JP4451606B2 - 半導体薄膜の製造方法 - Google Patents

半導体薄膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4451606B2
JP4451606B2 JP2003062031A JP2003062031A JP4451606B2 JP 4451606 B2 JP4451606 B2 JP 4451606B2 JP 2003062031 A JP2003062031 A JP 2003062031A JP 2003062031 A JP2003062031 A JP 2003062031A JP 4451606 B2 JP4451606 B2 JP 4451606B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
semiconductor thin
substrate
mask
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003062031A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003332237A (ja
Inventor
哲三 上田
久志 中山
正昭 油利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2003062031A priority Critical patent/JP4451606B2/ja
Publication of JP2003332237A publication Critical patent/JP2003332237A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4451606B2 publication Critical patent/JP4451606B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Recrystallisation Techniques (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、短波長発光ダイオード素子、短波長半導体レーザ素子又は高速電子デバイスに利用可能な半導体薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
III-V族窒化物半導体材料は、広い禁制帯幅を持つという特徴を生かして、発光デバイス、すなわち、青色、緑色又は白色という可視領域の発光が可能な発光ダイオード素子や短波長半導体レーザ素子に応用することができる。また、広い禁制帯幅を有し且つ電子の飽和ドリフト速度が大きいという特徴から、高周波デバイス又は高出力デバイス等の電子デバイス用材料としても期待されている。
【0003】
なかでも、窒化物半導体を用いた発光ダイオード素子は、大型ディスプレイ装置及び交通信号機等で既に実用化されており、さらに、蛍光材料を青色光又は紫外光により励起して白色光を得る白色発光ダイオード素子は、電球又は蛍光灯と置き換わり、照明器具に応用が可能でありその期待は大きい。また、半導体レーザ素子については、さらなる大容量の光ディスク装置への応用を目指して、サンプル出荷及び少量生産のレベルにまで達している。
【0004】
半導体レーザ素子に応用するためには、長寿命化が大きな課題であり、この対策のために、レーザ素子を構成する窒化物半導体中に存在する結晶欠陥の低減に向けて研究開発が盛んに行なわれている。現在、最も有効な欠陥低減方法は選択的横方向成長(Epitaxial Lateral Overgrowth:ELO)法である。窒化ガリウム(GaN)からなる下地層の上に、具体的には、例えば酸化シリコン(SiO2 )等の薄膜を、開口部を有する形で選択的に形成し、その開口部の窒化ガリウム表面から窒化物半導体の再成長を行なった場合には、SiO2 薄膜上では開口部からの成長を基点とする横方向(基板面に平行な方向)成長が支配的となり、この横方向成長を促進することにより、マスク膜の上側に成長する窒化物半導体層に生じる結晶欠陥を大幅に低減するという結晶成長方法である。この方法によると、従来は1×109 cm-2程度であった転位密度が106 cm-2台にまで低減できることが報告されている。
【0005】
このELO法により、半導体レーザ素子の寿命は最高で1万時間を超え、ほぼ実用化が可能なレベルにまで達しており、より長寿命化し高信頼性のレーザ素子を実現するために、さらなる欠陥密度の低減が期待されている。一方で、このELO法において、サファイア基板上に厚さが約100μmを超える程度にまでGaN選択成長層を成長させた場合には、基板は、該基板とGaNとの熱膨張係数の差に起因するストレスが原因で、成長後の基板の冷却時に選択成長層から分離することが報告されている。
【0006】
このように、GaN成長層をサファイア基板から分離することにより、該サファイア基板を分離しない場合と比べて放熱性が向上する、基板の裏面に電極が形成可能となることによりプロセスが簡略化される、及び基板のへき開が可能となり良好なミラー(共振器端面)を実現できると同時にチップサイズが低減できる等の効果があり、その結果、半導体レーザ素子の長寿命化及び高性能化を実現できる。
【0007】
以下、従来のELO法による半導体薄膜の製造方法について説明する。
【0008】
図25(a)及び図25(b)は従来の半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0009】
まず、図25(a)に示すように、例えば、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法により、サファイアからなる基板101上に、厚さが約1μmの窒化ガリウム(GaN)からなる下地層としての第1の半導体層102を成長する。続いて、例えば、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により、第1の半導体層102の上に、厚さが約200nmの酸化シリコン(SiO2 )からなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対してフッ酸によるウエットエッチングを行なって、マスク形成膜からストライプ状のマスク膜103を形成する。
【0010】
次に、図25(b)に示すように、ハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)法により、マスク膜103が形成された第1の半導体層102の上に、厚さが約100μmの第2の半導体層104を再成長(ELO成長)する。ここでは、金属ガリウム(Ga)と塩化水素(HCl)ガスとが反応してなるIII 族源である塩化ガリウム(GaCl)と、窒素源であるアンモニアとを原料ガスとして用いる。このHVPE法により、第1の半導体層102におけるマスク膜103からの露出部から、窒化ガリウムからなる第2の半導体層104の成長が開始し、マスク膜103の上側を覆うように横方向にも成長する。第2の半導体層104が平坦化された後は、その平坦な表面を保ったまま成長が継続する。マスク膜103上の横方向成長部分では、下地の結晶欠陥の影響を受けずに成長し、結晶欠陥密度を大幅に低減することが可能となる。
【0011】
第2の半導体層104が所望の厚さにまで成長した後、室温にまで冷却する過程において、サファイアからなる基板101と窒化ガリウムからなる第1及び第2の半導体層102、104との熱膨張係数の差により、基板101は凸状に反る。その結果、基板101と第1の半導体層102との界面、又はマスク膜103と第2の半導体層104との界面において、両者が剥離し、基板101が第1の半導体層102又は第2の半導体層104から分離される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の半導体薄膜の製造方法は、マスク膜103の開口部をできるだけ小さくすることにより、下地層(第1の半導体層102)の欠陥密度の影響を受けることなく、第2の半導体層104の横方向成長を支配的とすることが可能となり、その結果、第2の半導体層104の欠陥密度を低減することができる。
【0013】
しかしながら、この開口寸法を例えばディープサブミクロンレベルの微細な寸法とするためには、高精度の微細露光装置及び微細エッチング装置等を用いる必要がある。すなわち、第2の半導体層104における欠陥密度をより低減するには高精度加工装置が必須となるため、製造コストが高騰するという問題がある。
【0014】
また、現状の微細加工技術の限界で決定される寸法以下の開口寸法を得ることができないため、プロセスの低コスト化及び開口寸法の微細化に限界がある。その結果、マスク膜103のパターンの微細化により実現される、第2の半導体層104の結晶欠陥密度の低減にも限界が存在するという問題がある。
【0015】
また、第2の半導体層104を厚膜化した場合の基板101を剥離する工程においても、第2の半導体層104における膜厚の面内分布又は界面状態の再現性の問題等により、大面積を有する半導体層を均一に且つ再現性良く得るのが困難であるという問題もある。
【0016】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、単結晶基板上に半導体薄膜を成長により形成する際に、結晶欠陥密度を低コストで低減できるようにすることを第1の目的とし、成長する半導体薄膜が大面積であっても再現性良く単結晶基板と分離できるようにすることを第2の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、第1の発明は、半導体薄膜の製造方法を、マスク膜により選択的に覆われた第1の半導体薄膜を酸化して該第1の半導体薄膜に酸化領域を形成し、形成した酸化領域を選択成長用のマスクとして、第1の半導体薄膜の上に酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を選択成長する構成とする。
【0018】
また、前記第2の目的を達成するため、第2の発明は、第1の発明に、第2の半導体薄膜を再度選択的に酸化した後、第2の半導体薄膜の上に第3の半導体薄膜を選択成長し、第3の半導体薄膜の下部を酸化領域によって覆う構成とする。
【0019】
具体的に、本発明に係る1番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第1の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有するマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、マスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜におけるマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の酸化領域を形成する第4の工程と、マスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第5の工程とを備えている。
【0020】
1番目の半導体薄膜の製造方法によると、マスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜におけるマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の酸化領域を形成する。このとき、上面がマスクされた第1の半導体薄膜に対する酸化のプロセスは基板面に平行な方向(横方向)にも進行するため、酸化領域に挟まれた第1の半導体薄膜の幅寸法をマスクパターンで形成する場合と比べて小さくすることができる。その結果、高精度露光装置又は微細加工が可能なエッチング装置を用いることなく、第2の半導体薄膜を形成する際のマスクとなる酸化領域の間隔を小さくすることができるので、第1の半導体薄膜を下地結晶として選択成長する第2の半導体薄膜は、下地の第1の半導体薄膜の結晶欠陥の影響を受けにくくなり、第2の半導体薄膜の結晶欠陥密度を低減することが可能となる。また、第1の半導体薄膜に対する酸化反応は大部分がその内部に進行するため、該第1の半導体薄膜の表面と酸化領域の表面の高さの差は従来の酸化シリコン等を用いた場合と比べて小さくすることができる。その結果、選択成長の早い段階で横方向成長が生じるので、酸化領域の上面への直接的な成長を抑制でき、酸化領域上における第2の半導体薄膜の結晶性を改善することができる。
【0021】
1番目の半導体薄膜の製造方法は、第5の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第6の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
この場合に、第5の工程と第6の工程との間に、第2の半導体薄膜の上面に該第2の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第7の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0023】
この場合の第6の工程は、基板を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも小さく且つ第1の半導体薄膜を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも大きいエネルギーを有する照射光を基板に照射する工程を含むことが好ましい。
【0024】
この場合に、照射光はパルス状のレーザ光であることが好ましい。
【0025】
又は、この場合の照射光は水銀ランプの輝線であることが好ましい。
【0026】
さらに、第6の工程は基板を加熱する工程を含むことが好ましい。
【0027】
また、第6の工程は、照射光を基板の面内をスキャンするように照射することが好ましい。
【0028】
また、第6の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0029】
この場合に、湿式エッチングには、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0030】
本発明に係る2番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第1の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有するマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、マスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜におけるマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の酸化領域を形成する第4の工程と、マスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の酸化領域に露出部分が生じるように複数の第2の半導体薄膜を形成する第5の工程と、複数の酸化領域を除去した後、各第2の半導体薄膜と接し且つ覆うように第3の半導体薄膜を形成する第6の工程とを備えている。
【0031】
2番目の半導体薄膜の製造方法によると、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の酸化領域に露出部分が生じるように複数の第2の半導体薄膜を形成し、その後、複数の酸化領域を、例えばエッチング等により除去した後、各第2の半導体薄膜と接し且つ覆うように第3の半導体薄膜を形成するため、該第3の半導体薄膜の下側には酸化領域が存在しない空隙部分が形成される。その結果、酸化領域を残す場合と比べて、薄膜中のストレスを低減できるので、第3の半導体薄膜の結晶性をさらに向上することが可能となる。
【0032】
2番目の半導体薄膜の製造方法は、第6の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第7の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0033】
2番目の半導体薄膜の製造方法は、第6の工程と第7の工程との間に、第3の半導体薄膜の上面に該第3の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第8の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0034】
この場合に、第7の工程は、基板を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも小さく且つ第1の半導体薄膜を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも大きいエネルギーを有する照射光を基板に照射する工程を含むことが好ましい。
【0035】
この場合に、照射光はパルス状のレーザ光であることが好ましい。
【0036】
又は、この場合に、照射光は水銀ランプの輝線であることが好ましい。
【0037】
さらに、第7の工程は基板を加熱する工程を含むことが好ましい。
【0038】
また、第7の工程は、照射光を基板の面内をスキャンするように照射することが好ましい。
【0039】
また、第7の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0040】
この場合に、湿式エッチングは酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0041】
