JP2002327843A - 車輌のレンジ切替え装置 - Google Patents

車輌のレンジ切替え装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気モータにより切替えバルブが操作される
場合は干渉せずに、電気モータが機能しない状態である
場合に、手動による切替えバルブの操作を可能にする車
輌のレンジ切替え装置を提供する。 【解決手段】 手動操作装置50は、電気モータ12に
より駆動する場合、ギヤ列13,35,36a,36b
及び出力ギヤ17に干渉せずに、該出力ギヤ17の矢印
C,D方向回転を自在にする。例えば断線、ショートな
どにより電気モータ12が機能しない場合には、手動操
作装置50のロッド51を矢印F方向に操作すると、出
力ギヤ17の突起部17bと該ロッド51の当接部51
bとが当接・押圧して、該出力ギヤ17を矢印D方向に
回転させ、係合孔17aに係合しているレンジ制御軸を
駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輌等に搭載され
るレンジ切替え装置に係り、詳しくは、シフトバイワイ
ヤシステムによるレンジ切替え装置において、通常の操
作時には関与せず、特に断線、ショートなどが発生した
場合のフェール時に、手動によるシフトレンジの切替え
を可能にするレンジ切替え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車輌の走行レンジを切替えるレン
ジ切替え装置は、最近の自動車における車室内のデザイ
ンの自由度の拡大の要請、同一プラットフォームからの
派生車種の拡大要請などから、シフトレバー設置場所の
自由度拡大が求められる傾向にある。そこで、例えば実
開平7−16067号公報などに開示されているよう
に、電動モータ(及び電磁クラッチ)を用いてレンジ切
替えを行なう、いわゆるシフトバイワイヤシステムによ
るレンジ切替え装置の提案がなされている。
【0003】上記公報に開示されたレンジ切替え装置
は、シフトレバーからのレンジ選択を電気的な信号によ
り伝達し、電気モータ(及び電磁クラッチ)などから構
成されるレンジ切替え装置を駆動して、例えば自動変速
機の油圧制御装置及びパーキング機構のレンジを切替え
ている。このような構成により、上述のようなシフトレ
バー設置場所の自由度拡大に応じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような電気的な信号により走行レンジを切替えるレンジ
切替え装置では、例えば断線、ショートなどの故障が発
生した場合(フェール時)に、走行レンジを切替えるこ
とができず、特にシフトレバーがパーキング位置に選択
された状態であると、パーキングギヤとパーキングポー
ルとが噛合った状態を解除することができない。そのた
め、その故障した車輌を移動することができないなどの
問題があった。
【0005】そこで本発明は、シフトレンジ操作部に融
通機構を介して機械的に連動する手動操作手段を備え、
もって上記課題を解決した車輌のレンジ切替え装置を提
供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明は
(例えば図1ないし図10参照)、シフトレンジ選択手
段(25)と、前記シフトレンジ選択手段(25)から
の信号に基づいて駆動する電気モータ(12)と、前記
電気モータ(12)により駆動され、シフトレンジ(例
えばP、R、N、D、Dsレンジ)を切替え操作し得る
シフトレンジ操作部(3、5、7、9、10)と、を備
える車輌のレンジ切替え装置(1)において、前記シフ
トレンジ操作部(3、5、7、9、10)に、融通機構
を介して機械的に連動する手動操作手段(40、50、
60、70、80、90)を備え、前記融通機構は、前
記電気モータ(12)の駆動による前記シフトレンジ
(例えばP、R、N、D、Dsレンジ)の操作時には前
記手動操作手段(40、50、60、70、80、9
0)に前記シフトレンジ操作部(3、5、7、9、1
0)の動きを伝えず、かつ該手動操作手段(40、5
0、60、70、80、90)の操作に基づき前記シフ
トレンジ操作部(3、5、7、9、10)を操作可能に
構成し、前記手動操作手段(40、50、60、70、
80、90)は、前記電気モータ(12)が機能しない
場合に操作する、ことを特徴とする車輌のレンジ切替え
装置(1)にある。
【0007】請求項2に係る本発明は(例えば図1ない
し図10参照)、前記レンジ切替え装置(1)は、前記
電気モータ(12)と前記シフトレンジ操作部(3、
5、7、9、10)との間に動力伝達状態を断続する電
磁クラッチ(30)を備え、前記手動操作手段(40、
50、60、70、80、90)は、前記電磁クラッチ
(30)と前記シフトレンジ操作部(3、5、7、9、
10)との間に設けられ、前記電磁クラッチ(30)が
解放状態にある場合に操作する、ことを特徴とする請求
項1記載の車輌のレンジ切替え装置(1)にある。
【0008】請求項3に係る本発明は、前記レンジ切替
え装置(1)は、前記電気モータ(12)と前記電磁ク
ラッチ(30)との間にウォームギヤ(12b)、又は
ウォームホイール(13)を備えてなる、請求項2記載
の車輌のレンジ切替え装置(1)にある。
【0009】請求項4に係る本発明は(例えば図1ない
し図10参照)、前記シフトレンジ操作部(3、5、
7、9、10)は、前記シフトレンジ(例えばP、R、
N、D、Dsレンジ)を各シフトポジション間で切替え
し得る切替えバルブ(3)と、前記切替えバルブ(3)
の操作部(2)を前記各シフトポジションに保持させる
ディテント機構(9)と、を備え、前記電気モータ(1
2)は、切換えバルブ(3)を駆動してなり、前記電磁
クラッチ(30)は、前記電気モータ(12)と前記切
替えバルブ(3)との間の動力伝達状態を断続してな
る、請求項1ないし3のいずれか記載の車輌のレンジ切
替え装置(1)にある。
【0010】請求項5に係る本発明は(例えば図1ない
し図10参照)、前記手動操作手段(40、50、6
0、70、80、90)は、パーキング(例えばPレン
ジ)レンジよりニュートラル(例えばNレンジ)レンジ
に切替えるために前記シフトレンジ操作部(3、5、
7、9、10)を操作してなる、請求項1ないし4のい
ずれか記載の車輌のレンジ切替え装置(1)にある。
【0011】請求項6に係る本発明は(例えば図1ない
し図7参照)、前記電気モータ(12)の駆動を、ギヤ
列と、該ギヤ列(13、17、35、36a、36b)
に連結された制御軸(7)と、該制御軸(7)と前記切
替えバルブ(3)とを連結する連結機構(5)と、を介
して前記切替えバルブ(3)の操作部(2)に伝達し、
前記融通機構は、前記ギヤ列(13、17、35、36
a、36b)のうちの少なくとも1つのギヤ(17)に
設けられた突起部(17b)と、前記手動操作手段(4
0、50、60)に連動して設けられ、前記突起部(1
7b)に接離可能にされた当接部(37a、51b)
と、を有する、請求項4または5記載の車輌のレンジ切
替え装置(1)にある。
