JP2002353142A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
半導体装置およびその製造方法Info
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Abstract
装置およびその半導体装置を簡便で高歩留まりな製造プ
ロセスにより作製できる半導体装置の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ガラス基板上に形成された結晶性を有す
るケイ素膜を活性領域として用いた半導体装置におい
て、活性領域109は、略一方向に沿って並んだライン
状の結晶粒群(結晶粒界GBにより境界が示された領域)
により構成されており、かつ、そのライン状の結晶粒群
とそれに隣接するライン状の結晶粒群との間の面方位の
ずれは10゜以内である。
Description
を結晶化した結晶性ケイ素膜を活性領域として用いる半
導体装置およびその製造方法に関し、特に絶縁表面を有
する基板上に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)を用
いたアクティブマトリクス型液晶表示装置,密着型イメ
ージセンサー,三次元IC等の半導体装置およびその製
造方法に関する。
高速で高解像度の密着型イメージセンサー、三次元IC
(集積回路)等への実現に向けて、ガラス等の絶縁基板上
や絶縁膜上に高性能な素子を形成する試みがなされてい
る。これらの装置に用いられる素子には、薄膜状のケイ
素半導体を用いるのが一般的である。この薄膜状のケイ
素半導体としては、非晶質ケイ素半導体(a−Si)から
なるものと結晶性を有するケイ素半導体からなるものの
2つに大別される。
く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性
に富むため、最も一般的に用いられているが、導電性等
の物性が結晶性を有するケイ素半導体に比べて劣ってい
るため、より高速特性を得るには、結晶性を有するケイ
素半導体からなる半導体装置の作製方法の確立が強く求
められている。なお、結晶性を有するケイ素半導体とし
ては、多結晶ケイ素、微結晶ケイ素等が知られている。
体を得る方法としては、 (1) 成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する方法 (2) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、パルスレーザ
ー光のエネルギーにより結晶性を有する膜を形成する方
法 (3) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、熱エネルギー
を加えることにより結晶性を有する膜を形成する方法 等が知られている。しかしながら、(1)の方法では、成
膜工程と同時に結晶化が進行するので、大粒径の結晶性
ケイ素を得るにはケイ素膜の厚膜化が不可欠であり、良
好な半導体物性を有する膜を基板上に全面にわたって均
一に成膜することが技術上困難である。
晶化現象を利用するため、小粒径ながら粒界が良好に処
理され、比較的高品質な結晶性ケイ素膜が得られるが、
現在最も一般的に使用されているエキシマレーザーを例
にとると、未だ十分な安定性のものが得られておらず、
素子としての性能面でも十分ではない。
比較すると、基板内の均一性,安定性において有利であ
るが、600℃で30時間程の長時間にわたる加熱処理
が必要であり、処理時間が長く、スループットが低いと
いう問題がある。また、この(3)の方法では、結晶構造
が双晶構造となるため、1つの結晶粒は数μmと比較的
大きいが、結晶粒内に多数の双晶欠陥を含み、上記(2)
の方法に比べて結晶性は劣る。
改善し、高品質な結晶性ケイ素膜を得る方法が最近注目
されている。この方法では、非晶質ケイ素膜の結晶化を
助長する触媒元素を利用することで、加熱温度の低温化
および処理時間の短縮、そして結晶性の向上を図ってい
る。具体的には、非晶質ケイ素膜の表面にニッケルやパ
ラジウム等の金属元素を微量に導入させ、しかる後に加
熱を行うものである。
元素を核とした結晶核発生が早期に起こり、その後その
金属元素が触媒となって結晶成長を助長し、結晶化が急
激に進行することで理解される。そういった意味で以後
これらの金属元素を触媒元素と呼ぶ。これらの触媒元素
により結晶化が助長されて結晶成長した結晶性ケイ素膜
は、通常の固相成長法(上記(3)の方法)で結晶化した結
晶性ケイ素膜の1つの粒内が双晶構造であり、多数の結
晶欠陥を有しているのに対して、その粒内は何本もの柱
状結晶ネットワークで構成されており、それぞれの柱状
結晶内部はほぼ理想的な単結晶状態となっている。
素膜を用いて半導体装置を作製すると、従来よりは高性
能な半導体装置は得られるが、未だその性能は不十分で
ある。したがって、特開平7−161634号公報で
は、触媒元素を導入して固相結晶化した結晶性ケイ素膜
の結晶性をさらに高めるため、上記触媒元素による結晶
化工程の後に、さらにパルスレーザー光などの強光を照
射する工程を追加している。すなわち、この工程によ
り、触媒元素を用い加熱処理で結晶化された結晶性ケイ
素膜の結晶性をさらに高め、その結果、半導体装置の高
速化を図ろうとするものである。
素を用いて結晶化されたケイ素膜は、良好な結晶性を有
してはいるが、各結晶粒内には欠陥が多い。したがっ
て、高性能な半導体装置の活性領域に用いるケイ素膜と
しては、より結晶欠陥を低減させた高品質な結晶性ケイ
素膜が望まれる。結晶性をより高めるためには、触媒元
素を用いて結晶化した後に、さらに高温(800〜11
00℃)で酸化雰囲気で熱処理する第1の半導体装置の
製造方法と、特開平7−161634号公報のようにパ
ルスレーザー光を照射する第2の半導体装置の製造方法
とがある。前者の第1の半導体装置の製造方法では、い
わゆる高温プロセスになり、安価なガラス基板を使用す
ることはできない。
を前提とすれば、後者の第2の半導体装置の製造方法を
用いることになる。触媒元素を導入して加熱することに
より結晶化された結晶性ケイ素膜は、幅800〜100
0Åの柱状結晶のネットワーク状態により、それぞれの
結晶粒が構成されている。個々の柱状結晶内部は単結晶
状態であるが、これらの柱状結晶の曲がりや分岐などに
より転位などの結晶欠陥が結晶粒内に多数存在する。パ
ルスレーザー光照射は、この良好な結晶性を有する柱状
結晶成分を元に、結晶粒内の欠陥を消滅させることを目
的とするが、現実には非常に難しい。
性ケイ素膜にパルスレーザー光照射すると、低いレーザ
ーパワーでは、ほとんど効果がなく、元の結晶状態をほ
ぼ維持するだけで大きくは改善されない状態となり、高
いレーザーパワーでは、元の結晶状態がリセットされ、
レーザーのみにより結晶化されたのと同様の状態にな
る。その中間状態を形成するのは難しく、レーザーパワ
ーのマージンがほとんどない。また、このような最適状
態のレーザーパワー範囲で結晶性ケイ素膜を作製した場
合においても、触媒元素による結晶化工程での結晶性を
引き継いだまま、上記工程で生じた元々の結晶欠陥を低
減することができる一方、レーザーによる再結晶化工程
による新たな結晶粒界がどうしても生じてしまう。この
パルスレーザー光照射によって引き起こされる結晶粒界
は、触媒元素により固相結晶化された状態で見られる結
晶粒界と比べて、半導体キャリアに対するトラップ密度
が非常に大きく、またそのエネルギーも深い。よって、
特開平7−161634号公報のような触媒元素による
固相結晶化の後にパルスレーザー光で再結晶化する方法
を用いて形成された半導体装置においては、元々の触媒
元素による固相結晶化時の結晶欠陥は低減される一方、
パルスレーザー光照射による再結晶化時に新たな結晶粒
界が生じるが、結果としては、固相結晶化時の欠陥消滅
効果の方がパルスレーザー光照射で生じる新たな結晶粒
界の影響を上回っているため、パルスレーザー光照射工
程を追加することで、トータル的に半導体装置の向上は
図れる。しかしながら、このような特開平7−1616
34号公報で得られる方法では、未だ十分と言えるよう
な高速性能を有する半導体装置は得られず、より高い電
流駆動能力をもつ半導体装置を必要とされている。
公報の方法では、従来のパルスレーザー光照射による問
題点の1つであるばらつきの問題がどうしてもつきまと
う。触媒元素により固相結晶化した結晶性ケイ素膜の高
い均一性を引き継いで再結晶化するのであるから、従来
の非晶質ケイ素膜を直接レーザーによる結晶化する方法
に比べると、確かに格段に均一性は高い。しかしなが
ら、パルスレーザー光照射工程に伴う新たな結晶粒界の
発生は、ランダムに起こるため、その影響により半導体
装置の特性はばらつく方向に作用する。その結果、触媒
元素による固相結晶化のみで作製された半導体装置に比
べると、特性が不安定となり、特性ばらつきが大きくな
る。
で特性ばらつきの少ない半導体装置およびその半導体装
置を簡便で高歩留まりな製造プロセスにより作製できる
半導体装置の製造方法を提供することにある。
め、第1の発明の半導体装置は、絶縁表面を有する基板
上に形成された結晶性を有するケイ素膜を活性領域とし
て用いた半導体装置において、上記活性領域は、略一方
向に沿って並んだライン状の結晶粒群により構成されて
おり、かつ、そのライン状の結晶粒群は、隣接するライ
ン状の結晶粒群とほぼ同一な面方位であることを特徴と
している。
領域の略一方向に沿って並んだライン状の結晶粒群は、
隣接するライン状の結晶粒群とほぼ同一な面方位である
ので、問題となる結晶粒界の影響を小さく抑えることが
できると共に、その結晶粒界における半導体キャリアに
対するトラップ密度を低減し、そのトラップ準位のエネ
ルギーもより浅く抑えることができる。その結果、高い
電流駆動能力を有するだけでなく、非常に高性能で素子
間のばらつきが小さい安定した特性を有する半導体装置
を実現できる。
スレーザー光を照射して、略一方向に沿って並んだライ
ン状の結晶粒群を得るような方法は知られているが、こ
の場合は、隣接する結晶粒間の面方位には関連性はな
く、それぞれが単独である。その場合には、この発明に
比べてキャリアに対する結晶粒界のトラップ性は、非常
に大きく、ライン状の結晶粒群を越えてキャリアが移動
しなければならないような半導体素子があると、その特
性は著しく低下すると共に、素子間の特性のばらつきが
大きくなる。具体的に、このような従来知られている隣
接するライン状の結晶粒群の面方位に相関性がない場合
には、そのライン方向に対して、キャリアの移動方向が
平行または垂直となるようにTFTを作製した場合、そ
の電界効果移動度の差は、実に5倍程度の大きな特性が
生じている。これに対して、この発明の半導体装置で
は、このような配置でTFTを作製した場合、その電界
効果移動度で実際に差は見られるが、その差は1.5倍
から2倍程度であり、また、従来法に比べて全体的な電
界効果移動度の値が向上するため、従来法に比べて素子
の設計レイアウトに大きな制約を受けない。
イン状の結晶粒群とそれに隣接するライン状の結晶粒群
との間の面方位のずれは10゜以内であることを特徴と
している。
ライン状の結晶粒群とそれに隣接するライン状の結晶粒
群との間の面方位のずれを10゜以内とすることによっ
て、結晶粒界での連続性はほぼ保たれ、半導体キャリア
に対する結晶粒界におけるトラップ密度およびトラップ
準位のエネルギーを、半導体素子の特性を大きく低下さ
せることがない程度まで低減できる。
