JP2012227449A - 非晶質シリカ粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性樹脂に添加して半導体用封止材とした際に流動性の低下やボイドの発生を確実に抑制でき、製造ロットに拘らず好適に半導体用封止材に用いることができる非晶質シリカ粒子を提供する。
【解決手段】本発明の非晶質シリカ粒子は、半導体用封止材に用いる非晶質シリカ粒子であって、粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)を、BET法により測定される粒子の比表面積(m/g)で除することで求められる単位表面積あたりのシラノール基量が、0.010mmol/m以上、0.065mmol/m以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、アンダーフィル材等の半導体用封止材に好適に用いることができる非晶質シリカ粒子に関するものである。
従来から、アンダーフィル材等の半導体用封止材として用いられる硬化性樹脂組成物の充填材として、シリカ粒子が汎用されている。
近年、電子機器の小型化、高機能化が益々進展するなか、電気機器に搭載される電子部品のアンダーフィル実装においては高密度実装、微細配線化、低ギャップ化が図られており、これに伴い半導体用封止材に用いるシリカ粒子には、粒度分布がシャープであること、すなわち粒子径の変動係数が小さいことが求められるようになっている。
シリカ粒子の製造方法としては、溶融法や気相法等の方法も知られているが、特に粒度分布がシャープなシリカ粒子を得るうえでは、シリコンアルコキシド(アルコキシシラン)を加水分解、縮合させる方法(加水分解法)が好ましく採用されてきた。加水分解法としては、例えば、シリコンアルコキシドを加水分解、縮合することによりシリカ粒子の分散液を得、これを濃縮することなく又はある程度濃縮した後、真空乾燥し、必要に応じて解砕を経て、所定の温度で焼成する方法が一般的である(例えば特許文献1〜3)。ここで、加水分解、縮合させる際の反応温度は、通常、室温からせいぜい40℃程度で行われる。これは、反応温度をそれ以上に高くすると、反応速度が速くなって粒子の成長が不充分となり、極めて微細な粒子しか得られないからである。また反応で得られた分散液の濃縮は、生産効率およびエネルギーコスト低減等の観点から、減圧下にて比較的低温で行うのが通常であった。
特開2008−137854号公報 特開2003−176121号公報 特開2010−228997号公報
しかしながら、上述した加水分解法で得られたシリカ粒子をエポキシ樹脂等の樹脂成分に添加して硬化性樹脂組成物とした場合、樹脂成分への分散が不充分になりやすく、そのため流動性が低下して、高密度実装などのアンダーフィル実装に用いた際に充填しにくくなることがあった。さらに上述した加水分解法で得られたシリカ粒子を用いると、硬化時にエポキシ樹脂の重合度が低下してガスを発生しやすく、そのためボイドが生じ、硬化物の耐久性を低下させることもあった。しかも、このような流動性の低下やボイドの発生といった不良の発生率が製造ロットによって異なり、より確実に不良を防止することが求められる。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、硬化性樹脂に添加して半導体用封止材とした際に流動性の低下やボイドの発生を確実に抑制でき、製造ロットに拘らず好適に半導体用封止材に用いることができる非晶質シリカ粒子と、これを用いた半導体用封止材とを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、流動性の低下やボイドの発生に影響を及ぼす要因として、シラノール基の量が関与していることが解った。詳しくは、シラノール基が多すぎると、該シラノール基が硬化時にエポキシ樹脂の重合を阻害し、その結果ガスが副生してボイドの原因となり、一方、シラノール基が少なすぎると、シリカ粒子の樹脂成分への分散性が悪くなり、その結果、流動性を損なうことになるのである。そこで、シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量を特定の範囲に制御すれば、硬化性樹脂に添加して半導体用封止材とする際に、流動性の低下やボイドの発生を抑制できることを見出した。さらに、前記シラノール基の中でも、シリカ粒子の表面に存在するシラノール基が上記現象に大きな影響を与えており、この表面のシラノール基を特定して制御することで、流動性の低下やボイドの発生を確実に抑制し、ロット間のぶれも抑制できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明に係る非晶質シリカ粒子は、半導体用封止材に用いる非晶質シリカ粒子であって、粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)を、BET法により測定される粒子の比表面積(m/g)で除することで求められる単位表面積あたりのシラノール基量が、0.010mmol/m以上、0.065mmol/m以下であることを特徴とする。かかる本発明の非晶質シリカ粒子においては、平均粒子径が0.45μm以下であることが好ましく、粒子径の変動係数が15%未満であることが好ましい。
本発明の半導体用封止材は、上記本発明の非晶質シリカ粒子と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有することを特徴とする。かかる本発明の半導体用封止材においては、前記硬化剤が酸無水物系硬化剤であることが好ましく、前記非晶質シリカ粒子は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部以上の割合で含有されることが好ましい。
本発明によれば、非晶質シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量が特定範囲であるので、硬化性樹脂に添加して半導体用封止材とした際に流動性の低下やボイドの発生を製造ロットによらず確実に抑制できる。したがって、本発明の非晶質シリカ粒子は、好適に半導体用封止材に用いることができる。
本発明に係る非晶質シリカ粒子は、粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)を粒子の比表面積(m/g)で除することで求められる単位表面積あたりのシラノール基量が、0.010mmol/m以上、0.065mmol/m以下であることを特徴とする。シラノール基は、シリカ粒子を半導体用封止材に用いた際の流動性やボイドの発生に影響を及ぼすものであり、特にシリカ粒子表面に存在するシラノール基が大きな影響を及ぼす。本発明では、この表面のシラノール基量を0.010mmol/m以上にすることにより、シリカ粒子の樹脂成分への分散性を高め、充分な流動性を発現させることができる。また表面のシラノール基量を0.065mmol/m以下とすることにより、硬化時にガスが副生するのを回避し、ボイドの発生を抑制することができる。単位表面積あたりのシラノール基量は、好ましくは0.020mmol/m以上、より好ましくは0.025mmol/m以上であり、好ましくは0.060mmol/m以下、より好ましくは0.055mmol/m以下、より好ましくは0.050mmol/m以下である。
本発明において、粒子表面のシラノール基濃度は、例えば水素化リチウムアルミニウム法により測定することができる。ここで水素化リチウムアルミニウム法とは、非晶質シリカ粒子を所定の条件(例えば、圧力6.6kPa以下、温度120℃、1時間以上)で充分に乾燥した後、溶媒(例えばジオキサンなど)中で水素化リチウムアルミニウムと反応させ、発生する水素量を測定することにより、シラノール基濃度を定量する方法である。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定すればよい。
前記粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)は、単位表面積あたりのシラノール基量が前記範囲を満足しうるよう適宜設定すればよいのであるが、例えば、0.01mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.05mmol/g以上であり、0.60mmol/g以下が好ましく、より好ましくは0.50mmol/g以下である。
本発明において、前記粒子の比表面積(m/g)は、BET法により測定することができる。BET法は、気相吸着法による粒子の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。
前記粒子の比表面積(m/g)は、単位表面積あたりのシラノール基量が前記範囲を満足しうるよう適宜設定すればよく、例えば、0.5m/g以上が好ましく、より好ましくは1.0m/g以上であり、200m/g以下が好ましく、より好ましくは100m/g以下であり、さらに好ましくは、50m/g以下であり、一層好ましくは、30m/g以下である。
本発明の非晶質シリカ粒子は、平均粒子径が3μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、最も好ましくは0.45μm以下である。シリカ粒子の平均粒子径が大きすぎると、高密度実装などのアンダーフィル実装にアンダーフィル材としてシリカ粒子を含む硬化性樹脂組成物を使用する際に、充填しにくくなる場合がある。ただし、シリカ粒子の平均粒子径があまりに小さすぎると、凝集しやすくなり、一次粒子に解砕することが困難になる場合があるので、シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上である。なお、上記平均粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、例えば後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の非晶質シリカ粒子は、粒子径の変動係数が15%未満であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。このように変動係数が小さいことにより、高密度実装などのアンダーフィル実装にも好適に使用できる。例えば後述のように作製した本発明の非晶質シリカ粒子は、粒度分布がシャープであり、前記範囲の変動係数を実現できる。変動係数の下限は、特に制限されないが、通常1%以上、好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。なお、変動係数は、例えば後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の非晶質シリカ粒子は、例えば加水分解法によって製造可能である。加水分解法によれば、粒度分布を狭小化できる。しかも本発明では、後述する湿式加熱処理を施すとともに、特定の条件(8kPa以下、150℃以上)で乾燥し、特定温度(900〜1100℃)で焼成する。これにより、得られる非晶質シリカ粒子は、単位表面積あたりのシラノール基量が前記範囲に制御されたものとなる。具体的には、例えば、シリコンアルコキシドを加水分解縮合反応させてシリカ粒子を生じさせる工程と、前記反応で生じた粒子を液体媒体中で60℃以上の温度にて湿式加熱処理する工程と、前記湿式加熱処理後の粒子を150℃以上、8kPa以下の低圧条件下で乾燥する工程と、前記乾燥後の粒子を900℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程とを含む。以下、この好ましい非晶質シリカ粒子の製造方法の一例を、製造工程順に説明する。
(シリコンアルコキシドの加水分解縮合工程)
本発明の非晶質シリカ粒子を得るには、まず、シリコンアルコキシドの加水分解縮合反応を行い、シリカ粒子を生じさせる。加水分解縮合は、水単独もしくは水と有機溶剤とからなる溶媒の中で、必要に応じて触媒(例えば、アンモニア、尿素、アミン類等)を存在させながらシリコンアルコキシドを撹拌することで進行する。この結果、球状のシリカ粒子を液体媒体(溶媒)中に分散した状態(分散液)で得ることができる。
前記シリコンアルコキシドは、1分子中に少なくとも2個以上(好ましくは3個以上、特に4個)のアルコキシ基(特にC1−4アルコキシ基)を有する多官能アルコキシシランであればよい。ただし、シリコンアルコキシドは、アルコキシ基以外の基として、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;などの非反応性基を有していてもよい。このようなシリコンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等の4官能アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の3官能アルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン;等の公知のアルコキシシランが挙げられる。球状で粒子径の揃ったシリカ粒子を得るためには、シリコンアルコキシドとして、4官能アルコキシシランおよび3官能アルコキシシランの少なくとも1種を用いることが好ましく、4官能アルコキシシランがさらに好ましい。なお、シリコンアルコキシドとしては、前記多官能アルコキシシランとともに、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等の単官能アルコキシシランを併用してもよい。シリコンアルコキシドは、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
溶媒は、水単独でもよいが、粒子径の揃ったシリカを得るためには、シリコンアルコキシドを溶解させるうえで有機溶剤を含むことが好ましい。前記有機溶剤としては、親水性のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、反応後に行う乾燥時の乾燥効率の観点からは、沸点が低いもの(例えば常圧での沸点が120℃以下)が好ましく、具体的には炭素数1以上4以下の脂肪族鎖状アルコールがより好ましい。また乾燥時の二次凝集の原因となりやすい水を留去しやすくするためにはn−ブタノールやプロパノール等の水と共沸する有機溶剤が好ましい。有機溶剤は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なお、溶媒中の有機溶剤の含有割合は、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
シリコンアルコキシドの使用量は、加水分解縮合反応を行うために用いた溶媒、シリコンアルコキシドおよび必要に応じて用いられる触媒の総容量(仕込み量)に対する、用いたシリコンアルコキシドの濃度(Si濃度)が、0.5mol/L以上4mol/L以下(下限はより好ましくは1.0mol/L以上、さらに好ましくは1.2mol/L以上、特に好ましくは1.5mol/L以上、上限はより好ましくは3.5mol/L以下、さらに好ましくは3mol/L以下、一層好ましくは2.5mol/L以下、特に好ましくは2mol/L以下)となる範囲にすることが好ましい。特に原料仕込み時のシリコンアルコキシド濃度を1.0mol/L以上とすると、単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲により制御しやすくなる。
同様に、水の濃度(すなわち、加水分解縮合反応を行うために用いた溶媒、シリコンアルコキシドおよび必要に応じて用いられる触媒の総容量(仕込み量)に対する、用いた水の濃度)は、2mol/L以上25mol/L以下(より好ましくは3mol/L以上、さらに好ましくは4mol/L以上、一層好ましくは5mol/L以上、より好ましくは20mol/L以下、さらに好ましくは10mol/L以下)とすることが好ましい。また同様に触媒の濃度(すなわち、加水分解縮合反応を行うために用いた溶媒、シリコンアルコキシドおよび必要に応じて用いられる触媒の総容量(仕込み量)に対する、用いた触媒の濃度)は、0.5mol/L以上10mol/L以下(より好ましくは1mol/L以上5mol/L以下、さらに好ましくは1mol/L以上3mol/L以下)とすることが好ましい。なお、アンモニア水を用いた場合、用いたアンモニア水に含有されるアンモニアは触媒として、含有される水は水として、濃度計算を行うものとする。
溶媒(有機溶剤、水)、シリコンアルコキシド、および必要により触媒などは、例えば、始めに一括して混合してもよく(態様1)、有機溶剤の一部、水および触媒を予め混合した後、さらに有機溶剤とシリコンアルコキシドとの混合液を追加(特に滴下)してもよく(態様2)、特に前記態様2が好適である。シリコンアルコキシドをゆっくりと加水分解、縮合反応に供することにより、加水分解縮合反応を充分に進行させることができるので、シラノール基の制御がしやすくなる。
シリコンアルコキシドの加水分解縮合反応は、60℃未満の温度で行うことが好ましく、より好ましく55℃以下、さらに好ましくは50℃以下の温度で行うのがよい。これにより、反応速度を制御することができるので、粒子を充分に成長させて所望の粒子径のシリカ粒子を得ることが可能になる。特に、加水分解縮合工程において縮合性基の少ないシリカ粒子を得るには、加水分解縮合反応の温度を35℃以下に制御することが好ましい。反応温度を35℃以下とすることで、未反応縮合性基の少ないシリカ粒子が得られ易くなり、一連の後工程(湿式加熱処理工程、乾燥工程、焼成工程)を経て得られる非晶質シリカ粒子においても単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲により制御しやすくなる。例えば平均粒子径が0.50μm以下(好適には0.30μm以下)であるような粒子径が微細なシリカ粒子を得る場合には、粒子径制御の観点から、反応温度を高くして粒子核を高濃度に発生させる方が有利になることもある。そのような場合でも加水分解縮合反応の温度を35℃以下に制御することが好ましい。加水分解縮合の際の反応温度の下限は、特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。なお、加水分解縮合の際の反応時間は、反応温度等に応じて、例えば30分以上100時間以下の間で適宜設定すればよい。
(湿式加熱処理工程)
前記加水分解縮合反応で生じたシリカ粒子には、次いで液体媒体中で60℃以上の温度にて加熱する湿式加熱処理が施される。後述する特定条件での乾燥および特定温度での焼成とともに該湿式加熱処理を施すことにより、得られる非晶質シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲に制御することができる。この湿式加熱処理は、通常、前記加水分解縮合反応で得られた反応液(シリカ粒子が液体媒体(溶媒)中に分散した分散液)を加熱することにより行われるが、これに限定されるものではなく、例えば、前記加水分解縮合反応で生じたシリカ粒子を乾燥や焼成を経て一旦単離した後、再び適当な液体媒体(溶媒)に分散させて加熱するようにしてもよい。ただし、反応液をそのまま加熱するか、あるいは反応液から分離したシリカ粒子を乾燥することなく湿式加熱処理に供する方が、シリカ粒子の反応活性が高く、湿式加熱処理による縮合性基の低減効率が高まるので好ましい。
湿式加熱処理に供する分散液(シリカ粒子が液体媒体中に分散してなる分散液)には、水が含有されていることが好ましい。さらには、分散液(シリカ粒子が液体媒体中に分散してなる分散液)には、湿式加熱処理中(換言すれば、60℃以上の液温を保持している間中)常に水が含まれていることが好ましい。具体的には、湿式加熱処理に供する分散液における好ましい水濃度は2〜10mol/L(より好ましくは2〜8mol/L)であり、さらに分散液における水濃度が処理中を通じて常に2〜10mol/L(より好ましくは2〜8mol/L)に維持されることが好ましい。湿式加熱処理の処理中を通じて常に分散液中の水濃度を上記範囲に制御することによって、縮合性基の少ないシリカ粒子が得られ易い。
湿式加熱処理に供する分散液(シリカ粒子が液体媒体中に分散してなる分散液)には、上述したアンモニアやアミン類などの加水分解触媒が含有されていることが好ましい。具体的には、湿式加熱処理に供する分散液(反応液)における触媒濃度は、1〜5mol/Lであることが好ましく、さらに好ましくは1〜3mol/Lである。また、湿式加熱処理の完了時(すなわち、液温が60℃未満となった時)においては、触媒が0.5mol/L以下まで低減されていることが好ましい。湿式加熱処理の完了時の触媒濃度が前記範囲まで低減されていると、湿式加熱処理において縮合性基の縮合により生成したシロキサン結合の再切断が抑制される。
湿式加熱処理に供する分散液(シリカ粒子が液体媒体中に分散してなる分散液)におけるシリカ粒子の濃度は、ケイ素(Si)濃度で表して、好ましくは1mol/L以上であり、より好ましくは1.2mol/L以上、特に好ましくは1.5mol/L以上である。一方、好ましい上限は、3.0mol/L以下であり、より好ましくは2.0mol/L以下である。また、湿式加熱処理の完了時(すなわち、液温が60℃未満となった時)においては、シリカ粒子の濃度は、ケイ素(Si)濃度で表して、通常1〜4mol/Lである。
なお、湿式加熱処理に供する分散液における、水の濃度、触媒の濃度、シリカ粒子の濃度(ケイ素濃度)は、水及び触媒の濃度に関しては滴定法により測定することができる。またケイ素濃度は仕込み組成からの理論計算によって算出することができる。
湿式加熱処理における加熱温度は、少なくとも60℃以上であればよく、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは75℃以上である。湿式加熱処理における加熱温度の上限は、外部加熱供給源の省エネルギー化の観点、並びに、常圧でも水や触媒を共存させ易い観点からは、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは100℃以下である。
湿式加熱処理は、常圧下、減圧下あるいは加圧下のいずれで行ってもよく、加熱温度(液温)を前記範囲に維持できる範囲で、反応液からの溶媒や触媒の留去の程度等を考慮し、適宜選択すればよい。なお、湿式加熱処理の際の雰囲気は特に制限はなく、例えば空気雰囲気や窒素ガス雰囲気で行うことができる。
(乾燥工程)
前記湿式加熱処理後の分散液は、次いで乾燥に供される。乾燥の方法は、特に限定されるものではないが、得られる非晶質シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲に制御するうえでは、圧力(後述する真空瞬間乾燥装置の場合には、加熱管内部の圧力)8kPa以下、加熱温度(後述する真空瞬間乾燥装置の場合には、加熱管の温度)150℃以上の条件で行う真空乾燥が好ましい。焼成に先立ちかかる特定条件での乾燥を施すことにより、シラノール基の残留/生成要因となる水分やアルコールを低減させることができ、得られる非晶質シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲に制御することができる。特に、後述する構成を備えた真空瞬間乾燥装置を用いた真空乾燥がより好ましい。
前記真空乾燥における圧力は、より好ましくは7.5kPa以下、さらに好ましくは7kPa以下であり、その下限は6kPa以上が好ましい。また前記真空乾燥における加熱温度は、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、その上限は200℃以下が好ましく、より好ましくは190℃以下である。
乾燥には、前記湿式加熱処理後の分散液をそのまま供してもよいし、例えば前記湿式加熱処理の後にさらに分散液を濃縮したり、逆に溶媒(水または有機溶剤)を加えたりすることによりシリカ粒子の濃度や溶媒組成を調整した後、乾燥に供するようにしてもよい。例えば、乾燥に供する分散液100質量%中、シリカ粒子の含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。シリカ粒子の含有量が5質量%以上であれば、気化、蒸発させる溶媒成分が少量となるので乾燥効率が向上し、40質量%以下であれば、例えば後述する真空瞬間乾燥装置を用いた場合などに加熱管内がシリカ粒子によって閉塞するのを回避できる。また、シリカ粒子の二次凝集を抑制するうえでは、乾燥に供する分散液に含まれる有機溶剤の割合が高く水分の割合が低い溶媒組成に調整しておくことが望ましい。この場合、具体的には、分散液を構成する溶媒のトータル量を100質量%としたときに、水以外の有機溶剤の量が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましい。
以下、乾燥工程で好ましく用いられる真空瞬間乾燥装置について説明する。真空瞬間乾燥装置は、例えば、外部加熱され減圧に保持された加熱管の一端が被乾燥物(分散液)の供給部に接続され、他端が減圧に保持された粉体捕集室に接続され、前記加熱管が直管とエルボが交互に連結された構成を有する。かかる装置では、分散液が減圧に保持された加熱管内部を移送されている間に加熱され、分散液中の溶媒の一部または全部が揮散すると共に、減圧に保持された粉体捕集室にシリカ粒子が捕集され、溶媒が残存している場合は、さらに乾燥処理される。外部加熱された加熱管の温度は、溶媒の沸点に応じて適宜設定すればよいが、通常150℃以上200℃以下程度が好ましい。粉体捕集室の温度は特に限定されないが、残存溶媒を除くためには加熱管の場合と同様、150℃以上200℃以下程度が好ましい。加熱管内部および粉体捕集室内部の圧力は、6kPa以上27kPa以下(ゲージ圧)程度が好ましい。また分散液を供給部から加熱管に供給する際の供給速度は、1L/時間以上50L/時間以下の範囲とすることが好ましい。
(焼成工程)
前記乾燥工程を経て粉体状となった乾燥後のシリカ粒子には、通常、900℃以上1100℃以下の温度で焼成が施される。上述した湿式加熱処理および特定条件での乾燥ともに当該焼成を施すことにより、得られる非晶質シリカ粒子の単位表面積あたりのシラノール基量を前記範囲に制御することができる。焼成温度が900℃未満であると、表面のシラノール基が残存しやすくなり、その結果ボイドの発生を招く虞がある。一方、焼成温度が1100℃を超えると、逆に表面のシラノール基が減りすぎて、樹脂成分への分散性を損なう虞がある。焼成温度は、好ましくは950℃以上、さらに好ましくは1000℃以上であり、好ましくは1090℃以下、さらに好ましくは1050℃以下である。焼成時間は、焼成温度やシリカ粒子の粒子径等に応じて適宜設定すればよいが、通常1時間程度で充分である。焼成時の雰囲気についても特に制限はないが、酸化性雰囲気、たとえば空気雰囲気が好ましい。
前記焼成を経て得られたシリカ粒子には、二次凝集粒子を一次粒子にまで解砕するために、必要に応じて粉砕処理を施してもよい。粉砕処理には、例えばハンマーミル、スクリーンミル、ディスクピンミルなどの高速回転ミル;ターボミル、コスモマイザーなどの分級機内蔵型高速回転ミル;カウンタージェットミル、ジェットミルなどの気流式粉砕機;など公知の粉砕機や解砕機を用いればよい。なお、粉砕後の非晶質シリカ粒子は、さらに分級することもできる。
さらに本発明の非晶質シリカ粒子は、シランカップリング剤により表面処理されていることが好ましい。表面処理によりシランカップリング剤が有する有機基で粒子表面が被覆されていれば、硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)への分散性が良好となり、半導体用封止材としての流動性も向上する。なお、シランカップリング剤による表面処理は、前記粉砕処理を施す前に予め焼成後の粒子をシランカップリング剤と混合して加熱することで行ってもよいし、あるいは、シランカップリング剤の存在下で粉砕処理することで粉砕処理と表面処理とを同時に行うようにしてもよい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシランなどのビニル基含有アルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシ基含有アルコキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリロキシ基含有アルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシランなどのアルコキシシラン化合物;3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルジシラザンリチウム、ヘキサメチルジシラザンナトリウム、ヘキサメチルジシラザンカリウムなどのシラザン類;1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、2−(ジメチルシリル)ピリジン、クロロジイソプロピルシラン、クロロジメチルシラン、ジ−tert−ブチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエチルシラン、ジメトキシ(メチル)シラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、フェニルシラン、N,O−ビス(ジエチルヒドロゲンシリル)トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルジメチルシラン、テトラキス(ジメチルシリル)シラン、トリベンジルシラン、トリブチルシラン、トリエトキシシラン、トリエチルシラン、トリヘキシルシラン、トリイソプロピルシラン、トリフェニルシラン、トリス(トリメチルシリル)シランなどのシラン(Si−H)化合物;などが挙げられる。これらの中でも、樹脂への分散性をより向上できることから、シラザン類、ビニル基含有アルコキシシラン、エポキシ基含有アルコキシシランが好ましい。シランカップリング剤は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明の非晶質シリカ粒子は、半導体用封止材に用いる非晶質シリカ粒子である。詳しくは、本発明の非晶質シリカは、エポキシ樹脂等の樹脂成分を含有する硬化性樹脂組成物に充填剤として配合される。
本発明の非晶質シリカ粒子は、半導体用封止材の中でも特にアンダーフィル材として好適に使用される。アンダーフィル材とは、半導体用封止材の中でも、特に被封止物の隙間(例えば、半導体チップと基板との隙間、ハンダボール間の隙間)に充填する硬化性樹脂組成物である。このようなアンダーフィル材には、被封止物の微細な隙間へと充分に流し込めること;充分に硬化して物理的応力に対して接続信頼性が確保できること;などの性能が求められる。上述したように本発明の非晶質シリカ粒子は、ボイドの発生や経時的な増粘を抑制しうるものであるので、被封止物の微細な隙間へ充分に流し込めるだけの流動性を確保し、物理的応力に対する接続信頼性にも優れたアンダーフィル材を提供できる。
以下、半導体用封止材の一例として、アンダーフィル材について説明する。ただし、以下に例示する樹脂成分やその他の成分は、アンダーフィル材に独自のものではなく、半導体用封止材全般に使用できる。
アンダーフィル材中の非晶質シリカ粒子の含有量は、樹脂成分100質量部に対して50質量部以上(より好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上)、300質量部以下(より好ましくは250質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下)が好ましい。
前記樹脂成分としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特にエポキシ樹脂が、本発明の非晶質シリカ粒子の分散性に優れる点からも好ましい。
前記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ基とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含むものを意味する。特に分子内に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が好ましい。例えば、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や耐光性に優れる硬化物(封止)が得られ易い点からは、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物が好ましい。
前記芳香族エポキシ化合物とは、分子中に芳香環及びエポキシ基を有する化合物である。芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環共役系を有するグリシジル化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フルオレン系エポキシ化合物、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ化合物等が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物などがより好適である。
また、芳香族エポキシ化合物として、芳香族グリシジルエーテル化合物も好適である。芳香族グリシジルエーテル化合物としては、例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
前記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適である。脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ポリオール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるものが挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等が挙げられ、プロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有するもの等が好適である。脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、中心骨格にプロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。
前記脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基を有する化合物である。脂環式エポキシ基としては、例えば、エポキシシクロヘキサン基(エポキシシクロヘキサン骨格)、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素を介して付加したエポキシ基等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等のエポキシシクロヘキサン基を有するエポキシ化合物;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシシクロヘキサン基を有する化合物が好適である。また、硬化速度をより高めることができる点で、分子中に脂環式エポキシ基を2個以上有する多官能脂環式エポキシ化合物が好適である。また、分子中に脂環式エポキシ基を1個有し、かつビニル基等の不飽和二重結合基を有する化合物も好ましく用いられる。
前記水添エポキシ化合物とは、分子中に不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物の不飽和結合を水素添加(還元)して得られる化合物である。水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する化合物であることが好ましく、多官能グリシジルエーテル化合物が好適である。また、水添エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物であることが好ましく、より好ましくは、芳香族グリシジルエーテル化合物の水添物であり、さらに好ましくは、芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物である。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物の水添化合物である、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等が好ましい。より好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物である。
エポキシ樹脂としては、重量平均分子量が2000以下(好ましくは重量平均分子量が1000以下)の多官能エポキシ化合物を含むことが好ましい。このような所定の重量平均分子量を有する多官能エポキシ化合物の含有量は、エポキシ樹脂100質量%中、40質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
エポキシ樹脂系アンダーフィル材においては、樹脂成分であるエポキシ樹脂を硬化するために、従来公知のエポキシ樹脂用硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、付加型硬化剤として、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤等を用いることができる。なお、硬化剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸無水物系硬化剤としては、フタル酸無水物(誘導体含む)の水添物(テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸など)、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、クロレンド酸等の脂環式カルボン酸無水物;ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物等の脂肪族カルボン酸無水物;フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。
前記フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリレン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類;フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂;キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂が挙げられる。
前記アミン系硬化剤としては、脂肪族ポリアミン系硬化剤、芳香族ポリアミン系硬化剤が挙げられる。脂肪族ポリアミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジプリピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン類;N−アミノエチルピペラジン、メンセンヂアミン、イソフォロンジアミン等の環状脂肪族ポリアミン類;m−キシレンジアミン、キシリレンジアミン、キシリレンジアミン3量体等の芳香環を有する脂肪族ポリアミン類が挙げられる。また、芳香族ポリアミン系硬化剤としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられる。またアミン系硬化剤としては、ポットライフ、硬化速度、樹脂との相溶性などを調整する目的で上記のアミン系硬化剤を変性した各種変性アミンも使用できる。
特に、本発明の非晶質シリカ粒子を含有するエポキシ樹脂系アンダーフィル材において粘度を低く抑えて優れた流動性を確保するうえでは、硬化剤として、酸無水物系硬化剤を用いることが好ましく、その中でも脂環式カルボン酸無水物が好ましく、さらにはフタル酸無水物(誘導体含む)の水添物が好ましい。また、基板や銅配線、電極に対する硬化物の接着性を高めるうえでは、アミン系硬化剤が好ましい。さらにアミン系硬化剤の中では、アンダーフィル材としての流動性に優れる点から、脂肪族ポリアミンが好ましく、中でも鎖状脂肪族ポリアミンや環状脂肪族ポリアミンが好ましく、さらには環状脂肪族ポリアミンが好ましい。
前記エポキシ樹脂と前記付加型硬化剤との混合割合は、エポキシ樹脂の1化学当量に対し、前記付加型硬化剤を0.5〜1.6当量の割合とすることが好ましい。前記付加型硬化剤は、より好ましくはエポキシ樹脂の1化学当量に対し、0.7〜1.4当量、さらに好ましくは0.9〜1.2当量の割合である。
エポキシ樹脂系アンダーフィル材においては、さらに、前記硬化剤とともに従来公知の硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤としてはたとえば、有機塩基の酸塩又は3級窒素を有する芳香族化合物等が挙げられる。有機塩基の酸塩としては、有機ホスフォニウム塩や有機アンモニウム塩等の有機オニウム塩や3級窒素を有する有機塩基の酸塩が挙げられる。有機ホスフォニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスフォニウムブロミド、トリフェニルホスフィン・トルエンブロミド等のフェニル環を四つ有するホスフォニウムブロミドが挙げられ、有機アンモニウム塩としては、例えばテトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド等のテトラ(C1〜C8)アルキルアンモニウムブロミドが挙げられ、3級窒素を有する有機塩基の酸塩としては、例えば環内に3級窒素を有する脂環式塩基の有機酸塩や各種イミダゾール類の有機酸塩が挙げられる。硬化促進剤は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂と硬化剤との総量100質量%に対し、0.01質量%以上、5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03質量%以上、3質量%以下である。
なお、エポキシ樹脂系アンダーフィル材においては、上述の付加型硬化剤の代わりに、従来公知の熱カチオン硬化触媒や光カチオン硬化触媒などのカチオン硬化触媒を含有させることもできる。カチオン硬化触媒の含有量としては、エポキシ樹脂の総量100質量%に対し、0.01〜10質量%とすることが好適である。
なお、アンダーフィル材は、本発明の非晶質シリカ粒子や、上述した樹脂成分等のほか、酸化防止剤、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下の実施例、比較例において、非晶質シリカ粒子の物性の測定は下記の方法で行った。
(平均粒子径・変動係数)
任意に採取した非晶質シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、得られた写真中の任意の粒子50個について直径をノギスで測定し、個数平均値を求めた。なお、走査型電子顕微鏡写真の撮影は、写真1枚の視野の中に粒子が50〜100個となるように測定倍率を設定して(例えば、平均粒子径1μmのシリカ粒子であれば、10000倍の測定倍率に設定して)行った。
また粒子径の変動係数は、下記式により粒子径の標準偏差を求め、下記式により算出した。
Figure 2012227449
i:粒子径
ave:平均粒子径
(比表面積)
比表面積測定装置(マウンテック製「マックソーブHM model」)を用い、BET法により粒子の比表面積を測定した。具体的には、シリカ粒子0.1gを常圧にて120℃、1時間乾燥したサンプルを用い、1点窒素吸着法にて測定を行った。
(表面シラノール基濃度)
シリカ粒子を圧力6.6kPa以下、温度120℃で1時間乾燥した後、耐圧装置中で水素化リチウムアルミニウムと反応させ、THFマノメーターを用いて発生した水素量を測定し、シラノール基濃度を求めた。
(実施例1)
[加水分解縮合工程]
撹拌機、滴下装置および温度計を備えた容量20Lのガラス製反応器に、溶媒としてのメタノール770質量部と、28質量%アンモニア水(水及び触媒)268質量部とを仕込み、撹拌しながら液温を20±0.5℃に調整した。一方、滴下装置にシリコンアルコキシドとしてのテトラメトキシシラン(MS)300質量部をメタノール128質量部に溶解させておいた溶液を仕込んだ。そして、滴下装置から2時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けることにより、テトラメトキシシランの加水分解縮合反応を行った。
この反応で用いた原料の仕込み組成(メタノール、アンモニア水、水およびMSからなる混合液中のMS、水、アンモニアの濃度)は表1に示すとおりである。また上記反応により得られた分散液中の水濃度は、湿式加熱処理前の液組成として表1に示すとおりであった(なお、分散液中のSi濃度およびアンモニア濃度は仕込み組成とほぼ同じである)。
なお、分散液中の水濃度はカールフィッシャー法により測定し、分散液中のアンモニア濃度は中和滴定法により測定した(以下の水濃度、アンモニア濃度の測定についても同様)。
[湿式加熱処理工程]
次に、得られたシリカ粒子の分散液を、攪拌機および冷却管を備えた丸型フラスコに移し、常圧で攪拌しながら、150℃に保持された熱媒体により反応器外部から加熱し、液温を65℃以上(65℃〜90℃)に5時間以上保持して湿式加熱処理を施した。このとき、溶媒(メタノール)、アンモニア及び水等の一部を留去させて、表1に湿式加熱処理後の液組成として示すとおりの液組成であるスラリーを得た。なお、このスラリー(分散液)100質量%中、シリカ粒子濃度は20質量%であり、水濃度は14質量%であり、アンモニア濃度は0.5質量%であった。
[乾燥工程]
次に、得られたスラリーを真空乾燥装置で乾燥した。用いた真空乾燥装置は、内径10mm、長さ800mmの直管2本を、長さ(外周側内壁部の長さ)160mmの180゜エルボ1個で連結したSUS316製の加熱管を備え、該加熱管の一端がスラリー供給部に接続され、他端が粉体捕集室に接続されているものである。具体的には、加熱管内部および捕集室内部を50Torr(6.6kPa)の減圧とし、捕集室の温度は150℃とし、加熱管内部の温度が175℃になるように外部加熱手段により過熱水蒸気で加熱しながら、スラリー供給部から上記で得られたスラリーを供給速度20L/時間で加熱管へと供給した。これにより乾燥シリカ粒子が得られた。
[焼成工程]
次に、得られた乾燥シリカ粒子を坩堝に入れ、電気炉を用いて、空気雰囲気下で常温より昇温し、表1に示す焼成温度で1時間焼成した後、冷却、粉砕することにより、非晶質シリカ粒子(1)を得た。得られた非晶質シリカ粒子の平均粒子径、粒子径の変動係数、比表面積及び表面シラノール量は表1に示す通りであった。
(実施例2および比較例1〜4)
加水分解縮合反応における原料の仕込み組成、湿式加熱処理前後における分散液組成(処理前の水濃度、処理後のシリカ(Si換算)濃度、水濃度、アンモニア濃度)、および焼成温度が表1に示すとおりとなるよう、原料の使用量や各処理の時間(反応時間、加熱時間等)などを変更したこと以外は、実施例1と同様のプロセス(加水分解縮合工程、湿式加熱処理工程、乾燥工程、焼成工程)により、非晶質シリカ粒子(2)および(C1)〜(C4)を得た。得られた非晶質シリカ粒子の平均粒子径、粒子径の変動係数、比表面積及び表面シラノール量は表2に示す通りであった。
なお、湿式加熱処理前の分散液中のSi濃度およびアンモニア濃度は仕込み組成とほぼ同じである。
Figure 2012227449
以上の実施例、比較例で得られた非晶質シリカ粒子について下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<流動安定性(ロット間のばらつき)>
まず、非晶質シリカ粒子を含む硬化性樹脂組成物を同じ方法で10ロット作製した。すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER(登録商標)828」)100質量部と、硬化剤としての酸無水物系硬化剤(新日本理化社製「リカシッド(登録商標)MH-700G」;4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(質量比))80質量部と、硬化促進剤としてのイミダゾール系硬化促進剤1質量部とを混合した樹脂組成物を調製した。次いで、この樹脂組成物40質量部に非晶質シリカ粒子60質量部を添加、混合し、三本ロールミルを用いて分散処理することにより、硬化性樹脂組成物を作製した。
次いで、各ロットで調製した硬化性樹脂組成物について、いずれも調製後直ちに、CP−42型コーンを装着したブルックフィールド型粘度計を用いて25℃、5rpmの条件で粘度を測定した。そして、得られた10個の粘度値の平均値(Xab)を算出し、10個の粘度値の全てが平均値の±5%未満の範囲(すなわち、0.95(Xab)超、1.05(Xab)未満の範囲)に入る場合を「○」、10個の粘度値の全てが平均値±10%未満の範囲(すなわち、0.9(Xab)超、1.1(Xab)未満の範囲)に入る場合(但し、前記「○」の場合を除く)を「△」、10個の粘度値の一つ以上が平均値±10%以上の範囲(すなわち、0.9(Xab)以下、又は1.1(Xab)以上の範囲)にある場合を「×」、と評価した。
<流動性(チクソトロピー性)>
上記流動安定性の評価と同様にして硬化性樹脂組成物を作製し、任意の1ロットについて作製後直ちに、CP−42型コーンを装着したブルックフィールド型粘度計を用い25℃にて5rpmおよび50rpmの2つの条件での粘度測定を行った。そして、5rpmでの粘度と50rpmでの粘度の比(5rpmでの粘度/50rpmでの粘度)が、5未満である場合を「○」、5以上10未満である場合を「△」、10以上である場合を「×」、と評価した。
<ボイドの発生>
上記流動安定性の評価と同様にして硬化性樹脂組成物を作製し、任意の1ロットについて作製後直ちに、長さ50mm、幅10mmの2枚の離型処理されたガラス板と50μmスペーサとからなる注型用の型に注入した。注入後に、超音波探傷装置(SAT)を用いて気泡の有無を確認した。
Figure 2012227449

Claims (6)

  1. 半導体用封止材に用いる非晶質シリカ粒子であって、
    粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)を、BET法により測定される粒子の比表面積(m/g)で除することで求められる単位表面積あたりのシラノール基量が、0.010mmol/m以上、0.065mmol/m以下であることを特徴とする非晶質シリカ粒子。
  2. 平均粒子径が0.45μm以下である請求項1に記載の非晶質シリカ粒子。
  3. 粒子径の変動係数が15%未満である請求項1または2に記載の非晶質シリカ粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の非晶質シリカ粒子と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有することを特徴とする半導体用封止材。
  5. 前記硬化剤が酸無水物系硬化剤である請求項4に記載の半導体用封止材。
  6. 前記非晶質シリカ粒子は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部以上の割合で含有される請求項4または5に記載の半導体用封止材。
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