JP2002332559A - 酸化物溶射用粒子およびその製造方法、ならびに該粒子を用いた溶射部材および耐食性部材 - Google Patents

酸化物溶射用粒子およびその製造方法、ならびに該粒子を用いた溶射部材および耐食性部材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さい粒径の場合でも流動性に優れるととも
に、表面研磨加工を施さなくとも、滑らかで凹凸のない
溶射被膜を与える酸化物溶射用粒子を提供すること。 【解決手段】 表面に脂肪酸被膜および/または脂肪酸
化合物被膜を有する酸化物溶射用粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物溶射用粒子
およびその製造方法、ならびに該粒子を用いた溶射部材
および耐食性部材に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から、金属、セラミックス等に金属酸化物を溶射するこ
とにより被膜を形成し、耐熱性、耐磨耗性、耐食性を付
与することが行なわれている。このような溶射被膜を形
成するための溶射用粒子の製造方法として、(1)原料
を電気炉で溶融し、冷却凝固後、粉砕機で微粉化し、そ
の後分級することにより粒度調整を行って溶融粉砕粉を
得る方法、(2)原料を焼結後、粉砕機で微粉化し、そ
の後分級することにより粒度調整を行って焼結粉砕粉を
得る方法、(3)原料粉末を有機バインダーに加えてス
ラリー化し、噴霧乾燥型造粒機を用いて造粒後、焼成
し、場合によっては分級することにより粒度調整を行っ
て造粒粉を得る方法、(4)溶液から晶出沈殿により粉
体を作製する方法等が挙げられる。
【0003】また、上記溶射用粒子に求められる特性と
しては、溶射時のプラズマ炎またはフレーム炎まで材
料が安定、かつ、定量的に供給できること、溶射時に
(プラズマ炎またはフレーム炎中で)粒子形状が崩れな
いこと、溶射時に(プラズマ炎またはフレーム炎中
で)粒子が完全に溶融すること、等が要求されている。
【0004】ところで、上記溶射用粒子の供給は搬送チ
ューブ等の細い流路を介して溶射ガンまで供給されるこ
とから、安定的かつ定量的に供給を行えるか否かは、溶
射用粒子の粉体物性中、流動性にかなり影響されること
となる。しかしながら、従来の製法にて作製した溶射用
粒子は、一般的に、粒径を小さくしていくと流動性が悪
化するものである。したがって、該小粒径粒子を用いて
溶射被膜を形成しようとした場合、粉体供給が困難とな
ることが多く、仮に粉体供給ができたとしても断続的な
供給となるため、良好な特性を有する被膜を得ることが
できず、耐食性、耐摩耗性、被膜強度等に問題が出てく
るという欠点があった。
【0005】このような溶射被膜の耐食性、耐摩耗性、
強度等は、基板となる下地と密接に関係するものである
が、耐食性に関しては、特に溶射被膜の表面状態に強く
依存するため、凹凸の少ない、滑らかな表面を有する被
膜が好ましい。このため、一般的に、溶射後に表面研磨
仕上げ等を施し、表面を滑らかにすることが行われてい
た。しかしながら、表面研磨加工を施すと、溶射被膜中
のボイドに研磨くずが残留する虞があるため、例えば、
半導体製造装置などのパーティクルフリーが要求される
用途において問題となる。したがって、表面研磨加工を
施さなくても凹凸なく、滑らかな表面状態を有する被膜
を与える溶射用粒子の開発が求められていた。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、小さい粒径の場合でも流動性に優れると
ともに、表面研磨加工を施さなくとも、滑らかで凹凸の
ない溶射被膜を与える酸化物溶射用粒子およびその製造
方法、ならびに該粒子を用いた溶射部材および耐食性部
材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行
った結果、酸化物溶射用粒子において、該粒子表面に脂
肪酸被膜および/または脂肪酸化合物被膜を形成するこ
とで、小さい粒径の場合でも流動性に優れ、該溶射用粒
子を溶射してなる被膜表面が、従来のものよりも平滑か
つ高純度になり、密着性および耐食性に優れることを見
いだすとともに、上記酸化物溶射用粒子を製造する際
に、使用する脂肪酸の量を所定範囲に制御することで、
良好な脂肪酸被膜および/または脂肪酸化合物被膜を有
する酸化物溶射用粒子が得られることを見いだして、本
発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、 1.表面に脂肪酸被膜および/または脂肪酸化合物被膜
を有することを特徴とする酸化物溶射用粒子、 2.最表面から100nmまでの炭素濃度が0.5〜5
0wt%であることを特徴とする1の酸化物溶射用粒
子、 3.酸化物粒子表面を脂肪酸で処理して前記酸化物粒子
表面に脂肪酸被膜を形成する酸化物溶射用粒子の製造方
法であって、前記脂肪酸を前記酸化物粒子の重量に対し
て0.05〜5wt%用いることを特徴とする酸化物溶
射用粒子の製造方法、 4.基材と、この基材表面に1または2の酸化物溶射用
粒子を溶射してなる被膜と、を備えることを特徴とする
溶射部材、 5.4の溶射部材を用いることを特徴とする耐食性部材
を提供する。
【0009】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明に係る酸化物溶射用粒子は、表面に脂肪酸被
膜および/または脂肪酸化合物被膜を有することを特徴
とする。このような酸化物溶射用粒子は、表面に脂肪酸
被膜および/または脂肪酸化合物被膜を有しているた
め、表面撥水性を有するとともに、大気中の水分の吸着
を抑止できることとなる。このため、一般的に酸化物溶
射用粒子等に見られる、吸着水による粉体の流動性の低
下を防止できるとともに、該被膜が潤滑剤の役割を果た
し、流動性が改善されることとなる。
【0010】また、該被膜を有する結果、粒子内部の炭
素濃度よりも表面の炭素濃度が高くなるが、酸化物溶射
用粒子の最表面から100nmまでの炭素濃度が0.5
〜50wt%、特に1〜30wt%であることが好まし
い。この炭素濃度は、後に詳述する製法において、脂肪
酸使用量を酸化物重量に対して0.05〜5wt%の範
囲にすることで、適宜調整することができる。なお、上
記炭素濃度は、例えば、XPS等でエッチングしながら
分析定量することで測定することができる。
【0011】本発明における溶射用粒子を構成する酸化
物としては、Al、Si、Zr、Ti、Yおよび希土類
元素から選ばれる1種もしくは2種以上の酸化物、また
はこれらの各元素の複合酸化物を用いることができる。
特に、Yもしくは希土類元素であるEu,Gd,Tb,
Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luの酸化物、または
これらの複合酸化物を用いることが好ましい。上記酸化
物の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球
状、角状、鱗片状のものを用いることができる。
【0012】また、上記酸化物溶射用粒子の平均粒径
は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜
100μmのものを好適に用いることができる。本発明
の酸化物溶射用粒子は、粒径が小さい場合においても流
動性に優れるという特徴を有しているため、特に、平均
粒径1〜60μmのものを用いることが好ましい。
【0013】上記脂肪酸被膜を構成する脂肪酸として
は、特に限定はなく、例えば、炭素数5〜20の脂肪酸
を用いることができる。作業性および流動性等を考慮す
ると、炭素数10〜20の脂肪酸を用いることが好まし
い。これらの中でも、特に、飽和脂肪酸が好ましく、例
えば、ステアリン酸、ラウリン酸等を好適に用いること
ができる。これらの脂肪酸は、1種単独でまたは2以上
を混合して用いることができる。また、脂肪酸化合物と
しては、該脂肪酸の塩等が挙げられる。なお、脂肪酸中
にアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素を含まない
ものが好適である。
【0014】また、上記酸化物溶射用粒子は、当該溶射
用粒子を溶射してなる被膜を高純度にし、有色斑点の発
生を防止するとともに、当該被膜を有する溶射部材に十
分な耐食性を付与することを考慮すると、鉄族元素(F
e,Ni,Co等)、アルカリ金属元素(Na,K
等)、およびアルカリ土類金属元素(Mg,Ca等)の
総量が酸化物換算で20ppm以下であることが好まし
い。なお、鉄族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類
金属元素の測定は、酸化物溶射用粒子を酸分解した後、
ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で
測定したものである。
【0015】上記酸化物溶射用粒子の製造方法は、特に
限定されるものではなく、原料となる酸化物粒子を直
接脂肪酸で処理して脂肪酸被膜および/または脂肪酸化
合物被膜を形成する方法、脂肪酸を有機溶媒に溶解し
てなる溶液と、酸化物粒子とを混合した後、有機溶媒を
留去して酸化物粒子表面に脂肪酸被膜および/または脂
肪酸化合物被膜を形成する方法等を用いることができ
る。この際、脂肪酸を酸化物粒子の重量に対して0.0
5〜5wt%、特に0.1〜3wt%用いることが好ま
しい。なお、脂肪酸、酸化物粒子を構成する酸化物につ
いては、先に述べたものと同様のものを用いることがで
きる。
【0016】ここで、脂肪酸量が0.05%未満である
と、得られる溶射用粒子の流動性が低下する虞があり、
該粒子を用いてなる溶射被膜表面が平滑性に劣る場合が
あるとともに、特に10μm以下の小粒径の場合には、
フィーダーにかからない虞がある。一方、脂肪酸量が5
wt%を超えると、被膜中に余剰炭素が残留してしま
い、耐食性が悪くなる虞があるとともに、炭素単体が残
り溶射被膜上に斑点が生じる虞がある。
【0017】上記の方法を採用する場合に、使用可能
な有機溶媒としては、脂肪酸を溶解可能なものであれ
ば、特に限定はなく、例えば、メタノール、エタノール
等のアルコール系溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系
溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いること
ができる。また、有機溶媒を留去する方法としては、特
に限定はなく、公知の種々の溶媒留去法を用いることが
でき、例えば、室温〜100℃程度で揮発させる方法、
常圧または減圧蒸留する方法、噴霧乾燥法、流動床乾燥
法等を用いることができる。
【0018】上記の方法の具体例を挙げると、ステア
リン酸等の脂肪酸を酸化物粒子の重量に対して0.05
〜5wt%の範囲となる量(例えば、0.05〜5g)
を、エタノール等の有機溶媒に混合溶解した溶液中に、
酸化物粒子(例えば、100g)を添加する。得られた
混合溶液を、0.1〜2時間撹拌後、20〜50℃で乾
燥させて有機溶媒を留去し、表面に脂肪酸被膜および/
または脂肪酸化合物被膜を有する酸化物溶射用粒子を得
ることができる。
【0019】本発明に係る溶射部材は、基材と、この基
材表面に上述の酸化物溶射用粒子を溶射してなる被膜
と、を備えることを特徴とする。ここで、基材として
は、特に限定はなく、金属、合金、セラミックス、ガラ
ス等を用いることができ、具体的には、Al、Ni、C
r、Zn、Zr、およびこれらの合金、アルミナ、窒化
アルミ、窒化珪素、炭化珪素、石英ガラス、ジルコニア
等が挙げられる。
【0020】上記基材表面の溶射被膜の厚さは50〜5
00μmが好ましく、より好ましくは150〜300μ
mである。被膜の厚さが50μm未満であると、当該被
膜を有する溶射部材を耐食性部材として使用する場合、
わずかの腐食で交換する必要が生じる虞がある。一方、
被膜の厚さが500μmを超えると、厚すぎて被膜内部
での剥離が生じやすくなる虞がある。
【0021】また、溶射部材の用途によって異なるが、
被膜の表面粗さが60μm以下であることが好ましく、
より好ましくは40μm以下である。表面粗さが60μ
mを超えると、溶射部材の使用時における発塵の原因と
なる虞があるとともに、例えば、半導体製造プロセスに
おけるプラズマプロセス用部材に使用した場合には、プ
ラズマ接触面積が大きくなるため、耐食性が悪くなる虞
があり、腐食の進行によりパーティクルが発生する虞が
ある。すなわち、被膜の表面粗さを60μm以下とする
ことで、良好な耐食性が得られるとともに、膜表面に付
着したパーティクルが少なくなる。したがって、腐食性
ガス雰囲気下においても腐食が起こりにくく、当該溶射
部材を耐食性部材として好適に使用することができる。
【0022】本発明の溶射部材は、基材表面に、上述の
酸化物溶射用粒子をプラズマ溶射または減圧プラズマ溶
射等にて被膜を形成することで得ることができる。ここ
で、プラズマガスとしては、特に限定されるものではな
く、窒素/水素、アルゴン/水素、アルゴン/ヘリウ
ム、アルゴン/窒素等を用いることができる。なお、溶
射条件等については、特に限定はなく、基材、酸化物溶
射用粒子等の具体的材質、得られる溶射部材の用途等に
応じて適宜設定すればよい。
【0023】本発明の溶射部材においても、被膜中の鉄
族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の総
量が酸化物換算で20ppm以下であることが好ましい
が、これは上述した各元素の総量が20ppm以下の酸
化物溶射用粒子を用いることで達成できる。すなわち、
鉄族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の
総量が酸化物換算で20ppm以上混入している溶射用
粒子を用いて被膜を形成した場合、被膜には溶射用粒子
に混入しているだけの鉄族元素、アルカリ金属元素、ア
ルカリ土類金属元素がそのまま混入することになるが、
上述のような酸化物溶射用粒子を用いることで、このよ
うな問題は生じないこととなる。
【0024】また、溶射部材の被膜中における上記各金
属元素の総量が、酸化物換算で20ppm以下であれ
ば、汚染が少ないため、当該溶射部材を高純度であるこ
とが要求される装置にも問題なく使用することができ
る。具体的には、液晶製造装置用部材、半導体製造装置
用部材等として好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に
限定されるものではない。
【0026】[実施例1]ステアリン酸0.5gをエタ
ノール200ml中に混合溶解した溶液中に、酸化アル
ミニウムの粉末(平均粒径50μm)100gを添加
し、20分間撹拌後、50℃で乾燥させて表面にステア
リン酸被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた
酸化物溶射用粒子を金属Inに埋込みした測定試料を用
い、XPS(AXIS−HSi、島津KRATOS製)
にて最表面から100nmまでの炭素濃度を測定した。
具体的には、試料の測定領域を200×600μmエリ
アとし、照射X線としてMgを用い、最表面からArガ
スで200×600μmのエリアの測定領域を削りなが
ら、深さ100μmまでの炭素濃度を調べ、最表面から
100μmまでの平均炭素濃度を算出した。その結果を
表1に示す。また、得られた酸化物溶射用粒子につい
て、JIS−Z2504−1979に準拠した方法で、
流動性を評価した。具体的には、漏斗の底部に栓をし、
酸化物溶射用粒子50gを上記漏斗内に入れ、底部の栓
を外すと同時に振動数60Hzで振幅0.4mmの振動を
与え、粒子の全量が流下するのに要する秒数をn=5で
測定した。測定結果の平均値を表1に示す。
【0027】[実施例2]ステアリン酸2.0gをエタ
ノール200ml中に混合溶解した溶液中に、酸化イッ
トリウムの造粒紛(平均粒径32μm)100gを添加
し、20分間撹拌後、50℃で乾燥させて表面にステア
リン酸被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた
酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様にして、炭
素濃度測定、流動性試験を行った。結果を表1に示す。
【0028】[実施例3]ステアリン酸0.2gを用い
た以外は、実施例2と同様にして、表面にステアリン酸
被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた酸化物
溶射用粒子について、実施例1と同様の流動性試験を行
った。結果を表1に示す。
【0029】[実施例4]ステアリン酸0.02gを用
いた以外は、実施例2と同様にして、表面にステアリン
酸被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた酸化
物溶射用粒子について、実施例1と同様の流動性試験を
行った。結果を表1に示す。
【0030】[実施例5]ステアリン酸2.0gをエタ
ノール200ml中に混合溶解した溶液中に、酸化イッ
トリウムの球状粉(平均粒径5μm)100gを添加
し、20分間撹拌後、50℃で乾燥させて表面にステア
リン酸被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた
酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様の流動性試
験を行った。結果を表1に示す。
【0031】[実施例6]ステアリン酸0.2gを用い
た以外は、実施例5と同様にして、表面にステアリン酸
被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた酸化物
溶射用粒子について、実施例1と同様の流動性試験を行
った。結果を表1に示す。
【0032】[実施例7]ステアリン酸0.02gを用
いた以外は、実施例5と同様にして、表面にステアリン
酸被膜を有する酸化物溶射用粒子を得た。得られた酸化
物溶射用粒子について、実施例1と同様の流動性試験を
行った。結果を表1に示す。
【0033】[実施例8]イットリウムアルミニウムガ
ーネット(YAG)の造粒粉(平均粒径40μm)10
0gを用いた以外は、実施例1と同様にして酸化物溶射
用粒子を得た。得られた酸化物溶射用粒子について、実
施例1と同様にして、炭素濃度測定、流動性試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0034】[実施例9]ステアリン酸1.0gおよび
酸化イットリウムの超微粉(平均粒径0.5μm)50
gを用いた以外は、実施例1と同様にして酸化物溶射用
粒子を得た。得られた酸化物溶射用粒子について、粒子
の使用量を10g、振動振幅を0.8mmにした以外は、
実施例1と同様にして流動性試験を行った。結果を表1
に示す。
【0035】[比較例1]ステアリン酸を用いない以外
は、実施例1と同様にして酸化物溶射用粒子を得た。得
られた酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様にし
て、炭素濃度測定、流動性試験を行った。結果を表1に
示す。
【0036】[比較例2]ステアリン酸を用いない以外
は、実施例2と同様にして酸化物溶射用粒子を得た。得
られた酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様の流
動性試験を行った。結果を表1に示す。
【0037】[比較例3]ステアリン酸を用いない以外
は、実施例5と同様にして酸化物溶射用粒子を得た。得
られた酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様の流
動性試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】[比較例4]ステアリン酸を用いない以外
は、実施例8と同様にして酸化物溶射用粒子を得た。得
られた酸化物溶射用粒子について、実施例1と同様の流
動性試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】[比較例5]ステアリン酸を用いない以外
は、実施例9と同様にして酸化物溶射用粒子を得た。得
られた酸化物溶射用粒子について、実施例9と同様の流
動性試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示されるように、実施例1〜9で得
られた各酸化物溶射用粒子は、その表面にステアリン酸
被膜を有しているため、表面の平滑性に優れており、そ
れぞれ対応する比較例の粒子よりも流動性に優れている
ことがわかる。特に、平均粒径0.5μmという超微粉
の場合でも、良好な流動性を示していることがわかる
(実施例9参照)。
【0042】[実施例10]実施例6で得られた酸化物
溶射用粒子を用い、アルミニウム製基材上にアルゴン・
水素ガスを用いて該粒子をプラズマ溶射して厚さ215
μmの溶射被膜を形成した。得られた被膜の表面粗さR
aを、JIS B0601に準拠した方法により測定し
たところ、5μmと極めて平滑であった。
【0043】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
表面に脂肪酸被膜および/または脂肪酸化合物被膜を有
する酸化物溶射用粒子であるから、粒径が小さい場合で
あっても流動性を良好なものとすることができる。した
がって、該溶射用粒子を基材上に溶射することで、表面
研磨加工を施さなくとも、滑らかで凹凸のない溶射被膜
を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に脂肪酸被膜および/または脂肪酸
    化合物被膜を有することを特徴とする酸化物溶射用粒
    子。
  2. 【請求項2】 最表面から100nmまでの炭素濃度が
    0.5〜50wt%であることを特徴とする請求項1記
    載の酸化物溶射用粒子。
  3. 【請求項3】 酸化物粒子表面を脂肪酸で処理して前記
    酸化物粒子表面に脂肪酸被膜および/または脂肪酸化合
    物被膜を形成する酸化物溶射用粒子の製造方法であっ
    て、 前記脂肪酸を前記酸化物粒子の重量に対して0.05〜
    5wt%用いることを特徴とする酸化物溶射用粒子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 基材と、この基材表面に請求項1または
    2に記載の酸化物溶射用粒子を溶射してなる被膜と、を
    備えることを特徴とする溶射部材。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の溶射部材を用いること
    を特徴とする耐食性部材。
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