面を有する基板上に形成された結晶性を有するケイ素膜
を活性領域として用いた半導体装置において、上記活性
領域は、略一方向に沿って並んだライン状の結晶粒群に
より構成されており、かつ、そのライン状の結晶粒群と
隣接するライン状の結晶粒群との間の結晶粒界は、原子
レベルで連続的に格子がつながっていることを特徴とし
ている。
領域を構成するライン状の結晶粒群の結晶粒界は、ミク
ロ的な観点から、原子レベルで連続的に格子がつながる
ようにすることによって、結晶粒界でのキャリアのトラ
ップ密度およびエネルギー準位が最も小さくできる。し
たがって、高い電流駆動能力を有するだけでなく、非常
に高性能で素子間のばらつきが小さい安定した特性を有
する半導体装置を実現できる。
面を有する基板上に形成された結晶性を有するケイ素膜
を活性領域として用いた半導体装置において、上記活性
領域は、略一方向に沿って並んだライン状の結晶粒群に
より構成されており、かつ、そのライン状の結晶粒群と
隣接するライン状の結晶粒群との間の結晶粒界が小傾角
粒界であることを特徴としている。
角粒界では、平面的に見て微妙に結晶方位のずれが小さ
な回転角で生じている状態を示しており、格子自体の並
びは結晶粒界では小さな角度で回転している(屈折して
いる)が、隣接する結晶粒の格子同士は結晶粒界で連続
的につながっているような状態である。このような場合
に結晶粒界でのキャリアのトラップ密度およびエネルギ
ー準位が最も小さくできる。したがって、半導体素子の
高速性能を最も高めると共に、素子間の特性ばらつきを
最小にできる。
3の発明の半導体装置において、上記ライン状の結晶粒
群と隣接するライン状の結晶粒群との間に形成される小
傾角の結晶粒界は、結晶粒間の平面的な方位の回転角が
10゜以内の小傾角粒界であることを特徴としている。
に隣接するライン状の結晶粒群の間の小傾角粒界の回転
角を10゜以内にすることによって、結晶粒界での格子
の連続性がほぼ保たれ、半導体キャリアに対する結晶粒
界におけるトラップ密度およびトラップ準位のエネルギ
ーを、半導体素子の特性を大きく低下させることがない
程度まで低減できる。
1〜第3の発明の半導体装置において、上記結晶粒界
は、セコエッチング法によりエッチングされる位置で示
され、結晶粒は、上記結晶粒界に囲まれた領域であるこ
とを特徴としている。
1〜第3の発明の半導体装置において、上記結晶粒群の
面方位および結晶粒界での結晶方位の傾角は、EBSP
(Electron Backscattered Diffraction Pattern)法によ
り定義される値であることを特徴としている。
1〜第3の発明の半導体装置において、上記半導体装置
における活性領域のキャリアの移動方向と上記ライン状
の結晶粒群のライン方向とが略平行であることを特徴と
している。
界でのキャリアに対するトラップは、前述のように通常
の方法に比べ非常に小さいが、この結晶粒界でのキャリ
アに対する影響は皆無ではない。したがって、上記実施
形態の半導体装置によれば、特に高いキャリア移動度が
求められる素子に対しては、活性領域でのキャリアの移
動方向とライン状の結晶粒群のライン方向とが略平行と
なるよう構成することで、キャリアに対する粒界の影響
を極力排除することができる。
1〜第3の発明の半導体装置において、上記活性領域に
おける能動領域は、ニッケル元素を1×1016〜5×1
017atoms/cm3の濃度で含有していることを特
徴としている。
接するライン状の結晶粒群の面方位を制御するために、
非晶質ケイ素膜にその結晶化を促進する触媒元素を導入
しており、結果として、活性領域における能動領域(チ
ャネル領域)には、その触媒元素が含まれている。この
ときの触媒元素としてはニッケルが最も好ましく、面方
位を制御するのに最も適している。
活性領域における能動領域(チャネル領域)中に含まれて
いるニッケルの濃度が、1×1016〜5×1017ato
ms/cm3であるとき、この発明の効果を最も引き出
すことができる。上記活性領域における能動領域のニッ
ケルの濃度が5×1017atoms/cm3を越えるよ
うであれば、ニッケルシリサイドとして能動領域(チャ
ネル領域)中に偏在する領域が多数現れだし、半導体素
子の特性に悪影響を及ぼすようになる。これに対してニ
ッケルの濃度が5×1017atoms/cm3以下で
は、ニッケルは、ほとんどシリサイドとして析出され
ず、ケイ素膜中に固溶し、このような状態では、半導体
素子への悪影響は見られない。一方、活性領域の能動領
域中に残存するニッケルの濃度が1×1016atoms
/cm3よりも少ないと、ニッケルによる触媒効果が十
分に得られず、結晶粒の面方位に対する十分な制御が行
えない。例え、結晶化後の後の工程において、活性領域
のニッケル量を低減するような方法を用いたとしても、
触媒として十分に効果がある量のニッケルを導入して結
晶成長させた場合は、ニッケルの濃度を1×1016at
oms/cm3以下まで低下させることはできない。
は、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素
膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する工程と、上記
触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記非晶
質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工程
と、上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射しながら、
基板またはレーザー光を一方向に走査することにより、
先にレーザー光により再結晶化された領域の結晶性を反
映して順次再結晶化させる工程とを有することを特徴と
している。
表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜に、そ
の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入し、加熱処
理を施して、上記非晶質ケイ素膜を結晶化させて結晶性
ケイ素膜にする。引き続いて、上記結晶性ケイ素膜にレ
ーザー光を照射しながら基板またはレーザー光を一方向
に走査することによって、先にレーザー光により再結晶
化された領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる。
そして、上記レーザー光の照射により再結晶化させた領
域を用いて、半導体素子の能動領域(チャネル領域)を形
成すればよい。なお、上記結晶性ケイ素膜に照射するレ
ーザー光は、パルスレーザであってもよいし、連続発振
レーザ光であってもよい。
板またはレーザー光を一方向に走査して、先のレーザー
光により再結晶化された領域の結晶性を反映して順次再
結晶化させることによって、走査方向に平行な方向に沿
ったライン状の結晶粒群を形成でき、結晶粒界もその結
晶粒群のライン方向に沿って並び、レーザー光照射によ
り生じる結晶粒界の位置を制御できる。すなわち、この
発明では、レーザー光照射工程において、触媒元素によ
る結晶化されたミクロ的に良好な結晶成分(柱状結晶成
分)を効率的に引き継ぎ、その結晶欠陥を効率的に低減
することができる上に、レーザー光照射工程での新たな
結晶粒界の生成を簡略に位置制御できる。したがって、
この第4の発明の半導体装置の製造方法では、レーザー
光照射工程で生じる新たな結晶粒界の影響を極力除いた
状態で、触媒元素による結晶化で得られるミクロ的に良
好な結晶状態と、固相成長結晶化法の特徴である結晶状
態の基板内での良好な均一性と、強光照射による溶融固
化結晶化での低い粒内欠陥密度とを、全て盛り込んだ状
態の非常に高品質な結晶性ケイ素膜が得られる。さら
に、この第4の発明の半導体装置の製造方法では、レー
ザー光照射工程で生じる結晶粒界を制御するので、特性
ばらつきを大きく低減でき、その結果、今までにない非
常に高性能で特に電流駆動能力の高くかつ特性ばらつき
の小さい半導体装置を実現することができる。
は、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素
膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する工程と、上記
触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記非晶
質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工程
と、上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射しな
がら、基板またはパルスレーザー光を一方向に走査する
ことにより、前段のパルスレーザー光により再結晶化さ
れた領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる工程と
を有することを特徴としている。
表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜に、そ
の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入し、加熱処
理を施して、上記非晶質ケイ素膜を結晶化させて結晶性
ケイ素膜にする。引き続いて、上記結晶性ケイ素膜にパ
ルスレーザー光を照射しながら、パルス照射する毎に基
板またはパルスレーザー光を一方向に走査することによ
って、前段のパルスレーザー光により再結晶化された領
域の結晶性を反映して順次再結晶化させる。そして、上
記パルスレーザー光の照射により再結晶化させた領域を
用いて、半導体素子の能動領域(チャネル領域)を形成す
ればよい。
相結晶成長させた後、パルスレーザー光照射により再結
晶化する点では、特開平7−161634号公報と同様
であるが、上記特開平7−161634号公報の半導体
装置の製造方法では、パルスレーザー光で再結晶化する
ときに、その工程で生じる新たな結晶粒界がランダムに
生じる。これに対してこの発明の半導体装置の製造方法
では、このパルスレーザー光照射工程を基板またはパル
スレーザー光を一方向に走査することによって、前段の
パルスレーザー光により再結晶化された領域の結晶性を
反映して順次再結晶化させて、走査方向に平行な方向に
沿ったライン状の結晶粒群を形成でき、結晶粒界もその
結晶粒群のライン方向に沿って並び、パルスレーザー光
照射により生じる結晶粒界の位置を制御できる。すなわ
ち、この発明では、パルスレーザー光照射工程におい
て、触媒元素による結晶化されたミクロ的に良好な結晶
成分(柱状結晶成分)を効率的に引き継ぎ、その結晶欠陥
を効率的に低減することができる上に、特開平7−16
1634号公報でトレードオフとなっていたパルスレー
ザー光照射工程での新たな結晶粒界の生成を簡略に位置
制御できる。したがって、この第5の発明の半導体装置
の製造方法では、パルスレーザー光照射工程で生じる新
たな結晶粒界の影響を極力除いた状態で、触媒元素によ
る結晶化で得られるミクロ的に良好な結晶状態と、固相
成長結晶化法の特徴である結晶状態の基板内での良好な
均一性と、強光照射による溶融固化結晶化での低い粒内
欠陥密度とを、全て盛り込んだ状態の非常に高品質な結
晶性ケイ素膜が得られる。さらに、この第5の発明の半
導体装置の製造方法では、パルスレーザー光照射工程で
生じる結晶粒界を制御するから、従来問題となったパル