本発明に係る3番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第1の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有する第1のマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、第1のマスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜における第1のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の第1の酸化領域を形成する第4の工程と、第1のマスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の第1の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第5の工程と、第2の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域の上側部分にそれぞれ開口部を有する第2のマスク膜を形成する第6の工程と、第2のマスク膜が形成された第2の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第2の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第7の工程と、第2のマスク膜を除去して第2の半導体薄膜を露出した後、露出した第2の半導体薄膜の上に複数の第2の酸化領域を覆うように第3の半導体薄膜を形成する第8の工程とを備えている。
【0042】
3番目の半導体薄膜の製造方法によると、第2の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域の上側部分にそれぞれ開口部を有する第2のマスク膜を形成し、第2のマスク膜が形成された第2の半導体薄膜に対して熱処理を行なって、第2の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する。これにより、第2の半導体薄膜における横方向に成長する対向端面同士が接続した部分を第2の酸化領域として、第3の半導体薄膜が成長する際の選択成長用のマスクとすることができる。通常、横方向に成長する対向端面同士が接続する部分においては、結晶の配向性が完全には一致しない。このときの配向角度のずれはマスク領域(第1の酸化領域)の平面積、例えばストライプ状のマスクの場合には、該マスクの幅寸法が大きい程顕著となる。しかしながら、本発明に係る製造方法は、第2の半導体薄膜の接続部分を再度、マスク領域(第2の酸化領域)として第3の半導体薄膜を再成長するため、2度目の再成長工程においては、マスク領域(第2の酸化領域)の平面積を小さくすることができる。このため、第2の半導体薄膜の成長時における結晶の配向性のずれの影響を受けることなく、第3の半導体薄膜の再成長を行なうことができるので、第3の半導体薄膜の結晶性を改善することができる。
【0043】
3番目の半導体薄膜の製造方法は、第7の工程と第8の工程との間に、第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去する工程をさらに備えていることが好ましい。
【0044】
本発明に係る4番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第2の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有する第1のマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、第1のマスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜における第1のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の第1の酸化領域を形成する第4の工程と、第1のマスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の第1の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第5の工程と、第2の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた第1の半導体薄膜の上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有する第2のマスク膜を形成する第6の工程と、第2のマスク膜が形成された第2の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第2の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第7の工程と、第2のマスク膜を除去して第2の半導体薄膜を露出した後、露出した第2の半導体薄膜の上に複数の第2の酸化領域を覆うように第3の半導体薄膜を形成する第8の工程とを備えている。
【0045】
4番目の半導体薄膜の製造方法によると、第2の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた第1の半導体薄膜の上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有する第2のマスク膜を形成し、第2のマスク膜が形成された第2の半導体薄膜に対して熱処理を行なって、第2の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する。これにより、第1の酸化領域と第2の酸化領域とが接続されるため、第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去することにより、基板が第2の半導体薄膜から分離されるので、大面積で均一に基板を分離することができる。また、分離した基板は半導体薄膜形成用の基板として再利用でき、製造コストを低減することもできる。
【0046】
4番目の半導体薄膜の製造方法は、第7の工程において、第2の酸化領域を、第1の酸化領域を含め第1の半導体薄膜の全面が酸化されるように形成することが好ましい。
【0047】
4番目の半導体薄膜の製造方法は、第8の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第9の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0048】
この場合に、第8の工程と第9の工程との間に、第3の半導体薄膜の上面に該第3の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第10の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0049】
この場合に、第9の工程は、基板を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも小さく且つ第1の半導体薄膜を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも大きいエネルギーを有する照射光を基板に照射する工程を含むことが好ましい。
【0050】
この場合に、照射光はパルス状のレーザ光であることが好ましい。
【0051】
また、この場合に、照射光は水銀ランプの輝線であることが好ましい。
【0052】
さらに、第9の工程は基板を加熱する工程を含むことが好ましい。
【0053】
この場合に、第9の工程は照射光を基板の面内をスキャンするように照射することが好ましい。
【0054】
また、第9の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0055】
この場合に、湿式エッチングには、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0056】
1番目〜4番目の半導体薄膜の製造方法において、基板は、サファイア、炭化シリコン、酸化リチウムアルムニウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、xは0≦x≦1とする))、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムからなることが好ましい。
【0057】
本発明に係る5番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第1の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1のマスク膜を選択的に形成する第1の工程と、第1のマスク膜が形成された基板に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、基板における第1のマスク膜の近傍及びその周辺部を酸化することにより、基板に複数の第1の酸化領域を形成する第2の工程と、第1のマスク膜を除去して基板を露出した後、複数の第1の酸化領域を含め基板上を覆うように第1の半導体薄膜を形成する第3の工程とを備えている。
【0058】
5番目の半導体薄膜の製造方法によると、基板にそれ自体が酸化される材料を用いた場合であっても、本発明の1番目の半導体薄膜の製造方法と同様に、酸化領域同士の間隔が小さくなるため、小さくなった開口部から第1の半導体薄膜を横方向成長することができるので、第1の半導体薄膜の結晶欠陥密度を低減することができる。
【0059】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第3の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第4の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0060】
この場合に、第3の工程と第4の工程との間には、第1の半導体薄膜の上面に該第1の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第5の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0061】
また、第4の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0062】
この場合に、湿式エッチングには、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0063】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第3の工程よりも後に、第1の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有する第2のマスク膜を形成する第4の工程と、第2のマスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第5の工程と、第2のマスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の第2の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第6の工程とをさらに備えていることが好ましい。
【0064】
このようにすると、第1の酸化領域と第2の酸化領域とが接続されるため、第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去することにより、基板が第2の半導体薄膜から分離するため、分離した基板を半導体薄膜形成用の基板として再利用できるので、前記第2の目的が達成される。
【0065】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第5の工程において、第2の酸化領域を、第1の酸化領域を含め基板の全面が酸化されるように形成することが好ましい。
【0066】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第3の工程よりも後に、第1の半導体薄膜における第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域の上側部分にそれぞれ開口部を有する第2のマスク膜を形成する第4の工程と、第2のマスク膜が形成された第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、第1の半導体薄膜における第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、第1の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第5の工程と、第2のマスク膜を除去して第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に複数の第2の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第6の工程とをさらに備えていることが好ましい。
【0067】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第5の工程と第6の工程との間に、第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去する工程をさらに備えていることが好ましい。
【0068】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第6の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第7の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0069】
5番目の半導体薄膜の製造方法は、第6の工程と第7の工程との間に、第2の半導体薄膜の上面に該第2の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第8の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0070】
また、第7の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0071】
この場合に、湿式エッチングには、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0072】
本発明に係る6番目の半導体薄膜の製造方法は、前記第2の目的を達成し、単結晶からなる基板の上に第1のマスク膜を選択的に形成する第1の工程と、マスク膜が形成された基板に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、基板におけるマスク膜の近傍及びその周辺部を酸化することにより、基板に複数の酸化領域を形成する第2の工程と、マスク膜を除去して基板を露出した後、露出した基板の上に複数の酸化領域に露出部分が生じるように複数の第1の半導体薄膜を形成する第3の工程と、複数の酸化領域を除去した後、各第1の半導体薄膜と接し且つ覆うように、第2の半導体薄膜を形成する第4の工程とを備えている。
【0073】
6番目の半導体薄膜の製造方法によると、基板にそれ自体が酸化される材料を用いた場合であっても、本発明の2番目の半導体薄膜の製造方法と同様に、複数の酸化領域を例えばエッチング等により除去した後、各第1の半導体薄膜と接し且つ覆うように第2の半導体薄膜を形成するため、該第2の半導体薄膜の下側には酸化領域が存在しない空隙部分が形成される。その結果、酸化領域を残す場合と比べて、薄膜中のストレスを低減できるので、第2の半導体薄膜の結晶性をさらに向上することができる。
【0074】
6番目の半導体薄膜の製造方法は、第4の工程よりも後に、基板を第1の半導体薄膜から分離する第5の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0075】
6番目の半導体薄膜の製造方法は、第4の工程と第5の工程との間に、第1の半導体薄膜の上面に該第1の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第6の工程をさらに備えていることが好ましい。
【0076】
また、第5の工程は、基板及び各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことが好ましい。
【0077】
この場合に、湿式エッチングには、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0078】
5番目又は6番目の半導体薄膜の製造方法において、基板は、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムからなることが好ましい。
【0079】
1番目又は6番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、III-V族窒化物半導体又は炭化シリコンからなることが好ましい。
【0080】
2番目〜4番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜、第2の半導体薄膜及び第3の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、III-V族窒化物半導体又は炭化シリコンからなることが好ましい。
