JP4268326B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、非晶質ケイ素膜を結晶化した結晶性ケイ素膜を活性領域とする半導体装置およびその製造方法に関する。特に、この発明は、絶縁表面を有する基板上に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)を用いた半導体装置に有効であり、アクティブマトリクス型の液晶表示装置、密着型イメージセンサー、三次元ICなどに利用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で高解像度の液晶表示装置、高速で高解像度の密着型イメージセンサー、三次元ICなどへの実現に向けて、ガラス等の絶縁基板上や、絶縁膜上に高性能な半導体素子を形成する試みがなされている。これらの装置に用いられる半導体素子には、薄膜状のケイ素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のケイ素半導体としては、非晶質ケイ素半導体(a−Si)からなるものと結晶性を有するケイ素半導体からなるものの2つに大別される。
【0003】
非晶質ケイ素半導体は、作製温度が低く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性に富むため、最も一般的に用いられているが、導電性等の物性が結晶性を有するケイ素半導体に比べて劣る。このため、今後、より高速特性を得るためには、結晶性を有するケイ素半導体からなる半導体装置の作製方法の確立が強く求められていた。尚、結晶性を有するケイ素半導体としては、多結晶ケイ素、微結晶ケイ素等が知られている。
【0004】
これら結晶性を有する薄膜状のケイ素半導体を得る方法としては、
(1) 成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する。
【0005】
(2) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、レーザー光のエネルギーによって結晶性を有せしめる。
【0006】
(3) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、熱エネルギーを加えることによって結晶性を有せしめる。といった方法が知られている。
【0007】
しかしながら、上記(1)の方法では、成膜工程と同時に結晶化が進行するので、大粒径の結晶性ケイ素を得るにはケイ素膜の厚膜化が不可欠であり、良好な半導体物性を有する膜を基板上に全面に渡って均一に成膜することが技術上困難である。
【0008】
また、上記(2)の方法では、溶融固化過程の結晶化現象を利用するため、小粒径ながら粒界が良好に処理され、比較的高品質な結晶性ケイ素膜が得られるが、現在最も一般的に使用されているエキシマレーザーを例にとると、未だ十分な安定性のものが得られておらず、半導体装置の性能面でも十分ではない。
【0009】
また、上記(3)の方法は、上記(1)、(2)の方法と比較すると、基板内の均一性、安定性においては有利であるが、600℃で30時間程の長時間にわたる加熱処理が必要であり、処理時間が長く、スループットが低いという問題点がある。また、この方法では、結晶構造が双晶構造となるので、―つの結晶粒は数μmと比較的大きいが、結晶粒内に多数の双晶欠陥を含み、上記(2)の方法に比べて結晶性は劣る。この結晶性を向上させる手段としては、さらに1000℃程度で酸素雰囲気にて加熱処理を施すような手法も用いられているが、この場合には安価なガラス基板が使用できるプロセスでは無く、それでも素子特性としてもTFTにおいて電界効果移動度100cm2/Vs程度の低い特性しか得られていない。
【0010】
これらの方法に対して、上記(3)の方法を改善し、高品質な結晶性ケイ素膜を得る方法が特開平9−45931公報で提案されている。これらの方法では、非晶質ケイ素膜の結晶化を助長する触媒元素を利用することで、加熱温度の低温化および処理時間の短縮、そして結晶性の向上を図っている。具体的には、非晶質ケイ素膜の表面にニッケルやパラジウム等の金属元素を微量に導入させ、しかる後に加熱を行うものである。
【0011】
この低温結晶化のメカニズムは、まず金属元素を核とした結晶核発生が早期に起こり、その後その金属元素が触媒となって結晶成長を助長し、結晶化が急激に進行することで理解される。そういった意味で、以後、これらの金属元素を触媒元素と呼ぶ。通常の固相成長法(上記(3)の方法)で結晶化した結晶性ケイ素膜の一つの粒内が双晶構造であり、多数の結晶欠陥を有しているのに対して、これらの触媒元素によって結晶化が助長されて結晶成長した結晶性ケイ素膜は、その粒内は何本もの柱状結晶ネットワークで構成されており、それぞれの柱状結晶内部はほぼ理想的な単結晶状態となっている。
【0012】
さらに、非晶質ケイ素膜の一部に選択的に触媒元素を導入して加熱することで、他の部分を非晶質ケイ素膜の状態として残したまま、選択的に触媒元素が導入された領域のみを結晶化し、そして、さらに加熱時間を延長することで、その導入領域から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長を行わせる。この横方向結晶成長領域の内部では、成長方向が概略一方向に揃った柱状結晶がひしめき合っており、触媒元素が直接導入され、ランダムに結晶核の発生が起こった領域に比べて、結晶性がさらに良好な領域となっている。よって、この横方向結晶成長領域の結晶性ケイ素膜を半導体装置の活性領域に用いることによって、半導体装置を高性能化できる。
【0013】
特開平9−45931公報に記載の方法では、高速動作が必要なTFTに対して、その活性領域を構成する結晶性ケイ素膜の結晶性をさらに高めるため、上記触媒元素によって結晶化した後、さらにレーザー光などの強光を照射する工程を追加している。すなわち、この工程によって、触媒元素を用い加熱処理で結晶化された結晶性ケイ素膜の結晶性をさらに高め、その結果、特に高速動作が必要なTFTを高性能化しようとしている。
【0014】
その他、上記公報のように、触媒元素による結晶化に加えて、レーザーなどの強光照射工程を組み合わせる例として、特開平7−221017公報がある。この公報に記載の方法では、触媒元素を非晶質ケイ素膜に導入した後、わずかな時間の加熱処理を行い、結晶核のみを形成し、その後、レーザー光を照射して結晶化を行わせている。すなわち、上記公報に記載の方法では、メインの結晶化をレーザー照射で行っている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記触媒元素を用いて結晶化されたケイ素膜は、良好な結晶性を有してはいるが、各結晶粒内には欠陥が多い。したがって、本発明の目的とする高性能半導体装置の活性層に用いるケイ素膜としては、より結晶欠陥を低減させた高品質な結晶性ケイ素膜が望まれる。結晶性をより高めるためには、触媒元素を用いて結晶化した後に、さらに高温(800〜1100℃)で酸化雰囲気で熱処理する方法と、レーザー光を照射する方法とがある。前者では、いわゆる高温プロセスになり、安価なガラス基板を使用することはできない。
【0016】
このため、安価なガラス基板を用いることを前提とすれば、後者の方法を用いることになる。触媒元素を導入して加熱することによって結晶化された結晶性ケイ素膜は、幅800〜1000Åの柱状結晶のネットワーク状態によって、それぞれの結晶粒が構成されている。個々の柱状結晶の内部は単結晶状態であるが、これらの柱状結晶の曲がりや分岐などによって転位などの結晶欠陥が結晶粒内に多数存在する。レーザー照射は、この良好な結晶性を有する柱状結晶成分を基に、結晶粒内の欠陥を消滅させることを目的とするが、現実には、非常に難しい。
【0017】
実際に、触媒元素によって結晶化された結晶性ケイ素膜にレーザー照射すると、低いレーザーパワーでは、ほとんど効果がなく、元の結晶状態をほぼ維持するだけで大きくは改善されない状態となる。一方、高いレーザーパワーでは、元の結晶状態がリセットされ、レーザーのみによって結晶化されたのと同様の状態になる。その中間状態を形成するのは非常に難しく、レーザーパワーのマージンが全く無い。
【0018】
その結果、触媒元素によって結晶化された結晶性ケイ素膜に、さらにレーザー光を照射して結晶性を改善したつもりで、TFTの活性領域を形成した場合、そのTFTの特性は、触媒元素による結晶化のみ(レーザー照射無し)で形成した場合とほとんど差のない電流駆動能力の低い特性、もしくは、レーザー照射のみで結晶化した場合と同様に、電流駆動能力はそこそこあるが特性ばらつきが大きな特性になる。すなわち、従来法のまま、触媒元素によって結晶化されたケイ素膜にさらにレーザー光を照射しても、それ以上の大きな改善を行うことはできなかった。
【0019】
また、特開平7−221017公報に記載の方法では、触媒元素を非晶質ケイ素膜に導入した後、わずかな時間の加熱処理を行い、結晶核のみを形成し、その後レーザー光を照射して結晶化を行わせている。すなわち、メインの結晶化はレーザー光の照射によって行うもので、レーザー照射による効果を十分に引き出すのは適している。しかしながら、上記公報の方法では、触媒元素を非晶質ケイ素膜に対して全面的に導入し、結晶核を形成しているので、その結晶核の形成を十分に制御することは困難である。すなわち、結晶核の発生は全くランダムであり、どの位置に生じるか予測できない。結晶核の位置が十分に制御できないと、レーザー照射による結晶化の際、場所によっては触媒元素によって形成された結晶核から成長をする領域もあれば、非晶質から直接結晶成長する(すなわち、従来のレーザー照射の結晶成長)領域も現れる。なぜなら、レーザー照射は、ケイ素膜における瞬時の溶融固化過程を利用して結晶化しているため、触媒元素によって形成された結晶核からある程度以上の距離が離れたところでは、結晶核からの結晶成長が到達するより先に、自然固化による従来の結晶化が生じるからである。このような結晶性ケイ素膜を用いて半導体装置を作製した場合、各素子領域における結晶状態が大きくばらつく。したがって、その結果、半導体装置における特性が不安定となり、特性ばらつきが非常に大きくなる。
【0020】
そこで、この発明の目的は、上述の問題点を全て解決すべく、絶縁表面を有する基板上に作製された高性能でばらつきの少ない半導体装置、および、そのような半導体装置を歩留まりよく、簡便な方法で作製できる製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、触媒元素を用いて結晶化されたケイ素膜のミクロ的な結晶性の良さに注目し、この利点を上手く引き出すことで、より高品質で均一性に優れた結晶性ケイ素膜が得られないかと考え、日夜研究を重ねた。そして、ついにそれを実現し、非常に高性能で安定性の高い半導体装置と、そのような半導体装置を作製する方法を見出した。
【0022】
すなわち、この発明の半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に形成された結晶性を有するケイ素膜を能動(チャネル)領域として構成される半導体装置において、
上記能動(チャネル)領域は、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶化された第1の結晶化領域と、上記第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とからなる結晶性ケイ素膜によって構成され
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されていることを特徴としている。
【0023】
この発明では、上記選択的に触媒元素を導入し結晶成長させたケイ素膜領域をシードとして、溶融固化過程において成長させた上記第2の結晶化領域は、特開平9−45931公報の従来法によって結晶化されたケイ素膜とは、大きく異なり、非常に高品質な結晶性ケイ素膜となっている。
【0024】
一方、従来行われていた方法(特開平9−45931公報)では、触媒元素を用いて完全に非晶質ケイ素膜を結晶化した後、その後にレーザー光などの強光照射を行い、その領域の結晶性の向上を図っていたが、この方法では、前述のように、触媒元素による結晶化後に存在する結晶欠陥を十分に改善することができず、その改善効果を高めるため、強光の強度を上げると、触媒元素による結晶化状態がリセットされてしまう。
【0025】
これに対して、本発明の半導体装置における第2の結晶化領域は、非晶質状態から、触媒元素による結晶化領域の結晶性を反映して、溶融固化で結晶成長したものであるので、触媒元素による結晶化領域のミクロ的に良好な結晶成分(柱状結晶成分)を効率的に引き継ぎ、非晶質状態から結晶成長される。したがって、通常の溶融固化による結晶化と同様、その領域には欠陥も非常に少ない。すなわち、本発明における上記第2の結晶化領域は、触媒元素による結晶化で得られるミクロ的に良好な結晶状態と、固相成長結晶化法の特徴である結晶状態の基板内での良好な均一性と、強光照射による溶融固化結晶化での低い粒内欠陥密度とを、全て盛り込んだ状態の非常に高品質な結晶性ケイ素膜となっている。
【0026】
ところで、この非常に高品質な第2の結晶化領域は、触媒元素を非晶質ケイ素膜に選択的に導入して結晶成長させたケイ素膜領域をシードとして、溶融固化過程において成長させて、得られるものである。したがって、この第2結晶化領域を、基板上に大面積にわたって形成することは非常に難しく、ミクロンオーダーの微小領域しか得られない。したがって、非晶質ケイ素膜に触媒元素を導入して加熱処理で結晶成長させた第1の結晶化領域と、それをシードとして溶融固化過程において成長させた第2の結晶化領域との両者でもって、半導体装置の能動(チャネル)領域を構成している。
【0027】
この構成の半導体装置において、キャリアは、この非常に良好な結晶性を有する第2の結晶化領域を用いて主に移動することになり、半導体装置の能動(チャネル)領域の一部をこの第2の結晶化領域で構成することで、今までにない非常に高性能な(特に電流駆動能力の高い)半導体装置を実現できる。
【0028】
具体的に、本発明によれば、従来法の特開平9−45931公報によって作製されたTFTと比べて、電界効果移動度として、2〜3倍程の非常に大きな向上が見られた。
【0029】
また、本発明は、レーザー光によって結晶化を行っている特開平7−221017公報に記載のものとも異なる。つまり、この特開平7−221017公報では、非晶質ケイ素膜全面に触媒元素を導入した後、わずかな時間の加熱処理を行い、結晶核のみを形成し、その後レーザー光を照射して結晶化を行わせている。これに対し、本発明では、触媒元素の導入領域を制御し、結晶核ではなく、きっちりとした結晶化領域をまず形成している。
【0030】
本発明では、結晶核ではなく、シード領域として、結晶性が安定した状態の広範囲な結晶化領域を形成することで、後の強光照射による結晶化状態を安定させることが大きなポイントである。さらに、非晶質ケイ素膜を、触媒元素によって、選択的に結晶化して、その第1結晶化領域の結晶性を選択的に反映し、溶融固化で結晶化された第2の結晶化領域を得る。したがって、その溶融固化による第2の結晶化領域の位置を制御することは容易であり、半導体装置の能動(チャネル)領域との位置関係をコントロールできる。よって、この発明によれば、特開平7−221017公報とは異なり、全ての半導体素子において能動(チャネル)領域の結晶性を均一とすることができ、素子間ばらつきの非常に少ない安定した特性の高性能半導体装置を実現できる。
【0031】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが概略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっている状態の結晶性ケイ素膜によって、能動(チャネル)領域が構成されている。
【0032】
この実施形態では、第2の結晶化領域は、線状の第1の結晶化領域から一次元的に結晶成長されることで、その結晶成長方向や結晶成長境界ができ、また、比較的大きな面積の第2の結晶化領域が得られる。また、このときの第1の結晶化領域の幅と第2の結晶化領域との幅をコントロールすることで、半導体装置の特性をコントロールすることも可能である。
【0033】
さらに、また、本実施形態において、溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域の大きさが、最も重要なパラメーターである。この第2の結晶化領域の大きさは、上述のような線状の第1結晶化領域の領域間の幅として、コントロールできる。
【0034】
本実施形態における第2の結晶化領域は、隣接する第1の結晶化領域の結晶性を引き継いで結晶成長されたものでないと意味がない。よって、第2の結晶化領域の線幅(短辺方向の幅)は、隣接する第1の結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下であることが必要である。
【0035】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記線状の第2の結晶化領域の幅は、6μm以下である。
【0036】
この実施形態では、第2の結晶化領域は、その線幅(短辺方向の幅)が6μm以下であるから、隣接する第1の結晶化領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる。したがって、その第2の結晶化領域内は、全て、第1の結晶化領域をシードとして溶融固化過程において結晶化された高品質な結晶性ケイ素膜となる。
【0037】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置されている。
【0038】
この実施形態では、上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とを、それぞれ略線状とし、それぞれが隣接し合うストライプ状とした。この場合、線状の第2の結晶化領域の中央部には、両脇の第1の結晶化領域からそれぞれ挟まれるように結晶成長してきた領域がぶつかり合って形成された結晶成長境界が現れる。この結晶境界は、第2の結晶化領域の中央に、その線状領域と平行に、線状に存在する。この成長境界は、それぞれの結晶領域が全く逆の方向から進行し、ぶつかり合ってできたものであり、Si原子の結合が完全に途絶え、半導体装置におけるキャリアに対して、非常に大きなトラップあるいは散乱中心となっている。
【0039】
したがって、本実施形態では、半導体装置の能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)に対して、上記線状の成長境界が少なくとも横切らないように配置されている。これにより、キャリアは、この成長境界をまたぐことなくチャネルを移動することができるから、この成長境界による影響を防ぎ、高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0040】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記線状の第2の結晶化領域の中央部には、結晶成長境界が上記第2の結晶化領域の延在方向と平行に線状に存在しており、
上記能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されている。
【0041】
この実施形態では、半導体装置の能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)と、上記線状の成長境界のその線方向とが、略平行となるように配置されている。これにより、全てのキャリアが、最短距離でチャネル内を移動できるようになり、この成長境界による影響を完全に防ぎ、より高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0042】
なお、チャネル方向に対して、成長境界が斜めに存在している場合には、成長境界を避けるようにして優先的にキャリアが流れるから、そのパスが長くなる。
【0043】
ところで、この実施形態では、第2の結晶化領域における溶融固化過程での結晶成長方向に対して、能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向が垂直となるから、キャリアの移動を阻害するように思われる。
【0044】
確かに、この実施形態では、触媒元素によって結晶化された領域の結晶性を反映して、溶融固化における結晶化の際、横方向(基板と平行な方向)に結晶成長する。このとき、成長方向に対して垂直方向には、シード領域である触媒元素による結晶化領域の結晶状態の違いを反映して、結晶粒界が生じている。
【0045】
しかしながら、半導体装置におけるキャリアに対するそのトラップ効果と散乱効果は、上記結晶粒界に比べて、第2の結晶化領域中央に形成される前述の結晶境界部の方が、はるかに大きいから、結晶境界部を避けることを優先した構成にしている。
【0046】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域は、少なくとも複数本の線状の第2の結晶化領域を含んでいる。
【0047】
この実施形態では、上記能動(チャネル)領域は、少なくとも複数本の線状の第2の結晶化領域を含んでいる。チャネル領域に含まれる線状の第2の結晶化領域の本数は多ければ多いほど良く、電流駆動能力が向上し、素子間での特性ばらつきが低減される。
【0048】
特に、電流駆動能力が要求される半導体素子はチャネル幅が大きく、線状の第2の結晶化領域を多数含むことが可能であるが、チャネル幅が小さい半導体素子における最低条件として、少なくとも複数本の線状の第2の結晶化領域が、そのチャネル領域に含まれる必要がある。これによって、個々の半導体素子における特性の均一性と、高性能でばらつきの少ない半導体装置を確保できる。
【0049】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域は、上記触媒元素を1×1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有している。
【0050】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域が含有している触媒元素は、ニッケルである。