【0012】請求項7に係る本発明は(例えば図1ない
し図4参照)、前記融通機構は、溝部(51a)及び該
溝部(51a)の一方端の段差部からなる当接部(51
b)を有するロッド(51)を、備え、前記溝部(51
a)が前記電気モータ(12)の駆動による前記切替え
バルブ(3)の操作時には前記突起部(17b)とは接
触せずに前記ギヤ(17)を移動自在にし、かつ前記当
接部(51b)が前記ロッド(51)の操作に基づき前
記突起部(17b)に一方より当接して前記ギヤ(1
7)を連動してなる、請求項6記載の車輌のレンジ切替
え装置(1)にある。
【0013】請求項8に係る本発明は(例えば図1、図
5ないし図7参照)、前記融通機構は、前記突起部(1
7b)に対向して配置されたピン(37)と、一端に支
点(42、62)を有して回動することで該ピン(3
7)を一方に押圧操作するレバー(43、63)と、を
備え、前記ピン(37)が前記電気モータ(12)の駆
動による前記切替えバルブ(3)の操作時には前記突起
部(17b)とは接触せずに前記ギヤ(17)を移動自
在にし、かつ前記ピン(37)の一端からなる前記当接
部(37a)が前記レバー(43、63)の操作に基づ
き前記突起部(17b)に一方より当接して前記ギヤ
(17)を駆動してなる、請求項6記載の車輌のレンジ
切替え装置(1)にある。
【0014】請求項9に係る本発明は(例えば図1、図
8ないし図10参照)、前記電気モータ(12)の駆動
を、ギヤ列(13、17、35、36a、36b)と、
該ギヤ列(13、17、35、36a、36b)に連結
された制御軸(7)と、該制御軸(7)と前記切替えバ
ルブ(3)とを連結する連結機構(5)と、を介して前
記切替えバルブ(3)の操作部(2)に伝達し、前記融
通機構は、前記制御軸(7)上に配置されてなる、請求
項4または5記載の車輌のレンジ切替え装置(1)にあ
る。
【0015】請求項10に係る本発明は(例えば図1及
び図8参照)、前記融通機構は、前記制御軸(7)に設
けられた当接部(7b)と、前記手動操作手段(70)
に連結され、突起部(72a)が配置された係合孔(7
2b)を有する回動レバー(71)と、を備え、前記係
合孔(72b)が前記電気モータ(12)の駆動による
前記切替えバルブ(3)の操作時には前記制御軸(7)
を回転自在にし、かつ前記係合孔(72b)に配置され
た突起部(72a)が前記回動レバー(71)の操作に
基づき前記制御軸(7)の当接部(7b)に当接して前
記制御軸(7)を連動してなる、請求項9記載の車輌の
レンジ切替え装置(1)にある。
【0016】請求項11に係る本発明は(例えば図1及
び図9参照)、前記融通機構は、前記制御軸(7)に固
定される固定部材(84)と、前記制御軸(7)を貫通
させる孔(83)を有して該制御軸(7)上に支持され
る当接レバー(81)と、を備え、前記孔(83)が前
記電気モータ(12)の駆動による前記切替えバルブ
(3)の操作時には前記制御軸(7)を回転自在にし、
かつ前記当接レバー(81)の操作に基づき前記当接レ
バー(81)と前記固定部材(84)とが当接して前記
制御軸(7)を連動してなる、請求項9記載の車輌のレ
ンジ切替え装置(1)にある。
【0017】請求項12に係る本発明は(例えば図1及
び図10参照)、前記融通機構は、前記制御軸(7)に
巻かれたベルト(91)と、一端を該ベルト(91)に
連結し、かつ他端を前記手動操作手段(90)に連結し
た締付けレバー(92)と、を備え、前記締付けレバー
(92)の第1の位置にあっては、前記制御軸(7)と
前記締付けレバー(92)とは非連動状態にあり、前記
締付けレバー(92)の第1の位置から第2の位置への
移動を前記制御軸(7)に伝達してなる、請求項9記載
の車輌のレンジ切替え装置(1)にある。
【0018】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照
するためのものであるが、これは、発明の理解を容易に
するための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成
に何等影響を及ぼすものではない。
【0019】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、融通機
構を、電気モータの駆動による切替えバルブの操作時に
は手動操作手段に操作部の動きを伝えず、かつ該手動操
作手段の操作に基づきシフトレンジ操作部を操作可能に
構成し、手動操作手段を、該融通機構を介して機械的に
シフトレンジ操作部に連動させ、電気モータが機能しな
い場合に操作するので、電気モータの駆動によるシフト
レンジ操作時には、該電気モータに負担をかけることを
防ぐことができるものでありながら、例えば断線、ショ
ートなどのフェールにより電気モータが機能しない場
合、シフトレンジ操作部の操作を可能にして、シフトレ
ンジを手動により操作することができる。
【0020】請求項2に係る本発明によると、電気モー
タとシフトレンジ操作部との間に動力伝達状態を断続す
る電磁クラッチを有しており、手動操作手段は、電磁ク
ラッチとシフトレンジ操作部との間に設けられて、電磁
クラッチが解放状態にある場合に操作するので、動力伝
達を切断した状態でシフトレンジ操作部の操作を可能に
して、シフトレンジを手動により操作することができ
る。
【0021】請求項3に係る本発明によると、レンジ切
替え装置は、電気モータと電磁クラッチとの間にウォー
ムギヤ、又はウォームホイールを備えているが、逆駆動
が困難であるウォームギヤ、又はウォームホイールとの
動力伝達を、電磁クラッチにより切断し、シフトレンジ
操作部の操作を可能にすることで、シフトレンジを手動
により操作することができる。
【0022】請求項4に係る本発明によると、シフトレ
ンジ操作部に、シフトレンジを各シフトポジション間で
切替えし得る切替えバルブと、切替えバルブの操作部を
各シフトポジションに保持させるディテント機構と、を
備えた例えば自動変速機において、電気モータが切換え
バルブを駆動するので、電気モータの駆動による切替え
バルブの操作時には、該電気モータに負担をかけること
を防ぐことができるものでありながら、例えば断線、シ
ョートなどのフェールにより電気モータが機能しない場
合、切替えバルブの操作部の操作を可能にして、切替え
バルブを手動により操作することができる。
【0023】請求項5に係る本発明によると、手動操作
手段を、パーキングレンジよりニュートラルレンジに切
替えるために前記シフトレンジ操作部を操作するので、
電気モータが機能しない場合は、シフトレンジをパーキ
ングレンジよりニュートラルレンジに手動により切替え
ることができる。それにより、例えば断線、ショートな
どの故障がレンジ切替え装置に発生した車輌の移動を可
能にすることができる。
【0024】請求項6に係る本発明によると、電気モー
タの駆動を、ギヤ列と、該ギヤ列に連結された制御軸
と、該制御軸と切替えバルブとを連結する連結機構と、
を介して切替えバルブの操作部に伝達し、融通機構は、
ギヤ列のうちの少なくとも1つのギヤに設けられた突起
