JP2002348257A - 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分割法 - Google Patents

3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分割法

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JP2002348257A
JP2002348257A JP2001155020A JP2001155020A JP2002348257A JP 2002348257 A JP2002348257 A JP 2002348257A JP 2001155020 A JP2001155020 A JP 2001155020A JP 2001155020 A JP2001155020 A JP 2001155020A JP 2002348257 A JP2002348257 A JP 2002348257A
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trifluoro
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Eiji Sato
栄治 佐藤
Hideyuki Inaba
秀之 稲葉
Kunihiko Sakano
邦彦 坂野
Ryuichi Endo
隆一 遠藤
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性医薬品や光学活性農薬などの有効な
中間体原料である光学活性3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の工業的に有
利な製造方法を提供する。 【解決手段】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオン酸をジアステレオマー塩形
成溶媒に溶解した溶液に任意の量の光学活性アミンを添
加し、ジアステレオマー塩を形成させ、析出するジアス
テレオマー塩を回収分離することにより、3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸を光学分割する方法、およびジアステレオマー塩とエ
ーテル系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒を接触
させることにより効率よくジアステレオマー塩を精製す
る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬、農薬等の原料
あるいは中間体として非常に有用な化合物である3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸の光学分割法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸誘導体はZh.Or
g.Khim.,23, 1441-7(1987)、J.Chem.Soc.,2329-32(195
1)等に広く合成法が知られている。
【0003】一方、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸のジステレオマー塩
生成による光学分割方法としては、同じくJ.Chem.Soc.,
2329-32(1951)およびJ. Med. Chem., 39,4592-601(199
6)が知られている。
【0004】J.Chem.Soc.,2329-32(1951)に記載の方法
は、分割剤にブルシンを使用し、その収率は5%程度と
低く、収率、分割効率の点で実用上満足されるものでは
ない。また、J.Med.Chem.,39,4592-601(1996)に記載の
方法はα−メチルベンジルアミンを用いている。さら
に、WO9714672には同手法により6回再結晶を繰り返
し、光学分割を実施している。これらの方法は収率15%
程度で光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオン酸を得ているが、高価な分
割剤を当量以上使用する上に、完全なラセミ体3,3,
3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オン酸をエタノール溶媒中で全量ジアステレオマー塩に
変換させた後、濃縮回収し、さらに再結晶を繰り返すと
いう煩雑な方法である。再結晶に用いられている溶媒も
n-ブタノール/トルエン混合系で、回収、臭気等の問題
が考えられる。また、アルコール系溶媒の場合、条件に
よっては3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸と反応し、エステルが生成する
可能性も示唆される。
【0005】以上のようにこれら公知の方法では、効率
および操作の面で実用上満足されるものではなく、光学
活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオン酸の工業的に有用な製造方法が望まれ
ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
活性医薬品や光学活性農薬などの有効な中間体原料であ
る光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロピオン酸の工業的に有利な製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは光学活性
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオン酸の工業的な製造法について鋭意研究を重
ねた結果、驚くべきことに、3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸溶液に任意
の量の光学活性アミンを添加し、ジアステレオマー塩を
形成させ、析出する塩を回収分離することにより、効率
よく3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオン酸を光学分割できること、およびジア
ステレオマー塩とエーテル系溶媒を接触させることでジ
アステレオマー塩を効率よく精製できることを見出し、
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、3,3,3−トリフ
ルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸をジ
アステレオマー塩形成溶媒に溶解した溶液に、下記式
(I)
【0009】
【化2】 (Rは水素原子または置換基を表し、*は不斉炭素を表
す。)で示される光学活性なアミンを添加し、ジアステ
レオマー塩を形成させ、析出するジアステレオマー塩を
回収分離することを特徴とする3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分
割法である。
【0010】本発明の第2の発明は、3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を
ジアステレオマー塩形成溶媒に溶解した溶液に、前記式
(I)で示される光学活性なアミンを添加し、ジアステ
レオマー塩を形成させ、析出するジアステレオマー塩を
分離後、母液から光学活性3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸またはジアス
テレオマー塩を得ることを特徴とする3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の
光学分割法である。
【0011】本発明の第3の発明は、3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸と
式(I)で示される光学活性なアミンとのジアステレオ
マー塩をエーテル系溶媒と接触させることを特徴とする
ジアステレオマー塩の精製方法である。
【0012】
【発明の実施形態】以下、本発明を詳細に説明する。本
発明の原料となる3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオン酸は基本的にはラセミ体
を使用するが、R体またはS体のいずれかに偏りがあっ
ても構わない。前記式(I)で示される光学活性なアミ
ンは光学純度が高いことが望ましいが、特に制限はな
く、R体またはS体のいずれであっても構わない。その
光学純度は80%ee以上のものが好ましく、90%ee以上の
ものがさらに好ましい。
【0013】前記式(I)で示される光学活性なアミン
のRは水素原子または置換基を表し、3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸と
ジアステレオマー塩を形成し、本発明の目的に適うもの
であれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素
数1〜3の置換または非置換のアルキル基、ハロゲン原
子、カルバモイル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアル
コキシ基、カルボキシル基、シアノ基、チオール基また
はニトロ基等が例示される。また、その結合位置はo-
位、m-位またはp-位のいずれであっても構わない。好ま
しくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エ
チル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基である。前
記式(I)で示される光学活性なアミンの具体例として
は、α-メチルベンジルアミン、2-メトキシ-α-メチル
ベンジルアミン、3-メトキシ-α-メチルベンジルアミ
ン、4-メトキシ-α-メチルベンジルアミン、2-クロロ-
α-メチルベンジルアミン、3-クロロ-α-メチルベンジ
ルアミン、4-クロロ-α-メチルベンジルアミンが挙げら
れる。
【0014】本発明において、3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸と前記式
(I)で示される光学活性なアミンとのジアステレオマ
ー塩形成は後述する溶媒に3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を溶解させた
後、光学活性なアミンを適宜加えることで達成される。
その溶媒、条件等に特に制限はなく、目的とする光学純
度により、その条件で析出(不溶化)してくるジアステ
レオマー塩の回収率等を勘案して適宜決定すれば良い。
用いられるジアステレオマー塩形成溶媒としては3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸あるいは前記式(I)で示される光学活性な
アミンと反応するもの以外であれば特に制限はなく、例
えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂
肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水
素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン系溶媒、その他、水、アセトニトリル、N,N−
ジメチルホルムアミド等を適宜使用できる。また、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、イソブタノール、t-ブチルアルコー
ル、t-アミルアルコール等のアルコール系溶媒も3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸と反応しない条件下では使用可能である。こ
れら溶媒は単独で用いても、また複数を混合して用いて
もよい。これらの溶媒は3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、前記式(I)
で示される光学活性なアミンおよび両者から形成された
ジアステレオマー塩のそれぞれあるいは混合系での溶解
度によって適宜選択すれば良い。その中でもジイソプロ
ピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル等の
エーテル系溶媒およびこれらエーテル系溶媒に前記溶媒
を加えた混合溶媒、即ちエーテル系溶媒を主成分とする
混合溶媒が特に好ましい。これらエーテル系溶媒は3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸および前記式(I)で示される光学活性なア
ミンの良溶媒(可溶化溶媒)となるが、両者混合後、即
ちジアステレオマー塩形成後は溶解度が低下し、取り扱
い上の利点のみならず、効率良くジアステレオマー塩の
回収が可能である。
【0015】これら溶媒への3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の溶解は採
用する温度における3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸またはその後形成さ
れるジアステレオマー塩の溶解度および光学活性アミン
添加後の状態等を総合的に考慮し、適宜決定すれば良
く、特に制限はないが、通常、使用する溶媒の凝固点〜
沸点温度範囲で、その濃度としては0.1〜70質量%の範
囲が好ましい。溶解度を越え、スラリー状態でも構わな
いが、本発明の主旨から言えば、ジステレオマー塩形成
後には3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸単独の形ではすべて溶解している
状態であることが好ましい。
【0016】3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオン酸溶液への光学活性なアミン
の添加は一度に所定量加えても、徐々に滴下する形をと
っても構わない。また、前記のような適当な溶媒に溶解
させたものを添加しても良い。一般に数時間かけて徐々
に滴下した場合の方が効率的に光学分割できる傾向にあ
る。滴下時間はアミンの添加量により左右されるが、通
常0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。また、ア
ミン添加終了後はしばらく撹拌を継続することで効率的
に光学分割できる傾向にある。アミンの添加に伴い塩が
析出(不溶化)してくるが、連続的に塩を除去しながら
実施することも可能である。アミンの添加により中和に
よる発熱があるが、必要に応じて適宜除熱を実施すれば
よい。
【0017】さらに、アミンの添加量は、使用する溶媒
等の条件およびその条件でのジアステレオマー塩の溶解
度等を考慮し決定すれば良く、特に制限はないが、効率
的に本発明の目的を達する上で、好ましくは3,3,3
−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
ン酸に対して1当量未満である。1当量未満の使用で、
経済的に有利に作用するとともに、当量以上の効率で光
学分割が達成される。また、アミンの添加量の下限につ
いても本発明の目的が達成されれば、特に制限はない
が、効率的に目的を達する上で、好ましくは3,3,3
−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
ン酸に対して0.2当量以上である。さらに好ましくは、
0.4当量以上である。
【0018】以上のようにしてジアステレオマー塩を形
成した後は、通常の再結晶操作に準ずる操作でジアステ
レオマー塩またはジアステレオマー塩形成母液を回収す
ることが可能である。即ち、濾過等により、固液分離す
ればよい。
【0019】さらに、通常の再結晶操作のように濃縮お
よび/または冷却させることで析出(不溶化)してくる
ジアステレオマー塩の回収率を向上させることできる。
ジアステレオマー塩に対して貧溶媒を加えることも有効
である。さらに、ジアステレオマー塩の析出を円滑且つ
効率的に行うために結晶種を播種することも有効であ
る。
【0020】固液分離により得られたジアステレオマー
塩およびジアステレオマー塩形成母液はそれぞれ絶対配
置の異なる光学活性な3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を含む画分として
光学分割が達成される。
【0021】続いて、ジアステレオマー塩の効率的な精
製方法について詳述する。本発明によって精製できるジ
アステレオマー塩は3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸と前記式(I)で示
される光学活性なアミンとで形成されたものであれば特
に制限はなく、前述の方法により得られたものであって
も、別途公知な方法により得られたものであっても構わ
ない。
【0022】本発明のジアステレオマー塩の精製法はこ
のようなジアステレオマー塩にエーテル系溶媒またはこ
れを主成分とする混合溶媒を接触させることで達成され
る。
【0023】本発明においてジアステレオマー塩とエー
テル系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒との接触
とは前記エーテル系溶媒またはこれを主成分とする混合
溶媒中にジアステレオマー塩の紛体を懸濁またはリンス
することである。その状態を適宜維持し、再び固液分離
すればよい。その操作により、光学純度の向上したジア
ステレオマー塩を回収することができる。その条件等に
特に制限はなく、目的とする光学純度、精製に供するジ
アステレオマー塩の光学純度、ジアステレオマー塩の溶
媒への溶解度等とを勘案して適宜決定すれば良い。
【0024】本発明においてジアステレオマー塩とエー
テル系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒とを接触
させるときの温度は、通常、使用する溶媒の凝固点〜沸
点温度範囲で、その(スラリー)濃度としては使用する
溶媒への溶解度以上でかつ0.5〜70質量%の範囲が好ま
しい。本発明においてジアステレオマー塩とエーテル系
溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒とを接触させる
時間は温度、濃度等の諸条件により適宜決定されるもの
であるが、通常、0.5〜20時間で行われる。接触処理後
の回収は濾過等の公知な方法により、固液分離すればよ
い。
【0025】さらに、接触処理後、通常の再結晶操作の
ように濃縮及び/または冷却させることでジアステレオ
マー塩の回収率を向上させることできる。接触処理液と
しての得られる溶媒中の溶解したジアステレオマー塩は
溶液としてリサイクルが可能である。また、濃縮または
アルカリ洗浄等の方法による回収、リサイクルも可能で
ある。
【0026】本発明による精製方法を複数回同様に繰り
返すことにより、さらに高純度な光学活性体を得ること
が可能である。このようにして得られたジアステレオマ
ー塩は公知な方法、例えば酸またはアルカリで解塩し、
光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸を得ることができる。
【0027】
【実施例】次に代表的な実施例を挙げて本発明を更に詳
細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら
制限するものではない。
【0028】実施例1 ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸10.0g(63.2mmol)をジイソプ
ロピルエーテル50gに溶解させ、室温にてこれに(S)-α-
メチルベンジルアミンを表1に示す量をゆっくり(2〜9
時間)かけて滴下した。析出したジアステレオマー塩を
濾別回収し、その量および3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学純度を
測定した。また、ろ液を10%硫酸食塩飽和溶液10mlで洗
浄後、濃縮し、その量および光学純度を測定した。以上
の結果を表1にまとめた。尚、3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学純
度の分析はジアステレオマー塩も同様に10%HClメタノ
ールでメチルエステル化して、ガスクロマトグラフィー
(カラム;CP-Chirasil DEX CB 0.25mm X25M ,クロムパ
ック社製)により測定した。表1中の分割効率とは光学
純度(%ee)に収率を乗じた値である。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸10.0g(63.2mmol)をメチルタ
ーシャリーブチルエーテル(MTBE)50gあるいは40gまた
はMTBEに10質量%のトルエンを含む混合溶媒に溶解さ
せ、室温にてこれに(S)-α-メチルベンジルアミンを表
2に示す量をゆっくり(5〜9時間)かけて滴下した。滴
下後3時間撹拌を継続し、5℃で一晩放置した。析出し
たジアステレオマー塩を濾別回収し、その量および3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸の光学純度を測定した。分析等は実施例1と
同様である。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸2.0g(12.7mmol)を表3に示す
溶媒に沸点近傍で溶解させ、 (S)-α-メチルベンジルア
ミン1.53g(12.6mmol)を滴下した。室温または氷中に
てジアステレオマー塩を析出させた。ジアステレオマー
塩を濾過により回収し、その量および3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の
光学純度を測定した。分析等は実施例1と同様である。
結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】実施例4 実施例1の0.7当量のアミンで得られたジアステレオマ
ー塩11.66g(40%ee)のうち、10.0gをジイソプロピル
エーテル50gに懸濁させ、40℃にて3時間撹拌した。これ
を室温まで冷却後、濾過により固液分離し、ジアステレ
オマー塩8.9gを回収した。実施例1と同様分析したとこ
ろ、その3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の光学純度はS体47%eeであっ
た。
【0035】実施例5 実施例2で得られたジアステレオマー塩7.0g(光学純度
50%ee)をメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)
50gに懸濁させ、40℃にて3時間撹拌した。これを室温ま
で冷却後、濾過により固液分離し、ジアステレオマー塩
4.1gを回収した。実施例1と同様分析したところ、その
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオン酸の光学純度はS体72%eeであった。
【0036】実施例6 ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸30.0g(189.8mmol)をメチルタ
ーシャリーブチルエーテル(MTBE)120gに溶解させ、室
温にてこれに(S)-α-メチルベンジルアミンをゆっくり2
1.8g(179.9mmol)を5時間かけて滴下した。滴下後3時
間撹拌を継続し、5℃で一晩放置した。析出したジアス
テレオマー塩を濾別回収し31.3gを得た。実施例1と同
様分析したところ、その3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学純度はS
体40%eeであった。このジアステレオマー塩に120gのMT
BEを加え、50℃にて5時間撹拌後、これを5℃で一晩放
置した。濾過によりジアステレオマー塩を回収しとこ
ろ、S体60%eeのジアステレオマー塩24.8gが回収でき
た。同じくこのジアステレオマー塩を120gのMTBEを加
え、同様に処理したところ、S体73%eeのジアステレオ
マー塩18.6gが回収できた。さらにもう一度120gのMTBE
で同様に処理したところ、S体85%eeのジアステレオマ
ー塩15.3gが回収できた。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法により、医薬品や農薬など
の有効な中間体原料である3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分割お
よび精製が簡便な手法で可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 隆一 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 三 菱レイヨン株式会社化成品開発研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC83 AD30 BB15 BC37 BM10 BM71 BN10 BS10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸をジアステレオマー塩形
    成溶媒に溶解した溶液に、下記式(I) 【化1】 (Rは水素原子または置換基を表し、*は不斉炭素を表
    す。)で示される光学活性なアミンを添加し、ジアステ
    レオマー塩を形成させ、析出するジアステレオマー塩を
    回収分離することを特徴とする3,3,3−トリフルオ
    ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分
    割法。
  2. 【請求項2】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸をジアステレオマー塩形
    成溶媒に溶解した溶液に、前記式(I)で示される光学
    活性なアミンを添加し、ジアステレオマー塩を形成さ
    せ、析出するジアステレオマー塩を分離後、母液から光
    学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2
    −メチルプロピオン酸またはジアステレオマー塩を得る
    ことを特徴とする3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
    ロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分割法。
  3. 【請求項3】 ジアステレオマー塩形成溶媒が、エーテ
    ル系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒である請求
    項1または2記載の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
    ドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学分割法。
  4. 【請求項4】 光学活性なアミンを1当量未満用いる請
    求項1乃至3いずれか1項記載の3,3,3−トリフル
    オロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の光学
    分割法。
  5. 【請求項5】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸と前記式(I)で示され
    る光学活性なアミンとのジアステレオマー塩をエーテル
    系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒と接触させる
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の
    3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオン酸の光学分割法。
  6. 【請求項6】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸と前記式(I)で示され
    る光学活性なアミンとのジアステレオマー塩をエーテル
    系溶媒またはこれを主成分とする混合溶媒と接触させる
    ことを特徴とする3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
    ロキシ−2−メチルプロピオン酸と光学活性なアミンと
    のジアステレオマー塩の精製方法。
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