JP2014129832A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリ−ス等の潤滑剤を利用してダスト等の浸入を防止する密封装置において、構造を簡素にして取り扱い性の容易化を図ると共に耐久性の向上を図る。
【解決手段】互いに同心的かつ相対回転可能に配置された二部材のうち一方の部材102に装着される基部21及びこの基部21から軸受側空間S1と反対側を向いて延びると共に前記二部材のうち他方の部材104と摺動自在に密接可能で前記軸受側空間S1に注入される潤滑剤の溢出を許容するシールリップ22を有するゴム弾性体からなる第一シールリング2と、前記シールリップ22から見て軸受外部空間S2側に位置して前記基部21に支持されると共に前記他方の部材104と摺動自在に密接可能で円周方向一カ所が切断された合成樹脂からなる第二シールリング3を備える。
【選択図】図1
【解決手段】互いに同心的かつ相対回転可能に配置された二部材のうち一方の部材102に装着される基部21及びこの基部21から軸受側空間S1と反対側を向いて延びると共に前記二部材のうち他方の部材104と摺動自在に密接可能で前記軸受側空間S1に注入される潤滑剤の溢出を許容するシールリップ22を有するゴム弾性体からなる第一シールリング2と、前記シールリップ22から見て軸受外部空間S2側に位置して前記基部21に支持されると共に前記他方の部材104と摺動自在に密接可能で円周方向一カ所が切断された合成樹脂からなる第二シールリング3を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば連続鋳造機のロールを支持する軸受へのダストの浸入等を防止するための密封手段として用いられる密封装置に関する。
連続鋳造機のロールを支持する軸受に用いられる密封装置には、軸受内部を潤滑するために注入されたグリ−スが、密封装置を通じて軸受外部へ排出されるようにすることによって、軸受の潤滑とダストの浸入防止を図る「グリースアウト方式」のものがあり、その典型的な従来技術としては、下記の特許文献1に記載されたようなものが知られている。
しかしながら、上記従来の密封装置は構造が複雑であり、また、ゴム単体からなる簡素な構造のものは水やダストの浸入によって摩耗が進行しやすく、寿命が短いといった問題がある。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、グリ−ス等の潤滑剤を利用してダストの浸入を防止する密封装置において、構造を簡素にして取り扱い性の容易化を図ると共に耐久性の向上を図ることにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る密封装置は、互いに同心的かつ相対回転可能に配置された二部材のうち一方の部材に装着される基部及びこの基部から軸受側空間と反対側を向いて延びると共に前記二部材のうち他方の部材と摺動自在に密接可能で前記軸受側空間に注入される潤滑剤の溢出を許容するシールリップを有するゴム弾性体からなる第一シールリングと、前記シールリップから見て軸受側空間と反対側に位置して前記基部に支持されると共に前記他方の部材と摺動自在に密接可能で円周方向一カ所が切断された合成樹脂からなる第二シールリングを備える。
請求項1の構成を備える密封装置は、軸受側空間と反対側(軸受外部空間側)から浸入しようとする水やダストを、第二シールリング及びシールリップが二部材のうち他方の部材と摺動自在に密接されることによって遮断するものである。そして、軸受側空間に充満する潤滑剤が、その注入に伴って第一シールリングのシールリップを介して溢出し、このシールリップと第二シールリングの間に充満すると共に第二シールリングの切断部や第二シールリングと他方の部材との摺動部の隙間へ介入するので、軸受外部空間側からの水やダストの浸入を一層有効に遮断する。また、第二シールリングが合成樹脂からなることに加え、前記潤滑剤が第二シールリングと他方の部材との摺動部の隙間へ介入することによって、第二シールリングが水やダストによる損耗を受けにくく、耐久性が向上する。
請求項2の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の構成において、第二シールリングに、軸受側空間から第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の空間へ潤滑剤が溢出するのに伴って、前記第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の空間から潤滑剤が軸受側空間と反対側へ排出されるのを容易にする潤滑剤排出路が設けられたものである。
請求項2の構成によれば、第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の空間に充満した潤滑剤は、軸受側空間からの潤滑剤の溢出に伴い、潤滑剤排出路を通じて軸受側空間と反対側へ排出されるので、第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の潤滑剤圧力の上昇が抑制され、前記軸受側空間への潤滑剤の注入が円滑に行われる。
請求項3の発明に係る密封装置は、請求項1又は2に記載の構成において、第一シールリングの基部に、第二シールリングと嵌合可能な嵌合部が設けられたものである。
請求項3の構成によれば、第二シールリングが第一シールリングの基部に位置決め嵌合されるので、取り扱い性が向上する。
本発明に係る密封装置によれば、合成樹脂からなる第二シールリングをゴム弾性体からなる第一シールリングに支持した簡素な構造であるため、取り扱いが容易であり、しかも第一シールリングのシールリップを介して軸受側空間から溢出する潤滑剤によって水やダストの浸入を遮断するため、耐久性を向上させることができる。
以下、本発明に係る密封装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず図1において、参照符号101は連続鋳造機のロール、102はその軸方向両端(図では軸方向一端のみ示す)のロールネック、103はロールネック102の外周を包囲するように設けられた軸受ハウジング、104は軸受ハウジング103の軸方向両側に結合されたシールハウジング、105は軸受ハウジング103とロールネック102の間に介在された軸受である。本発明に係る密封装置1は、ロールネック102の外周面に形成された装着溝102aに装着され、ロール101による連続鋳造過程で生じるスケールなどのダストや冷却水が、軸受105へ浸入するのを防止するために、この軸受105の軸方向両側に位置して、シールハウジング104の内周に装着される。また、軸受ハウジング103には、軸受105を潤滑するためのグリースを周期的に注入するためのグリース供給通路103aが開設されている。
なお、ロールネック102は請求項1に記載された「二部材のうち一方の部材」に相当し、シールハウジング104は請求項1に記載された「二部材のうち他方の部材」に相当し、グリースは請求項1に記載された潤滑剤に相当するものである。
図2及び図3は本発明に係る密封装置1の第一の実施の形態を示すもので、ロールネック102の外周面に形成された装着溝102aに装着される基部21及びこの基部21の外径部から延びてシールハウジング104の内周面と摺動自在に密接可能なシールリップ22を有する第一シールリング2と、前記シールリップ22から見て軸受側空間S1と反対側(軸受外部空間S2側)に位置して第一シールリング2の基部21の外周面に支持されると共にシールハウジング104の内周面と摺動自在に密接可能な第二シールリング3を備える。
詳しくは、第一シールリング2はゴム弾性体(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で成形されたものであって、基部21はその内周面21aがロールネック102の装着溝102aの底面に密接されるようになっており、シールリップ22は、軸受側空間S1のグリースの充填圧力によってシールハウジング104の内周面から離れ、軸受側空間S1からのグリースの溢出を許容するように、軸受外部空間S2側を向いて延びると共に、シールハウジング104の内周面に対して適度な締め代を有する。
また第二シールリング3は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など低摩擦で耐摩耗性に優れた合成樹脂からなるものであって、第一シールリング2の基部21の外周面にシールリップ22から見て軸受外部空間S2側に位置して形成された位置決め突部23に当接されると共に、外周面3aにおいてシールハウジング104の内周面と摺動自在に密接されるものである。そしてこの第二シールリング3は、ゴム弾性体からなる第一シールリング2のように引き伸ばすことができないため、図3に示すように、円周方向一カ所に切断部31を有する。
以上の構成において、図1に示す軸受ハウジング103のグリース供給通路103aからは、軸受側空間S1内へ、軸受105を潤滑するためのグリースが適量ずつ周期的に注入されている。そして密封装置1は、軸受外部空間S2から軸受側空間S1へ浸入しようとするスケール等のダストや冷却水を、第二シールリング3の外周面3a及び第一シールリング2のシールリップ22がシールハウジング104の内周面と摺動自在に密接されることによって遮断するものである。
また、軸受側空間S1に注入されたグリースの圧力によって、第一シールリング2のシールリップ22がシールハウジング104の内周面から僅かに開くことで、シールリップ22と第二シールリング3の間のグリース充填空間S3へのグリースの溢出を許容するので、このグリース充填空間S3にはグリースが充満しており、この充満したグリースが、スケール等のダストや冷却水等に対する堰き止め作用を奏すると共に、さらにこのグリースが、グリース充填空間S3から第二シールリング3の外周面3aとシールハウジング104の内周面との摺動隙間や第二シールリング3の切断部31を介して軸受外部空間S2へ溢出するので、このようなグリースの押し出し作用によって、軸受外部空間S2から軸受側空間S1へのスケール等のダストや冷却水等の浸入を一層有効に防止することができる。
しかも上述のように、第二シールリング3の外周面3aとシールハウジング104の内周面との摺動隙間にはグリースが介入することによって潤滑性が向上すると共に、軸受外部空間S2からのダスト等の介入を阻止するため、第二シールリング3がダストによる損耗を受けにくくなって、その耐久性が向上する。
また、上記構成の密封装置1は、ゴム弾性体からなる第一シールリング2の基部21に合成樹脂からなる第二シールリング3を保持した簡素な構造となっているため、低コストで製造可能であると共に、取り扱いも容易である。
図3に示す形態では、第二シールリング3の切断部31が、この第二シールリング3の軸心を通る平面同士で互いに近接対向又は衝合した形状となっているが、例えば図4あるいは図5に示すような他の形状とすることもできる。このうち、図4に示す第二の実施の形態では、第二シールリング3の切断部31がステップカット形状をなしており、すなわち、円周方向に密接又は近接対向される径方向の平面カット部31aと、この平面カット部31aから円周方向へ延びて互いに凹凸嵌合される棒状凸部32と溝状凹部33を形成している三次元カット部31bからなるものである。また、図5に示す第三の実施の形態では、第二シールリング3の切断部31がアリ溝34とアリほぞ35によるアリ継ぎ形状をなすものである。
次に、図6に示す第四の実施の形態及び図7に示す第五の実施の形態は、第二シールリング3に、第一シールリング2のシールリップ22側から溢出して図2に示すグリース充填空間S3に充満するグリースが図2に示す軸受側空間S1と反対側(軸受外部空間S2)へ排出されるのを容易にする複数のグリース排出路36が円周方向所定間隔で設けられたものである。なお、グリース排出路36は請求項2に記載された潤滑剤排出路に相当するものである。
そしてこのうち図6に示す第四の実施の形態では、グリース排出路36は第二シールリング3を軸方向に貫通する貫通孔からなるものであって、そのシールリップ22側の開口端部36aは、第一シールリング2の位置決め突部23によって塞がれない位置に開口している。また、図7に示す第五の実施の形態では、グリース排出路36は第二シールリング3の外周面3aに形成された軸方向に延びる溝からなるものである。
このようなグリース排出路36を設けると、図1に示す軸受ハウジング103のグリース供給通路103aから軸受側空間S1に、軸受105を潤滑するグリースを注入することによって、軸受側空間S1内のグリースの一部が第一シールリング2のシールリップ22を開いてグリース充填空間S3へ溢出すると、これに伴って、グリース充填空間S3に充満したグリースの一部がグリース排出路36を介して軸受外部空間S2へ排出されるので、グリース充填空間S3の圧力が異常に上昇することがなく、グリース供給通路103aから軸受側空間S1へのグリースの注入が円滑に行われる。
次に、図8に示す第六の実施の形態及び図9に示す第七の実施の形態は、第一シールリング2の基部21に、第二シールリング3と嵌合可能な嵌合部24が設けられ、これによって第一シールリング2の基部21に第二シールリング3を位置決め支持可能としたものである。
そしてこのうち図8に示す第六の実施の形態では、嵌合部24が、第一シールリング2の基部21の外周面にシールリップ22から見て軸受外部空間S2(図2参照)側に位置して形成された位置決め突部23と、前記基部21の軸受外部空間S2(図2参照)側の端部外周に形成された第二位置決め突部25によって、円周方向へ延びる相対的な凹部状に形成されており、第二シールリング3が、前記位置決め突部23と第二位置決め突部25の間で基部21に第二シールリング3を位置決め支持されるようになっている。
また、図9に示す第七の実施の形態では、嵌合部24が、第一シールリング2の基部21の外周面に、位置決め突部23より軸受外部空間S2(図2参照)側に位置して形成された、円周方向へ連続した嵌合溝からなるものである。そして、第二シールリング3の内周面には円周方向へ連続した嵌合突条37が形成され、この嵌合突条37が前記嵌合溝(嵌合部24)と嵌合することによって、第一シールリング2の基部21に第二シールリング3が位置決め支持されるようになっている。
なお、上述した各形態は、互いに組み合わせて実施することができるものであり、例えば図8に示す第六の実施の形態あるいは図9に示す第七の実施の形態において、第二シールリング3の切断部31の形状は、この第二シールリング3の軸心を通る平面同士で互いに近接対向又は衝合した形状となっているが、例えば図4あるいは図5に示すような他の形状としても良いし、第二シールリング3には図6に示す第四の実施の形態あるいは図7に示す第五の実施の形態のようなグリース排出路36を形成しても良い。
1 密封装置
2 第一シールリング
21 基部
22 シールリップ
23 位置決め突部
3 第二シールリング
31 切断部
102 ロールネック(二部材のうち一方の部材)
104 シールハウジング(二部材のうち他方の部材)
S1 軸受側空間
S2 軸受外部空間
2 第一シールリング
21 基部
22 シールリップ
23 位置決め突部
3 第二シールリング
31 切断部
102 ロールネック(二部材のうち一方の部材)
104 シールハウジング(二部材のうち他方の部材)
S1 軸受側空間
S2 軸受外部空間
Claims (3)
- 互いに同心的かつ相対回転可能に配置された二部材のうち一方の部材に装着される基部及びこの基部から軸受側空間と反対側を向いて延びると共に前記二部材のうち他方の部材と摺動自在に密接可能で前記軸受側空間に注入される潤滑剤の溢出を許容するシールリップを有するゴム弾性体からなる第一シールリングと、前記シールリップから見て軸受側空間と反対側に位置して前記基部に支持されると共に前記他方の部材と摺動自在に密接可能で円周方向一カ所が切断された合成樹脂からなる第二シールリングを備えることを特徴とする密封装置。
- 第二シールリングに、軸受側空間から第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の空間へ潤滑剤が溢出するのに伴って、前記第一シールリングのシールリップと第二シールリングの間の空間から潤滑剤が軸受側空間と反対側へ排出されるのを容易にする潤滑剤排出路が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
- 第一シールリングの基部に、第二シールリングと嵌合可能な嵌合部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012286997A JP2014129832A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012286997A JP2014129832A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014129832A true JP2014129832A (ja) | 2014-07-10 |
Family
ID=51408386
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012286997A Pending JP2014129832A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014129832A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019078322A (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-23 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置 |
-
2012
- 2012-12-28 JP JP2012286997A patent/JP2014129832A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019078322A (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-23 | 光洋シーリングテクノ株式会社 | 密封装置 |
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