部と、手動操作手段に連動して設けられ、突起部に接離
可能にされた当接部と、からなるので、融通機構を、例
えば電気モータ、電磁クラッチ、ギヤ列などと一体的に
配置して、レンジ切替え装置の配置に対する影響を少な
くすることができるものでありながら、切替えバルブの
操作部の操作を可能にして、切替えバルブを手動により
操作することができる。
【0025】請求項7に係る本発明によると、融通機構
は、ロッドの溝部が電気モータの駆動による切替えバル
ブの操作時には突起部とは接触せずにギヤを移動自在に
し、かつ該溝部の一方の段差部からなる当接部がロッド
の操作に基づき突起部に一方より当接してギヤを連動す
るので、電気モータの駆動による切替えバルブの操作時
には、該電気モータに負担をかけることを防ぐことがで
きるものでありながら、電気モータが機能しない場合
は、切替えバルブの操作部の操作を可能にして、切替え
バルブを手動により操作することができる。また、ロッ
ドにより上記構成を可能にするので、特に大きなスペー
スを不用にすることができ、レンジ切替え装置の配置に
対する影響を少なくすることができる。
【0026】請求項8に係る本発明によると、融通機構
は、ピンが電気モータの駆動による切替えバルブの操作
時には突起部とは接触せずにギヤを移動自在にし、かつ
ピンの一端からなる当接部がレバーの操作に基づき突起
部に一方より当接してギヤを駆動するので、電気モータ
の駆動による切替えバルブの操作時には、該電気モータ
に負担をかけることを防ぐことができるものでありなが
ら、電気モータが機能しない場合は、切替えバルブの操
作部の操作を可能にして、切替えバルブを手動により操
作することができる。また、ピンを押圧操作するための
操作レバーが支点を介して操作されるので、比較的軽い
力で出力ギヤを操作することができる。
【0027】請求項9に係る本発明によると、電気モー
タの駆動を、ギヤ列と、該ギヤ列に連結された制御軸
と、該制御軸と切替えバルブとを連結する連結機構と、
を介して切替えバルブの操作部に伝達し、融通機構は、
制御軸上に配置されているので、レンジ切替え装置の配
置に対する影響を少なくすることができるものでありな
がら、切替えバルブの操作部の操作を可能にして、切替
えバルブを手動により操作することができる。
【0028】請求項10に係る本発明によると、融通機
構は、係合孔が電気モータの駆動による切替えバルブの
操作時には制御軸を回転自在にし、かつ係合孔に配置さ
れた突起部が回動レバーの操作に基づき制御軸の当接部
に当接して制御軸を連動するので、電気モータの駆動に
よる切替えバルブの操作時には、該電気モータに負担を
かけることを防ぐことができるものでありながら、電気
モータが機能しない場合は、切替えバルブの操作部の操
作を可能にして、切替えバルブを手動により操作するこ
とができる。また、融通機構を簡単な構成にして部品数
を少なくすることができ、それにより、加工や組付けな
どを簡単にすると共に、比較的安価にすることができ
る。
【0029】請求項11に係る本発明によると、融通機
構は、制御軸を貫通させる孔が電気モータの駆動による
切替えバルブの操作時には制御軸を回転自在にし、かつ
当接レバーの操作に基づき当接レバーと固定部材とが当
接して制御軸を連動するので、電気モータの駆動による
切替えバルブの操作時には、該電気モータに負担をかけ
ることを防ぐことができるものでありながら、電気モー
タが機能しない場合は、切替えバルブの操作部の操作を
可能にして、切替えバルブを手動により操作することが
できる。また、融通機構を簡単な構成にして複雑な加工
を防ぐことができ、それにより、加工や組付けなどを簡
単にすると共に、比較的安価にすることができる。
【0030】請求項12に係る本発明によると、融通機
構は、制御軸に巻かれたベルトと、一端を該ベルトに連
結し、かつ他端を手動操作手段に連結した締付けレバー
と、を備え、締付けレバーの第1の位置にあっては、制
御軸と締付けレバーとは非連動状態にあり、締付けレバ
ーの第1の位置から第2の位置への移動を制御軸に伝達
するので、電気モータの駆動による切替えバルブの操作
時には、該電気モータに負担をかけることを防ぐことが
できるものでありながら、電気モータが機能しない場合
は、切替えバルブの操作部の操作を可能にして、切替え
バルブを手動により操作することができる。また、融通
機構を、制御軸上の何れの位置にも配置することを可能
とし、更に、加工や組付けなどを簡単にすると共に、比
較的安価にすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】<第1の実施の形態>以下、図面
に沿って、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1は、車輌のレンジ切り替え装置1の一例を示すもの
であり、レンジ切り替え装置1は、例えば図示しない多
段式自動変速機及び無段変速機(CVT)などの自動変
速機において、それらの一部を構成するマニュアルバル
ブ(操作部)2を有しており、マニュアルバルブ2は、
自動変速機の油圧制御装置(切替えバルブ)3に連結さ
れて収納されている。マニュアルバルブ2は油圧制御装
置3内をバルブのスプール2aの軸心方向である矢印
A、B方向に移動自在に設けられており、マニュアルバ
ルブ2を矢印A、B方向に移動させて、所定位置に位置
決めすることにより、自動変速機は図中矢印A側から矢
印B側に向けて、順次例えばP、R、N、D、Dsレン
ジなどに切り替えられる。
【0032】マニュアルバルブ2の矢印A側先端には、
2枚の円板2b、2bからなる係合溝2cが形成されて
おり、係合溝2cにはディテントレバー5が、該ディテ
ントレバー5のアーム部5bに植設されたピン5aを介
して係合している。ディテントレバー(連結機構)5
は、板状の本体5cを有しており、本体5cの図中上部
には、例えば5個のレンジ係合溝5d、5e、5f、5
g、5hが所定の間隔で形成されている。各レンジ係合
溝5d、5e、5f、5g、5hは、自動変速機のレン
ジの例えば「P」、「R」、「N」、「D」、「Ds」
に対応する形で、図中右方から順に配列されており、ま
た、本体5cの図中左方には、前述のピン5aが植設さ
れたアーム部5bが突出形成されている。本体5cの図
中右方には、図示しないPレンジにおけるパーキング機
構駆動用のパーキングロッド係合穴5iが貫通穿設され
ており、また、本体5cの略中央部には、長方形状の係
合穴5jが貫通形成されており、レンジ制御軸7が挿着
されている。
【0033】本体5cの例えば5個のレンジ係合溝5
d、5e、5f、5g、5hの上部には油圧制御装置3
又は自動変速機のケース等に一端を固着された板ばねか
らなるディテントスプリング9が、先端に回転自在に支
持されたローラ9aを、例えば5個のレンジ係合溝5
d、5e、5f、5g、5hのうちのいずれかの溝に嵌
入係合させた形で、自らの弾性により図中下方に付勢さ
れた形で設けられており、更に、本体5cの係合穴5j
には、棒状に形成されたレンジ制御軸7が、ディテント
レバー5と一体的に係合している。
【0034】レンジ制御軸7の、図1左方の先端部に