【0051】
さて、この実施形態の半導体装置は、その能動(チャネル)領域を、触媒元素を用いて加熱処理で結晶化された第1の結晶化領域と、それをシード領域として溶融固化過程で結晶成長させた第2の結晶化領域とによって、構成されるものである。したがって、この実施形態によって得られる半導体装置では、その能動領域に触媒元素を幾分か含んでおり、それが、本発明の半導体装置を特定化できる根拠となる。本発明において利用できる触媒元素の種類としては、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auが挙げられる。これらから選ばれた一種または複数種類の元素であれば、微量で結晶化助長の効果があり、半導体(結晶性ケイ素)中で、比較的不活性な傾向が強く、半導体装置における電気的な悪影響を抑制できる。したがって、この発明の半導体装置では、これらの元素の内の何れかが、能動(チャネル)領域にある程度の量だけ含まれている。
【0052】
そして、特に、これらの触媒元素の中でも、とりわけNiを用いた場合に最も顕著な効果が得られることがわかっている。この理由については、以下のようなモデルが考えられる。触媒元素は単独では作用せず、ケイ素膜と結合し、シリサイド化することで結晶成長に作用する。そのときの結晶構造が、非晶質ケイ素膜結晶化時に一種の鋳型のように作用し、非晶質ケイ素膜の結晶化を促すといったモデルである。Niは、2つのSiとNiSi2のシリサイドを形成する。NiSi2は螢石型の結晶構造を示し、その結晶構造は、単結晶ケイ素のダイヤモンド構造と非常に類似したものである。しかも、NiSi2はその格子定数が5.406Åであり、結晶シリコンのダイヤモンド構造での格子定数5.430Åに非常に近い値をもつ。よって、NiSi2は、非晶質ケイ素膜を結晶化させるための鋳型としては最高のものであり、実際に、得られる結晶性ケイ素膜の結晶性およびその結晶化促進の触媒効果を見ても、触媒元素として、Niが最も良いのは間違いない。
【0053】
本実施形態の半導体装置においても、溶融固化による結晶化の際のシード領域である触媒元素による結晶化領域の結晶性は、非常に重要であり、これが半導体装置の特性を大きく左右する。したがって、本実施形態の半導体装置においては、Niを触媒元素として用い、その能動領域にはNiがある程度の量残存していることが、本実施形態の効果を最も有効に引き出した結果および証拠となる。
【0054】
このとき、実際に半導体装置の能動領域中に含まれているニッケル元素の濃度としては、1×1016〜5×1017atoms/cm3であることが望ましい。ニッケルが5×1017atoms/cm3を越えるような量であれば、ニッケルシリサイドとして能動領域(ケイ素膜)中に偏在する領域が多数現れだし、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすようになる。一方、ニッケルが5×1017atoms/cm3以下の量では、ほとんどシリサイドとして析出せず、ケイ素膜中に固溶し、また結晶欠陥に組み込まれているような状態になっていると思われる。このような状態では、半導体装置への悪影響は見られていない。このように、ニッケルシリサイドが析出し出した時に特性上の悪影響が見られている。また、逆に、能動領域中の残存ニッケル濃度が1×1016atoms/cm3よりも少ない場合には、ニッケルの触媒効果を用いて非晶質ケイ素膜が十分に結晶化されたとは考えられない。この場合、シード領域の結晶性が低く、本発明の効果は得られないと考えられる。
【0055】
例えば、結晶化後の後の工程において、活性領域のニッケル量を低減するような方法を用いたとしても、触媒として十分な量のニッケルを導入し結晶成長させた場合、1×1016atoms/cm3以下の量にまで低下させることはできず、これ以上の量のニッケルが必ず残る。したがって、この実施形態の半導体装置においては、能動(チャネル)領域中に含まれているニッケルの濃度が、1×1016〜5×1017atoms/cm3であるときに、本発明の効果を最も引き出した状態となっている。
【0056】
また、他の実施形態の半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素膜を能動(チャネル)領域とする複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置において、
上記複数の薄膜トランジスタは、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動(チャネル)領域を有する第1種の薄膜トランジスタと、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を導入してから、加熱処理によって固相成長により結晶化された第1の結晶化領域のみによって構成されている能動(チャネル)領域を有する第2種の薄膜トランジスタとを含んでおり、
上記第1種の薄膜トランジスタは、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されている。
【0057】
また、一実施形態の半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に、画素電極をスイッチングする画素電極スイッチング用薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成するドライバー回路用薄膜トランジスタとが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置において、
上記ドライバー回路用薄膜トランジスタの少なくとも一つは、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動(チャネル)領域を有し、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されており、
上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を導入すると共に加熱処理によって固相成長により結晶化された第1の結晶化領域のみによって構成されている能動(チャネル)領域を有している。
【0058】
上記2つの実施形態は、複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置に適用する場合である。通常は、基板上に複数の薄膜トランジスタ素子が設けられ、半導体装置が構成されているのであるが、それぞれの薄膜トランジスタに求められる特性は一様ではなく、それぞれがどのような目的で使用されているかによって違っている。一般には、電流駆動能力が求められる薄膜トランジスタに対しては、チャネル幅を大きくすることで対応し、メモリー素子など高い電荷保持能力(低リーク電流)が求められる薄膜トランジスタについては、チャネル幅を小さくすることでリーク電流の低減を図っている。
【0059】
この発明は、薄膜トランジスタのチャネル領域を構成する結晶性ケイ素膜の結晶性をより高め、より高い電流駆動能力を達成することを一つの目的としている。
【0060】
このようにそれぞれ異なった特性が求められる薄膜トランジスタを同時形成する場合においては、本発明による効果を使い分け、それぞれの特性に応じた薄膜トランジスタを得ることが有効である。特に、電流駆動能力が求められる薄膜トランジスタでは、チャネル幅が広いから、本発明を適用するのに適している。すなわち、高い結晶性を有する多数の第2の結晶化領域を、チャネル内に含ませることは容易である。
【0061】
これに対し、低リーク電流が求められ、特に、チャネル幅が小さい薄膜トランジスタにおいては、第2の結晶化領域を用いず、触媒元素によって結晶化された第1の結晶化領域のみで、そのチャネル領域を構成すればよい。
【0062】
また、他の実施形態の半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素膜を能動(チャネル)領域とする複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置において、
上記複数の薄膜トランジスタは、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動領域(チャネル)を有する第1種の薄膜トランジスタと、
触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を強光照射による溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されてなる能動領域(チャネル)を有する第3種の薄膜トランジスタとを含んでおり、
上記第1種の薄膜トランジスタは、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されている。
【0063】
この実施形態では、触媒元素の導入を全く行わずに、チャネル全体が完全にマスクされた状態で非晶質状態のまま残し、直接強光照射による溶融固化過程のみで第3の結晶化領域を結晶化させ、この第3結晶化領域でもって、チャネル領域を形成した。これは、低リーク電流が要求されるチャネル幅が小さい薄膜トランジスタに有効である。
【0064】
低リーク電流が要求されるチャネル幅が小さい薄膜トランジスタに、第2の結晶化領域を適用すると、それぞれの素子において、第2の結晶化領域の数および面積が少しばらつくと、大きな特性差となって現れることになる。したがって、この場合、むしろ、第1の結晶化領域あるいは溶融固化過程のみで結晶化された第3の結晶化領域のみで、そのチャネル領域を構成することが好適である。
【0065】
また、一実施形態の半導体装置は、絶縁表面を有する基板上に、画素電極をスイッチングする画素電極スイッチング用薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成するドライバー回路用薄膜トランジスタが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置において、
上記ドライバー回路用薄膜トランジスタの少なくとも一つは、
非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動(チャネル)領域を有し、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されており、
上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、
触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を強光照射による溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されてなる能動(チャネル)領域を有している。
【0066】
この実施形態は、特に、前述のような同一基板上に全く異なる特性の薄膜トランジスタが多数構成される半導体装置として、画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成する薄膜トランジスタが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置である。
【0067】
このドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置は、液晶表示装置やイメージセンサーなどに一般的に用いられる。このドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置は、特に、それぞれの薄膜トランジスタの目的、特徴が明確であり、この発明を用いてそれぞれの目的に合った薄膜トランジスタを作り分けるのに適している。
【0068】
したがって、前述のような理由から、ドライバー回路を構成する薄膜トランジスタの少なくとも一部(特に高い電流駆動能力が求められるTFT)は、そのチャネル領域が、第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とによって構成される。一方、画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、そのチャネル領域が、触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されている。
【0069】
また、他の実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜の一部に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入する触媒元素導入工程と、
加熱処理を施し、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を、固相成長により選択的に結晶成長させる第1結晶成長工程と、
強光を照射し、上記選択的に結晶成長させた領域から横方向(基板と平行な方向)へと、上記選択的に結晶化させた領域の隣接領域を溶融固化過程において結晶成長させる第2結晶成長工程と、
上記触媒元素を導入し加熱処理によって結晶成長させた第1の結晶化領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた第2の結晶化領域とを用いて、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する能動領域形成工程とを少なくとも有し、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置する。
【0070】
この実施形態の製造方法では、触媒元素を導入し、加熱処理によって結晶成長させた領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた領域とを用いて、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成している。
【0071】
このとき、強光を照射する第2結晶成長工程において、触媒元素によって結晶化された領域の結晶性を反映して、溶融固化現象によって、横方向に結晶成長が生じている。すなわち、強光照射によって、触媒元素による結晶化領域のミクロ的に良好な結晶成分(柱状結晶成分)を効率的に引き継ぎ、非晶質状態から結晶成長する。これにより、触媒元素による結晶化で得られるミクロ的に良好な結晶状態と、固相成長結晶化法の特徴である結晶状態の基板内での良好な均一性と、強光照射による溶融固化結晶化での低い粒内欠陥密度とを、全て盛り込んだ状態の非常に高品質な結晶性ケイ素膜が形成される。
【0072】
そして、この結晶化領域が、半導体装置の能動(チャネル)領域に確実に含まれるようにアライメントして形成する結果、今までにない非常に高性能(特に電流駆動能力の高い)で、素子間ばらつきの非常に少ない安定した特性を示す半導体装置が得られる。
【0073】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜の一部に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入する触媒元素導入工程と、
加熱処理を施し、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を選択的に固相成長により結晶成長させ、さらにその領域から横方向(基板と平行な方向)へと、その周辺領域を結晶成長させる第1結晶成長工程と、
強光を照射し、上記加熱処理によって横方向に結晶成長させた領域から、さらに横方向(基板と平行な方向)へと、上記加熱処理によって横方向に結晶化させた領域の隣接領域を溶融固化過程において結晶成長させる第2結晶成長工程と、
上記触媒元素を導入し、加熱処理によって結晶成長させた第1の結晶化領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた第2の結晶化領域とを用いて、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する能動領域形成工程とを少なくとも有し、
上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置する。
【0074】
この実施形態の製造方法では、強光照射によって、上記加熱処理によって横方向に結晶成長させた領域から、さらに横方向(基板と平行な方向)へと、上記加熱処理によって横方向に結晶化させた領域の隣接領域を結晶成長させる。その後、この強光照射によって横方向に結晶成長させた領域が含まれるようにして、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する。
【0075】
この実施形態の半導体装置の製造方法においても、触媒元素を導入し加熱処理によって結晶化された領域の結晶性ケイ素膜の結晶性が、溶融固化による結晶化の際のシード領域であり、重要である。なぜなら、シード領域の結晶性が低ければ、強光照射による溶融固化で得られる結晶性も、これを反映して低いものとなり、半導体装置の特性を低下させることになるからである。
【0076】
このシード領域(すなわち触媒元素によって加熱処理で結晶化される結晶性ケイ素膜)の結晶性を、さらに高める方法として、上記方法が有効なのである。
【0077】
すなわち、この実施形態では、非晶質ケイ素膜の一部に選択的に触媒元素を導入し加熱することで、他の部分を非晶質ケイ素膜の状態として残したまま、選択的に触媒元素が導入された領域のみを結晶化し、そして、さらに加熱時間を延長することで、その導入領域から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長を行わせている。この横方向結晶成長領域の内部では、成長方向が略一方向に揃った柱状結晶がひしめき合っており、触媒元素が直接導入されランダムに結晶核の発生が起こった領域に比べて、結晶性がさらに良好な領域となっている。
【0078】
よって、この実施形態において、この横方向結晶成長領域の結晶性ケイ素膜を、強光照射に際のシード領域とすることによって、さらに強光照射による結晶成長領域の結晶性を高めることができ、半導体装置をさらに高性能化できる。
【0079】
また、他の実施形態の半導体装置の製造方法は、上記半導体装置の製造方法において、
上記非晶質ケイ素膜への選択的な触媒元素の導入は、
非晶質ケイ素膜上に、選択的に触媒元素が導入される領域が開口されてなるマスクを形成した後に行われ、
上記マスクの平面的な形状は、所定間隔を隔てて並列に並んでいる複数の線状の形状である。
【0080】
この実施形態の製造方法では、強光照射によって、触媒元素を導入し加熱処理によって結晶化された領域をシード領域として、その隣接領域を結晶化するので、触媒元素によって結晶化されたシード領域と、強光照射によって結晶化される領域との位置関係(配置)が重要となる。すなわち、先の工程で行われる非晶質ケイ素膜への選択的な触媒元素の導入パターンがポイントとなる。
【0081】
この実施形態では、非晶質ケイ素膜への選択的な触媒元素の導入は、非晶質ケイ素膜上に、選択的に触媒元素が導入される領域が開口されてなるマスクを形成した後に行われ、そのマスクの平面的な形状は、それぞれが線状であり、かつ、それぞれが並列に並んでいるライン&スペース形状である。この実施形態のように、例えば、フォトリソグラフィーによって形成されたマスクを設けることで、そのライン幅およびスペース幅を正確に制御することが可能となり、後に、半導体装置の能動(チャネル)領域に対する位置合わせを精度よく行える。
【0082】
また、このときのマスクの平面的な形状が、それぞれ線状であり、かつ、それぞれが並列に並んでいるライン&スペース形状であるから、非晶質ケイ素膜への触媒元素の選択的な導入が線状に行われる。その後、加熱処理によって、非晶質ケイ素膜を線状に選択的に結晶成長させると共に、残存する非晶質(未結晶化)領域も線状となる。
【0083】
この実施形態では、触媒元素を用いて線状に結晶化した領域によって両側から挟まれるように、線状の非晶質(未結晶化)領域を存在させ、それに強光を照射して、隣接する結晶化領域から、横方向(基板と平行な方向)へと結晶成長させる。すなわち、強光照射によって結晶化される残存非晶質(未結晶化)領域が、触媒元素による結晶化領域によって、線状に挟まれて配置される。このことで、強光照射の際に、上記残存非晶質(未結晶化)領域の両脇の結晶化領域から(すなわち2方向から)、横方向結晶成長が行われる。
【0084】
これにより、隣接する触媒元素によって結晶化された領域の結晶性を効率良く、かつ、広面積にわたって反映することが可能となる。
【0085】
また、このような形状であれば、強光照射による横方向の結晶化の際、その線幅方向あるいは短辺方向に沿った方向での一次元的な結晶成長が行われ、結晶成長が安定すると共に、結晶粒界の制御が行い易くなる。
【0086】
また、このときのマスクの線幅と線状マスク間のスペース幅との設定によって、シード領域(触媒元素によって結晶化された領域)の幅を小さくして、強光照射によってそこから横方向に結晶成長させた領域の面積比を大きくすることが可能である。したがって、強光照射によって触媒元素の結晶化領域の結晶性を反映して形成された高品質な結晶性ケイ素膜を、比較的広面積の領域として得ることができ、半導体装置を高性能化できるだけでなく、その素子領域のレイアウトが容易となる。
【0087】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、
上記触媒元素導入工程で、線状のマスクを用いて、上記触媒元素を上記非晶質ケイ素膜に選択的に導入し、
上記第1結晶成長工程で、加熱処理によって、上記マスクに覆われていない領域の非晶質ケイ素膜を結晶化する一方、上記マスクに覆われた領域は非晶質状態のままとし、
上記第2結晶成長工程で、強光を照射して、上記マスクに覆われた非晶質領域を結晶化するに際し、
上記マスクのパターンの線幅(短辺方向の幅)を、上記マスクに覆われていた非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる幅の最大値以下とする。
【0088】
