JP2002339666A - 電磁シールドドア - Google Patents

電磁シールドドア

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドア下端部における電磁シールド機能を十分
に確保した上で、ドアハンドルの操作やドア開閉時の操
作を軽くすること。 【解決手段】 電磁シールド式のドアにおいて、ドア本
体1の下部にドア本体1の旋回軌跡に沿って転動する複
数の導電性ローラ11を縦列配置し、この導電性ローラ
11を、バネ9で支持された支持ボックス内に軸支し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒンジ部を中心に
旋回し、ドアが閉じられた際に当該ドア部における電磁
シールド性を確保する機能を有する電磁シールドドアに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁シールド室等の実験室のみな
らず、オフィスビルの事務室や会議室においても、コン
ピュータ等から放出される電磁波による盗聴を防止し、
また、ワイヤレスマイクやテレメータの混信を防止して
割当周波数の有効利用を図る等の目的から、電磁シール
ド機能を有するドアへの必要性が高まっている。一般
に、このような電磁シールド構造は、ドア開口枠の戸当
り部分に導電性フィラーを配置することで、閉扉時にフ
ィラーが鉄製など金属製ドア本体の周囲に密着すること
により実現されている。
【0003】しかし、開口枠の底面に戸当りがなく単な
る沓摺部によって区画された構造形式のドアの場合に
は、底面部分を完全に電磁シールド出来ない。このため
に従来は、ドアハンドルと連動するシールドシャッタを
ドア部の底部に取付け、ハンドルを操作してシールドシ
ャッタを駆動することによりシールドシャッタを沓摺部
に接触させる構造などが採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにシールドシ
ャッタをハンドルにより駆動する構成では、電磁シール
ド機能は達成できるものの、ドアハンドルの操作が重く
なり、使用感が悪いという問題があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、その目的は、ドア下端部における電磁シールド機
能を十分に確保した上で、ドアハンドルの操作やドア開
閉時の操作を軽くできるようにした電磁シールドドアを
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、ヒンジ部を中心に旋回し、
ドアが閉じられた際に当該ドア部における電磁シールド
性を確保し得る電磁シールドドアであって、ドアの旋回
軌跡に沿って転動する導電性ローラを当該ドアの下部に
設けたことを特徴とする。本発明によれば、閉扉時には
導電性ローラがドアの下部とドア枠または沓摺間の隙間
に配置され、レバー操作等を必要とすることなく、ドア
下部における電磁シールド効果が得られる。また、開扉
時にはローラが転動しながらドアを開けることができる
ため、軽い操作感を得ることが出来る。
【0007】また、請求項2記載に記載された発明は、
請求項1記載の電磁シールドドアにおいて、前記導電性
ローラを複数に分割して一列に設けたことを特徴とす
る。請求項2記載の発明によれば、導電性ローラを複数
に分割することにより、ドア開閉時においてヒンジ部を
中心とするドア各部の速度差に起因する各導電性ローラ
内での回転速度差が小さくなり、ドアの開閉を円滑に行
うことができる。
【0008】また請求項3に記載された発明は、請求項
1または2記載の電磁シールドドアにおいて、前記導電
性ローラを上下に弾性変形可能な弾性部材を介して前記
ドアの下部に支持したことを特徴とする。請求項3記載
の発明によれば、閉扉時に導電性ローラが弾性部材によ
りドア枠または沓摺に対して押圧されるので電磁シール
ド性が向上する。また、床面の凹凸や沓摺部と床面の段
差などに応じて導電性ローラが上下に弾性的に変位でき
るため、円滑な開閉操作が可能となる。
【0009】また、請求項4に記載された発明は、請求
項3記載の電磁シールドドアにおいて、ドア本体の下面
に溝部を形成し、下向きに開口した支持ボックスを前記
溝部に遊嵌して該支持ボックスを前記弾性部材により支
持すると共に、前記支持ボックス内に前記導電性ローラ
を設けたことを特徴とする。請求項4記載の発明によれ
ば、溝内に予め導電性ローラをアッセンブリした支持ボ
ックスを配置するだけでこの部位の電磁シールド性を得
ることが出来るため、加工が簡単である。
【0010】また、請求項5に記載された発明では、請
求項4記載の電磁シールドドアにおいて、前記溝と前記
支持ボックスとの間の隙間を電磁的に遮蔽する手段を設
けたことにより、この部位における電磁波の遮蔽効果を
更に向上させることができる。
【0011】また、請求項6に記載された発明では、請
求項4または5記載の電磁シールドドアにおいて、前記
溝と前記支持ボックスとの間の隙間を電磁的に遮蔽する
手段を設けたことにより、この部位における電磁波の遮
蔽効果を更に向上させることができる。
【0012】また、請求項7に記載された発明は、請求
項1乃至6のうち何れか1項記載の電磁シールドドアに
おいて、前記導電性ローラを複数列設け、隣接する列の
導電性ローラが互いに係合するように構成したことを特
徴とする。請求項7記載の発明によれば、導電性ローラ
が複数列設けられることにより、支持ボックスと導電性
ローラとの隙間に沿ったドア内外の距離が増大するの
で、隙間を伝わる電磁波に対する減衰効果を更に向上さ
せることができる。
【0013】また、請求項8に記載された発明は、請求
項2記載の電磁シールドドアにおいて、前記各導電性ロ
ーラがドアの旋回中心側で小径となり、外側で大径とな
る円錐台形状に形成されていることを特徴とする。請求
項8記載の発明によれば、各導電性ローラが、各導電性
ローラ内での速度差に応じた形状となり、ドア開閉をよ
り円滑に行うことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】図1〜図3は本発明に係る電磁シールドド
アを示す。各図において、1はドア枠2の一側部に一対
のドアヒンジ3を介して開閉可能な金属製のドア本体、
4はドアノブ、5は閉扉時にドア本体1の底部に位置す
る沓摺部である。
【0016】ドア枠2のドア本体1に対する戸当り部6
には、導電性フィラー(図1のハッチングで示す部分)
が充填配置され、閉扉時において、導電性フィラーが下
部を除くドア本体1の周囲三周に密着し、電磁シールド
する。
【0017】また、ドア本体1の底部にはその長手方向
に沿って断面凹形の溝7が形成され、この溝7の内部に
は底面開口した長方形の支持ボックス8が遊嵌されてい
る。支持ボックス8は、溝7との間に介在された複数の
バネ9により溝7の内部に浮遊状態に吊下支持されてい
る。支持ボックス8の内側中央には、その長手方向に沿
って支軸10が配置され、その両端は支持ボックス8の
両側エンドプレート8aに固定されている。図3に示さ
れるように、支軸10には複数の導電性ローラ11が一
列に軸支されている。各導電性ローラ11は、導電性材
料からなる円筒状部材であり、その中心が前記支軸10
に対して回転可能に軸受支持されている。
【0018】以上の構成によれば、閉扉時に各導電性ロ
ーラ10が沓摺部5の上面に列をなして配置され、バネ
9のバネ圧により沓摺部5に密着することにより、前記
導電性フィラーと共同してドア本体1の周囲に対する電
磁シールド性を確保する。なお、好ましくは、導電性ロ
ーラ11の構成材料として、導電性ゴム等の弾性体を用
いることにより、ローラ表面や沓摺部5に凹凸が存在し
た場合にも、導電性ローラ11がその凹凸に応じて変形
して密着状態を維持することができ、沓摺部5と接触す
る幅が大きくなって電磁シールド効果を向上させること
ができる。
【0019】また、開扉時には、ドア本体1の底部で沓
摺部5および床面上を導電性ローラ11が転動しながら
開扉されることで、開閉操作時における軽い操作を可能
としている。また、沓摺部5および床面との間に多少の
段差を生じた場合であっても、バネ9の伸縮により、そ
の段差に対応するとともに、床面における多少の凹凸な
どによっても開閉が妨げられることはない。
【0020】次に図4は前記第一実施形態における第一
の変形例を示す。図4において、導電性ローラ11の上
部にはこれに接して転動する第二の導電性ローラ12が
支軸13を介して配置されている。また、支持ボックス
8の上部の両側角部と溝7の両側との間には導電性ベロ
ーズ14で連結されている。
【0021】本例では、導電性ベローズ14により、支
持ボックス8と溝7との隙間が完全遮断されるととも
に、ローラ11が付加されることにより支持ボックス8
内におけるローラとの間の隙間に沿ったドア内外間の距
離が増大し、その結果、隙間を通過しようとする電磁波
の減衰は更に大きくなって、電磁シールド効果の向上が
図られる。
【0022】図5は、前記第一実施形態における第二の
変形例を示すものである。図5において支持ボックス8
の上部の両側角部と溝7の両側との間は、前記第1の変
形例と同様に、導電性のベローズ14で連結されている
とともに、支持ボックス8の内側上部には導電性の布か
らなるシールドカーテン15が垂下され、導電性ローラ
10の周面に摺接している。
【0023】このシールドカーテン15はローラ10の
回転方向により、右または左に移動しつつ、ローラ10
に対する摺接状態を保つ。本例では、第一の変形例と同
じく、導電性ベローズ14による支持ボックス8と溝7
との隙間を閉塞する効果に加え、シールドカーテン15
により支持ボックス8とローラ10との隙間が遮断さ
れ、更なる電磁シールド効果の向上が図られている。
【0024】図6は、前記第一実施形態における第三の
変形例を示すものである。図6において、隣合う導電性
ローラ11の間には導電性のフェルト16が介在されて
いる。この導電性フェルト16は、前記支軸10に各ロ
ーラ11と交互に挿通されるものである。本例では、ド
ア本体の開閉時における旋回に伴う各ローラ11の軸方
向移動による隙間の発生を防止し、同じく電磁シールド
効果の向上を図っている。
【0025】図7(a),(b)は前記ベローズ13に
換わる遮蔽手段を示す。先ず(a)は導電性を有するガ
スケット17を溝7の内側壁に固定し、膨出端部を支持
ボックス8の側面に弾性的に当接したものである。また
(b)は導電性ゴムからなるローラ18を支軸19を介
して溝7の内側壁に配置し、ローラ18を支持ボックス
8の側面に転動可能に接触させたものである。いずれの
例においても、前記ベローズ13と同様な電磁シールド
効果を得るほか、組立が簡単である。なお、図7では上
記図1乃至図3に示す基本形状にガスケット17または
ローラ18を付加した構成を示しているが、上記各変形
例に第一〜第三の変形例にガスケット17またはローラ
18を付加する構成としてもよい。
【0026】図8および図9は第二実施形態を示す。図
8および図9において、各導電性ローラ20は円錐台形
状をなしている。この導電性ローラ20は、ヒンジ3を
基点とするドア本体1の内外の速度差に応じてヒンジ3
側を径小とし、外側を径大とすることで転動時における
回転の均一化を図っている。これにより、ドアの開閉を
より円滑に行うことが可能となる。
【0027】なお、本実施形態においては、各ローラ2
0はその周面を床または沓摺部5に接触させた状態で転
動するため、その中心軸(図中一点差線で示す)は床ま
たは沓摺部5に対し斜めとなる。したがって、支持ボッ
クス8の内側に各ローラ20毎に仕切り壁などを設け、
この仕切り壁にそれぞれの中心軸を軸止することで、こ
れらの支持構造を具現化できる。
【0028】ところで、上記第1実施形態の各変形例で
は、シールドカーテン等により、ローラとドアとの間の
隙間を遮断する構成としたが、そのような隙間遮断手段
を設けない場合について、電磁シールド部において生ず
る隙間が電磁シールド性へ与える影響について検討す
る。
【0029】一般に、電磁波は、空間では電界と磁界が
直交して伝播するが、電界成分が垂直方向となる偏波の
電磁波が、ドア沓摺部の水平方向の隙間に入射すると、
隙間の長さを1/2波長とする周波数で共振し、この周
波数の電磁波に対する遮蔽性能が低下する。そこで、ド
ア下部に取付ける導電性ローラの分割数を多くし、支持
間隔を狭めて、図3、図8に破線で示すように仕切りを
入れ、遮断しようとする電磁波の波長の1/2よりも十
分に小さくなるようにすれば、上記実施形態のシールド
カーテンのように、全面を遮蔽しなくとも、目的とする
周波数帯域で良好な電磁シールド性能を得ることが可能
である。
【0030】以上の前提に基づき、ローラに代えて直方
体のブロックを用いてモデル実験を行った。このモデル
実験では、ブロックとドア下部のボックスとの隙間を3
mm、ブロックの幅(ローラの直径に相当)を25mm、ブ
ロックの長さ(ローラの長さに相当)を30mmとして、
その減衰効果を確認したところ、3000MHzまで3
0dB程度の性能が得られることを確認した。
【0031】同様にして遮蔽周波数帯域を1000MH
zとすると波長は30cmであるから、ローラの幅15cm
以下にすればよく、また遮蔽周波数帯域を3000MH
zとすると波長は10cmであるから、ローラの幅を5cm
以下にすれば良いことになり、以下目的とする遮蔽周波
数帯域に応じてローラの幅を設定すれば良い。
【0032】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による電磁シールドドアによれば、ドア下端部におけ
る電磁シールド機能を十分に確保した上で、ドアハンド
ルの操作やドア開閉時の操作を軽くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による電磁シールドドア
の全体構造を示す斜視図である。
【図2】図1のA部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】図2のB−B線における横断面図である。
【図4】第一実施形態における第一の変形例を示す部分
拡大断面図である。
【図5】同第二の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図6】同第三の変形例を示す説明図である。
【図7】(a),(b)は溝と支持ボックス間の隙間を
遮蔽するための他の遮蔽手段を示す部分断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態による電磁シールドドア
の要部を示す側断面図である。
【図9】同開閉状態を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 ドア本体 2 ドア枠 3 ヒンジ 7 溝 8 支持ボックス 9 バネ 10 支軸 11,20 導電性ローラ 12 第二の導電性ローラ 14,17,18 15 シールドカーテン

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒンジ部を中心に旋回し、ドアが閉じら
    れた際に当該ドア部における電磁シールド性を確保し得
    る電磁シールドドアであって、ドアの旋回軌跡に沿って
    転動する導電性ローラを当該ドアの下部に設けたことを
    特徴とする電磁シールドドア。
  2. 【請求項2】 前記導電性ローラを複数に分割して一列
    に設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁シールド
    ドア。
  3. 【請求項3】 前記導電性ローラを上下に弾性変形可能
    な弾性部材を介して前記ドアの下部に支持したことを特
    徴とする請求項1または2記載の電磁シールドドア。
  4. 【請求項4】 ドア本体の下面に溝部を形成し、下向き
    に開口した支持ボックスを前記溝部に遊嵌して該支持ボ
    ックスを前記弾性部材により支持すると共に、前記支持
    ボックス内に前記導電性ローラを設けたことを特徴とす
    る請求項3記載の電磁シールドドア。
  5. 【請求項5】 前記導電性ローラと前記支持ボックスと
    の隙間を電磁的に遮蔽する手段を設けたことを特徴とす
    る請求項4記載の電磁シールドドア。
  6. 【請求項6】 前記溝と支持ボックスとの間の隙間を電
    磁的に遮蔽する手段を設けたことを特徴とする請求項4
    または5記載の電磁シールドドア。
  7. 【請求項7】 前記導電性ローラを複数列設け、隣接す
    る列の導電性ローラが互いに係合するように構成したこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1項記載の
    電磁シールドドア。
  8. 【請求項8】 前記各導電性ローラがドアの旋回中心側
    で小径となり、外側で大径となる円錐台形状に形成され
    ていることを特徴とする請求項2記載の電磁シールドド
    ア。
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