は、断面が長方形の係合部7aが形成されており、係合
部7aには、バルブ駆動装置10が接続している。バル
ブ駆動装置10は、自動変速機のカバー上などにボルト
などを介して装着されており、箱状に形成されたケーシ
ング11を有している。ケーシング11には、電気モー
タ12が装着されており、電気モータ12の出力軸12
aには、ウォームギヤ12bが装着されている。ウォー
ムギヤ12bには、ケーシング11に装着された電磁ク
ラッチ30の入力軸に装着されたウォームホイール13
が噛合している。なお、電磁クラッチ30を含むバルブ
駆動装置10は、自動変速機のカバーに対して、間隙を
介して配置され、カバーから伝達される自動変速機が発
生する熱の影響を排除している。
【0035】出力軸30bには小ギヤ35が形成されて
おり、小ギヤ35には、ケーシング11に回転自在に支
持された中間軸36の大ギヤ36aが噛合している。中
間軸36には小ギヤ36bが形成されており、小ギヤ3
6bには全体が扇形に形成された出力ギヤ17(詳しく
は後述する)が噛合している。出力ギヤ17はケーシン
グ11に回転自在に支持されており、更に出力ギヤ17
の中心部には、長方形の係合穴17aが穿設され、該係
合穴17aには、前述のレンジ制御軸7の係合部7aが
嵌入係合している。
【0036】なお、電気モータ12と、減速ギヤ機構を
構成する、電磁クラッチ30の小ギヤ35、中間軸36
の大ギヤ36a、小ギヤ36b、出力ギヤ17などのギ
ヤ列は、電磁クラッチ30の入力軸内に出力軸30bが
入れ子状でかつ同心状に配置され、これにより、入力軸
及び出力軸30bが同方向に取り出されていることか
ら、図中上下方向に整列した形で配置されている。
【0037】電気モータ12には、図1に示すように、
モータ駆動制御部19が接続しており、モータ駆動制御
部19には、シフト動作制御部20が接続している。シ
フト動作制御部20には、ケーシング11に設けられ、
レンジ制御軸7、従って、ディテントレバー5の位置を
検出する位置センサ21、クラッチ駆動制御部22、シ
フトレバー位置検出部23が接続している。シフトレバ
ー位置検出部23には、シフトレンジ選択手段としての
シフトレバー25(又は、シフトスイッチなど)が接続
している。なお、上記位置センサ21は、ディテントレ
バー5の現在位置を検出することが出来れば、レンジ制
御軸7以外、どこに設けてもよい。
【0038】なお、以上の油圧制御装置3、ディテント
レバー5、レンジ制御軸7、ディテントスプリング9及
びバルブ駆動装置10によりシフトレンジを切替え操作
し得るシフトレンジ操作部を構成している。
【0039】レンジ切り替え装置1は、以上のような構
成を有するので、車両の運転中におおいて、シフト動作
制御部20は、シフトレバー位置検出部23を介して、
運転者が操作することによるシフトレバー25の位置に
変動が有ったか否かを判定する。シフトレバー25から
は、シフト位置に応じてシフト信号S1が電気信号とし
てシフトレバー位置検出部23に出力され、シフトレバ
ー位置検出部23は当該信号S1より、現在シフトレバ
ー25で選択されているシフト位置を演算し、シフト動
作制御部20にシフト位置信号S2として出力してい
る。従って、シフト動作制御部20は、当該シフト位置
信号S2を監視することにより、シフトレバー位置に変
動が有ったか否かは、容易に判定することが出来る。
【0040】シフト動作制御部20によりシフトレバー
位置に変動があったものと判定された場合には、それま
でシフトレバー25により選択されていたシフトポジシ
ョン(「現在のシフトポジション」と称する)に対し
て、シフトレバー25の位置変動の結果、選択されたシ
フトポジション(「目標のシフトポジション」と称す
る)を比較し、現在のシフトポジションから目標のシフ
トポジションへシフトポジションを移動させるには、電
気モータ12を正回転させるべきか否かを判定する。
【0041】即ち、マニュアルバルブ2のレンジ位置
は、図1に示すように、矢印A、B方向に亙って直線的
に設定されているので、現在のシフトポジションと目標
のシフトポジションとのレンジ位置関係により、電気モ
ータ12を正転させるか、逆転させるか判定させる必要
がある。ここでは、レンジをP→R→N→D方向に切り
替える場合、例えばRからNレンジを経由してDレンジ
に切り替える場合などは、電気モータ12を正転させる
ものと判定し、逆にレンジをD→N→R→P方向に切り
替える場合、例えばDからN、Rレンジを経由してPレ
ンジに切り替える場合などは、電気モータ12を逆転さ
せるものと判定する。
【0042】こうして、電気モータ12の回転方向がシ
フト動作制御部20により判定されたところで、シフト
動作制御部20はクラッチ駆動制御部22に対して電磁
クラッチ30の接続を指令する共に、モータ駆動制御部
19に対して電気モータ12を、判定された回転方向に
回転させるように指令する。
【0043】これを受けて、クラッチ駆動制御部22
は、電磁クラッチ30の不図示の励磁コイルを励磁して
被吸着ディスクと吸着ロータを接続させると共に、モー
タ駆動制御部19は電気モータ12を、先ほど判定され
た方向に回転駆動させる。これにより、電気モータ12
の回転は、ウォームギヤ12b、ウォームホイール1
3、電磁クラッチ30の入力軸、吸着ロータ、被吸着デ
ィスク、出力軸30b、小ギヤ35、中間軸36の大ギ
ヤ36a、小ギヤ36bを経て出力ギヤ17へ伝達さ
れ、レンジ制御軸7を所定回転角度にわたり、図1矢印
C、D方向に回転駆動させる。
【0044】すると、ディテントレバー5もアーム部5
bと共に、矢印C、D方向に所定角度回転し、ピン5a
はアーム部5bと共に矢印C、D方向に所定角度回転す
るが、ピン5aが矢印C、D方向に所定角度回転する
と、ピン5aの位置が矢印C、D方向の回転各度量に応
じて変動し、それにより、ピン5aと係合溝2cとを介
して係合しているマニュアルバルブ2のスプールも、ピ
ン5aの矢印A、B方向における移動量と同じ量だけ、
矢印A、B方向に移動駆動され、マニュアルバルブ2の
レンジが、図1矢印A側から順次P−R−N−D−Ds
レンジへと切り替えられる。
【0045】なお、電気モータ12が何らかの理由で故
障し、回転駆動が不能となった場合でも、シフトポジシ
ョンが選択されている状態では、電磁クラッチ30は解
放状態にあり、電気モータ12とディテントレバー5は
接続が解除されている。また、シフトレンジ選択手段と
しては、運転者のレンジ切り替えの意志を電気信号とし
て出力することが出来る限り、シフトレバー25のほか
に、シフトボタン、シフトスイッチ、シフトレバー、音
声入力装置など各種の態様を採用することが出来る。
【0046】ついで、上記バルブ駆動装置10の出力ギ
ヤ17とマニュアルバルブ2との位置関係について図2
に沿って説明する。図2は、バルブ駆動装置10の出力
ギヤ17を示す一部省略断面図である。上述のように、
出力ギヤ17は、図2中上方の中間軸36に配設された
大ギヤ36a及び小ギヤ36bに係合されており、電気
モータ12により電磁クラッチ30を介して小ギヤ36
bが駆動され、該出力ギヤ17が矢印C、D方向に駆動