この実施形態で、重要なポイントとなるのは、上記触媒元素による加熱処理での選択的な結晶成長後において、上記選択的に結晶成長した領域に挟まれて、あるいは囲まれて残存している線状の非晶質(未結晶化)領域の幅である。この線幅(短辺方向の幅)は、強光照射において、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる幅以下であることが必要である。これによって、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、その領域内が満たされる。
【0089】
強光照射による結晶化でもって、非晶質領域が優先的に溶融し、それらが結晶化領域の良好な結晶成分のみを反映して結晶化されるが、残存している非晶質領域の大きさが大きいところでは、結晶化領域の良好な結晶成分を引き継ぐ前に、その領域が固化結晶化してしまう。もしも、上記線幅あるいは短辺方向の幅が、上記幅の最大値以上であると、その領域内には、非晶質状態から強光照射によって直接的に結晶化された従来の強光照射のみによる結晶性ケイ素膜が、混在することになる。このことは、半導体装置の特性を低下させるだけでなく、特性ばらつきをも増大させる。
【0090】
こういった点から、この実施形態の製造方法においては、触媒元素の導入のための線状のマスクの線幅を、この線状のマスクに覆われていた非晶質領域が、隣接する触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とした。
【0091】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記線状のマスクは、そのパターンの線幅(短辺方向の幅)が、6μm以下である。
【0092】
この実施形態では、上記触媒元素による加熱処理での選択的な結晶成長後において、選択的に結晶成長した領域に挟まれて(あるいは囲まれて)残存している略線状の非晶質(未結晶化)領域の線幅(あるいは短辺方向の幅)が、6μm以下である。
【0093】
上記線幅が6μm以下であれば、強光照射において、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われ、その領域内は全て、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で満たされる。この線幅の値6μmは、本発明者らが実際に行った実験結果から得られた値である。
【0094】
ここで、図16に、上記実験の結果データーを示す。図16(A)は、ラマン分光法によって、結晶性ケイ素膜の結晶性そのものを調べた実験結果を示している。また、図16(B)は、その結晶性ケイ素膜で作製されたTFTの電界効果移動度を示している。この実験では、具体的に、長辺の長さを500μmに固定し、短辺の長さを2μmから16μmに振った矩形状パターンに、非晶質ケイ素膜を残存させた。そして、その非晶質ケイ素膜の中央部を、1μmφの空間分解能のラマン分光を用いて測定した。
【0095】
TFTの場合には、チャネル方向を短辺方向に合わせ、チャネル長を2μmと固定して、上記残存非晶質領域の矩形パターンの中央部に配置した。図16(A)の縦軸は、ラマンシフトの波数である。この図16(A)では、短辺方向の長さが、6μmを境として、それ以上ではラマンシフト波数が516cm-1へと低下している。これは、強光照射によって、非晶質状態から直接、溶融固化で結晶化した状態を示している。
【0096】
これに対して、本実施形態の触媒元素による結晶化領域の結晶性を反映して横方向に結晶化したケイ素膜は、ラマンシフト波数が、約518cm-1程度の比較的高波数であり、短辺方向の幅が6μm以下の場合には、その中央部まで、触媒元素による結晶化領域をシード領域とした結晶成長が行われていることがわかる。すなわち、片側より3μm以内の長さであれば、隣接結晶化領域の結晶性や反映した結晶成長が行われている訳である。
【0097】
図16(B)は、その結晶性ケイ素膜で作製したTFTの電界効果移動度を示す特性で、やはり非晶質領域の短辺方向の長さが6μmを越えると、電界効果移動度の低下が見られ、ばらつきも大きくなっているのがわかる。その原因は、もちろん、図16(A)に示すように、従来の強光照射による結晶が現れ出すからである。したがって、この実施形態の製造方法においては、触媒元素の導入のためのそれぞれの線状のマスクパターンの線幅を、6μm以下にしている。
【0098】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、
上記触媒元素導入工程で、上記非晶質ケイ素膜上に設けられた線状のマスクを用いて、上記非晶質ケイ素膜に上記触媒元素を選択的に導入し、
上記第1結晶成長工程で、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を、加熱処理によって、選択的に結晶成長させ、さらにその領域から横方向(基板と平行な方向)へとマスク下の周辺領域を結晶成長させ、このマスク下の領域で、非晶質領域が一部残存した状態で、上記結晶成長を停止させ、
上記第2結晶成長工程で、強光を照射して、上記残存した非晶質領域を結晶化させるに際し、
上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、上記非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とする。
【0099】
この実施形態では、先述の実施形態での説明と同じ理由によって、上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、上記非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とした。これにより、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、非晶質であった領域内が満たされる。
【0100】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、6μm以下とする。
【0101】
この実施形態では、先述の実施形態での説明と同じ理由によって、上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、6μm以下とした。これにより、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、非晶質であった領域内が満たされる。
【0102】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、所定間隔を隔てた複数の線状マスクでもって、上記触媒元素を上記非晶質ケイ素膜へ選択的に導入し、この所定間隔を隔てた複数の線状マスクは、その線方向(ラインに平行な方向)が、能動(チャネル)領域において、半導体装置としてのキャリアが流れる方向(チャネル方向)と、略平行となるように形成する。
【0103】
強光照射による横方向への結晶成長は、上記ライン&スペース形状の線状マスクのパターンにおいて、その線方向(ラインに平行な方向)に対して、垂直方向に生じる。したがって、強光照射によって、それぞれ両脇のシードとなる結晶化領域より結晶成長してきた領域(第2結晶化領域)が、その中央部においてぶつかり合い、結晶成長境界が形成される。すなわち、上記のようなライン&スペース形状の線状マスクのパターンを用い、触媒元素を選択導入した場合、強光照射によって結晶成長された線状領域の中央部において、その線方向に平行に結晶成長境界が形成される訳である。この成長境界は、全く逆の方向からそれぞれの結晶領域が進行しぶつかり合ったものであり、Si原子の結合が完全に途絶え、半導体装置におけるキャリアに対して、非常に大きなトラップあるいは散乱中心となっている。したがって、本実施形態の製造方法では、触媒元素の導入を行うライン&スペース形状の線状マスクのパターンの線方向(ラインに平行な方向)に対して、後の能動(チャネル)領域におけるキャリアの流れる方向(チャネル方向)を、概略平行となるようにした。これによって、キャリアは、この成長境界をまたぐことなくチャネルを移動することができるようになり、この成長境界による悪影響を防ぐことができ、より高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0104】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、
上記触媒元素を導入し加熱処理によって結晶成長させた領域と、強光照射によってその領域をシードとして横方向に結晶成長させた領域とを用いて、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する能動領域形成工程において、
それぞれの結晶化領域は、所定間隔を隔てた複数の線状に隣接しており、強光照射によって結晶成長させた線状の領域が、少なくとも2本以上、上記半導体装置の能動(チャネル)領域に含まれるように、半導体装置のチャネル幅およびそれぞれの結晶化領域の線幅(短辺方向の幅)を設定する。
【0105】
この実施形態では、強光照射によって結晶成長させた線状の領域が、少なくとも2本以上、上記半導体装置の能動(チャネル)領域に含まれるように、半導体装置のチャネル幅およびそれぞれの結晶化領域の線幅(短辺方向の幅)を設定した。
【0106】
本実施形態の半導体装置においては、触媒元素による結晶化領域をシードとして強光照射によって形成される高品質な結晶化領域によって半導体装置の高性能化を図る。しかしながら、前述のようにこれらの領域は大面積にわたって形成できるものではないため、本実施形態では、触媒元素による結晶化領域と、それをシードとして強光照射によって形成される高品質な結晶化領域とによって能動(チャネル)領域が形成される。よって、強光照射による高品質な結晶化領域は、チャネル領域に多く含まれるほど良いが、その面積比がばらつくと特性ばらつきが生じる原因となる。このばらつきは、本実施形態のような配置では、強光照射によって結晶化された線状領域の本数という形でコントロールできる。
【0107】
したがって、半導体素子に要求される電流駆動能力を考慮に入れて、能動(チャネル)領域に含まれる線状の結晶成長領域を、少なくとも2本以上にすることで、特性ばらつきを実用的なレベルに抑えることができ、最低限の特性安定性と半導体装置の高性能化を確保できる。
【0108】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記第1結晶成長工程における加熱処理の温度を、非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、触媒元素による結晶成長のみが進行するような温度に設定する。
【0109】
この実施形態では、非晶質ケイ素膜に触媒元素を選択的に導入した後、結晶化させるための加熱処理の温度を、非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、進行するような温度とした。
【0110】
本実施形態では、触媒元素による加熱処理での結晶化後も非晶質ケイ素膜領域を残存させ、そこに強光を照射して、結晶成長させる。しかし、上記加熱処理の温度があまりに高いと、非晶質ケイ素膜自体の自然核発生が起こり、結晶成長が始まる。自然発生核は、触媒元素に依存せず、その結晶状態も従来の触媒元素を用いない固相成長によって得られた欠陥の多い双晶構造になる。
【0111】
したがって、触媒元素による結晶化時に、その非晶質領域に熱処理によって自然発生した結晶核が存在すると、強光照射工程において、隣接する触媒元素による結晶化領域の結晶性を引き継いで結晶成長する前に、それら自然発生核の結晶を引き継いだ結晶成長が生じてしまう。このため、本発明の効果が得られなくなる。
【0112】
さらに、本実施形態は、触媒元素を用い結晶化された領域におけるミクロ的に良好な結晶状態を利用するものである点を考えても、このときの加熱処理温度としては、最低でも触媒元素による結晶核が発生し、触媒元素による結晶成長が進行する温度以上である必要がある。
【0113】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記加熱処理は、520℃から580℃の範囲の温度で行なう。
【0114】
具体的に、触媒元素による結晶成長が起こり始める温度としては、520℃程度であり、非晶質ケイ素膜に触媒元素によらない自然核発生が生じる温度は約580℃である。後者は、非晶質ケイ素膜の膜質にも大きく左右されるが、本実施形態に有効なプラズマCVD法による非晶質ケイ素膜を考えた場合、ほぼ上記値となる。したがって、非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、触媒元素による結晶成長のみが進行するような加熱処理温度としては、520℃から580℃の範囲が最も適している。
【0115】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記第2結晶成長工程における強光の強度を、非晶質(未結晶化)領域は完全に溶融する一方、触媒元素によって結晶化された領域は完全に溶融せず、少なくとも元の結晶状態が失われないような範囲の強度に設定する。
【0116】
強光を照射する工程について、この強光の強度が小さければ、ケイ素膜はほとんど溶融されず、残存非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して十分に結晶成長されない。また、このときの強光の強度が大きければ、結晶化領域において触媒元素によって得られた結晶性が完全に失われ、すなわち、リセットされてしまう。こうなると、全面的に従来のレーザー結晶化で得られる結晶性ケイ素膜と同等になっていしまい、性能が低下するだけでなく、本来、レーザー結晶化が有している不均一性の問題点が発生する。すなわち、どちらにしても、この強光を照射する工程における強光の強度次第で、本発明の効果が全く得られなくなってしまう。したがって、本発明における強光照射の強度は非常に重要である。
【0117】
したがって、本実施形態の製造方法において、上記隣接領域を結晶成長させる工程における強光の強度を、非晶質(未結晶化)領域が完全に溶融するが、触媒元素によって結晶化された領域は完全に溶融せず、少なくとも元の結晶状態が失われないような範囲の強度とした。このような範囲内でないと、本実施形態の効果が大きく損なわれる。
【0118】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記第2結晶成長工程で、強光として、波長400nm以下のエキシマレーザー光を用い、ケイ素膜表面に対するエネルギー密度が200〜450mJ/cm2となる範囲内で、強光を照射する。
【0119】
本実施形態において、具体的に使用される強光としては、波長400nm以下のエキシマレーザー光が最も適している。波長400nm以下であれば、ケイ素膜に対する吸収係数が極めて高く、ガラス基板に熱的ダメージを与えることなく、ケイ素膜のみを瞬時に加熱できる。また、エキシマレーザー光は発振出力が大きく、大面積基板を処理するのに適している。
【0120】
その中でも、特に、波長308nmのXeClエキシマレーザー光は出力が大きいから、基板照射時のビームサイズを大きくでき、大面積基板に対応し易く、また、出力も比較的安定しており、量産装置に適用する上で最も望ましい。
【0121】
そして、上記レーザー光を用いて、ケイ素膜表面に対して、上記レーザー光の表面エネルギー密度が200〜450mJ/cm2となるようにして、照射工程を行うことが望ましい。ここで、レーザー光の表面エネルギー密度が200mJ/cm2より小さければ、ケイ素膜はほとんど溶融されず、残存非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して十分に結晶成長されない。
【0122】
また、上記表面エネルギー密度が、450mJ/cm2よりも大きければ、結晶化領域において触媒元素によって得られた結晶性が完全に失われ、すなわち、リセットされてしまう。こうなると、全面的に従来のレーザー結晶化で得られる結晶性ケイ素膜と同等になってしまい、性能が低下するだけでなく、本来レーザー結晶化が有している不均一性の問題点が発生する。すなわち、この実施形態でのエネルギー密度範囲は、上述の非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して結晶化されると共に、結晶化領域の元の結晶性が失われないような範囲に相当する。
【0123】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた少なくとも一つの元素を用いる。
【0124】
この実施形態で選ばれた一種または複数種類の元素であれば、微量で結晶化助長の効果があるが、それらの中でも、特にNiを用いた場合に最も顕著な効果を得ることができる。この理由については、前述の通りである。
【0125】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記第2結晶成長工程の後に、少なくとも、後に半導体装置の能動(チャネル)領域となる以外のケイ素膜の領域に、5族Bから選ばれた元素を導入する5族B元素導入工程と、
第2の加熱処理を行い、上記5族Bから選ばれた元素が導入された領域に、上記触媒元素を移動させ、半導体装置の能動(チャネル)領域中の触媒元素量を低減する触媒元素低減工程とを行う。
【0126】
触媒元素による非晶質ケイ素膜の結晶成長では、まず、触媒元素と非晶質ケイ素とのシリサイド反応が起こり、シリサイドがその結晶成長を引き起こす。すなわち、結晶成長の先端には、常に触媒元素のシリサイドが存在しており、それが前方にある非晶質ケイ素を次々と結晶化していく訳である。最終的に結晶成長がぶつかり合った成長境界というのは、その成長過程で常に先端に存在する触媒元素のシリサイドが吹きだまりとなり、非常に高濃度で存在している領域である。触媒元素は金属類を主としており、このような元素が半導体中に多量に存在していることは、これら半導体を用いた装置の信頼性や電気的安定性を阻害するものであり、決して好ましいことでない。特に、これらのシリサイドは、TFTにおいてオフ動作時のリーク電流増大という大きな問題を引き起こす。
【0127】
そこで、本実施形態では、触媒元素を用い、加熱処理によって結晶化されたケイ素膜をシード領域として、強光照射によって、そこから横方向に結晶成長させるものである。このため、強光照射工程において、触媒元素が拡散し、特にその結晶成長境界に高濃度に局在する。したがって、チャネル領域内において、成長境界などに高濃度で局在している触媒元素を如何にして低減するかが大きな課題となる。
【0128】
これに対して、本実施形態では、触媒元素を非晶質ケイ素膜の結晶化処理に利用した後、上記ケイ素膜中に残存する触媒元素の大部分を、半導体素子形成領域以外の領域に移動させることで、この問題を解決している。
【0129】
具体的には、強光照射によって、触媒元素によって選択的に結晶成長させた領域から横方向へと結晶成長させ、次に、半導体装置の能動(チャネル)領域となる以外のケイ素膜の領域に、5族Bから選ばれた元素を導入し、第2の加熱処理を行う工程を追加した。この方法は、非常に有効であって、結晶成長に使われ、主に、成長境界に残存する触媒元素は、上記5族Bから選ばれた元素が導入された領域に移動し、結果として、半導体装置の能動(チャネル)領域中の触媒元素量を大きく低減できる。この方法は、半導体特性に対して悪影響が大きいシリサイド状態の触媒元素に対して、特に有効である。そして、5族B元素を導入され、触媒元素が集められた領域を除去して、最終的な半導体素子領域を形成すれば、基板上には触媒元素の高濃度領域は全く残らない。
【0130】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、As、Sb、Biのうちから選ばれた少なくとも一つの元素が用いられる。
【0131】
この実施形態では、上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、As、Sb、Biから選ばれた少なくとも一つの元素を用いている。これらから選ばれた一種または複数種類の元素であれば、上記触媒元素を効率的に移動させることができ、十分な効果が得られる。このメカニズムに関しては、未だ詳しい知見は得られていないが、これらの元素の中でも、最も効果が高いのはPであることがわかっている。
【0132】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0133】
〔第1の実施の形態〕
この発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態を説明する。この第1実施形態では、ガラス基板上にN型TFTを作製する際の半導体装置の製造工程において、この発明が適用されている。
【0134】
この第1実施形態で作製されたTFTは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置のドライバー回路や画素部分はもちろん、薄膜集積回路を構成する素子としても利用できる。
【0135】
図1(A)→(B)→(C)の順に、この第1実施形態で製作するNチャネル型TFTの作製工程の概要を平面図で示す。また、図2(A)→(D)の順に、上記作製工程を、図1におけるA−A’線断面図で示す。さらに、図3(D)→(G)の順に、図2に引き続いて、順次進行する作製工程を、図1においてB−B’のラインで切ったときの断面図で示す。この図1、図2、図3に示した製造工程によって、N型TFT127が完成される。
【0136】
まず、図2(A)に示すように、ガラス基板101上に、例えばスパッタリング法によって、厚さ300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜102を形成する。この酸化ケイ素膜102は、ガラス基板101からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。次に、プラズマCVD法あるいは減圧CVD法によって、厚さ20〜80nm(例えば、45nm)の真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103を成膜する。
