JP2019078322A - 密封装置 - Google Patents

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優 杢保
Masaru Mokuho
優 杢保
砂川 雅英
Masahide Sunakawa
雅英 砂川
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Abstract

【課題】内輪と外輪との間の転動体配置空間からの潤滑剤の漏洩を抑制し、当該空間における潤滑剤のレベルを確保することができる転がり軸受装置を提供する。【解決手段】密封装置10は、内輪3と外輪との間の空間SPの軸方向両側に配置され、周方向において分断された箇所を有するシール部材8を備え、シール部材8は、内輪3の外周面に形成された周溝3b内に収容され、かつ、その外周面81aが外輪又は外輪に固定される環状部材7の内周面に固定され、周溝3bの内面に対向するシール部材8の外面81b〜81dには、空間SP側から空間SP外である大気側へ向かう方向に沿った潤滑剤排出通路83〜85と、空間SP側から大気側へ向かう方向へ傾斜して突出し、先端部が周溝3bの内面に接触するリップ部81eとが設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、連続鋳造機の杵型ロール等の回転軸を回転自在に支持する転がり軸受装置に適用される密封装置に関する。
例えば、連続鋳造機において駆動ロールとして用いられる杵型ロールは、軸方向の中央部における小径軸部が転がり軸受装置(軸受ユニット)によって支持されている(例えば、特許文献1参照)。この種の転がり軸受装置は、2分割構造の内輪と、2分割構造の外輪と、内輪と外輪との径方向の間に配置された転動体とを有し、内輪及び外輪を小径軸部の径方向外側から取り付けることが可能となっている。また、転がり軸受装置には、内輪と外輪との間の転動体配置空間を軸方向両側からシール部材でシールすることによって当該空間を密封する密封装置が設けられている。密封装置は、シール部材によって外部からの水や異物の侵入を防止しつつ、転動体等を潤滑するための潤滑剤を保持している。このシール部材は、周方向の一箇所が分断され、この分断箇所を拡げることによって、内輪の外周に径方向外側から取り付けることができるようになっている。
図11は、従来のシール部材を拡大して示す断面図である。シール部材101は、内輪102の外周面に形成された周溝103に嵌め合わされることによって固定されている。シール部材101の外周面には、外輪に固定されたラビリンスリング105に接触するリップ部106a,106bが設けられている。そして、シール部材101は、内輪102とともに回転し、リップ部106a,106bがラビリンスリング105の内周面を摺動するように構成されている。
特開2008−281170号公報
この種の転がり軸受装置においては、潤滑の方法として、オイルエア潤滑方式又はグリース潤滑方式が採用される。また、転動体配置空間内の潤滑剤を定期的又は随時入れ替えるため、転動体配置空間から潤滑剤を取り出す方法として、転動体配置空間に連通する回収配管を介して潤滑剤を回収する方式(以下、単に「回収方式」という)と、シール部材とラビリンスリングとの間から潤滑剤を排出させる方式(以下、単に「排出方式」という)とがある。例えば、図11に示すシール部材101は、一方のリップ部106aによって潤滑剤の排出が阻止されるため、専ら回収方式で用いられる。
一般に、グリース潤滑方式は、オイルエア潤滑方式に比べて密封性、潤滑性、及び耐摩耗性を保つ条件が厳しくなる。これは、オイルエア潤滑方式の場合、常に新しいオイルが転動体配置空間に供給され、しかも当該空間が正圧に保たれることによって水や異物の侵入が阻止されるからである。また、回収方式は、回収配管を設置する必要があるため、排出方式と比較してコストがかかる。以上のことを考慮すると、オイルエア潤滑方式及び排出方式を採用することが好ましい。
その一方で、これらの方式を採用した場合には、エアとともにシール部材を通過するオイルが多くなり、転動体配置空間内におけるオイルレベルが十分に確保できず、潤滑性能が低下する可能性がある。また、シール部材は、周方向において分断された箇所を有しているため、当該箇所に隙間ができるとオイルの漏れが多くなり、オイルレベルの確保がより困難となる。
本発明は、転動体配置空間における潤滑剤のレベルを確保することができる転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本出願の発明者は、転がり軸受装置における転動体配置空間の潤滑剤のレベルを確保するため、鋭意研究を重ね、その結果、シール部材を回転輪である内輪とともに回転させるよりも、固定輪である外輪側に固定することが有用であることを見出した。そして、次のような発明を創作するに到った。
(1) すなわち、本発明は、周方向において複数に分割された回転輪である内輪と、周方向において複数に分割された固定輪である外輪と、前記内輪と前記外輪との間の空間に配置される転動体とを備えた転がり軸受装置に適用される密封装置であって、
前記空間の軸方向両側に配置され、周方向において分断された箇所を有するシール部材を備え、
前記シール部材は、前記内輪の外周面に形成された周溝内に収容され、かつ、その外周面が前記外輪又は前記外輪に固定される環状部材の内周面に固定され、
前記周溝の内面に対向する前記シール部材の外面には、前記空間側から前記空間外である大気側へ向かう方向に沿った潤滑剤排出通路と、前記空間側から前記大気側へ向かう方向へ傾斜して突出し、先端部が前記周溝の内面に接触するリップ部とが設けられている。
このような構成により、シール部材は、内輪とともに回転することなく外輪又は環状部材に固定される。シール部材が回転すると、それに伴って潤滑剤が持ち上げられ、その潤滑剤が下方へ垂れるときにエアとともにシール部材を通過し、外部に漏れやすくなると考えられる。したがって、上記の発明のように、シール部材を固定輪である外輪又は環状部材に固定することによって、シール部材を通過して漏れる潤滑剤が少なくなり、転動体が配置される空間(以下、「転動体配置空間」ともいう)における潤滑剤のレベルの確保が容易となる。また、転がり軸受装置の使用中、内輪が熱膨張とすると、周溝の内面全体がシール部材の外面に接触することがあるが、シール部材の外面には潤滑剤排出通路が形成されているので、潤滑剤排出通路を介して潤滑剤の排出が促され、転動体配置空間における潤滑剤の入れ替えが好適になされる。
(2) 好ましくは、前記シール部材の内径が、前記周溝の底面における外径と同一か又は当該外径よりも大きく、前記シール部材の外径が、前記外輪又は前記環状部材の内径よりも大きい。
このような構成によれば、シール部材を外輪又は固定部材に嵌合させることによってシール部材の分断箇所を密着させることができ、当該分断箇所からの潤滑剤の漏れを抑制することができる。
(3) 好ましくは、前記シール部材は、弾性素材からなるシール本体と、金属製の芯材とを有しており、前記芯材は、前記周溝の内面に対向する前記シール部材の軸方向の外面において露出している。
このような構成によって、回転する内輪の周溝と芯材とが接触した場合であっても両者は金属接触となるため、摩擦抵抗が低減される。
(4) 好ましくは、前記シール部材の外周面における前記空間側の一部には、周方向に沿って螺旋溝が形成されている。
このような構成によって、転動体配置空間に存在する潤滑剤が螺旋溝内に入り込み、シール部材の外周面と外輪又は環状部材の内周面との間に入り込む。そのため、内輪と外輪との間で軸方向の相対移動が生じたときに、シール部材が外輪又は固定部材の内周面上でシール部材が軸方向にスムーズに移動しやすくなる。また、螺旋溝を、転動体配置空間側の一部に形成することで、螺旋溝を通じて転動体配置空間側から大気側へ潤滑剤が漏洩するのを防止することができる。
(5) 好ましくは、前記シール部材が、前記空間側から前記大気側へ向けて突出し、当該大気側における前記内輪の外周面に接触する第2リップ部を有し、当該第2リップ部と前記内輪との間に潤滑剤溜まり空間が形成されている。
このような構成によって、大気側から空間側への異物の侵入を第2リップ部によって抑制することができ、潤滑剤溜まり空間に溜まった潤滑剤によって、第2リップ部と内輪外周面と接触面が潤滑され、摩擦抵抗を低減することができる。
(6) 好ましくは、前記周溝の内面に対向する前記シール部材の軸方向の外面に、周方向に沿って形成された円周溝が形成されている。
このような構成によって、回転する内輪の周溝の内面とシール部材の外面とが接触した場合であっても、円周溝に入り込んだ潤滑剤によって両者の接触面が潤滑され、摩擦抵抗を低減することができる。
本発明によれば、内輪と外輪との間の転動体配置空間からの潤滑剤の漏洩を抑制し、当該空間における潤滑剤レベルを確保することができる。
第1実施形態に係る密封装置を適用した転がり軸受装置の断面図である。 密封装置のシール部材を大気側から見た図である。 密封装置のシール部材を密封空間側から見た図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図2におけるB部拡大図である。 図2におけるC部拡大図である。 図3におけるD部拡大図である。 図3におけるE部拡大図である。 第2実施形態に係る密封装置のシール部材を示す断面図である。 第3実施形態に係る密封装置のシール部材を示す断面図である。 従来の密封装置のシール部材を示す断面図である。
図1は、第1実施形態に係る密封装置を適用した転がり軸受装置の断面図である。
図1に示すように、転がり軸受装置2は、連続鋳造設備に用いられる杵形ロール1の軸方向中央部に設けられた小径軸部1aを支持するために用いられている。ロール1の小径軸部1aにおける直径d2は、それ以外の部分(ロール部分1c)の直径d1より小さい。
転がり軸受装置2は、小径軸部1aに外嵌される2分割構造の内輪3と、内輪3の外周側に形成された軌道3aに装着された転動体(円筒ころの総ころ形)4と、下側ハーフリングの外輪5と、内輪3及び転動体4の外側にあって、これらを保持するハウジング6と、ハウジング6の内周側に嵌合された軸方向に一対の円筒形のラビリンスリング(環状部材)7とを備えている。また、密封装置10は、内輪3の外周面に形成された一対の周溝3bにそれぞれ配置され、ラビリンスリング7に固定されるシール部材8と、内輪3の軸端近傍の外周側に形成された周溝3cに装着され、ラビリンスリング7と摺接するパッキン9とを備えている。
ハウジング6は2分割構造である。具体的に、本実施形態のハウジング6は上下2分割構造であり、上部のハウジング6aは、外輪の役割も担っている。したがって、ハウジング6の上部6aとハーフリングの外輪5とによって、2分割構造の外輪5,6aが構成されている。このように、内輪3及び外輪5,6aが2分割構造とされることによって、ロール1の小径軸部1aに対して径方向外側から取り付けることができる。
なお、本実施形態の転がり軸受装置2は、オイルエア潤滑方式が採用されており、図示はしていないが、ハウジング6には、内輪3と外輪5,6aとの間の転動体4が配置される空間SPに対してオイルエアを供給するための通路が形成され、この通路にオイルエア供給装置が接続されている。
一対のシール部材8は、内輪3と外輪5,6aとの間の転動体4が配置される空間SPを軸方向両側からシールすることによって、当該空間SPを密封している。以下、当該空間SPを「密封空間」又は「転動体配置空間」ともいう。
上記小径軸部1aの軸方向の両側に配置されるロール1の端面には、それぞれラビリンス溝1bが周方向に沿って円形に形成され、このラビリンス溝1bにラビリンスリング7の一部が入り込むことによって、ラビリンスシールが形成されている。
図2は、密封装置のシール部材を大気側から見た図、図3は、密封装置のシール部材を密封空間側から見た図である。図4は、図2におけるA−A線断面図である。
図2〜4に示すように、シール部材8は、フッ素ゴムや水素化ニトリルゴム等の弾性体からなるシール本体81と、鉄等の金属製の芯材82とを備えている。
シール本体81は、周方向の一箇所S(図2のC部)で分断されており、その両端面を互いに突き合わせることにより、全体として環状の形態を有している。
芯材82は、C字形状(円弧形状)に形成され、シール本体81における分断箇所Sの近傍と、この分断箇所Sに対して180°位相がずれた位置(図2のB部近傍)とを除く範囲で一対設けられている。各芯材82は、図4に示すように、一側面82aのみが外部に露出した状態でシール本体81に埋設されている。
なお、シール部材8は、周方向の一箇所Sで分断され、その180°位相がずれた位置がシール本体81のみで構成されているので、分断箇所Sを拡げることができ、分断箇所Sを拡げることによって内輪3の径方向外側からシール部材8を取り付けることができる。
図4に示すように、シール本体81は、断面が略矩形状に形成されている。シール本体81の外周面81aの断面形状は、軸方向に沿って略直線状に形成されている。そして、シール本体81の外周面81aが、ラビリンスリング7の内周面に嵌合されることによって、当該ラビリンスリング7にシール部材8が固定されている。ラビリンスリング7に固定されたシール部材8は、内輪3の周溝3b内に収容されている。周溝3bの内面は、軸方向両側の内側面3b1,3b3と、径方向内側の底面3b2とを有し、断面略コの字形に形成されている。
シール部材8(シール本体81)の外径は、ラビリンスリング7の内径よりも若干大きい寸法とされている。したがって、シール部材8は、締め代をもってラビリンスリング7に嵌合される。そのため、シール部材8は、分断箇所Sにおける両端面を密着させた状態で外輪5,6aに固定される。
また、シール部材8(シール本体81)の内周面81cは、周溝3bの底面3b2との間に隙間をもって配置されている。すなわち、シール部材8(シール本体81)の内径は、周溝3bの底面3b2の外径よりも大きい。あるいは、シール部材8(シール本体81)の内径は、周溝3bの底面3b2の外径と同一であり、シール部材8は分断箇所Sを拡げることなく周溝3bの底面3b2に接触する。
シール本体81の密封空間SP側の軸方向の外面81dと、シール本体81の内周面81cとの間のコーナー部には、リップ部81eが形成されている。このリップ部81eは、シール本体81の外面81b〜81d及び周溝3bの内面3b1〜3b3に沿って密封空間SP側から大気側へ向かう方向に向けて傾斜した状態で突出している。したがって、リップ部81eは、大気側から密封空間SP側への水や異物の侵入を抑制し、大気側へ向かう方向へのエアやオイルの通過を許容することができる。
大気側におけるシール本体81の軸方向の外面81bにおいて、シール本体81の周方向の一部(図2のB部)と、周方向の他の一部(図2のC部)とには、径方向に沿って第1溝部83が形成されている(図5及び図6参照)。
また、シール本体81の内周面81cにおいて、シール本体81の周方向の一部(図2のB部)と、周方向の他の一部(図2のC部)とには、軸方向に沿って第2溝部84が形成されている(図5及び図6参照)。
さらに、密封空間SP側におけるシール本体81の軸方向の外面81dにおいて、シール本体81の周方向の一部(図3のD部)と、周方向の他の一部(図3のE部)とには、径方向に沿って第3溝部85が形成されている(図7及び図8参照)。
これらの第1〜第3溝部83〜85は、密封空間SP側から大気側へ向かう方向に沿って形成されたオイル排出通路(潤滑剤排出通路)を構成している。すなわち、密封空間SPに供給されたオイルは、図4に矢印αで示すように、オイル排出通路83〜85を通って密封空間SPから大気側へ排出され得る。特に、連続鋳造装置の運転中は内輪3が熱膨張し、周溝3bの内面3b1〜3b3がシール部材8の外面81b〜81dに接触することがあるが、密封空間SP内のオイルは、オイル排出通路83〜85を通って大気側へ排出される。
本実施形態のシール部材8は、固定輪である外輪6aに固定されるラビリンスリング7に取り付けられるため、内輪3が回転してもシール部材8は回転しない。そのため、密封空間SP内に供給されたオイルが、シール部材8によって持ち上げられることがない。その結果、持ち上げられたオイルが下方に垂れるときにエアとともに外部へ漏れるという現象が生じ難く、密封空間SP内のオイルが過度に排出されることがない。したがって、密封空間SP内のオイルレベルを十分に確保することができ、転がり軸受装置2の潤滑を好適に行うことができる。
また、シール部材8は、ラビリンスリング7の内周面に締め代をもって嵌合されるので、シール部材8の分断箇所Sにおける両端部が互いに密着した状態となる。そのため、両端部に隙間が生じることがなく、当該隙間からのオイルの漏れも抑制することができる。これによっても、密封空間SPにおけるオイルレベルを好適に確保することができる。
また、シール部材8の芯材82は、その軸方向の一側面82aが外部に露出しているので、回転する内輪3の周溝3bの内面3b1に芯材82の一側面82aが接触したとしても、両者は金属接触となるため、摩擦抵抗を低減することができる。
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係る密封装置のシール部材を示す断面図である。
本実施形態のシール部材8は、シール本体81の外周面81aにおける密封空間SP側の一部に、周方向に沿って螺旋溝81a1が形成されている。
また、大気側におけるシール本体81の外面81bには、大気側に向かって軸方向に突出する第2リップ部81fが形成されている。この第2リップ部81fの内周面は、内輪3の外周面に接触している。
本実施形態では、密封空間SP側のオイルが螺旋溝81a1内に入り込むことによりシール部材8の外周面81aとラビリンスリング7の内周面との間を潤滑することができる。そのため、例えば、内輪3と外輪5,6aとが軸方向に相対移動したときにラビリンスリング7の内周面上でシール部材8を軸方向にスムーズに移動させることができる。また、螺旋溝81a1は、密封空間SP側の一部に形成されているので、螺旋溝81a1内に侵入したオイルが大気側に漏れることもない。
第2リップ部81fは、大気側から密封空間SP側への水や異物の侵入を防止する。また、第2リップ部81fと内輪3との間には、空間sが形成されている。この空間sは、オイル排出通路83〜85を通って排出されようとするオイルを一時的に溜めるオイル溜まり空間(潤滑剤溜まり空間)とされる。このため、第2リップ部81fと内輪3との間に好適にオイルが供給され、内輪3と第2リップ部81fとの摩擦抵抗を低減することができる。
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態におけるシール部材の断面図である。
本実施形態のシール部材8は、芯材82が略L字形状に形成され、シール本体81の内部に埋設されている。そして、大気側におけるシール本体81の外面81bが、周溝3bの内面3b1に接触可能となっている。
また、シール本体81の外面81bにおける径方向の中途部には、周方向に沿った円周溝81b1が全周に形成されている。
本実施形態では、シール本体81の外面81bが内輪3の周溝3bの内面3b1に摺接するため、第1の実施形態のように金属製の芯材82が摺接する場合に比べて摩擦抵抗が大きくなる。しかしながら、当該外面81bには円周溝81b1が形成され、この円周溝81b1にリップ部81eを通過して排出されようとするオイルが入り込むため、シール本体81の外面81bと、内輪3の周溝3bの内面3b1との間を潤滑し、両者の摩擦抵抗を低減することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において変更することができる。
例えば、第2の実施形態において、シール本体81の外周面81aに形成された螺旋溝81a1は、第1及び第3の実施形態のシール本体81の外周面81aに形成されていてもよい。
また、第3の実施形態において、シール本体81の外面81bに形成された円周溝81b1は、第1及び第2の実施形態におけるシール本体81の外面81b及び芯材82の外面82aに形成されていてもよい。
上記実施形態では、潤滑の方法としてオイルエア潤滑方式が採用され、密封空間SPからオイルを取り出す方法として、排出方式が採用されていたが、グリス潤滑方式や、回収方式を採用することも可能である。シール部材8は、固定輪である外輪5,6aの内周面に締め代をもって嵌合、固定されていてもよい。
2 :転がり軸受装置
3 :内輪
3b :周溝
3b2 :底面
4 :転動体
5 :外輪
6a :ハウジング上部(外輪)
7 :ラビリンスリング(環状部材)
8 :シール部材
10 :密封装置
81 :シール本体
81a1 :螺旋溝
81b1 :円周溝
81e :リップ部
81f :第2リップ部
82 :芯材
83 :第1溝部(潤滑剤排出通路)
84 :第2溝部(潤滑剤排出通路)
85 :第3溝部(潤滑剤排出通路)
SP :密封空間(転動体配置空間)
s :オイル溜まり空間(潤滑剤溜まり空間)

Claims (6)

  1. 周方向において複数に分割された回転輪である内輪と、周方向において複数に分割された固定輪である外輪と、前記内輪と前記外輪との間の空間に配置される転動体とを備えた転がり軸受装置に適用される密封装置であって、
    前記空間の軸方向両側に配置され、周方向において分断された箇所を有するシール部材を備え、
    前記シール部材は、前記内輪の外周面に形成された周溝内に収容され、かつ、その外周面が前記外輪又は前記外輪に固定される環状部材の内周面に固定され、
    前記周溝の内面に対向する前記シール部材の外面には、前記空間側から前記空間外である大気側へ向かう方向に沿った潤滑剤排出通路と、前記空間側から前記大気側へ向かう方向へ傾斜して突出し、先端部が前記周溝の内面に接触するリップ部とが設けられている、密封装置。
  2. 前記シール部材の内径が、前記周溝の底面における外径と同一か又は当該外径よりも大きく、前記シール部材の外径が、前記外輪又は前記環状部材の内径よりも大きい、請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記シール部材は、弾性素材からなるシール本体と、金属製の芯材とを有しており、前記芯材は、前記周溝の内面に対向する前記シール部材の軸方向の外面において露出している、請求項1又は2に記載の密封装置。
  4. 前記シール部材の外周面における前記空間側の一部には、周方向に沿って螺旋溝が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の密封装置。
  5. 前記シール部材が、前記空間側から前記大気側へ向けて突出し、当該大気側における前記内輪の外周面に接触する第2リップ部を有し、当該第2リップ部と前記内輪との間に潤滑剤溜まり空間が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の密封装置。
  6. 前記周溝の内面に対向する前記シール部材の軸方向の外面に、周方向に沿った円周溝が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の密封装置。
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