基板上に、前記マスク膜を介して窒化物からな
    る半導体層を選択的に成長する第2の工程と、 前記半導体層における前記母材基板との界面にレーザ光
    を照射して、前記半導体層を前記母材基板から剥離する
    ことにより、前記半導体層から半導体基板を形成する第
    3の工程とを備えていることを特徴とする窒化物半導体
    基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記母材基板は、主面の面方位が{00
    01}面であるサファイアからなり、 前記第1の工程は、前記各開口部を、前記母材基板にお
    ける晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致したストラ
    イプ状に形成することを特徴とする請求項1に記載の窒
    化物半導体基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記母材基板は、主面の面方位が{00
    01}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニウムからな
    り、 前記第1の工程は、前記各開口部を、前記母材基板にお
    ける晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致したストラ
    イプ状に形成することを特徴とする請求項1に記載の窒
    化物半導体基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の工程よりも前に、前記母材基
    板の主面に凹凸状領域を形成する工程をさらに備え、 前記第1の工程は、前記マスク膜を、前記凹凸状領域の
    凸部の頂面が前記開口部から露出するように形成する工
    程を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導
    体基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記母材基板は、主面の面方位が{00
    01}面であるサファイアからなり、 前記凹凸状領域を形成する工程は、前記母材基板の主面
    に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、前記母材基板に
    おける晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致するよう
    に形成する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載
    の窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記母材基板は、主面の面方位が{00
    01}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニウムからな
    り、 前記凹凸状領域を形成する工程は、前記母材基板の主面
    に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、前記母材基板に
    おける晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致するよう
    に形成する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載
    の窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の工程は、 前記母材基板における前記凹凸状領域の上に全面にわた
    ってマスク形成膜を形成する工程と、 前記マスク形成膜を覆うようにレジスト膜を塗布する工
    程と、 前記レジスト膜に対してエッチングを行なって、前記レ
    ジスト膜を前記凹凸状領域の凹部に残すことにより、前
    記マスク形成膜における前記凹凸状領域の凸部の上側部
    分を露出する工程と、 前記凹部に残されたレジスト膜をマスクとして、前記マ
    スク形成膜に対してエッチングを行なう工程とを含むこ
    とを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体基板の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記レジスト膜をエッチングする工程
    は、酸素プラズマを用いることを特徴とする請求項7に
    記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記マスク形成膜は酸化物からなること
    を特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体基板の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記第2の工程において、前記母材基
    板と前記半導体層との間には空隙が形成されることを特
    徴とする請求項4に記載の窒化物半導体基板の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第3の工程は、レーザ光を、少な
    くとも前記半導体層における前記マスク膜の開口部から
    の露出部分に照射することを特徴とする請求項1に記載
    の窒化物半導体基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の工程は、前記複数の開口部
    を島状に形成し、 前記第3の工程は、レーザ光を、前記半導体層における
    前記マスク膜の各開口部からの露出部分と同期するよう
    に走査しながら照射することを特徴とする請求項1に記
    載の窒化物半導体基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の工程は、前記複数の開口部
    を島状に形成し、 前記第3の工程は、レーザ光を、前記半導体層における
    前記マスク膜の開口部からの露出部分を走査しながら、
    前記露出部分の複数を同時に照射することを特徴とする
    請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記マスク膜は、酸化シリコン、窒化
    シリコン又はタングステンからなることを特徴とする請
    求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記マスク膜における互いに隣接する
    開口部の開口端同士の間隔は、前記半導体層の厚さとほ
    ぼ等しいかそれ以下であることを特徴とする請求項1に
    記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記マスク膜の開口部の開口幅は、互
    いに隣接する開口部の開口端同士の間隔の約10倍以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体
    基板の製造方法。
  17. 【請求項17】 母材基板の主面に対して選択的にエッ
    チングを行なって、前記母材基板の主面に凹凸状領域を
    形成する第1の工程と、 前記母材基板における前記凹凸状領域の上に該凹凸状領
    域の凹部との間に空隙が形成され且つその上面が平坦と
    なるように、窒化物からなる半導体層を成長する第2の
    工程と、 前記半導体層における前記母材基板との界面にレーザ光
    を照射して、前記半導体層を前記母材基板から剥離する
    ことにより、前記半導体層から半導体基板を形成する第
    3の工程とを備えていることを特徴とする窒化物半導体
    基板の製造方法。
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