【0137】
この第1実施形態では、平行平板式のプラズマCVD装置を用い、加熱温度を300℃とし、SiH4ガスとH2ガスを材料ガスに用いた。そして、RFパワーのパワー密度を、10〜200mW/cm2(例えば、80mW/cm2)とした。
【0138】
次に、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103上に、酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の絶縁性薄膜を堆積し、フォトリソ工程によって、パターニングしてマスク104を形成する。この第1実施形態においては、マスク104を酸化ケイ素膜とした。すなわち、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料として、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解、堆積した。マスク104の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましい。この第1実施形態では、上記酸化ケイ素膜からなるマスク104の厚さを150nmとした。
【0139】
このマスク104の平面的なパターン形状は、図1(A)に示すように、複数の線状となっており、ライン&スペース状になっている。ここで、マスク104の線幅βは、6μm以下であることが望ましい。この第1実施形態では、マスク104の線幅βを4μmとした。また、マスク104で覆われていない領域100においては、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103が露呈されており、そのスペース幅αを2μmとした。
【0140】
次に、図2(A)に示すように、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103およびマスク104の表面上に、ニッケル105を微量添加する。このニッケル105の微量添加では、ニッケルを溶かした溶液を、非晶質ケイ素膜(a−Si)103上、および、マスク104上に保持し、この溶液を、スピナーによって基板101上に均一に延ばして乾燥させた。この第1実施形態では、溶質としては酢酸ニッケルを用い、溶媒としてはエタノールを用い、溶液中のニッケル濃度が2ppmとなるようにした。
【0141】
このようにして添加された非晶質ケイ素膜(a−Si)103およびマスク104の表面上のニッケル濃度を、全反射蛍光X線分析(TRXRF)法によって測定すると、1×1013atoms/cm2程度であった。
【0142】
ここで、図1(A)において、平面的に見ると、ニッケル105は、マスク104とマスク104との間で、ライン状に延在している領域において、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103に添加された状態になっている。
【0143】
そして、この状態で、これを不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で、加熱温度520〜580℃(例えば、550℃)で1時間だけアニールして結晶化させる。このとき、マスク104で覆われていない領域100の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103には、ニッケル105が直接に添加され、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103の表面に添加されたニッケル105のシリサイド化が起こる。すると、そのシリサイド化したニッケル105を核として、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103の結晶化が進行する。
【0144】
その結果、図2(B)に示すように、マスク104から露呈している領域100においてのみ、結晶性ケイ素膜103aが形成され、一方、マスク104下の領域は非晶質状態のまま残される。ここで、あるニッケルの添加濃度とアニール温度・時間の組み合わせにおいては、ニッケル105が導入され、結晶化された領域である結晶性ケイ素膜103aから、マスク104下の領域へ、横方向に、結晶成長が引き起こされる場合があるが、この第1実施形態では、ニッケル濃度とアニール温度・時間を上記のように設定することで、マスク104下の領域へ横方向の結晶成長が生じないようにしている。この状態は、図1(A)に示す状態に相当する。このとき、マスク104上に存在するニッケル105は、マスク膜104に阻まれ、下層の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103へは到達せず、上記領域の結晶性ケイ素膜103aにおいて導入されたニッケル105のみによって非晶質ケイ素膜(a−Si膜)103の結晶化が行われる。
【0145】
次に、酸化ケイ素膜からなるマスク104をエッチング除去する。エッチャントとしては、下層の非晶質ケイ素膜103に対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を用い、ウェットエッチングを行った。そして、この状態で、図2(C)に示すように、レーザー光107を照射して、結晶化領域103aから、その結晶性を反映させて、隣接して矢印108で示す方向に残存している領域の非晶質ケイ素膜103を結晶化させる。
【0146】
その結果、残存する非晶質領域は、非常に高品質な結晶性ケイ素膜103cとなる。すなわち、このレーザー照射によって、非晶質領域が優先的に溶融し、結晶化領域である結晶性ケイ素膜103aの良好な結晶成分のみを反映して結晶化される。そして、双方の結晶化領域である結晶性ケイ素膜103aから横方向108に結晶成長し、ぶつかった境界(成長境界)103dが、高品質な結晶性ケイ素膜103cの中央部に形成される。また、このレーザー光107の照射工程によって、ニッケルによる結晶化領域である結晶性ケイ素膜103aもその結晶性が改善され、結晶性ケイ素膜103a’となる。このときの平面的な状態が、図1(B)に相当する。
【0147】
すなわち、幅α=2μmの結晶性ケイ素膜103a’と、幅β=4μmの高品質な結晶性ケイ素膜103cとが、ストライプ状に形成される。このときのレーザー光107としては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40ナノ秒)を用いた。レーザー光の照射条件としては、照射時に基板を200〜450℃(例えば、400℃)に加熱し、エネルギー密度200〜450mJ/cm2(例えば、350mJ/cm2)で照射した。ビームサイズは、基板101表面で150mm×1mmの長尺形状となるように成形されており、長尺方向に対して垂直方向に0.05mmのステップ幅で順次走査を行った。すなわち、非晶質ケイ素膜103の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行われることになる。
【0148】
次に、図1(C)、図2(D)に示すように、結晶性ケイ素膜103c、103a’を用い、その他の不要な部分のケイ素膜を除去して素子間分離を行い、TFTの活性領域となる島状の結晶性ケイ素を形成する。ここで、TFTのチャネル幅Wが決定される。また、図1(C)に示すように、最終的に、TFTにおいてキャリアが流れる方向130(チャネル方向)が、高品質な結晶性ケイ素領域103cの中央部に形成された結晶成長境界103dの線方向と概略平行となるように配置した。すなわち、上記チャネルが結晶成長境界103dを横切らないようにした。
【0149】
この第1実施形態では、TFTのチャネル幅Wを34μmとしたため、図1(C)および図2(D)に示すように、そのチャネル120内に、チャネル方向130に沿って、幅β=4μmの高品質な結晶性ケイ素膜103cが6本含まれ、幅α=2μmのシードとなった結晶性ケイ素膜103a’が5本含まれている。これらが、チャネル領域を構成している。
【0150】
この状態は、図1(C)に示され、B−B’面で切った断面が、図3(D)に示されている。この図3(D)と図2(D)とは同じ工程であり、図2(D)に示す構成を、90゜だけ回転させた方向から見た断面が図3(D)である。
【0151】
図3(D)に示すような島状のケイ素膜112を用い、さらにTFTを作製していく上で、説明の便宜上、以降は、工程を説明するための断面を、図1におけるB−B’面で切った断面に切り換えて、図3を用いて説明を続ける。
【0152】
次に、図3(E)に示すように、上記活性領域となる結晶性ケイ素膜112を覆うように、厚さ20〜150nm(ここでは、100nm)の酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜113として成膜する。ここでは、この酸化ケイ素膜の形成において、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃(好ましくは、300〜450℃)で、RFプラズマCVD法で分解、堆積した。なお、TEOSを原料として、オゾンガスとともに減圧CVD法もしくは常圧CVD法を使用して、基板温度を350〜600℃(好ましくは、400〜550℃)として形成してもよい。
【0153】
上記成膜後、ゲート絶縁膜113自身のバルク特性および結晶性ケイ素膜/ゲート絶縁膜の界面特性を向上させるために、不活性ガス雰囲気下で、400〜600℃で、1〜4時間のアニールを行った。
【0154】
引き続いて、スパッタリング法によって、厚さ400〜800nm(例えば、600nm)のアルミニウムを成膜する。そして、このアルミニウム膜をパターニングして、ゲート電極114を形成する。さらに、このアルミニウムからなる電極114の表面を陽極酸化して、上記表面に酸化物層115を形成する。この状態が図3(E)に相当する。この陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行い、最初、一定電流で220Vまで電圧を上げ、その状態で1時間保持して終了させる。得られた酸化物層115の厚さは200nmである。なお、この酸化物層115は、後のイオンドーピング工程において、オフセットゲート領域を形成する厚さとなるので、オフセットゲート領域の長さを上記陽極酸化工程で決めることができる。この状態が図3(E)の状態に相当する。
【0155】
次に、図3(F)に示すように、イオンドーピング法によって、ゲート電極114とその周囲の酸化物層115をマスクとして、活性領域に不純物(リン)117を注入する。ドーピングガスとして、フォスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60〜90kV(例えば、80kV)、ドーズ量を1×1015〜8×1015cm-2(例えば、2×1015cm-2)とする。この工程によって、不純物が注入された領域121と122は、後に、TFTのソース/ドレイン領域となる。一方、ゲート電極114およびその周囲の酸化層115にマスクされ、不純物が注入されない領域120は、後に、TFTのチャネル領域となる。すなわち、チャネル領域120、ソース領域121、ドレイン領域122は、平面的には、図1(C)に示すような配置となっている。
【0156】
その後、レーザー光の照射によってアニールを行い、イオン注入した不純物の活性化を行うと同時に、上記の不純物導入工程で結晶性が劣化した部分の結晶性を改善させる。この際、使用するレーザーとしては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40ナノ秒)を用い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2(好ましくは、200〜250mJ/cm2)で照射を行った。こうして形成されたN型不純物(リン)領域121、122のシート抵抗は、200〜800Ω/□であった。
【0157】
続いて、図3(G)に示すように、厚さ600nm程度の酸化ケイ素膜あるいは窒化ケイ素膜を層間絶縁膜123として形成する。酸化ケイ素膜を用いる場合には、TEOSを原料として、これと酸素とのプラズマCVD法(もしくは、オゾンとの減圧CVD法あるいは常圧CVD法)によって形成すれば、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜が得られる。また、SiH4とNH3を原料ガスとして、プラズマCVD法で成膜された窒化ケイ素膜を用いれば、活性領域/ゲート絶縁膜の界面へ水素原子を供給し、TFT特性を劣化させる不対結合手を低減する効果がある。
【0158】
次に、層間絶縁膜123にコンタクトホールを形成して、金属材料(例えば、窒化チタンとアルミニウムの二層膜)によって、TFTの電極配線124を形成する。窒化チタン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止する目的のバリア膜として設けられる。そして最後に、1気圧の水素雰囲気で350℃、1時間のアニールを行い、図3(G)に示すNチャネル型TFT127を完成させる。さらに必要に応じて、TFT127を保護する目的で、TFT127上に窒化ケイ素膜などからなる保護膜を設けてもよい。また、このTFTが用いられる回路によっては、ゲート電極114上にもコンタクトホールを設け、電極124と接続することで、配線を形成すれば良い。
【0159】
以上の第1実施形態にしたがって作製したTFTは、電界効果移動度が200cm2/Vs程度,閾値電圧が2V程度と非常に高性能である。にもかかわらず、基板内での特性ばらつきが、電界効果移動度で±10%程度、閾値電圧で±0.2V程度と非常に良好であった。なお、これは、基板として400×320mmのサイズを用い、基板内200点測定の結果である。
【0160】
これに対して、従来法によって作成された場合には、各素子間で結晶性のばらつきが大きいため、電界効果移動度のばらつきは±50%程度と非常に大きく、閾値電圧も2±0.5〜1.0Vの範囲で大きくばらつく。
【0161】
したがって、この第1実施形態によれば、TFTの高性能化に対してだけでなく、特性ばらつき改善に対しても大きな効果があることがわかる。
【0162】
〔第2の実施の形態〕
次に、この発明の第2実施形態の製造方法を説明する。この第2実施形態では、ガラス基板上にドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板を作製する。この第2実施形態で作製するドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置やイメージセンサーなどに適用される。この第2実施形態で作製するドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板では、画素電極をスイッチングする画素TFTと、ドライバー回路を構成するドライバーTFTとが同時に形成される。この第2実施形態においては、ドライバーTFTとして、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTを相補型に構成したCMOS構造の回路を代表例として用いた。
【0163】
図4および図5に、(A)→(D)の順に、この第2実施形態での作製工程の概要を平面図で示す。図4、図5は、この第2実施形態で作製するドライバーモノリシックアクティブマトリクス基板におけるドライバー回路部でのCMOS構造(N型TFTとP型TFT)素子の作製工程を示している。
【0164】
また、図6に、(A)→(E)の順に、この第2実施形態での上記画素TFTの作製工程の概要を平面図で示す。実際のアクティブマトリクス基板は、数十万個以上のTFTで構成されるが、この第2実施形態では、3行×3列の9個のTFTに簡略化して説明する。
【0165】
また、図7は、図5(D)および図6(E)において、A−A’のラインで切ったときの断面を示し、図7では任意の一TFTを示している。また、図8は、図4(D)および図5(E)においてB−B’のラインで切ったときの断面を示している。図7では、(A)→(F)の順に、作製工程が進行し、引き続いて、図8、図9の(D)→(J)の順にしたがって、N型TFT227、P型TFT228、画素TFT229が完成される。なお、図7の(D)→(F)に示した工程と、図8の(D)→(F)に示した工程とは、それぞれ同一工程である。
【0166】
この第2実施形態では、まず、図7(A)に示すように、ガラス基板201上に、例えばスパッタリング法によって、厚さ300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜202を形成する。この酸化ケイ素膜202は、ガラス基板201からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。次に、プラズマCVD法あるいは減圧CVD法によって、厚さ20〜80nm(例えば、35nm)の真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203を成膜する。
【0167】
次に、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203上に、酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の絶縁性薄膜を堆積し、フォトリソ工程によってパターニングしてマスク204を形成する。マスク204の形成は、この第2実施形態においては、酸化ケイ素膜を用い、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解、堆積した。マスク204の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましく、この第2実施形態では、上記酸化ケイ素膜からなるマスク204の厚さを150nmとした。マスク204の平面的なパターン形状は、ドライバー回路部においては、図4(A)に示すように、複数の線状となっており、ライン&スペース状になっている。
【0168】
ここで、マスク204の線幅βは、6μm以下であることが望ましく、この第2実施形態では、5μmとした。また、マスク204で覆われていない領域200においては、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203が露呈されており、そのスペース幅αは2μmとなるようにした。このとき、画素部では、図6(A)に示すように、全面がマスク204から露呈している。すなわち、画素部上には、マスク204を設けない。
【0169】
次に、図7(A)に示すように、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203およびマスク膜204表面上にニッケル205の微量添加を行う。このニッケル205の微量添加は、ニッケルを溶かせた溶液を、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203、マスク204上に保持し、スピナーによって、上記溶液を基板201上に均一に延ばして乾燥させることによって行った。この第2実施形態では、溶質として酢酸ニッケルを用い、溶媒としてはエタノールを用い、溶液中のニッケル濃度が2ppmとなるようにした。このようにして添加された非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203およびマスク204表面上のニッケル濃度を全反射蛍光X線分析(TRXRF)法によって測定すると、1×1013atoms/cm2程度であった。
【0170】
ここで、ニッケル205は、ドライバー部では、平面的に見ると、図4(A)において線状のマスク204で挟まれている領域200において、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203に選択的に添加された状態となっている。一方、画素部では、図6(A)に示すように、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203に全面的に添加された状態となっている。
【0171】
そして、この状態で、これを不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で、加熱温度520〜580℃(例えば、550℃)で、1時間アニールして結晶化させる。この際、マスク204で覆われていないために、ニッケル205が直接に添加された領域200の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203では、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)表面に添加されたニッケル205のシリサイド化が起こる。このシリサイド化したニッケルを核として、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203の結晶化が進行する。その結果、図4(B)に示すように、ドライバー部では、マスク204から露呈している領域200においてのみ、結晶性ケイ素膜203aが形成され、その他のマスク204下の領域は非晶質状態のまま残される。
【0172】
ここで、あるニッケルの添加濃度とアニール温度と時間の組み合わせにおいては、ニッケルが導入され結晶化された領域である結晶性ケイ素膜203aから、マスク204下の領域へと、横方向に結晶成長が引き起こされる場合があるが、この第2実施形態では、ニッケル濃度とアニール温度、時間を上記のように設定することで、マスク204下の領域への横方向の結晶成長が生じないようにしている。この状態が、図4(A)に示す状態に相当する。一方、画素部では、全面的に結晶性ケイ素膜203aが形成される。
【0173】
次に、酸化ケイ素膜からなるマスク204をエッチング除去する。エッチャントとしては、下層の非晶質ケイ素膜203に対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を用い、ウェットエッチングを行った。そして、この状態で、ドライバー部では、図7(C)に示すように、レーザー光207を照射することで、結晶化領域である結晶性ケイ素膜203aから矢印208に示すような方向に、その結晶性を反映させて結晶化させ、隣接して残存している非晶質ケイ素膜203を結晶化する。その結果、残存する非晶質領域は、非常に高品質な結晶性ケイ素膜203cとなる。すなわち、このレーザー照射によって、非晶質領域が優先的に溶融し、結晶化領域である結晶性ケイ素膜203aの良好な結晶成分のみを反映して結晶化される訳である。そして、双方の結晶化領域である結晶性ケイ素膜203aから横方向208に結晶成長し、ぶつかった境界(成長境界)203dが、高品質な結晶性ケイ素膜203cの中央部に形成される。
【0174】
また、このレーザー光207の照射工程によって、ニッケルによる結晶化領域である結晶性ケイ素膜203aもその結晶性が改善され、結晶性ケイ素膜203a’となる。すなわち、画素部においては、全面的に、この結晶性ケイ素膜203a’が形成される。このときのドライバー部における平面的な状態を、図4(B)に示す。すなわち、幅α=2μmの結晶性ケイ素膜203a’と、幅β=5μmの高品質な結晶性ケイ素膜203cとが、ストライプ状に形成される。このときのレーザー光としては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40ナノ秒)を用いた。レーザー光の照射条件は、照射時に基板を200〜450℃(例えば、400℃)に加熱し、エネルギー密度200〜450mJ/cm2(例えば、350mJ/cm2)とした。また、レーザー光のビームサイズは、基板101表面で、150mm×1mmの長尺形状となるように成形されており、長尺方向に対して垂直方向に、0.05mmのステップ幅で順次走査を行った。すなわち、非晶質ケイ素膜203の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行われることになる。
【0175】
次に、図7(D)に示すように、結晶性ケイ素膜203a上に、酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の絶縁性薄膜を堆積し、パターニングしてマスク209を形成する。この第2実施形態においては、マスク209は酸化ケイ素膜とし、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解、堆積した。また、マスク209の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましく、この第2実施形態では、上記酸化ケイ素膜209の厚さを150nmとした。このときの状態を基板上方より見ると、図5(C)、図6(B)に示すように、ドライバー部、画素部共に、後に、TFTの活性領域となるべき領域の結晶性ケイ素膜203aが、マスク209によって島状にマスクされた状態となっている。この状態を、図4、5および図6におけるB−B’面で切った断面を、図8(D)に示す。すなわち、図7(D)に示したのと同じ状態で、90゜回転した方向から見た断面が図8(D)に示されている。
【0176】
次に、この状態で、図7(D)、図8(D)に示すように、基板201上方よりリン210を全面にイオンドーピングする。このときのリン210のドーピング条件としては、加速電圧を5〜10kVとし、ドーズ量を5×1015〜1×1016cm-2とした。このイオンドーピング工程によって、露呈している領域の結晶性ケイ素膜203aにリンが注入され、リンドープされた結晶性ケイ素領域203fが形成される。一方、マスク209によって覆われている領域の結晶性ケイ素膜203cおよび203a’には、リンはドーピングされない。このときの状態を基板上方より見ると、ドライバー部は、図5(C)に示され、画素部は、図6(B)に示されるような状態となっており、線(図5(C)では一点鎖線)で囲まれた四角いマスク209の外側領域に、リン210がドーピングされている。
【0177】
そして、この状態で、不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気)にて、550〜650℃の温度で、数時間から数十時間の加熱処理を施す。この第2実施形態では、一例として、600℃にて6時間の加熱処理を行った。この加熱処理において、領域203fにドーピングされたリン210がその領域に存在するニッケル205をまずトラップする。そしてさらに、図5(C)、図6(B)、図7(E)、図8(E)に示すように、マスク209下の結晶性ケイ素膜203cおよび203a’に存在しているニッケル205、特に、結晶成長境界203dに存在しているニッケル205を、矢印211に示すような方向に引き出す。すなわち、上記ニッケル205は、マスク209に覆われた領域から外側の領域203fに向かって四方八方に引き出される。
【0178】
その結果、マスク209下の結晶性ケイ素膜203cおよび203a’におけるニッケル濃度は大きく低減する。このとき、実際の結晶性ケイ素膜203c中のニッケル濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定したところ、5×1016atoms/cm3程度にまで低減されていた。ちなみに、上記加熱処理工程前では、結晶性ケイ素膜203cの膜中ニッケル濃度は、5×1017atoms/cm3程度であった。
【0179】
次に、酸化ケイ素膜からなるマスク209をエッチング除去する。エッチャントとしては、下層の結晶性ケイ素膜203a’、203cに対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を用い、ウェットエッチングを行った。
【0180】
その後、図7(F)および図8(F)に示すように、マスク209に覆われていた領域のケイ素膜203c、203a’を用い、その他の不要な部分のケイ素膜を除去して素子間分離を行う。
【0181】
すなわち、上記工程によって、ドライバー部では、図5(D)に示すような配置で、また、画素部では図6(C)に示すような配置で、TFTの活性領域(ソース/ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性ケイ素膜212n、212p、212gを形成する。図5(D)および図6(C)には、その活性化領域212n、212pと、リンの導入マスク209との位置関係を示している。この工程で、TFTのチャネル幅Wが決定される。
【0182】
また、ドライバー部においては、最終的に、TFTにおいてキャリアが流れる方向(チャネル方向)が、高品質な結晶性ケイ素領域203cの中央部に形成された結晶成長境界203dの線方向を横切らないように概略平行に配置した。
【0183】
この第2実施形態では、ドライバーTFTのチャネル幅Wを35μmとした。これにより、図5(D)および図7(F)に示すように、そのチャネル220n、220p内に、チャネル方向に沿って、幅β=5μmの高品質な結晶性領域203cが5本含まれ、幅α=2μmのシードとなった結晶性領域203a’が4本含まれている。これらが、チャネル領域を構成することになる。
【0184】
次に、図8(G)に示すように、上記活性領域となる結晶性ケイ素膜212n、212pおよび212gを覆うように、厚さ80nmの酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜213として基板全面に成膜する。この第2実施形態でのゲート絶縁膜213の成膜工程において、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃(好ましくは、300〜450℃)で、RFプラズマCVD法で分解、堆積した。なお、上記成膜工程において、TEOSを原料とし、オゾンガスとともに減圧CVD法もしくは常圧CVD法を用い、基板温度を350〜600℃(好ましくは、400〜550℃)としてもよい。
【0185】
上記成膜後、ゲート絶縁膜自身のバルク特性および結晶性ケイ素膜/ゲート絶縁膜の界面特性を向上させるために、不活性ガス雰囲気下で400〜600℃で1〜4時間のアニールを行った。
【0186】
引き続いて、スパッタリング法によって、厚さ400〜800nm(例えば、600nm)のアルミニウムを成膜する。そして、アルミニウム膜をパターニングして、ゲート電極214n、214p、214gを形成する。さらに、このアルミニウムの電極の表面を陽極酸化して、表面に酸化物層215n、215p、215gを形成する。この状態が、図8(G)に相当する。このとき、画素部においては、ゲート電極214gは、平面的にはゲートバスラインを同時構成しており、この状態を図6(D)に平面的に示す。
【0187】
上記陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行い、最初、一定電流で220Vまで電圧を上げ、その状態で1時間保持して終了させる。得られた酸化物層215の厚さは200nmである。なお、この酸化物層215は、後のイオンドーピング工程において、オフセットゲート領域を形成する厚さとなるので、オフセットゲート領域の長さを上記陽極酸化工程で決めることができる。
【0188】
次に、図9(H)に示すように、フォトレジストによって、ドライバー部において、P型TFTを覆うようにマスク216を形成する。その後、イオンドーピング法によって、ゲート電極214n、214gとその周囲の酸化物層215n、215gをマスクとして、N型TFTの活性領域212n、212gに、不純物(リン)217を注入する。
【0189】
ドーピングガスとして、フォスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60〜90kV(例えば、80kV)とし、ドーズ量を1×1015〜8×1015cm-2(例えば、2×1015cm-2)とする。この工程によって、リン217が注入された領域221nと222nは、後に、ドライバー部のN型TFTのソース/ドレイン領域となる。一方、ゲート電極214nおよびその周囲の酸化層215nにマスクされて、不純物が注入されない領域220nは、後に、ドライバーN型TFTのチャネル領域となる。
【0190】
また、画素TFTにおいても、不純物が注入された領域221gと222gが、後の画素TFTのソース/ドレイン領域となる。一方、ゲート電極214gおよびその周囲の酸化層215gにマスクされて不純物が注入されない領域220gは、後に、画素TFTのチャネル領域となる。このとき、P型TFTの活性領域212pには、マスク216によって、リン217は全くドーピングされない。
【0191】
次に、フォトレジストマスク216を除去した後、フォトレジストによって、新たに、ドライバー部においてN型TFTと画素TFTとを覆うように、マスク218を形成する。そして、図9(I)に示すように、イオンドーピング法によって、P型TFTの活性領域220pに、ゲート電極214pおよびその周囲の酸化物層215pをマスクとして、不純物(ホウ素)219を注入する。ここで、ドーピングガスとしてはジボラン(B26)を用い、加速電圧を40kV〜80kV(例えば、65kV)とし、ドーズ量は1×1015〜8×1015cm-2(例えば、5×1015cm-2)とした。
【0192】
この工程によって、ホウ素219が注入された領域221pと222pは、後に、ドライバー部のP型TFTのソース/ドレイン領域となる。一方、ゲート電極214pおよびその周囲の酸化層215pにマスクされて、不純物が注入されない領域220pは、後に、ドライバーP型TFTのチャネル領域となる。このとき、マスク218によって、ドライバーN型TFTの活性領域220nおよび画素TFTの活性領域220gには、ホウ素219は全くドーピングされない。
【0193】
このようにして、N型の不純物領域221nと222n、221gと222g、並びに、P型の不純物領域221pと222pが、それぞれ選択的に形成され、図5(D)および図9(I)に示すように、Nチャネル型TFT227とPチャネル型TFT228とを形成することができる。
【0194】
その後、イオン注入した不純物の活性化を行うと同時に、上記の不純物導入工程で結晶性が劣化した部分の結晶性を改善させる。このとき、使用するレーザーとしては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40ナノ秒)を用い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2(好ましくは、200〜250mJ/cm2)で照射を行った。こうして形成されたN型不純物(リン)領域221n、222n、221g、222gのシート抵抗は、200〜800Ω/□であった。また、P型不純物(ホウ素)領域221p、222pのシート抵抗は、500Ω/□〜1kΩ/□であった。
【0195】
続いて、図9(J)に示すように、厚さ900nm程度の酸化ケイ素膜あるいは窒化ケイ素膜を層間絶縁膜223として形成する。酸化ケイ素膜を用いる場合には、TEOSを原料として、これと酸素とのプラズマCVD法(もしくは、オゾンとの減圧CVD法あるいは常圧CVD法)によって形成すれば、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜223が得られる。また、SiH4とNH3を原料ガスとしてプラズマCVD法で成膜された窒化ケイ素膜を用いれば、活性領域/ゲート絶縁膜の界面へ水素原子を供給し、TFT特性を劣化させる不対結合手を低減する効果がある。
【0196】
次に、層間絶縁膜223にコンタクトホールを形成して、金属材料(例えば、窒化チタンとアルミニウム)の二層膜によって、ドライバーTFT部の電極配線224と、画素TFTのソース電極TFTのソース電極配線225を形成する。窒化チタン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止する目的のバリア膜として設けられる。画素TFT229は、画素電極をスイッチングする素子であるので、もう一方のドレイン電極としては、ITOなど透明導電膜からなる画素電極226を設ける。すなわち、図6(E)において、ソースバスライン225を介してビデオ信号が供給され、ゲートバスライン214のゲート信号に基づいて画素電極226に必要な電荷が書き込まれる訳である。そして最後に、1気圧の水素雰囲気で350℃、1時間のアニールを行い、図5(D)、図6(E)、図9(J)に示すように、ドライバー部でNチャネル型TFT227とPチャネル型TFT228を、画素部で画素TFT229を完成させる。さらに必要に応じて、これらのTFTを保護する目的で、TFT上に窒化ケイ素膜などからなる保護膜を設けてもよい。
【0197】
以上の第2実施形態にしたがって作製したドライバー部のCMOS構造回路においては、それぞれのTFTの電界効果移動度はNチャネル型TFT227で250〜300cm2/Vs、Pチャネル型TFT228で120〜150cm2/Vsと高く、閾値電圧はN型TFTで1V程度、P型TFTで−1.5V程度と非常に良好な特性を示す。
【0198】
また、従来問題となっていた特性ばらつきについては、電界効果移動度において±10%程度に抑えられ、閾値電圧において±0.2V程度に抑えることができた(基板として400×320mmのサイズを用い、基板内200点測定の結果)。また、繰り返し測定やバイアスや温度ストレスによる耐久性試験を行っても、ほとんど特性劣化が見られず、従来のものと比べて非常に信頼性が高く、安定した回路特性を示した。また、画素TFT229では、電界効果移動度が120cm2/Vs程度であり、閾値電圧が2V程度であり、画素TFTとしては十分な特性であった。また、触媒元素が特に問題となるTFTオフ領域でのリーク電流の増大およびばらつきは、異常点が無く、触媒元素を用いない場合と同等の数pA程度にまで低減でき、製造歩留まりを大きく向上させることができた。
【0199】
そして、この第2実施形態に基づいて作製された液晶表示用アクティブマトリクス基板を実際に点灯評価したところ、従来法によって作成したものに比べて表示むらが小さく、TFTリークによる画素欠陥も極めて少なく、コントラスト比の高い高表示品位の液晶パネルが得られた。
【0200】
〔第3の実施の形態〕
次に、この発明の第3実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。この第3実施形態は、第2実施形態と同様に、ガラス基板上にドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板を作製する場合について、この発明を採用したものである。この第3実施形態で作製するドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置やイメージセンサーなどに適用される。この第3実施形態でドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス基板を作製するに際し、画素電極をスイッチングする画素TFTと、ドライバー回路を構成するドライバーTFTとが同時形成される。この第3実施形態においても、ドライバーTFTとして、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTを相補型に構成したCMOS構造の回路を代表例として用いた。
【0201】
図10、図11に、(A)→(D)の順に、この第3実施形態で作製するドライバーモノリシックアクティブマトリクス基板におけるドライバー回路部でのCMOS構造(N型TFTとP型TFT)素子の作製工程の概要を平面図で示す。また、図12に、(A)→(E)の順に、画素TFTの作製工程の進行概要を平面図で示す。実際のアクティブマトリクス基板では、数十万個以上のTFTで構成されるが、この第3実施形態では、3行×3列の9個のTFTに簡略化して説明を行う。
【0202】
また、図13は、図11および図12においてA−A’のラインで切ったときの断面を示し、図13においては、任意の一TFTを示している。また、図14は、図11および図12においてB−B’のラインで切ったときの断面を示す。
【0203】
図13の(A)→(E)の順にしたがって作製工程が順次進行し、引き続いて、図14、15の(E)→(J)の順にしたがってN型TFT327、P型TFT328、画素TFT329が完成される。図13(E)の工程と、図14(E)の工程とは、同一工程である。
【0204】
この第3実施形態では、まず、図13(A)に示すように、ガラス基板301上に、例えば、スパッタリング法などによって、厚さ300〜500nm程度の酸化ケイ素からなる下地膜302を形成する。この酸化ケイ素膜からなる下地層302は、ガラス基板からの不純物の拡散を防ぐために設けられる。次に、プラズマCVD法あるいは減圧CVD法によって、厚さ20〜80nm、例えば45nmの真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303を成膜する。この第3実施形態では、平行平板式のプラズマCVD装置を用い、加熱温度を300℃とし、SiH4ガスとH2ガスを材料ガスに用いた。
【0205】
次に、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303上に、酸化ケイ素膜または窒化ケイ素膜等の絶縁性薄膜を堆積し、パターニングしてマスク304を形成する。この第3実施形態では、マスク304を酸化ケイ素膜とし、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料として、酸素とともにRFプラズマCVD法で分解、堆積した。このマスク304の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましく、この第3実施形態では、上記酸化ケイ素膜からなるマスク304の厚さを150nmとした。
【0206】
マスク304の平面的なパターン形状は、ドライバー回路部においては、図10(A)に示すように、複数の線状となっており、ライン&スペース状に形成されている。この第3実施形態では、マスク304の線幅βを、8μmとした。また、マスク304で覆われていない領域300においては、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303が露呈されており、そのスペース幅αは2μmとなるようにした。このとき、画素部では、図12(A)に示すように、全面がマスク304によって覆われている状態となっている。
【0207】
上記マスク304を設けた後、この上からニッケル305の微量添加を行う。このニッケル305の微量添加は、純ニッケル(99.9%以上)のターゲットを用い、DCスパッタリングによって行った。具体的には、DCパワーが100W以下という極低パワーにて、基板搬送速度を2000mm/分にまで高めてスパッタリング処理を行った。スパッタリングガスとしてはアルゴンを用いて、純ニッケルターゲットに対してスパッタリング時のガス圧力を10Pa以上に上げることで、ニッケルの極低濃度スパッタリングが可能となる。このようにしてスパッタリングされたニッケル305は、図13(A)では、薄膜のように表示してはいるが、実際には単原子層程度かそれ以下の状態で、とても膜と呼べる状態ではない。具体的に、DCパワー30W、アルゴンガス圧22Paの条件でスパッタリングを行ったところ、基板表面上(マスク304と露呈している非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303)のニッケル濃度は、2×1013atoms/cm2程度(TRXRF測定値)であった。このとき、ニッケル305は、平面的に見ると、ドライバー部では、線状のマスク304によって、図10(A)において示される領域300において、選択的に非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303に添加された状態となっている。これに対して、画素部は、図12(A)に示すように、全面的にマスク304に覆われ、ニッケル305が添加されていない状態にある。
【0208】
そして、この状態で、これを不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で、加熱温度520〜580℃(例えば、550℃)で1時間アニールして結晶化させる。このとき、マスク304で覆われておらず、ニッケル305が直接添加された領域300の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303においては、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303表面に添加されたニッケル305のシリサイド化が起こる。このシリサイド化したニッケル305を核として、非晶質ケイ素膜303の結晶化が進行する。その結果、図13(B)に示すように、ドライバー部では、マスク304から露呈している領域300においてのみ、結晶性ケイ素膜303aが形成される。
【0209】
引き続いて、マスク304下の領域では、図10(B)および図13(C)に、矢印306で示すように、マスク304の中央に向かって、先に結晶化された領域の結晶性ケイ素膜303aから横方向(基板と平行な方向)に結晶成長が行われ、横方向結晶成長領域303bが形成される。ここで、この第3実施形態では、このときのニッケルの添加濃度とアニール温度、時間を上記値に制御することによって、横方向結晶成長領域303bで、マスク304下の領域が完全に埋めつくせられないようにしている。その結果、横方向結晶成長領域303bに挟まれて、非晶質領域である非晶質ケイ素膜303が残存する。このときの矢印306に示す横方向結晶成長距離(すなわち、矢印306方向の領域303bの長さx)は、それぞれ1μmであった。また、この成長距離xに合わせ、横方向結晶成長領域303bに挟まれて残存する非晶質ケイ素膜303の幅yは、6μm以下であることが望ましい。
【0210】
この第3実施形態でも、残存する非晶質ケイ素膜303の幅yが6μmとなるように、マスク304の線幅β、スペース幅αおよび、横方向結晶成長距離xを設定した。この状態を、図10(B)および図13(C)に示す。このとき、マスク304上に存在するニッケル305は、マスク膜304に阻まれ、下層の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303へは到達せず、ニッケルが直接添加された領域300において導入されたニッケル305のみによって、非晶質ケイ素膜(a−Si膜)303が結晶化される。したがって、画素部では、結晶化が生じず、全面的に非晶質ケイ素膜状態のままとなっている。
【0211】
次に、マスクとして用いた酸化ケイ素膜304をエッチング除去する。エッチャントとしては、下層の非晶質ケイ素膜303に対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を用い、ウェットエッチングを行った。そして、この状態で、図13(D)に示すように、ドライバー部では、レーザー光307を照射することで、結晶化領域である結晶性ケイ素膜303bから、その結晶性を反映させて、矢印308に示すような方向に、隣接する残存している非晶質領域303を結晶化させる。その結果、幅yの非晶質領域303は、非常に高品質な結晶性ケイ素膜303cとなる。
【0212】
すなわち、このレーザー照射によって、非晶質領域303が優先的に溶融し、結晶化領域である結晶性ケイ素膜303bの良好な結晶成分のみを反映して結晶化される訳である。そして、双方の結晶性ケイ素膜303bから、さらに横方向308に結晶成長し、ぶつかった境界(成長境界)303dが、高品質な結晶性ケイ素膜303cの中央部に形成される。また、このレーザー光307の照射工程によって、ニッケルによる結晶化領域である結晶性ケイ素膜303aとその横成長領域303bもその結晶性が幾分か改善され、結晶性ケイ素膜303a’、303b’となる。この状態が、図13(D)に示されている。すなわち、幅α=2μmのニッケルが直接導入されて結晶化された結晶性ケイ素領域303a’を挟んで、幅x=1μmの横方向結晶成長領域である結晶性ケイ素膜303b’が形成され、それと幅β=6μmの高品質な結晶性ケイ素領域である結晶性ケイ素膜303cとがストライプ状に形成される。上記工程において、レーザー照射によって結晶化される高品質な結晶性ケイ素膜303cは、前述の第1、第2実施形態の103c、203cに比べて、より高い結晶性を有している。なぜなら、この第3実施形態では、その結晶化の際のシード領域として、ニッケルが直接導入され結晶化された領域よりも、より結晶性が高いニッケルによる横方向結晶成長領域を用いているからである。
【0213】
一方、画素部においては、このレーザー光307の照射工程によって、非晶質状態から直接結晶化され、全面的に、レーザー照射のみで結晶化された結晶性ケイ素膜303eが形成され、図12(B)に示す状態となる。このときのレーザー光としては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40ナノ秒)を用いた。レーザー光の照射条件は、照射時に基板を200〜450℃、例えば400℃に加熱し、エネルギー密度200〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2で照射した。また、ビームサイズは、基板301表面で150mm×1mmの長尺形状となるように成形されており、長尺方向に対して垂直方向に0.05mmのステップ幅で順次走査を行った。すなわち、ケイ素膜303の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行われることになる。
【0214】
その後、図13(E)に示すように、ドライバー部では結晶性ケイ素膜303c、303b’,303a’に対し、また、画素部では結晶性ケイ素膜303eに対して、不要な部分のケイ素膜を除去して素子間分離を行う。すなわち、上記素子間分離工程によって、ドライバー部では図11(D)に示すような配置で、また、画素部では図12(C)に示すような配置で、TFTの活性領域(ソース/ドレイン領域,チャネル領域)となる島状の結晶性ケイ素膜312n,312p,312gを形成する。ここで、TFTのチャネル幅Wが決定される。また、ドライバー部においては、最終的にTFTにおいてキャリアが流れる方向(チャネル方向)に延在する線が、高品質な結晶性ケイ素領域303cの中央部に形成された結晶成長境界303dと略平行となるように配置した。つまり、上記チャネル方向に延在する線が上記結晶成長境界303dを横切らないような配置とした。
【0215】
この第3実施形態においては、TFTのチャネル幅Wを46μmとした。これにより、図11(D)および図13(E)に示すように、そのチャネル320n、320p内に、チャネル方向に沿って、幅β=6μmの高品質な結晶性領域である結晶性ケイ素膜303cが5本含まれ、幅x=1μmのそのシード領域となる横方向結晶成長領域である結晶性ケイ素膜303b’が8本含まれ、幅α=2μmのニッケルが直接導入されて結晶化された結晶性領域である結晶性ケイ素膜303a’が4本含まれている。これらによって、チャネル領域が構成される。
【0216】
この状態を、図11および図12におけるB−B’面で切った断面を、図14(E)に示す。この図14(E)は、図13(E)と同じ状態を示し、図13(E)から90゜回転した方向から見た断面が図14(E)に示されている。島状のケイ素膜312n、312pおよび312gを用いて、さらにTFTを作製していく上で、説明の便宜上、以下では、その断面を、図11および図12におけるB−B’面で切った断面で示す図14を用いて説明を続ける。
【0217】
次に、図14(F)に示すように、上記活性領域となる結晶性ケイ素膜312n、312p、312gを覆うように、厚さ20〜150nm(ここでは、100nm)の酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜313として成膜する。この酸化ケイ素膜は、ここではTEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃(好ましくは、300〜450℃)で、RFプラズマCVD法で分解、堆積して形成した。
【0218】
引き続いて、図14(F)に示すように、スパッタリング法によって高融点メタルを堆積し、これをパターニング形成して、ゲート電極314n、314p、314gとする。このときの高融点メタルとしては、タンタル(Ta)あるいはタングステン(W)が望ましい。この第3実施形態では、ゲート電極として、窒素が微量に添加されたTaと純Taの2層構造を用い、トータルの厚さが300〜600nm(例えば、450nm)とした。このとき、画素部においては、平面的に見ると図12(D)のような状態となっており、ゲート電極314gは、ゲートバスラインを同時構成している。
【0219】
次に、図14(G)に示すように、画素TFTにおいて、そのゲート電極314gを一回り大きく覆うようなフォトレジストからなるマスク316を形成する。ここでゲート電極314g端からマスク316端までの距離rは、画素TFTのオフセット長となる。この状態で、図14(G)に示すように、イオンドーピング法によって、ドライバー部の活性領域312n、312pに、ゲート電極314n、314pをマスクとして、リン317を注入する。また、画素部の活性領域312gに、レジストマスク316をマスクとして、リン317を注入する。ここで、ドーピングガスとしてフォスフィン(PH3)を用い、ドーピング条件としては、加速電圧を60〜90kV(例えば、80kV)とし、ドーズ量を2×1015〜8×1015cm-2(例えば、5×1015cm-2)とした。
【0220】
このイオンドーピング工程によって、ドライバー部では、ゲート電極314n、314pにマスクされてリンが注入されない領域は、後に、TFTのチャネル領域320n、320pとなる。また、この工程によって、Nチャネル型TFTにおけるN型の不純物領域321nと322nが形成される。しかし、Pチャネル型TFTにおいては、そのソース・ドレイン領域321n’、322n’は、この段階では、リン317がドーピングされた結果、N型の不純物領域となっている。また、画素部では、レジストマスク316によって、ゲート電極314g端からマスク316端までの距離rの領域には、リンが注入されない。この距離rを、第3実施形態では、2μmに設定した。すなわち、この距離rの領域が画素TFTにおけるオフセット領域となり、オフ動作時のリーク電流が低減される。図14(G)では、このオフセット領域とチャネル領域(ゲート電極314g下の領域)とを合わせて、符号320gで示している。また、マスク316以外の領域にはリンが注入され、ソース・ドレイン領域321g、322gが形成される。
【0221】
次に、マスク316を除去した後、さらにフォトリソグラフィ工程によって、図15(H)に示すように、ドライバー部のN型TFTおよび画素TFT上を完全に覆うように、フォトレジストによって、選択ドーピングのためのマスク318を形成する。そして、この状態で、イオンドーピング法によって、P型TFTにのみ、活性領域312pに選択的に、ゲート電極314pをマスクとして、ホウ素319を注入する。このとき、ドーピングガスとして、ジボラン(B26)を用い、40kV〜80kV(例えば、65kV)の加速電圧で、1×1016〜5×1016cm-2(例えば、2×1016cm-2)の高ドーズ量にて、ドーピングを行った。
【0222】
この工程において、後のP型TFTのチャネル領域320pは、ゲート電極314pにマスクされ、ホウ素は注入されない。一方、ゲート絶縁膜313越しにホウ素319がドーピングされた領域321n’、322n’では、先にドーピングされたN型不純物であるリンがキャンセルされ、過剰なホウ素によって反転してP型の不純物領域321pと322pが形成される。いわゆる、カウンタードーピングがなされる。このようして、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとがそれぞれ形成される。
【0223】
そして、上記選択ドーピングのためのマスクとして用いたフォトレジストを除去した後、これを不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)下にて、500〜600℃の温度で、数時間から数十時間の加熱処理を施す。この第3実施形態では、一例として、550℃にて6時間の処理を行った。この加熱処理によって、ドライバー部のTFT活性領域中において、ソース・ドレイン領域321n、322n、321p、322pにドーピングされているリンが、その領域に存在するニッケルをまずトラップする。そして、図15(I)に示すように、チャネル領域320n、320p中に存在しているニッケルを、矢印311に示すような方向に、隣接するソース・ドレイン領域321n、322n、321p、322pへと移動させる。その結果、チャネル領域320n、320p中のニッケル濃度は大幅に低減する。このときのチャネル領域320n、320p中のニッケル濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定したところ、5×1016atoms/cm3程度にまで低減されていた。ちなみに、上記工程前の結晶性ケイ素膜303cの膜中ニッケル濃度は、5×1017atoms/cm3程度であった。また、この加熱処理によって、ソース・ドレイン領域321n、322n、321p、322p、321g、322gの活性化も同時に行われる。上記工程によって得られたN型不純物領域321n、322n、321g、322gのシート抵抗値は、0.5〜1kΩ/□であり、P型不純物領域321p、322pのシート抵抗値は、2〜3kΩ/□であった。さらには、ゲート絶縁膜313の焼成処理も同時に行われ、ゲート絶縁膜313自身のバルク特性および結晶性ケイ素膜/ゲート絶縁膜の界面特性の向上を図れる。
【0224】
続いて、図15(J)に示すように、厚さ900nmの酸化ケイ素膜を層間絶縁膜323としてプラズマCVD法によって形成し、これにコンタクトホールを形成して、金属材料(例えば、窒化チタンとアルミニウムの二層膜)によって、ドライバーTFT部の電極配線324と、画素TFTのソース電極TFTのソース電極配線325を形成する。画素TFT329は、画素電極をスイッチングする素子であるので、もう一方のドレイン電極には、ITOなど透明導電膜からなる画素電極326を設ける。すなわち、図12(E)において、ソースバスライン325を介してビデオ信号が供給され、ゲートバスライン314gのゲート信号に基づいて、画素電極326に必要な電荷が書き込まれる訳である。そして最後に、1気圧の水素雰囲気で、350℃、1時間のアニールを行い、図11(D)、図12(E)、図15(J)に示すように、ドライバー部でNチャネル型TFT327とPチャネル型TFT328を完成させ、画素部で画素TFT329を完成させる。さらに必要に応じて、これらのTFTを保護する目的で、TFT上に窒化ケイ素膜などからなる保護膜を設けてもよい。
【0225】
以上の第3実施形態にしたがって作製したドライバー部のCMOS構造回路においては、それぞれのTFTの電界効果移動度はNチャネル型TFTで250〜300cm2/Vsであり、Pチャネル型TFTで120〜150cm2/Vsと高くなった。また、閾値電圧は、N型TFTで1V程度であり、P型TFTで−1.5V程度となり、非常に良好な特性を示した。また、従来問題となっていた特性ばらつきが、電界効果移動度で±10%程度に抑えられ、閾値電圧で±0.2V程度に抑えることができた(基板として400×320mmのサイズを用い、基板内200点測定の結果)。また、繰り返し測定やバイアスや温度ストレスによる耐久性試験を行っても、ほとんど特性劣化は見られず、従来のものと比べて非常に信頼性が高く、安定した回路特性を示した。
【0226】
また、画素TFTは、電界効果移動度が80cm2/Vs程度、閾値電圧が2.5V程度と、画素TFTとしては十分な特性であった。また、触媒元素が特に問題となるTFTオフ領域でのリーク電流の増大およびばらつきは、異常点が無く、触媒元素を用いない場合と同等の数pA程度にまで低減でき、製造歩留まりを大きく向上できた。そして、この第3実施形態に基づいて作製された液晶表示用アクティブマトリクス基板を実際に点灯評価したところ、従来法によって作製したものに比べて表示むらが小さく、TFTリークによる画素欠陥も極めて少なく、コントラスト比の高い高表示品位の液晶パネルであった。
【0227】
以上、この発明に基づく第1、第2、第3の実施形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0228】
例えば、上記3つの実施形態では、レーザー光照射前のケイ素膜における残存非晶質領域の形状を、共に線状としたが、矩形状でもよく、残存非晶質領域を結晶化領域が挟むあるいは囲むような形状であれば、特に有効である。そのときの線幅あるいは短辺方向の幅としては、6μm以下であれば良い。また、このように残存非晶質領域を囲まなくても、レーザー照射によって、結晶化領域から横方向に結晶成長させた領域をTFTのチャネル領域の一部に用いれば、本発明の効果が得られる。
【0229】
また、前述の3例の実施形態においては、ニッケルを導入する方法として、非晶質ケイ素膜表面をニッケル塩を溶かせたエタノール溶液を塗布する方法(あるいはスパッタリング法によってニッケル薄膜を形成する方法)によって、選択的にニッケル微量添加を行い、結晶成長を行わす方法を採用した。しかし、ニッケルの導入方法としては、その他、様々な手法を用いることができ、例えば、ニッケル塩を溶かせる溶媒として、単純に水を用いてもよいし、SOG(スピンオングラス)材料を溶媒としてSiO2膜より拡散させる方法もある。また、蒸着法やメッキ法によって薄膜形成する方法や、イオンドーピング法によって直接導入する方法なども利用できる。さらに、結晶化を助長する不純物金属元素としては、ニッケル以外にコバルト、鉄、パラジウム、白金、銅、金を用いても同様の効果が得られる。
【0230】
また、第2および第3実施形態では、素子領域内のニッケルを低減する方法を追加し、5族B元素を用いたが、このときの5族B元素としては、リン以外に、窒素、ヒ素、アンチモン、ビスマスを利用してもよい。
【0231】
また、上記実施形態では、ニッケルによって結晶化された結晶性ケイ素膜の結晶性を反映して、より高品質な結晶性ケイ素膜を得る手段として、波長308nmのXeClエキシマレーザーを用いたが、より波長の短いKrFやArFなどのエキシマレーザーやYAGレーザーなどを用いてもよい。また、パルスレーザー以外に例えば連続発振Arレーザーなどでも同様の処理が可能である。
【0232】
さらに、本発明の応用としては、液晶表示用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密着型イメージセンサー,ドライバー内蔵型のサーマルヘッド,有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型の光書き込み素子や表示素子、三次元IC等が考えられる。本発明を用いることで、これらの素子の高速、高解像度化等の高性能化が実現される。さらに本発明は、上述の実施形態で説明したMOS型トランジスタに限らず、結晶性半導体を素子材としたバイポーラトランジスタや静電誘導トランジスタをはじめとして幅広く半導体プロセス全般に応用することができる。
【0233】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の半導体装置は、能動(チャネル)領域は、非晶質ケイ素膜に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入し結晶成長させたケイ素膜領域をシードとして、溶融固化過程において成長させた上記第2の結晶化領域は、非常に高品質な結晶性ケイ素膜となっている。
【0234】
本発明の半導体装置における第2の結晶化領域は、非晶質状態から、触媒元素による結晶化領域の結晶性を反映して、溶融固化で結晶成長したものであるので、触媒元素による結晶化領域のミクロ的に良好な結晶成分(柱状結晶成分)を効率的に引き継ぎ、非晶質状態から結晶成長される。したがって、通常の溶融固化による結晶化と同様、その領域には欠陥も非常に少ない。
【0235】
この構成の半導体装置において、キャリアは、この非常に良好な結晶性を有する第2の結晶化領域を用いて主に移動することになり、半導体装置の能動(チャネル)領域の一部をこの第2の結晶化領域で構成することで、今までにない非常に高性能な(特に電流駆動能力の高い)半導体装置を実現できる。
【0236】
本発明では、結晶核ではなく、シード領域として、結晶性が安定した状態の広範囲な結晶化領域を形成することで、後の強光照射による結晶化状態を安定させることが大きなポイントである。さらに、非晶質ケイ素膜を、触媒元素によって、選択的に結晶化して、その第1結晶化領域の結晶性を選択的に反映し、溶融固化で結晶化された第2の結晶化領域を得る。したがって、その溶融固化による第2の結晶化領域の位置を制御することは容易であり、半導体装置の能動(チャネル)領域との位置関係をコントロールできる。よって、この発明によれば、全ての半導体素子において能動(チャネル)領域の結晶性を均一とすることができ、素子間ばらつきの非常に少ない安定した特性の高性能半導体装置を実現できる。
【0237】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっている。この実施形態では、第2の結晶化領域は、線状の第1の結晶化領域から一次元的に結晶成長されることで、その結晶成長方向や結晶成長境界ができ、また、比較的大きな面積の第2の結晶化領域が得られる。また、このときの第1の結晶化領域の幅と第2の結晶化領域との幅をコントロールすることで、半導体装置の特性をコントロールすることも可能である。
【0238】
さらに、また、本実施形態において、溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域の大きさが、最も重要なパラメーターである。この第2の結晶化領域の大きさは、上述のような線状の第1結晶化領域の領域間の幅として、コントロールできる。
【0239】
本実施形態における第2の結晶化領域は、隣接する第1の結晶化領域の結晶性を引き継いで結晶成長されたものでないと意味がない。よって、第2の結晶化領域の線幅(短辺方向の幅)は、隣接する第1の結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下であることが必要である。
【0240】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記線状の第2の結晶化領域は、幅が6μm以下であるから、隣接する第1の結晶化領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる。したがって、その第2の結晶化領域内は、全て、第1の結晶化領域をシードとして溶融固化過程において結晶化された高品質な結晶性ケイ素膜となる。
【0241】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、半導体装置の能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)の延長線に対して、線状の成長境界が少なくとも横切らないように配置されている。これにより、キャリアは、この成長境界をまたぐことなくチャネルを移動することができるから、この成長境界による影響を防ぎ、高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0242】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、半導体装置の能動(チャネル)領域でのキャリアの移動方向(チャネル方向)と、線状の成長境界のその線方向とが、略平行となるように配置されている。これにより、全てのキャリアが、最短距離でチャネル内を移動できるようになり、この成長境界による影響を完全に防ぎ、より高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0243】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域は、少なくとも複数本の線状の第2の結晶化領域を含んでいる。チャネル領域に含まれる線状の第2の結晶化領域の本数は多ければ多いほど良く、電流駆動能力が向上し、素子間での特性ばらつきが低減される。
【0244】
また、他の実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域は、上記触媒元素を1×1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有している。
【0245】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体装置において、上記能動(チャネル)領域が含有している触媒元素は、ニッケルである。
【0246】
この実施形態の半導体装置では、その能動(チャネル)領域を、触媒元素を用いて加熱処理で結晶化された第1の結晶化領域と、それをシード領域として溶融固化過程で結晶成長させた第2の結晶化領域とによって、構成されるものである。したがって、この実施形態によって得られる半導体装置では、その能動領域に触媒元素を幾分か含んでおり、それが、本実施形態の半導体装置を特定化できる根拠となる。本実施形態において利用できる触媒元素の種類としては、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auが挙げられる。これらから選ばれた一種または複数種類の元素であれば、微量で結晶化助長の効果があり、半導体(結晶性ケイ素)中で、比較的不活性な傾向が強く、半導体装置における電気的な悪影響を抑制できる。したがって、この実施形態の半導体装置では、これらの元素の内の何れかが、能動(チャネル)領域にある程度の量だけ含まれている。
【0247】
そして、特に、これらの触媒元素の中でも、とりわけNiを用いた場合に最も顕著な効果が得られることがわかっている。
【0248】
このとき、実際に半導体装置の能動領域中に含まれているニッケル元素の濃度としては、1×1016〜5×1017atoms/cm3であることが望ましい。ニッケルが5×1017atoms/cm3を越えるような量であれば、ニッケルシリサイドとして能動領域(ケイ素膜)中に偏在する領域が多数現れだし、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすようになる。一方、ニッケルが5×1017atoms/cm3以下の量では、ほとんどシリサイドとして析出せず、ケイ素膜中に固溶し、また結晶欠陥に組み込まれているような状態になっている。このような状態では、半導体装置への悪影響は見られていない。逆に、能動領域中の残存ニッケル濃度が1×1016atoms/cm3よりも少ない場合には、シード領域の結晶性が低く、本発明の効果は得られない。
【0249】
また、一実施形態の半導体装置は、複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置である。特に、電流駆動能力が求められる薄膜トランジスタでは、チャネル幅が広いから、本発明を適用するのに適している。すなわち、高い結晶性を有する多数の第2の結晶化領域を、チャネル内に含ませることは容易である。これに対し、低リーク電流が求められ、特に、チャネル幅が小さい薄膜トランジスタにおいては、第2の結晶化領域を用いず、触媒元素によって結晶化された第1の結晶化領域のみで、そのチャネル領域を構成すればよい。このようにそれぞれ異なった特性が求められる薄膜トランジスタを同時形成する場合においては、本発明による効果を使い分け、それぞれの特性に応じた薄膜トランジスタを得ることが有効である。
【0250】
また、他の実施形態の半導体装置は、触媒元素の導入を全く行わずに、チャネル全体が完全にマスクされた状態で非晶質状態のまま残し、直接強光照射による溶融固化過程のみで第3の結晶化領域を結晶化させ、この第3結晶化領域でもって、チャネル領域を形成した。これは、低リーク電流が要求されるチャネル幅が小さい薄膜トランジスタに有効である。低リーク電流が要求されるチャネル幅が小さい薄膜トランジスタに、第2の結晶化領域を適用すると、それぞれの素子において、第2の結晶化領域の数および面積が少しばらつくと、大きな特性差となって現れることになる。したがって、この場合、むしろ、第1の結晶化領域あるいは溶融固化過程のみで結晶化された第3の結晶化領域のみで、そのチャネル領域を構成することが好適である。
【0251】
また、一実施形態の半導体装置は、特に、前述のような同一基板上に全く異なる特性の薄膜トランジスタが多数構成される半導体装置として、画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成する薄膜トランジスタが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置である。このドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置は、液晶表示装置やイメージセンサーなどに一般的に用いられる。このドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置は、特に、それぞれの薄膜トランジスタの目的、特徴が明確であり、この発明を用いてそれぞれの目的に合った薄膜トランジスタを作り分けるのに適している。したがって、前述のような理由から、ドライバー回路を構成する薄膜トランジスタの少なくとも一部(特に高い電流駆動能力が求められるTFT)は、そのチャネル領域が、第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とによって構成される。一方、画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、そのチャネル領域が、触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されている。
【0252】
また、他の実施形態の半導体装置の製造方法は、触媒元素を導入し、加熱処理によって結晶成長させた領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた領域とを用いて、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成している。この強光を照射する第2結晶成長工程において、触媒元素によって結晶化された領域の結晶性を反映して、溶融固化現象によって、横方向に結晶成長が生じている。すなわち、強光照射によって、触媒元素による結晶化領域のミクロ的に良好な結晶成分(柱状結晶成分)を効率的に引き継ぎ、非晶質状態から結晶成長する。これにより、触媒元素による結晶化で得られるミクロ的に良好な結晶状態と、固相成長結晶化法の特徴である結晶状態の基板内での良好な均一性と、強光照射による溶融固化結晶化での低い粒内欠陥密度とを、全て盛り込んだ状態の非常に高品質な結晶性ケイ素膜が形成される。そして、この結晶化領域が、半導体装置の能動(チャネル)領域に確実に含まれるようにアライメントして形成する結果、今までにない非常に高性能(特に電流駆動能力の高い)で、素子間ばらつきの非常に少ない安定した特性を示す半導体装置が得られる。
【0253】
また、他の実施形態の半導体装置の製造方法は、強光照射によって、上記加熱処理によって横方向に結晶成長させた領域から、さらに横方向(基板と平行な方向)へと、上記加熱処理によって横方向に結晶化させた領域の隣接領域を結晶成長させる。その後、この強光照射によって横方向に結晶成長させた領域が含まれるようにして、半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する。
【0254】
すなわち、この実施形態では、非晶質ケイ素膜の一部に選択的に触媒元素を導入し加熱することで、他の部分を非晶質ケイ素膜の状態として残したまま、選択的に触媒元素が導入された領域のみを結晶化し、そして、さらに加熱時間を延長することで、その導入領域から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長を行わせている。この横方向結晶成長領域の内部では、成長方向が略一方向に揃った柱状結晶がひしめき合っており、触媒元素が直接導入されランダムに結晶核の発生が起こった領域に比べて、結晶性がさらに良好な領域となっている。よって、この実施形態において、この横方向結晶成長領域の結晶性ケイ素膜を、強光照射に際のシード領域とすることによって、さらに強光照射による結晶成長領域の結晶性を高めることができ、半導体装置をさらに高性能化できる。
【0255】
また、他の実施形態の半導体装置の製造方法では、非晶質ケイ素膜への選択的な触媒元素の導入は、非晶質ケイ素膜上に、選択的に触媒元素が導入される領域が開口されてなるマスクを形成した後に行われ、そのマスクの平面的な形状は、それぞれが線状であり、かつ、それぞれが並列に並んでいるライン&スペース形状である。この実施形態のように、例えばフォトリソグラフィーによって形成されたマスクを設けることで、そのライン幅およびスペース幅を正確に制御することが可能となり、後に、半導体装置の能動(チャネル)領域に対する位置合わせを精度よく行える。
【0256】
この実施形態では、触媒元素を用いて線状に結晶化した領域によって両側から挟まれるように、線状の非晶質(未結晶化)領域を存在させ、それに強光を照射して、隣接する結晶化領域から、横方向(基板と平行な方向)へと結晶成長させる。すなわち、強光照射によって結晶化される残存非晶質(未結晶化)領域が、触媒元素による結晶化領域によって、線状に挟まれて配置される。このことで、強光照射の際に、上記残存非晶質(未結晶化)領域の両脇の結晶化領域から(すなわち2方向から)、横方向結晶成長が行われる。これにより、隣接する触媒元素によって結晶化された領域の結晶性を効率良く、かつ、広面積にわたって反映することが可能となる。
【0257】
また、このような形状であれば、強光照射による横方向の結晶化の際、その線幅方向あるいは短辺方向に沿った方向での一次元的な結晶成長が行われ、結晶成長が安定すると共に、結晶粒界の制御が行い易くなる。
【0258】
また、このときのマスクの線幅と線状マスク間のスペース幅との設定によって、シード領域(触媒元素によって結晶化された領域)の幅を小さくして、強光照射によってそこから横方向に結晶成長させた領域の面積比を大きくすることが可能である。したがって、強光照射によって触媒元素の結晶化領域の結晶性を反映して形成された高品質な結晶性ケイ素膜を、比較的広面積の領域として得ることができ、半導体装置を高性能化できるだけでなく、その素子領域のレイアウトが容易となる。
【0259】
また、この実施形態で、重要なポイントとなるのは、上記触媒元素による加熱処理での選択的な結晶成長後において、上記選択的に結晶成長した領域に挟まれて、あるいは囲まれて残存している線状の非晶質(未結晶化)領域の幅である。この線幅(短辺方向の幅)は、強光照射において、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下であることが必要である。これによって、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、その領域内が満たされる。
【0260】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記線状のマスクは、そのパターンの線幅(短辺方向の幅)が、6μm以下である。上記線幅が6μm以下であれば、強光照射において、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われ、その領域内は全て、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で満たされる。この線幅の値6μmは、本発明者らが実際に行った実験結果から得られた値である。
【0261】
また、一実施形態では、先述の実施形態での説明と同じ理由によって、上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、上記非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とした。これにより、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、非晶質であった領域内が満たされる。
【0262】
また、他の実施形態では、先述の実施形態での説明と同じ理由によって、上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の線幅(短辺方向の幅)を、6μm以下とした。これにより、強光照射によって触媒元素の結晶化領域をシードとして結晶化された高品質結晶性ケイ素膜で、非晶質であった領域内が満たされる。
【0263】
また、一実施形態では、上記半導体装置の製造方法において、ライン&スペース形状の線状マスクでもって、上記触媒元素を上記非晶質ケイ素膜へ選択的に導入し、このライン&スペース形状の線状マスクは、その線方向が、能動領域において、半導体装置としてのキャリアが流れる方向と、略平行となるように形成する。したがって、強光照射による横方向への結晶成長は、上記ライン&スペース形状の線状マスクのパターンにおいて、その線方向に対して、垂直方向に生じる。
【0264】
したがって、強光照射によって、それぞれ両脇のシードとなる結晶化領域より結晶成長してきた領域(第2結晶化領域)が、その中央部においてぶつかり合い、結晶成長境界が形成される。この成長境界は、全く逆の方向からそれぞれの結晶領域が進行しぶつかり合ったものであり、Si原子の結合が完全に途絶え、半導体装置におけるキャリアに対して、非常に大きなトラップあるいは散乱中心となっている。
【0265】
したがって、本実施形態の製造方法では、触媒元素の導入を行うライン&スペース形状の線状マスクのパターンの線方向に対して、後の能動領域におけるキャリアの流れる方向を、概略平行となるようにした。これによって、キャリアは、この成長境界をまたぐことなくチャネルを移動することができるようになり、この成長境界による悪影響を防ぐことができ、より高い電流駆動力をもつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0266】
また、他の実施形態では、強光照射によって結晶成長させた線状の領域が、少なくとも2本以上、上記半導体装置の能動(チャネル)領域に含まれるように、半導体装置のチャネル幅およびそれぞれの結晶化領域の線幅(短辺方向の幅)を設定した。
【0267】
本実施形態においては、触媒元素による結晶化領域をシードとして強光照射によって形成される高品質な結晶化領域によって半導体装置の高性能化を図る。よって、強光照射による高品質な結晶化領域は、チャネル領域に多く含まれるほど良いが、その面積比がばらつくと特性ばらつきが生じる原因となる。このばらつきは、本実施形態のような配置では、強光照射によって結晶化された線状領域の本数という形でコントロールできる。したがって、半導体素子に要求される電流駆動能力を考慮に入れて、能動(チャネル)領域に含まれる線状の結晶成長領域を、少なくとも2本以上にすることで、特性ばらつきを実用的なレベルに抑えることができ、最低限の特性安定性と半導体装置の高性能化を確保できる。
【0268】
また、一実施形態では、触媒元素による加熱処理での結晶化後も非晶質ケイ素膜領域を残存させ、そこに強光を照射して、結晶成長させる。しかし、上記加熱処理の温度があまりに高いと、非晶質ケイ素膜自体の自然核発生が起こり、結晶成長が始まる。自然発生核は、触媒元素に依存せず、その結晶状態も従来の触媒元素を用いない固相成長によって得られた欠陥の多い双晶構造になる。したがって、本実施形態では、非晶質ケイ素膜に触媒元素を選択的に導入した後、結晶化させるための加熱処理の温度を、非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、進行するような温度とした。
【0269】
また、他の実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記加熱処理は、520℃から580℃の範囲の温度で行なう。
【0270】
具体的に、触媒元素による結晶成長が起こり始める温度としては、520℃程度であり、非晶質ケイ素膜に触媒元素によらない自然核発生が生じる温度は約580℃である。したがって、加熱処理温度としては、520℃から580℃の範囲とすることで、非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、触媒元素による結晶成長のみが進行する。
【0271】
また、一実施形態では、上記強光の強度を、非晶質(未結晶化)領域が完全に溶融する一方、触媒元素によって結晶化された領域が完全に溶融せず、少なくとも元の結晶状態が失われないような範囲の強度に設定する。これにより、強光照射によって、残存非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して十分に結晶成長され、また、結晶化領域において触媒元素によって得られた結晶性が失われることもない。したがって、高性能でばらつきの少ない半導体装置を作製できる。
また、他の実施形態は、上記強光として、波長400nm以下のエキシマレーザー光を用い、ケイ素膜表面に対するエネルギー密度が200〜450mJ/cm2となる範囲内で、強光を照射する。
【0272】
上記強光としては、波長400nm以下のエキシマレーザー光が最も適している。波長400nm以下であれば、ケイ素膜に対する吸収係数が極めて高く、ガラス基板に熱的ダメージを与えることなく、ケイ素膜のみを瞬時に加熱できる。また、エキシマレーザー光は発振出力が大きく、大面積基板を処理するのに適している。その中でも、特に波長308nmのXeClエキシマレーザー光は出力が大きいから、基板照射時のビームサイズを大きくでき、大面積基板に対応し易く、また、出力も比較的安定しており、量産装置に適用する上で最も望ましい。そして、上記レーザー光を用いて、ケイ素膜表面に対して、上記レーザー光の表面エネルギー密度が200〜450mJ/cm2となるようにして、照射工程を行うことが望ましい。ここで、レーザー光の表面エネルギー密度が200mJ/cm2より小さければ、ケイ素膜はほとんど溶融されず、残存非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して十分に結晶成長されない。
【0273】
また、上記表面エネルギー密度が、450mJ/cm2よりも大きければ、結晶化領域において触媒元素によって得られた結晶性が完全に失われ、すなわち、リセットされてしまう。こうなると、全面的に従来のレーザー結晶化で得られる結晶性ケイ素膜と同等になってしまい、性能が低下するだけでなく、本来レーザー結晶化が有している不均一性の問題点が発生する。すなわち、この実施形態でのエネルギー密度範囲は、上述の非晶質領域が結晶化領域の結晶性を反映して結晶化されると共に、結晶化領域の元の結晶性が失われないような範囲に相当する。
【0274】
また、一実施形態は、上記半導体装置の製造方法において、上記非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた少なくとも一つの元素を用いる。この実施形態で選ばれた一種または複数種類の元素であれば、微量で結晶化助長の効果があるが、それらの中でも、特にNiを用いた場合に最も顕著な効果を得ることができる。
【0275】
また、他の実施形態では、強光照射によって、触媒元素によって選択的に結晶成長させた領域から横方向へと結晶成長させ、次に、半導体装置の能動(チャネル)領域となる以外のケイ素膜の領域に、5族Bから選ばれた元素を導入し、第2の加熱処理を行う工程を追加した。この方法は、非常に有効であって、結晶成長に使われ、主に、成長境界に残存する触媒元素は、上記5族Bから選ばれた元素が導入された領域に移動し、結果として、半導体装置の能動(チャネル)領域中の触媒元素量を大きく低減できる。この方法は、半導体特性に対して悪影響が大きいシリサイド状態の触媒元素に対して、特に有効である。そして、5族B元素を導入され、触媒元素が集められた領域を除去して、最終的な半導体素子領域を形成すれば、基板上には触媒元素の高濃度領域は全く残らない。
【0276】
また、一実施形態は、上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、As、Sb、Biのうちから選ばれた少なくとも一つの元素が用いられる。これらから選ばれた一種または複数種類の元素であれば、上記触媒元素を効率的に移動させることができ、十分な効果が得られる。これらの元素の中でも、最も効果が高いのはPであることがわかっている。
【0277】
このように、この発明を用いることによって、非常に高性能で、ばらつきの少ない安定した特性の半導体素子を実現でき、さらに、集積度の高い高性能半導体装置が、簡便な製造プロセスにて得られる。また、その製造工程において良品率を大きく向上でき、商品の低コスト化を図れる。特に、液晶表示装置においては、アクティブマトリクス基板に要求される画素スイッチングTFTのスイッチング特性の向上、周辺駆動回路部を構成するTFTに要求される高性能化、高集積化を同時に満足し、同一基板上にアクティブマトリクス部と周辺駆動回路部を構成するドライバモノリシック型アクティブマトリクス基板を実現でき、モジュールのコンパクト化、高性能化、低コスト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)〜(C)は、この発明の第1の実施形態の作製工程を順に示す平面図である。
【図2】 図2(A)〜(D)は、第1の実施形態の作製工程(前半)を順に示す断面図である。
【図3】 図3(D)〜(G)は、第1の実施形態の作製工程(後半)を順に示す断面図である。
【図4】 図4(A)、(B)は、第2実施形態のドライバー回路部の作製工程(前半)を順に示す平面図である。
【図5】 図5(C)、(D)は、第2実施形態のドライバー回路部の作製工程(前半)を順に示す平面図である。
【図6】 図6(A)〜(E)は、上記第2実施形態の画素部の作製工程を順に示す平面図である。
【図7】 図7(A)〜(F)は、上記第2実施形態の作製工程(前半)を順に示す断面図である。
【図8】 図8(D)〜(G)は、上記第2実施形態の作製工程(後半I)を順に示す断面図である。
【図9】 図9(H)〜(J)は、上記第2実施形態の作製工程(後半II)を順に示す断面図である。
【図10】 図10(A)、(B)は、第3実施形態のドライバー回路部の作製工程を順に示す平面図である。
【図11】 図11(C)、(D)は、第3実施形態のドライバー回路部の作製工程を順に示す平面図である。
【図12】 図12(A)〜(E)は、第3実施形態の画素部の作製工程を順に示す平面図である。
【図13】 図13(A)〜(E)は、第3実施形態の作製工程(前半)を順に示す断面図である。
【図14】 図14(E)〜(G)は、第3実施形態の作製工程(後半I)を順に示す断面図である。
【図15】 図15(H)〜(J)は、第3実施形態の作製工程(後半II)を順に示す断面図である。
【図16】 図16(A)および(B)は、この発明におけるラマンシフト波数および電界効果移動度が残存非晶質領域の幅によって変化する様子を示す特性図である。
【符号の説明】
101,201,301…ガラス基板、102,202,302…下地膜、
103,203,303…非晶質ケイ素膜、
103a,203a,303a…結晶性ケイ素膜、
104,204,304…ニッケル導入マスク、
105,205,305…ニッケル、
306…ニッケルによる結晶成長方向、
107,207,307…レーザー光、
108,208,308…レーザー光照射による結晶成長方向、
209…リン導入マスク、210…リン、
211,311…ニッケルのゲッタリング方向、
112,212,312…TFT活性領域(素子領域)、
113,213,313…ゲート絶縁膜、
114,214,314…ゲート電極、
115,215…陽極酸化層、
216,316…リン用のレジストマスク、
117,217,317…リン、
218,318…ホウ素用のレジストマスク、
219,319…ホウ素、120,220,320…チャネル領域、
121,221,321…ソース領域、
122,222,322…ドレイン領域、
123,223,323…層間絶縁膜、
124,224,324…電極配線、
225,325…ソース電極、
226,326…画素電極、
127,227,327…N型TFT、
228,328…P型TFT、
229…画素TFT、130…チャネル方向(キャリアの移動方向)。

Claims (26)

  1. 絶縁表面を有する基板上に形成された結晶性を有するケイ素膜を能動領域として構成される半導体装置において、
    上記能動領域は、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、上記第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とからなる結晶性ケイ素膜によって構成され
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、
    上記線状の第2の結晶化領域の幅は、6μm以下であることを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置において、
    上記能動領域は、少なくとも複数本の線状の第2の結晶化領域を含んでいることを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項1乃至のいずれか1つに記載の半導体装置において、
    上記能動領域は、上記触媒元素を1×1016〜5×1017atoms/cm3の濃度で含有していることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項に記載の半導体装置において、
    上記能動領域が含有している触媒元素は、ニッケルであることを特徴とする半導体装置。
  6. 絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素膜を能動領域とする複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置において、
    上記複数の薄膜トランジスタは、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動領域を有する第1種の薄膜トランジスタと、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を導入してから、加熱処理によって固相成長により結晶化された第1の結晶化領域のみによって構成されている能動領域を有する第2種の薄膜トランジスタとを含んでおり、
    上記第1種の薄膜トランジスタは、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
  7. 絶縁表面を有する基板上に、画素電極をスイッチングする画素電極スイッチング用薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成するドライバー回路用薄膜トランジスタとが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置において、
    上記ドライバー回路用薄膜トランジスタの少なくとも一つは、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動領域を有し、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されており、
    上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を導入してから、加熱処理によって固相成長により結晶化された第1の結晶化領域のみによって構成されている能動領域を有していることを特徴とする半導体装置。
  8. 絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素膜を能動領域とする複数の薄膜トランジスタを有する半導体装置において、
    上記複数の薄膜トランジスタは、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動領域を有する第1種の薄膜トランジスタと、
    触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を強光照射による溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されてなる能動領域を有する第3種の薄膜トランジスタとを含んでおり、
    上記第1種の薄膜トランジスタは、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
  9. 絶縁表面を有する基板上に、画素電極をスイッチングする画素電極スイッチング用薄膜トランジスタと、上記画素電極スイッチング用薄膜トランジスタを駆動するドライバー回路を構成するドライバー回路用薄膜トランジスタが設けられたドライバーモノリシック型のアクティブマトリクス半導体装置において、
    上記ドライバー回路用薄膜トランジスタの少なくとも一つは、
    非晶質ケイ素膜に、その非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入してから、加熱処理によって固相成長により選択的に結晶化され結晶成長された第1の結晶化領域と、この第1の結晶化領域をシードとして、強光照射による溶融固化過程において結晶成長させた第2の結晶化領域とによって構成された能動領域を有し、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置されており、
    上記画素電極スイッチング用の薄膜トランジスタは、
    触媒元素を用いることなく、非晶質ケイ素膜を強光照射による溶融固化過程のみによって結晶化させた第3の結晶化領域によって構成されてなる能動領域を有していることを特徴とする半導体装置。
  10. 絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜の一部に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入する触媒元素導入工程と、
    加熱処理を施し、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を、固相成長により選択的に結晶成長させる第1結晶成長工程と、
    強光を照射し、上記選択的に結晶成長させた領域から上記基板と平行な横方向へと、上記選択的に結晶化させた領域の隣接領域を溶融固化過程において結晶成長させる第2結晶成長工程と、
    上記触媒元素を導入し加熱処理によって結晶成長させた第1の結晶化領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた第2の結晶化領域とを用いて、半導体装置の能動領域を形成する能動領域形成工程とを少なくとも有し、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜の一部に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入する触媒元素導入工程と、
    加熱処理を施し、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を固相成長により選択的に結晶成長させ、さらにその領域から上記基板と平行な横方向へと、その周辺領域を結晶成長させる第1結晶成長工程と、
    強光を照射し、上記加熱処理によって横方向に結晶成長させた領域から、さらに上記横方向へと、上記加熱処理によって横方向に結晶化させた領域の隣接領域を溶融固化過程において結晶成長させる第2結晶成長工程と、
    上記触媒元素を導入し、加熱処理によって結晶成長させた第1の結晶化領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた第2の結晶化領域とを用いて、半導体装置の能動領域を形成する能動領域形成工程とを少なくとも有し、
    上記能動領域内に上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合い、ストライプ状になっており、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部に、結晶成長境界が、第2の結晶化領域が線状に延在している方向と略平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、配置され、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 請求項10または11に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記非晶質ケイ素膜への選択的な触媒元素の導入は、
    非晶質ケイ素膜上に、選択的に触媒元素が導入される領域が開口されてなるマスクを形成した後に行われ、
    上記マスクの平面的な形状は、所定間隔を隔てて並列に並んでいる複数の線状の形状であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 請求項10または12に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記触媒元素導入工程で、線状のマスクを用いて、上記触媒元素を上記非晶質ケイ素膜に選択的に導入し、
    上記第1結晶成長工程で、加熱処理によって、上記マスクに覆われていない領域の非晶質ケイ素膜を結晶化する一方、上記マスクに覆われた領域は非晶質状態のままとし、
    上記第2結晶成長工程で、強光を照射して、上記マスクに覆われた非晶質領域を結晶化するに際し、
    上記マスクのパターンの短辺方向の幅を、上記マスクに覆われていた非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記線状のマスクは、そのパターンの短辺方向の幅が、6μm以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項11または12に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記触媒元素導入工程で、上記非晶質ケイ素膜上に設けられた線状のマスクを用いて、上記非晶質ケイ素膜に上記触媒元素を選択的に導入し、
    上記第1結晶成長工程で、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を、加熱処理によって、選択的に結晶成長させ、さらにその領域から基板と平行な横方向へとマスク下の周辺領域を結晶成長させ、このマスク下の領域で、非晶質領域が一部残存した状態で、上記結晶成長を停止させ、
    上記第2結晶成長工程で、強光を照射して、上記残存した非晶質領域を結晶化させるに際し、
    上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の短辺方向の線幅を、上記非晶質領域が、隣接する上記触媒元素による結晶成長領域の結晶性を引き継いで、結晶成長が行われる最大幅以下とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. 請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記加熱処理で横方向に結晶成長した領域に挟まれて存在する線状の非晶質領域の短辺方向の線幅を、6μm以下とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  17. 請求項10乃至16のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    所定間隔を隔てた複数の線状マスクでもって、上記触媒元素を上記非晶質ケイ素膜へ選択的に導入し、
    この所定間隔を隔てた複数の線状マスクは、その線方向が、能動領域において、半導体装置としてのキャリアが流れる方向と、略平行となるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  18. 請求項10乃至17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    上記触媒元素を導入し加熱処理によって結晶成長させた領域と、強光照射によってその領域をシードとして横方向に結晶成長させた領域とを用いて、半導体装置の能動領域を形成する能動領域形成工程において、
    それぞれの結晶化領域は、所定間隔を隔てた複数の線状に隣接しており、強光照射によって結晶成長させた線状の領域が、少なくとも2本以上、上記半導体装置の能動領域に含まれるように、半導体装置のチャネル幅およびそれぞれの結晶化領域の短辺方向の線幅を設定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  19. 請求項10乃至18のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    上記第1結晶成長工程における加熱処理の温度を、
    非晶質ケイ素膜自体による結晶核の自然発生が起こらず、触媒元素による結晶核のみが発生し、触媒元素による結晶成長のみが進行するような温度に設定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  20. 請求項19に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記加熱処理は、520℃から580℃の範囲の温度で行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  21. 請求項10乃至18のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    上記第2結晶成長工程における強光の強度を、
    非晶質領域は完全に溶融する一方、触媒元素によって結晶化された領域は完全に溶融せず、少なくとも元の結晶状態が失われないような範囲の強度に設定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  22. 請求項21に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記第2結晶成長工程で、
    強光として、波長400nm以下のエキシマレーザー光を用い、ケイ素膜表面に対するエネルギー密度が200〜450mJ/cm2となる範囲内で、強光を照射することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  23. 請求項10乃至22のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    上記非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する触媒元素として、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auから選ばれた少なくとも一つの元素を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  24. 請求項10乃至23のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
    上記第2結晶成長工程の後に、
    少なくとも、後に半導体装置の能動領域となる以外のケイ素膜の領域に、5族Bから選ばれた元素を導入する5族B元素導入工程と、
    第2の加熱処理を行い、上記5族Bから選ばれた元素が導入された領域に、上記触媒元素を移動させ、半導体装置の能動領域中の触媒元素量を低減する触媒元素低減工程とを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  25. 請求項24に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記5族Bから選ばれた元素として、P、N、As、Sb、Biのうちから選ばれた少なくとも一つの元素が用いられることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  26. 絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質ケイ素膜の一部に、その結晶化を促進する触媒元素を選択的に導入する触媒元素導入工程と、
    加熱処理を施し、上記触媒元素が選択的に導入された領域の非晶質ケイ素膜を、固相成 長により選択的に結晶成長させる第1結晶成長工程と、
    強光を照射し、上記選択的に結晶成長させた領域から上記基板と平行な横方向へと、上記選択的に結晶化させた領域の隣接領域を溶融固化過程において結晶成長させる第2結晶成長工程と、
    上記触媒元素を導入し加熱処理によって結晶成長させた第1の結晶化領域と、強光照射によって横方向に結晶成長させた第2の結晶化領域とを用いて、第1種の薄膜トランジスタの能動領域を形成し、第2種の薄膜トランジスタの能動領域を上記第1の結晶化領域のみで形成する能動領域形成工程とを有し、
    上記第1種の薄膜トランジスタの能動領域内に、上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域の両方が含まれ、
    上記第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とは、平面的に見てそれぞれが略線状であり、上記線状の第1の結晶化領域と第2の結晶化領域とが隣接し合うストライプ状であり、
    上記線状の第2の結晶化領域の中央部には、結晶成長境界が上記第2の結晶化領域の延在方向と平行に線状に存在しており、
    上記線状の結晶成長境界は、能動領域でのキャリアの移動方向に延びる線分に対して少なくとも横切らないように、かつ、上記能動領域でのキャリアの移動方向と、上記線状の結晶成長境界の線状延在方向とが、略平行になるように配置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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