JP2002338231A - 球状シリカ粒子及びこれを含有する樹脂組成物 - Google Patents

球状シリカ粒子及びこれを含有する樹脂組成物

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JP2002338231A
JP2002338231A JP2001153236A JP2001153236A JP2002338231A JP 2002338231 A JP2002338231 A JP 2002338231A JP 2001153236 A JP2001153236 A JP 2001153236A JP 2001153236 A JP2001153236 A JP 2001153236A JP 2002338231 A JP2002338231 A JP 2002338231A
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silica particles
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Kunikazu Tauchi
久仁和 田内
Yoshinori Yamada
芳範 山田
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂に多量に含有させても、流動性が優れてお
り、かつ接着性が高く、硬化物の機械的特性や耐湿性を
高めることができる球状シリカ粒子を提供する。 【解決手段】下記(1)〜(4)の特徴を兼ね備えた球状シリ
カ粒子及びこれを充填材として含有する樹脂組成物。。 (1) 20μm以上の粒径の粒子が体積基準で全体の0.1%以
下。 (2) 1μm以下の粒径の粒子数が全体の0.1%以下。 (3) 目開き45μmの標準篩を用いた湿式手篩法の篩上が
全体の30ppm以下。 (4) 赤外吸収分光法で3740cm-1付近に吸収波長を持つ孤
立シラノール基が6μmol/g以上2mmol/g以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の球状シリカは、特に
液状封止材などの、流動状態を経て使用される半導体封
止用樹脂組成物の充填材として有用である。
【0002】
【従来の技術】半導体素子を温度変化や水分、衝撃など
の外界の影響から守り、素子の信頼性を高めるために樹
脂組成物によって封止する方法が従来から用いられてい
るが、最近では、電子機器を小型化する要請により半導
体パッケージについても小型化・薄型化が進み、パッケ
ージに占める樹脂組成物の割合が少なくなることから、
樹脂硬化物の熱衝撃強度、靭性の更なる向上が求められ
ている。また、最近の小型化・薄型化した半導体パッケ
ージでは、チップと基板との極めて狭い間隙に均一に封
止樹脂を流し込む必要が生じてきており、樹脂組成物の
流動性が従来になく求められてきている。
【0003】従来の半導体封止用の樹脂組成物では、熱
衝撃強度を高めるために、熱膨張率がシリコンチップに
近いシリカ粒子を封止樹脂の充填材として多量(樹脂組
成物全体の60〜90%)に配合する方法、及びシラン
カップリング剤を充填材に表面処理して充填材と樹脂と
の接着性を高める方法が一般的になっている。そして、
充填剤としてのシリカ粒子の粒度分布については、分布
が広い方が大中小粒径の組みあわせとして最密充填に近
くなるので好ましいと考えられて来た。しかし、極めて
狭い間隔に封止樹脂を流し入れる場合には、粒径の大き
すぎるシリカ粒子が含まれると粒径が大きすぎるため
に、シリカ粒子がチップと基板との隙間に引っ掛かり、
樹脂組成物が均一に浸透しなかったり、ボイドの発生に
より接着強度が低下するという問題があった。一方で、
粒径の小さい超微粒子シリカ粒子はシリカ粒子全体の分
散性を向上させる働きはあるものの、樹脂組成物の粘度
やチキソトロピー性を上昇させるので流動性は悪くなっ
た。このため小さすぎる粒径のシリカを含む樹脂組成物
は極めて狭い間隔に流し込む用途には不向きだった。
【0004】これらの問題を解消する方法として、例え
ば特開平6−1605号で開示された技術がある。この
方法は、平均粒径0.1〜3μmの微粉末シリカに平均
粒径0.1μm未満の微粉末シリカを1〜30重量%混合し
て、流動性指数、付着力指数及び最終タップ密度を特定
の数値範囲となるよう制御するものである。しかし、こ
の方法で得られたシリカを樹脂と配合した場合、樹脂組
成物の流動性については未だ改善の余地があった。
【0005】このような問題に対して、各種精密分級方
式や湿式合成法などを応用してシャープな粒度分布を持
つ球状シリカが種々試みられたが、実際に樹脂に充填し
てみると確かにチキソトロピー性はなかったものの樹脂
中でシリカ粒子の凝集が起きやすく、球状シリカ粒子の
粒径から考えれば容易に充填できるはずの間隙にもつか
えてしまって流れ込まないという現象が起きた。すなわ
ち、従来よりも流動性の優れた樹脂組成物を実現するた
めには、単に球状シリカの粒径分布をシャープにするだ
けでなく、微粒子を混合する以外の方法で樹脂への分散
性を向上させることが必要であると言うことができる。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問
題を解決して、樹脂に多量に含有させても、流動性が優
れており、かつ接着性が高く、硬化物の機械的特性や耐
湿性を高めることができる球状シリカ粒子を提供するこ
とを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決するため鋭意検討した結果、特定量の孤立シラノー
ルを有し、特定の大きさ以上の粒径の粒子が特定量以下
であり、特定の大きさ以下の粒径の粒子が特定量以下で
ある球状シリカ粒子が極めて有効であることを見出し、
本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記(1)
〜(4)の特徴を兼ね備えた球状シリカ粒子及びこれを含
有する樹脂組成物である。 (1) 20μm以上の粒径の粒子が体積基準で全体の0.1%以
下。 (2) 1μm以下の粒径の粒子数が全体の0.1%以下。 (3) 目開き45μmの標準篩を用いた湿式手篩法の篩上が
全体の30ppm以下。 (4) 赤外吸収分光法で3740cm-1付近に吸収波長を持つ孤
立シラノール基が6μmol/g以上2mmol/g以下。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 ○球状シリカ 本発明における球状シリカは、20μm以上の粒径の粒子
数が全体の0.1%以下かつ1μm以下の粒径の粒子数が全
体の0.1%以下であり、目開き45μmの標準篩を用いた湿
式手篩法の篩上が全体の30ppm以下となり、なおかつ赤
外吸収分光法で3740cm-1付近に吸収波長を持つ孤立シラ
ノール基を6μmol/g以上2mmol/g以下有するものであ
る。
【0009】本発明のシリカ粉末における球状シリカ粒
子のシラノールはシリカゲルの焼成温度により調節する
ことができ、焼成前のシリカゲルは公知の方法で製造で
きる。具体的には水ガラスや珪酸ナトリウムなどのアル
カリ金属ケイ酸塩の水溶液を硫酸、硝酸、リン酸、塩酸
等の無機酸や、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、
リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機酸のア
ンモニウム塩水溶液で加水分解する方法や、メチルシリ
ケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート等
のアルキルシリケートを塩酸や酢酸等の酸やアンモニア
水等の塩基の存在下で水により加水分解する方法で製造
できる。しかしIC封止材エポキシ樹脂の充填材に用い
る場合は、配線の腐食を引き起こすナトリウムや、メモ
リーの消失を招くα線放射核種の含有量が少ないアルキ
ルシリケートを原料にする方が好ましい。金属ケイ酸塩
の水溶液を原料とした場合でも、シリカゲルのくり返し
洗浄や、原料溶液をイオン交換などにより精製すること
によりできあがった球状シリカ粒子の中の不純物を少な
くすることはできる。
【0010】本発明の球状シリカを含めて半導体封止材
に使用する充填材粒子ついては、その形状が破砕片状の
形状の場合、応力が一点に集中したり、また、鋭い角を
有する破砕体シリカはチップ表面の保護皮膜を突き抜け
てチップ上のアルミ配線を傷つけるおそれがあるため、
球状が好ましい。このような形状をもつシリカ粒子の製
造方法としては、スチーバ法と呼ばれる、アルコール中
でアルコキシシランを加水分解する方法が有名である
が、他にエマルジョン法と呼ばれる方法も好ましく用い
られる。エマルジョン法は、油中水型、水中油型、油中
油型等のエマルジョンの液中粒子形状を利用して、例え
ば油中水型の場合、水粒子の中でシリカゲルが生成する
ような条件でゾルゲル反応を起こす事により、球状のシ
リカゲルを得る方法である。これらの方法は、基本的に
液体中で合成反応を行うため湿式法と総称される。
【0011】湿式法シリカは湿式のプロセスを経るた
め、合成したシリカは通常スラリーとして得られる 、
このスラリーからシリカを分離、乾燥、焼成等の工程を
行うことで球状シリカ粒子が製造される。分離、乾燥に
ついては例えばスラリーをろ過した後、アルコールやア
セトン等、合成に使用した有機溶媒を溶解する溶剤で洗
浄したり、高温で溶媒分を蒸発させたり、燃焼させて脱
脂焼成したりすることも可能である。分離、乾燥等のプ
ロセスは工業的に数多くの方法が行われており、これら
のいずれの方法でも好ましく用いる事ができる。
【0012】6μmol/g以上のシラノールを得る方法と
しては、1050℃以下で温度コントロールを精密に行って
一定時間焼成する方法がある。従来のシリカ製造法で
は、これよりも高い温度で短時間の熱処理を行う方法が
一般的であったが、高温短時間焼成の方法はすべてのシ
ラノールを一様になくしてしまうのに対して、1050℃以
下の温度で比較的長時間焼成した場合は、3400cm-1に赤
外吸収を持つ吸湿水に由来するシラノールはなくなり、
3740cm-1に赤外吸収を持つ孤立シラノールのみが存在す
る。
【0013】好ましい焼成条件としては、付着水分を除
き球状シリカ粒子の強度を出し、孤立シラノール以外の
シラノールを除去するために600〜1050℃であり、さら
に好ましくは800〜1000℃である。焼成時間としては、
ある程度温度との相関があるが、高温での短時間焼成と
低温での長時間焼成の結果は同じではなく、より長時
間、好ましくは1時間以上さらに好ましくは2時間以上
の焼成をかけることにより吸着水を無くし、孤立シラノ
ールを増やすことができる。一方であまり長時間の焼成
は経済的ではないので好ましい上限は48時間さらには
24時間である。該温度に達するまでの昇温速度はあま
り急激では応力割れなどを引き起こす場合があり、一方
あまり遅いと経済的でないため、1℃/分以上100℃
/分以下、さらには5℃/分以上20℃/分以下が好ま
しい。降温の方は0.1℃/分以上40℃/分以内であ
ればよい。昇降温は必ずしも連続一様である必要はな
く、段階的な温度変化も可能であり、この場合は上記昇
降温速度以外でも好ましく実施できる。
【0014】焼成雰囲気としては空気、不活性ガス、還
元雰囲気、酸化雰囲気、水蒸気雰囲気等があり、いずれ
も好ましく使用できるが、有機物の残留の恐れがないと
いう点で空気中、水蒸気中等の酸化雰囲気が特に好まし
い。
【0015】焼成に用いる装置に関しては600〜1050℃
で数時間維持できる装置であれば形状大きさは問わず、
また熱源は電気によるジュール熱、石油やガス等の燃焼
熱でも構わない。具体的にはロ−タリーキルンやシャト
ル炉等の装置が用いられる。これらの炉には何らかの温
度制御方法が備えられている事が好ましい。
【0016】焼成後の球状シリカ粒子のシラノール量、
特に孤立シラノールと吸着水由来のシラノールを区別し
て定量するためには赤外線吸光分光法や近赤外線吸光分
光等が有効であり、具体的な測定方法としては拡散反射
法、多重反射(ATR)法、ヌジョール法、溶剤希釈
法、KBr錠剤法などを用いることができる。これらの
測定方法を用いて、孤立シラノールの絶対量を求めるた
めには、あらかじめ、当該球状シリカ粒子に孤立シラノ
ールだけしかないことを確かめた上で、灼熱減量、滴
定、シランカップリング剤との反応量などの既知の定量
方法でシラノール量を定量したり、そうして得られた検
量線を用いて、赤外吸収ピークの大きさから孤立シラノ
ールの量を決めることができる。
【0017】こうして得られる球状シリカの好ましい孤
立シラノールの量としては、シラノールが樹脂自体とあ
るいはシランカップリング剤と反応して化学結合をもた
らし、界面の密着力を高めるので多い方が好ましく、そ
の値は6μmol/g以上である。一方であまりシラノール
の密度が高くなると、たとえ樹脂やシランカップリング
剤と反応させても反応しきれないシラノールが多量に残
り、樹脂組成物の硬化体の吸湿性が高くなるため、耐候
性や電子材料の信頼性などの面で好ましくない。好まし
いシラノール量の下限値は6μmol/g以上であり、10
μmol/gあればさらに効果が大きくなり好ましい。上限
値としては2mmol/g以下であるが、、さらに好ましくは
0.5mmol/g以下である。
【0018】湿式法では比較的粒度分布の狭い球状シリ
カが得られるが、必要に応じて気流分級法、湿式分級法
などの既知の分級方法で粗粒、微粒子を除くことによっ
て好ましい粒度分布をもつ球状シリカ粒子を得ることが
できる。好ましい粒度分布は20μm以上の粒径の粒子が
体積基準で全体の0.1%以下かつ1μm以下の粒径の粒子
が全体の0.1%以下であり、目開き45μmの標準篩を用い
た湿式手篩法の篩上が全体の30ppm以下となることであ
る。
【0019】粒度分布の測定方法としては、電子顕微
鏡、コールターカウンター、レーザー回折式粒度分布
計、遠心沈降式粒度分布計、篩などがあるが、産業分野
ではレーザー回折式粒度分布計が最も一般的に用いられ
ている。一方、湿式手篩法は、球状シリカ粒子の弱い凝
集も含めた粗粒を評価する方法である。例えばレーザー
粒度分布計では、超音波や補助分散剤などを用いて強制
的に分散させたシリカ粒子の粒度分布を測定するし、電
子顕微鏡の画面上ではシリカ粒子が凝集しているか、単
にサンプルステージ上で積み重なっているのかと言う判
断がつかないのに対して、湿式手篩法では弱く凝集した
シリカ粒子は凝集塊として45μmの篩上に残るため、従
来の凝集しやすい球状シリカ粒子では、レーザー粒度分
布計による測定では45μm以上の粒子が0%であるのに、
湿式手篩法では45μm篩上が数%もあるということは常
に起きる現象であった。本発明の球状シリカ粒子では孤
立シラノールという特別な構造と適度な量のシラノール
のおかげで凝集がほとんどないために目開き45μmの標
準篩を用いた湿式手篩法の篩上が全体の30ppm以下とな
る。
【0020】○シランカップリング剤による処理 該球状シリカ粒子とシランカップリング剤等の処理方法
は、樹脂及び球状シリカ粒子を混合する時にシランカッ
プリング剤を同時に添加・混合するインテグラルブレン
ド法や、樹脂や塗料等との混合前に予め球状シリカ粒子
を処理する前処理法などがあるが、任意の方法を選択す
ることができる。カップリング処理の効果を得やすくす
るためには前処理法の方が好ましい。処理量はシラノー
ルと当量以上であれば良いが、過剰に添加すると凝集の
可能性があるため、シラノールと当量の1〜20倍、好
ましくは1〜5倍が良い。表面処理以外の目的で樹脂に
添加されるカップリング剤の種類と量は、表面処理に使
用したカップリング剤との相性を勘案して自由に選択す
ることができる。
【0021】○樹脂 本発明に用いる樹脂は、エポキシ樹脂、ポリオレフィン
樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹
脂など何でも好ましく用いる事ができる。具体的に例え
ばビスフェノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポ
キシ化合物、スチルベン型エポキシ化合物、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、
アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹
脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、PET樹脂、ナイ
ロン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げら
れ、あるいは樹脂の難燃化のために、これらを臭素化し
た物なども使用可能である。これらは単独でも混合して
用いても差し支えなく、混合する場合の各成分の配合量
は任意であり、目的によって最適な配合比が決定され
る。また、エポキシ樹脂の使用に際してはモノエポキシ
化合物を適宜併用する事は差し支えない。モノエポキシ
化合物の具体例としてはスチレンオキシド、シクロヘキ
センオキシド、メチルグリシジルエーテル他のアリキル
グリシジルエーテル等が例示される。
【0022】本発明の球状シリカ粒子は、適当量の孤立
シラノールを持つため、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、PET樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等等の極性あ
るいはシラノール基と相互作用を持つ樹脂とは密着性が
良く、樹脂中に分散させた時には極めて良好に分散して
樹脂混合物の流動に従って狭い隙間にも均一に流入して
いくのが特徴である。ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂等の極性を持たない樹脂でも、あるいはその他上
記の樹脂と混合する時を含めて、適当なシランカップリ
ング剤で球状シリカ粒子の表面処理を行うことにより、
やはり良好な流動性を得ることができる。シランカップ
リング剤はエポキシ系、アミノ系、ビニル系等の既知の
ものの中から定法に従って選択することができる。
【0023】○硬化剤 エポキシ樹脂の硬化剤としてはエポキシ樹脂に応じたも
のが使用され、例えばアミン系硬化剤、酸無水物系硬化
剤、フェノールノボラック型硬化剤などが用いられる
が、中でもフェノールノボラック型硬化剤が組成物の成
形性、耐湿性といった面で好ましい。フェノールノボラ
ック型硬化剤として具体的には、フェノールノボラック
樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエ
ン変性フェノール樹脂などが例示される。樹脂組成物中
の配合量は硬化物の強度が最高になるように任意に決め
る事ができる。硬化促進剤としても定法により、イミダ
ゾール化合物、ウンデセン化合物、トリフェニルホスフ
ィン等のホスフィン化合物、三級アミン類などの少なく
とも1種以上が用いられる。硬化促進剤の使用量は特に
制限されず、通常の使用量で良い。
【0024】○添加剤 一般的に樹脂組成物としては、球状シリカの他に難燃
剤、低応力剤、ワックス類、ステアリン酸などの脂肪酸
及びその金属塩等の離型剤、カーボンブラック等の顔
料、染料、酸化防止剤、イオン捕捉剤、その他の添加剤
を配合する事ができる。これらの添加剤の配合量は、本
発明の効果を妨げない範囲で通常量とする事ができる。
【0025】○樹脂組成物の製造方法 本発明の樹脂組成物を成形材料として製造するには、各
成分その他の添加剤をミキサー等によって十分に均一に
混合した後、更に3本ロール、熱ロールまたはニーダー
等によって混錬し、封止材料とする事ができる。混練後
の成形材料が室温で固体の時は粉砕して粉体状の封止材
料とする事ができる。
【0026】○用途 これらの成形材料は電気部品あるいは電子部品の被覆、
集積回路等の保護、絶縁、封止等の他、機械部品、構造
材料などあらゆる部材として適用する事ができる。
【0027】
【実施例】以下に実施例によって、本発明を具体的に説
明する。
【実施例1】200L反応器にドデシルベンゼン90k
g、乳化剤(日光ケミカル(株)製ヘキサグリンPR−
15)0.8kg、純水30kgおよび氷酢酸0.2k
gを仕込み、液温を30℃に保持して120rpmで攪
拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製
Mシリケート51)21.5kgを30分で供給した。
その後、45℃で2時間保持した後、150℃まで加温
した。そして、反応液をろ別、メチルエチルケトンによ
り洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。
この球状シリカ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろそれぞれ独立した真球状であった。
【0028】この球状シリカ粒子を純水に分散してレー
ザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計
LA500)によって粒度分布を測定したところ、20
μm以上の粒径の粒子は体積基準で全体の0.0%であり、
1μm以下の粒径の粒子数全体の0.0%であった。目開き4
5μmの標準篩を用いて湿式手篩法を実施したところ篩上
が全体の2ppmであった。この球状シリカ粒子をカップ
リング剤(γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン)との反応により測定したシラノール基の含有量は、
1.4mmol/gであった。
【0029】この球状シリカ粒子100重量部に対して
1重量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンを、あらかじめ等重量の純水と一様な液体となるまで
振って部分加水分解したものをヘンシェルミキサーで攪
拌しながら加え、さらに5分間攪拌した後、150℃で24
時間乾燥したものをカップリング剤処理シリカとして使
用した。処理済の球状シリカ粒子に凝集や変色は認めら
れなかった。
【0030】こうして得られたカップリング剤処理シリ
カをエポキシ樹脂混合物(ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシエピコート828)/酸無水物
硬化剤(新日本理化学リカシッドMT-500)/アミン系硬
化触媒(DMP-30)の3種を100/80/0.1の重量
比で混合したもの。)40重量部に対して、60重量部
混合し、球状シリカ粒子の含有量60重量%のエポキシ
樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の粘度
をE型粘度計で測定したところ、60℃で0.62Pa・
sであった。
【0031】このエポキシ樹脂組成物の流動性を評価す
るため、70℃に加熱した22mm角のカバーグラス2
枚を25μmの間隔になるよう張り合わせたテストピー
スに流したところ、テストピースの入口から出口まで、
即ち22mmの長さを10分40秒で流動した。
【0032】このエポキシ樹脂組成物を型に入れ、10
0℃で2時間、140℃で4時間加熱硬化させて硬化物
を作り、耐湿性を確かめるために121℃100時間の
条件でプレッシャークッカー処理を行った後にJIS
K−6911に従ってヘッド速度2mm/分で曲げ強度
の測定を行った。結果はn=5の平均値で205MPa
であった。当該球状シリカ粒子は孤立シラノールがシラ
ンカップリング剤と化学結合するために、球状シリカ粒
子と樹脂の間に強固な架橋ができ、耐湿性の強い硬化物
ができたと考えられる。
【0033】
【実施例2】焼成温度を900℃にした以外は実施例1
と同じ方法で球状シリカ粒子を製造し、この球状シリカ
粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立
した真球状であった。この球状シリカ粒子を純水に分散
してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒
度分布計LA500)によって粒度分布を測定したとこ
ろ、20μm以上の粒径の粒子は全体の0.0%であり、1
μm以下の粒径の粒子が全体の0.0%であった。目開き45
μmの標準篩を用いて湿式手篩法を実施したところ篩上
が全体の3ppmであった。FT−IRにより3740cm-1
測定したシラノール基の含有量は62μmol/gであっ
た。この球状シリカ粒子を使用して実施例1と同じ方法
で、エポキシ樹脂組成物を作成し評価した結果を表1に
示す。
【0034】
【比較例1】焼成温度を1200℃にした以外は実施例
1と同じ方法で球状シリカ粒子を製造し、この球状シリ
カ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独
立した真球状であった。この球状シリカ粒子を純水に分
散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製
粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したと
ころ、20μm以上の粒径の粒子は全体の0.0%であり、
1μm以下の粒径の粒子が全体の0.0%であった。目開き4
5μmの標準篩を用いて湿式手篩法を実施したところ篩上
が全体の2ppmであった。FT−IRにより3740cm-1
測定したシラノール基の含有量は1μmol/gであっ
た。この球状シリカ粒子を使用して実施例1と同じ方法
で、エポキシ樹脂組成物を作成し評価した結果を表1に
示す。比較例1ではシランカップリング剤と反応できる
シラノールが十分残っていなかったため、シランカップ
リング剤を添加しても球状シリカ粒子樹脂間の化学結合
は十分生成せず、耐湿性のない硬化物となった。
【0035】
【比較例2】市販の小粒径球状シリカを使用して実施例
1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物を作成し評価した
結果を表1に示す。樹脂組成物はほとんど混練不可なほ
ど粘度が高く、流動性試験では全く間隙に入らなかっ
た。この球状シリカ粒子を純水に分散してレーザー回折
式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計LA50
0)によって粒度分布を測定したところ、20μm以上
の粒径の粒子数は全体の0.0%だったが、1μm以下の粒
径の粒子が全体の26.3%であった。また、目開き45μmの
標準篩を用いて湿式手篩法を実施したところ篩上が全体
の20ppmであった。FT−IRにより3740cm-1で測定し
たシラノール基の含有量は1μmol/gであった。
【0036】
【比較例3】市販の球状シリカを使用して実施例1と同
じ方法で、エポキシ樹脂組成物を作成し評価した結果を
表1に示す。流動性試験では途中で樹脂組成物が詰まり
出口に到達しなかった。この球状シリカ粒子を純水に分
散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製
粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したと
ころ、20μm以上の粒径の粒子数は全体の1.2%であ
り、1μm以下の粒径の粒子数が全体の0.0%であった。
目開き45μmの標準篩を用いて湿式手篩法を実施したと
ころ篩上が全体の8000ppmであった。FT−IRにより3
740cm-1で測定したシラノール基の含有量は1μmol/g
であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の球状シリカ粒子を樹脂に配合す
ると、得られる樹脂組成物の流動性が高く、硬化物は機
械的特性に優れる。特に、本発明の球状シリカ組成物を
エポキシ樹脂に配合したエポキシ樹脂組成物は、流動性
に優れ、高充填が可能である。また、得られる硬化物は
機械的特性及び耐湿信頼性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G072 AA25 BB07 DD03 DD04 GG01 UU07 4J002 BB001 BB021 BB111 BD031 BG001 CD001 CD031 CD051 CD061 CF001 CF061 CL001 CM041 CP031 DJ016 FA086 FD016 GQ05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)〜(4)の特徴を兼ね備えた球状シリ
    カ粒子。 (1) 20μm以上の粒径の粒子が体積基準で全体の0.1%以
    下。 (2) 1μm以下の粒径の粒子数が全体の0.1%以下。 (3) 目開き45μmの標準篩を用いた湿式手篩法の篩上が
    全体の30ppm以下。 (4) 赤外吸収分光法で3740cm-1付近に吸収波長を持つ孤
    立シラノール基が6μmol/g以上2mmol/g以下。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の球状シリカ粒子を充填材
    として含有することを特徴とする樹脂組成物。
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