【0081】
5番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜は、III-V族窒化物半導体又は炭化シリコンからなることが好ましい。
【0082】
このように、特に、InGaAlNからなるIII-V族窒化物半導体又は炭化シリコン(SiC)等の、一般に結晶成長が困難とされるワイドギャップ半導体においては、横方向成長(ELO成長)を促進することにより、その結晶性を大幅に向上することができる。また、本発明に係る半導体薄膜をデバイスに応用する場合には、酸化領域を例えば電界効果トランジスタのチャネル部分等の活性層の下側に配置することにより、寄生容量の低減も可能となる。
【0083】
1番目又は6番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、気相成長法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法又は分子線エピタキシ法により成膜することが好ましい。
【0084】
2番目〜4番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜、第2の半導体薄膜及び第3の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、気相成長法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法又は分子線エピタキシ法により成膜することが好ましい。
【0085】
5番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜は、気相成長法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法又は分子線エピタキシ法により成膜することが好ましい。
【0086】
1番目又は6番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜と第2の半導体薄膜とは、互いに異なる成膜方法により成膜することが好ましい。
【0087】
2番目〜4番目の半導体薄膜の製造方法において、第1の半導体薄膜、第2の半導体薄膜及び第3の半導体薄膜のうちのいずれか2つは、互いに異なる成膜方法により成膜することが好ましい。
【0088】
1番目〜6番目の半導体薄膜の製造方法において、酸化性雰囲気は酸素ガスであることが好ましい。
【0089】
1番目〜6番目の半導体薄膜の製造方法において、酸化性雰囲気は水蒸気を含むことが好ましい。
【0090】
1番目〜6番目の半導体薄膜の製造方法において、支持基板は、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、リン化ガリウム又は金属からなることが好ましい。
【0091】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0092】
図1(a)〜図1(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0093】
図1(a)に示すように、まず、例えば、有機金属気相成長(MOCVD)法により、サファイア(単結晶Al23)からなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウム(TMGa)を用い、窒素源としてアンモニア(NH3 )を用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウム(GaN)からなる第1の半導体層12Aを成長する。ここで、例えば500℃程度と比較的に低温で、且つ厚さが50nm程度と比較的に薄い窒化アルミニウム(AlN)からなり、基板11と該基板11上に成長する窒化物半導体との格子不整合を緩和する、いわゆる低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。また、図1(a)に示す基板11は、ウェハ状の基板11の一部を示しており、後述する他の実施形態においても同様である。
【0094】
続いて、例えば、モノシラン(SiH4 )を分解する化学気相成長(CVD)法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコン(Si)からなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対して、例えば反応性ガスとして臭化水素(HBr)又は塩素(Cl2 )を含む反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etchin:RIE)によるドライエッチングを行なうことにより、マスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、マスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ストライプ状に限らずドット(島)状としてもよい。
【0095】
次に、図1(b)に示すように、酸化性雰囲気、例えば酸素(O2 )ガス又は水蒸気(H2 O)を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及びマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおけるマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる下地層12aが形成される。ここで、各酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、マスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、酸化領域12Bを選択的に酸化する酸化性雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0096】
次に、図1(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法によりマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の酸化領域12Bの間から露出する下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を酸化領域12Bを覆うと共に、その上面が平坦化されるように選択成長(ELO成長)する。
【0097】
以上説明した通り、第1の実施形態においては、第2の半導体層14は、成長する際には、酸化領域12Bの上側で横方向成長が支配的となる。従って、この酸化領域12Bの上側部分では、第2の半導体層14は、第1の半導体層12Aからなる下地層12aの表面の影響を受けなくなるので、第2の半導体層14の結晶欠陥密度を低減することができる。
【0098】
前述したように、窒化ガリウムからなる下地層12aの開口寸法はマスク膜13の幅寸法よりも小さくすることができる。従って、現状で最先端の加工寸法が0.1μmレベルの露光装置によりマスク膜13をパターニングしたとすると、下地層12aの幅寸法はさらに小さくすることができるため、再成長する第2の半導体層14の結晶性は、下地層12aの表面の影響をより一層受けにくくなる。
【0099】
また、図1(b)に示す酸化領域12Bを形成する際の酸化時間を短縮することにより、酸化領域12Bの厚さを小さくすることができる。これにより、下地層12aの表面と酸化領域12Bの表面との互いの高さの差を小さくすることができるため、第2の半導体層14を再成長する際には、第2の半導体層14における成長の初期の段階から横方向の成長が支配的となる。その結果、酸化領域12B上に生じる結晶成長を防止することができるので、酸化領域12Bの上に生成する結晶体に起因する第2の半導体層14の結晶性の悪化を防止することができる。
【0100】
なお、第2の半導体層14の成長方法は、MOCVD法に代えて、より膜厚を大きくする場合には、MOCVD法よりも成長速度が大きいハイドライド気相成長(HVPE)法を用いてもよい。
【0101】
さらには、選択的な酸化を行なう第1の半導体層12Aは分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy:MBE)法を用い、第2の半導体層14の成長にはHVPE法を用いるというように、成長速度は小さいものの高い結晶性を得られる成長法を組み合わせることにより、第2の半導体層14の下地層である第1の半導体層12Aの結晶性が改善されるため、2の半導体層14の結晶性が改善される。その上、第2の半導体層14の厚膜化が容易となる。
【0102】
また、単結晶からなる基板11にサファイア(単結晶Al23)を用いたが、サファイアに代えて、炭化シリコン(SiC)、酸化リチウムアルミニウム(LiAlO2 )、酸化リチウムガリウム(LiGaO2 )、又はこれらの混晶である酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、0≦x≦1))を用いることにより、格子不整合が小さく結晶性に優れたIII-V族化合物半導体、すなわちInx Gay Alzy Asw (但し、x+y+z=1,0≦x,y,z≦1,v+w=1,0≦v,w≦1)からなる半導体薄膜を基板11上に成長することができる。
【0103】
さらに、基板11に炭化シリコンを用いた場合には、基板11上に結晶性が良好な炭化シリコンからなる薄膜を形成することも可能となる。また、基板11にシリコン(Si)又はヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いた場合には、結晶性に優れた基板が入手可能であり、該基板11上に結晶性が良好な半導体薄膜を形成することが可能となる。
【0104】
ところで、本願発明者らは、図1(b)に示した第1の半導体層12Aに対する選択酸化を行なう際の酸化性雰囲気に、酸素(O2 )ガスを用いる場合と、水蒸気(H2 O)及び窒素(N2 )ガスの混合雰囲気を用いる場合とによって、形成される酸化領域12Bの表面状態に違いが生じることを確認している。
【0105】
例えば、水蒸気と窒素との混合ガスを、100℃に加熱した水を窒素ガスによりバブリングして生成し、生成した混合ガスを約1000℃に加熱した第の半導体層12A上に導入する。この水蒸気を含む酸化性雰囲気による熱処理によって、窒化ガリウム(GaN)からなる第の半導体層12Aの露出部分には、組成がGaで表わされる酸化領域12Bが形成される。
【0106】
図2(a)は水蒸気を含む雰囲気で酸化されたGa23からなる酸化領域の表面状態を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて観測した結果を示している。また、図3(a)は水蒸気を含む雰囲気で酸化された酸化領域の断面構造を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Micrscope:SEM)を用いて観測した結果を示している。一方、図2(b)及び図3(b)は酸素雰囲気で酸化されたGa23からなる酸化領域の表面状態及び断面構造の観測結果をそれぞれ示している。
【0107】
図2(a)及び図3(a)から分かるように、水蒸気を含む雰囲気で熱酸化すると、酸素雰囲気で熱酸化する場合と比べて、Ga23からなる酸化領域の表面の平坦性が大きく向上している。さらに、図3(a)からは、酸化領域の一部において酸化が柱状(塊状)に進行し、且つその表面は凸状に盛り上がっていることが分かる。この柱状部分の断面構造を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Micrscope:TEM)により観測した結果、この柱状の酸化部分には結晶転位(欠陥)が密集していることを確認している。従って、結晶欠陥の密度を低減した領域を選択的に酸化することにより、より平坦な酸化領域12Bを得られることが分かる。
【0108】
以上のことから、選択的な熱酸化を、水蒸気を含む雰囲気で且つより結晶欠陥が少ない第1の半導体層12Aに対して行なうことにより、酸化領域12Bの表面の平坦性を確実に向上することができる。その結果、図1(c)に示す工程において、表面の平坦性が優れた酸化領域12Bの上を第2の半導体層14が選択成長するため、第2の半導体層14の異常成長が抑制されるので、平坦性及び結晶性に優れた第2の半導体層14を確実に形成することができるようになる。
【0109】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0110】
図4(a)〜図4(d)、図5(a)及び図5(b)は本発明の第2の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0111】
まず、図4(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0112】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、マスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでも、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、マスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0113】
次に、図4(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及びマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおけるマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる下地層12aが形成される。ここで、各酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、マスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0114】
次に、図4(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法によりマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の酸化領域12Bの間から露出する下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を酸化領域12Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0115】
次に、図4(d)に示すように、貼り合わせ法により、主面に(100)面の面方位に持つシリコン(Si)からなる支持基板15を、第2の半導体層14の上面に貼り合わせる。但し、第2の半導体層14の厚さを100μm以上と十分に大きくできる場合には、支持基板15を必ずしも貼り合せる必要はない。また、支持基板15にシリコンを用いたが、シリコンに代えて、主面に(100)面の面方位を持つヒ化ガリウム(GaAs)を用いても良く、また、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)又は銅(Cu)等の金属を用いてもよい。
【0116】
次に、図5(a)に示すように、サファイアからなる基板11における下地層12aの反対側の面から、フッ化クリプトン(KrF)による波長が248nmのエキシマレーザ光を、基板11の全面にわたってスキャンするように照射する。これにより、図5(b)に示すように、照射されたエキシマレーザ光は基板11では吸収されずに下地層12aで吸収されるため、該下地層12aは発熱する。この発熱により窒化ガリウムが熱分解して、基板11と支持基板15を含む第2の半導体層14とが分離する。ここでは、基板11と接合した下地層12aを構成する窒化ガリウムが熱分解されるように、エキシマレーザ光におけるピークパワー密度又はパルス幅を設定する。このように、エキシマレーザ光をパルス状に発振すると、レーザ光の出力パワーを著しく増加させることができるので、第2の半導体層14から基板11を容易に分離することができるようになる。その上、エキシマレーザ光を基板11の面内をスキャンするように照射するため、光源のビーム径に依らずに、面積が比較的に大きい基板11であっても確実に分離することができる。
【0117】
さらに、第2の実施形態においては、第2の半導体層14を成長した後に、該第2の半導体層14における基板11との間の熱膨張係数の差により生じるストレスを緩和する目的で、基板11を500℃程度の温度で加熱している。このようにすると、光照射により基板11を分離する際に、第2の半導体層14に対する、ストレスに起因するクラックの発生を防止することができる。
【0118】
なお、酸化領域12Bと基板11との分離が不充分な場合には、レーザ光を照射するよりも前か又は照射した後に、フッ化水素(HF)若しくは塩化水素(HCl)を含む酸性の水溶液、又はアンモニア水(NH4 OH)を含むアルカリ性の水溶液を用いたウエットエッチングにより、酸化領域12Bを選択的に除去すると良い。
【0119】
以上説明したように、第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、酸化領域12Bに挟まれてなる下地層12aからの横方向成長により成長する第2の半導体層14の結晶欠陥密度が低減するため、その結晶性を大きく改善することができる。その上、下地層12aを形成するためのサファイアからなる基板11を分離して除去するため、基板11を損傷なく分離することができれば、該基板11を再利用することができるので、第2の半導体層14を用いたデバイスの製造プロセスの低コスト化が可能となる。
【0120】
また、支持基板15に放熱性に優れる材料を選んで貼り合せを行なって半導体レーザ素子を作製する場合には、該レーザ素子の放熱性が向上するため、レーザ素子の長寿命化が達成される等の動作特性の向上を期待できる。
【0121】
また、導電性を有する材料を支持基板15に用いた場合には、例えば半導体レーザ素子の正電極及び負電極を、支持基板15を挟んで互いに対向するように形成できるため、チップサイズを小さくすることができる。
【0122】
さらに、面方位に(001)面を持つシリコン又はヒ化ガリウム(GaAs)を支持基板15に用いると、いずれも良好なへき開面すなわち良好な共振器構造を形成できるため、活性層におけるミラー特性が良好となるので、半導体レーザ素子におけるしきい値電流が低減する等の動作特性の改善を図ることができる。
【0123】
また、第1の半導体層12Aに窒化ガリウムを用いる代わりに、禁制帯幅が3.0eVに相当する窒化インジウムガリウム(In0.1Ga0.9N)を成長し、さらに、KrFエキシマレーザ光に代えて、水銀(Hg)ランプによる波長が365nm(禁制帯幅が3.4eVに相当)の輝線を基板11の裏面からスキャンするように照射することにより基板11を分離してもよい。このように、下地層12aに照射する光源を水銀ランプの輝線とすると、出力パワーではレーザ光に劣るものの、レーザ光と比べてスポット径を大きくできるので、基板11の分離を短時間で行なうことが可能となる。
【0124】
また、第1の実施形態と同様に、基板11として、サファイアに代えて、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムを用いてもよい。さらには、酸化リチウムアルミニウム、酸化リチウムガリウム又はこれらの混晶である酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、0≦x≦1))を用いてもよい。
【0125】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0126】
図6(a)〜図6(e)は本発明の第3の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0127】
まず、図6(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0128】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、マスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、マスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0129】
次に、図6(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及びマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおけるマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる下地層12aが形成される。ここで、各酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、マスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0130】
次に、図6(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法によりマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の酸化領域12Bの間から露出する下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14Aを、各酸化領域12Bの上面中央部にそれぞれ露出部分が残るように選択成長(ELO成長)する。すなわち、それぞれがELO成長する複数の第2の半導体層14Aに対して、互いに対向して成長する対向端面同士が接触するよりも前にその成長を停止する。
【0131】
次に、図6(d)に示すように、複数の酸化領域12Bをフッ化水素水等の酸性水溶液又はアンモニア水等のアルカリ性水溶液により除去する。これにより、各第2の半導体層14Aの側部は、オーバーハング状となる。
【0132】
次に、図6(e)に示すように、MOCVD法により、第2の半導体層14Aを下地結晶層とするELO成長が支配的となる成長条件で、窒化ガリウムからなる第3の半導体層16を成長する。このとき、第3の半導体層16は、その下面と基板11の主面との間に空隙部16aが形成されるため、酸化領域12B及び基板11の表面のいずれの影響をも受けることなく成長する。ここでも、第1の半導体層12A、第2の半導体層14A及び第3の半導体層16の結晶成長法は、いずれもHVPE法を適用することができる。さらに、第1の半導体層12AにはMBE法を用いてもよい。
【0133】
以上説明したように、第3の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、露出面の面積が小さくなった下地層12aからのELO成長により、第2の半導体層14A及び第3の半導体層16の結晶性がいずれも向上するだけでなく、第3の半導体層16が、酸化領域12Bが除去されてなる空隙部16aを維持するように基板11上に形成されるため、第3の半導体層16が成長する際に、基板11や酸化領域12Bの表面の影響を受けることがない。その結果、第3の半導体層16の結晶性は酸化領域12Bを除去しない場合と比べて改善される。その上、空隙部16aは第3の半導体層16の成長時に格子不整合に起因する層中のストレスを低減させる効果もある。
【0134】
このように、第1の半導体層12Aが酸化されてなる酸化領域12Bを除去することにより、第2の半導体層14Aを新たな下地層とする第3の半導体層16の結晶性をさらに向上することができる。
【0135】
なお、第1の実施形態と同様に、基板11として、サファイアに代えて、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムを用いてもよい。さらには、酸化リチウムアルミニウム、酸化リチウムガリウム又はこれらの混晶である酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、0≦x≦1))を用いてもよい。
【0136】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0137】
図7(a)〜図7(d)、図8(a)及び図8(b)は本発明の第4の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0138】
まず、図7(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0139】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状の第1のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0140】
次に、図7(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及び第1のマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおける第1のマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の第1の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する第1の酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第1の下地層12aが形成される。ここで、各第1の酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における第1の下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0141】
次に、図7(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第1のマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第1の酸化領域12Bの間から露出する第1の下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を第1の酸化領域12Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0142】
次に、図7(d)に示すように、第1のマスク膜13と同様の方法で、第2の半導体層14における第1の下地層12aの上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域12Bの上側部分にそれぞれ開口部を有し、厚さが約100nmのシリコンからなる第2のマスク膜23を形成する。
【0143】
次に、図8(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第2の半導体層14及び第2のマスク膜23が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第2の半導体層14における第2のマスク膜23により覆われていない領域には、該第2の半導体層14が酸化された酸化ガリウムからなる複数の第2の酸化領域14Bが形成される。その結果、第2の半導体層14における互いに隣接する第2の酸化領域14B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第2の下地層14aが形成される。
【0144】
次に、図8(b)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第2のマスク膜23を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第2の酸化領域14Bの間から露出する第2の下地層14aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第3の半導体層16を第2の酸化領域14Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0145】
このように、第4の実施形態によると、第2の半導体層14におけるELO成長面同士の接合部を酸化することにより、第2の酸化領域14Bを形成する。このELO成長面同士による接合部は、一般に結晶の配向性がずれており、ずれの角度は、ELO成長の距離、すなわち、第2の酸化領域14Bの幅寸法が大きくなるにつれて大きくなる。
【0146】
第4の実施形態においては、第2の半導体層14における配向性がずれた接合部分を酸化して第2の下地層14aを形成し、再度、第2の下地層14aを種結晶としてELO成長を繰り返すことにより、この配向性のずれを低減することができる。その結果、第2の下地層14aから成長する第3の半導体層16は、その配向性のずれは極めて小さくなるため、該第3の半導体層16は第2の半導体層14と比べて、その結晶性がより一層向上する。
【0147】
なお、第4の実施形態においても、第1の半導体層12A、第2の半導体層14及び第3の半導体層16の結晶成長法は、いずれもHVPE法を用いてもよい。さらに、第1の半導体層12AにはMBE法を用いてもよい。
【0148】
また、第1の実施形態と同様に、基板11として、サファイアに代えて、炭化シリコン、酸化リチウムアルミニウム、シリコン、ヒ化ガリウム又はリン化インジウムを用いてもよい。
【0149】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0150】
図9(a)〜図9(d)及び図10(a)〜図10(c)は本発明の第5の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0151】
まず、図9(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0152】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状の第1のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0153】
次に、図9(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及び第1のマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおける第1のマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の第1の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する第1の酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第1の下地層12aが形成される。ここで、各第1の酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における第1の下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0154】
次に、図9(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第1のマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第1の酸化領域12Bの間から露出する第1の下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を第1の酸化領域12Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0155】
次に、図9(d)に示すように、第1のマスク膜13と同様の方法で、第2の半導体層14における第1の下地層12aの上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域12Bの上側部分にそれぞれ開口部を有し、厚さが約100nmのシリコンからなる第2のマスク膜23を形成する。
【0156】
次に、図10(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第2の半導体層14及び第2のマスク膜23が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第2の半導体層14における第2のマスク膜23により覆われていない領域には、該第2の半導体層14が酸化された酸化ガリウムからなる複数の第2の酸化領域14Bが形成される。その結果、第2の半導体層14における互いに隣接する第2の酸化領域14B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第2の下地層14aが形成される。
【0157】
次に、図10(b)に示すように、複数の第1の酸化領域12B及び複数の第2の酸化領域14Bをフッ化水素水等の酸性水溶液又はアンモニア水等のアルカリ性水溶液により除去する。これにより、各第2の下地層14aの側部は、オーバーハング状となる。
【0158】
次に、図10(c)に示すように、第2の下地層14aを種結晶とするELO成長が支配的となる成長条件で、窒化ガリウムからなる第3の半導体層16を成長する。このように、第3の半導体層16は、その下面と基板11の主面との間に空隙部16aが形成されるため、第2の酸化領域14Bの表面の影響を受けることなく成長する。ここでも、第1の半導体層12A、第2の半導体層14及び第3の半導体層16の結晶成長法は、いずれもHVPE法を適用することができる。さらに、第1の半導体層12AにはMBE法を用いてもよい。
【0159】
以上説明したように、第5の実施形態によると、第4の実施形態と同様に、第2の半導体層14のELO成長により配向性がずれた接合部分を酸化して第2の下地層14aを形成し、再度、第2の下地層14aを種結晶としてELO成長を繰り返すことにより、第3の半導体層16における結晶の配向性のずれを低減することができる。
【0160】
その上、第3の実施形態と同様に、第3の半導体層16が、第1の酸化領域12B及び第2の酸化領域14Bが除去されてなる空隙部16aを維持するように基板11上に形成されるため、第3の半導体層16が成長する際に、第2の酸化領域14Bの表面の影響を受けることがないので、第3の半導体層16の結晶性がより一層向上する。その上、空隙部16aは第3の半導体層16の成長時に格子不整合に起因する層中のストレスを低減させる。
【0161】
また、第3の実施形態においては、第2の半導体層14Aを成長する際に、互いに隣接する成長面同士が接続するよりも前に成長プロセスを停止する構成であるため、その停止時期の判定を行なう必要があるが、第5の実施形態においては、その停止時期の判定が不要となるため、製造プロセスは容易である。
【0162】
なお、第1の実施形態と同様に、基板11として、サファイアに代えて、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムを用いてもよい。さらには、酸化リチウムアルミニウム、酸化リチウムガリウム又はこれらの混晶である酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、0≦x≦1))を用いてもよい。
【0163】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0164】
図11(a)〜図11(d)及び図12(a)〜図12(c)は本発明の第6の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0165】
まず、図11(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0166】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状の第1のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0167】
次に、図11(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及び第1のマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおける第1のマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の第1の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する第1の酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第1の下地層12aが形成される。ここで、各第1の酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における第1の下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0168】
次に、図11(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第1のマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第1の酸化領域12Bの間から露出する第1の下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を第1の酸化領域12Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0169】
次に、図11(d)に示すように、第1のマスク膜13と同様の方法で、第2の半導体層14における第1の下地層12aの上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有し、厚さが約100nmのシリコンからなる第2のマスク膜24を形成する。
【0170】
次に、図12(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第2の半導体層14及び第2のマスク膜24が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第2の半導体層14における第2のマスク膜24により覆われていない領域には、該第2の半導体層14が酸化された酸化ガリウムからなる複数の第2の酸化領域14Cが形成される。その結果、第2の半導体層14における互いに隣接する第2の酸化領域14C同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第2の下地層14aが形成される。
【0171】
次に、図12(b)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第2のマスク膜24を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第2の酸化領域14Cの間から露出する第2の下地層14aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第3の半導体層16を第2の酸化領域14Cを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0172】
次に、図12(c)に示すように、複数の第1の酸化領域12B及び複数の第2の酸化領域14Cをフッ化水素水等の酸性水溶液又はアンモニア水等のアルカリ性水溶液により除去する。これにより、基板11と第3の半導体層16とは、基板11の面積が比較的に大きい場合であっても、容易に且つ均一に分離することができる。
【0173】
以上説明したように、前述した第4又は第5の実施形態においては、第2の半導体層14に対して、第1の下地層12aを残すように第2の酸化領域14Bを形成したが、第6の実施形態においては、第2の半導体層14における第1の酸化領域12B同士の間の領域に第2の酸化領域14Cを形成する。これにより、第6の実施形態に係る第1の下地層12aは第2の酸化領域14Cに取り込まれるため、基板11の主面の全面は酸化物で覆われることになるので、ウエットエッチングにより、第3の半導体層16と基板11とを、大面積であっても容易に再現性良く分離することができる。その結果、基板11の分離工程に、第2の実施形態に示したようなレーザ光を照射するプロセスが不要となるため、レーザ光の照射による熱的ダメージがなくなる。さらに、第3の半導体層16自体の製造コストの低減が可能となり、ひいては、該第3の半導体層16を用いてデバイスを製造する際の製造コストの低減を図ることができる。
【0174】
その上、第1の下地層12aを形成するための基板11を第3の半導体層16と分離することにより、基板11を再利用することができる。従って、基板11を再利用することによっても、デバイスを製造する際の製造コストをさらに低減することができる。
【0175】
なお、第1の実施形態と同様に、基板11として、サファイアに代えて、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムを用いてもよい。さらには、酸化リチウムアルミニウム、酸化リチウムガリウム又はこれらの混晶である酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGax Al1-x2 (但し、0≦x≦1))を用いてもよい。
【0176】
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0177】
図13(a)〜図13(d)及び図14(a)〜図14(d)は本発明の第7の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0178】
まず、図13(a)に示すように、MOCVD法により、サファイアからなる基板11の主面上に、III 族源としてトリメチルガリウムを用い、窒素源としてアンモニアを用いて、厚さが約1μmの窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを成長する。ここでも、低温バッファ層を基板11と第1の半導体層12Aとの間に設けてもよい。
【0179】
続いて、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aの上に、厚さが約100nmのシリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスに臭化水素又は塩素を含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部13aを有するストライプ状の第1のマスク膜13を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ又はg線ステッパのような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜13の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状であってもよい。
【0180】
次に、図13(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及び第1のマスク膜13が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおける第1のマスク膜13により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の第1の酸化領域12Bが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する第1の酸化領域12B同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第1の下地層12aが形成される。ここで、各第1の酸化領域12Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜13の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における第1の下地層12aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0181】
次に、図13(c)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第1のマスク膜13を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第1の酸化領域12Bの間から露出する第1の下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を第1の酸化領域12Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0182】
次に、図13(d)に示すように、第1のマスク膜13と同様の方法で、第2の半導体層14における第1の下地層12aの上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有し、厚さが約100nmのシリコンからなる第2のマスク膜24を形成する。
【0183】
次に、図14(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第2の半導体層14及び第2のマスク膜24が形成された基板11に対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第2の半導体層14における第2のマスク膜24により覆われていない領域には、該第2の半導体層14が酸化された酸化ガリウムからなる複数の第2の酸化領域14Cが形成される。その結果、第2の半導体層14における互いに隣接する第2の酸化領域14C同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる第2の下地層14aが形成される。
【0184】
次に、図14(b)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第2のマスク膜24を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第2の酸化領域14Cの間から露出する第2の下地層14aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第3の半導体層16を第2の酸化領域14Cを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0185】
次に、図14(c)に示すように、貼り合わせ法により、主面の面方位が(100)面のシリコン(Si)からなる支持基板15を、第3の半導体層16の上面に貼り合わせる。但し、第3の半導体層16の厚さを100μm以上と十分に大きくできる場合には、支持基板15を必ずしも貼り合せる必要はない。また、支持基板15にシリコンを用いたが、主面の面方位が(100)面のヒ化ガリウム(GaAs)を用いても良く、また、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)又は金属を用いてもよい。
【0186】
次に、図14(d)に示すように、複数の第1の酸化領域12B及び複数の第2の酸化領域14Cをフッ化水素水等の酸性水溶液又はアンモニア水等のアルカリ性水溶液により除去する。これにより、支持基板15が貼り合わされた第3の半導体層16と基板11とは、基板11が比較的に大きい面積であっても、容易に且つ均一に分離することができる。
【0187】
以上説明したように、第7の実施形態によると、第6の実施形態に係る効果を得られる上に、結晶性が向上した第3の半導体層16に、シリコンからなる支持基板15を貼り合わせているため、第3の半導体層16を用いて半導体レーザ素子を作製する場合には、面方位が(001)面を持つシリコンからなる支持基板15は容易にへき開できるようになる。その結果、活性層におけるミラー特性が良好となるので、半導体レーザ素子におけるしきい値電流が低減する等の動作特性を改善することができる。
【0188】
また、支持基板15に放熱性に優れる材料を選んで貼り合せを行なうと、半導体素子の放熱性が向上して、該素子の長寿命化が達成される等の動作特性の向上を期待できる。
【0189】
(第8の実施形態)
以下、本発明の第8の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0190】
図15(a)〜図15(c)は本発明の第8の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0191】
本実施形態及びこれ以降の各実施形態においては、半導体層を成長する基板に、該基板自体が酸化してなる選択成長用の酸化領域を形成可能な材料を用いることを特徴とする。
【0192】
まず、図15(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコン(SiC)からなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコン(Si34)からなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、マスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、マスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0193】
次に、図15(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、マスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で約5時間の熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおけるマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコン(SiO2 )からなる複数の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、マスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0194】
なお、炭化シリコンの面方位の(0001)面には、一般に、Si面及びC面と呼ばれる2つの極性があり、C面の方がSi面よりもその酸化速度が速い。従って、プロセス時間を短縮するという観点からはC面が望ましいが、基板31A上に成長する炭化シリコン層の結晶性を考慮して基板31Aの主面の面方位を決定することが好ましい。
【0195】
次に、図15(c)に示すように、例えばRIE法によりマスク膜25を除去し、その後、モノシラン(SiH4 )とエチレン(C24)とを反応させるCVD法により、横方向成長が支配的となる条件で、基板31Aにおける複数の酸化領域31Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、炭化シリコンからなる半導体層32を酸化領域31Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0196】
このように、第8の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、半導体層32が成長する際に、酸化領域31Bの上側において横方向成長が支配的となるため、この酸化領域31Bの上側部分では、半導体層32は、その下地となる基板31Aの表面の影響を受けることがなくなるので、半導体層32の結晶欠陥密度を低減することができる。
【0197】
その上、炭化シリコンからなる下地領域31aの開口寸法はマスク膜25の幅寸法よりも小さくすることができるため、加工寸法が0.1μmレベルの露光装置によりマスク膜25をパターニングしたとすると、下地領域31aの幅寸法はさらに小さくすることができるので、再成長する半導体層32の結晶性は、下地領域31aの表面の影響をより一層受けにくくなる。
【0198】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0199】
また、所望の半導体薄膜である半導体層32の上面に、シリコン等からなる支持基板を貼り合わせ、その後、研磨法等により、半導体層32から基板31Aを除去してもよい。
【0200】
(第9の実施形態)
以下、本発明の第9の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0201】
図16(a)〜図16(d)及び図17(a)〜図17(c)は本発明の第9の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0202】
まず、図16(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコンからなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状の第1のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0203】
次に、図16(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1のマスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおける第1のマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコンからなる複数の第1の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する第1の酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各第1の酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、第1の酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0204】
次に、図16(c)に示すように、例えばRIE法により第1のマスク膜25を除去し、その後、CVD法により、横方向成長が支配的となる条件で、基板31Aにおける複数の第1の酸化領域31Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、炭化シリコンからなる第1の半導体層32を第1の酸化領域31Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0205】
次に、図16(d)に示すように、第1のマスク膜25と同様の方法で、第1の半導体層32における下地領域31aの上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有し、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第2のマスク膜26を形成する。
【0206】
次に、図17(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲で、第1の半導体層32及び第2のマスク膜26が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層32における第2のマスク膜26により覆われていない領域には、該第1の半導体層32が酸化された酸化シリコンからなる複数の第2の酸化領域32Bが形成される。その結果、第1の半導体層32における互いに隣接する第2の酸化領域32B同士に挟まれた領域に、炭化シリコンからなる下地層32aが形成される。このとき、下地領域31aは第2の酸化領域32Bに取り込まれるため、基板31Aの主面の全面は酸化シリコンで覆われることになる。
【0207】
次に、図17(b)に示すように、RIE法により第2のマスク膜26を除去し、その後、CVD法により、複数の第2の酸化領域32Bの間から露出する下地層32aの露出面上に、炭化シリコンからなる第2の半導体層33を第2の酸化領域32Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0208】
次に、図17(c)に示すように、複数の第1の酸化領域31B及び複数の第2の酸化領域32Bをフッ化水素水等の酸性水溶液により除去する。これにより、基板31Aと第2の半導体層33とは、基板31Aが大面積であっても再現性良く且つ容易に分離することができる。
【0209】
このように、第9の実施形態によると、第8の実施形態と同様の効果を得られる上に、下地領域31a及び下地層32aを形成するための基板31Aを第2の半導体層33と分離することにより、基板31Aを再利用することができるようになる。これにより、一般に炭化シリコンからなる基板31Aは高価であるため、基板31Aを再利用すると、第2の半導体層33を用いてデバイスを製造する際の製造コストを低減することができる。
【0210】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0211】
(第10の実施形態)
以下、本発明の第10の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0212】
図18(a)〜図18(d)、図19(a)及び図19(b)は本発明の第10の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0213】
まず、図18(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコンからなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状の第1のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0214】
次に、図18(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1のマスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおける第1のマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコンからなる複数の第1の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する第1の酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各第1の酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、第1の酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0215】
次に、図18(c)に示すように、例えばRIE法により第1のマスク膜25を除去し、その後、CVD法により、横方向成長が支配的となる条件で、基板31Aにおける複数の第1の酸化領域31Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、炭化シリコンからなる第1の半導体層32を第1の酸化領域31Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0216】
次に、図18(d)に示すように、第1のマスク膜25と同様の方法で、第1の半導体層32における下地領域31aの上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域31Bの上側部分にそれぞれ開口部を有し、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第2のマスク膜27を形成する。
【0217】
次に、図19(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層32及び第2のマスク膜27が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層32における第2のマスク膜27により覆われていない領域には、該第1の半導体層32が酸化された酸化シリコンからなる複数の第2の酸化領域32Cが形成される。その結果、第1の半導体層32における互いに隣接する第2の酸化領域32C同士に挟まれた領域に、炭化シリコンからなる下地層32aが形成される。
【0218】
次に、図19(b)に示すように、RIE法により第2のマスク膜27を除去し、その後、CVD法により、複数の第2の酸化領域32Cの間から露出する下地層32aの露出面上に、炭化シリコンからなる第2の半導体層33を第2の酸化領域32Cを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0219】
このように、第10の実施形態によると、第1の半導体層32における配向性がずれた接合部分を酸化して、該第1の半導体層32から新たな下地層32aを形成し、形成した下地層32aを、再度種結晶としてELO成長を繰り返すことにより、この配向性のずれを低減することができる。その結果、下地層32aから成長する第2の半導体層33は、その配向性のずれは極めて小さいため、該第2の半導体層33は第1の半導体層32と比べて、結晶性がより一層向上する。
【0220】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0221】
(第11の実施形態)
以下、本発明の第11の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0222】
図20(a)〜図20(d)及び図21(a)〜図21(c)は本発明の第11の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0223】
まず、図20(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコンからなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状の第1のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μmかそれ以下の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0224】
次に、図20(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1のマスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおける第1のマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコンからなる複数の第1の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する第1の酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各第1の酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、第1の酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0225】
次に、図20(c)に示すように、例えばRIE法により第1のマスク膜25を除去し、その後、CVD法により、横方向成長が支配的となる条件で、基板31Aにおける複数の第1の酸化領域31Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、炭化シリコンからなる第1の半導体層32を第1の酸化領域31Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0226】
次に、図20(d)に示すように、第1のマスク膜25と同様の方法で、第1の半導体層32における下地領域31aの上側部分をマスクし且つ第1の酸化領域31Bの上側部分にそれぞれ開口部を有し、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第2のマスク膜27を形成する。
【0227】
次に、図21(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層32及び第2のマスク膜27が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層32における第2のマスク膜27により覆われていない領域には、該第1の半導体層32が酸化された酸化シリコンからなる複数の第2の酸化領域32Cが形成される。その結果、第1の半導体層32における互いに隣接する第2の酸化領域32C同士に挟まれた領域に、炭化シリコンからなる下地層32aが形成される。
【0228】
次に、図21(b)に示すように、複数の第1の酸化領域31B及び複数の第2の酸化領域32Cをフッ化水素水等の酸性水溶液により除去する。これにより、各下地層32aの側部は、オーバーハング状となる。
【0229】
次に、図21(c)に示すように、下地層32aを種結晶とするELO成長が支配的となる成長条件で、炭化シリコンからなる第2の半導体層33を成長する。このように、第2の半導体層33は、その下面と基板31Aの主面との間に空隙部33aが形成されるため、第2の酸化領域32Cの表面の影響を受けることなく成長する。ここでも、第1の半導体層12A、第2の半導体層14及び第3の半導体層16の結晶成長法は、いずれもHVPE法を適用することができる。さらに、第1の半導体層12AにはMBE法を用いてもよい。
【0230】
以上説明したように、第11の実施形態によると、第10の実施形態と同様の効果を得られる上に、第2の半導体層33が、第1の酸化領域12B及び第2の酸化領域14Bが除去されてなる空隙部33aを維持するように基板11上に形成されるため、第2の半導体層33が成長する際に、第2の酸化領域32Cの表面の影響を受けることがないので、第2の半導体層33の結晶性がより一層向上する。その上、空隙部33aは第2の半導体層33の成長時に格子不整合に起因する層中のストレスを低減させる。
【0231】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0232】
(第12の実施形態)
以下、本発明の第12の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0233】
図22(a)〜図22(e)は本発明の第12の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0234】
まず、図22(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコンからなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコンからなるマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、マスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、マスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、マスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、マスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0235】
次に、図22(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、マスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおけるマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコンからなる複数の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、マスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0236】
次に、図22(c)に示すように、RIE法によりマスク膜25を除去し、その後、CVD法により、複数の酸化領域12Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、炭化シリコンからなる第1の半導体層32Aを、各酸化領域31Bの上面中央部にそれぞれ露出部分が残るように選択成長(ELO成長)する。すなわち、それぞれがELO成長する複数の第1の半導体層32Aに対して、互いに対向して成長する対向端面同士が接触するよりも前にその成長を停止する。
【0237】
次に、図22(d)に示すように、複数の酸化領域31Bをフッ化水素水等の酸性水溶液により除去する。これにより、各第1の半導体層32Aの側部は、オーバーハング状となる。
【0238】
次に、図22(e)に示すように、CVD法により、第1の半導体層32Aを下地結晶層とするELO成長が支配的となる成長条件で、炭化シリコンからなる第2の半導体層33を成長する。このとき、第2の半導体層33は、その下面と基板31Aの主面との間に空隙部33aが形成されるため、酸化領域31B及び基板31Aの表面のいずれの影響をも受けることなく成長する。
【0239】
以上説明したように、第12の実施形態によると、第8の実施形態と同様に、露出面の面積が小さくなった下地領域31aからのELO成長により、第1の半導体層32A及び第2の半導体層33の結晶性がいずれも向上するだけでなく、第2の半導体層33が、酸化領域31Bが除去されてなる空隙部33aを維持するように基板31A上に形成されるため、第2の半導体層33が成長する際に、基板31Aや酸化領域31Bの表面の影響を受けることがない。その結果、第2の半導体層33の結晶性は酸化領域31Bを除去しない場合と比べて改善される。その上、空隙部33aは第2の半導体層33の成長時に格子不整合に起因する層中のストレスを低減させる効果もある。
【0240】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0241】
(第13の実施形態)
以下、本発明の第13の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0242】
図23(a)〜図23(d)及び図24(a)〜図24(c)は本発明の第13の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0243】
まず、図23(a)に示すように、主面の面方位が(0001)面である炭化シリコンからなる基板31Aの主面上に、例えばプラズマCVD法により、厚さが約100nmの窒化シリコンからなる第1のマスク形成膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ法により、第1のマスク形成膜の上に、例えば平面ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、形成したレジストパターンをマスクとし、第1のマスク形成膜に対して、例えば反応性ガスにフルオロカーボンを含むRIE法によるドライエッチングを行なうことにより、第1のマスク形成膜から開口部25aを有するストライプ状の第1のマスク膜25を形成する。その後、レジストパターンをアッシング等により除去する。ここでは、コンタクトマスクアライナ装置又はg線ステッパ装置のような、加工寸法が0.5μm程度かそれ以上のパターン幅の微細加工が可能な光学露光装置を用いる。なお、第1のマスク膜25の平面形状をストライプ状としたが、ドット(島)状としてもよい。
【0244】
次に、図23(b)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1のマスク膜25が形成された基板31Aに対して、例えば1000℃の温度で熱処理を行なう。この熱処理により、基板31Aにおける第1のマスク膜25により覆われていない領域には、該基板31Aが酸化された酸化シリコンからなる複数の第1の酸化領域31Bが形成される。その結果、基板31Aの上部における、互いに隣接する第1の酸化領域31B同士に挟まれた領域に下地領域31aが形成される。ここで、各第1の酸化領域31Bは、基板面に平行な方向(横方向)にも酸化が進むため、第1のマスク膜25の幅寸法を例えばパターニング時に0.5μmとした場合には、酸化処理後における下地領域31aの幅寸法は0.25μm程度にまで小さくすることも可能である。また、第1の酸化領域31Bを選択的に酸化する酸化雰囲気として、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気を用いているため、迅速で且つ均一な酸化処理を再現性良く実現することができる。
【0245】
次に、図23(c)に示すように、RIE法により第1のマスク膜25を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第1の酸化領域31Bの間から露出する下地領域31aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第1の半導体層12Aを第1の酸化領域31Bを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0246】
次に、図23(d)に示すように、例えば、モノシランを分解するCVD法により、第1の半導体層12Aにおける下地領域31aの上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有し、厚さが約100nmのシリコンからなる第2のマスク膜28を形成する。
【0247】
次に、図24(a)に示すように、酸素ガス又は水蒸気を含む雰囲気で、第1の半導体層12A及び第2のマスク膜28が形成された基板31Aに対して、例えば900℃の温度で約4時間の熱処理を行なう。この熱処理により、第1の半導体層12Aにおける第2のマスク膜28により覆われていない領域には、該第1の半導体層12Aが酸化された酸化ガリウムからなる複数の第2の酸化領域12Cが形成される。その結果、第1の半導体層12Aにおける互いに隣接する第2の酸化領域12C同士に挟まれた領域に、窒化ガリウムからなる下地層12aが形成される。このとき、下地領域31aは第2の酸化領域12Cに取り込まれるため、基板31Aの主面の全面は酸化シリコン及び酸化ガリウムからなる酸化物により覆われることになる。
【0248】
次に、図24(b)に示すように、フッ硝酸又はRIE法により第2のマスク膜28を除去し、その後、MOCVD法により、複数の第2の酸化領域12Cの間から露出する下地層12aの露出面上に、窒化ガリウムからなる第2の半導体層14を第2の酸化領域12Cを覆うように選択成長(ELO成長)する。
【0249】
次に、図24(c)に示すように、複数の第1の酸化領域31B及び複数の第2の酸化領域32Bをウエットエッチングにより除去する。これにより、基板31Aと第2の半導体層33とは、基板31Aが大面積であっても、容易に且つ均一に、再現性良く分離することができる。
【0250】
ここで、酸化シリコンからなる第1の酸化領域31Bのエッチャントには、例えばフッ化水素水又はバッファードフッ酸を用い、酸化ガリウムからなる第2の酸化領域12Cのエッチャントには、塩化水素水又はアンモニア水を用いる。
【0251】
このように、第13の実施形態によると、第8の実施形態と同様の効果を得られる上に、下地領域31a及び下地層12aを形成するための基板31Aを第2の半導体層14と分離することにより、基板31Aを再利用することができるようになる。これにより、一般に炭化シリコンからなる基板31Aは高価であるため、基板31Aを再利用すると、第2の半導体層33を用いてデバイスを製造する際の製造コストを低減することができる。
【0252】
また、第2の実施形態のように、第2の半導体層14の上面に、主面に(100)面の面方位を持つシリコン(Si)からなる支持基板を貼り合わせた後に、基板31Aを分離してもよい。
【0253】
なお、単結晶からなる基板31Aに炭化シリコン(SiC)を用いたが、これに代えて、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)又はリン化ガリウム(GaP)を用いてもよい。
【0254】
また、前述した各実施形態に用いた基板11、31の主面の面方位は(0001)面に限られない。さらには、各基板11、31には、(0001)面等の典型的な面方位からわずかにオフセットした、いわゆるオフアングルを持たせてもよい。
【0255】
また、第1、第2及び第13の各実施形態においては、所望の半導体薄膜である第2の半導体層14を窒化ガリウムとしたが、インジウム又はアルミニウムを添加した混晶としてもよい。さらには、該第2の半導体層14に、これらの混晶を用いた、例えば量子井戸構造のようなヘテロ接合を含むデバイス構造を形成してもよい。
【0256】
同様に、第3〜第7の各実施形態においても、第3の半導体層16に、InGaAlNAsからなる混晶を用いたヘテロ接合を含むデバイス構造を形成してもよい。また、第8〜第12の各実施形態においても、第1の半導体層32又は第2の半導体層33にデバイス構造を形成してもよい。
【0257】
また、基板11又は基板31Aを成長した半導体層から分離していない実施形態においても、各基板11、31Aを構成する材料が持つ禁制帯幅よりも小さく且つ半導体が持つ禁制帯幅よりも大きいエネルギーを有する照射光を各基板11、31Aに照射することにより、基板11、31Aと半導体層とを分離してもよい。このとき、各基板11、31Aを500℃程度に加熱したり、酸性又はアルカリ性の水溶液を用いて、酸化領域を選択的に除去すると良い。
【0258】
【発明の効果】
本発明に係る半導体薄膜の製造方法によると、第2の半導体薄膜を形成する際のマスクとなる酸化領域の間隔を小さくすることができるため、第1の半導体薄膜を下地結晶として選択成長する第2の半導体薄膜は、該第1の半導体薄膜の結晶欠陥の影響を受けにくくなり、第2の半導体薄膜の結晶欠陥密度を低減することが可能となる。
【0259】
また、第2の半導体薄膜に対して、下地結晶である第1の半導体薄膜を含むよに選択的な酸化を行なった後、第2の半導体薄膜を新たな下地結晶とする第3の半導体薄膜を選択成長することにより、基板と第3の半導体薄膜との間がすべて酸化領域となるため、該酸化領域を除去することにより基板を第3の半導体薄膜から容易に分離することができるので、分離した基板を他の半導体薄膜の成長に再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法による酸化領域の表面状態を示し、(a)は水蒸気を含む雰囲気における熱酸化処理の場合を示すAFM写真であり、(b)は酸素雰囲気における熱酸化処理の場合を示すAFM写真である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法による酸化領域の断面構造を示し、(a)は水蒸気を含む雰囲気における熱酸化処理の場合を示すSEM写真であり、(b)は酸素雰囲気における熱酸化処理の場合を示すSEM写真である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図5】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図6】(a)〜(e)は本発明の第3の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第4の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の第5の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の第5の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図11】(a)〜(d)は本発明の第6の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明の第6の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図13】(a)〜(d)は本発明の第7の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図14】(a)〜(d)は本発明の第7の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図15】(a)〜(c)は本発明の第8の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図16】(a)〜(d)は本発明の第9の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図17】(a)〜(c)は本発明の第9の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図18】(a)〜(d)は本発明の第10の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図19】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図20】(a)〜(d)は本発明の第11の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図21】(a)〜(c)は本発明の第11の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図22】(a)〜(e)は本発明の第12の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図23】(a)〜(d)は本発明の第13の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図24】(a)〜(c)は本発明の第13の実施形態に係る半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図25】(a)及び(b)は従来の半導体薄膜の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【符号の説明】
11 基板
12A 第1の半導体層
12a (第1の)下地層
12B (第1の)酸化領域
12C 第2の酸化領域
13 (第1の)マスク膜
13a 開口部
14 第2の半導体層
14A 第2の半導体層
14B 第2の酸化領域
14C 第2の酸化領域
15 支持基板
16 第3の半導体層
16a 空隙部
23 第2のマスク膜
24 第2のマスク膜
25 (第1の)マスク膜
25a 開口部
26 第2のマスク膜
27 第2のマスク膜
28 第2のマスク膜
31A 基板
31a 下地領域
31B (第1の)酸化領域
32 (第1の)半導体層
32a 下地層
32A 第1の半導体層
32B 第2の酸化領域
32C 第2の酸化領域
33 第2の半導体層
33a 空隙部

Claims (32)

  1. 単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、
    前記第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有する第1のマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、
    前記第1のマスク膜が形成された前記第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第1の半導体薄膜における前記第1のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第1の半導体薄膜に複数の第1の酸化領域を形成する第4の工程と、
    前記第1のマスク膜を除去して前記第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に前記複数の第1の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第5の工程と、
    前記第2の半導体薄膜における前記第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をマスクし且つ前記第1の酸化領域の上側部分にそれぞれ開口部を有する第2のマスク膜を形成する第6の工程と、
    前記第2のマスク膜が形成された前記第2の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第2の半導体薄膜における前記第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第7の工程と、
    前記第2のマスク膜を除去して前記第2の半導体薄膜を露出した後、露出した第2の半導体薄膜の上に前記複数の第2の酸化領域を覆うように第3の半導体薄膜を形成する第8の工程とを備えていることを特徴とする半導体薄膜の製造方法。
  2. 前記第7の工程と前記第8の工程との間に、
    前記第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  3. 単結晶からなる基板の上に第1の半導体薄膜を形成する第1の工程と、
    前記第1の半導体薄膜の上に、複数の開口部を有する第1のマスク膜を選択的に形成する第2の工程と、
    前記第1のマスク膜が形成された前記第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第1の半導体薄膜における前記第1のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第1の半導体薄膜に複数の第1の酸化領域を形成する第4の工程と、
    前記第1のマスク膜を除去して前記第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に前記複数の第1の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第5の工程と、
    前記第2の半導体薄膜における前記第1の酸化領域に挟まれた前記第1の半導体薄膜の上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有する第2のマスク膜を形成する第6の工程と、
    前記第2のマスク膜が形成された前記第2の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第2の半導体薄膜における前記第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第2の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第7の工程と、
    前記第2のマスク膜を除去して前記第2の半導体薄膜を露出した後、露出した第2の半導体薄膜の上に前記複数の第2の酸化領域を覆うように第3の半導体薄膜を形成する第8の工程とを備えていることを特徴とする半導体薄膜の製造方法。
  4. 前記第7の工程において、前記第2の酸化領域を、前記第1の酸化領域を含め前記第1の半導体薄膜の全面が酸化されるように形成することを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  5. 前記第8の工程よりも後に、
    前記基板を前記第1の半導体薄膜から分離する第9の工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  6. 前記第8の工程と前記第9の工程との間に、
    前記第3の半導体薄膜の上面に該第3の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第10の工程をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  7. 前記第9の工程は、前記基板を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも小さく且つ前記第1の半導体薄膜を構成する材料が持つ禁制帯幅よりも大きいエネルギーを有する照射光を前記基板に照射する工程を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体薄膜の製造方法。
  8. 前記照射光は、パルス状のレーザ光であることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  9. 前記照射光は、水銀ランプの輝線であることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  10. 前記第9の工程は、前記基板を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  11. 前記第9の工程は、前記照射光を、前記基板の面内をスキャンするように照射することを特徴とする請求項7〜10のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  12. 前記第9の工程は、前記基板及び前記各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことを特徴とする請求項5〜11のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  13. 前記湿式エッチングは、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることを特徴とする請求項12に記載の半導体薄膜の製造方法。
  14. 前記基板は、サファイア、炭化シリコン、酸化リチウムアルムニウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムガリウムアルミニウム(LiGa Al1−x (但し、xは0≦x≦1とする))、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムからなることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  15. 単結晶からなる基板の上に第1のマスク膜を選択的に形成する第1の工程と、
    前記第1のマスク膜が形成された前記基板に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記基板における前記第1のマスク膜の近傍及びその周辺部を酸化することにより、前記基板に複数の第1の酸化領域を形成する第2の工程と、
    前記第1のマスク膜を除去して前記基板を露出した後、前記複数の第1の酸化領域を含め前記基板上を覆うように第1の半導体薄膜を形成する第3の工程と
    前記第3の工程よりも後に、
    前記第1の半導体薄膜における前記第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をそれぞれ開口する複数の開口部を有する第2のマスク膜を形成する第4の工程と、
    前記第2のマスク膜が形成された前記第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第1の半導体薄膜における前記第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第1の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第5の工程と、
    前記第2のマスク膜を除去して前記第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に前記複数の第2の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第6の工程とを備えていることを特徴とする半導体薄膜の製造方法。
  16. 前記第5の工程において、前記第2の酸化領域を、前記第1の酸化領域を含め前記基板の全面が酸化されるように形成することを特徴とする請求項15に記載の半導体薄膜の製造方法。
  17. 単結晶からなる基板の上に第1のマスク膜を選択的に形成する第1の工程と、
    前記第1のマスク膜が形成された前記基板に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記基板における前記第1のマスク膜の近傍及びその周辺部を酸化することにより、前記基板に複数の第1の酸化領域を形成する第2の工程と、
    前記第1のマスク膜を除去して前記基板を露出した後、前記複数の第1の酸化領域を含め前記基板上を覆うように第1の半導体薄膜を形成する第3の工程と、
    前記第3の工程よりも後に、
    前記第1の半導体薄膜における前記第1の酸化領域に挟まれた領域の上側部分をマスクし且つ前記第1の酸化領域の上側部分にそれぞれ開口部を有する第2のマスク膜を形成する第4の工程と、
    前記第2のマスク膜が形成された前記第1の半導体薄膜に対して、酸化性雰囲気で熱処理を行なって、前記第1の半導体薄膜における前記第2のマスク膜からの開口部分及びその近傍を酸化することにより、前記第1の半導体薄膜に複数の第2の酸化領域を形成する第5の工程と、
    前記第2のマスク膜を除去して前記第1の半導体薄膜を露出した後、露出した第1の半導体薄膜の上に前記複数の第2の酸化領域を覆うように第2の半導体薄膜を形成する第6の工程とを備えていることを特徴とする半導体薄膜の製造方法。
  18. 前記第5の工程と前記第6の工程との間に、
    前記第1の酸化領域及び第2の酸化領域を除去する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項17に記載の半導体薄膜の製造方法。
  19. 前記第6の工程よりも後に、
    前記基板を前記第1の半導体薄膜から分離する第7の工程をさらに備えていることを特徴とする請求項15〜18のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  20. 前記第6の工程と前記第7の工程との間に、
    前記第2の半導体薄膜の上面に該第2の半導体薄膜とは異なる材料からなる支持基板を貼り合わせる第8の工程をさらに備えていることを特徴とする請求項19に記載の半導体薄膜の製造方法。
  21. 前記第7の工程は、前記基板及び前記各酸化領域のうちの少なくとも一方を湿式エッチングにより除去する工程を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載の半導体薄膜の製造方法。
  22. 前記湿式エッチングは、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いることを特徴とする請求項21に記載の半導体薄膜の製造方法。
  23. 前記基板は、炭化シリコン、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム又はリン化ガリウムからなることを特徴とする請求項15〜22のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  24. 前記第1の半導体薄膜及び前記第2の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、III-V族窒化物半導体又は炭化シリコンからなることを特徴とする請求項15〜23のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  25. 前記第1の半導体薄膜、前記第2の半導体薄膜及び前記第3の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、III-V族窒化物半導体又は炭化シリコンからなることを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  26. 前記第1の半導体薄膜及び前記第2の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、気相成長法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法又は分子線エピタキシ法により成膜することを特徴とする請求項15〜23のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  27. 前記第1の半導体薄膜、前記第2の半導体薄膜及び前記第3の半導体薄膜のうちの少なくとも1つは、気相成長法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法又は分子線エピタキシ法により成膜することを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  28. 前記第1の半導体薄膜と前記第2の半導体薄膜とは、互いに異なる成膜方法により成膜することを特徴とする請求項15〜23のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  29. 前記第1の半導体薄膜、前記第2の半導体薄膜及び前記第3の半導体薄膜のうちのいずれか2つは、互いに異なる成膜方法により成膜することを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体薄膜の製造方法。
  30. 前記酸化性雰囲気は酸素ガスであることを特徴とする請求項1〜29に記載の半導体薄膜の製造方法。
  31. 前記酸化性雰囲気は水蒸気を含むことを特徴とする請求項1〜29に記載の半導体薄膜の製造方法。
  32. 前記支持基板は、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、リン化ガリウム又は金属からなることを特徴とする請求項6又は20に記載の半導体薄膜の製造方法。
JP2003062031A 2002-03-08 2003-03-07 半導体薄膜の製造方法 Expired - Fee Related JP4451606B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003062031A JP4451606B2 (ja) 2002-03-08 2003-03-07 半導体薄膜の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002-63013 2002-03-08
JP2002063013 2002-03-08
JP2003062031A JP4451606B2 (ja) 2002-03-08 2003-03-07 半導体薄膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003332237A JP2003332237A (ja) 2003-11-21
JP4451606B2 true JP4451606B2 (ja) 2010-04-14

Family

ID=29713861

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003062031A Expired - Fee Related JP4451606B2 (ja) 2002-03-08 2003-03-07 半導体薄膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4451606B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5267945B2 (ja) * 2009-03-31 2013-08-21 学校法人関西学院 三次元微細加工方法及び三次元微細構造
JP4991834B2 (ja) 2009-12-17 2012-08-01 シャープ株式会社 車両用前照灯
JP5232815B2 (ja) 2010-02-10 2013-07-10 シャープ株式会社 車両用前照灯
US8733996B2 (en) 2010-05-17 2014-05-27 Sharp Kabushiki Kaisha Light emitting device, illuminating device, and vehicle headlamp
JP2011243369A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Sharp Corp 発光装置、照明装置および車両用前照灯
US9816677B2 (en) 2010-10-29 2017-11-14 Sharp Kabushiki Kaisha Light emitting device, vehicle headlamp, illumination device, and laser element
JP5542036B2 (ja) * 2010-12-03 2014-07-09 日本碍子株式会社 Iii族窒化物単結晶の製造方法
JP5534049B2 (ja) * 2013-01-11 2014-06-25 富士通株式会社 多結晶SiC基板を有する化合物半導体ウエハ、化合物半導体装置とそれらの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003332237A (ja) 2003-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7713812B2 (en) Method for manufacturing semiconductor thin film
JP5180050B2 (ja) 半導体素子の製造方法
JP5187610B2 (ja) 窒化物半導体ウエハないし窒化物半導体装置及びその製造方法
US6593159B1 (en) Semiconductor substrate, semiconductor device and method of manufacturing the same
JP4286527B2 (ja) 窒化ガリウム基板の製造方法
US6841410B2 (en) Method for forming group-III nitride semiconductor layer and group-III nitride semiconductor device
JP3863720B2 (ja) 窒化物系半導体素子および窒化物系半導体の形成方法
US20040065889A1 (en) Semiconductor wafer, semiconductor device, and methods for fabricating the same
US20020137342A1 (en) Method of manufacturing nitride semiconductor substrate
JP6986645B1 (ja) 半導体基板、半導体デバイス、電子機器
US6797532B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing the same
WO2005088687A1 (ja) 窒化ガリウム系半導体基板の作製方法
JP2002217116A (ja) 結晶膜、結晶基板および半導体装置の製造方法
JPWO2006041134A1 (ja) 窒化化合物半導体素子およびその製造方法
JP3962283B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2002145700A (ja) サファイア基板および半導体素子ならびに電子部品および結晶成長方法
JP4451606B2 (ja) 半導体薄膜の製造方法
JP3805673B2 (ja) 窒化物半導体基板の製造方法
JP4381397B2 (ja) 窒化物系半導体素子および窒化物系半導体の形成方法
JP2008282942A (ja) 半導体素子及びその製造方法
JP2006298752A (ja) 窒化物半導体基板の製造方法
JP3792041B2 (ja) 半導体素子及びその製造方法
JP2007184644A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2003264314A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2005532692A (ja) 半導体材料における欠陥の減少

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140205

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees