JP4289816B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4289816B2
JP4289816B2 JP2002045913A JP2002045913A JP4289816B2 JP 4289816 B2 JP4289816 B2 JP 4289816B2 JP 2002045913 A JP2002045913 A JP 2002045913A JP 2002045913 A JP2002045913 A JP 2002045913A JP 4289816 B2 JP4289816 B2 JP 4289816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
laser light
silicon film
semiconductor device
pulsed laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002045913A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002353140A (ja
Inventor
直樹 牧田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2002045913A priority Critical patent/JP4289816B2/ja
Publication of JP2002353140A publication Critical patent/JP2002353140A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4289816B2 publication Critical patent/JP4289816B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、更に詳しく言えば、非晶質ケイ素膜を結晶化した結晶性ケイ素膜を活性領域とする半導体装置及びその製造方法に関する。特に、本発明は、絶縁表面を有する基板上に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)を用いた半導体装置に有効であり、アクティブマトリクス型の液晶表示装置、密着型イメージセンサー、三次元ICなどに利用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で高解像度の液晶表示装置、高速で高解像度の密着型イメージセンサー、三次元ICなどへの実現に向けて、ガラス等の絶縁基板上や、絶縁膜上に高性能な半導体素子を形成する試みがなされている。これらの装置に用いられる半導体素子には、薄膜状のケイ素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のケイ素半導体としては、非晶質ケイ素半導体(a−Si)からなるものと結晶性を有するケイ素半導体からなるものの2つに大別される。
【0003】
非晶質ケイ素半導体は作製温度が低く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性に富むため、最も一般的に用いられているが、導電性等の物性が結晶性を有するケイ素半導体に比べて劣るため、今後より高速特性を得るためには、結晶性を有するケイ素半導体からなる半導体装置の作製方法の確立が強く求められていた。
【0004】
これら結晶性を有する薄膜状のケイ素半導体を得る方法としては、非晶質の半導体膜を成膜しておき、レーザ光のエネルギーにより結晶性を有せしめる方法が一般的に用いられている。この方法では、溶融固化過程の結晶化現象を利用するため、小粒径ながら粒界が良好に処理され、比較的高品質な結晶性ケイ素膜が得られるが、現在最も一般的に使用されているエキシマレーザを例にとると、未だ十分な安定性のものが得られておらず、半導体装置の性能面でも十分ではない。特にレーザの照射パワーを上げると、全体的に結晶性は向上するが、ばらつきが大きくなるといった問題点がある。
【0005】
また、その他の有用な方法として、非晶質ケイ素膜の結晶化を助長する触媒元素を利用する方法がある。具体的には、非晶質ケイ素膜の表面にニッケルやパラジウム等の金属元素を微量に導入させ、しかる後に加熱を行なうことで、加熱温度の低温化および処理時間の短縮、そして結晶性の向上を図るものである。
【0006】
このような方法により得られた結晶性ケイ素膜を用いて半導体装置を作製すると、従来よりは高性能な半導体装置は得られるが、未だその性能は不十分である。従って、特開平7−161634号公報では、触媒元素を導入して固相結晶化した結晶性ケイ素膜の結晶性を更に高めるため、前記触媒元素による結晶化工程の後に、更にレーザ光などの強光を照射する工程を追加している。すなわち、この工程により、触媒元素を用い加熱処理で結晶化された結晶性ケイ素膜の結晶性を更に高め、その結果、半導体装置の高速化を図ろうとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記触媒元素を用い結晶化されたケイ素膜は、良好な結晶性を有してはいるが、各結晶粒内には欠陥が多い。従って、本発明の目的とする高性能半導体装置の活性層に用いるケイ素膜としては、より結晶欠陥を低減させた高品質な結晶性ケイ素膜が望まれる。結晶性をより高めるためには、特開平7−161634公報のように、触媒元素による結晶成長後にレーザ光を照射する方法がある。
【0008】
しかしながら、実際に、触媒元素により結晶化された結晶性ケイ素膜にレーザ照射すると、低いレーザパワーでは、ほとんど効果がなく、元の結晶状態を略維持するだけで改善されない状態となる。逆に、高いレーザパワーでは、元の結晶状態がリセットされ、レーザのみにより結晶化されたのと同様の状態になる。このようになった場合には、従来のレーザ結晶化法と同様に、結晶性のばらつきの問題が生じることになる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、特性ばらつきが少ない安定した特性の高性能半導体素子を実現し、集積度の高い高性能半導体装置を簡便で高歩留まりな製造工程プロセスにより得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による半導体装置は、結晶領域を含むケイ素膜を備えた半導体装置であって、前記ケイ素膜の結晶領域はキャリアの移動が制御される活性領域を含み、前記活性領域は、概略一方向に沿って並んだライン状結晶粒の群から構成され、非晶質ケイ素膜の結晶化を助長する触媒元素を含有している。
【0011】
ある好ましい実施形態において、前記ケイ素膜は、絶縁表面を有する基板に支持されている。
【0012】
ある好ましい実施形態において、前記ライン状結晶粒の群は、前記活性領域の一端から他端まで延びている。
【0013】
ある好ましい実施形態において、前記活性領域は、前記基板上に複数配列されている。
【0014】
ある好ましい実施形態において、前記ライン状結晶粒の群に属する個々の結晶粒の格子と隣接する結晶粒の格子は、それらの間に位置する結晶粒界を介して、原子レベルで連続している。
【0015】
ある好ましい実施形態において、前記ライン状結晶粒の群に属する個々の結晶粒と隣接する結晶粒子との間には、小傾角結晶粒界が形成されている。
【0016】
前記結晶粒界における結晶方位の傾角は、前記ケイ素膜の表面に平行な面内において10°以下であることが好ましい。
【0017】
前記結晶粒界は、前記ケイ素膜のうち、セコエッチング法によってエッチングされる部分に位置し、前記結晶粒は、前記結晶粒界に囲まれた領域によって規定される。また、前記結晶方位の傾角は、EBSP法による測定値で規定される。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記活性領域でのキャリアの移動方向と、前記活性領域を構成しているライン状結晶粒が延びている方向とが概略平行になるようにレイアウトが規定されている。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記活性領域に形成されたチャネル領域は、ニッケル元素を1×1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有している。
【0020】
本発明による半導体装置の製造方法は、非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有するケイ素膜を用意する工程と、前記ケイ素膜に対してレーザ光を照射しながら、前記支持部材および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、先にレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程とを含む。
【0021】
本発明による半導体装置の製造方法は、非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有するケイ素膜を用意する工程と、前記ケイ素膜に対してパルスレーザ光を照射しながら、前記支持部材および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、前段パルスレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程とを含む。
【0022】
本発明による半導体装置は、非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有するケイ素膜を用意する工程と、前記ケイ素膜に対して連続発振レーザ光を照射しながら、前記支持部材および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、先に連続発振レーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程とを含む。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記ケイ素膜を用意する工程は、絶縁表面を有する部材上にケイ素膜を堆積する工程と、前記ケイ素膜に対して、前記触媒元素を導入する工程とを含む。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の走査ピッチは、前記パルスレーザ光の照射によって溶融する領域が、前記結晶化した領域の結晶性を反映して再結晶化できるように設定されている。
【0025】
前記パルスレーザ光の走査ピッチは、0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記パルスレーザ光の前記非晶質ケイ素膜表面におけるビーム断面形状は概略長尺矩形状であり、前記パルスレーザ光の走査方向は、前記ビーム断面形状の長尺方向に垂直に設定される。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程において、前記パルスレーザ光の走査方向に沿って測定された前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、前記走査方向の後方に位置する領域で急峻に変化する矩形波形状を有している。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記パルスレーザ光の強度プロフィルは、光源から出射されたパルスレーザ光のうち、前記走査方向に沿って後方に位置する端部を遮断することにより得られたものである。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記光源から出射されたパルスレーザ光の遮断される部分は、前記強度プロファイルのうち、前記非晶質ケイ素膜の結晶化に必要なレベルよりも低いレベルを持つ部分である。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の強度は、前記非晶質ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにある。
【0031】
前記パルスレーザ光として波長が400nm以下のエキシマレーザ光を用い、前記ケイ素膜の表面上でのエネルギー密度が250mJ/cm2以上となるように照射条件を設定することが好ましい。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記ケイ素膜に連続発振レーザ光を照射する工程は、前記連続発振レーザ光により照射領域のケイ素膜を溶融し、連続発振レーザ光の走査に伴い、固体/液体界面を移動させながら、順次結晶化を行なう。
【0033】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程における前記連続発振レーザ光の強度は、前記ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにある。
【0034】
ある好ましい実施形態において、前記連続発振レーザ光として、固体レーザを用いる。
【0035】
ある好ましい実施形態においては、前記レーザ光の走査方向に対して、前記活性領域においてキャリアの流れる方向が前記レーザ光の走査方向に対して概略平行となるようにレイアウトが規定されている。
【0036】
本発明による半導体装置の製造方法は、非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有する非晶質ケイ素膜を用意する工程と、前記非晶質ケイ素膜に対してパルスレーザ光を照射しながら、前記支持部材および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、前段パルスレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程とを含む。
【0037】
ある好ましい実施形態において、前記非晶質ケイ素膜を用意する工程は、絶縁表面を有する部材上に非晶質ケイ素膜を堆積する工程と、前記非晶質ケイ素膜に対して、前記触媒元素を導入する工程とを含む。
【0038】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の走査ピッチは、前記パルスレーザ光の照射によって溶融する領域が、前記結晶化した領域の結晶性を反映して再結晶化できるように設定されている。
【0039】
前記パルスレーザ光の走査ピッチは、0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。
【0040】
ある好ましい実施形態において、前記パルスレーザ光の前記非晶質ケイ素膜表面におけるビーム断面形状は概略長尺矩形状であり、前記パルスレーザ光の走査方向は、前記ビーム断面形状の長尺方向に垂直に設定される。
【0041】
ある好ましい実施形態において、前記結晶化工程において、前記パルスレーザ光の走査方向に沿って測定された前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、前記走査方向の後方に位置する領域で急峻に変化する矩形波形状を有している。
【0042】
ある好ましい実施形態において、前記パルスレーザ光の強度プロフィルは、光源から出射されたパルスレーザ光のうち、前記走査方向に沿って後方に位置する端部を遮断することにより得られたものである。
【0043】
ある好ましい実施形態において、前記光源から出射されたパルスレーザ光の遮断される部分は、前記強度プロファイルのうち、前記非晶質ケイ素膜の結晶化に必要なレベルよりも低いレベルを持つ部分である。
【0044】
前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の強度は、前記非晶質ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにある。
【0045】
ある好ましい実施形態においては、前記パルスレーザ光として波長が400nm以下のエキシマレーザ光を用い、前記ケイ素膜の表面上でのエネルギー密度が250mJ/cm2以上となるように照射条件を設定する。
【0046】
ある好ましい実施形態において、前記パルスレーザ光の走査方向に対して、前記活性領域においてキャリアの流れる方向が前記パルスレーザ光の走査方向に対して概略垂直となるようにレイアウトが規定されている。
【0047】
ある好ましい実施形態において、前記触媒元素として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、およびAuからなる群から選択された少なくとも一つの元素を用いる。
【0048】
ある好ましい実施形態では、前記結晶性化工程の後、前記ケイ素膜のうちチャネル領域として最終的に機能する領域以外の領域に対して、5族Bから選択された元素を導入する工程と、加熱処理により、5族Bから選択された元素が導入された領域へ前記触媒元素を移動させ、それによって前記触媒元素の前記チャネル領域中における濃度を相対的に低下させる工程とを更に含む。
【0049】
ある好ましい実施形態において、前記加熱処理による前記触媒元素の移動の方向は、前記パルスレーザ光の走査方向と概略平行である。
【0050】
5族Bから選ばれた前記元素として、P、N、As、Sb、およびBiからなる群から選択された少なくとも一つの元素を用いることが好ましい。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の目的とする高性能な半導体装置を実現するためには高品質な結晶性ケイ素膜が不可欠である。本発明による半導体装置の活性領域は、概略一方向に沿って並んだ線状(ライン状)の結晶粒群により構成されており、活性領域は非晶質ケイ素膜の結晶化を助長する一定量の触媒元素を含有している。
【0052】
本発明によれば、結晶粒界の影響を小さく抑えることができるとともに、結晶粒界における半導体キャリアに対するトラップ密度を低減し、トラップ準位のエネルギーもより浅く抑えることができる。その結果、高い電流駆動能力を持つ半導体素子を実現できるだけではなく、半導体素子間の特性ばらつきを低減し、安定した特性を発揮させることが可能になる。
【0053】
本発明では、上記のライン状結晶粒群間に位置する結晶粒界が原子レベルで連続的に格子がつながった状態にある。この状態において、結晶粒界でのキャリアのトラップ密度およびエネルギー準位が最も小さくなる。また、結晶粒間で連続的に格子がつながっているということは、隣接するライン状の結晶粒の結晶粒界がいわゆる「小傾角粒界」を構成していることを意味する。このような小傾角粒界では、結晶方位のずれが小さな回転角で生じている。すなわち、結晶粒界では格子自体の並びが小さな角度で回転している(屈折している)が、隣接する結晶粒の格子同士は連続している。このような場合に、結晶粒界でのキャリアのトラップ密度およびエネルギー準位が最も小さくなるため、半導体装置の動作速度が向上し、素子間の特性ばらつきが低減される。
【0054】
上記の小傾角結晶粒界における結晶方位の回転角は10°以内であることが望ましい。回転角が10°以内であれば、粒界部での格子の連続性は略保たれ、半導体キャリアに対するトラップ密度およびトラップ準位のエネルギーを大きく低減できるからである。
【0055】
従来、非晶質ケイ素膜に特殊な条件でレーザ光を照射することにより概略一方向に沿って並んだライン状の結晶粒群を得る方法は知られているが、従来の方法によって得られた結晶においては、隣接する結晶粒間の面方位に関連性が無く、それぞれの結晶粒は独立した面方位を有していた。このような場合、本発明に比べ、キャリアに対する結晶粒界のトラップ性が大きく、結晶粒を越えてキャリアが移動しなければならない半導体素子があると、その半導体素子の特性は著しく低下するとともに、素子間の特性のばらつきが大きくなるという問題があった。この場合、ライン方向に対してキャリアの移動方向が平行または垂直となるようにTFTを作製した場合、各TFTにおける電界効果移動度(以下、単に「移動度」と称する)は5倍程度の大きな差を示していた。
【0056】
これに対し、本発明では、上記配置でTFTを作製した場合、電流の方位による移動度の差は1.5倍から2倍程度である。また、本発明によれば、移動度の平均値が従来例に比べて向上するため、素子の設計レイアウトの自由度が向上する。
【0057】
なお、本明細書における「結晶粒界」とは、結晶のうち、セコエッチング法によってエッチングされる部位であり、「結晶粒」とは、結晶粒界に囲まれた結晶領域である。また、本明細書における「結晶粒群の面方位」および「結晶粒界での結晶方位の傾角」は、EBSP法により測定された値である。
【0058】
本発明の半導体装置においては、活性領域を構成するライン状結晶粒の長軸方向が活性領域におけるキャリア移動方向と概略平行となるようにレイアウトの設計がなされることが好ましい。前述のように、本発明によれば、ライン状の結晶粒が隣接する結晶粒界でのキャリアに対するトラップ性が従来例に比べて充分に小さいが、結晶粒界部がキャリア移動度に与える影響は皆無ではない。このため、特に高いキャリア移動度が求められる素子においては、活性領域でのキャリア移動方向と結晶粒の長軸方向とを概略平行とすることにより、キャリアに対する粒界の影響を極力排除することが好ましい。ただし、このような配置をとらない素子でも、本発明によれば、従来例よりも高い移動度が達成される。
【0059】
本発明による半導体装置は、隣接するライン状の結晶粒の面方位を制御するために、非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素が非晶質ケイ素膜に導入されている。このような触媒元素としては、面方位を制御するのに最も適したニッケルを用いることが好ましい。
【0060】
本発明では、結晶化のために導入した触媒元素が、最終的に活性領域のチャネル領域として機能する領域に残存することになる。触媒元素としてニッケルを用いる場合、チャネル領域に含まれるニッケルの濃度は、1×1016〜5×1017atoms/cm3であることが望ましい。ニッケル濃度が5×1017atoms/cm3を超えると、活性領域における多数の箇所にニッケルシリサイドが形成され、半導体素子の特性が劣化する。ニッケル濃度が5×1017atoms/cm3以下であれば、ニッケルはケイ素膜中に固溶し、シリサイドとして析出せず、半導体装置への悪影響はみられない。逆に、活性領域中のニッケル濃度が1×1016atoms/cm3よりも少ない場合、ニッケルによる触媒効果は十分に得られず、結晶粒の面方位を十分に制御することができない。
【0061】
なお、触媒として十分な効果が期待される量のニッケルを導入し、結晶成長させた場合、結晶成長の後、活性領域中のニッケル量を低減する公知の処理を行なったとしても、ニッケル濃度を1×1016atoms/cm3以下に低下させることはできない。
【0062】
次に、本発明による半導体装置の製造方法を説明する。
【0063】
まず、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜に、その結晶化を促進する触媒元素を導入した後、この結晶性ケイ素膜に対してレーザ光を照射しながら、基板および/またはレーザ光を一方向に走査させる。こうすることにより、レーザ光が先に照射されることによって結晶化された領域の結晶性を反映して順次結晶化が進行することになる。なお、用いるレーザとしては、パルスレーザや連続発振レーザを用いることが可能である。
【0064】
特開平7−161634号公報に開示されている方法では、触媒元素を導入して加熱処理により固相結晶成長させた後、レーザ光照射による再結晶化を行なっている。この方法では、加熱処理によって結晶化された領域の影響を隣接領域に引き継がないようにパルスレーザの走査が行なわれている。このパルスレーザの走査工程では、新たな結晶粒界がランダムに生じるため、触媒元素による結晶化の効果が低減される。このため、従来のレーザ走査方法によって得られる結晶状態は、触媒元素を添加しない状態でレーザ結晶化を行なうことにより得られる結晶状態と略等しい。
【0065】
これに対し、本発明では、触媒元素を非晶質ケイ素膜に導入した後、炉などを用いた加熱処理工程を行なわずに、レーザ照射による結晶化を行なう。具体的には、基板またはレーザ光を一方向に走査させることにより、前段のパルスにより結晶化された領域の結晶性を反映して順次結晶化を進行させる。その結果、走査方向に沿って配列した結晶粒が形成される。パルス的に照射されるレーザ光のビーム断面形状を走査方向に対して垂直な方向に延びる長尺形状にすれば、ライン状の結晶粒を走査方向に沿って配列させることができる。結晶粒の長軸と走査方向とがなす角度は、典型的には平行に設定される。ライン状に延びる結晶粒が走査方向に沿って規則正しく配列するため、結晶粒界の位置および方向も制御することができる。
【0066】
触媒元素の添加により得られる効果は、結晶粒界部と結晶粒内とに現れる。結晶粒界部では、シリコンの不対結合手が低減され、原子的に略連続した状態の小傾角粒界が形成される。これは、触媒元素を導入しない限り、観察されない現象である。他方、結晶粒内においては、触媒元素を導入しない場合に比べて欠陥密度が低減される。これらの現象に加えて、本発明では、レーザ照射工程で生じる結晶粒界が再現性良く制御される結果、従来法で問題となったレーザ照射による特性ばらつきが低減される。
【0067】
本発明では、触媒元素を導入した非晶質ケイ素膜に、レーザ光を照射しながら基板および/またはレーザ光を一方向に走査させることにより、先にレーザ光を照射することによって結晶化した領域の結晶性を反映させて順次結晶化を進行させる。
【0068】
本発明の効果を得るには、この結晶化工程が最も重要であり、結果化工程の条件が不適切であれば、十分な効果は得られない。特に、パルスレーザ光を用いる場合は、パルスレーザ光の走査ピッチが重要なパラメーターであり、この走査ピッチは、パルスレーザ照射時に溶融する領域が、隣接する非溶融領域の結晶性を反映して結晶化し得る最大長さ以下に調節される。こうすることにより、結晶粒は、その成長方向に沿ってライン状となって形成される。このときの走査ピッチが前記長さ以上の場合には、通常のレーザ照射工程で見られるランダムな結晶核による領域が形成され、通常のグレイン状の結晶粒が形成されることになる。
【0069】
パルスレーザの照射時に溶融する領域が、隣接している非溶融領域の結晶性を反映して結晶化できる長さは最大でも1μmである。このため、走査ピッチは1μm以下であることが求められる。走査ピッチが1μmを超えて大きくなりすぎると、前段のパルスにより結晶化された領域の結晶性を反映して結晶化できない領域(ランダムな核発生領域)が生じてしまう。
【0070】
一方、パルスレーザ照射工程のスループット(時間当たりの処理能力)を高めるためには、走査ピッチは大きいほど好ましい。走査ピッチが0.1μm以上であれば、レーザ照射条件に大きな制限を与えることなく、本発明の効果を十分得ることができる。また、走査ピッチを0.1μmよりも小さくすることによって、特に大きな利点は生じない。
【0071】
以上のことから、パルスレーザ光を用いる場合は、走査ピッチを0.1μm以上1μm以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0072】
以下、パルスレーザ光を用いる場合について本発明を説明するが、ビーム径や強度プロファイルなどについては、パルスレーザ光について述べた事項が連続発振レーザ光についても同様に成立する。
【0073】
パルスレーザ光が非晶質ケイ素膜表面に形成するビーム断面の形状は、長尺の略矩形形状であることが好ましい。パルスレーザの走査は、ビーム断面の長直方向に対して垂直な方向(短軸方向)に沿って行われることが望ましい。
【0074】
走査方向に沿って計測したビーム断面のサイズは、走査ピッチ以上であれば良い。レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパワーには制限があるため、走査方向に平行な方向のビーム断面サイズは小さくし、その分、走査方向に垂直な方向のビーム断面サイズを大きくすることが好ましい。
【0075】
ビーム断面の形状を、このような長尺矩形状とすることにより、効率的に広範囲の面積で結晶化を進めることができ、本工程の処理時間を短縮することができる。
【0076】
次に、本発明で好適に用いられるパルスレーザ光のビーム強度プロファイルを詳細に説明する。
【0077】
レーザ光の走査方向におけるビーム強度のプロファイルは、走査方向の後ろ側における強度が一定レベルから0レベルまで急激に低下するような矩形波的な形状を持つことが望ましい。
【0078】
本発明の一実施形態では、前述のように、触媒元素を導入した非晶質ケイ素膜にレーザ光をパルス的に照射しながら、基板またはレーザ光を一方向に走査させることにより、前段のパルスにより結晶化された領域の結晶性を反映して順次結晶化を進行させる。そして、レーザ光の走査方向に沿って計測したビーム断面のサイズ(照射長)は走査ピッチ以上の長さを持つ。このため、ビームの走査方向後端部分が照射された領域(前段パルスによって結晶化された領域)から結晶成長が横方向に生じる。従って、適切な結晶化を実現するには、走査方向の後ろ側に位置する部分のビーム強度プロファイルが重要となる。この部分のビーム強度プロファイルがガウシアン形状のようになだらかなカーブを描いていると、前段パルスにより結晶化された領域から走査方向に沿って徐々にレーザエネルギーが上昇することになる。その場合は、照射されるレーザのエネルギーが前段パルスで結晶化された領域の近傍で不充分になってしまう。従って、そのようななだらかに強度が変化するプロファイルを持つレーザでは、結晶化に必要なレベルよりも低いパワーしか与えられない領域が生じ、前段パルスで結晶化された領域の結晶性を適切に引き継ぐことができない部位が出現する。このような部位は、結晶性の悪い領域となって残るため、好ましくない。
【0079】
レーザ光のビーム強度プロファイルを最適化するためには、パルスレーザ光の走査方向後ろ側に位置する部分を遮断する機構を持ったレーザ照射装置を用いることが好ましい。このような機構によれば、レーザ照射装置の光学系を大幅に変更することなく、また、光学的に困難な調整を行なうことなく、必要なビーム強度プロファイルを簡便に得ることができる。
【0080】
本発明にとって最適なビーム強度プロファイルを簡便に得るには、レーザビームのうち、前記触媒元素が導入された非晶質ケイ素膜の結晶化に必要な強度よりも低い強度を持つ領域をカットし、その領域の強度を実質的に0とすればよい。具体的には、開口部を有する遮蔽板をレーザビームの光軸上に挿入し、レーザ光のうち必要な強度を持つ部分と開口部の位置とを整合させればよい。
【0081】
次に、レーザ光照射工程の強度について説明する。
【0082】
レーザ光強度が小さければ、ケイ素膜は十分に溶融されず、前段のパルスで結晶化した隣接領域の結晶性を十分に引き継いで結晶化できず、触媒元素による粒界トラップ低減の効果も得られない。従って、レーザ光の強度としては、触媒元素を導入した非晶質ケイ素膜が膜全体にわたって溶融し、前段の結晶化領域の結晶性を十分に引き継いで結晶化できるような範囲の強度で行われる必要があり、それは触媒元素を導入した非晶質ケイ素膜が膜全体にわたって溶融するような強度に相当する。
【0083】
本発明で用いるレーザ光としては、波長400nm以下のエキシマレーザ光が最も適している。波長400nm以下であれば、ケイ素膜に対する吸収係数が極めて高く、ガラス基板に熱的ダメージを与えることなく、ケイ素膜のみを瞬時に加熱することができる。エキシマレーザ光は発振出力が大きく、大面積基板を処理するのに適している。なかでも特に波長308nmのXeC・エキシマレーザ光は出力が大きいため、基板照射時のビームサイズを大きくでき、大面積基板に対応しやすく、また出力も比較的安定しており、量産装置に適用する上で最も望ましい。
【0084】
レーザ光の表面エネルギー密度は、ケイ素膜上において250mJ/cm2以上であることが好ましい。エネルギー密度が250mJ/cm2以上であれば、前述の触媒元素が導入された非晶質ケイ素を膜全体にわたって溶融することができるので、前段パルスによる結晶化領域の結晶性を十分に引き継いで更に横方向に結晶化を進行させることが可能になる。
【0085】
次に、レーザ光の走査方向と半導体素子の向きの関係を説明する。
【0086】
レーザ光の走査方向に対して、素子動作時におけるキャリアの移動方向(チャネル方向)が概略平行となるように半導体装置の素子レイアウトを設計することが望ましい。このようにレイアウトを採用することにより、半導体装置の活性領域におけるキャリアの移動方向と、活性領域を構成するライン状結晶粒のライン方向(長軸方向)とが略平行となるので、キャリアに対する粒界の影響を極力排除することができ、非常に高い電流駆動能力をもつ素子が得られる。
【0087】
結晶化を助長する触媒元素としては、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、および/またはAuを用いることができる。これらの触媒元素は、微量で結晶化助長の効果を持つ。これらの中でも特にNiを用いた場合に最も顕著な効果が得られる。
【0088】
上記の触媒元素はいずれも金属元素であるため、半導体中に多量に存在していると、半導体素子の信頼性や電気的安定性を阻害するおそれがある。特に、これらの触媒元素がシリサイドとしてチャネル領域中に析出していると、オフ動作時におけるTFTのリーク電流を増大させてしまう。
【0089】
本発明では、結晶化のため触媒元素を意図的にケイ素膜に導入しており、最終的な半導体装置の活性領域内にも触媒元素は残存しているため、この触媒元素を如何にして低減するかが重要になる。本発明では、触媒元素を非晶質ケイ素膜の結晶化処理に利用した後、ケイ素膜中に残存する触媒元素の大部分を半導体素子形成領域以外の領域に移動させることにより、この問題を解決している。具体的には、ケイ素膜のうち、少なくとも半導体装置のチャネル領域と機能することになる領域以外の領域に、5族Bから選ばれた元素(ゲッター)を導入し、加熱処理を行なう。これにより、触媒元素はゲッター元素が導入された領域に移動(拡散)するため、チャネル領域中の触媒元素量を低減することができる。
【0090】
この方法は、半導体特性に対して悪影響の大きいシリサイド状態の触媒元素を低減するのに有効である。触媒元素が集められた領域をエッチングし、それ以外の半導体領域を用いて半導体素子を形成すれば、基板上には触媒元素の高濃度領域は残らない。
【0091】
上記のゲッタリング工程における触媒元素の移動方向は、非晶質ケイ素膜に対するレーザ光の走査方向と概略平行にすることが望ましい。触媒元素の移動効率は結晶粒内で高いが、結晶粒界を横切るような移動に対しては効率が低い。従って、触媒元素の移動方向をレーザ光の走査方向(結晶粒のライン方向)と一致させることにより、触媒元素が結晶粒界を横切ることなく結晶粒内を移動できるため、移動効率が高まり、チャネル領域における触媒元素の残留量も大きく低減できる。
【0092】
5族B元素としては、P、N、As、Sb、Biからなる群から選択された少なくとも一つの元素を用いることができる。これらの一種または複数種類の元素は前記触媒元素を効率的に移動させることができる。これらの元素が触媒元素を移動させるメカニズムの詳細は不明であるが、実験によると、Pによる移動効果が最も高い。
【0093】
【実施例】
まず、図1を参照しながら、本実施例で用いるレーザ照射装置の概略構成を説明する。図示されるレーザ照射装置では、レーザ発振器501から出たパルスレーザ光506がミラー502によって反射された後、ホモジナイザー503へ導かれる。ホモジナイザー503は、レーザ光506のビーム形状を成型する装置であり、レーザ光506のビーム軸(光軸)に垂直な面(X−Y面)における形状は、X軸方向に長く延びた長尺形状507に変化させられる。
【0094】
従来のレーザ照射を行なう場合、レーザ光506はホモジナイザー503により成型された状態のまま基板101の表面へ照射されるが、本実施例では、スリット状開口部を持つ遮蔽板504を用いてレーザ光506の強度プロファイルを調節する。遮蔽板504は、ホモジナイザー503と基板101との間において、レーザ光507の光軸を垂直に横切るように配置され、レーザ光507の一部を遮断する。
【0095】
本実施例では、仮に遮蔽板504が挿入されていない状態で、基板101上におけるレーザ光507のビームサイズが10mm×0.2mmとなるように光学系が設定される。実際には遮蔽板504が適切な位置に挿入されるため、レーザ光507のビーム断面(長尺形状)の端部が遮蔽板504でカットされる。ここでは、遮蔽板504と基板101との間隔が数mm程度に設定される。
【0096】
本実施例では、図1に示すように、ビーム断面の長軸方向(Y軸方向)に延びる帯状の両端部を遮蔽板50でカットしている。このため、基板101上におけるレーザ光508のビームは、X軸方向のサイズ(幅)が狭められ、300mm×0.05mm(50μm)のサイズを持つ断面形状を持つように成型される。
【0097】
このような成型前後におけるレーザ光の強度プロファイルを図2に示す。
【0098】
図2からわかるように、ホモジナイザー503によって長尺形状に成型されたレーザ光507の断面強度プロファイルは、ガウシアン形状を有している。このレーザ光507が遮蔽板504の開口部(スリット)を通ることにより、その強度分布のトップ付近の領域(高エネルギー部分)のみを持つ光が選択的に基板に照射されることになる。すなわち、緩やかに強度が変化する裾引き領域(比較的強度は低い部分)はカットされ、これにより、図2の下半分に示されるトップハット状の強度プロファイルを持つレーザ光508が基板101に照射されることになる。
【0099】
再び、図1を参照する。
【0100】
本実施例では、X軸の正方向を向く矢印の方向505に沿って基板101を移動させることにより、基板101に対するパルスレーザ光の走査を行なう。基板101は、例えば、2〜18mm/分の速度で駆動される。基板101を移動させながら、パルス状のレーザ光を基板101に対して照射する。この場合、n番目のパルス(前段パルス:nは任意の自然数)を照射してからn+1番目のパルス(後段パルス)を照射するまでの間(例えば0.003〜0.01秒)に基板101が移動する距離が走査ピッチPを規定する。走査ピッチPは、矢印505方向への基板移動速度を調節することにより制御され、本実施例における走査ピッチ幅Pは、0.1〜1μm、例えば0.5μmに設定される。なお、基板101を基準にした場合のレーザ光の走査方向は、矢印の方向505に対して反対の方向(X軸の負方向)である。
【0101】
次に、図3(a)を参照する。図3(a)は、レーザ照射装置を用いてパルスレーザ光の照射を行なっているときの基板表面を模式的に示している。図3(a)では、矢印Sがレーザの走査方向を示しており、この方向は図1における基板移動方向505と反対方向(X軸の負方向)である。
【0102】
図3(a)に示されるように、幅(走査方向Sに沿って計測したサイズ)Lで一方向に長く延びたビーム断面を持つパルスレーザが走査ピッチPでケイ素膜に対して順次照射されてゆくと、走査方向Sに沿って結晶粒が成長し、走査方向Sに対して平行なライン状結晶粒が形成される。図3(a)においては、走査方向Sに対して平行な方向に粒界(図3(a)において不図示)が形成される。
【0103】
本実施例では、走査方向Sに沿って計測したレーザビームの幅Lを50μmとした。その結果、ケイ素膜の任意の一点に対して、計100回(=0.5/50回)のパルスレーザが照射されることになる。
【0104】
なお、非晶質;ケイ素膜の表面における任意の位置に対して、連続的に重畳照射される複数回のパルスレーザのうち、最終パルスがその位置における結晶性に最も重要な影響を与える。この最終パルスにより、前段パルスにより結晶化された隣接領域(前段領域)の結晶性を反映した横方向結晶成長が進行する。
【0105】
このようなレーザ照射により、前述した本発明の結晶構造を得ることができる。すなわち、隣接するライン状結晶粒群の間に位置する結晶粒界が原子レベルで連続的に格子がつながり、「小傾角粒界」を構成する結晶性ケイ素膜を得ることができる。
【0106】
〔実施例1〕
次に、図3(b)〜(c)および図4(a)〜(g)を参照しながら、本発明の第1実施例を説明する。図3(b)〜(c)は、N型TFTの平面レイアウトを示す図であり、図4(a)〜(g)は、図3(b)または(c)に示すTFTの工程断面図である。
【0107】
本実施例では、ガラス基板上にN型TFTを作製している。このTFTはアクティブマトリクス型の液晶表示装置のドライバー回路や画素部分に用いられるだけではなく、薄膜集積回路を構成する素子としても利用される。
【0108】
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板101上に例えばスパッタリング法によって厚さ300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜102を堆積した。この酸化ケイ素膜は、ガラス基板101からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。
【0109】
次に、プラズマCVD法によって、厚さ20〜60nm、例えば40nmの真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103を成膜した後、非晶質ケイ素膜103表面上にニッケル104の微量添加を行った。このニッケル104の微量添加は、ニッケルを溶かした溶液を非晶質ケイ素膜103上に保持し、スピナーにより溶液を基板101上に均一に延ばし乾燥させることにより行なうことができる。本実施例では、溶質として酢酸ニッケルを、溶媒として水を用い、溶液中のニッケル濃度が10ppmとなるようにした。このようにして添加されたニッケルの非晶質ケイ素膜103表面での濃度を全反射蛍光X線分析(TRXRF)法により測定すると、5×1012atoms/cm2程度であった。
【0110】
次に、図4(b)に示すように、パルスレーザ光105を照射することで非晶質ケイ素膜103を結晶化させ、結晶性ケイ素膜103aを得た。レーザ光としては、XeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅40nsec)を用いた。レーザ光の照射条件は、照射時に基板を200〜450℃、例えば400℃に加熱し、エネルギー密度は200〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2とした。
【0111】
本実施例では、結晶化工程におけるパルス走査ピッチP、ビーム形状およびビーム形状が重要なパラメーターとなるため、図1に示すレーザ照射装置を用い、図3(a)に示すようにしてパルスレーザを照射した。その結果、図3(b)および(c)に示す結晶性ケイ素膜を得ることができた。なお、図3(b)および(c)に示される結晶粒界GB(図中、「破線」で示す部分)を目視観察することはできない。結晶粒界GBは、ケイ素膜に対してセコエッチングを行なうことにより観察することかできるようになる。セコエッチングを行なった後、EBSP法によって結晶面方位の2次元的な観察を行なうと、結晶粒界GBを挟んで隣接するライン状の結晶粒は面方位に相関関係を有しており、しかも、結晶粒界GB部に10°以内の小傾角粒界が形成されていることがわかった。このような結晶構造は、Niなどの触媒元素をシリコンに添加した後、上述のパルスレーザ光照射を行なったことにより得られたものであり、Niを添加しない場合には観察されなかった。
【0112】
次に、図4(c)に示すように、結晶性ケイ素膜103a上に酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の絶縁性薄膜を堆積した後、この絶縁性薄膜をパターニングすることによりマスク106を形成した。本実施例では、マスク106を酸化ケイ素膜から形成した。酸化ケイ素膜は、例えばTEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解することにより、結晶性ケイ素膜103a上に堆積される。マスク106の厚さは100nm〜400nmであることが望ましく、本実施例では、150nmとした。
【0113】
次に、図4(c)に示すように、基板101の上方からリン107をケイ素膜103aの全面にドープした。リンイオンのドーピング条件は、加速電圧を5〜10kVとし、ドーズ量を5×1015〜1×1016cm-2とした。このイオンドーピング工程により、結晶性ケイ素膜103aのうちマスク106に覆われていない領域にリンが注入され、リンがドープされた結晶性ケイ素領域103bが形成される。マスク106によって覆われている領域の結晶性ケイ素膜103aには、リンはドーピングされない。
【0114】
リンドーピングが終了した時点における結晶性ケイ素膜103は、図3(b)及び(c)に示されるように、マスク106に覆われた領域103aと、リンが注入された領域103bと区分される。なお、図3(b)及び(c)には、後の工程で形成されるTFT活性領域109が示されている。このTFT活性領域109は、リンドーピングが終了した段階では、マスク106によって完全に覆われている。
【0115】
次に、不活性雰囲気(例えば窒素雰囲気)中において、ケイ素膜103に対して、580〜650℃の温度で数時間から数十時間の加熱処理を施す。本実施例では、600℃にて12時間の処理を行った。
【0116】
この加熱処理により、領域103b中のリンが結晶性ケイ素膜103a中に拡散していたニッケル104を矢印108に示すように周囲全方向に向かって引き寄せる。このようにしてニッケルに対するゲッタリングが行われる結果、領域103aにおけるニッケル濃度は大幅に低減する。
【0117】
ニッケル104のゲッタリング方向(拡散方向)108は、領域103aから周囲に向かって四方に行われる。しかし、本実施例のように、領域103aが、ある一方向に沿ったライン状の結晶粒によって構成されている場合は、ニッケルの移動方向と結晶粒が延びる方向との関係によってゲッタリング効率が異なる。これは、ニッケル104が結晶粒界GBを越えては移動しにくく、結晶粒内を移動しやすいためである。その結果、結晶粒の延びる方向(ライン方向)に平行な方向でゲッタリング効率が高くなる。図3(b)および(c)に示されるレイアウトでは、ニッケル104は主として実線矢印108の方向に移動し、点線矢印で示された方向108にはほとんど移動しない。本実施例では、TFT活性領域109を取り囲むようにゲッタリング領域103bを設けているため、結晶粒のライン方向に対して効率良くゲッタリングを行なうことができる。
【0118】
ゲッタリング効率という観点からは、図3(b)に示すTFTの配置例よりも図3(c)示す配置例の方が好ましい。これは、領域103a内からゲッタリング領域103bまで実戦矢印108に沿ってニッケルが移動する場合、図3(c)示す配置例における移動距離が相対的に短くなるためである。
【0119】
領域103aのニッケル濃度は、上記ゲッタリング工程前において、5×1017〜1×1018atoms/cm3程度であったが、ゲッタリング工程後は5×1016atoms/cm3程度にまで低減されていた。ニッケル濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。
【0120】
次に、マスクとして用いた酸化ケイ素膜106をエッチング除去する。エッチャントとしては、酸化ケイ素膜106と下層に位置するケイ素膜103との間で充分に大きな選択性のあるエッチングを行なう。本実施例では、1:10バッファードフッ酸(BHF)によるウェットエッチングを行った。
【0121】
その後、図4(e)に示すように、ケイ素膜103のうちの不要部分を選択的に除去することにより、素子間分離を行なう。この工程により、図4(a)または図1(b)に示される領域103bが除去され、ニッケル濃度が低減された領域103aから島(アイランド)状の結晶性ケイ素膜109がパターニングされる。パターニングされた結晶性ケイ素膜109のサイズは、例えば30μm×20μmである。この結晶性ケイ素膜109は、半導体素子の活性領域として機能することになる。
【0122】
次に、結晶性ケイ素膜109を覆うように厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜110として成膜する。酸化ケイ素膜の形成は、TEOSを原料とし、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解・堆積することにより行なった。堆積時の基板温度は150〜600℃、好ましくは300〜450℃とした。この酸化ケイ素膜の形成は、TEOSを原料としてオゾンガスとともに減圧CVD法または常圧CVD法によって行なってもよい。その場合、基板温度を350〜600℃、好ましくは400〜550℃とすることが好ましい。
【0123】
酸化ケイ素膜の堆積後、ゲート絶縁膜のバルク特性、および結晶性ケイ素膜とゲート絶縁膜との間の界面特性を向上させるため、不活性ガス雰囲気中において400〜600℃で1〜4時間のアニールを行った。
【0124】
次に、スパッタリング法によって、厚さ400〜800nm、例えば600nmのアルミニウム膜を堆積した後、このアルミニウム膜をパターニングすることによってゲート電極111を形成した。
【0125】
このアルミニウム膜の表面を陽極酸化法によって酸化し、図4(f)に示すように、ゲート電極111の表面に酸化物層112を形成した。陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行い、最初は一定電流で220Vまで電圧を上げ、その状態で1時間保持してから終了させた。得られた酸化物層112の厚さは200nmであった。酸化物層112の厚さは、後のイオンドーピング工程において、オフセットゲート領域のサイズを規定する。故に、酸化物層112の厚さを調節することにより、オフセットゲート領域のサイズを所望の大きさに制御することができる。
【0126】
次に、活性領域109のうち、ゲート電極111および酸化物層112によって覆われていない流域に対して、イオンドーピング法によって不純物(リン)を注入した。ドーピングガスとしては、フォスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量を1×1015〜8×1015cm-2、例えば2×1015cm-2とした。この工程により、不純物が注入された領域114および115は、後にTFTのソース/ドレイン領域として機能することになる。ゲート電極111および酸化層112にマスクされ、不純物が注入されなかった領域113は、TFTのチャネル領域として機能することになる。
【0127】
TFTの配置を図3(b)に示すようにレイアウトした場合、TFTの動作時にキャリアが流れる方向(領域114から領域115へ向かう方向)と、チャネル領域113を構成するライン状結晶粒のライン方向とが平行となる。この場合は、図3(c)に示す配置によるTFTに比べて、キャリアの移動が結晶粒界GBによる影響を受けず、より高い移動度を有するTFTを得ることができる。
【0128】
次に、図4(f)に示すように、レーザ光116の照射によってアニールを行い、注入された不純物の活性化を行なうと同時に、上記不純物導入工程で劣化した結晶性を回復させる。本実施例では、レーザ光116として、XeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅40nsec)を用い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2、好ましくは200〜250mJ/cm2の条件で照射を行った。このようにして活性化されたN型不純物(リン)領域114および115のシート抵抗は、200〜800Ω/□であった。
【0129】
次に、厚さ600nm程度の酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜を層間絶縁膜120として形成した。TEOSおよび酸素を用いるプラズマCVD法、または、TEOSおよびオゾンを用いる減圧CVD法もしくは常圧CVD法によって酸化ケイ素膜を形成すれば、段差被覆性(ステップカバレッジ)に優れた層間絶縁膜が得られる。また、SiH4およびNH3を原料ガスとして用いるプラズマCVD法によって堆積した窒化ケイ素膜を層間絶縁膜として用いれば、窒化ケイ素膜中に含まれる水素を活性領域とゲート絶縁膜との界面へ供給し、水素原子で活性領域中の不対結合手(ダングリングボンド)をバッシベートすることができる。活性領域中の不対結合手はトランジスタ特性を劣化させるため、不対結合手数が減少すれば、トランジスタ特性を向上させることができる。
【0130】
次に、層間絶縁膜120にコンタクトホールを形成した後、金属材料、例えば、窒化チタン(下層)とアルミニウム(上層)の二層膜を堆積する。下層の窒化チタン膜は、上層のアルミニウムが半導体層に拡散すること防止するバリア層として機能する。この二層膜をパターニングすることにより、TFTのソース・ドレイン電極・配線121を形成する。
【0131】
なお、TFT122を液晶表示装置などの画素スイッチング用のTFTとして用いる場合は、ドレイン電極をITOなどの透明導電膜からなる画素電極と一体的に形成することができる。また、TFT122を薄膜集積回路などに用いる場合は、ゲート電極111上にもコンタクトホールを形成した後、低抵抗の裏打ち配線を層間絶縁膜120上に設けてゲート電極111と電気的に接続し、それによって信号伝達速度を向上させることが好ましい。
【0132】
次に、常圧(1気圧)の水素雰囲気中において、350℃で1時間のアニールを行い、TFT122を完成させる。更に必要に応じて、TFT122を保護する目的で、TFT122上に窒化ケイ素膜などからなる保護膜を設けてもよい。
【0133】
このようにして作製されたTFT122は、図3(b)に示すレイアウトの場合、移動度が450cm2/Vs程度、閾値電圧が1.0V程度と高性能であるにもかかわらず、基板内での特性ばらつきが、移動度で±10%程度、しきい値電圧で±0.2V程度と非常に良好であった。なお、このばらつきは、400×320mmのサイズを有する基板内で30点のTFTを測定した結果得られたものである。一方、図3(c)に示すレイアウトの場合は、移動度が300cm2/Vs程度、閾値電圧が1.5V程度と、従来の方法に比べて十分に高性能であった。また、基板内での特性ばらつきも同様に小さく抑えられた。
【0134】
更に、繰り返し測定やバイアスや温度ストレスによる耐久性試験を行っても、ほとんど特性劣化は見られず、高い信頼性が確認された。
【0135】
触媒元素が特に問題となるTFTのオフ領域におけるリーク電流の増大およびばらつきは、異常点が無く、触媒元素を用いない場合と同等の数pA(ピコ・アンペア)程度にまで低減でき、製造歩留まりを大きく向上することができた。
【0136】
本実施例のTFTを利用して、液晶表示用アクティブマトリクス基板を実際に点灯評価した。その結果、従来法により作成したものに比べて表示むらが小さく、TFTリークによる画素欠陥も極めて少なく、コントラスト比の高い優れた表示品位の液晶パネルが得られた。
【0137】
〔実施例2〕
以下、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(g)を参照しながら、本発明の第2実施例を説明する。
【0138】
本実施例では、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の周辺駆動回路や、一般の薄膜集積回路を形成するNチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTを相補的に接続したCMOS回路をガラス基板上に作製する。
【0139】
図5(a)は、パルスレーザ光の走査方向を示す平面図である。図5(b)〜(c)は、それぞれ、本実施例に係るNチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTの作製を説明するための平面図であり、図6(a)〜(g)は、その工程断面図である。
【0140】
まず、図6(a)に示すように、ガラス基板201上に例えばCVD法によって厚さ300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜202を形成する。次に、プラズマCVD法によって、厚さ20〜60nm、例えば30nmの真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203を成膜する。このときの基板加熱温度は400℃程度であることが望ましく、本実施例では400℃とした。
【0141】
また、プラズマCVD装置としては平行平板式の装置を採用し、SiH4ガスとH2ガスを原料ガスとして使用した。RFパワーは、パワー密度が10〜100mW/cm2、例えば80mW/cm2となるように低めに設定した。本実施例での非晶質珪素膜203の堆積レートは50nm/min程度であった。
【0142】
このようにして得られたa−Si膜203の水素濃度は2%程度であった。
【0143】
次に、非晶質珪素膜203の表面上にニッケル204の微量添加を行った。ニッケル204の微量添加は、ニッケルを溶かせた溶液をa−Si膜203上に保持し、スピナーにより溶液を基板201上に均一に延ばし乾燥させることにより行った。本実施例では、溶質としては酢酸ニッケルを用い、溶媒としては水を用い、溶液中のニッケル濃度は5ppmとなるようにした。a−Si膜203表面上のニッケル濃度をTRXRF法により測定すると、3×1012atoms/cm2程度であった。
【0144】
次に、図6(b)に示すように、パルスレーザ光205を照射することで非晶質珪素膜203を結晶化させ、結晶性ケイ素膜203aを得た。レーザ光としては、XeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅40nsec)を用いた。基板を200〜450℃、例えば400℃に加熱した状態で、エネルギー密度200〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2のレーザ光を照射した。
【0145】
本実施例でも、図1に示すレーザ照射装置を用い、第1実施例と同様にして結晶化工程を実行した。具体的には、基板201の上に遮蔽板504を設け、遮蔽板504によってレーザ光507の不必要なビーム端部を遮蔽した。その結果、基板201に照射されるレーザ光のサイズは、10mm×0.05mm(50μm)となった。 結晶化工程後、図6(c)に示すように、ケイ素膜203aの不要部分を除去し、素子間分離を行いった。これにより、TFTの活性領域(ソース/ドレイン領域、チャネル領域)として機能する島状の結晶性ケイ素膜209n、209pを形成した。
【0146】
次に、結晶性ケイ素膜209n、209pを覆うように厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜210として成膜する。この酸化ケイ素膜の形成は、本実施例でも、TEOSおよび酸素を用いるRFプラズマCVD法によって、基板温度を150〜600℃、好ましくは300〜450℃に設定して行なった。
【0147】
次に、図6(d)に示すように、スパッタリング法によって高融点金属膜を堆積した後、この高融点金属膜をパターニングすることによりってゲート電極211n、211pを形成した。高融点金属膜は、タンタル(Ta)またはタングステン(W)から形成することが望ましい。本実施例では、窒素が微量に添加されたTa膜と純Ta膜の二層構造を有し、合計厚さが300〜600nm、例えば450nmとにる高融点金属膜を用いた。
【0148】
次に、イオンドーピング法によって、活性領域209n、209pに、ゲート電極211n、211pをマスクとして、リン217を注入した。ドーピングガスとしてフォスフィン(PH3)を用い、ドーピング条件としては、加速電圧を60〜90kV、例えば80kVとし、ドーズ量を2×1015〜8×1015cm-2、例えば5×1015cm-2とした。この工程により、ゲート電極211n、211pによってマスクされた領域にはリンが注入されず、この領域は、後にTFTのチャネル領域213n、213pとして機能することになる。
【0149】
また、上記ドーピング工程により、Nチャネル型TFTにおけるN型不純物領域214nおよび215nが形成される。Pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域214n’、215n’となる領域は、この段階ではリンがドーピングされた結果、N型不純物領域となっている。
【0150】
次に、フォトリソグラフィ工程により、図6(e)に示すように、N型TFT上を完全に覆うようにして選択ドーピングのためのマスク219をフォトレジストで形成する。マスク219に覆われていないP型TFTの活性領域209pのうち、ゲート電極211pによってマスクされていない領域に対して、イオンドーピング法によってホウ素218を注入する。ここでは、ドーピングガスとして、ジボラン(B26)を用い、40kV〜80kV、例えば65kVの加速電圧で1×1016〜5×1016cm-2、例えば2×1016cm-2の高ドーズ注入を行った。ホウ素218は、ゲート絶縁膜210を透過するようにして活性領域209pに注入される。このドーピング工程では、後にP型TFTのチャネル領域213pとして機能することになる領域がゲート電極211pによってマスクされているため、この領域に対してはホウ素の注入は行なわれない。
【0151】
高ドーズのホウ素218がドーピングされた領域214n’、215n’のP型不純物濃度は、先にドーピングされていたN型不純物であるリンの濃度よりも高いため、P型の不純物領域214pと215pに変化する(カウンタードーピング)。このようして、Nチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTが同一基板上に形成される。
【0152】
次に、選択ドーピングのためのマスクとして用いたフォトレジストを除去した後、これを不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気にて500〜600℃の温度で数時間から数十時間の加熱処理を施す。本実施例では、一例として550℃にて6時間の処理を行った。この加熱処理により、ドライバー部のTFT活性領域中において、ソース・ドレイン領域214n、215n、214p、215pにドーピングされているリンがその領域に存在するニッケルをまずトラップする。そして、図6(f)に示すように、チャネル領域213n、213p中に存在しているニッケルを矢印208に示すような方向に、すなわち隣接するソース・ドレイン領域214n、215n、214p、215pへと移動させる。その結果、チャネル領域213n、213p中のニッケル濃度は大幅に低減する。このときのTFTの配置は、図5(b)および(c)に示すレイアウトとなるようにした。すなわち、再結晶化の際のレーザ走査方向Sとニッケルの移動方向208とが概略平行となるように設定した。このような配置とすることにより、チャネル領域213n、213p内でライン状結晶粒が延びる方向とニッケルの移動方向とが同方向となり、ソース・ドレイン領域へのニッケルの移動が、結晶粒界GBを超えることなく行われる。その結果、ニッケルの移動効率が向上し、チャネル内での残留量が大幅に低減できた。このときのチャネル領域213n、213p中のニッケル濃度をSIMSにより測定したところ1〜3×1016atoms/cm3程度にまで低減されていた。この工程前の結晶性ケイ素膜中のニッケル濃度は5×1017atoms/cm3程度であった。
【0153】
上記の加熱処理により、ソース・ドレイン領域214n、215n、214p、215pの活性化も同時に行われる。この加熱処理によって得られたN型不純物領域214n、215nのシート抵抗値は0.5〜1kΩ/□であり、P型不純物領域214p、215pのシート抵抗値は2〜3kΩ/□であった。
【0154】
上記加熱処理により、ゲート絶縁膜210の焼成も同時に行われ、ゲート絶縁膜のバルク特性、および結晶性ケイ素膜とゲート絶縁膜との間の界面特性の向上が図れる。
【0155】
次に、図6(g)に示すように、厚さ900nmの酸化ケイ素膜を層間絶縁膜220としてプラズマCVD法によって形成した後、この層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した。金属材料、例えば、窒化チタンとアルミニウムの二層膜を堆積した後、この二層膜をパターニングすることにより、TFTの電極・配線221を形成する。
【0156】
その後、1気圧の水素雰囲気中において350℃で1時間のアニールを行い、Nチャネル型TFT223とPチャネル型TFT224とを完成させる。更に必要に応じて、TFT223、224を保護する目的で、TFT上に窒化ケイ素膜などからなる保護膜を設けてもよい。
【0157】
本実施例のCMOS構造回路によれば、TFTの移動度がNチャネル型TFTで400〜450cm2/Vs、Pチャネル型TFTで150〜200cm2/Vsと高い値を示した。また、閾値電圧はNチャネル型TFTで1.0V程度、Pチャネル型TFTで−1.5V程度と良好であった。更に、従来、触媒元素を用いた際に問題となっていた特性ばらつきは、本実施例では、移動度で±10%程度、しきい値電圧で±0.2V程度に抑えることができた。なお、特性ぱらつきは、400mm×320mmのサイズを有する基板を用い、基板内30点測定により求めた。
【0158】
繰り返し測定やバイアスや温度ストレスによる耐久性試験を行っても、ほとんど特性劣化は見られず、従来のものと比べて非常に信頼性が高く、安定した回路特性が得られた。
【0159】
〔実施例3〕
以下、本発明の第3の実施例を説明する。本実施例では、パルスレーザ光に代えて連続発振レーザ光を用いる。
【0160】
まず、第1および第2の実施例と同様に、ガラス基板上に、膜厚300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地絶縁膜を形成する。この下地膜は、ガラス基板からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。不純物拡散効果をより高めるため、下地膜は窒化ケイ素膜との二層構造を有していても良い。次に、膜厚20〜60nmの真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)を下地膜の上に堆積する。
【0161】
この後、ケイ素膜に対して触媒元素を添加する。本実施例では、a−Si膜に対して、重量換算で例えば10ppmの触媒元素(本実施例ではニッケル)を含む水溶液(酢酸ニッケル水溶液)をスピンコート法で塗布して、触媒元素含有層を形成する。添加する触媒元素の量は極微量であるため、ケイ素膜表面上の触媒元素濃度は全反射蛍光X線分析(TRXRF)法によって管理される。本実施例における触媒元素の濃度は、7×1012cm-2程度である。
【0162】
なお、本実施例では、スピンコート法でニッケルを添加する方法を用いたが、他の方法、例えば蒸着法やスパッタ法などにより、触媒元素の薄膜(ニッケル膜など)をケイ素膜上に形成してもよい。
【0163】
次に、このケイ素膜に連続発振レーザ光を照射し、連続的に走査することにより、ケイ素膜をレーザの走査方向に沿って結晶化させる。このときの連続発振レーザ光としては、ダイオード励起の連続発振YAGレーザを用いた。波長は532nmであり、パワー変動は1%以下であった。連続発振YAGレーザの出力は10Wであり、基板に対して50〜200cm/sec(例えば100cm/sec)の走査速度でレーザ光を走査した。これにより、レーザ光照射部分におけるケイ素膜は溶融し、レーザ光照射領域と非照射領域との境界において固液界面が生じた。連続発振レーザ光の走査に伴って上記の固液界面が移動することにより、先に結晶化された領域の結晶性を反映して一方向に沿った結晶粒群が成長した。
【0164】
このように連続発振レーザ光を用いた場合には、パルスレーザ光と異なり、レーザ光が照射されている領域におけるケイ素膜が部分的に融点以上の高温となるため、ケイ素膜の少なくとも一部は常に溶融した状態となる。その結果、連続発振レーザ光の照射/非照射領域の境界がケイ素膜中に常に存在し、この境界が固体/液体界面を形成することになる。従って、図7に示すように、レーザ光を走査して上記の固液界面を移動させると、ケイ素膜の結晶化を適切に実行することが可能になる。
【0165】
連続発振レーザを用いた場合は、パルスレーザ光と異なり、走査中において常に固体/液体界面が維持されるため、固体/液体界面の移動方向に沿って結晶成長が行われる。このときのレーザパワーと走査速度を調節することにより、結晶性を制御することができる。もし走査速度が速すぎると、固液界面が固体領域の結晶性を十分引き継いで結晶成長できないし、逆に、走査速度が遅すぎると、ケイ素膜が必要以上に加熱され、触媒元素による結晶性の情報がリセットされてしまう。従って、レーザパワーを考慮しつつ、レーザ光の走査速度を適切な範囲に設定する必要がある。
【0166】
上記の結晶化工程の後、結晶性ケイ素膜の不要な部分を除去して素子間分離を行い、後にTFTの活性領域(ソース/ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性ケイ素膜を形成した。その後、第1および第2実施例で示した方法と同様の方法を用いて、TFTを完成させた。
【0167】
このように連続発振レーザを用いてケイ素膜を横方向(レーザ走査方向)に再結晶化を行った場合には、パルスレーザによる再結晶化と比べて、より優れたTFT特性が得られる。具体的には、Nチャネル型TFTで600cm2/Vs以上の電界効果移動度が得られる。
【0168】
以上説明したように、連続発振レーザ光を触媒元素を含有するケイ素膜に照射し、連続して走査することによっても、触媒元素の効果により、走査方向に沿って結晶成長を行うことができる。その結果、一方向に結晶粒群が並び、且つ、その結晶粒間が原子レベルで連続している組織構造(言い換えると、傾角が10°以下の小傾角粒界)を形成することができる。
【0169】
連続発振レーザとしては、固体レーザが好ましく、安定性も高い。波長としては、パルスレーザとは異なり、600nm以下であれば十分使用可能である。
【0170】
本発明の実施例により得られた結晶粒群は、図8に示すように、レーザ走査方向に沿って並んでいる。ここでの結晶粒間の粒界は、セコエッチングにより顕在化される粒界であり、結晶粒界が見られるにもかかわらず、隣接する結晶粒間の面方位は、略同一の面方位となっている。
【0171】
以上、本発明を3つの実施例について具体的に説明してきたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、前述の実施例では、ニッケルを導入する方法として、非晶質ケイ素膜表面にニッケル塩を溶かせた水溶液を塗布する方法を採用したが、非晶質ケイ素膜の形成前に、下地膜102または202の表面にニッケルを導入しても同様の効果が得られる。すなわち、非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素は、非晶質ケイ素膜の上側から導入されても、また下側から導入されてもよい。
【0172】
また、ニッケルの導入方法も、塗布法に限定されず、他の様々な手法を用いることができる。例えば、イオンドーピング法により直接導入する方法や、制御は難しいが蒸着法やメッキ法により極薄膜形成する方法なども利用できる。
【0173】
結晶化を助長する不純物金属元素としては、ニッケルに代えて、またはニッケルとともに、コバルト、鉄、パラジウム、白金、銅、および/または金を用いても良い。
【0174】
また、上記の第1および第2実施例では、触媒元素が導入された非晶質ケイ素膜をレーザ光照射により結晶化させる手段として、波長308nmのXeClエキシマレーザを用いたが、第3実施例について述べたように本発明はこれに限定されない。パルスレーザとしても、上記の例に限定されず、例えば、波長248nmのKrFエキシマレーザや、波長198nmのArFエキシマレーザを用いてよい。
【0175】
本発明が適用される半導体装置としては、液晶表示用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密着型イメージセンサー、ドライバー内蔵型のサーマルヘッド、有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型の光書き込み素子や表示素子、三次元IC等が考えられる。本発明を適用することにより、これらの素子の高速、高解像度化等の高性能化が実現される。
【0176】
また、本発明による半導体装置を構成する素子はMOS型トランジスタに限定されない。本発明は、結晶性半導体を用いるバイポーラトランジスタや静電誘導トランジスタを含む幅広い半導体装置の製造に幅広く応用され得る。
【0177】
【発明の効果】
本発明によれば、一定の方向に対しては実質的に単結晶として機能する結晶構造が実現され、しかも、結晶粒界におけるトラップ準位も低減される。その結果、キャリア移動度が安定的に向上した結晶膜が得られ、ばらつきの少ない高性能の半導体素子を形成することができる。また、本発明によれば、半導体装置の製造歩留まりを向上させことができ、製品価格を低く抑えることが可能になる。
【0178】
更に、本発明によって液晶表示装置を製造する場合、アクティブマトリクス基板に要求される画素スィッチングTFTのスィッチング特性の向上と、周辺駆動回路部を構成するTFTに要求される高性能化・高集積化とを達成できる。このため、同一基板上にアクティブマトリクス部と周辺駆動回路部を構成するドライバモノリシック型アクティブマトリクス基板を実現でき、モジュールのコンパクト化、高性能化、低コスト化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いることができるレーザ照射装置の構成概略図である。
【図2】図1のレーザ照射装置におけるレーザ光のビーム強度プロファイルを示すグラフである。
【図3】(a)は、本発明の第1実施例を説明するための平面図であり、(b)および(c)は、いずれも、結晶性ケイ素膜のライン状結晶粒と薄膜トランジスタとの配置関係を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施例の製造工程を示す工程断面図である。
【図5】(a)は、パルスレーザ光の走査方向を示す平面図である。(b)〜(c)は、本発明の第2実施例に係るTFTの作製を説明するための平面図である。
【図6】本発明の第2実施例の製造工程を示す工程断面図である。
【図7】連続発振レーザ光による再結晶化工程を示す図である。
【図8】本発明によるライン状結晶粒の一例を示す図である。
【符号の説明】
101、201 ガラス基板または石英基板
102、202 下地膜
103、203 ケイ素膜
104、204 ニッケル
105、205 レーザ光
106 マスク膜
107 リン
108、208 ニッケルの移動(ゲッタリング)方向
109、209 TFT活性領域(素子領域)
110、210 ゲート絶縁膜
111、211 ゲート電極
112 陽極酸化層
113、213 チャネル領域
114、214 ソース領域
115、215 ドレイン領域
116 レーザ光
217 リン
218 ホウ素
219 ドーピングマスク
120、220 層間絶縁膜
121、221 電極・配線
122 Nチャネル型TFT
223 Nチャネル型TFT
224 Pチャネル型TFT

Claims (23)

  1. 結晶領域を含むケイ素膜を備えた半導体装置であって、
    前記ケイ素膜の結晶領域はキャリアの移動が制御される活性領域を含み、
    前記活性領域は、概略一方向に沿って並んだライン状結晶粒の群から構成され、非晶質ケイ素膜の結晶化を助長する触媒元素を含有し、
    前記ライン状結晶粒の群に属する個々の結晶粒と隣接する結晶粒との間には、小傾角結晶粒界が形成されている半導体装置。
  2. 前記ケイ素膜は、絶縁表面を有する基板に支持されている請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ライン状結晶粒の群は、前記活性領域の一端から他端まで延びている請求項に記載の半導体装置。
  4. 前記活性領域は、前記基板上に複数配列されている請求項またはに記載の半導体装置。
  5. 前記結晶粒界における結晶方位の傾角は、前記ケイ素膜の表面に平行な面内において10°以下である請求項に記載の半導体装置。
  6. 前記結晶粒界は、前記ケイ素膜のうち、セコエッチング法によってエッチングされる部分に位置し、
    前記結晶粒は、前記結晶粒界に囲まれた領域によって規定される請求項1からのいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記結晶方位の傾角は、EBSP法による測定値で規定される請求項に記載の半導体装置。
  8. 前記活性領域でのキャリアの移動方向と、前記活性領域を構成しているライン状結晶粒が延びている方向とが概略平行になるようにレイアウトが規定されている請求項1からのいずれかに記載の半導体装置。
  9. 前記活性領域に形成されたチャネル領域は、ニッケル元素を1×1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有している請求項1からのいずれかに記載の半導体装置。
  10. 非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有し、基板に支持されるケイ素膜を用意する工程と、
    前記ケイ素膜に対してパルスレーザ光を照射しながら、前記基板および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、前段パルスレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程と、
    を含み、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の走査ピッチは、前記パルスレーザ光の照射によって溶融する領域が、前記結晶化した領域の結晶性を反映して再結晶化できるように設定されており、
    前記結晶化工程において、
    前記パルスレーザ光の走査方向に沿って測定された前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、前記走査方向の後方に位置する領域で急峻に変化する矩形波形状を有しており、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の強度は、前記ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにあり、
    前記結晶領域は概略一方向に沿って並んだライン状結晶粒の群から構成された活性領域を含み、
    前記ライン状結晶粒の群に属する個々の結晶粒の格子と隣接する結晶粒の格子は、それらの間に位置する結晶粒界を介して、原子レベルで連続している、半導体装置の製造方法。
  11. 非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有し、基板に支持されるケイ素膜を用意する工程と、
    前記ケイ素膜に対してパルスレーザ光を照射しながら、前記基板および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、前段パルスレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程と、
    を含み、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の走査ピッチは、前記パルスレーザ光の照射によって溶融する領域が、前記結晶化した領域の結晶性を反映して再結晶化できるように設定されており、
    前記結晶化工程において、
    前記パルスレーザ光の走査方向に沿って測定された前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、前記走査方向の後方に位置する領域で急峻に変化する矩形波形状を有しており、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の強度は、前記ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにあり、
    前記結晶領域は概略一方向に沿って並んだライン状結晶粒の群から構成された活性領域を含み、
    前記ライン状結晶粒の群に属する個々の結晶粒と隣接する結晶粒との間には、小傾角結晶粒界が形成されている、半導体装置の製造方法。
  12. 非晶質ケイ素の結晶化を促進する触媒元素を含有し、基板に支持されるケイ素膜を用意する工程と、
    前記ケイ素膜に対してパルスレーザ光を照射しながら、前記基板および/またはレーザ光を一方向に走査させ、それによって、前段パルスレーザ光の照射によって結晶化した領域の結晶性を反映した結晶領域を走査方向に沿って順次形成する結晶化工程と、
    を含み、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の走査ピッチは、前記パルスレーザ光の照射によって溶融する領域が、前記結晶化した領域の結晶性を反映して再結晶化できるように設定されており、
    前記結晶化工程において、
    前記パルスレーザ光の走査方向に沿って測定された前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、前記走査方向の後方に位置する領域で急峻に変化する矩形波形状を有しており、
    前記結晶化工程における前記パルスレーザ光の強度は、前記ケイ素膜が膜厚方向の全体にわたって溶融するレベルにある半導体装置の製造方法。
  13. 前記ケイ素膜を用意する工程は、
    絶縁表面を有する部材上にケイ素膜を堆積する工程と、
    前記ケイ素膜に対して、前記触媒元素を導入する工程とを含む請求項10から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記パルスレーザ光の走査ピッチは、0.1μmから1μmの範囲にある請求項10から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記パルスレーザ光の前記ケイ素膜表面におけるビーム断面形状は概略長尺矩形状であり、
    前記パルスレーザ光の走査方向は、前記ビーム断面形状の長尺方向に垂直に設定される請求項10から12、および14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記パルスレーザ光の強度プロファイルは、光源から出射されたパルスレーザ光のうち、前記走査方向に沿って後方に位置する端部を遮断することにより得られたものである請求項10から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記光源から出射されたパルスレーザ光の遮断される部分は、前記強度プロファイルのうち、前記ケイ素膜の結晶化に必要なレベルよりも低いレベルを持つ部分である請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記パルスレーザ光として波長が400nm以下のエキシマレーザ光を用い、前記ケイ素膜の表面上でのエネルギー密度が250mJ/cm2以上となるように照射条件を設定する請求項10から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  19. 前記レーザ光の走査方向に対して、
    前記活性領域においてキャリアの流れる方向が前記レーザ光の走査方向に対して概略平行となるようにレイアウトが規定されている請求項10から18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  20. 前記触媒元素として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、およびAuからなる群から選択された少なくとも一つの元素を用いる請求項10から19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  21. 前記結晶化工程の後において、前記ケイ素膜のうちチャネル領域として最終的に機能する領域以外の領域に対して、5B族から選択された元素を導入する工程と、
    加熱処理により、5B族から選択された元素が導入された領域へ前記触媒元素を移動させ、それによって前記触媒元素の前記チャネル領域中における濃度を相対的に低下させる工程と、
    を更に含む請求項10から18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  22. 前記加熱処理による前記触媒元素の移動の方向は、
    前記レーザ光の走査方向と概略平行であることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置の製造方法。
  23. 5B族から選ばれた前記元素として、P、N、As、Sb、およびBiからなる群から選択された少なくとも一つの元素を用いる請求項21または22に記載の半導体装置の製造方法。
JP2002045913A 2001-03-22 2002-02-22 半導体装置及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4289816B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002045913A JP4289816B2 (ja) 2001-03-22 2002-02-22 半導体装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-81899 2001-03-22
JP2001081899 2001-03-22
JP2002045913A JP4289816B2 (ja) 2001-03-22 2002-02-22 半導体装置及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002353140A JP2002353140A (ja) 2002-12-06
JP4289816B2 true JP4289816B2 (ja) 2009-07-01

Family

ID=26611753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002045913A Expired - Fee Related JP4289816B2 (ja) 2001-03-22 2002-02-22 半導体装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4289816B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005159162A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 表示装置及びその製造方法
JP4942959B2 (ja) * 2004-07-30 2012-05-30 株式会社半導体エネルギー研究所 レーザ照射装置およびレーザ照射方法
JP5352040B2 (ja) * 2004-08-23 2013-11-27 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置の作製方法
KR100901343B1 (ko) * 2007-07-23 2009-06-05 (주)실리콘화일 결정질 반도체 박막 제조 방법
US10141357B2 (en) 2015-04-10 2018-11-27 Sharp Kabushiki Kaisha Photosensor substrate

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002353140A (ja) 2002-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4291539B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
US6013544A (en) Method for fabricating a semiconductor device
KR100290270B1 (ko) 반도체장치및그제조방법
KR100297878B1 (ko) 반도체장치제작방법
US5821562A (en) Semiconductor device formed within asymetrically-shaped seed crystal region
US5851860A (en) Semiconductor device and method for producing the same
KR100440602B1 (ko) 반도체 장치 및 그의 제조 방법
JP3389022B2 (ja) 半導体装置
JP3277082B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
US6927107B1 (en) Method of producing semiconductor device
JP4353352B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP4289816B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
WO2011078005A1 (ja) 半導体装置およびその製造方法ならびに表示装置
JP3927756B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3981532B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP4027052B2 (ja) 多結晶半導体薄膜およびその製造方法
JP3587292B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2003068642A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2007165905A (ja) 多結晶シリコン層、多結晶シリコン層の製造方法、及び平板表示装置
JP3999923B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3981517B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP4268326B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3859516B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3227392B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2002198312A (ja) 半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080722

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090331

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees