JP2002333032A - 転がり軸受 - Google Patents
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- JP2002333032A JP2002333032A JP2001138515A JP2001138515A JP2002333032A JP 2002333032 A JP2002333032 A JP 2002333032A JP 2001138515 A JP2001138515 A JP 2001138515A JP 2001138515 A JP2001138515 A JP 2001138515A JP 2002333032 A JP2002333032 A JP 2002333032A
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- bearing
- seal groove
- seal
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/72—Sealings
- F16C33/76—Sealings of ball or roller bearings
- F16C33/78—Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members
- F16C33/784—Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted to a groove in the inner surface of the outer race and extending toward the inner race
- F16C33/7843—Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted to a groove in the inner surface of the outer race and extending toward the inner race with a single annular sealing disc
- F16C33/7853—Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted to a groove in the inner surface of the outer race and extending toward the inner race with a single annular sealing disc with one or more sealing lips to contact the inner race
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C19/00—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
- F16C19/02—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
- F16C19/04—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
- F16C19/06—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Sealing Of Bearings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 シール性能のうち、外部からの異物の侵入防
止を主とし、潤滑剤の漏洩防止を2次的な目的とし、か
つ軸受運転トルクの増大を招かないようにする。 【解決手段】 ゴム状の弾性体7と芯金6とでシール部
材5が構成される。シール部材5は外輪2に固定され、
内輪1のシール溝9に対向する。弾性体7は、リップ支
持部7aと、これより延びるセンターリップ7bおよび
ダストリップ7cを有する。センターリップ7bは、シ
ール溝内側壁9bとは隙間Lを隔てて非接触とされ、シ
ール溝外側壁9cとは接触する。また、センターリップ
7bは、内周にシール溝9の平坦な底面に対して略平行
な平行部7baを有する。ダストリップ7cは、シール
溝9よりも軸受外側の肩部外周面1cに対向する部分を
有し、肩部外周面1cとの間に隙間を形成する。
止を主とし、潤滑剤の漏洩防止を2次的な目的とし、か
つ軸受運転トルクの増大を招かないようにする。 【解決手段】 ゴム状の弾性体7と芯金6とでシール部
材5が構成される。シール部材5は外輪2に固定され、
内輪1のシール溝9に対向する。弾性体7は、リップ支
持部7aと、これより延びるセンターリップ7bおよび
ダストリップ7cを有する。センターリップ7bは、シ
ール溝内側壁9bとは隙間Lを隔てて非接触とされ、シ
ール溝外側壁9cとは接触する。また、センターリップ
7bは、内周にシール溝9の平坦な底面に対して略平行
な平行部7baを有する。ダストリップ7cは、シール
溝9よりも軸受外側の肩部外周面1cに対向する部分を
有し、肩部外周面1cとの間に隙間を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シール付きの転
がり軸受、例えば一般産業用あるいは自動車のアイドラ
プーリやタイミングベルト用プーリ等に用いられる転が
り軸受に関する。
がり軸受、例えば一般産業用あるいは自動車のアイドラ
プーリやタイミングベルト用プーリ等に用いられる転が
り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】シール付
きの転がり軸受は潤滑剤が封入されており、外部からの
潤滑の必要がないことから広く使用され、多くのシール
が案出,実用化されている。シールに要求される性能
は,外部からの異物の侵入と軸受内部に封入されている
潤滑剤の漏洩を防ぐことにある。また、近年、軸受に対
する省燃費( 低トルク化),小型, 高性能化の要求がま
すます強くなっている。特に、シール設計においては、
軸受運転トルクの増大を招かないように、シールリップ
の接触を軽微に保ちながら、一方ではシール性能を向上
させていく必要がある。一般的には高密封シールほどシ
ール部の接触抵抗が大きいことから、軸受摩擦トルクが
大きくなるという問題があり、厳しい運転条件では密封
性と低トルク化の両者を満足させるシールの開発が課題
となっている。
きの転がり軸受は潤滑剤が封入されており、外部からの
潤滑の必要がないことから広く使用され、多くのシール
が案出,実用化されている。シールに要求される性能
は,外部からの異物の侵入と軸受内部に封入されている
潤滑剤の漏洩を防ぐことにある。また、近年、軸受に対
する省燃費( 低トルク化),小型, 高性能化の要求がま
すます強くなっている。特に、シール設計においては、
軸受運転トルクの増大を招かないように、シールリップ
の接触を軽微に保ちながら、一方ではシール性能を向上
させていく必要がある。一般的には高密封シールほどシ
ール部の接触抵抗が大きいことから、軸受摩擦トルクが
大きくなるという問題があり、厳しい運転条件では密封
性と低トルク化の両者を満足させるシールの開発が課題
となっている。
【0003】従来技術の一つとして、特開昭55-63010が
ある。この従来例は、内側リップと外側リップおよび中
間リップで構成されているもので、中間リップは先端が
二つに分かれており、少なくとも一方がシール溝の側壁
と接触して中間密封部を形成するシール構成とされてい
る。このように4枚のリップで構成されているものであ
り、従来行われた種々の実験において、シールリップ枚
数が多いほど、シール性能が優れることが確かめられて
おり、シール性能向上という目的は達成することができ
ている。しかしながら、シールは外輪のシール取付溝に
圧入されて軸受に組立てられることから、金属同士の圧
入のように精度良く組立てることは困難である。また、
シールが挿入される外輪のシール取付溝や、シールと相
対回転する内輪のシール溝は、コスト低減のために旋削
加工仕上が多く、寸法精度をμmのオーダーで加工する
のは困難である。自動車のアイドラプーリのような使用
個所によっては、外輪回転で使われる例もあり、その場
合はベルトの振動により外輪が軸方向に変位することに
よって、静的には非接触であったシールリップが内輪と
の間で接触する場合が生じ、軸受摩擦損失の増大を招く
ことを考慮しなければならない。上記したように、シー
ルが挿入される外輪シール取付溝精度、シール本体の製
作精度、内輪シール溝精度、運転時の軸方向振動をすべ
て考慮した場合、運転トルクを低い値に留めたままで所
定のシール性能を発揮させることは、シールリップ枚数
を増すほど困難となってくる。この従来例の場合、中間
リップの先端を2方向に分けることは、接触するリップ
の締め代管理と、もう一方のリップとの相対距離の管理
が大量生産の場合の課題となり、低摩擦損失と高シール
性の両方を満足させることが困難となる。
ある。この従来例は、内側リップと外側リップおよび中
間リップで構成されているもので、中間リップは先端が
二つに分かれており、少なくとも一方がシール溝の側壁
と接触して中間密封部を形成するシール構成とされてい
る。このように4枚のリップで構成されているものであ
り、従来行われた種々の実験において、シールリップ枚
数が多いほど、シール性能が優れることが確かめられて
おり、シール性能向上という目的は達成することができ
ている。しかしながら、シールは外輪のシール取付溝に
圧入されて軸受に組立てられることから、金属同士の圧
入のように精度良く組立てることは困難である。また、
シールが挿入される外輪のシール取付溝や、シールと相
対回転する内輪のシール溝は、コスト低減のために旋削
加工仕上が多く、寸法精度をμmのオーダーで加工する
のは困難である。自動車のアイドラプーリのような使用
個所によっては、外輪回転で使われる例もあり、その場
合はベルトの振動により外輪が軸方向に変位することに
よって、静的には非接触であったシールリップが内輪と
の間で接触する場合が生じ、軸受摩擦損失の増大を招く
ことを考慮しなければならない。上記したように、シー
ルが挿入される外輪シール取付溝精度、シール本体の製
作精度、内輪シール溝精度、運転時の軸方向振動をすべ
て考慮した場合、運転トルクを低い値に留めたままで所
定のシール性能を発揮させることは、シールリップ枚数
を増すほど困難となってくる。この従来例の場合、中間
リップの先端を2方向に分けることは、接触するリップ
の締め代管理と、もう一方のリップとの相対距離の管理
が大量生産の場合の課題となり、低摩擦損失と高シール
性の両方を満足させることが困難となる。
【0004】他の従来技術としては、実公昭59-36735
(実開昭55-140124 )に示す技術がある。これは上記の
特開昭55-63010の4枚リップ構造とは異なり、3枚リッ
プ構造で構成されているもので、第2リップと第3リッ
プとの間にグリースポケットを形成し、これによってグ
リースの流出を防止して、外部からごみや異物の侵入を
防止するものである。この従来例では、リップを3枚と
することで上記の特開昭55-63010の技術的課題である摩
擦損失に係わる製作公差に関しては解決されている。し
かしながら、この従来例ではシールの固定されている外
輪が軸方向に変位した場合、内輪シール溝外側壁に接触
し、単独に可動できる第3リップが接触した状態で、グ
リースポケットを形成している第2リップが内輪と相対
的に接触する場合が生じる。そのため、2枚のリップが
接触することが起こることがあり、結果的にシールの接
触トルクが増大して低摩擦化が達成できない場合が生じ
るという問題がある。
(実開昭55-140124 )に示す技術がある。これは上記の
特開昭55-63010の4枚リップ構造とは異なり、3枚リッ
プ構造で構成されているもので、第2リップと第3リッ
プとの間にグリースポケットを形成し、これによってグ
リースの流出を防止して、外部からごみや異物の侵入を
防止するものである。この従来例では、リップを3枚と
することで上記の特開昭55-63010の技術的課題である摩
擦損失に係わる製作公差に関しては解決されている。し
かしながら、この従来例ではシールの固定されている外
輪が軸方向に変位した場合、内輪シール溝外側壁に接触
し、単独に可動できる第3リップが接触した状態で、グ
リースポケットを形成している第2リップが内輪と相対
的に接触する場合が生じる。そのため、2枚のリップが
接触することが起こることがあり、結果的にシールの接
触トルクが増大して低摩擦化が達成できない場合が生じ
るという問題がある。
【0005】3枚リップの他の従来技術としては,実開
平2-2526に示す技術がある。これは軸方向の外方に向っ
て延びた外側リップ、軸方向の内方に延びた内側リッ
プ、外側リップと内側リップの両リップ間に径方向に延
びた中間リップとを有した構造であり、2つのくびれ部
を持つことでリップの追従性を向上させたものである。
この従来例では、内側リップと外側リップが内輪と接触
するために、シールの接触トルクが増大するという問題
がある。また、中間リップは底壁と微小のシールすきま
をもって、ラピリンス密封部を形成している。このよう
に内輪シール溝底壁部とシールリップが対向する部分に
ラピリンス密封部を設けると、半径方向のすきま管理が
困難になるという問題が生じる。
平2-2526に示す技術がある。これは軸方向の外方に向っ
て延びた外側リップ、軸方向の内方に延びた内側リッ
プ、外側リップと内側リップの両リップ間に径方向に延
びた中間リップとを有した構造であり、2つのくびれ部
を持つことでリップの追従性を向上させたものである。
この従来例では、内側リップと外側リップが内輪と接触
するために、シールの接触トルクが増大するという問題
がある。また、中間リップは底壁と微小のシールすきま
をもって、ラピリンス密封部を形成している。このよう
に内輪シール溝底壁部とシールリップが対向する部分に
ラピリンス密封部を設けると、半径方向のすきま管理が
困難になるという問題が生じる。
【0006】3枚リップのさらに他の従来技術として
は、実公平6-27859(特開平4-5514)に示す技術がある。
これは内輪側端外周面と隙間を介して対向する外方リッ
プ、内輪周溝の外側側壁に接する中央リップ、および先
端が周溝内に没入する内方リップの3枚リップで構成さ
れ、各リップを独立に変位可能としたものである。この
リップ設計は、外輪回転用として遠心力により内方リッ
プの浮き上がり効果も考慮して設計されており、機能的
には優れているものである。このように3枚のリップが
独立に変位可能なように構成すると、シールの固定され
ている外輪、あるいはシール溝の設けてある内輪が軸方
向に変動した場合は、常時接触する中央リップだけでな
く、内方リップも内輪シール溝と接触する可能性があ
り、結果的にシール接触トルクの増大を招くことにな
る。
は、実公平6-27859(特開平4-5514)に示す技術がある。
これは内輪側端外周面と隙間を介して対向する外方リッ
プ、内輪周溝の外側側壁に接する中央リップ、および先
端が周溝内に没入する内方リップの3枚リップで構成さ
れ、各リップを独立に変位可能としたものである。この
リップ設計は、外輪回転用として遠心力により内方リッ
プの浮き上がり効果も考慮して設計されており、機能的
には優れているものである。このように3枚のリップが
独立に変位可能なように構成すると、シールの固定され
ている外輪、あるいはシール溝の設けてある内輪が軸方
向に変動した場合は、常時接触する中央リップだけでな
く、内方リップも内輪シール溝と接触する可能性があ
り、結果的にシール接触トルクの増大を招くことにな
る。
【0007】さらに,シールの製造行程では、下型に置
かれた芯金の上に合成ゴムのシートを置き、その上に上
型を圧接することで芯金にゴムシールを成形する。その
際、シールを型から抜き出すときに上下の型を分離する
工程が必要になる。この従来例のように各リップを独立
に変位可能にするためには、隣合うリップとの間に大き
なスペースを要することになるが、このスペースはシー
ル製造行程では金型で確保することになる。このスペー
ス部に相当する金型部は、上下の型を分離する際にリッ
プを軸方向に押し出すことになり、いわゆる‘無理抜
き’となることから、リップ形状に関しては製造上に制
約があるという問題が生じる。
かれた芯金の上に合成ゴムのシートを置き、その上に上
型を圧接することで芯金にゴムシールを成形する。その
際、シールを型から抜き出すときに上下の型を分離する
工程が必要になる。この従来例のように各リップを独立
に変位可能にするためには、隣合うリップとの間に大き
なスペースを要することになるが、このスペースはシー
ル製造行程では金型で確保することになる。このスペー
ス部に相当する金型部は、上下の型を分離する際にリッ
プを軸方向に押し出すことになり、いわゆる‘無理抜
き’となることから、リップ形状に関しては製造上に制
約があるという問題が生じる。
【0008】シールリップ(舌部)がシール側壁と接触
する角度を変更した出願としては、実開昭63-68518に示
す技術があり、これは舌部の上面と側壁のなす角度αを
舌部の下面と側壁のなす角度βよりも大きく形成したも
のである。この従来例は、軸受内部および外部の圧力変
化に対して安定した密封性能の発揮と軽トルクの維持を
目的としたものであるが、異物侵入防止を高めることを
目的としたものではない。
する角度を変更した出願としては、実開昭63-68518に示
す技術があり、これは舌部の上面と側壁のなす角度αを
舌部の下面と側壁のなす角度βよりも大きく形成したも
のである。この従来例は、軸受内部および外部の圧力変
化に対して安定した密封性能の発揮と軽トルクの維持を
目的としたものであるが、異物侵入防止を高めることを
目的としたものではない。
【0009】この発明の目的は、外部からの異物の侵入
に対して高いシール効果が得られ、内部の潤滑剤の漏洩
を防止する効果も得られ、またリップを複数設けていな
がら軸受運転トルクの増大が生じなく、シール部材の製
造も容易に行える転がり軸受を提供することである。
に対して高いシール効果が得られ、内部の潤滑剤の漏洩
を防止する効果も得られ、またリップを複数設けていな
がら軸受運転トルクの増大が生じなく、シール部材の製
造も容易に行える転がり軸受を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の転がり軸受
は、ゴム状の弾性体と芯金とでシール部材が構成され、
このシール部材が外輪の内周部に固定され、内輪の外周
面にシール溝が形成された転がり軸受において、上記内
輪のシール溝は底面が円筒面状の平坦面に形成され、上
記弾性体は、芯金の内周端から内径側へ延びるリップ支
持部と、このリップ支持部の内径部から内径側および軸
受外側へそれぞれ延びるセンターリップおよびダストリ
ップを有し、上記センターリップは、上記内輪シール溝
の軸受内側の側壁であるシール溝内側壁とは隙間を隔て
て非接触とされ、シール溝外側壁とは接触し、かつ内周
面に内輪シール溝の上記平坦面の底面に対して略平行な
平行部を有するものとし、上記ダストリップは、内輪の
シール溝よりも軸受外側の肩部外周面に対向する部分を
有しこの肩部外周面との間に隙間を形成するものとした
ことを特徴とする。この発明は、外部からの異物の侵入
および封入潤滑剤の漏洩の防止というシールに要求され
る2つの性能のうち、特に、異物の侵入防止を主とする
ものであり、また軸受運転トルクの増大を招かないよう
に、リップを複数有しながら、内輪と接触するリップは
常に1か所となるようにしている。
は、ゴム状の弾性体と芯金とでシール部材が構成され、
このシール部材が外輪の内周部に固定され、内輪の外周
面にシール溝が形成された転がり軸受において、上記内
輪のシール溝は底面が円筒面状の平坦面に形成され、上
記弾性体は、芯金の内周端から内径側へ延びるリップ支
持部と、このリップ支持部の内径部から内径側および軸
受外側へそれぞれ延びるセンターリップおよびダストリ
ップを有し、上記センターリップは、上記内輪シール溝
の軸受内側の側壁であるシール溝内側壁とは隙間を隔て
て非接触とされ、シール溝外側壁とは接触し、かつ内周
面に内輪シール溝の上記平坦面の底面に対して略平行な
平行部を有するものとし、上記ダストリップは、内輪の
シール溝よりも軸受外側の肩部外周面に対向する部分を
有しこの肩部外周面との間に隙間を形成するものとした
ことを特徴とする。この発明は、外部からの異物の侵入
および封入潤滑剤の漏洩の防止というシールに要求され
る2つの性能のうち、特に、異物の侵入防止を主とする
ものであり、また軸受運転トルクの増大を招かないよう
に、リップを複数有しながら、内輪と接触するリップは
常に1か所となるようにしている。
【0011】上記構成によると、シール溝外側壁におい
てセンターリップが接触するため、潤滑剤が常時保持さ
れる部分が、シール溝外側壁でかつ内輪内径側に位置す
ることになり、内輪が回転した場合は、内輪内径側に保
持された潤滑剤に遠心力が作用して外部からの異物の侵
入を防ぐことができる。同時に、シール溝底部には軸受
内部に封入されている潤滑剤が存在することから、この
潤滑剤がシール機能を果たすことによって、外部の異物
が軸受内部に侵入することを阻止できる。また、センタ
ーリップとリール溝内側壁とが狭い隙間を隔てる非接触
構造となっているため、この部分においてラビリンスシ
ールの機能を果たし、シール接触トルクを増大すること
なく、潤滑剤が軸受内部と外部の間を移動することが阻
止される。センターリップは、シール溝底面に対して略
平行部を有するように構成されているため、シール溝底
部に滞留している潤滑剤の流動を押さえるように機能す
る。これらのシール機能により、シール溝底部に粘度の
大きい潤滑剤が滞留することを容易にして、その滞留し
た潤滑剤が軸受外部から泥水の侵入を防ぐ役目を担う。
ダストリップは、軸受外側に延び、内輪肩部外周面との
間に狭い隙間を構成するため、軸受外部からの異物の侵
入を防止する。すなわち、軸受外部からの異物の侵入に
対しては、まず第1にダストリップが内輪肩部外周面と
の狭い隙間によって大きい異物の侵入を防止する。第2
にセンターリップがシール溝外側壁と接触することで、
小さい異物や異物を侵入した泥水の侵入を防止する。セ
ンターリップとダストリップの2枚のリップは、リップ
支持部に設けられていて、一体的に挙動するように支え
られているため、各リップが独立に変位可能なように構
成したものと異なり、複数のリップが内輪に接触してシ
ール接触トルクが増大することが防止される。例えば外
輪回転において、外輪に固定されているシール部材が軸
方向に振動した場合や、内輪回転において内輪が軸方向
に移動した場合においても、センターリップおよびダス
トリップが一体的に挙動するため、既に接触しているリ
ップに加えて他のリップが接触することがなく、シール
部の接触トルクを常に一定以下に抑えることが可能とな
る。センターリップとダストリップはほぼ一体的に形成
され、両リップ間に大きなスペースを要することがない
ため、その製造に際して、金型から無理抜きすることが
不要で、製造上の制約がない。
てセンターリップが接触するため、潤滑剤が常時保持さ
れる部分が、シール溝外側壁でかつ内輪内径側に位置す
ることになり、内輪が回転した場合は、内輪内径側に保
持された潤滑剤に遠心力が作用して外部からの異物の侵
入を防ぐことができる。同時に、シール溝底部には軸受
内部に封入されている潤滑剤が存在することから、この
潤滑剤がシール機能を果たすことによって、外部の異物
が軸受内部に侵入することを阻止できる。また、センタ
ーリップとリール溝内側壁とが狭い隙間を隔てる非接触
構造となっているため、この部分においてラビリンスシ
ールの機能を果たし、シール接触トルクを増大すること
なく、潤滑剤が軸受内部と外部の間を移動することが阻
止される。センターリップは、シール溝底面に対して略
平行部を有するように構成されているため、シール溝底
部に滞留している潤滑剤の流動を押さえるように機能す
る。これらのシール機能により、シール溝底部に粘度の
大きい潤滑剤が滞留することを容易にして、その滞留し
た潤滑剤が軸受外部から泥水の侵入を防ぐ役目を担う。
ダストリップは、軸受外側に延び、内輪肩部外周面との
間に狭い隙間を構成するため、軸受外部からの異物の侵
入を防止する。すなわち、軸受外部からの異物の侵入に
対しては、まず第1にダストリップが内輪肩部外周面と
の狭い隙間によって大きい異物の侵入を防止する。第2
にセンターリップがシール溝外側壁と接触することで、
小さい異物や異物を侵入した泥水の侵入を防止する。セ
ンターリップとダストリップの2枚のリップは、リップ
支持部に設けられていて、一体的に挙動するように支え
られているため、各リップが独立に変位可能なように構
成したものと異なり、複数のリップが内輪に接触してシ
ール接触トルクが増大することが防止される。例えば外
輪回転において、外輪に固定されているシール部材が軸
方向に振動した場合や、内輪回転において内輪が軸方向
に移動した場合においても、センターリップおよびダス
トリップが一体的に挙動するため、既に接触しているリ
ップに加えて他のリップが接触することがなく、シール
部の接触トルクを常に一定以下に抑えることが可能とな
る。センターリップとダストリップはほぼ一体的に形成
され、両リップ間に大きなスペースを要することがない
ため、その製造に際して、金型から無理抜きすることが
不要で、製造上の制約がない。
【0012】この発明において、上記シール部材の弾性
体に、上記芯金の内周端から軸受の内側へ延びるグリー
スリップを設け、このグリースリップは内輪のシール溝
に対する軸受内側の肩部外周面よりも外径側に位置し、
上記肩部外周面との間に隙間を形成するものとしても良
い。この発明の主目的は、外部からの異物の侵入である
が、第3のシールリップとして上記のようにグリースリ
ップを設けることにより、軸受内部の潤滑剤の漏洩を防
止する性能が高められる。このグリースリップは、内輪
の肩部外周面よりも外径側に位置し、上記肩部外周面と
の間に隙間を形成するものであるため、軸受内輪とシー
ル部材とが相対的に軸方向に変位しても常に非接触を保
つことができるような狭い半径方向隙間を確保すること
ができる。そのため、内輪とシール部材との相対的な軸
方向の変位によってシール接触トルクの増大を招くこと
が防止される。
体に、上記芯金の内周端から軸受の内側へ延びるグリー
スリップを設け、このグリースリップは内輪のシール溝
に対する軸受内側の肩部外周面よりも外径側に位置し、
上記肩部外周面との間に隙間を形成するものとしても良
い。この発明の主目的は、外部からの異物の侵入である
が、第3のシールリップとして上記のようにグリースリ
ップを設けることにより、軸受内部の潤滑剤の漏洩を防
止する性能が高められる。このグリースリップは、内輪
の肩部外周面よりも外径側に位置し、上記肩部外周面と
の間に隙間を形成するものであるため、軸受内輪とシー
ル部材とが相対的に軸方向に変位しても常に非接触を保
つことができるような狭い半径方向隙間を確保すること
ができる。そのため、内輪とシール部材との相対的な軸
方向の変位によってシール接触トルクの増大を招くこと
が防止される。
【0013】この発明において、上記センターリップが
内輪のシール溝外側壁に接する部分の近傍において、セ
ンターリップの軸受外側表面とシール溝外側壁とがなす
角度である軸受外部接触角を、センターリップの軸受内
側表面とシール溝外側壁とがなす角度である軸受内部接
触角よりも大きくしても良い。このように角度を設定す
ることで、外部からの異物の進入を防止する効果が更に
促進される。すなわち、センターリップがシール溝外側
壁と接触する角度のうち、潤滑剤が存在する側の内側接
触角を小さくすることで、この内側接触角を構成するク
サビ状空間部に潤滑剤を保持し、異物の侵入を防ぐ。一
方、異物が存在する外側接触角は内側接触角よりも大き
いため、センターリップの近傍に異物が滞留することが
防止され、異物が侵入する機会が減ることになる。
内輪のシール溝外側壁に接する部分の近傍において、セ
ンターリップの軸受外側表面とシール溝外側壁とがなす
角度である軸受外部接触角を、センターリップの軸受内
側表面とシール溝外側壁とがなす角度である軸受内部接
触角よりも大きくしても良い。このように角度を設定す
ることで、外部からの異物の進入を防止する効果が更に
促進される。すなわち、センターリップがシール溝外側
壁と接触する角度のうち、潤滑剤が存在する側の内側接
触角を小さくすることで、この内側接触角を構成するク
サビ状空間部に潤滑剤を保持し、異物の侵入を防ぐ。一
方、異物が存在する外側接触角は内側接触角よりも大き
いため、センターリップの近傍に異物が滞留することが
防止され、異物が侵入する機会が減ることになる。
【0014】この発明において、シール溝内側壁を軸受
軸心に対して略垂直としても良い。このようにシール溝
内側壁を略垂直とした場合は、センターリップとシール
溝との隙間の狭い領域を長く確保し、潤滑剤の通路抵抗
を増して軸受内部からの潤滑剤の漏洩を改善することが
できる。
軸心に対して略垂直としても良い。このようにシール溝
内側壁を略垂直とした場合は、センターリップとシール
溝との隙間の狭い領域を長く確保し、潤滑剤の通路抵抗
を増して軸受内部からの潤滑剤の漏洩を改善することが
できる。
【0015】この発明において、センターリップの内周
面における円周方向の複数箇所にガス抜き溝を設けても
良い。一般的に軸受を運転すると、軸受内部摩擦損失、
潤滑剤の攪拌損失、およびシール接触トルクにより軸受
温度が上昇する。軸受の運転を停止し、軸受温度が低下
することにより軸受内部の圧力が低下すると、軸受外部
との圧力差が生じてシール接触部で固着現象が生じる場
合がある。上記のようにセンターリップにガス抜き溝が
設けてあると、軸受外部と軸受内部との間で気体が通過
し、上記の圧力差が解消できて、シール接触部の固着現
象が防止できる。
面における円周方向の複数箇所にガス抜き溝を設けても
良い。一般的に軸受を運転すると、軸受内部摩擦損失、
潤滑剤の攪拌損失、およびシール接触トルクにより軸受
温度が上昇する。軸受の運転を停止し、軸受温度が低下
することにより軸受内部の圧力が低下すると、軸受外部
との圧力差が生じてシール接触部で固着現象が生じる場
合がある。上記のようにセンターリップにガス抜き溝が
設けてあると、軸受外部と軸受内部との間で気体が通過
し、上記の圧力差が解消できて、シール接触部の固着現
象が防止できる。
【0016】この発明において、上記センターリップの
軸受軸方向の厚みは、リップ支持部の肉厚よりも厚く形
成されたものとしても良い。このようにセンターリップ
の厚みを設定することにより、上記平行部の幅を十分に
確保できて、平行部の上記効果を高めることができる。
またリップ支持部は薄くて済み、センターリップの接触
圧の増加は生じない。
軸受軸方向の厚みは、リップ支持部の肉厚よりも厚く形
成されたものとしても良い。このようにセンターリップ
の厚みを設定することにより、上記平行部の幅を十分に
確保できて、平行部の上記効果を高めることができる。
またリップ支持部は薄くて済み、センターリップの接触
圧の増加は生じない。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1およ
び図2と共に説明する。この転がり軸受は、内輪1と外
輪2の軌道面1a,2aの間に、複数の転動体3を介在
させ、これら転動体3を保持する保持器4を設け、両側
にシール部材5を設けたものである。例えば、転動体3
はボールからなり、この場合、軸受はシール付きの深溝
玉軸受とされている。シール部材5は、ゴム状の弾性体
7と芯金6とで構成され、外輪2の内周面に形成された
シール取付溝8に外周部が嵌合状態に固定される。ゴム
状の弾性体7は合成ゴムからなり、芯金6は鋼板製とさ
れる。内輪1は各シール部材5の内径部に対応する位置
に、円周溝からなるシール溝9が形成されている。シー
ル取付溝8およびシール溝9は旋削仕上げとされてい
る。
び図2と共に説明する。この転がり軸受は、内輪1と外
輪2の軌道面1a,2aの間に、複数の転動体3を介在
させ、これら転動体3を保持する保持器4を設け、両側
にシール部材5を設けたものである。例えば、転動体3
はボールからなり、この場合、軸受はシール付きの深溝
玉軸受とされている。シール部材5は、ゴム状の弾性体
7と芯金6とで構成され、外輪2の内周面に形成された
シール取付溝8に外周部が嵌合状態に固定される。ゴム
状の弾性体7は合成ゴムからなり、芯金6は鋼板製とさ
れる。内輪1は各シール部材5の内径部に対応する位置
に、円周溝からなるシール溝9が形成されている。シー
ル取付溝8およびシール溝9は旋削仕上げとされてい
る。
【0018】図1(B)に拡大して示すように、シール
溝9は、底面9aが円筒面状の平坦面に形成され、シー
ル溝内側壁9bおよびシール溝外側壁9cは、いずれも
傾斜面とされている。シール溝内側壁9bおよびシール
溝外側壁9cは、それぞれシール溝9の軸受内側の側壁
面および軸受外側の側壁面である。内輪1のシール溝9
よりも軸受外側の肩部外周面1cは、シール溝9よりも
軸受内側の肩部外周面1bよりも低く、つまり小径に形
成されている。シール溝9の底面9aと両側の側壁9
b,9cとの角部、およびシール溝内側壁9bから肩部
外周面1bに続く角部は、いずれも円弧状断面形状に丸
められている。シール部材5の弾性体7は、芯金6の内
周端から内径側へ延びるリップ支持部7aを有し、この
リップ支持部7aの内径部から内径側および軸受外側へ
それぞれ延びるセンターリップ7bおよびダストリップ
7cの2枚のシールリップが設けられている。ダストリ
ップ7cは、詳しくはリップ支持部7aからセンターリ
ップ7bの付け根にわたる部分を基端として軸受外側へ
延びている。
溝9は、底面9aが円筒面状の平坦面に形成され、シー
ル溝内側壁9bおよびシール溝外側壁9cは、いずれも
傾斜面とされている。シール溝内側壁9bおよびシール
溝外側壁9cは、それぞれシール溝9の軸受内側の側壁
面および軸受外側の側壁面である。内輪1のシール溝9
よりも軸受外側の肩部外周面1cは、シール溝9よりも
軸受内側の肩部外周面1bよりも低く、つまり小径に形
成されている。シール溝9の底面9aと両側の側壁9
b,9cとの角部、およびシール溝内側壁9bから肩部
外周面1bに続く角部は、いずれも円弧状断面形状に丸
められている。シール部材5の弾性体7は、芯金6の内
周端から内径側へ延びるリップ支持部7aを有し、この
リップ支持部7aの内径部から内径側および軸受外側へ
それぞれ延びるセンターリップ7bおよびダストリップ
7cの2枚のシールリップが設けられている。ダストリ
ップ7cは、詳しくはリップ支持部7aからセンターリ
ップ7bの付け根にわたる部分を基端として軸受外側へ
延びている。
【0019】センターリップ7bは、シール溝内側壁9
bと隙間Lを隔てて非接触とされ、シール溝外側壁9c
とは接触するものとされる。隙間Lの値は、運転中に内
輪1と外輪2とが相対的に軸方向に変位することがあっ
ても、センターリップ7bとシール溝内側壁9bとが接
触しないだけの距離が確保される寸法であって、可能な
限り小さな寸法とされている。センターリップ7bは、
シール溝底面9aに対向する部分に、シール溝底面9a
の平坦面に対して略平行な平行部7baを有する。つま
りセンターリップ7bの内周面に平行部7baが設けら
れている。平行部7baは、センターリップ7bの内周
面の全幅にわたるものであっても、また内周面の一部で
あっても良い。センターリップ7bの軸受軸方向の幅で
ある厚みは、リップ支持部7aの肉厚よりも厚く形成さ
れ、センターリップ7bはリップ支持部7aから軸受の
内外へ膨らむものとされている。センターリップ7bの
内周面には、ガス抜き溝10が、図2に示すように円周
方向の複数箇所に設けられている。ガス抜き溝10の断
面の大きさは、軸受外部と軸受内部との間に気体が通過
可能な程度の寸法とされる。
bと隙間Lを隔てて非接触とされ、シール溝外側壁9c
とは接触するものとされる。隙間Lの値は、運転中に内
輪1と外輪2とが相対的に軸方向に変位することがあっ
ても、センターリップ7bとシール溝内側壁9bとが接
触しないだけの距離が確保される寸法であって、可能な
限り小さな寸法とされている。センターリップ7bは、
シール溝底面9aに対向する部分に、シール溝底面9a
の平坦面に対して略平行な平行部7baを有する。つま
りセンターリップ7bの内周面に平行部7baが設けら
れている。平行部7baは、センターリップ7bの内周
面の全幅にわたるものであっても、また内周面の一部で
あっても良い。センターリップ7bの軸受軸方向の幅で
ある厚みは、リップ支持部7aの肉厚よりも厚く形成さ
れ、センターリップ7bはリップ支持部7aから軸受の
内外へ膨らむものとされている。センターリップ7bの
内周面には、ガス抜き溝10が、図2に示すように円周
方向の複数箇所に設けられている。ガス抜き溝10の断
面の大きさは、軸受外部と軸受内部との間に気体が通過
可能な程度の寸法とされる。
【0020】図1(B)に示すように、ダストリップ7
cは、内輪1の肩部外周面1cに対向する部分を有する
ように設けられ、ダストリップ7cと肩部外周面1cと
の間に狭い隙間d1を構成している。なお、この転がり
軸受は、潤滑剤としてグリースを封入したものとされ
る。
cは、内輪1の肩部外周面1cに対向する部分を有する
ように設けられ、ダストリップ7cと肩部外周面1cと
の間に狭い隙間d1を構成している。なお、この転がり
軸受は、潤滑剤としてグリースを封入したものとされ
る。
【0021】上記構成の作用を説明する。概略を説明す
ると、この転がり軸受は、シール性能のうち軸受外部か
ら内部への異物の混入を防ぐことを主目的にし、軸受内
部から外部への潤滑剤の漏洩を防止することを2次的な
目的としている。また、軸受運転トルクの増大を招かな
いように、2つのリップ7b,7cを設けていても、内
輪1と接触するリップは常に1ケ所となるように構成し
ている。
ると、この転がり軸受は、シール性能のうち軸受外部か
ら内部への異物の混入を防ぐことを主目的にし、軸受内
部から外部への潤滑剤の漏洩を防止することを2次的な
目的としている。また、軸受運転トルクの増大を招かな
いように、2つのリップ7b,7cを設けていても、内
輪1と接触するリップは常に1ケ所となるように構成し
ている。
【0022】一般的に軸受内部に封入されている潤滑剤
はグリースであり、グリースの基油の粘性係数は80℃
で15mPas程度である。一方、外部からの異物は、通
常、泥水の形態で軸受内部に侵入する場合が多く、異物
を運搬する役目となる水の粘性係数は20℃で1 mPas
程度である。すなわち,軸受内部から外部へ流出する潤
滑剤基油の粘度に対して、軸受外部から内部に流入する
水の粘度は1/15程度である。したがって、流体力学
的にみれば、軸受外部からの異物の侵入は潤滑剤の漏洩
よりも流量が15倍多いことになる。
はグリースであり、グリースの基油の粘性係数は80℃
で15mPas程度である。一方、外部からの異物は、通
常、泥水の形態で軸受内部に侵入する場合が多く、異物
を運搬する役目となる水の粘性係数は20℃で1 mPas
程度である。すなわち,軸受内部から外部へ流出する潤
滑剤基油の粘度に対して、軸受外部から内部に流入する
水の粘度は1/15程度である。したがって、流体力学
的にみれば、軸受外部からの異物の侵入は潤滑剤の漏洩
よりも流量が15倍多いことになる。
【0023】この実施形態は、潤滑剤と外部から流入す
る泥水の両者における粘性係数の差による流動性の違い
を利用した観点から成されている。センターリップ7b
が、軸受外部にもっとも近いシール溝外側壁9cにおい
て接触することによって、流入し易い軸受外部からの泥
水を防ぐ機能を持たせている。第1のリップであるセン
ターリップ7bは、上述したように内輪1のシール溝外
側壁9cで接触すると同時に、シール溝内側壁9bとは
非接触となっている。通常、内輪1と外輪2とは,軸受
すきまを有して組立てられており、内輪1と外輪2はア
キシアル方向に相対的に変位可能となっている。このよ
うに内輪1と外輪2が相対変位すると、図1(B)に示
すセンターリップ7bの軸受内部側がシール溝内側壁9
bに接触する可能性がある。しかし、この実施形態で
は、センターリップ7bとシール溝内側壁9bとのすき
まLは、内輪1と外輪2が軸方向に相対的に移動しても
接触しないように隔てられているため、シールの接触に
よるトルクの増大は発生しない。センターリップ7bと
シール溝内側壁9bとが狭いすきまLを隔てて非接触構
造となっていることで、この部分においてラビリンスシ
ールの機能を果たし、シール接触トルクを増大すること
なく、潤滑剤が軸受内部と外部の問を移動することを阻
止している。同時に、センターリップ7bは、シール溝
底9aに対して軸受軸方向に略平行な平行部7baを有
するため、シール溝底部に滞留している潤滑剤の流動が
抑えらるように機能する。これらのシール機能によりシ
ール溝底部に粘度の大きい潤滑剤が滞留することを容易
にして、その滞留した潤滑剤が軸受外部から泥水の侵入
を防ぐ役目を担っている。
る泥水の両者における粘性係数の差による流動性の違い
を利用した観点から成されている。センターリップ7b
が、軸受外部にもっとも近いシール溝外側壁9cにおい
て接触することによって、流入し易い軸受外部からの泥
水を防ぐ機能を持たせている。第1のリップであるセン
ターリップ7bは、上述したように内輪1のシール溝外
側壁9cで接触すると同時に、シール溝内側壁9bとは
非接触となっている。通常、内輪1と外輪2とは,軸受
すきまを有して組立てられており、内輪1と外輪2はア
キシアル方向に相対的に変位可能となっている。このよ
うに内輪1と外輪2が相対変位すると、図1(B)に示
すセンターリップ7bの軸受内部側がシール溝内側壁9
bに接触する可能性がある。しかし、この実施形態で
は、センターリップ7bとシール溝内側壁9bとのすき
まLは、内輪1と外輪2が軸方向に相対的に移動しても
接触しないように隔てられているため、シールの接触に
よるトルクの増大は発生しない。センターリップ7bと
シール溝内側壁9bとが狭いすきまLを隔てて非接触構
造となっていることで、この部分においてラビリンスシ
ールの機能を果たし、シール接触トルクを増大すること
なく、潤滑剤が軸受内部と外部の問を移動することを阻
止している。同時に、センターリップ7bは、シール溝
底9aに対して軸受軸方向に略平行な平行部7baを有
するため、シール溝底部に滞留している潤滑剤の流動が
抑えらるように機能する。これらのシール機能によりシ
ール溝底部に粘度の大きい潤滑剤が滞留することを容易
にして、その滞留した潤滑剤が軸受外部から泥水の侵入
を防ぐ役目を担っている。
【0024】リップ支持部7aを支持体として第1のセ
ンターリップ7bと協働して運動する第2のリップであ
るダストリップ7cは、軸受外側に位置し、内輪肩部外
周面1cとの間に狭い隙間d1を構成するため、軸受外
部からの異物の侵入を防いでいる。すなわち,軸受外部
からの異物の侵入に対しては、まず第1にダストリップ
7cが内輪肩部外周面1cとの狭い隙間d1を構成して
いることよって大きい異物の侵入を阻止する。第2に、
センターリップ7bがシール溝外側壁9cと接触するこ
とで、小さい異物や、異物を混入した泥水の侵入を防止
している。センターリップ7bとシール溝外側壁9cと
の接触部近傍に留まった異物は、内輪回転の場合は遠心
力により軸受外部に排出され、軸受内部に侵入すること
はない。第1、第2のシール部分を通過してきた異物
は、第3のシール部分として、シール溝底部に存在する
潤滑剤にトラップされて軸受内部への侵入を更に防ぐこ
とができる。この異物が混入したシール溝底部に留まっ
ている潤滑剤は、軸受回転による軸受内部の昇温と潤滑
剤の流動により、徐々に軸受外部に漏洩されることで、
異物を軸受外部に排出することが可能となる。
ンターリップ7bと協働して運動する第2のリップであ
るダストリップ7cは、軸受外側に位置し、内輪肩部外
周面1cとの間に狭い隙間d1を構成するため、軸受外
部からの異物の侵入を防いでいる。すなわち,軸受外部
からの異物の侵入に対しては、まず第1にダストリップ
7cが内輪肩部外周面1cとの狭い隙間d1を構成して
いることよって大きい異物の侵入を阻止する。第2に、
センターリップ7bがシール溝外側壁9cと接触するこ
とで、小さい異物や、異物を混入した泥水の侵入を防止
している。センターリップ7bとシール溝外側壁9cと
の接触部近傍に留まった異物は、内輪回転の場合は遠心
力により軸受外部に排出され、軸受内部に侵入すること
はない。第1、第2のシール部分を通過してきた異物
は、第3のシール部分として、シール溝底部に存在する
潤滑剤にトラップされて軸受内部への侵入を更に防ぐこ
とができる。この異物が混入したシール溝底部に留まっ
ている潤滑剤は、軸受回転による軸受内部の昇温と潤滑
剤の流動により、徐々に軸受外部に漏洩されることで、
異物を軸受外部に排出することが可能となる。
【0025】一方,軸受内部の潤滑剤は粘性係数が大き
いため、比較的隙間が大きくても潤滑剤の漏洩は軽微で
あることから、潤滑剤の漏洩に関してはセンターリップ
7bと内輪シール溝内側壁9bとのすきまL、およびセ
ンターリップ7bとシール溝外側壁9cとの接触部によ
って外部に流出しないように機能している。なお、潤滑
剤の保持機能が不十分な運転状態で使用される場合は、
後に説明する実施形態(図3等)におけるグリースリッ
プを設ける。
いため、比較的隙間が大きくても潤滑剤の漏洩は軽微で
あることから、潤滑剤の漏洩に関してはセンターリップ
7bと内輪シール溝内側壁9bとのすきまL、およびセ
ンターリップ7bとシール溝外側壁9cとの接触部によ
って外部に流出しないように機能している。なお、潤滑
剤の保持機能が不十分な運転状態で使用される場合は、
後に説明する実施形態(図3等)におけるグリースリッ
プを設ける。
【0026】図1に示す第1の実施例では、センターリ
ップ7bとダストリップ7cのリップ2枚がリップ支持
部7aによって一体として挙動するように支えられてい
るため、実公平6-27859 (特開平4-5514)で課題であっ
たように各リップが独立に変位可能なように構成したこ
とによって複数のリップが内輪に接触してシール接触ト
ルクが増大するという問題を防ぐことができる。また、
この実公平6-27859 (特開平4-5514)の従来例では、隣
合うリップとの間に大きなスペースを要することから、
シールの製造の際に、金型部が上下の型を分離する時
に、リップを軸方向に押し出すことになり、いわゆる無
理抜きとなることがある。しかし、この実施形態では、
センターリップ7bとダストリップ7cがほぼ一体的に
形成されているため、製造上の制約はない。
ップ7bとダストリップ7cのリップ2枚がリップ支持
部7aによって一体として挙動するように支えられてい
るため、実公平6-27859 (特開平4-5514)で課題であっ
たように各リップが独立に変位可能なように構成したこ
とによって複数のリップが内輪に接触してシール接触ト
ルクが増大するという問題を防ぐことができる。また、
この実公平6-27859 (特開平4-5514)の従来例では、隣
合うリップとの間に大きなスペースを要することから、
シールの製造の際に、金型部が上下の型を分離する時
に、リップを軸方向に押し出すことになり、いわゆる無
理抜きとなることがある。しかし、この実施形態では、
センターリップ7bとダストリップ7cがほぼ一体的に
形成されているため、製造上の制約はない。
【0027】図3ないし図9は、それぞれこの発明の他
の実施形態を示す。これらの実施形態において、特に説
明した事項の他は、図1,図2と共に説明した第1の実
施形態と同じである。
の実施形態を示す。これらの実施形態において、特に説
明した事項の他は、図1,図2と共に説明した第1の実
施形態と同じである。
【0028】図3は、この発明の第2の実施形態を示
す。この実施形態は、第1の実施形態において、シール
部材5の弾性体7に、芯金6の内周端から軸受の内側へ
延びるグリースリップ7dを設けたものである。グリー
スリップ7dは、内輪1のシール溝9に対する軸受内側
の肩部外周面1bよりも外径側に位置し、肩部外周面1
bとの間に径方向の隙間d2を形成するものとする。こ
のようなグリースリップ7dを設けた場合、軸受内部の
潤滑剤が潤滑する機能を高めると共に、内輪肩部外周面
1bとの間に非接触の狭い隙間d2を形成することによ
って、潤滑剤が漏洩することの防止効果を高める。この
グリースリップ7dは、非接触であるため、シールの接
触トルクの増大を招くことはない。
す。この実施形態は、第1の実施形態において、シール
部材5の弾性体7に、芯金6の内周端から軸受の内側へ
延びるグリースリップ7dを設けたものである。グリー
スリップ7dは、内輪1のシール溝9に対する軸受内側
の肩部外周面1bよりも外径側に位置し、肩部外周面1
bとの間に径方向の隙間d2を形成するものとする。こ
のようなグリースリップ7dを設けた場合、軸受内部の
潤滑剤が潤滑する機能を高めると共に、内輪肩部外周面
1bとの間に非接触の狭い隙間d2を形成することによ
って、潤滑剤が漏洩することの防止効果を高める。この
グリースリップ7dは、非接触であるため、シールの接
触トルクの増大を招くことはない。
【0029】図4は、この発明の第3の実施形態を示
す。この実施形態は、第1の実施形態において、センタ
ーリップ7bが内輪1のシール溝外側壁9cに接する部
分の近傍において、センターリップ7bの軸受外側表面
とシール溝外側壁9cとがなす角度である軸受外部接触
角αを、センターリップ7bの軸受内側表面とシール溝
外側壁7cとがなす角度である軸受内部接触角βよりも
大きくしたものである。このような接触角α,βは、セ
ンターリップ7bの内周縁の近傍の外側面7bcを、軸
受軸方向に垂直な面よりも内径側が軸受外側へ突出する
ように傾斜する傾斜面とすると共に、センターリップ7
bの内周面におけるシール溝外側壁9c側の端部を傾斜
面に7bbに成形することによって形成されている。こ
のように角度α,βを設定することで、外部からの異物
の進入を防止する効果が更に促進される。これは次の理
由による。オイルシールの密封理論においては流れ方向
の圧力こう配の大きい方に密封効果が作用することか
ら、大気側に対して密封液側の接触角が大きく設計され
ているのが通常である。オイルシールでは、相手材とな
るシャフトの表面粗さは0.2〜0.6μmRa 程度に研
削仕上されており、また、ばねによって接触部に大きな
緊迫力が与えられている。この表面粗さの向上とばねに
よる接触圧力の増大による流体力学的作用によって、密
封液側の接触角を大きくして圧力こう配による流れを生
じさせ、密封効果を発揮している。一方,軸受用ゴムシ
ールが接触するシール溝部は旋削仕上されるのが通常で
あり、表面粗さは2〜6μmRa 程度となり、オイルシー
ルの場合より10倍以上の粗さがある。また、シール部
の接触力は合成ゴムの曲げ変形力のみで、オイルシール
の場合と比較して非常に小さい。したがって、回転力に
よって回転直角方向の流体力学的圧力こう配を発生する
ことが困難となることから、流体力学的シール効果は大
きく期待できない。接触圧力の小さい軸受用シールで
は、むしろくさび角が小さいことで、表面張力作用によ
って得られる流体保持機能の方がシールメカニズム上は
支配的要因となる。軸受用シールにおいては、潤滑剤の
存在する軸受内部側の接触角βを小さくして接触部近傍
に潤滑剤を多く保持し、逆に軸受外部の接触角αを大き
くして、泥水が接触部に留まる量を減じる効果の方が、
軸受外部からの異物の侵入を防止することができる。
す。この実施形態は、第1の実施形態において、センタ
ーリップ7bが内輪1のシール溝外側壁9cに接する部
分の近傍において、センターリップ7bの軸受外側表面
とシール溝外側壁9cとがなす角度である軸受外部接触
角αを、センターリップ7bの軸受内側表面とシール溝
外側壁7cとがなす角度である軸受内部接触角βよりも
大きくしたものである。このような接触角α,βは、セ
ンターリップ7bの内周縁の近傍の外側面7bcを、軸
受軸方向に垂直な面よりも内径側が軸受外側へ突出する
ように傾斜する傾斜面とすると共に、センターリップ7
bの内周面におけるシール溝外側壁9c側の端部を傾斜
面に7bbに成形することによって形成されている。こ
のように角度α,βを設定することで、外部からの異物
の進入を防止する効果が更に促進される。これは次の理
由による。オイルシールの密封理論においては流れ方向
の圧力こう配の大きい方に密封効果が作用することか
ら、大気側に対して密封液側の接触角が大きく設計され
ているのが通常である。オイルシールでは、相手材とな
るシャフトの表面粗さは0.2〜0.6μmRa 程度に研
削仕上されており、また、ばねによって接触部に大きな
緊迫力が与えられている。この表面粗さの向上とばねに
よる接触圧力の増大による流体力学的作用によって、密
封液側の接触角を大きくして圧力こう配による流れを生
じさせ、密封効果を発揮している。一方,軸受用ゴムシ
ールが接触するシール溝部は旋削仕上されるのが通常で
あり、表面粗さは2〜6μmRa 程度となり、オイルシー
ルの場合より10倍以上の粗さがある。また、シール部
の接触力は合成ゴムの曲げ変形力のみで、オイルシール
の場合と比較して非常に小さい。したがって、回転力に
よって回転直角方向の流体力学的圧力こう配を発生する
ことが困難となることから、流体力学的シール効果は大
きく期待できない。接触圧力の小さい軸受用シールで
は、むしろくさび角が小さいことで、表面張力作用によ
って得られる流体保持機能の方がシールメカニズム上は
支配的要因となる。軸受用シールにおいては、潤滑剤の
存在する軸受内部側の接触角βを小さくして接触部近傍
に潤滑剤を多く保持し、逆に軸受外部の接触角αを大き
くして、泥水が接触部に留まる量を減じる効果の方が、
軸受外部からの異物の侵入を防止することができる。
【0030】図5はこの発明の第4の実施形態を示す。
この実施形態は、第3の実施形態(図4)において、第
2の実施形態(図3)と同じグリースリップ7dを弾性
体7に設けたものである。この実施形態の場合、接触角
α,βを所定の関係にした第3の実施形態の効果と、グ
リースリップ7dを設けた第2の実施形態の効果とを併
せ持つことができる。
この実施形態は、第3の実施形態(図4)において、第
2の実施形態(図3)と同じグリースリップ7dを弾性
体7に設けたものである。この実施形態の場合、接触角
α,βを所定の関係にした第3の実施形態の効果と、グ
リースリップ7dを設けた第2の実施形態の効果とを併
せ持つことができる。
【0031】図6はこの発明の第5の実施形態を示す。
この実施形態は、第1の実施形態において、シール溝内
側壁9bを軸受軸心に対して略垂直としたものである。
これにより、センターリップ7bとの隙間Lの距離を有
する長さを長く確保したものである。このように構成す
ることで、センターリップ7bとシール溝内側壁9bと
の最も狭い空間を径方向に長く確保して、潤滑剤の流動
抵抗を大きくでき、潤滑剤が漏洩することを防ぐことが
できる。内輪1とシール部材5との相対運動が生じても
常に非接触となるように隙間Lを設定することで、セン
ターリップ7bとシール溝内側壁9bとが接触すること
がなく、軸受トルクの増大を招くことがない。
この実施形態は、第1の実施形態において、シール溝内
側壁9bを軸受軸心に対して略垂直としたものである。
これにより、センターリップ7bとの隙間Lの距離を有
する長さを長く確保したものである。このように構成す
ることで、センターリップ7bとシール溝内側壁9bと
の最も狭い空間を径方向に長く確保して、潤滑剤の流動
抵抗を大きくでき、潤滑剤が漏洩することを防ぐことが
できる。内輪1とシール部材5との相対運動が生じても
常に非接触となるように隙間Lを設定することで、セン
ターリップ7bとシール溝内側壁9bとが接触すること
がなく、軸受トルクの増大を招くことがない。
【0032】図7はこの発明の第6の実施形態を示す。
この実施形態は、第6の実施形態(図5)において、第
3の実施形態(図4)と同じグリースリップ7dを弾性
体7に設けたものである。このグリースリップ7dによ
り、軸受内部の潤滑剤の循環流れを良くすることができ
ると共に、内輪肩部外周面1bとの間に非接触の狭い隙
間d2を形成すること、およびセンターリップ7bとシ
ール溝内側壁9bとの隙間Lと協働して、両者間に潤滑
剤の保持力を高め、潤滑剤の漏洩を防止することができ
る。
この実施形態は、第6の実施形態(図5)において、第
3の実施形態(図4)と同じグリースリップ7dを弾性
体7に設けたものである。このグリースリップ7dによ
り、軸受内部の潤滑剤の循環流れを良くすることができ
ると共に、内輪肩部外周面1bとの間に非接触の狭い隙
間d2を形成すること、およびセンターリップ7bとシ
ール溝内側壁9bとの隙間Lと協働して、両者間に潤滑
剤の保持力を高め、潤滑剤の漏洩を防止することができ
る。
【0033】図8はこの発明の第7の実施形態を示す。
この実施形態は、第6の実施形態(図5)において、第
4の実施形態(図3)と同じく、センターリップ7bが
内輪1のシール溝外側壁9cに接する部分の近傍におい
て、センターリップ7bの軸受外側表面とシール溝外側
壁9cとがなす角度である軸受外部接触角αを、センタ
ーリップ7bの軸受内側表面とシール溝外側壁7cとが
なす角度である軸受内部接触角βよりも大きくしたもの
である。
この実施形態は、第6の実施形態(図5)において、第
4の実施形態(図3)と同じく、センターリップ7bが
内輪1のシール溝外側壁9cに接する部分の近傍におい
て、センターリップ7bの軸受外側表面とシール溝外側
壁9cとがなす角度である軸受外部接触角αを、センタ
ーリップ7bの軸受内側表面とシール溝外側壁7cとが
なす角度である軸受内部接触角βよりも大きくしたもの
である。
【0034】図9はこの発明の第8の実施形態を示す。
この実施形態は、第7の実施形態(図8)において、さ
らに第2の実施形態(図3)と同じグリースリップ7d
を弾性体7に設けたものである。
この実施形態は、第7の実施形態(図8)において、さ
らに第2の実施形態(図3)と同じグリースリップ7d
を弾性体7に設けたものである。
【0035】上記各実施形態(図1,図2〜図9)の転
がり軸受につき、試験用の軸受を製作し、試験を行った
結果を表1に示す。同表における図番は、上記各実施形
態を示す図の図番である。また、表中の図番の隣の欄の
記載は、各実施形態の特徴を示す。試験条件は、回転数
を3600rpmとし、常温での試験とした。グリース
漏れは軸受表面へのグリース漏れ程度で判定した。泥水
試験では、軸受下半分を泥水に浸漬して行い、軸受内部
への泥水侵入状態を目視で判定した。
がり軸受につき、試験用の軸受を製作し、試験を行った
結果を表1に示す。同表における図番は、上記各実施形
態を示す図の図番である。また、表中の図番の隣の欄の
記載は、各実施形態の特徴を示す。試験条件は、回転数
を3600rpmとし、常温での試験とした。グリース
漏れは軸受表面へのグリース漏れ程度で判定した。泥水
試験では、軸受下半分を泥水に浸漬して行い、軸受内部
への泥水侵入状態を目視で判定した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】この発明の転がり軸受は、シール部材の
弾性体が、芯金の内周端から延びるリップ支持部と、こ
のリップ支持部の内径部から内径側および軸受外側へそ
れぞれ延びるセンターリップおよびダストリップを有
し、上記センターリップは、内輪シール溝の軸受内側の
側壁であるシール溝内側壁とは隙間を隔てて非接触とさ
れ、シール溝外側壁とは接触し、かつ内周面に内輪シー
ル溝の上記平坦面の底面に対して略平行な平行部を有す
るものとし、上記ダストリップは、内輪のシール溝より
も軸受外側の肩部外周面に対向する部分を有しこの肩部
外周面との間に隙間を形成するものとしたため、外部か
らの異物の侵入に対して高いシール効果が得られ、内部
の潤滑剤の漏洩を防止する効果も得られ、またリップを
複数設けていながら、内輪と接触するリップは常に1か
所となり、軸受運転トルクの増大が生じなくて低トルク
で高いシール性能が得られる。また、複数のリップを有
しながら、シール部材の製造が容易である。シール部材
の弾性体に、グリースリップを設け、このグリースリッ
プは内輪のシール溝に対する軸受内側の肩部外周面より
も外径側に位置し、上記肩部外周面との間に隙間を形成
するものとした場合は、シール接触トルクの増大を招く
ことなく、軸受内部の潤滑剤の漏洩を防止する性能が高
められる。センターリップが内輪のシール溝外側壁に接
する部分の近傍において、軸受外部接触角を軸受内部接
触角よりも大きくした場合は、外部からの異物の進入防
止効果が更に高められる。シール溝内側壁を軸受軸心に
対して略垂直とした場合は、潤滑剤の通路抵抗を増して
軸受内部からの潤滑剤の漏洩を改善することができる。
センターリップの内周面における円周方向の複数箇所に
ガス抜き溝を設けた場合は、軸受の運転に伴う軸受内外
の圧力差を解消し、シール接触部の固着現象が防止でき
る。センターリップの軸受軸方向の厚みが、リップ支持
部の肉厚よりも厚く形成されている場合は、センターリ
ップ内周の平行部の幅を十分に確保できて、シール溝の
滞留潤滑剤の流動抑制による異物侵入防止効果を高めな
がら、シール接触圧の増大を避けることができる。
弾性体が、芯金の内周端から延びるリップ支持部と、こ
のリップ支持部の内径部から内径側および軸受外側へそ
れぞれ延びるセンターリップおよびダストリップを有
し、上記センターリップは、内輪シール溝の軸受内側の
側壁であるシール溝内側壁とは隙間を隔てて非接触とさ
れ、シール溝外側壁とは接触し、かつ内周面に内輪シー
ル溝の上記平坦面の底面に対して略平行な平行部を有す
るものとし、上記ダストリップは、内輪のシール溝より
も軸受外側の肩部外周面に対向する部分を有しこの肩部
外周面との間に隙間を形成するものとしたため、外部か
らの異物の侵入に対して高いシール効果が得られ、内部
の潤滑剤の漏洩を防止する効果も得られ、またリップを
複数設けていながら、内輪と接触するリップは常に1か
所となり、軸受運転トルクの増大が生じなくて低トルク
で高いシール性能が得られる。また、複数のリップを有
しながら、シール部材の製造が容易である。シール部材
の弾性体に、グリースリップを設け、このグリースリッ
プは内輪のシール溝に対する軸受内側の肩部外周面より
も外径側に位置し、上記肩部外周面との間に隙間を形成
するものとした場合は、シール接触トルクの増大を招く
ことなく、軸受内部の潤滑剤の漏洩を防止する性能が高
められる。センターリップが内輪のシール溝外側壁に接
する部分の近傍において、軸受外部接触角を軸受内部接
触角よりも大きくした場合は、外部からの異物の進入防
止効果が更に高められる。シール溝内側壁を軸受軸心に
対して略垂直とした場合は、潤滑剤の通路抵抗を増して
軸受内部からの潤滑剤の漏洩を改善することができる。
センターリップの内周面における円周方向の複数箇所に
ガス抜き溝を設けた場合は、軸受の運転に伴う軸受内外
の圧力差を解消し、シール接触部の固着現象が防止でき
る。センターリップの軸受軸方向の厚みが、リップ支持
部の肉厚よりも厚く形成されている場合は、センターリ
ップ内周の平行部の幅を十分に確保できて、シール溝の
滞留潤滑剤の流動抑制による異物侵入防止効果を高めな
がら、シール接触圧の増大を避けることができる。
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる転がり
軸受の断面図、(B)はそのB部分の拡大断面図であ
る。
軸受の断面図、(B)はそのB部分の拡大断面図であ
る。
【図2】(A)は同転がり軸受のシール部材の正面図、
(B)は同図(A)のII-II 線断面図である。
(B)は同図(A)のII-II 線断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図4】この発明の第3の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図5】この発明の第4の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図6】この発明の第5の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図7】この発明の第6の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図8】この発明の第7の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
【図9】この発明の第8の実施形態の部分拡大断面図で
ある。
ある。
1…内輪 1b,1c…肩部外周面 2…外輪 3…転動体 5…シール部材 6…芯金 7…弾性体 7a…リップ支持部 7b…センターリップ 7c…ダストリップ 9…シール溝 9a…シール溝底面 9b…シール溝内側壁 9c…シール溝外側壁 d1,d2…隙間 L…隙間
Claims (6)
- 【請求項1】 ゴム状の弾性体と芯金とでシール部材が
構成され、このシール部材が外輪の内周部に固定され、
内輪の外周面にシール溝が形成された転がり軸受におい
て、上記内輪のシール溝は底面が円筒面状の平坦面に形
成され、上記弾性体は、芯金の内周端から内径側へ延び
るリップ支持部と、このリップ支持部の内径部から内径
側および軸受外側へそれぞれ延びるセンターリップおよ
びダストリップを有し、上記センターリップは、上記内
輪シール溝の軸受内側の側壁であるシール溝内側壁とは
隙間を隔てて非接触とされ、シール溝外側壁とは接触
し、かつ内周面に内輪シール溝の上記平坦面の底面に対
して略平行な平行部を有するものとし、上記ダストリッ
プは、内輪のシール溝よりも軸受外側の肩部外周面に対
向する部分を有しこの肩部外周面との間に隙間を形成す
るものとしたことを特徴とする転がり軸受。 - 【請求項2】 上記シール部材の弾性体に、上記芯金の
内周端から軸受の内側へ延びるグリースリップを設け、
このグリースリップは内輪のシール溝に対する軸受内側
の肩部外周面よりも外径側に位置し、上記肩部外周面と
の間に隙間を形成するものとした請求項1記載の転がり
軸受。 - 【請求項3】 上記センターリップが内輪のシール溝外
側壁に接する部分の近傍において、センターリップの軸
受外側表面とシール溝外側壁とがなす角度でである軸受
外部接触角を、センターリップの軸受内側表面とシール
溝外側壁とがなす角度である軸受内部接触角よりも大き
くした請求項1または請求項2記載の転がり軸受。 - 【請求項4】 シール溝内側壁を軸受軸心に対して略垂
直とした請求項1ないて請求項3のいずれかに記載の転
がり軸受。 - 【請求項5】 センターリップの内周面における円周方
向の複数箇所にガス抜き溝を設けた請求項1ないし請求
項4のいずれかに記載の転がり軸受。 - 【請求項6】 上記センターリップの軸受軸方向の厚み
がリップ支持部の肉厚よりも厚く形成されている請求項
1ないし請求項5のいずれかに記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001138515A JP2002333032A (ja) | 2001-05-09 | 2001-05-09 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001138515A JP2002333032A (ja) | 2001-05-09 | 2001-05-09 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002333032A true JP2002333032A (ja) | 2002-11-22 |
Family
ID=18985437
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001138515A Withdrawn JP2002333032A (ja) | 2001-05-09 | 2001-05-09 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002333032A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005337426A (ja) * | 2004-05-28 | 2005-12-08 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2008014484A (ja) * | 2006-03-27 | 2008-01-24 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2012197940A (ja) * | 2006-03-27 | 2012-10-18 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2019078322A (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-23 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置 |
CN110030277A (zh) * | 2017-12-20 | 2019-07-19 | 斯凯孚公司 | 悬架轴承单元和配备有该单元的支撑柱 |
-
2001
- 2001-05-09 JP JP2001138515A patent/JP2002333032A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005337426A (ja) * | 2004-05-28 | 2005-12-08 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP4526304B2 (ja) * | 2004-05-28 | 2010-08-18 | Ntn株式会社 | 転がり軸受 |
JP2008014484A (ja) * | 2006-03-27 | 2008-01-24 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2012197940A (ja) * | 2006-03-27 | 2012-10-18 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2019078322A (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-23 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置 |
CN110030277A (zh) * | 2017-12-20 | 2019-07-19 | 斯凯孚公司 | 悬架轴承单元和配备有该单元的支撑柱 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041124 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061013 |