JP2002338469A - Vdac機能阻害剤 - Google Patents

Vdac機能阻害剤

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JP2002338469A
JP2002338469A JP2001144819A JP2001144819A JP2002338469A JP 2002338469 A JP2002338469 A JP 2002338469A JP 2001144819 A JP2001144819 A JP 2001144819A JP 2001144819 A JP2001144819 A JP 2001144819A JP 2002338469 A JP2002338469 A JP 2002338469A
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Yasuyuki Igarashi
靖之 五十嵐
Masayuki Jinbo
雅之 神保
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アミノアルコール誘導体を有効成分とするV
DACの機能阻害剤を提供する。 【解決手段】 式(I)で示されるアミノアルコール誘
導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含
有する、電位依存性陰イオンチャネルの機能阻害剤。 【化1】 式(I) 式中、Rは置換基を有することもあるアリール基若し
くはシクロアルキル基、アルキル基、又はアルケニル基
を表し、Rは水素原子又はアシル基を表し、R はア
シル基、アルキル基、アラルキルオキシカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル
基、ヒドロキシアルキルカルボニル基、又はカルボキシ
アルキルカルボニル基を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノアルコール
誘導体及びそれを含有する薬剤、特に電位依存性陰イオ
ンチャネルの機能阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】電位依存性陰イオンチャネル(voltage-
dependent anion channel;「VDAC」ともいう)
は、ミトコンドリア外膜に存在するチャネルタンパク質
であり、ミトコンドリアと細胞質間のATPや呼吸基質
などの物質輸送を行っていることが知られている。また
VDACは、ミトコンドリア膜電位の消失やチトクロー
ムC等の放出にも関与していると考えられている(細胞
工学 Vol.18, No.12, p1765-1772, 1999)。またアポト
ーシスにおいてミトコンドリアが重要な役割を果たして
いることが示唆されており、実際、アポトーシスに先行
してミトコンドリア膜電位が低下したり、チトクローム
Cなどのミトコンドリアタンパク質が細胞質に放出され
る現象が観察されている。(細胞工学 Vol.18, No.12,
p1765-1772, 1999)。
【0003】これらのことから、VDACの機能を阻害
することによりアポトーシスを防止することができると
考えられる。一方、糖脂質生合成促進作用を有する種々
のアミノアルコール誘導体が知られている。このような
公知のアミノアルコール誘導体の一例としてL−スレオ
−1−フェニル−2−デカノイルアミノ−3−モルホリ
ノ−1−プロパノール((1S,2S)−1−フェニル
−2−デカノイルアミノ−3−モルホリノ1−プロパノ
ール)(以下、単に「L−スレオ−PDMP」という)
を挙げることができ、神経疾患治療剤、抗ウイルス剤、
抗腫瘍剤、ガン転移抑制剤等としての用途が知られてい
る(PCT国際公開WO95/05177、同WO95
/34530、特開平9−216856、特開平10−
324671、特開平10−338636等)。
【0004】しかし、このようなアミノアルコール誘導
体がVDACの機能を阻害する作用を有することは知ら
れていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、L−スレオ
−PDMPやその誘導体をはじめとするアミノアルコー
ル誘導体を有効成分とするVDACの機能阻害剤を提供
することを目的とする。また本発明は、このようなアミ
ノアルコール誘導体を用いて、精製されたVDAC画分
の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、L−スレ
オ−PDMPやこの誘導体をはじめとするアミノアルコ
ール誘導体が、(1)VDACと結合性を有すること、お
よび(2)VDACの機能を阻害する作用(ミトコンドリ
ア膜電位の低下を抑制する作用、チトクロームCの放出
を抑制する作用)を有することを見出し、これを薬剤や
製造方法に応用することにより本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、式(I)で示されるア
ミノアルコール誘導体又はその薬学的に許容される塩を
有効成分として含有する、VDACの機能阻害剤(以
下、「本発明阻害剤」ともいう)を提供する。
【0008】
【化3】 式(I)
【0009】上記式中、Rは置換基を有することもあ
るアリール基若しくはシクロアルキル基、アルキル基、
又はアルケニル基を表し、Rは水素原子又はアシル基
を表し、Rはアシル基、アルキル基、アラルキルオキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニル
オキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルカルボニル
基、又はカルボキシアルキルカルボニル基を表す。また
本発明は、このようなVDACの機能阻害剤からなる、
ミトコンドリアからのチトクロームCの放出抑制剤(以
下、「本発明抑制剤」ともいう)を提供する。以下、本
発明阻害剤と本発明抑制剤をまとめて「本発明の剤」と
もいう。さらに本発明は、以下の工程を少なくとも含
む、精製されたVDAC画分の製造方法(以下、本発明
製造方法ともいう)をも提供する。工程1:VDACを
含有する液相と、前記式(I)で示されるアミノアルコ
ール誘導体が固着した固相とを接触させ、VDACを当
該固相に結合させる工程。工程2:固相に固着したVD
ACを固相から解離させ、固相と分離する工程。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。 <1>アミノアルコール誘導体又はその薬学的に許容さ
れる塩 本発明において用いることができるアミノアルコール誘
導体は、下記式(I)で示される化合物である。
【0011】
【化4】 式(I)
【0012】上記式中、Rは置換基を有することもあ
るアリール基若しくはシクロアルキル基、アルキル基、
又はアルケニル基を表し、Rは水素原子又はアシル基
を表し、Rはアシル基、アルキル基、アラルキルオキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニル
オキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルカルボニル
基、又はカルボキシアルキルカルボニル基を表す。式
(I)で示されるアミノアルコール誘導体には、以下の
ような光学対掌体が存在する。カッコ内はRS表記であ
る。 L−スレオ体 (1S,2S) L−エリトロ体(1R,2S) D−エリトロ体(1S,2R) D−スレオ体 (1R,2R) また本明細書中で、「DL−スレオ体」とはL−スレオ
体とD−スレオ体の混合物を、「DL−エリトロ体」と
はL−エリトロ体とD−エリトロ体との混合物を意味す
る。
【0013】これらの光学対掌体の中でも、本発明にお
いてはL−スレオ体、DL−スレオ体、L−エリトロ体
およびDL−エリトロ体を用いることが好ましい。
【0014】またRはアリール基であるものが好まし
く、なかでもアルキル、アルコキシ、ヒドロキシおよび
ニトロからなる群から選ばれる同一又は異なる1〜3個
の置換基で置換されていてもよいフェニル基であるもの
がより好ましい。
【0015】またRはアシル基であるものが好まし
く、なかでも炭素数10〜16のアシル基であるものが
より好ましい。またRは水素原子であるものが好まし
い。このようなアミノアルコール誘導体の中でも、下記
のアミノアルコール誘導体が好ましい。 L−スレオ−1−フェニル−2−デカノイルアミノ−3
−モルホリノ−1−プロパノール(L−スレオ−PDM
P) L−スレオ−1−フェニル−2−テトラデカノイルアミ
ノ−3−モルホリノ−1−プロパノール(以下、単に
「L−スレオ−PMMP」という) L−スレオ−1−フェニル−2−ヘキサデカノイルアミ
ノ−3−モルホリノ−1−プロパノール(以下、単に
「L−スレオ−PPMP」という) これらの中でも、特にL−スレオ−PPMPおよびL−
スレオ−PMMPが好ましい。
【0016】このようなアミノアルコール誘導体は、例
えば出発物質として下記式(II)で示される化合物(2
−アミノ−3−モルホリノ−1−フェニル−1−プロパ
ノール)を用いて、公知の方法(例えば、特開平9−2
16856号公報等)で製造することができる。また、
L−スレオ体、DL−スレオ体、L−エリトロ体、又は
DL−エリトロ体等、所望の光学対掌体を得るために
は、下記式(II)で示される化合物のこれに対応する光
学対掌体を用いれば良い。
【0017】
【化5】 式(II)
【0018】(式中、*は不斉炭素を示す)
【0019】例えば、式(I)中のR及び/又はR
が所望の基であるアミノアルコール誘導体は、J. Lipid
Research 28, p565〜571(1987)、J. Biochem. 111,
p191-196(1992)、WO95/34530号国際公開パ
ンフレット、特開平9−216856号公報、特開平1
0−324671号公報、特開平10−338636号
公報等に記載の方法で製造することができる。
【0020】式(I)中のRがカルボニル基を有する
所望の基である誘導体は、式(II)で示される化合物の
アミノ基と、置換基Rに対応するカルボン酸又はその
反応性誘導体とを酸アミド結合させることによって製造
することができる。酸アミド結合生成反応は自体既知の
方法により行うことができ、特に限定されない。
【0021】Rに対応するカルボン酸誘導体に、反応
性の高い官能基が含まれる場合は、この官能基をあらか
じめ適当な保護基で保護し、所望の酸アミド結合生成反
応を行った後、脱保護させてもよい。また、脱保護によ
り得られた反応性官能基(例えばアミノ基、カルボキシ
ル基)に対して自体既知の方法である酸アミド結合生成
反応又はエステル化反応を繰り返すことによって、さら
に修飾を重ねてもよい。
【0022】酸アミド結合生成方法としては、上記R
に対応するカルボン酸と縮合剤を用いる方法、酸無水物
を用いる方法、酸ハロゲン化物を用いる方法等が例示さ
れる。具体的には、式(II)で示されるアミノアルコー
ル誘導体又はその酸付加塩(例、塩酸塩)を水、塩化メ
チレン、ピリジン、エタノール等の溶媒中、上記カルボ
ン酸と縮合剤[例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(DCC)や水溶性カルボジイミド(WSC)、より具体
的には1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド塩酸塩(EDC)]と必要に応じてN-ヒドロキシ
スクシンイミド等の活性化剤を用いて反応させる方法、
酸無水物又は酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物)と塩
基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機塩
基、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基)を用いて反
応させる方法等が例示される。なお、反応の際に使用す
る溶媒は、酸アミド結合生成反応を阻害せず、上記アミ
ノアルコール誘導体およびカルボン酸誘導体を溶解する
ものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】酸アミド結合生成反応は、通常約0〜50
℃、好ましくは室温下(5〜35℃(JIS K005
0))、数時間〜数日間、好ましくは10時間〜2日間
行われるが、反応条件は当業者であれば予備実験によっ
て適宜に設定することができる。
【0024】酸アミド結合生成反応の後、酢酸エチル、
クロロホルム等による溶媒抽出、各種クロマトグラフィ
ー(吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラ
フィー等)、結晶化等の自体既知の精製手段を適宜に組
み合わせて式(I)で示されるアミノアルコール誘導体
を精製・単離することができる。
【0025】本発明化合物の出発物質である式(II)の
化合物の製造方法としては、特開平9−216856号
公報に記載されているような公知の方法を適宜採用する
ことができる。具体的には次に例示するように、式(II
I)で表されるキラル化合物を出発物質として使用し、
下記工程の反応式に従い順次反応させることにより所望
の立体配置を有する化合物として得られる。
【0026】
【化6】
【0027】(工程式中、*は不斉炭素を表し、P1
アミノ基の保護基であり、例えばベンジルオキシカルボ
ニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンゼンスルホニ
ル基、フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙げられ
る。Yはメタンスルホニル、トリハロゲノメタンスルホ
ニル、P−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、
P−ブロモベンゼンスルホニル基等の脱離基を表す)
【0028】このように、式(III)で示されるアミノ
アルコール誘導体の1級水酸基のみに脱離基(Y)を導
入して式(IV)で示される化合物とした後、該化合物に
モルホリンを反応させて式(V)で示されるアミノアル
コール誘導体となし、該化合物よりP1を脱離させるこ
とにより、式(II)で示されるキラルなアミノアルコー
ル誘導体を得ることができる。
【0029】このようにして得られた式(II)の化合物
を前記の反応に付すことにより、式(I)で示されるア
ミノアルコール誘導体において,Rがフェニル基、R
が水素原子かつRがカルボニル基を有する基である
化合物が得られる。
【0030】また本発明においては、式(I)で示され
るアミノアルコール誘導体の薬学的に許容される塩を用
いることもできる。アミノアルコール誘導体の薬学的に
許容される塩としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、
硝酸等の無機酸塩、ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、リン
ゴ酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、ト
リフルオロ酢酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、P−
トルエンスルホン酸(トシル酸)等の有機酸塩を挙げる
ことができる。このような塩の製造は、それ自体既知の
方法によって行うことができる。例えば式(I)で示さ
れる化合物(遊離型)をアルコール等の適宜な溶媒に溶
解し、等モル程度の上記の酸を添加して反応させ、所望
により溶媒を留去することにより製造することができ
る。上記のようなアミノアルコール誘導体又はその薬学
的に許容される塩は、優れたVDAC機能阻害作用およ
びミトコンドリアからのチトクロームCの放出抑制作用
を有することから、これを用いることにより、優れた作
用を有する本発明の剤とすることができる。
【0031】<2>本発明の剤 本発明の剤は、式(I)で示されるアミノアルコール誘
導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含
有するVDACの機能阻害剤(本発明阻害剤)、および
本発明阻害剤からなるミトコンドリアからのチトクロー
ムCの放出抑制剤(本発明抑制剤)である。
【0032】本明細書における「VDACの機能」と
は、「ミトコンドリア膜電位を消失(低下)させる機能
や、チトクロームC等を放出させる機能をはじめとした
VDACが有する諸機能」を意味する。したがって、本
明細書において「VDACの機能阻害剤」とは、これら
の機能を阻害(抑制)する剤を意味するものである。
【0033】本発明阻害剤はVDACの機能の阻害が求
められている細胞や組織等に、本発明抑制剤はミトコン
ドリアからのチトクロームCの放出抑制が望まれている
細胞や組織等に、それぞれ適用することができる。
【0034】これらの細胞や組織への本発明の剤の適用
方法は、本発明阻害剤によるVDAC機能の阻害作用、
又は本発明抑制剤によるミトコンドリアからのチトクロ
ームCの放出抑制作用が発揮される限りにおいて特に限
定されず、本発明の剤の具体的用途等に応じて適宜選択
することができる。例えば、細胞や組織等の実験用試薬
として用いる場合には、培養液等に本発明の剤を添加し
てこれを用いて細胞や組織等を培養してもよいし、細胞
や組織等に本発明抑制剤を直接添加してもよい。
【0035】また、医薬として用いる場合には、例えば
注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、点
眼、経鼻、経口、経皮、経直腸、経肺、吸入等の方法に
より投与することができる。このような投与方法に応じ
て、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤
等)、点眼剤、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散
剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、パスタ
剤、ペッサリー、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、ス
プレー剤、吸入散剤等として製剤化することができる。
【0036】本発明の剤の製剤化には公知の方法を用い
ることができる。また製剤化にあたり、アミノアルコー
ル誘導体又はその薬学的に許容される塩に悪影響を与え
ず、かつ本発明阻害剤や本発明抑制剤の効果に影響を与
えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定
化剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、等張化剤、保存
剤、無痛化剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊
剤、矯味剤等、通常医薬に用いられる成分を使用でき
る。
【0037】本発明の剤を医薬として用いる場合、その
有効成分であるアミノアルコール誘導体又はその薬学的
に許容される塩は、高純度に精製され、医薬として混入
が許されない物質を実質的に含まないものが好ましい。
【0038】また本発明の剤中のアミノアルコール誘導
体又はその薬学的に許容される塩の含量も特に限定され
ず、後述の投与量等に応じて適宜設定することができ
る。なお本明細書中で「医薬」とは、医療に用いられる
薬品を意味する。従って、医療に用いられる薬品である
限りにおいては、名称の如何にかかわらず、ここでいう
「医薬」に包含される。
【0039】<3>本発明の剤を医療用途に用いる場合
の投与対象等 本発明の剤が投与される動物は、脊椎動物、特に哺乳動
物が好ましく、とりわけヒトが好ましい。本発明阻害剤
および本発明抑制剤は、それぞれ、これらの動物におけ
るVDAC機能の阻害を目的とした医薬およびミトコン
ドリアからのチトクロームC放出の抑制を目的とした医
薬として投与することができる。このような阻害ないし
抑制を目的とする限りにおいて適用可能な症状や疾患等
は限定されず、例えばVDAC機能の促進及び/又はミ
トコンドリアからのチトクロームC放出の増加が一因と
なる症状や疾患等が例示される。例えばアポトーシス
は、前記の通りVDAC機能やミトコンドリアからのチ
トクロームC放出がその一因となっていると考えられる
ことから、本発明の剤はアポトーシスの阻害・抑制や、
アポトーシスに起因する疾患等の処置に好ましく適用さ
れる。アポトーシスに起因する疾患としては、例えば、
急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎炎、糸球
体硬化症、狼瘡等に分類される糸球体腎炎;腎芽細胞
腫;中毒や虚血による尿細管障害;エイズ(AID
S)、免疫抑制剤や抗ガン剤の投与による胸腺細胞の障
害、末梢T細胞の減少、免疫不全症等の免疫関連疾患;
血管狭窄、虚血等の循環器疾患;薬剤やウイルス感染に
よる肝障害等の肝臓疾患;消化器疾患;脳虚血による神
経細胞の障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー
病、ハンチントン舞踏病やパーキンソン病等の神経細胞
の変性性疾患、神経細胞発達性疾患(精神病)等の神経
疾患;扁平苔癬;扁平疣贅;臓器移植や組織移植に伴う
拒絶反応;細菌毒素,植物毒素や動物毒素による障害;
萎縮性脱毛症;形態異常;組織形成不全;組織の萎縮等
が例示される。本発明阻害剤および本発明抑制剤は、そ
れぞれ、このような疾患におけるVDAC機能の阻害
や、ミトコンドリアからのチトクロームC放出の抑制を
目的として投与することができる。
【0040】本発明抑制剤を医薬として用いる場合、そ
の投与は純然とした治療目的のみならず、疾患の予防、
進行抑制(悪化防止)、軽減(症状の改善)等を目的と
することもできる。
【0041】本発明抑制剤におけるアミノアルコール誘
導体又はその薬学的に許容される塩の配合量、1回あた
りの投与量、投与間隔等は、本発明抑制剤の投与方法、
投与形態、使用目的等、患者の具体的症状、年齢、性
別、体重等に応じて個別に決定されるべき事項であり特
に限定されないが、アミノアルコール誘導体又はその薬
学的に許容される塩の臨床量として0.25〜200mg
/kg程度 、好ましくは0.5〜100mg/kg 程度を、1
日1回あるいはそれ以上に分けて投与することができ
る。
【0042】<本発明製造方法>本発明製造方法は、以
下の工程を少なくとも含む、精製されたVDAC画分の
製造方法である。 工程1:VDACを含有する液相と、式(I)で示され
るアミノアルコール誘導体が固着した固相とを接触さ
せ、VDACを当該固相に結合させる工程。 工程2:固相に固着したVDACを、固相から解離さ
せ、固相と分離する工程。VDACを含有する液相の種
類は特に限定されず、例えば細胞抽出液等を例示するこ
とができる。
【0043】VDACを含有する液相として細胞抽出液
を用いる場合には、VDACを比較的多く含む画分を含
有する液相を用いることが好ましい。VDACはミトコ
ンドリア外膜に存在するチャネルタンパク質であること
から、界面活性剤により可溶化したミトコンドリア膜画
分を含有する液相を用いることがより好ましい。また、
式(I)で示されるアミノアルコール誘導体の説明は前
記の通りであるが、本発明製造方法においてはL−スレ
オ体、特にL−スレオ-2-(9-カルボキシノナノイル)ア
ミノ-3-モルホリノ-1-フェニル-1-プロパノールを用い
ることが好ましい。このアミノアルコール誘導体は公知
の方法によって固相に固着させることができる。
【0044】固相に式(I)で示されるアミノアルコー
ル誘導体を固着(結合)させる方法は特に限定されず、
例えば共有結合させることにより固着させてもよく、共
有結合以外の結合(例えば、疎水結合等)により固着さ
せてもよいが、安定に固着できる点で共有結合させるこ
とにより固着することが好ましい。
【0045】共有結合の様式も特に限定されず、例えば
酸アミド結合、エステル結合、アミノアルキル結合等が
例示されるが、簡便性・容易性等の点で酸アミド結合が
好ましい。酸アミド結合による固着は、例えば以下の通
り行うことができる。
【0046】まず、式(I)で示されるアミノアルコー
ル誘導体にカルボキシル基等を有する化合物を用意す
る。このような化合物として、例えば式(I)中のR
で示される基の末端にカルボキシル基を有する化合物を
挙げることができる。Rで示される基の末端にカルボ
キシル基を有する化合物は、例えばL−スレオ−2−ア
ミノ−3−モルホリノ−1−フェニル−1−プロパノー
ル(前記式(II)で示される化合物のL−スレオ体)の
アミノ基に、カルボン酸又はその反応性誘導体を酸アミ
ド結合させることにより製造することができる。例えば
この化合物にカルボン酸の一種である無水セバシン酸を
反応させると、カルボキシル基等を有する化合物L−ス
レオ2−(9-カルボキシノナノイル)アミノ−3−モルホ
リノ1−フェニル−1−プロパノールを製造することが
できる。
【0047】このようなカルボキシル基を有する化合物
を用い、固相として遊離のアミノ基を有する固相を採用
することによって、簡便かつ容易に両者を結合させるこ
とができ、両者間に安定な酸アミド結合(共有結合)を
形成させることによって固相に固着させることができ
る。
【0048】このような固相としては、例えばスペーサ
ーを介して遊離の第1級アミノ基が結合したゲル等が挙
げられる。このようなゲルは、例えばCNBr法やエポキシ
活性化法等によってアガロースゲルに1,6-ジアミノヘキ
サンを結合させることにより調製することもできるし、
例えばファルマシア(Pharmacia)社から商品名「EAH
−セファロース4B(EAH-Sepharose 4B)」、「AH−セ
ファロース4B(AH-Sepharose 4B)」として市販されて
いるもの等をそのまま利用することもできる。
【0049】上記のようなカルボキシル基を有する化合
物を上記のようなアミノ基を有する固相に結合させる方
法も特に限定されず、カルボジイミドカップリング法等
の公知の方法を採用することができる。
【0050】固相の形状はゲルに限定されず、ビーズ、
メンブレン等を用いることもできる。また固相の材質も
アガロースに限定されず、他の材質のものを用いること
もできる。
【0051】本発明製造方法の工程1は、前記した液相
と、上記のように調製された固相(式(I)で示される
アミノアルコール誘導体が固着した固相)とを接触させ
ることにより、当該液相中のVDACを、固相に固着し
たアミノアルコール誘導体に結合させることによって固
相に結合させる工程である。これは、式(I)で示される
アミノアルコール誘導体とVDACとの特異的親和性を
利用したものである。固相と液相との接触方法は、固相
に固着した式(I)で示されるアミノアルコール誘導体
の分子と、液相中のVDAC分子とが接触して、VDA
C分子が固相に捕捉される限りにおいて特に限定され
ず、バッチ法、カラム法のいずれをも用いることができ
る。このような方法で固相と液相とを接触させることに
より、液相中のVDACが固相に固着したアミノアルコ
ール誘導体に特異的に結合する。この後、固相を洗浄し
て、アミノアルコール誘導体に吸着しなかった物質を除
去することが好ましい。
【0052】工程2は、固相に固着したアミノアルコー
ル誘導体を介して固相に結合したVDACを、当該アミ
ノアルコール誘導体から解離させることによって固相か
ら解離させ、固相と分離する工程である。
【0053】VDACをアミノアルコール誘導体から解
離させる方法は、本製造方法によって得られるVDAC
の使用目的等に応じて適宜選択することができる。製造
されるVDACが変性していても良い場合には、尿素、
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の溶液をVDACが結
合した固相に接触させればよく、製造されるVDACを
変性させずに得たい場合には、1M程度のNaCl溶液やpH
2.5程度の酸性溶液等の溶液をVDACが結合した固相
に接触させればよい。このような溶液を固相に接触させ
ることにより、VDACがアミノアルコール誘導体から
解離する。
【0054】解離したVDACを固相と分離する方法
は、通常の固液分離手段により行うことができる。例え
ば、固相と液相との接触をバッチ法によって行った場合
には、沈殿、遠心、ろ過等により固相と液相とを分離し
て、当該液相を回収することによりVDACを固相から
分離することができる。固相と液相の接触をカラム法に
よって行った場合には、カラムから溶出してくる液相を
回収するだけでよいことから、簡便・迅速に操作するこ
とができる。この点で、固相と液相との接触は、カラム
法により行うことが好ましい。
【0055】このようにして得られた液相をさらに本発
明製造方法や他の公知の精製方法に付してもよく、これ
によってより高純度のVDACを製造することができ
る。
【0056】また本発明製造方法の出発物となる液相
(VDACを含有する液相)がVDAC以外の不純物を
比較的多く含有するものである場合には、当該液相を予
めD−スレオ−2−(9-カルボキシノナノイル)アミノ−
3−モルホリノ−1−フェニル−1−プロパノール等を
用いて上記の要領で固着させた固相に接触させ、接触後
に得られる液相を用いることが好ましい。なお、D−ス
レオ−2−(9-カルボキシノナノイル)アミノ−3−モル
ホリノ−1−フェニル−1−プロパノールは、D−スレ
オ−2−アミノ−3−モルホリノ1−フェニル−1−プ
ロパノールを用いて前記と同様に製造することができ
る。この接触後、当該固相から分離した液相を出発物
(VDACを含有する液相)として用いることにより、
D−スレオ体のアミノアルコール誘導体に結合する物質
や、固相に非特異的に結合する物質を予め除去すること
ができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、これらによって本発明の技術的範囲が限定
されるものではない。 <アミノアルコール誘導体又はその薬学的に許容される
塩>本実施例では以下のアミノアルコール誘導体を用い
た。これらはJ. Lipid Research 28, p565〜571(198
7)およびJ. Biochem. 111, p191-196(1992)に記載さ
れた方法によって製造した。 L−スレオ−PDMP L−スレオ−PMMP L−スレオ−PPMP
【0058】<薬効薬理試験> 1.L−スレオ−PDMPに結合する細胞内タンパク質
の探索 (1)実験材料及び方法 (1−1)細胞の培養 H12細胞(マウスニューロブラストーマ・ラットグリ
オーマ雑種細胞株NG-108-15細胞のサブクローン)は、1
0%仔ウシ胎仔血清(FCS)を含むダルベッコの改変イー
グル培地(DMEM培地)を使用し、37℃、5%CO2の条件下
で培養した。 (1−2)各種緩衝液の組成 リン酸緩衝生理食塩水(PBS) : 137 mM NaCl、2.68 mM
KCl、10 mM Na2HPO4、1.76 mM KH2PO4 緩衝液1: 20 mM Tris HCl (pH 7.5)、20 mM β-グリ
セロリン酸、5 mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1
mM ピロリン酸ナトリウム, 1 mM バナジン酸、2 mM ジ
チオトレイトール(DTT)、0.5% アプロチニン、1mM
フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF) 緩衝液2: 1 M NaClを含有する緩衝液1 緩衝液3: 1 % Triton X-100(商品名)を含有する
緩衝液1 SDS-PAGE用サンプルバッファー: 0.05M Tris-HCl (pH
6.8)、1.6% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、8%
グリセロール、0.0008% ブロモフェノールブルー(BP
B)、5% β-メルカプトエタノール 泳動用緩衝液: 25mM Tris、192 mM グリシン、0.1 %
SDS TBS-T: 137 mM NaCl, 20 mM Tris-HCl (pH 7.5) , 0.
05 % Tween 20(商品名) ブロッキング用緩衝液: 5%スキムミルク/TBS-T 転写用緩衝液: 25mM Tris、192 mM グリシン、20 %
メタノール
【0059】(1-3)VDACを含有する液相(細胞画
分)の調製 PBSで洗浄した1x10個のH12細胞を、5mL の緩衝
液1に懸濁し、ポリトロン(キネティクス社)でホモジ
ナイズした。その細胞破砕液を2℃下、100,000xgで
1時間遠心分離し、得られた液相を上清1(細胞質画
分)とした。上清1を除去して残った沈殿に5 mLの緩衝
液2を加え、ポリトロンでホモジナイズした後に同様に
遠心分離を行い、得られた液相を上清2(膜結合画分)
とした。上清2を除去して残った沈殿に5 mLの緩衝液3
を加え、ポリトロンでホモジナイズした後同様に遠心分
離を行い、得られた液相を上清3(膜画分)とした。
【0060】(1-4)L−スレオ−PDMPが固着した固
相(ビーズ)の調製 (1-4-1)L−スレオ−2−(9-カルボキシノナノイル)ア
ミノ−3−モルホリノ−1−フェニル−1−プロパノー
ルの合成 L−スレオ−2−アミノ−3−モルホリノ−1−フェニ
ル−1−プロパノール(前記式(II)で示される化合物
のL−スレオ体)316.2mg(1.34mmol)に塩化メチレン
10ml、トリエチルアミン 190μl(1.37mmol)、無水セ
バシン酸 292.4mg(1.59mmol)を加え5時間攪拌した
後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノー
ル=20:1およびクロロホルム:メタノール=9:1)で
精製し、無色油状の標記物質 171.1mg(収率30.4%)を
得た。1 H-NMR(CDCl3) δ: 7.36-7.25(5H,m,aromatic),6.50(1
H,d,J=7.82Hz,NH), 4.94(1H,d,J=3.91Hz,H-1),4.37(1H,
m,H-2),3.80-3.69(4H,m,(CH2)2O), 2.77-2.63(6H,m,CH
2N(CH2)2), 2.30(2H,m,COCH2), 2.09(2H,m,COCH2), 1.6
1(2H,m,COCH2-CH2 ), 1.48(2H,m,COCH2-CH2 ), 1.30-1.16
(8H,m,CH2(CH2 )4CH2)13 C-NMR(CDCl3)δ: 178.3, 174.1, 140.7, 128.4, 127.
7, 126.0, 75.1, 66.2, 59.3, 53.9, 51.0, 36.5, 34.
4, 28.9, 28.8, 25.4, 24.9, 24.8 (1-4-2) EAH-セファロース4B(ファルマシア社;ゲル
体積50 mL)をグラスフィルター上に移し、0.5 M NaCl
で洗浄後(100 mL×4)、ビーカーに移し、ゲル込みで液
量150 mLの懸濁液とした。このものに上記で製造したL
−スレオ2-(9-カルボキシノナノイル)アミノ-3-モルホ
リノ-1-フェニル-1-プロパノールの水溶液50mL(505mg,
1.2mmol, 0.5 M NaCl 含有)を加え、振盪撹拌した。次
に、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド塩酸塩1.9g (10 mmol)を加え、室温下にて24時間
振盪撹拌した。反応開始24時間後、ゲルをグラスフィル
ター上に移し、脱イオン水、酢酸緩衝液(pH 4)、トリス
緩衝液(pH 8.6)、それぞれ100mLで順次洗浄し、酢酸緩
衝液とトリス緩衝液による洗浄をさらに2回繰り返し
た。最後に、ゲルを脱イオン水200 mLで洗浄した後、20
%エタノール70 mLに懸濁し、4℃で保存した。これによ
り、L−スレオ−PDMPが直接固着したに等しい固相
を得ることができる。
【0061】(1-5)D−スレオ−PDMPが固着した固
相(ビーズ)の調製 EAH-セファロース4B(ファルマシア社;ゲル体積50 mL)
をグラスフィルター上に移し、0.5 M NaCl で洗浄後(10
0 mL×4)、ビーカーに移して0.5 M NaCl 30 mLの懸濁液
とした。このものに上記と同様に調製したD−スレオ2-
(9-カルボキシノナノイル)アミノ-3-モルホリノ-1-フェ
ニル-1-プロパノールの水溶液70 mL(682.2 mg, 1.62mmo
l, 0.5 M NaCl 含有)を加え、振盪撹拌した。次に、N-
エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩1.946g (10.15 mmol) を加え、室温下にて24時間
振盪撹拌した。反応開始24時間後、ゲルをグラスフィル
ター上に移し、脱イオン水、酢酸緩衝液(pH 4)、トリス
緩衝液(pH 8.6)それぞれ100 mLで順次洗浄し、酢酸緩衝
液とトリス緩衝液の洗浄をさらに2回繰り返した。最後
に、ゲルを脱イオン水200 mLで洗浄した後、20%エタノ
ール70 mLに懸濁し、4℃で保存した。これにより、D−
スレオ−PDMPが直接固着したに等しい固相を得るこ
とができる。
【0062】(1-6)L−スレオ−PDMP結合タンパク
質の調製 前記の上清1〜3のそれぞれから、D−スレオ−PDM
PやEAH-セファロース4B自体に結合するタンパク質等を
除くために、まず以下の操作を行った。1mLの上清1〜
3それぞれ1mLに対して、予めPBSで洗浄したD−スレオ
−PDMPビーズをゲル体積としてそれぞれ60μL加
え、4℃で2時間インキュベートした。その後遠心分離し
て上清を回収した。同様の操作をさらに4回繰り返し
た。回収された上清1〜3のそれぞれに、あらかじめPB
Sで洗浄した60μLのL−スレオ−PDMPビーズを加
え、4℃で一晩インキュベートした。その後遠心分離し
てビーズを回収した。タンパク質が結合したビーズは、
上清1〜3に対応してそれぞれ1 mLの緩衝液1〜3で3
回洗浄し、200μL の8M 尿素 を含んだ緩衝液1〜3 を
加え、4℃で2時間溶出した。その後遠心分離して上清
(L−スレオ−PDMP結合タンパク質溶液)を回収
し、SDS-PAGEに付した。またアミノ酸配列決定のため、
同様の方法でL−スレオ−PDMP結合タンパク質溶液
を1 mL調製した。溶液を限外ろ過フィルターで100μLに
濃縮し、33μLのSDS-PAGE用サンプルバッファーを加え2
分間煮沸して加熱変性処理を行った。その後後述の方法
でSDS-PAGEを行い、クマシーブリリアントブルー(CB
B)染色した。アミノ酸配列決定に付する目的のタンパ
ク質のバンド(L3)をゲルから切り出した。
【0063】(1-7)SDS−PAGE 試料の加熱変性は、SDS-PAGE用サンプルバッファーを試
料の1/3量加え2分間煮沸することによって行った。4
%ポリアクリルアミドの濃縮ゲルおよび10%ポリアクリ
ルアミドの分離ゲルを用い、緩衝液として泳動用緩衝液
を使用した。
【0064】(1-8)銀染色 シルバーステインキット(ATTO社) を用いて銀染色を行
った。
【0065】(1-9)断片ペプチドの調製 アミノ酸配列決定に付するタンパク質の断片化は、in-g
el digestion 法(Rosenfeld J, Capdevielle J, Guill
emot JC, Ferrara P., Anal Biochem 203(1),173-179
(1992))を一部改変して行った。ゲル片を、50%アセト
ニトリル/200mM 炭酸アンモニウム(pH 8.9)を用いて30
℃、20分間の条件で2回洗浄した後に、室温にて半乾き
にした。ゲル片に200mM 0.02% Tween-20を含む炭酸ア
ンモニウム(pH 8.9)を加え、0.025% トリプシンを含む
トリス緩衝液(pH 8.0)を加えて35℃, 20時間の処理を
行った。その後、溶液の全量を逆相HPLCに付して、
断片ペプチドを分離した(逆相HPLCカラム: TSKgel ODS-
80TS QA (TOSOH社)、溶媒A: 0.1 % TFA(トリフルオロ
酢酸)、溶媒B - 0.09 % TFA in 90 % アセトニトリ
ル, 検出 : 210 nm、280 nm)。対照としてバンドのな
いゲル部分を切り出し同様に処理を行った。
【0066】(1-10)アミノ酸配列の決定 N末端プロテインシークエンサー (G1005A, ヒューレッ
トパッカード) を使用して、分析プログラム Routine
3.1 でアミノ酸配列を分析した。
【0067】(1-11)ウエスタンブロット SDS-PAGE後のゲルを転写用緩衝液中で5分間振盪して平
衡化した。次にセミドライ型転写用装置(Trans-Blot S
D, BioRad社)を用いて、10 V,30分間の条件でゲル中の
タンパク質をPVDF膜 (MILLIPORE社) 上に転写した。転
写後のPVDF膜をブロッキング用緩衝液中で1時間ブロッ
キングした。次に、1次抗体としてブロッキング用緩衝
液で100倍に希釈した 抗-VDAC1(N18) (sc-8828, Santa
Cruz社) を用いて4℃で一晩反応させた。TBS-Tで洗浄
(5分間x5回)し、2次抗体としてTBS-Tで10000倍に
希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)
標識ロバ 抗-ヤギ IgG (sc-2304, Santa Cruz社) を用
いて室温で45分間反応させた。TBS-Tで洗浄(5分間x
5回)し、ECL Plus ウエスタンブロッティング検出試
薬(Amersham Pharmacia)を用いて抗体の検出を行った。
【0068】(2)結果 (2-1)L−スレオ−PDMP結合タンパク質の検出 上清1(細胞質画分)、上清2(膜結合画分)および上
清3(膜画分)のそれぞれの細胞画分について、D−ス
レオ−PDMPビーズに結合したタンパク質、L−スレ
オ−PDMPビーズに結合したタンパク質(いずれも8M
尿素で溶出)をSDS-PAGEに付し、銀染色によって検出
した。その結果、上清1(細胞質画分)及び上清2(膜
結合画分)には、L−スレオ−PDMPビーズにのみ特
異的に結合するタンパク質のバンドは確認できなかっ
た。一方、上清3(膜画分)には、約34 kDa付近にL−
スレオ−PDMPビーズにのみ結合するタンパク質のバ
ンド(以下、「L3」という)が確認された。
【0069】(2-2)L−スレオ−PDMP結合タンパク
質の内部アミノ酸配列の決定 L3の内部アミノ酸配列を決定するために、(1-6)に記
載の方法でゲルから切り出したL3のバンドを、(1-9)
に記載の方法で逆相HPLCに付し、精製された4種類
のペプチド断片についてそれぞれアミノ酸配列を決定し
た。決定されたアミノ酸配列(配列1〜4)を以下に示
す。 配列1 WNTDNTLGTE ITVED 配列2 LTFDSSF 配列3 TDEFQLHTNV 配列4 KLETAVNLAW また、マウスのVDAC1のアミノ酸配列(配列5)を以下に示す。配列5中の下 線部は、配列1〜4と一致する部分を示す。 配列5 AVPPTYADLG KSARDVFTKG YGFGLIKLDL KTKSENGLEF TSSGSANTET TKVNGSLETK YRWTEYGLTF TEKWNTDNTL GTEITVEDQL ARGLKLTFDS SFSPNTGKKN AKIKTGYKRE HINLGCDVDF DIAGPSIRGA LVLGYEGWLA GYQMNFETSK SRVTQSNFAV GYKTDEFQLH TNV NDGTEFG GSIYQKVNKK LETAVNLAWT AGNSNTRFGI AAKYQVDPDA CFSAKVNNSS LIGLGYTQTL KPGIKLTLSA LLDGKNVNAG GHKLGLGLEF QA 以上の結果より、L−スレオ−PDMP結合タンパク質
から得られた4種類のペプチド断片のアミノ酸配列は、
全てマウスのVDAC1のアミノ酸配列と一致した。また同
様に、ヒトのVDAC1、ウサギのVDAC1、ウシのVDAC1およ
び野生イノシシのVDAC1とも100%一致した。
【0070】(2-3)ウエスタンブロットによるL−スレ
オ−PDMP結合タンパク質の同定 L−スレオ−PDMP結合タンパク質溶液及びD−スレ
オ−PDMP結合タンパク質溶液について、抗VDAC1抗
体を用いてウエスタンブロットしたところ、L−スレオ
−PDMP結合タンパク質溶液にのみVDAC1に相当する
バンドが検出された。以上の結果より、L−スレオ−P
DMPに特異的に結合するタンパク質はVDAC1であるこ
とが示された。
【0071】2.L−スレオ−PDMPの作用 (1)実験材料及び方法 (1-1)各種緩衝液の組成 緩衝液A: 0.3 M マンニトール、10 mM Hepes/K+ (pH
7.4)、0.2 mM EDTA/K+(pH 7.4)、0.1% ウシ血清アル
ブミン(BSA;脂肪酸フリー) 緩衝液B:0.3 M マンニトール、10 mM Hepes/K+ (pH
7.4)、1mM KPB(リン酸カリウム緩衝液) (pH 7.4)、0.
1% BSA (脂肪酸フリー) 呼吸用緩衝液:緩衝液B、0.2 mM EDTA/K+ (pH 7.4)、
0.2 mM EGTA/K+ (pH 7.4)、1 mM MgCl2
【0072】(1-2)ミトコンドリアの精製 ラット(SD系、8週令くらいのオス)をエーテル麻酔後開
腹し、肝臓を摘出した。すみやかに 100 mLの緩衝液A
に入れ、はさみで細切した。その間緩衝液Aを4回交換
した。テフロン(登録商標)ホモジナイザー(井内)を
用いてホモジナイズした後テフロン製遠沈管に分注し、
750 ×gで10分間遠心分離した。その上清を新しいテフ
ロン製遠沈管に移し、5,000×gで8分間遠心分離し、次
いで10,000×g、5 分間遠心分離を行った。上清を捨
て、沈殿物に緩衝液Bを10 mL加えた後脱脂綿でほぐし
た。その後、750×gで10分間遠心分離し、上清を新しい
テフロン製遠沈管に移した。さらに9,000×gで10分間遠
心分離して上清を捨て、沈殿物に緩衝液Bを1mL 加えて
脱脂綿でほぐし、精製ミトコンドリア溶液とした。遠心
操作は全て0℃で行った。
【0073】BCA protein assay kit (PIRECE社)を使用
して、精製ミトコンドリア溶液のタンパク質量を測定し
た。精製ミトコンドリアを0.5 N NaOH で10、20、50又
は100倍に希釈し、それぞれ25μLに対してBCA protein
assay kitに添付されている反応溶液を500mL加え、37℃
で30分間インキュベートした後、562 nmの吸光度を測定
した。同時に牛血清アルブミン(BSA)を標準として検量
線を作成し、タンパク質量を定量した。
【0074】また、精製ミトコンドリア溶液中のミトコ
ンドリアが実験に使用可能なものかどうかを判定するた
めに、ミトコンドリアの酸素消費速度を測定した。酸素
電極としては生物研究用酸素モニターDOE-SET(RANK BR
OTHES 社製)を、解析ソフトとしてはPCカード型データ
収集システムNR110/150(KEYENCE社製)を使用した。
【0075】酸素電極のベッセルに呼吸用緩衝液を入れ
(精製ミトコンドリア溶液を加えた際に2 mLになるよう
に)、酸素濃度の測定を開始した。波形が安定した事を
確認した後、1 mgのタンパク質(0.5 mgタンパク質/mL)
に相当する精製ミトコンドリア溶液を加えた。約1分
後、10 μL の1 M こはく酸/K+ (pH 7.4) (50 mM) を、
さらにその約1分後に 3 μL の0.1 M ADP (アデノシン-
ジ-リン酸;0.15 μM)を加え、波形を観察した。ADPを
加えた後の酸素消費速度を「状態3」、しばらくして波
形が緩やかになった時の酸素消費速度を「状態4」とし
た。呼吸調節率(状態3 / 状態4)を算出した結果、4
以上であったことから、精製ミトコンドリア溶液中のミ
トコンドリアは呼吸作用を保持しており、以下の実験に
使用可能と判断された。
【0076】(1-3) ミトコンドリア膜電位の測定 キュベットに、7.5μLの 1 Mこはく酸/K+(pH 7.4) (50
mM)、15μL の1mMローダミン123、および緩衝液 B (精
製ミトコンドリア溶液を加えた際に1.5 mLになるよう
に)を加えた。キュベットを蛍光光度計にセットし、1.5
mgのタンパク質(1 mgタンパク質/mL)に相当する精製ミ
トコンドリア溶液を加えた後、直ちにこの反応液につい
て励起波長504 nm、測定波長535 nm で測定を開始し
た。約30秒後、75μL の1 mM CaCl2 (終濃度50μM) を
添加することにより刺激し、経時的に波形の変化を観察
した。
【0077】ミトコンドリアの膜電位が低下すると、ミ
トコンドリアに取込まれたローダミン123が放出され、
これにより液相中のローダミン123の蛍光強度が増加す
る。よって液相中の蛍光強度の変化は、ミトコンドリア
膜電位の変化の指標とすることができる。 (1-4)ミトコンドリアからのチトクロームCの放出量の
測定 48穴マルチウェルプレートに反応溶液(緩衝液B、50 mM
こはく酸、10 mM KPB)を入れ、精製ミトコンドリア溶
液を加え、次いでCaCl2 (終濃度50μM)を添加すること
により刺激した後、反応液を0分、15分および30分
目に80 μLずつチューブに採取した。採取後速やかに4
℃、1500 rpm、2分間遠心分離し、上清と沈澱を回収し
た。上清には20μLのSDS-PAGE用サンプルバッファーを
加え、沈殿物には100μLの4倍に希釈したSDS-PAGE用サ
ンプルバッファーを加え、それぞれをよくピペッティン
グした後5分間煮沸することにより加熱変性を行った。
採取したサンプルは、5%ポリアクリルアミドの濃縮ゲ
ルおよび15%ポリアクリルアミドの分離ゲルを用いて前
記と同様にSDS-PAGEを行った。泳動後のゲルを用いて前
記と同様の方法でウエスタンブロット(1次抗体:抗-
チトクロームC (7H8.2C12, PharMingen社)、2次抗
体:ヤギ 抗-マウス IgG HRP (sc-2005, Santa Cruz
社))を行った。
【0078】(2)結果 (2-1) ミトコンドリア膜電位の測定 上記(1-3)に記載の方法において、反応液中に20μM 又
は40μMのL−スレオ−PDMPを存在させたときの、
液相の蛍光強度の結果を図1に示す。図1より、ミトコ
ンドリアにL−スレオ−PDMPを共存させることによ
り、コントロール(L−スレオ−PDMP無添加)に比
してミトコンドリア膜電位が消失する時間が顕著に遅延
することが示された。この作用はL−スレオ−PDMP
の濃度依存的であった。
【0079】また、40μMのL−スレオ−PMMP、40
μMのL−スレオ−PPMPについても同様に実験し
た。結果を図2に示す。
【0080】図2より、L−スレオ−PDMPのみなら
ず、L−スレオ−PMMPやL−スレオ−PPMP等の
アミノアルコール誘導体にも、ミトコンドリア膜電位の
消失時間を顕著に遅延させる作用があることが示され
た。この作用は、L−スレオ−PPMP、L−スレオ−
PMMP、L−スレオ−PDMPの順に顕著であった。
ガングリオシドGD3は、ミトコンドリアに直接作用し
てアポトーシスをひき起こすことが知られている。そこ
で、GD3によるミトコンドリアの膜電位消失に対する
L−スレオ−PDMPの効果を検討した。実験は、上記
(1-3)に記載の方法において、40μMのGD3のみを共存
させたもの、20μMのGD3のみを共存させたもの、20
μMのGD3と20μMのL−スレオ−PDMPとを共存さ
せたもの、20μMのGD3と40μMのL−スレオ−PDM
Pとを共存させたもの、およびコントロール(GD3お
よびL−スレオ−PDMP無添加)について行った。結
果を図3に示す。
【0081】図3より、L−スレオ−PDMPを共存さ
せたものは、GD3によるミトコンドリア膜電位消失の
時間が顕著に延長した。
【0082】以上の結果から、L−スレオ−PDMPを
はじめとするアミノアルコール誘導体は、VDACの機
能(ミトコンドリア膜電位を低下させる機能)を阻害す
ることが示された。
【0083】(2-2) ミトコンドリアからのチトクローム
Cの放出量の測定 上記(1-4)に記載の方法において、反応溶液中に20μMの
L−スレオ−PDMPを存在させたときの上清中のチト
クロームCの量を測定し、これをミトコンドリア外へ放
出されたチトクロームCの量とした。その結果、コント
ロール(L−スレオ−PDMP無添加)では経時的にミ
トコンドリア外に放出されたチトクロームCの量が増加
していったのに対し、L−スレオ−PDMP存在下では
チトクロームの放出は顕著に抑制された。この結果か
ら、L−スレオ−PDMPをはじめとするアミノアルコ
ール誘導体は、VDACの機能(ミトコンドリアからチ
トクロームCを放出させる機能)を抑制することが示さ
れた。
【0084】
【発明の効果】本発明の剤(本発明阻害剤および本発明
抑制剤)は、優れたVDAC機能阻害作用(ミトコンド
リア膜電位の低下を抑制する作用、チトクロームCの放
出を抑制する作用)を発揮することから、VDACの機
能阻害が望まれている細胞や組織の処置等に極めて有用
である。また本発明製造方法は、簡便・迅速かつ容易に
精製されたVDAC画分を製造することができ、極めて
有用である。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 生化学工業株式会社(Seikagaku Corporation) 北海道ティー・エル・オー株式会社(Hokkaido Technology Licensing Off ice Co., Ltd.) <120> VDAC機能阻害剤 <130> J200100800 <140> <141> <160> 5 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 15 <212> PRT <213> mouse & rat hybrid cell <400> 1 Trp Asn Thr Asp Asn Thr Leu Gly Thr Glu Ile Thr Val Glu Asp 1 5 10 15 <210> 2 <211> 7 <212> PRT <213> mouse & rat hybrid cell <400> 2 Leu Thr Phe Asp Ser Ser Phe 1 5 <210> 3 <211> 10 <212> PRT <213> mouse & rat hybrid cell <400> 3 Thr Asp Glu Phe Gln Leu His Thr Asn Val 1 5 10 <210> 4 <211> 10 <212> PRT <213> mouse & rat hybrid cell <400> 4 Lys Leu Glu Thr Ala Val Asn Leu Ala Trp 1 5 10 <210> 5 <211> 282 <212> PRT <213> mouse <400> 5 Ala Val Pro Pro Thr Tyr Ala Asp Leu Gly Lys Ser Ala Arg Asp Val 1 5 10 15 Phe Thr Lys Gly Tyr Gly Phe Gly Leu Ile Lys Leu Asp Leu Lys Thr 20 25 30 Lys Ser Glu Asn Gly Leu Glu Phe Thr Ser Ser Gly Ser Ala Asn Thr 35 40 45 Glu Thr Thr Lys Val Asn Gly Ser Leu Glu Thr Lys Tyr Arg Trp Thr 50 55 60 Glu Tyr Gly Leu Thr Phe Thr Glu Lys Trp Asn Thr Asp Asn Thr Leu 65 70 75 80 Gly Thr Glu Ile Thr Val Glu Asp Gln Leu Ala Arg Gly Leu Lys Leu 85 90 95 Thr Phe Asp Ser Ser Phe Ser Pro Asn Thr Gly Lys Lys Asn Ala Lys 100 105 110 Ile Lys Thr Gly Tyr Lys Arg Glu His Ile Asn Leu Gly Cys Asp Val 115 120 125 Asp Phe Asp Ile Ala Gly Pro Ser Ile Arg Gly Ala Leu Val Leu Gly 130 135 140 Tyr Glu Gly Trp Leu Ala Gly Tyr Gln Met Asn Phe Glu Thr Ser Lys 145 150 155 160 Ser Arg Val Thr Gln Ser Asn Phe Ala Val Gly Tyr Lys Thr Asp Glu 165 170 175 Phe Gln Leu His Thr Asn Val Asn Asp Gly Thr Glu Phe Gly Gly Ser 180 185 190 Ile Tyr Gln Lys Val Asn Lys Lys Leu Glu Thr Ala Val Asn Leu Ala 195 200 205 Trp Thr Ala Gly Asn Ser Asn Thr Arg Phe Gly Ile Ala Ala Lys Tyr 210 215 220 Gln Val Asp Pro Asp Ala Cys Phe Ser Ala Lys Val Asn Asn Ser Ser 225 230 235 240 Leu Ile Gly Leu Gly Tyr Thr Gln Thr Leu Lys Pro Gly Ile Lys Leu 245 250 255 Thr Leu Ser Ala Leu Leu Asp Gly Lys Asn Val Asn Ala Gly Gly His 260 265 270 Lys Leu Gly Leu Gly Leu Glu Phe Gln Ala 275 280
【図面の簡単な説明】
【図1】 L−スレオ−PDMPによる、ミトコンドリ
ア膜電位の消失時間の遅延を示す図である。
【図2】 各種アミノアルコール誘導体による、ミトコ
ンドリア膜電位の消失時間の遅延を示す図である。
【図3】 L−スレオ−PDMPによる、GD3によっ
て起こるミトコンドリア膜電位の消失時間の遅延を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 13/02 A61P 13/02 13/12 13/12 17/14 17/14 19/04 19/04 25/00 25/00 37/00 37/00 37/06 37/06 39/02 39/02 43/00 111 43/00 111 C07D 295/12 C07D 295/12 Z (72)発明者 神保 雅之 東京都中野区鷺ノ宮5−2−1 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC73 MA01 MA04 NA14 ZA01 ZA02 ZA15 ZA16 ZA18 ZA36 ZA66 ZA75 ZA81 ZA89 ZA92 ZA94 ZB02 ZB21 ZC02 ZC37

Claims (9)

    【整理番号】 J200100800 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で示されるアミノアルコール誘
    導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含
    有する、電位依存性陰イオンチャネルの機能阻害剤。 【化1】 式(I) 上記式中、Rは置換基を有することもあるアリール基
    若しくはシクロアルキル基、アルキル基、又はアルケニ
    ル基を表し、Rは水素原子又はアシル基を表し、R
    はアシル基、アルキル基、アラルキルオキシカルボニル
    基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボ
    ニル基、ヒドロキシアルキルカルボニル基、又はカルボ
    キシアルキルカルボニル基を表す。
  2. 【請求項2】 式(I)で示されるアミノアルコール誘
    導体が、L−スレオ体、DL−スレオ体、L−エリトロ
    体、又はDL−エリトロ体である、請求項1に記載の機
    能阻害剤。
  3. 【請求項3】 Rがアリール基である、請求項1又は
    2に記載の機能阻害剤。
  4. 【請求項4】 アリール基が、アルキル、アルコキシ、
    ヒドロキシおよびニトロからなる群から選ばれる同一又
    は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェ
    ニル基である、請求項3に記載の機能阻害剤。
  5. 【請求項5】 Rがアシル基である、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の機能阻害剤。
  6. 【請求項6】 アシル基が、炭素数10〜16のアシル
    基である、請求項5に記載の機能阻害剤。
  7. 【請求項7】 Rが水素原子である、請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の機能阻害剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜9のいずれか1項記載の機能
    阻害剤からなる、ミトコンドリアからのチトクロームC
    の放出抑制剤。
  9. 【請求項9】 以下の工程を少なくとも含む、精製され
    た電位依存性陰イオンチャネル画分の製造方法。 工程1:電位依存性陰イオンチャネルを含有する液相
    と、式(I)で示されるアミノアルコール誘導体が固着
    した固相とを接触させ、電位依存性陰イオンチャネルを
    当該固相に結合させる工程。 工程2:固相に固着した電位依存性陰イオンチャネルを
    固相から解離させ、固相と分離する工程。 【化2】 式(I) 上記式中、Rは置換基を有することもあるアリール基
    若しくはシクロアルキル基、アルキル基、又はアルケニ
    ル基を表し、Rは水素原子又はアシル基を表し、R
    はアシル基、アルキル基、アラルキルオキシカルボニル
    基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボ
    ニル基、ヒドロキシアルキルカルボニル基、又はカルボ
    キシアルキルカルボニル基を表す。
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