される。また、該出力ギヤ17の係合部17aは、上述
したようにマニュアルバルブ2のレンジ位置と矢印C、
D回転方向の位置関係にあるレンジ制御軸7に係合され
ており、出力軸17と制御軸7とは一体的に回転するの
で、つまり出力ギヤ17の角度によりマニュアルバルブ
2のレンジ位置が決められる。
【0047】出力ギヤ17が、矢印C方向の位置より順
に矢印D方向の位置に回転すると、マニュアルバルブ2
が矢印B方向より順に矢印A方向に駆動される。即ち、
出力ギヤ17が矢印C方向の終端側(図中実線Pに示す
角度の位置)にある場合は、ディテントスプリング9の
ローラ9aはレンジ係合溝5hの位置で係合して、マニ
ュアルバルブ2はパーキングレンジの位置となり、ま
た、出力ギヤ17が矢印D方向に所定角度回転した位置
(図中実線Nに示す角度の位置)にある場合は、ディテ
ントスプリング9のローラ9aはレンジ係合溝5fの位
置で係合して、マニュアルバルブ2はニュートラルレン
ジの位置となる。
【0048】上述ようにディテントレバー5には、不図
示のパーキング機構を駆動するためのパーキングロッド
が係合穴5iに連結されており、出力ギヤ17がパーキ
ングレンジの位置(図中実線Pに示す角度の位置)にあ
る場合は、レンジ制御軸7及びディテントレバー5を介
して該パーキングロッドによりパーキングギヤが固定さ
れ、自動変速機の出力軸を介して車輌の車輪が固定され
る。また、出力ギヤ17がニュートラルレンジの位置
(図中実線Nに示す角度の位置)にある場合は、レンジ
制御軸7及びディテントレバー5を介して該パーキング
ロッドによりパーキングギヤの固定が解除され、車輌の
車輪は回転自在となる。
【0049】本発明に係る第1の実施の形態では、例え
ば断線、ショートなどが発生して、電気モータ(又は電
磁クラッチ)が駆動しないような場合に、シフトレンジ
操作部である上記バルブ駆動装置10の出力ギヤ17
に、手動により矢印C方向の端側より矢印D方向に所定
角度回転させる操作をし得る手動操作手段を一体的に備
えることで、マニュアルバルブ2をパーキングレンジよ
りニュートラルレンジにするようなシフトレンジ切替え
の操作を可能とし、そのような故障が発生した車輌の移
動を可能にするものである。以下、出力ギヤ17を手動
により操作するための手動操作手段を実施例1ないし実
施例3に沿って説明する。
【0050】(実施例1)図3及び図4は本発明に係る
実施例1の手動操作装置50を示す図で、図3はその斜
方視図、図4はその断面図である。図4に示すように、
バルブ駆動装置10において、電気モータ12の回転
は、ウォームギヤ12b、ウォームホイール13、電磁
クラッチ30の入力軸、不図示の吸着ロータ及び被吸着
ディスク、出力軸30b、小ギヤ35、中間軸36の大
ギヤ36a、小ギヤ36bを経て出力ギヤ17へ伝達さ
れ、係合部17aに係合されるレンジ制御軸7を所定回
転角度にわたり、図1矢印C、D方向に回転駆動させ
る。なお、図4中の符号14は、モータ制御部19及び
クラッチ駆動制御部22からの信号を伝達するための配
線である。
【0051】図3及び図4に示すように、出力ギヤ17
は、上方視略々扇状からなり、該扇状の一端側面には突
起部17bを有している。一方、カバー11の電気モー
タ12の反対側(図3中上方、図4中下方)には、孔1
1aを有しており、手動操作装置(手動操作手段)50
は、カバー11内の一端側壁の略々全体に沿って、かつ
該孔11aを貫通する形でカバー11の外部に突出し
て、図中矢印E、F方向に沿って配置されている。
【0052】手動操作装置50は、ロッド51と、その
先端に配置された取手53(不図示の手動操作機構など
が連結される場合は連結部53)とからなり、ロッド5
1には溝部51aが形成されて、該溝部51aと出力ギ
ヤ17とが重なり合うように配置されている。該溝部5
1aは、出力ギヤ17が電気モータ12により駆動され
る際には、干渉することのないように形成されている
(融通機構)。また、該溝部51aの一端側の段差部分
が、上記出力ギヤ17の突起部17bとの当接部51b
となっている。
【0053】ロッド51が取手53などを介して矢印F
方向に操作されると、突起部17bと当接部51bとが
当接し、機械的に出力ギヤ17が矢印D方向に連動され
る。この際、出力ギヤ17が連動されると、小ギヤ36
b、大ギヤ36a及び小ギヤ35なども連動されるが、
上述のようにシフト操作時以外では電磁クラッチ30が
切断されているため、手動操作装置50の操作を妨げる
ことはない。なお、図4に示すように、ロッド51にロ
ーラ54を配設し、該ロッド51の移動をより滑らかに
するようにしてもよい。
【0054】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、出力ギヤ17は、図2に示
すように、矢印C方向の終端側であるパーキングレンジ
の位置(図2中実線Pで示す角度の位置)にあり、突起
部17bは図2中破線で示す位置にある。例えば電気モ
ータ12が機能しない状態である(かつ電磁クラッチ3
0が解放状態である)場合(例えば断線、ショートなど
が発生したようなフェール時)には、ロッド51を矢印
F方向に移動すると、突起部17bと当接部51bとが
当接し、機械的に出力ギヤ17を矢印D方向に所定量連
動して、ニュートラルレンジの位置(図2中実線Nで示
す角度の位置)にすることができる。
【0055】以上のように、実施例1の手動操作装置5
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2の操作
時、つまり油圧制御装置3の操作時には、出力ギヤ17
に干渉しないので電気モータ12などに負担をかけるこ
とを防ぐことができるものでありながら、電気モータ1
2が機能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解
放状態である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、
上記レンジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可
能にして、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位
置よりニュートラルレンジの位置に手動により操作する
ことができる。それにより、例えば断線、ショートなど
の故障が発生した車輌の移動を可能にすることができ
る。
【0056】また、手動操作装置50は、バルブ駆動装
置10の外部に突出したロッド51の先端部分が、該バ
ルブ駆動装置10に沿って一体的に配置されているた
め、特に大きなスペースが不用であり、バルブ駆動装置
10、並びに車輌のレンジ切替え装置1の配置に対する
影響を少なくすることができる。
【0057】(実施例2)ついで上記実施例1を一部変
更した実施例について図5及び図6に沿って説明する。
図5は本発明に係る実施例2の手動操作装置40を示す
断面図、図6は本発明に係る実施例2の手動操作装置4
0’を示す斜視図である。なお、本実施例2において