スレーザー光照射に起因する特性ばらつきを大きく低減
できる。その結果、今までにない非常に高性能で特に電
流駆動能力の高くかつ特性ばらつきの小さい半導体装置
を実現することができる。
は、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素
膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する工程と、上記
触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記非晶
質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工程
と、上記結晶性ケイ素膜に連続発振レーザー光を照射し
ながら、基板または連続発振レーザー光を一方向に走査
することにより、先にレーザー光により再結晶化された
領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる工程とを有
することを特徴としている。
発明の半導体装置を実現するための製造方法としては、
連続発振レーザー光も適用することもできる。上記連続
発振レーザー光を、触媒元素により結晶化された結晶性
ケイ素膜に照射し、連続して走査することにより、触媒
元素により結晶化された結晶性ケイ素膜の結晶性を反映
して、走査方向に結晶成長が行われ、一方向に結晶粒群
が並び、且つ、その隣接結晶粒間の面方位がほぼ同一で
ある半導体装置が実現できる。
は、上記第5の発明の半導体装置の製造方法において、
上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、上記パルスレーザー光の走査ピッチは、上記
パルスレーザー光照射時に溶融する領域が、その領域に
隣接する非溶融領域の結晶性を反映して再結晶化できる
長さ以下であることを特徴としている。
相結晶成長させた結晶性ケイ素膜に、パルスレーザー光
を照射しながら、パルス照射毎に基板またはパルスレー
ザー光を一方向に走査することにより、前段のパルスレ
ーザー光により結晶化された領域の結晶性を反映して順
次再結晶化させる工程が、キープロセスとなっている。
この工程は非常に重要で、条件によっては十分な効果が
得られない場合がある。特に、このときのパルスレーザ
ー光の走査ピッチは非常に重要なパラメーターである。
そこで、上記実施形態の半導体装置の製造方法によれ
ば、上記パルスレーザー光照射時に溶融する領域が、そ
の領域に隣接する非溶融領域の結晶性を反映して再結晶
化できる長さ以下にすることで、結晶粒は、その成長方
向に沿ってライン状となって形成される。一方、パルス
レーザー光の走査ピッチが上記長さを越える場合には、
通常のパルスレーザー光照射工程で見られるランダムな
結晶核による領域が形成され、そこでは通常のグレイン
状の結晶粒となる。
は、上記パルスレーザー光の走査ピッチが0.1μm〜
1μmであることを特徴としている。
れば、パルスレーザー光の走査ピッチを0.1μmから
1μmの範囲にすることによって、この発明の効果を十
分に得ることができる。上記パルスレーザー光照射時に
溶融する領域が、その領域に隣接する非溶融領域の結晶
性を反映して再結晶化できる長さは最大でも1μmであ
ることがわかっている。よって、少なくとも1μm以下
でないと、前段のパルスレーザー光により結晶化された
領域の結晶性を反映して再結晶化できない領域(ランダ
ムな核発生領域)が生じることになる。しかしながら、
上記パルスレーザー光照射工程のスループット(時間当
たりの処理能力)を考えると、この走査ピッチは大きい
ほどよいのは当然で、0.1μm以上であれば、パルス
レーザー光照射条件に大きな制限なく、この発明の効果
を十分得ることができる値であり、これ以下にしても大
きなメリットはない。
は、上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する
工程において、上記パルスレーザー光の結晶性ケイ素膜
表面に照射されるビーム形状は、略長尺矩形形状であ
り、その長尺方向に対して直角方向にパルス走査が行わ
れることを特徴としている。
形状は、走査方向に対して大きな長さを必要とせず、走
査ピッチ以上であれば基本的によい。したがって、上記
実施形態の半導体装置の製造方法によれば、レーザー発
振器から出力されるパルスレーザー光のトータルパワー
には制限があるため、走査方向を極力短くして、走査方
向に対して直角方向の長さをその分できる限り大きくす
るような長尺矩形状のビーム形状とすることで、より広
範囲の面積を処理できるようになるため、この工程の処
理時間を大きく短縮することができる。
は、上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する
工程において、上記パルスレーザー光の走査方向におけ
るビーム強度のプロファイルは、少なくとも走査方向に
対して後ろ側のビーム強度が一定強度から0まで急激に
低下する形状であることを特徴としている。
走査ピッチ以上の長さの照射長があると、その後ろ側の
ビーム強度のプロファイルが重要となる。なぜなら、走
査方向に対して、常にビーム照射の後ろ側で前段のパル
スレーザー光で結晶化された領域からの結晶成長が生じ
るからである。この領域のビーム強度のプロファイル
が、一般的なガウシアン形状(正規分布形状)のようにな
だらかに低下しているようなプロファイルであれば、前
段のパルスレーザー光で結晶化された領域から徐々にレ
ーザーエネルギーが上がっていく状態となるため、再結
晶化に求められるエネルギーが、この発明において最も
求められる前段のパルスレーザー光で結晶化された領域
近傍で得られない。よって、このようなプロファイルで
は、再結晶化に求められるよりも低いパワー領域が必ず
存在するため、前段のパルスレーザー光で結晶化された
領域の結晶性を引き継ぐことができず、この領域は結晶
性の悪い領域となって残り、この発明の十分な効果を得
ることができない。そこで、上記実施形態の半導体装置
の製造方法において、結晶性ケイ素膜にパルスレーザー
光を照射する工程におけるパルスレーザー光の走査方向
におけるビーム強度のプロファイルを、少なくとも走査
方向に対して後ろ側のビーム強度のプロファイルが一定
強度から0まで急激に強度が低下する形状にすることに
より、前段のパルスレーザー光により再結晶化された領
域の結晶性を反映した最適な再結晶化を行うことができ
る。
は、上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する
工程において、上記パルスレーザー光の走査方向に対し
て、パルスレーザー光の少なくとも後ろ側の一部を機械
的にマスクするレーザー光照射装置を用いることを特徴
としている。
れば、上記パルスレーザー光の走査方向に対して、パル
スレーザー光の少なくとも後ろ側の一部を機械的にマス
クしたような構成のレーザー光照射装置を用いることに
よって、レーザー光照射装置の光学系を大幅に変更する
ことなく、また難しい調整も不要で、最適なビーム強度
のプロファイルが容易に実現できる。また、一実施形態
の半導体装置の製造方法は、上記結晶性ケイ素膜にパル
スレーザー光を照射する工程において、上記パルスレー
ザー光の走査方向におけるビーム強度のプロファイル
は、少なくとも上記結晶性ケイ素膜の再結晶化工程に必
要とする強度から連続的にゼロまで低下する範囲をマス
クしてその範囲の強度をゼロとすることを特徴としてい
る。
れば、パルスレーザー光の走査方向におけるビーム強度
のプロファイルにおいて、少なくとも上記結晶性ケイ素
膜の再結晶化工程に必要とする強度から連続的にゼロま
で低下する範囲をマスクしてその範囲の強度をゼロとす
ることによって、最適なビーム強度のプロファイルを容
易に得ることができる。
は、上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する
工程において、上記基板またはパルスレーザー光を一方
向に走査することにより、前段のパルスレーザー光によ
り結晶化された領域の結晶性を反映して順次再結晶化さ
せるとき、少なくともパルスレーザー光照射前の結晶性
ケイ素膜の元の結晶状態が失われない範囲の強度のパル
スレーザ光で行われることを特徴としている。
ば、ケイ素膜は十分に溶融されず、触媒元素による固相
結晶化後に存在する結晶欠陥を十分に改善することがで
きない。また、このときのパルスレーザー光の強度が大
きければ、触媒元素により得られた結晶性が完全に失わ
れ、すなわち、リセットされてしまい、全面的に従来の
レーザー結晶化で得られる結晶性ケイ素膜と同等になっ
てしまうため、性能が低下するだけでなく、本来レーザ
ー光による結晶化が有している不均一性の問題点が発生
する。すなわち、どちらにしても、このときのパルスレ
ーザー光の強度次第で、この発明の効果が十分に得られ
なくなってしまう。したがって、上記実施形態の半導体
装置の製造方法において、上記パルスレーザー光の強度
としては、触媒元素により結晶化された結晶性ケイ素膜
は膜全体にわたって溶融するが、少なくともパルスレー
ザー光照射前の結晶性ケイ素膜における元の結晶状態が
失われないような範囲の強度で行うことによって、この
発明の効果を十分に得ることができる。
は、上記パルスレーザー光として、波長400nm以下
のエキシマレーザー光を用い、上記結晶性ケイ素膜表面
に対するエネルギー密度が200〜450mJ/cm2
となる範囲内で照射することを特徴としている。
れば、波長400nm以下のエキシマレーザー光を用い
ることによって、ケイ素膜に対する吸収係数が極めて高
く、ガラス基板に熱的ダメージを与えることなく、ケイ
素膜のみを瞬時に加熱することができる。また、エキシ
マレーザー光は発振出力が大きく、大面積基板を処理す
るのに適している。その中でも、特に波長308nmの
XeClエキシマレーザー光は出力が大きいため、基板
照射時のビームサイズを大きくでき、大面積基板に対応
しやすく、また出力も比較的安定しており、量産装置に
適用する上で最も望ましい。そして、上記パルスレーザ
ー光を用いて、ケイ素膜表面に対して、上記パルスレー
ザー光の表面エネルギー密度が200〜450mJ/c
m2となるようにして、照射工程を行うことが望まし
い。ここでパルスレーザー光の表面エネルギー密度が2
00mJ/cm2より小さければ、結晶性ケイ素膜は十
分に溶融されず、触媒元素による固相結晶化後に存在す
る結晶欠陥を十分に改善することができない。また、4
50mJ/cm2よりも大きければ、結晶化領域におい
て触媒元素により得られた結晶性が完全に失われ、すな
わち、リセットされてしまい、全面的に従来のレーザー
結晶化で得られる結晶性ケイ素膜と同等になっていしま
い、性能が低下するだけでなく、本来レーザー光による
結晶化が有している不均一性の問題点が発生する。すな
わち、このエネルギー密度範囲は、前述の結晶性ケイ素
膜は膜全体にわたって溶融するが、少なくともパルスレ
ーザー光照射前の結晶性ケイ素膜における元の結晶状態
が失われないような範囲に相当する。
は、上記第6の発明の半導体装置の製造方法において、
上記結晶性ケイ素膜に連続発振レーザー光を照射する工
程において、上記連続発振レーザー光により照射領域の
ケイ素膜が溶融され、その連続発振レーザー光の走査に
伴って固体/液体界面を移動させながら、順次再結晶化
が行われることを特徴としている。
れば、上記連続発振レーザー光を用いて照射領域のケイ
素膜を溶融し、その連続発振レーザー光の走査に伴って
固体/液体界面を移動させながら、順次再結晶化を行う
場合は、パルスレーザー光と異なり、レーザー光が照射
されている領域は、常に結晶性ケイ素膜が高温となり少
なくとも一部は溶融状態となる。したがって、連続発振
レーザー光の照射/非照射領域の境界が常に存在する。
この境界は固体/液体界面を形成し、レーザー光を走査
することで、その固体/液体界面を移動させることによ
って、結晶性ケイ素膜の再結晶化が行われる(図12参
照)。このようにして連続発振レーザーを用いた場合に
は、パルスレーザー光と異なり、常に固体/液体界面を
維持し、その移動方向に沿って、結晶成長が行われる。
そして、このときのレーザーパワーと走査速度で、結晶
性を制御する。上記連続発振レーザー光の走査速度が速
すぎると、固液界面が固体領域の結晶性を十分引き継い
で結晶成長できない一方、走査速度が遅すぎると、結晶
性ケイ素膜が必要以上に加熱され、触媒元素により結晶
化された元の結晶性の情報がリセットされてしまう。し
たがって、レーザーパワーとの兼ね合いもあるが、走査
速度には最適値が存在する。
は、レーザー走査方向に沿って並んでいる。ここでの結
晶粒間の粒界は、セコエッチングにより顕在化される粒
界であり、結晶粒界が見られるにもかかわらず、隣接す
る結晶粒間の面方位は、ほぼ同一の面方位となっている
(図13参照)。
は、上記第6の発明の半導体装置の製造方法において、
上記連続発振レーザー光として固体レーザー光を用いる
ことを特徴としている。
れば、上記連続発振レーザー光として固体レーザー光を
用いることによって、高い安定性のレーザー光出力が得
られる。また、上記連続発振レーザー光の波長として
は、パルスレーザーとは異なり、600nm以下であれ
ば十分使用可能である。
は、上記第4〜第6の発明の半導体装置の製造方法にお
いて、上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射する工程
において、上記レーザー光の走査方向に対して上記活性
領域に流れるキャリアの方向が略平行になるようにする
ことを特徴としている。
れば、レーザー光の走査方向に対して、キャリアの流れ
る方向(チャネル方向)が略平行となるようにすることに
よって、半導体素子の活性領域でのキャリアの移動方向
とライン状の結晶粒群のライン方向とが略平行となるよ
う構成される。したがって、このような配置は、特に高
いキャリア移動度が求められる素子に対して有効であ
り、活性領域でのキャリアの移動方向とライン状の結晶
粒群のライン方向とが略平行となるため、キャリアに対
する粒界の影響を極力排除することができ、非常に高い
電流駆動能力をもつ素子が得られる。
は、上記第4〜第6の発明の半導体装置の製造方法にお
いて、上記非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素
として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auのうちの
少なくとも1種類の元素を用いることを特徴としてい
る。
れば、触媒元素の種類としては、Ni、Co、Fe、Pd、
Pt、Cu、Auを利用することができる。これらから選
ばれた1種または複数種類の元素であれば、微量で結晶
化助長の効果があるが、それらの中でも、特にNiを用
いた場合に最も顕著な効果を得ることができる。触媒元
素は単独では作用せず、ケイ素膜と結合しシリサイド化
することで結晶成長に作用する。そのときの結晶構造
が、非晶質ケイ素膜結晶化時に1種の鋳型のように作用
し、非晶質ケイ素膜の結晶化を促していると考えられ
る。Niは2つのSiとNiSi2のシリサイドを形成す
る。NiSi2は螢石型の結晶構造を示し、その結晶構造
は、単結晶ケイ素のダイヤモンド構造と非常に類似した
ものである。しかも、NiSi2はその格子定数が5.40
6Åであり、結晶シリコンのダイヤモンド構造での格子
定数5.430Åに非常に近い値をもつ。よって、NiS
i2は、非晶質ケイ素膜を結晶化させるための鋳型として
は最高のものであり、実際に、得られる結晶性ケイ素膜
の結晶性およびその結晶化促進の触媒効果を見ても、触
媒元素としてNiが最もよい。
は、上記第4〜第6の発明の半導体装置の製造方法にお
いて、上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射する工程
の後に、少なくとも上記活性領域の能動領域となる以外
の上記結晶性ケイ素膜の領域に5族Bから選ばれた元素
を導入する工程と、上記5族Bから選ばれた元素を導入
する工程の後に、加熱処理により上記5族Bから選ばれ
た元素が導入された領域に上記触媒元素を移動させて、
上記能動領域中の触媒元素量を低減する工程とを有する
ことを特徴としている。
元素により固相結晶化し、さらにレーザー光照射による
再結晶化を行う点を特徴とするが、これらの触媒元素は
金属類を主としており、このような元素が半導体中に多
量に存在していることは、これら半導体を用いた装置の
信頼性や電気的安定性を阻害するものであり、決して好
ましいことでない。特に、これらの触媒元素がシリサイ
ドとして存在していると、TFTにおいてオフ動作時の
リーク電流増大という大きな問題を引き起こす。この発
明では、触媒元素により固相結晶化された結晶性ケイ素
膜をベースに用いるため、どうしても半導体装置の活性
領域内に触媒元素が存在しており、これを如何にして低
減するかが大きな問題となる。
の製造方法によれば、触媒元素を非晶質ケイ素膜の結晶
化処理に利用した後、上記ケイ素膜中に残存する触媒元
素の大部分を、半導体素子形成領域以外の領域に移動さ
せることで、この問題を解決している。具体的には、少
なくとも後に半導体素子の能動領域(チャネル領域)とな
る領域以外のケイ素膜の領域に、5族Bから選ばれた元
素を導入した後に加熱処理を行う工程を追加する。これ
により、結晶成長に使われた触媒元素は、上記5族Bか
ら選ばれた元素が導入された領域に移動し、結果として
半導体装置の能動領域(チャネル領域)中の触媒元素量を
大きく低減することができる。この半導体装置の製造方
法は、半導体特性に対して悪影響が大きいシリサイド状
態の触媒元素に、特に有効である。そして、5族B元素
を導入され触媒元素が集められた領域を除去して、最終
的な半導体素子領域を形成すれば、基板上には触媒元素
の高濃度領域は全く残らない。
は、上記加熱処理によって上記5族Bから選ばれた元素
が導入された領域に上記触媒元素を移動させて、上記能
動領域中の触媒元素量を低減する工程において、上記触
媒元素の移動方向と上記レーザー光の走査方向とが略平
行であることを特徴としている。
して略平行方向に沿って並んだライン状の結晶粒群が形
成されており、触媒元素の移動効率としては、結晶粒内
は高いが、結晶粒間にわたって、すなわち結晶粒界を横
切るような移動に対しては効率が悪い。したがって、上
記実施形態の半導体装置の製造方法において、上記5族
Bから選ばれた元素が導入された領域に、触媒元素を移
動させるときの移動方向を、結晶性ケイ素膜のライン状
の結晶粒群のライン方向に合わせることによって、結晶
粒界を横切ることなく触媒元素が結晶粒内を移動できる
ため、その移動効率が高まり、結果として、半導体素子
の能動領域(チャネル領域)における触媒元素の残留量も
大きく低減できる。
は、上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、A
s、Sb、Biのうちの少なくとも1種類の元素を用いる
ことを特徴としている。
れば、上記5族Bから選ばれた元素としては、P、N、
As、Sb、Biのうちの少なくとも1種類の元素を用い
ることができ、これらから選ばれた1種または複数種類
の元素であれば、上記触媒元素を効率的に移動させるこ
とができ、十分な効果が得られる。このメカニズムに関
しては、未だ詳しい知見は得られていないが、これらの
元素の中でも、最も効果が高いのはPであることがわか
っている。
びその製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明す
る。
第1実施形態の半導体装置としてのNチャネル型TFT
の概要を示す平面図であり、図1,図2において同一構
成部には同一参照番号を付している。
チャネル型TFTを作製するときの工程において、この
発明を適用した場合について説明する。このNチャネル
型TFTは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の
ドライバー回路や画素部分は勿論、薄膜集積回路を構成
する素子としても利用することができる。
図5(C)は、図1,図2に示すTFTの製造方法を説明す
る工程断面図であり、図4(A)〜図4(D)および図5(A)
〜図5(C)の順に作製工程が順次進行する。
101上に例えばスパッタリング法によって厚さ300
〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜102を
形成する。この酸化ケイ素膜は、ガラス基板101から
の不純物の拡散を防ぐために設けている。次に、プラズ
マCVD(化学気相成長)法によって、厚さ20〜60n
m(例えば40nm)の真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a
−Si膜)103を成膜する。このときの基板加熱温度は
400℃以下であることが望ましく、この第1実施形態
では300℃とした。
ケル104の微量添加を行う。このニッケル104の微
量添加は、ニッケルを溶かした溶液を非晶質ケイ素膜1
03上に保持し、スピナーにより溶液をガラス基板10
1上に均一に延ばして乾燥させることにより行う。第1
実施形態では、溶質としては酢酸ニッケルを用い、溶媒
としては水を用いて、溶液中のニッケル濃度を10pp
mとした。このようにして添加された非晶質ケイ素膜1
03表面上のニッケル濃度を全反射蛍光X線分析(TR
XRF)法により測定すると、5×1012atoms/
cm2程度であった。そして、これを不活性雰囲気下(例
えば窒素雰囲気下)で加熱処理を行う。この加熱処理で
は、昇温途中にまず非晶質ケイ素膜103中の水素離脱
処理を行い、その後さらに高温で非晶質ケイ素膜103
の結晶化を行う。具体的には、第1ステップの加熱処理
として450〜520℃で1〜2時間のアニール処理を
行い、第2ステップの加熱処理としては520〜570
℃で2〜8時間のアニール処理を行う。この第1実施形
態では、500℃にて1時間の処理を行った後、550
℃で4時間の加熱処理を行った。この加熱処理におい
て、非晶質ケイ素膜103表面に添加されたニッケル1
04のシリサイド化が起こり、それを核として非晶質ケ
イ素膜103の結晶化が進行し、結晶性ケイ素膜103
aが形成される。このときの結晶核の発生はランダムに
起こり、結晶性ケイ素膜103aにおける個々の結晶粒
の平均粒径は、3〜5μm程度であった。
ザー光105を照射することで結晶性ケイ素膜103a
を再結晶化させ、結晶性ケイ素膜103aを得る。この
ときのパルスレーザー光としては、XeC1エキシマレ
ーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を用い
た。このときのパルスレーザー光の照射条件は、照射時
に基板を200〜450℃(例えば400℃)に加熱し、
エネルギー密度200〜450mJ/cm2(例えば35
0mJ/cm2)で照射した。
チ、ビーム形状およびビーム形状が重要なパラメーター
となるので、ここで詳しく説明する。第1実施形態で用
いたレーザー光照射装置の概略の構造を図10に示して
いる。図10に示すように、レーザー発振器501から
出たパルスレーザー光506は、ミラー502により曲
げられて、ホモジナイザー503へと導かれる。そし
て、このホモジナイザー503でパルスレーザー光50
6は、長尺形状のパルスレーザー光507へと形成され
る。通常ならこのまま基板表面にパルスレーザー光照射
がなされるのであるが、この発明では、ガラス基板10
1との間に遮蔽マスク板504を設けている。上記遮蔽
板504に照射されるパルスレーザー光507のサイズ
は、ホモジナイザー503を通ってガラス基板101直
上で、300mm×0.2mmの長尺形状となるように
成型されている。上記遮蔽板504によりパルスレーザ
ー光507の短辺方向の裾がカットされ、ガラス基板1
01表面に実際に照射されるパルスレーザー光508の
形状は300mm×0.05mm(50μm)となる。そ
して、上記遮蔽板504とガラス基板101との間隔は
数mm程度である。
プロファイルの変化を図11に示している。図11にお
いて、横軸はパルスレーザー光の走査方向寸法xを表
し、縦軸はビームエネルギー(ビーム強度)を表してい
る。図10に示すホモジナイザー503により長尺形状
に成型されたパルスレーザー光507は、ガウシアン形
状(図11の上側に示す正規分布形状)となっている。こ
れを遮蔽板504に通すことにより、そのトップ付近の
エネルギーの高い領域のみを選択し、それ以外の裾引き
領域をカットしたようなトップハット状(図11の下側
に示す)のビーム強度のプロファイルのパルスレーザー
光508が、ガラス基板101に照射される。
で、ガラス基板101(201)を矢印505の方向に移
動させることでガラス基板101に対してパルスレーザ
ー光の走査が行われる。このときのパルス間の移動距離
が走査ピッチとなり、実際にはガラス基板101の矢印
505の方向の移動速度により制御される。第1実施形
態では、図10に示すように、ガラス基板101を矢印
505の方向に移動させることにより、パルスレーザー
光の走査を行ったが、ガラス基板101から見た場合の
パルスレーザー光の走査方向は矢印505の方向とは逆
方向になる。
おいて、走査ピッチ幅Pとしては、0.1〜1μm(例え
ば0.5μm)とした。走査方向に対するレーザービーム
の幅Lは、第1実施形態では50μmとしたので、ケイ
素膜103aの任意の一点において、計100回のパル
スレーザー光照射が行われることになる。しかし、実際
には、各位置に対して最終回のパルスレーザー光が重要
であり、最終回のパルスレーザー光で前段パルスレーザ
ー光で結晶化された隣接領域の結晶性を反映して、パル
スレーザー光の走査方向に横方向に結晶成長が行われ
る。上記工程により、図1,図2に示すように、ニッケ
ルにより結晶成長した結晶性を引き継いで、横方向に、
パルスレーザー光照射により形成されたライン状の結晶
粒群が成長する。図1,図2において、GBがそのライ
ン状の結晶粒群の結晶粒界を表している。この状態で、
EBSP法により2次元的に結晶面方位の観察を行う
と、それぞれのライン状の結晶粒群は、結晶粒界GBを
挟んで面方位に相関関係が見られ、結晶粒界GBでは1
0゜以内の小傾角粒界を形成している。なお、図3に示
す点線は、走査ピッチ幅を示すものであって、図1,図
2において点線で示された結晶粒界GBではない。
素膜103b上に酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の
絶縁性薄膜を堆積し、パターニングしてマスク106を
形成する。マスク106の形成は、第1実施形態では、
酸化ケイ素膜を用い、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Si
licate:テトラ・エトキシ・シラン)を原料とし、酸素
とともにRFプラズマCVD法で分解・堆積した。この
ときのマスクの厚さは、100nm〜400nmである
ことが望ましく、この第1実施形態では、上記酸化ケイ
素膜の厚さを150nmとした。
に、ガラス基板101上方よりリン107を全面にイオ
ンドーピングする。このときのリン107のドーピング
条件としては、加速電圧を5〜10kVとし、ドーズ量
を5×1015〜1×1016cm -2とした。この工程によ
り、結晶性ケイ素膜103bの露呈している領域にリン
が注入され、リンドープされた結晶性ケイ素領域103
cが形成される。一方、マスク106によって覆われて
いる領域の結晶性ケイ素膜103bには、リンはドーピ
ングされない。このときの状態をガラス基板101上方
より見ると、図1,図2のような状態となっている。図
1,図2では、後のTFT素子領域と、マスク106に
覆われた領域のケイ素膜103bとリンが注入された領
域103cとの関係を明確にするために、後のTFT活
性領域109を示している。後に形成されるTFT活性
領域109は、この段階では、図4(C)のマスク106
に完全に覆われた状態となっている。
下(例えば窒素雰囲気下)にて580〜650℃の温度で
数時間から数十時間の加熱処理を施す。この第1実施形
態では、600℃にて12時間の処理を行った。この加
熱処理において、領域103c中のリンが、結晶性ケイ
素膜103b中に拡散したニッケル104を矢印108
に示すように周囲の全方向に向かって引き寄せる。すな
わち、ニッケルに対するゲッタリングが行われるのであ
る。その結果、結晶性ケイ素膜103b領域におけるニ
ッケル濃度は大幅に低減される。このときのニッケル1
04のゲッタリング方向108は、周囲に向かって四方
八方に行われるが、結晶性ケイ素膜103bが、ある一
方向に沿ったライン状の結晶粒群により構成されている
ので、その結晶粒の方向に対してゲッタリング効率が異
なる。すなわち、ニッケル104は結晶粒界GBを越え
ては移動しにくく、結晶粒内を移動しやすいため、ライ
ン状の結晶粒群のそのライン方向に沿った方向のゲッタ
リング効率が高い。すなわち、図1,図2では実線の矢
印108の方向に主にゲッタリングされ、点線の矢印1
08で示された方向にはほとんど移動しない。よって、
第1実施形態では、後のTFT活性領域109を取り囲
むようにニッケルのゲッタリング領域103cを設ける
ことで、ライン状の結晶粒群のライン方向に対してゲッ
タリング領域を必然的に形成できる上に、ゲッタリング
効率を最大限に高めることができる。このときのTFT
の配置としては、図1よりも図2の配置の方が、ゲッタ
リング領域103cと非ゲッタリング領域(後のチャネル
領域113)との間の距離を最低限にできるため、より
効果の高いゲッタリングが行える。
イ素膜103b中のニッケル濃度を二次イオン質量分析
法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)によ
り測定したところ5×1016atoms/cm3程度に
まで低減されていた。ちなみに上記工程前の結晶性ケイ
素膜103bの膜中ニッケル濃度は5×1017〜1×1
018atoms/cm3程度であった。
をエッチング除去する。エッチャントとしては、十分に
下層のケイ素膜103と選択性のある1:10のバッフ
ァードフッ酸(BHF)を用い、ウェットエッチングによ
り行う。
分のケイ素膜103を除去して素子間分離を行う。すな
わち、上記工程により、図1,図2に示すような配置
で、少なくとも結晶性ケイ素膜103bの領域を用い
て、後にTFTの活性領域(ソース/ドレイン領域、チ
ャネル領域)となる島状の結晶性ケイ素膜109を形成
する。
109を覆うように厚さ20〜150nm(ここでは1
00nm)の酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜110として
成膜する。酸化ケイ素膜の形成には、ここではTEOS
を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃
(好ましくは300〜450℃)でRFプラズマCVD法
で分解・堆積した。または、TEOSを原料としてオゾ
ンガスとともに減圧CVD法または常圧CVD法によっ
て、基板温度を350〜600℃(好ましくは400〜
550℃)として形成してもよい。成膜後、ゲート絶縁
膜自身のバルク特性および結晶性ケイ素膜/ゲート絶縁
膜の界面特性を向上するために、不活性ガス雰囲気下で
400〜600℃で1〜4時間のアニールを行う。
厚さ400〜800nm(例えば600nm)のアルミニ
ウムを成膜する。そして、アルミニウム膜をパターニン
グして、ゲート電極111を形成する。さらに、このア
ルミニウムのゲート電極111の表面を陽極酸化して、
表面に陽極酸化膜112を形成する。この状態が図5
(B)に相当する。このときの陽極酸化は、酒石酸が1〜
5%含まれたエチレングリコール溶液中で行い、最初一
定電流で220Vまで電圧を上げ、その状態で1時間保
持して終了させる。こうして得られた陽極酸化膜112
の厚さは200nmである。なお、この陽極酸化膜11
2は、後のイオンドーピング工程において、オフセット
ゲート領域を形成する厚さとなるので、オフセットゲー
ト領域の長さを上記陽極酸化工程で決めることができ
る。
ト電極111とその周囲の陽極酸化膜112をマスクと
して活性領域に不純物(リン)を注入する。ドーピングガ
スとしてフォスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60
〜90kV(例えば80kV)、ドーズ量を1×1015〜
8×1015cm-2(例えば2×1015cm-2)とする。こ
の工程により、不純物が注入された領域114,115
は、後にTFTのソース/ドレイン領域となり、ゲート
電極111およびその周囲の陽極酸化膜112にマスク
されて不純物が注入されない領域113は、後にTFT
のチャネル領域となる。このときのTFTの配置とし
て、図1に示すような配置で形成した場合、TFT動作
に対してキャリアが流れる方向(114→115の方向)
とチャネル領域113を構成するライン状の結晶粒群の
ライン方向とが平行となるため、図2の配置のTFTに
比べて、キャリアが結晶粒界GBの影響を受けず、より
高い移動度を有するTFTが得られる。
ーザー光116の照射によってアニールを行い、イオン
注入した不純物の活性化を行うと同時に、上記不純物導
入工程で結晶性が劣化した部分の結晶性を改善させる。
このとき、使用するレーザーとしてはXeClエキシマ
レーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を用
い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2(好まし
くは200〜250mJ/cm2)で照射を行う。こうし
て形成されたN型不純物(リン)領域であるソース領域1
14,ドレイン領域115のシート抵抗は、200〜8
00Ω/□であった。
膜または窒化ケイ素膜を層間絶縁膜120として形成す
る。酸化ケイ素膜を用いる場合には、TEOSを原料と
して、これと酸素とのプラズマCVD法またはオゾンと
の減圧CVD法または常圧CVD法によって形成すれ
ば、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜が得られる。
また、モノシランSiH4とアンモニアNH3を原料ガス
としてプラズマCVD法で成膜された窒化ケイ素膜を用
いれば、活性領域/ゲート絶縁膜の界面に水素原子を供
給し、TFT特性を劣化させる不対結合手を低減する効
果がある。
ル120aを形成して、金属材料、例えば窒化チタンと
アルミニウムの二層膜によって電極・配線121を形成
して、これによりTFT122を形成する。上記窒化チ
タン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止
する目的のバリア膜として設けられる。このTFT12
2を液晶表示装置などの画素スイッチング用のTFTと
して用いる場合には、一方のドレイン電極には、ITO
など透明導電膜からなる画素電極を設ければよい。ま
た、このTFT122を薄膜集積回路などに用いる場合
には、ゲート電極111上にもコンタクトホールを形成
し、必要とする配線を施せばよい。
50℃、1時間のアニールを行い、図5(C)に示すTF
T122を完成させる。さらに必要に応じて、TFT1
22を保護する目的で、TFT122上に窒化ケイ素膜
などからなる保護膜を設けてもよい。
121は、図1の配置では、電界効果移動度が450c
m2/Vs程度、閥値電圧が1.0V程度と非常に高性能
であるにもかかわらず、基板内での特性ばらつきが、電
界効果移動度で±10%程度、しきい値電圧で±0.2
V程度(基板として400×320mmのサイズを用
い、基板内30点測定の結果)と非常に良好であった。
また、図2の配置で作製したTFTにおいても、電界効
果移動度が300cm2/Vs程度、閥値電圧が1.5V
程度と、従来の方法に比べて十分に高性能であり、基板
内での特性ばらつきも同様に小さく抑えることができ
る。さらに、図1,図2の配置のいずれのTFTの場合
も、繰り返し測定やバイアスや温度ストレスによる耐久
性試験を行っても、ほとんど特性劣化は見られず、非常
に信頼性が高い。また、触媒元素が特に問題となるTF
Tオフ領域でのリーク電流の増大およびばらつきは、異
常点がなく、触媒元素を用いない場合と同等の数pA程
度にまで低減でき、製造歩留まりを大きく向上すること
ができた。そして、第1実施形態に基づいて作製された
TFTを利用して、液晶表示用アクティブマトリクス基
板を実際に点灯評価したところ、従来法により作製した
ものに比べて表示むらが小さく、TFTリークによる画
素欠陥も極めて少なく、コントラスト比の高い高表示品
位の液晶パネルが得られた。
の第2実施形態の半導体装置としてのNチャネル型TF
TとPチャネル型TFTの概要を示す平面図である。こ
の発明の第2実施形態では、アクティブマトリクス型の
液晶表示装置の周辺駆動回路や、一般の薄膜集積回路を
形成するNチャネル型TFTとPチャネル型TFTを相
補型に構成したCMOS(コンプリメンタリ・メタル・
オキサイド・セミコンダクタ)構造の回路を石英ガラス
基板上に作製する工程について説明する。
図9(C)は、図6(A),(B)に示すTFTの製造方法を示す
工程断面図であり、図8(A)〜図8(D)および図9(A)〜
図9(C)の順に工程が順次進行する。
201上に例えばCVD法によって厚さ300〜500
nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜202を形成す
る。次に、プラズマCVD法によって、厚さ20〜60
nm(例えば30nm)の真性(I型)の非晶質ケイ素膜
(a−Si膜)203を成膜する。このときの基板加熱温
度は400℃以下であることが望ましく、この第2実施
形態では300℃とした。また、装置としては平行平板
式のプラズマCVD装置を用い、モノシランSiH4ガス
と水素H2ガスを材料ガスに用いる。そして、RFパワ
ーのパワー密度を10〜100mW/cm2(例えば80
mW/cm2)と低めに設定し、このときのデポレートは
50nm/min程度である。このようにして得られた
非晶質ケイ素膜203膜中の水素濃度は、10〜15a
tomic%である。
上にニッケル204の微量添加を行う。このニッケル2
04の微量添加は、ニッケルを溶かした溶液を非晶質ケ
イ素膜203上に保持し、スピナーにより溶液をガラス
基板201上に均一に延ばし乾燥させることにより行
う。この第2実施形態では、溶質としては酢酸ニッケル
を用い、溶媒としては水を用いて、溶液中のニッケル濃
度を5ppmとした。このようにして添加された非晶質
ケイ素膜203表面上のニッケル濃度を全反射蛍光X線
分析(TRXRF)法により測定すると、3×1012at
oms/cm2程度であった。
素雰囲気下)で加熱処理を行う。この加熱処理において
は、昇温途中にまず非晶質ケイ素膜203中の水素離脱
処理を行い、その後さらに高温で非晶質ケイ素膜203
の結晶化を行った。具体的には、第1ステップの加熱処
理として450〜520℃で1〜2時間のアニール処理
を行い、第2ステップの加熱処理としては520〜57
0℃で2〜8時間のアニール処理を行う。この第2実施
形態では、500℃にて1時間の処理を行った後、55
0℃で4時間の加熱処理を行った。この加熱処理におい
て、非晶質ケイ素膜203表面に存在するニッケル20
4のシリサイド化が起こり、それを核として非晶質ケイ
素膜203の結晶化が進行する。このときの結晶核の発
生はランダムに起こり、得られる結晶性ケイ素膜203
aにおける個々の結晶粒の平均粒径は、5〜10μm程
度であった。
ザー光205を照射することで結晶性ケイ素膜203a
を再結晶化させ、結晶性ケイ素膜203bを得る。この
ときのパルスレーザー光としては、XeClエキシマレ
ーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を用い
る。パルスレーザー光の照射条件は、照射時に基板を2
00〜450℃(例えば400℃)に加熱し、エネルギー
密度200〜450mJ/cm2(例えば350mJ/c
m2)で照射した。
チ、ビーム形状およびビーム形状が重要なパラメーター
となる。第1実施形態と同様に、第2実施形態において
も図10に示す構造のレーザー光照射装置を用いる。す
なわち、従来のレーザー光照射装置とは異なり、ガラス
基板201上に遮蔽マスク板504が設けられ、遮蔽板
504に照射されるパルスレーザー光507は不必要な
ビーム端部が遮蔽される。その結果、ガラス基板201
に照射されるパルスレーザー光のサイズは、遮蔽板50
4によりパルスレーザー光507の短辺方向の裾がカッ
トされ、300mm×0.05mm(50μm)となる。
このときの短辺方向におけるビーム強度のプロファイル
は、図11に示すように、遮蔽板504を通すことによ
り、そのトップ付近のエネルギーの高い領域のみが選択
され、それ以外の裾引き領域をカットしたようなトップ
ハット状(図11の下側に示す)のビーム強度のプロファ
イル508となっている。
で、ガラス基板201を矢印505の方向に移動させる
ことでガラス基板201に対してパルスレーザー光の走
査が行われる。このときのパルス間の移動距離が走査ピ
ッチとなり、ガラス基板201の矢印505の方向の移
動速度により制御される。この第2実施形態では、図1
0に示すように、ガラス基板201を矢印505の方向
に移動させることにより、パルスレーザー光の走査を行
ったが、ガラス基板201から見た場合のパルスレーザ
ー光の走査方向は矢印505の方向とは逆方向になる。
ッチ幅Pとしては、0.1〜1μm(例えば0.5μm)と
した。走査方向に対するレーザービームの幅Lは、第2
実施形態では50μmとしたので、ケイ素膜203aの
任意の一点において、計100回のパルスレーザー光照
射が行われることになる。しかし、実際には、各位置に
対して最終回のパルスレーザー光が重要であり、最終回
のパルスレーザー光で前段パルスレーザー光で結晶化さ
れた隣接領域の結晶性を反映して、レーザー走査方向に
横方向に結晶成長がなされる。上記工程により、図6
(A),(B)に示すように、ニッケルにより結晶成長した結
晶性を引き継いで、横方向に、パルスレーザー光照射に
より形成されたライン状の結晶粒群が成長する。図6
(A),(B)において、GBがその結晶粒界を表している。
この状態で、EBSP法により2次元的に結晶面方位の
観察を行うと、それぞれのライン状の結晶粒群は、結晶
粒界GBを挟んで面方位に相関関係が見られ、結晶粒界
GBでは10゜以内の小傾角粒界を形成している。な
お、図7に示す点線は、走査ピッチ幅を示すものであっ
て、図6(A),(B)において点線で示された結晶粒界GB
ではない。
分のケイ素膜203bを除去して素子間分離を行い、後
にTFTの活性領域(ソース/ドレイン領域、チャネル
領域)となる島状の結晶性ケイ素膜209n,209pを
形成する。
209n,209pを覆うように厚さ20〜150nm
(ここでは100nm)の酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜2
10として成膜する。この酸化ケイ素膜の形成には、こ
こではTEOSを原料とし、酸素とともに基板温度15
0〜600℃(好ましくは300〜450℃)でRFプラ
ズマCVD法で分解・堆積した。
ッタリング法によって高融点メタルを堆積し、これをパ
ターニング形成して、ゲート電極211n,211pと
する。このときの高融点メタルとしては、タンタル(T
a)またはタングステン(W)が望ましい。この第2実施
形態では、窒素が微量に添加されたTaと純Taの二層
構造を用い、トータルの厚さが300〜600nm(例
えば450nm)とした。
ピング法によって、活性領域209n,209pに、ゲ
ート電極211n,211pをマスクとして、リン21
7を注入する。ドーピングガスとしてフォスフィン(P
H3)を用い、ドーピング条件としては、加速電圧を60
〜90kV(例えば80kV)とし、ドーズ量を2×10
15〜8×1015cm-2(例えば5×1015cm-2)とし
た。この工程により、ゲート電極211n,211pに
マスクされてリンが注入されない領域は、後にTFTの
チャネル領域213n,213pとなる。また、この工
程により、Nチャネル型TFTにおけるN型の不純物領
域214n,215nが形成される。しかし、Pチャネ
ル型TFTにおいては、そのソース・ドレイン領域21
4n’,215n’は、この段階では、リンがドーピン
グされた結果、N型の不純物領域となっている。
グラフィ工程により、Nチャネル型TFTとなる領域上
を完全に覆うように、フォトレジストにより、選択ドー
ピングのためのマスク219を形成する。そして、この
状態で、イオンドーピング法によって、Pチャネル型T
FTにおいてのみ選択的に、活性領域209pにゲート
電極211pをマスクとしてホウ素218を注入する。
このとき、ドーピングガスとして、ジボラン(B2H6)を
用い、40kV〜80kV(例えば65kV)の加速電圧
で、1×1016〜5×1016cm-2(例えば2×1016
cm-2)の高ドーズ量にて、ドーピングを行う。この工
程において、後のPチャネル型TFTのチャネル領域2
13pは、ゲート電極211pにマスクされ、ホウ素は
注入されない。上記ゲート絶縁膜210越しにホウ素2
18がドーピングされた領域214n’,215n’
は、この結果、先にドーピングされたN型不純物である
リンをキャンセルし、過剰なホウ素により反転してP型
の不純物領域214p,215pが形成される(所謂カウ
ンタードーピング)。このようして、Nチャネル型TF
TとPチャネル型TFTとをそれぞれ形成することがで
きる。
して用いたフォトレジストを除去した後、これを不活性
雰囲気下(例えば窒素雰囲気下)にて500〜600℃の
温度で数時間から数十時間の加熱処理を施す。この第2
実施形態では、550℃にて6時間の処理を行った。こ
の加熱処理により、ドライバー部のTFT活性領域中に
おいて、ソース領域214n,214pおよびドレイン
領域215n,215pにドーピングされているリンが
その領域に存在するニッケルをまずトラップする。
領域213n,213p中に存在しているニッケルを矢
印208に示す方向に、すなわち隣接するソース領域2
14n,214pおよびドレイン領域215n,215p
へと移動させる。その結果、チャネル領域213n,2
13p中のニッケル濃度は大幅に低減する。このときの
TFTの配置は、図6(A),(B)となるようにした。すな
わち、再結晶化のときのレーザー走査方向S(図7に示
す)とニッケルの移動方向208とが略平行となるよう
に設定した。このような配置とすることにより、チャネ
ル領域213n,213p内のライン状の結晶粒群の方
向とニッケルの移動方向が同方向となり、ソース・ドレ
イン領域へのニッケルの移動が、結晶粒界GBを越える
ことなく行われる。その結果、ニッケルの移動効率が向
上し、チャネル内での残留量が大幅に低減できる。この
ときのチャネル領域213n,213p中のニッケル濃
度を二次イオン質量分析法(SIMS)により測定したと
ころ1〜3×1016atoms/cm3程度にまで低減
されていた。ちなみに上記工程前の結晶性ケイ素膜中の
ニッケル濃度は5×1017atoms/cm3程度であ
った。
14n,214p、ドレイン領域215n,215pの活
性化も同時に行われる。上記工程により得られたN型不
純物領域214n,215nのシート抵抗値は、0.5〜
1kΩ/□であり、P型不純物領域214p,215p
のシート抵抗値は、2〜3kΩ/□であった。さらに
は、ゲート絶縁膜210の焼成処理も同時に行われ、ゲ
ート絶縁膜自身のバルク特性および結晶性ケイ素膜/ゲ
ート絶縁膜の界面特性の向上が図れる。
0nmの酸化ケイ素膜を層間絶縁膜220としてプラズ
マCVD法によって形成し、これにコンタクトホール2
20aを形成して、金属材料、例えば窒化チタンとアル
ミニウムの二層膜によって電極・配線221を形成す
る。そして、最後に、1気圧の水素雰囲気下で350
℃、1時間のアニールを行い、Nチャネル型TFT22
3とPチャネル型TFT224とを完成させる。さらに
必要に応じて、TFT223,224を保護する目的
で、TFT223,224上に窒化ケイ素膜などからな
る保護膜を設けてもよい。
S構造回路において、それぞれのTFTの電界効果移動
度はNチャネル型TFTで400〜450cm2/V
s、Pチャネル型TFTで150〜200cm2/Vs
と高く、しきい値電圧はNチャネル型TFTで1.0V
程度、Pチャネル型TFTで−1.5V程度と非常に良
好な特性を示している。また、従来触媒元素を用いたと
きに問題となっていた特性ばらつきを、電界効果移動度
で±10%程度、しきい値電圧で±0.2V程度(基板と
して400×320mmのサイズを用い、基板内30点
測定の結果)に抑えることができ、また、繰り返し測定
やバイアスや温度ストレスによる耐久性試験を行って
も、ほとんど特性劣化は見られず、従来のものと比べて
非常に信頼性の高安定した回路特性を示した。
実施形態の半導体装置の製造方法を用いた連続発振レー
ザーでの再結晶化工程を示す図である。
図12に示すように、ガラス基板301上に、膜厚30
0〜500nm程度の酸化ケイ素(SiO2)からなる下地
膜302を形成する。この下地膜302は、ガラス基板
301からの不純物の拡散を防ぐために設けられ、より
その効果を高めるために窒化ケイ素膜との2層構造とし
て形成してもよい。
〜60nmの真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)
を成膜する。
加熱処理を行う。このa−Si膜に対して、重量換算で
例えば10ppmの触媒元素(この第3実施形態ではニ
ッケル)を含む水溶液(酢酸ニッケル水溶液)をスピンコ
ート法で塗布して、触媒元素含有層を形成する。このと
き、添加する触媒元素の量は極微量であり、a−Si膜
の表面上の触媒元素濃度は、全反射蛍光X線分析(TR
XRF)法により、管理される。この第3実施形態で
は、7×1012atoms/cm2程度である。
ト法でニッケルを添加する方法を用いたが、蒸着法やス
パッタ法などにより触媒元素からなる薄膜(第3実施形
態の場合はニッケル膜)をa−Si膜上に形成する手段
をとってもよい。
不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気にて加熱処理を行
う。この加熱処理は、550〜600℃で30分〜4時
間のアニール処理を行うことが好ましい。この第3実施
形態では、一例として580℃にて1時間の加熱処理を
行った。この加熱処理において、a−Si膜表面に添加
されたニッケルがa−Si膜中に拡散すると共に、シリ
サイド化が起こり、それを核としてa−Si膜の結晶化
が進行する。その結果、a−Si膜は結晶化され、結晶
性ケイ素膜となる。なお、ここでは炉を用いた加熱処理
により結晶化を行ったが、ランプ等を熱源として用いる
RTA(Rapid Thermal Annealing;瞬間アニール)装置
で結晶化を行ってもよい。
イ素膜に連続発振レーザー光を照射し、連続的に走査す
ることで、この結晶性ケイ素膜をレーザーの走査方向に
沿って結晶化させる。このときの連続発振レーザー光と
しては、ダイオード励起の連続発振YAGレーザーを用
いた。この連続発振レーザー光の波長としては532n
mであり、そのときのパワー変動は1%以下であった。
また、連続発振YAGレーザーの出力としては10W
で、基板に対して50〜200cm/sec、例えば1
00cm/secの走査速度で、連続発振レーザー光を
走査した。これにより、図13に示すように、結晶性ケ
イ素膜は溶融し、レーザー光照射領域303と非照射領
域304との境界において固液界面305が生じ、その
固液界面305が、連続発振レーザー光の走査に伴って
移動することで、元の結晶性ケイ素膜の結晶性を反映し
て一方向に沿った結晶粒群が成長する。このようにして
得られた結晶粒群は、図13に示すように、レーザー走
査方向403に沿って並んでいる。ここでのライン状結
晶粒402間の粒界は、セコエッチングにより顕在化さ
れる粒界であり、結晶粒界401が見られるにもかかわ
らず、隣接するライン状結晶粒402間の面方位は、ほ
ぼ同一の面方位となっている。
去して素子間分離を行い、後にTFTの活性領域(ソー
ス/ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性
ケイ素膜を形成した後、第1実施形態および第2実施形
態に示した方法と類似の方法を用いて、TFTを完成さ
せる。
性ケイ素膜を横方向(レーザー走査方向)に再結晶化を行
った場合には、パルスレーザーによる再結晶化と比べ
て、より高いTFT特性が得られる。具体的には、Nチ
ャネル型TFTで600cm2/Vs以上の電界効果移
動度が得られた。
態につき具体的に説明したが、この発明は上述の第1〜
第3実施形態に限定されるものではなく、この発明の技
術的思想に基づく各種の変形が可能である。
は、ニッケルを導入する方法として、非晶質ケイ素膜表
面にニッケル塩を溶かした水溶液を塗布する方法を採用
したが、非晶質ケイ素膜の形成前に、下地膜102,2
02または302の表面にニッケルを導入し、上層の非
晶質ケイ素膜を結晶化することもできる。すなわち、非
晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素は、非晶質ケ
イ素膜の上側から導入し表面より結晶成長させても、ま
た下側から導入して裏側より結晶成長させてもよい。ま
た、ニッケルの導入方法としても、その他、様々な手法
を用いることができる。例えば、ニッケル塩を溶かせる
溶媒として、SOG(スピンオングラス)材料を溶媒とし
てSiO2膜より拡散させる方法もあるし、イオンドーピ
ング法により直接導入する方法や、制御は難しいが蒸着
法やメッキ法により極薄膜を形成する方法なども利用で
きる。さらに、結晶化を助長する不純物金属元素として
は、ニッケル以外にコバルト、鉄、パラジウム、白金、
銅、金を用いても同様の効果が得られる。また、ニッケ
ル等の触媒元素をゲッタリングするための5族B元素と
しては、リン以外に窒素、ヒ素、アンチモン、ビスマス
を利用してもよい。
イ素膜を、強光照射によりさらに結晶化させる手段とし
て、波長308nmのXeC1エキシマレーザーを用い
たが、その他、波長248nmのKrFエキシマレーザ
ーや波長198nmのArFエキシマレーザーも同様に
有効であるし、波長は可視領域となるが、YAGレーザ
ーでも処理が可能である。また、上記結晶性ケイ素膜に
照射するレーザー光は、第1,第2実施形態に用いたパ
ルスレーザであってもよいし、第3実施形態に用いた連
続発振レーザ光であってもよい。
示用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密
着型イメージセンサー、ドライバー内蔵型のサーマルヘ
ッド、有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型
の光書き込み素子や表示素子、三次元IC等が考えられ
る。この発明を用いることで、これらの素子の高速、高
解像度化等の高性能化が実現される。さらに、この発明
は、上記第1,第2実施形態で説明したMOS(メタル・
オキサイド・セミコンダクタ)型トランジスタに限ら
ず、結晶性半導体を素子材としたバイポーラトランジス
タや静電誘導トランジスタをはじめとして幅広く半導体
プロセス全般に応用することができる。
導体装置およびその製造方法によれば、非常に高性能で
ばらつきの少ない安定した特性の半導体装置を実現で
き、さらに、集積度の高い高性能な半導体装置が簡便な
製造プロセスにより実現することができる。また、その
製造工程において良品率を大きく向上でき、商品の低コ
スト化が図れる。特に液晶表示装置においては、アクテ
ィブマトリクス基板に要求される画素スイッチングTF
Tのスイッチング特性の向上、周辺駆動回路部を構成す
るTFTに要求される高性能化・高集積化を同時に満足
し、同一基板上にアクティブマトリクス部と周辺駆動回
路部を構成するドライバモノリシック型アクティブマト
リクス基板を実現でき、モジュールのコンパクト化、高
性能化、低コスト化が図れる。
の製造方法の概要を示す平面図である。
す平面図である。
である。
作製工程を示す工程断面図である。
製造方法の作製工程を示す工程断面図である。
の製造方法の概要を示す平面図である。
である。
作製工程を示す工程断面図である。
製造方法の作製工程を示す工程断面図である。
られるレーザー光照射装置の概念図である。
レーザー光のビーム強度のプロファイルである。
装置の製造方法を用いた連続発振レーザーでの再結晶化
工程を示す図である。
化によるライン状結晶粒の一例を示す図である。
Claims (27)
- 【請求項1】 絶縁表面を有する基板上に形成された結
晶性を有するケイ素膜を活性領域として用いた半導体装
置において、 上記活性領域は、略一方向に沿って並んだライン状の結
晶粒群により構成されており、かつ、そのライン状の結
晶粒群は、隣接するライン状の結晶粒群とほぼ同一な面
方位であることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置において、 上記ライン状の結晶粒群とそれに隣接するライン状の結
晶粒群との間の面方位のずれは10゜以内であることを
特徴とする半導体装置。 - 【請求項3】 絶縁表面を有する基板上に形成された結
晶性を有するケイ素膜を活性領域として用いた半導体装
置において、 上記活性領域は、略一方向に沿って並んだライン状の結
晶粒群により構成されており、かつ、そのライン状の結
晶粒群と隣接するライン状の結晶粒群との間の結晶粒界
は、原子レベルで連続的に格子がつながっていることを
特徴とする半導体装置。 - 【請求項4】 絶縁表面を有する基板上に形成された結
晶性を有するケイ素膜を活性領域として用いた半導体装
置において、 上記活性領域は、略一方向に沿って並んだライン状の結
晶粒群により構成されており、かつ、そのライン状の結
晶粒群と隣接するライン状の結晶粒群との間の結晶粒界
が小傾角粒界であることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項5】 請求項4に記載の半導体装置において、 上記ライン状の結晶粒群と隣接するライン状の結晶粒群
との間に形成される小傾角の結晶粒界は、結晶粒間の平
面的な方位の回転角が10゜以内の小傾角粒界であるこ
とを特徴とする半導体装置。 - 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の
半導体装置において、 上記結晶粒界は、セコエッチング法によりエッチングさ
れる位置で示され、結晶粒は、上記結晶粒界に囲まれた
領域であることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の
半導体装置において、 上記結晶粒群の面方位および結晶粒界での結晶方位の傾
角は、EBSP法により定義される値であることを特徴
とする半導体装置。 - 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の
半導体装置において、 上記半導体装置における活性領域のキャリアの移動方向
と上記ライン状の結晶粒群のライン方向とが略平行であ
ることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1つに記載の
半導体装置において、 上記活性領域における能動領域は、ニッケル元素を1×
1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有し
ていることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項10】 絶縁表面を有する基板上に形成された
非晶質ケイ素膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する
工程と、 上記触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記
非晶質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工
程と、 上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射しながら、基板
またはレーザー光を一方向に走査することにより、先に
レーザー光により再結晶化された領域の結晶性を反映し
て順次再結晶化させる工程とを有することを特徴とする
半導体装置の製造方法。 - 【請求項11】 絶縁表面を有する基板上に形成された
非晶質ケイ素膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する
工程と、 上記触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記
非晶質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工
程と、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射しなが
ら、基板またはパルスレーザー光を一方向に走査するこ
とにより、前段のパルスレーザー光により再結晶化され
た領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる工程とを
有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項12】 絶縁表面を有する基板上に形成された
非晶質ケイ素膜に結晶化を促進する触媒元素を導入する
工程と、 上記触媒元素を導入する工程の後に加熱処理により上記
非晶質ケイ素膜を結晶化させて結晶性ケイ素膜にする工
程と、 上記結晶性ケイ素膜に連続発振レーザー光を照射しなが
ら、基板または連続発振レーザー光を一方向に走査する
ことにより、先に連続発振レーザー光により再結晶化さ
れた領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項13】 請求項11に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、 上記パルスレーザー光の走査ピッチは、上記パルスレー
ザー光照射時に溶融する領域が、その領域に隣接する非
溶融領域の結晶性を反映して再結晶化できる長さ以下で
あることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項14】 請求項13に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記パルスレーザー光の走査ピッチが0.1μm〜1μ
mであることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項15】 請求項11乃至14のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、 上記パルスレーザー光の結晶性ケイ素膜表面に照射され
るビーム形状は、略長尺矩形形状であり、その長尺方向
に対して直角方向にパルス走査が行われることを特徴と
する半導体装置の製造方法。 - 【請求項16】 請求項11乃至15のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、上記パルスレーザー光の走査方向におけるビ
ーム強度のプロファイルは、少なくとも走査方向に対し
て後ろ側のビーム強度が一定強度から0まで急激に低下
する形状であることを特徴とする半導体装置の製造方
法。 - 【請求項17】 請求項16に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、上記パルスレーザー光の走査方向に対して、
パルスレーザー光の少なくとも後ろ側の一部を機械的に
マスクするレーザー光照射装置を用いることを特徴とす
る半導体装置の製造方法。 - 【請求項18】 請求項17に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、上記パルスレーザー光の走査方向におけるビ
ーム強度のプロファイルは、少なくとも上記結晶性ケイ
素膜の再結晶化工程に必要とする強度から連続的にゼロ
まで低下する範囲をマスクしてその範囲の強度をゼロと
することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項19】 請求項11乃至18のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記結晶性ケイ素膜にパルスレーザー光を照射する工程
において、上記基板またはパルスレーザー光を一方向に
走査することにより、前段のパルスレーザー光により結
晶化された領域の結晶性を反映して順次再結晶化させる
とき、少なくともパルスレーザー光照射前の結晶性ケイ
素膜の元の結晶状態が失われない範囲の強度のパルスレ
ーザ光で行われることを特徴とする半導体装置の製造方
法。 - 【請求項20】 請求項19に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記パルスレーザー光として、波長400nm以下のエ
キシマレーザー光を用い、上記結晶性ケイ素膜表面に対
するエネルギー密度が200〜450mJ/cm2とな
る範囲内で照射することを特徴とする半導体装置の製造
方法。 - 【請求項21】 請求項12に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記結晶性ケイ素膜に連続発振レーザー光を照射する工
程において、上記連続発振レーザー光により照射領域の
ケイ素膜が溶融され、その連続発振レーザー光の走査に
伴って固体/液体界面を移動させながら、順次再結晶化
が行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項22】 請求項12に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記連続発振レーザー光として固体レーザー光を用いる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項23】 請求項10乃至12のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射する工程におい
て、上記レーザー光の走査方向に対して上記活性領域に
流れるキャリアの方向が略平行になるようにすることを
特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項24】 請求項10乃至12のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素とし
て、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auのうちの少な
くとも1種類の元素を用いることを特徴とする半導体装
置の製造方法。 - 【請求項25】 請求項10乃至12のいずれか1つに
記載の半導体装置の製造方法において、 上記結晶性ケイ素膜にレーザー光を照射する工程の後
に、少なくとも上記活性領域の能動領域となる以外の上
記結晶性ケイ素膜の領域に5族Bから選ばれた元素を導
入する工程と、 上記5族Bから選ばれた元素を導入する工程の後に、加
熱処理により上記5族Bから選ばれた元素が導入された
領域に上記触媒元素を移動させて、上記能動領域中の触
媒元素量を低減する工程とを有することを特徴とする半
導体装置の製造方法。 - 【請求項26】 請求項25に記載の半導体装置の製造
方法において、 上記加熱処理によって上記5族Bから選ばれた元素が導
入された領域に上記触媒元素を移動させて、上記能動領
域中の触媒元素量を低減する工程において、上記触媒元
素の移動方向と上記レーザー光の走査方向とが略平行で
あることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項27】 請求項25または26に記載の半導体
装置の製造方法において、 上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、As、S
b、Biのうちの少なくとも1種類の元素を用いることを
特徴とする半導体装置の製造方法。
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