JP2002345637A - 炊飯器用内鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導加熱により均一に加熱できると共に、米
飯をすくう場合にも妨げとなることのない構造とする。 【解決手段】 有底筒状に形成され、その下方の内外周
２箇所に配設したコイル３により誘導加熱される炊飯器
用内鍋１を、少なくとも、底面部には、コイル３との非
対向部分に、コイル３への通電に伴い発生する磁力線の
影響を抑える逃がし凹部５，６を形成してなる構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱式の炊飯
器に採用される炊飯器用内鍋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、誘導加熱式の炊飯器に採用される
内鍋では、炊飯時の対流を促進することにより炊きむら
を抑制するための構成が種々採用されている。

【０００３】例えば、特開平9-140570号公報や特開平9-
140564号公報には、内鍋の底面部に複数の凹凸を形成し
たものが開示されている。また、特許第3102363号公報
には、内鍋の中央部にドーム形状の湾曲突出部を形成し
たものが開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
複数の凹凸を有するだけの構成では、内鍋の内面での部
分的な対流が促進されても、全体から見れば、それ程効
果的な加熱状態を得ることはできない。また、誘導加熱
時、逆に凸部での加熱が弱められることになり、必ずし
も適切な加熱状態を得る構成であるとは言えない。

【０００５】また、後者のドーム形状の湾曲突出部を有
する構成では、その突出形状のために米飯をすくいにく
いという問題がある。また、中央部のみの突出であるの
で、対流パターンがシンプルで、均一な加熱状態を得る
には不十分である。

【０００６】そこで、本発明は、誘導加熱による均一加
熱を可能とすると共に、米飯をすくう場合にも妨げとな
ることのない構造を備えた炊飯器用内鍋を提供すること
を課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、有底筒状に形成され、その下
方の内外周２箇所に配設したコイルにより誘導加熱され
る炊飯器用内鍋において、少なくとも、底面部には、コ
イルとの非対向部分に、コイルへの通電に伴い発生する
磁力線の影響を抑える逃がし凹部を形成したものであ
る。

【０００８】この構成により、コイルの対向部分と非対
向部分とで、底面部に於ける渦電流の発生領域すなわち
発熱領域を明確にすることができる。したがって、内部
に適切な対流を発生させ、均一な加熱を行わせることが
可能となる。

【０００９】前記逃がし凹部を形成することによる内側
への突出寸法は、コイルへの通電に伴い発生する磁力線
の影響を抑制可能な必要最小限の値とすると、炊き上が
った米飯をすくう場合であっても、その妨げとならない
点で好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施形態を添
付図面に従って説明する。

【００１１】図１は、本実施形態に係る炊飯器用の内鍋
１を示す。この内鍋１は、その下方に位置する保護枠２
に取り付けたコイル３によって誘導加熱される。コイル
３は、内外周２箇所に離間させた状態で巻回される。こ
れは、内鍋１の誘導加熱する範囲を、コイル３の内周側
巻回部４ａと外周側巻回部４ｂにそれぞれ対向する内外
周の２箇所に分離させることにより、加熱状態を変化さ
せ、対流を促進させるためである。

【００１２】ところで、前記内鍋１は、熱伝導層と発熱
層を銅等の中間金属層で接合一体化してなる板状体を、
深絞り加工により有底筒状とした構成をしている。本実
施形態では、直径約２００ｍｍの筒状に形成されてい
る。熱伝導層は、アルミ合金等の熱伝導率の高い材料か
らなり、内鍋１の内面に位置する。発熱層は、ステンレ
ス等の強磁性材料からなり、内鍋１の外面に位置する。

【００１３】内鍋１には、深絞り加工の際、同時に、底
面部の中央及びその外周の２箇所に逃がし凹部５，６が
それぞれ形成される。

【００１４】逃がし凹部５は、図１（ｂ）に示すよう
に、コイル３の内周側巻回部４ａの対向位置から、その
内側の非対向位置にかけて、コイル３から離間するよう
に、下方に向かって湾曲し、次いで上方に向かって湾曲
する湾曲面５ａ，５ｂを備え、湾曲面５ｂから内側には
平坦面５ｃを有している。つまり、湾曲面５ａ，５ｂに
よって磁界の影響を抑制しつつ、平坦面５ｃによって内
鍋１の内側での米飯のすくいやすさを確保する。本実施
形態では、湾曲面５ａの曲率半径が約１５ｍｍ、湾曲面
５ｂの曲率半径が約１６．５ｍｍ、両湾曲面５ａ，５ｂ
の段差が約２ｍｍとなっている。

【００１５】逃がし凹部６は環状で、図１（ｃ）に示す
ように、コイル３から離間するように形成された湾曲面
６ａ，６ｂ，６ｃを有する。逃がし凹部６は、コイル３
の内周側巻回部４ａと外周側巻回部４ｂとの間の領域の
対向部分に形成されている。逃がし凹部６は、内鍋の底
面外周部に位置するので、湾曲面６ａ，６ｃが米飯のす
くいやすさを確保し、又、湾曲面６ａ，６ｂ，６ｃ、主
に湾曲面６ｂがコイル３の内周側巻回部４ａ及び外周側
巻回部４ｂの双方からの磁界の影響を抑制するように作
用する。本実施形態では、湾曲面６ａ，６ｃの曲率半径
が約１４ｍｍ、湾曲面６ｂの曲率半径が約１７ｍｍ、湾
曲面６ａ，６ｃと湾曲面６ｂの段差が約３．５ｍｍとな
っている。

【００１６】次に、前記構成の内鍋１による炊飯時の加
熱状態について説明する。

【００１７】すなわち、コイル３に通電すると、図１
中、ループ状の矢印ａで示すように、その周囲に磁界が
発生する。この磁界の影響すなわち磁界の強さは、コイ
ル３から離間するにつれて急激に小さくなる。したがっ
て、内鍋１は、コイル３との対向部分で発熱するが、若
干離れた非対向部分では、そこに形成された逃がし凹部
５，６によって離間寸法が拡大されているので、発熱量
は大幅に抑制される。このため、内鍋１の底面では、コ
イル３の対向部分と非対向部分とで大幅に発熱量が相違
する。この結果、内鍋１の内部では、図１中、矢印ｂで
示すように、外周側では内面に沿った上方への流れが、
内周側では、逃がし凹部５，６の間での円弧状の流れが
それぞれ発生し、良好な対流状態が得られる。したがっ
て、均一でむらのない加熱が可能となり、米飯をおいし
く炊き上げることができる。

【００１８】なお、前記実施形態では、内鍋１の底面中
央部及びその外周部の２箇所にのみ逃がし凹部５，６を
形成するようにしたが、さらに外周部、すなわち、コイ
ル３の外周側巻回部４ｂのさらに外周領域との対向部分
（図１中Ａで示す。）に形成するようにしてもよい。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、コイルの非対向部分に、コイルへの通電に伴
い発生する磁力線の影響を抑える逃がし凹部を形成した
ので、発熱領域をコイルの対向領域に集中させて良好な
炊飯状態を得ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 （ａ）は本実施形態に係る炊飯器用内鍋及び
コイルの全体断面図、（ｂ），（ｃ）はその逃がし凹部
の拡大断面図である。

【符号の説明】

１…内鍋 ２…保護枠 ３…コイル ４ａ，４ｂ…内周側巻回部，外周側巻回部 ５，６…逃がし凹部 ５ａ，５ｃ，６ａ，６ｂ，６ｃ…湾曲面 ５ｂ…平坦面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福嶋 正巳 大阪府大阪市北区天満１丁目20番５号 象 印マホービン株式会社内 Ｆターム(参考） 4B055 AA03 AA09 BA37 BA63 CA02 CA04 CB03 CB16

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有底筒状に形成され、その下方の内外周
   ２箇所に配設したコイルにより誘導加熱される炊飯器用
   内鍋において、 少なくとも、底面部には、コイルとの非対向部分に、コ
   イルへの通電に伴い発生する磁力線の影響を抑える逃が
   し凹部を形成したことを特徴とする炊飯器用内鍋。
2. 【請求項２】 前記逃がし凹部を形成することによる内
   側への突出寸法は、コイルへの通電に伴い発生する磁力
   線の影響を抑制可能な必要最小限の値としたことを特徴
   とする請求項１に記載の炊飯器用内鍋。