は、上記実施例1と同様である部分について、同符号を
使用して、その説明を省略する。
【0058】図5及び図6に示すように、出力ギヤ17
は、実施例1と同様に、上方視略々扇状からなり、該扇
状の一端側面には突起部17bを有している。一方、カ
バー11の電気モータ12の反対側(図5中下方)に
は、孔11bを有しており、手動操作装置(手動操作手
段)40は、カバー11の外部に突出して該孔11bを
貫通する形で配置されたピン37と、該カバー11に固
定された支持部41と、該支持部41に有する支点42
を介して配置された長型レバー43と、該長型レバー4
3の先端部分に配置された取手44(不図示の手動操作
機構が連結される場合は連結部44)と、から構成され
ている。
【0059】該ピン37は、矢印E、F方向に移動自在
となっており、矢印E方向の位置にある場合は、該ピン
37のカバー11内にある先端部37aが出力ギヤ17
の突起部17bに干渉することないように配置されてい
る(融通機構)。また、該ピン37のカバー11外にあ
る先端部37bは、長型レバー43の当接部43aに当
接するように配置されており、長型レバー43を支点4
2を介して矢印G方向に回転駆動すると、該ピン37を
矢印F方向に押圧移動する。
【0060】長型レバー43が取手44などを介して矢
印G方向に回転操作されると、上記ピン37が矢印F方
向に押圧移動されて、該ピン37の先端部37aが突起
部17bに当接し、機械的に出力ギヤ17が矢印D方向
に連動される。この際、実施例1と同様に、出力ギヤ1
7が連動されると、小ギヤ36b、大ギヤ36a及び小
ギヤ35なども連動されるが、上述のようにシフト操作
時以外では電磁クラッチ30が切断されているため、手
動操作装置40の操作を妨げることはない。
【0061】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、出力ギヤ17は、上述のよ
うにパーキングレンジの位置(図2中実線Pで示す角度
の位置)にあり、突起部17bは図2中破線で示す位置
にある。例えば電気モータ12が機能しない状態である
(かつ電磁クラッチ30が解放状態である)場合(例え
ば断線、ショートなどが発生したようなフェール時)に
は、手動操作装置40の長型レバー43を矢印G方向に
回転操作すると、ピン37の先端部37aと突起部17
bとが当接し、機械的に出力ギヤ17を矢印D方向に所
定量駆動して、ニュートラルレンジの位置(図2中実線
Nで示す角度の位置)にすることができる。
【0062】以上のように、実施例2の手動操作装置4
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2(つま
り油圧制御装置3)の操作時には、出力ギヤ17に干渉
しないので電気モータ12などに負担をかけることを防
ぐことができるものでありながら、電気モータ12が機
能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解放状態
である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、上記レ
ンジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可能にし
て、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位置より
ニュートラルレンジの位置に手動により操作することが
できる。それにより、例えば断線、ショートなどの故障
が発生した車輌の移動を可能にすることができる。
【0063】また、例えば坂道などに停車された車輌に
おいて、パーキングレンジである場合は、不図示のパー
キングギヤとパーキングポールとの間に、車輌の自重に
よる負荷が生じてしまう虞がある。このような場合に
は、上記ディテントレバー5に係合しているパーキング
機構から伝達される負荷により、レンジ制御軸7を介し
て出力ギヤ17にも負荷が生じて、該出力ギヤ17を操
作するために大きな力が必要となる。しかし、本実施例
2の手動操作装置40は、ピン37を押圧移動するため
のレバー43が、支点42を介して操作され、かつ長型
である(比較的長い)ので、このような場合でも、比較
的軽い力で強く出力ギヤ17を操作することができる。
【0064】本実施例2の手動操作装置40は、長型レ
バー43がバルブ駆動装置10に対して(図5に示すよ
うに下方に向けて)突出する形で配置されているが、図
6に示す手動操作装置40’のように、長型レバー4
3’がバルブ駆動装置10に対向する形(図5に示す長
型レバー43とは反対向き)で配置してもよい。これに
より、手動操作装置40又は手動操作装置40’を選択
的に、かつ一体的に配置することができ、バルブ駆動装
置10、並びに車輌のレンジ切替え装置1の配置に対す
る影響を少なくすることができる。なお、図6に示す手
動操作装置40’には、図5に示す手動操作装置40と
同符号を使用して、同様な部分の説明を省略する。ま
た、図6中符号21は、上述した(出力ギヤ17の位置
を検出することで)ディテントレバー5の位置を検出す
る位置センサである。
【0065】(実施例3)ついで、上記実施例2を更に
一部変更した実施例について図7に沿って説明する。図
7は、本発明に係る実施例3の手動操作装置60を示す
斜方視図である。なお、本実施例3においては、上記実
施例1及び実施例2と同様である部分について、同符号
を使用して、その説明を省略する。
【0066】図7に示すように、バルブ駆動装置10内
に配置された出力ギヤ17は、実施例2と同様に、上方
視略々扇状からなり、該扇状の一端側面には突起部17
bを有している。一方、カバー11の電気モータ12の
反対側(図7中下方)には、孔11bを有しており、手
動操作装置(手動操作手段)60は、カバー11の外部
に突出して該孔11bを貫通する形で配置されたピン3
7と、該カバー11に固定された支持部61と、該支持
部61に有する支点62を介して配置された短型レバー
63と、該短型レバー63の先端部分に配置された取手
64(不図示の手動操作機構が連結される場合は連結部
64)と、から構成されている。
【0067】該ピン37は、矢印E、F方向に移動自在
となっており、矢印E方向の位置にある場合は、該ピン
37のカバー11内にある先端部37a(不図示)が出
力ギヤ17の突起部17bに干渉することないように配
置されている(融通機構)。また、該ピン37のカバー
11外にある先端部37bは、短型レバー63の当接部
63aに当接するように配置されており、短型レバー6
3を支点62を介して矢印J方向に回転操作すると、該
ピン37を矢印F方向に押圧移動する。
【0068】短型レバー63が取手64などを介して矢
印J方向に回転操作されると、上記ピン37が矢印F方
向に押圧移動されて、該ピン37の先端部37aが突起
部17bに当接し、機械的に出力ギヤ17が矢印D方向
に連動される。この際、実施例1及び実施例2と同様
に、出力ギヤ17が連動されると、小ギヤ36b、大ギ
ヤ36a及び小ギヤ35なども連動されるが、上述のよ
うにシフト操作時以外では電磁クラッチ30が切断され
ているため、手動操作装置60の操作を妨げることはな
い。
【0069】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、出力ギヤ17は、上述のよ
うにパーキングレンジの位置(図2中実線Pで示す角度
の位置)にあり、突起部17bは図2中破線で示す位置
にある。例えば電気モータ12が機能しない状態である
(かつ電磁クラッチ30が解放状態である)場合(例え
ば断線、ショートなどが発生したようなフェール時)に
は、手動操作装置60の短型レバー63を矢印J方向に
回転操作すると、ピン37の先端部37aと突起部17
bとが当接し、機械的に出力ギヤ17を矢印D方向に所
定量駆動して、ニュートラルレンジの位置(図2中実線
Nで示す角度の位置)にすることができる。
【0070】以上のように、実施例3の手動操作装置6
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2(つま
り油圧制御装置3)の操作時には、出力ギヤ17に干渉
しないので電気モータ12などに負担をかけることを防
ぐことができるものでありながら、電気モータ12が機
能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解放状態
である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、上記レ
ンジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可能にし
て、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位置より
ニュートラルレンジの位置に手動により操作することが
できる。それにより、例えば断線、ショートなどの故障
が発生した車輌の移動を可能にすることができる。
【0071】また、本実施例3の手動操作装置60は、
ピン37を押圧移動するためのレバー63が短型である
(比較的短い)ので、図7に示すように、例えばバルブ
駆動装置10の厚み方向(図7中の上下方向)に向けて
短型レバー63を配置しても、該バルブ駆動装置10の
厚み方向よりも突出しないように、該バルブ駆動装置1
0と一体的に配置することができる。これにより、バル
ブ駆動装置10、並びに車輌のレンジ切替え装置1の配
置に対する影響を少なくすることができる。更に、本実
施例3の手動操作装置60は、ピン37を押圧移動する
ためのレバー63が、支点62を介して操作されるの
で、出力ギヤ17に負荷が生じている場合でも、比較的
軽い力で該出力ギヤ17を操作することができる。
【0072】<第2の実施の形態>つづいて、本発明に
係る第2の実施の形態を実施例4ないし実施例5に沿っ
て説明する。上記第1の実施の形態においては、レンジ
制御軸7に係合しているバルブ駆動装置10の出力ギヤ
17を操作するものであったが、第2の実施の形態おい
ては、シフトレンジ操作部であるレンジ制御軸7を直接
操作することを可能にして、例えば断線、ショートなど
の故障が発生した場合(フェール時)に、マニュアルバ
ルブ2を手動により操作し、シフトレンジの切替えを可
能にするものである。なお、第2の実施の形態において
は、上記第1の実施の形態と同様である部分に同符号を
使用して、その説明を省略する。
【0073】(実施例4)以下、本発明に係る実施例4
について図8に沿って説明する。図8は、本発明に係る
実施例4の手動操作装置70を示す図で、(a)は正面
図、(b)は側面図である。手動操作装置(手動操作手
段)70は、上述したレンジ制御軸7の例えば一端側の
先端部7bに配置されている(図1参照)。
【0074】図8(a)に示すように、手動操作装置7
0は、略々円環状の回動レバー本体72と、該回動レバ
ー本体72に一体的に形成されているレバー71と、該
レバー71の先端部分に配置された取手73(不図示の
手動操作機構が連結される場合は連結部73)と、から
構成されている。該回動レバー本体72は、内周側に係
合孔72bが形成されており、該係合孔72bには、対
角線上の位置に対向する形で突起部72a、72aが配
置されている。また、係合孔72bには、略々長方形状
に形成されているレンジ制御軸7の先端部(当接部)7
bが貫通して係合しており、電気モータ12によりバル
ブ駆動装置10を介してレンジ制御軸7が駆動する際
は、突起部72a、72aが該レンジ制御軸7の回転に
干渉しないように配置されて、矢印C、D方向に回転自
在になっている(融通機構)。そして、回動レバー本体
72とレンジ制御軸7とは、図8(b)に示すように、
ナット(又はボルト)74などによって係着されてい
る。
【0075】レバー71が取手73などを介して矢印D
方向に回転操作されると、回動レバー本体72も矢印D
方向に連動されて、突起部72a、72aが先端部7b
に当接し、機械的にレンジ制御軸7も矢印D方向に連動
される。この際、実施例1ないし実施例3と同様に、レ
ンジ制御軸7が連動されると、係合している出力ギヤ1
7、小ギヤ36b、大ギヤ36a及び小ギヤ35なども
連動されるが、上述のようにシフト操作時以外では電磁
クラッチ30が切断されているため、手動操作装置70
の操作を妨げることはない。
【0076】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、制御軸7の先端部7bは、
図8(a)中実線で示すパーキングレンジの位置(図2
中実線Pで示す角度の位置)にある。例えば電気モータ
12が機能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が
解放状態である)場合(例えば断線、ショートなどが発
生したようなフェール時)には、手動操作装置70のレ
バー71を矢印D方向に回転操作すると、該先端部7b
と突起部72a、72aとが当接し、機械的にレンジ制
御軸7を矢印D方向に所定量駆動して、制御軸7の先端
部7bを図8(a)中破線で示すニュートラルレンジの
位置(図2中実線Nで示す角度の位置)にすることがで
きる。
【0077】以上のように、実施例4の手動操作装置7
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2(つま
り油圧制御装置3)の操作時には、レンジ制御軸7に干
渉しないので電気モータ12などに負担をかけることを
防ぐことができるものでありながら、電気モータ12が
機能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解放状
態である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、レン
ジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可能にし
て、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位置より
ニュートラルレンジの位置に手動により操作することが
できる。それにより、例えば断線、ショートなどの故障
が発生した車輌の移動を可能にすることができる。
【0078】また、本実施例4の手動操作装置70は、
上述のように、回動レバー本体72にレバー71を配置
し、レンジ制御軸7にナット74などにより係着したよ
うな、つまり簡単な構成であるので、複雑な構成にする
ことを防いで部品数を少なくすることができ、加工や組
付けなどを簡単にすると共に、比較的安価にすることが
できる。
【0079】なお、本実施例5において手動操作装置8
0は、レンジ制御軸7の先端部7bに配置しているが、
バルブ駆動装置10に係合する他端の先端部7aに配置
してもよく、更に、例えばレンジ制御軸7を加工するな
どして、該レンジ制御軸7上の何れの部分に配置して
も、勿論よい。
【0080】(実施例5)ついで、本発明に係る実施例
5について図9に沿って説明する。図9は、本発明に係
る実施例5の手動操作装置80を示す図で、(a)は正
面図、(b)は側面図、(c)は固定部材84を示す斜
方視図、(d)は当接レバー81を示す斜方視図であ
る。手動操作装置(手動操作手段)80は、実施例4と
同様に、上述したレンジ制御軸7の例えば一端側の先端
部7bに配置されている(図1参照)。
【0081】図9に示すように、手動操作装置80は、
平行板84c、84cと当接板84bとにより側面視略
々コの字状に形成されている固定部材84(図9(c)
参照)と、略々円形状の孔83を有する当接レバー81
(図9(d)参照)と、該当接レバー81の先端部分に
配置された取手82(不図示の手動操作機構が連結され
る場合は連結部82)と、から構成されている。
【0082】固定部材84の平行板84cには、レンジ
制御軸7の先端部7bと略々同形状に穿設された嵌合孔
84a、84aを有しており、嵌合孔84a、84aが
該先端部7bと嵌合して、固定部材84とレンジ制御軸
7とが固定されている。当接レバー81は、孔83に該
先端部7bが挿入されると共に、上記平行板84c、8
4cの間に配置される。また、先端部7bは、電気モー
タ12によりバルブ駆動装置10を介してレンジ制御軸
7が駆動する際に、当接レバー81の孔83が該レンジ
制御軸7の回転に干渉しないように配置されて、矢印
C、D方向に回転自在になっている(融通機構)。そし
て、固定部材84とレンジ制御軸7とは、図9(b)に
示すように、ナット(又はボルト)85などによって係
着されている。
【0083】図9(a)に示すように、当接レバー81
が取手82などを介して矢印D方向に回転操作される
と、該当接レバー81の側面部81bと固定部材84の
当接板84bとが当接し、該固定部材84を介して機械
的にレンジ制御軸7が矢印D方向に連動される。この
際、実施例1ないし実施例4と同様に、レンジ制御軸7
が連動されると、係合している出力ギヤ17、小ギヤ3
6b、大ギヤ36a及び小ギヤ35なども連動される
が、上述のようにシフト操作時以外では電磁クラッチ3
0が切断されているため、手動操作装置80の操作を妨
げることはない。
【0084】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、制御軸7の先端部7b及び
固定部材84は、図9(a)中実線で示すパーキングレ
ンジの位置(図2中実線Pで示す角度の位置)にある。
例えば電気モータ12が機能しない状態である(かつ電
磁クラッチ30が解放状態である)場合(例えば断線、
ショートなどが発生したようなフェール時)には、手動
操作装置80の当接レバー81を矢印D方向に回転操作
すると、該当接レバー81の側面部81bと固定部材8
4の当接板84bとが当接し、機械的にレンジ制御軸7
を矢印D方向に所定量駆動して、制御軸7の先端部7b
及び固定部材84を図9(a)中破線で示すニュートラ
ルレンジの位置(図2中実線Nで示す角度の位置)にす
ることができる。
【0085】以上のように、実施例5の手動操作装置8
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2(つま
り油圧制御装置3)の操作時には、レンジ制御軸7に干
渉しないので電気モータ12などに負担をかけることを
防ぐことができるものでありながら、電気モータ12が
機能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解放状
態である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、レン
ジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可能にし
て、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位置より
ニュートラルレンジの位置に手動により操作することが
できる。それにより、例えば断線、ショートなどの故障
が発生した車輌の移動を可能にすることができる。
【0086】また、本実施例5の手動操作装置80は、
上述のように、固定部材84の平行板84c、84cの
間に当接レバー81を配置し、該固定部材84を介して
レンジ制御軸7にナット85などにより係着したよう
な、つまり簡単な構成であり、また、例えば孔83に突
起部を設けるような複雑な加工を防いでいるので、加工
や組付けなどを簡単にすると共に、比較的安価にするこ
とができる。
【0087】なお、本実施例5において手動操作装置8
0は、レンジ制御軸7の先端部7bに配置しているが、
バルブ駆動装置10に係合する他端の先端部7aに配置
してもよく、更に、例えばレンジ制御軸7を加工するな
どして、該レンジ制御軸7上の何れの部分に配置して
も、勿論よい。
【0088】(実施例6)つづいて、本発明に係る実施
例6について図10に沿って説明する。図10は、本発
明に係る実施例6の手動操作装置90を示す図で、
(a)は正面図、(b)は斜方視図である。手動操作装
置(手動操作手段)90は、上述したレンジ制御軸7上
の何れの部分に配置してもよい(図1参照)。
【0089】図10に示すように、手動操作装置90
は、レンジ制御軸7に略々隙間を有して巻かれたベルト
91と、図10中実線で示す第1の位置から図10中破
線で示す第2の位置に移動されると該ベルト91を締付
けする締付けレバー92と、該締付けレバー92の先端
部分に配置された取手93(不図示の手動操作機構が連
結される場合は連結部93)と、から構成されている。
【0090】該締付けレバー92は、取手(又は連結
部)93が配置されている先端部分とは反対側の一端
に、ベルト91の一部分を外周側に引張るための引張り
部92aが形成されており、該引張り部92aより湾曲
した形状に形成されている。その湾曲した形状の付根部
分は、該締付けレバー92が矢印K方向の第2の位置に
移動された際に、ベルト91を介してレンジ制御軸7に
当接し、引張り部92aを外周側に引張るための支点9
2bとなっている。
【0091】ベルト92とレンジ制御軸7との間は、上
述のように略々隙間を有しており、締付けレバー92が
矢印L方向の第1の位置(図10(a)中実線で示す位
置)にある場合は、該レンジ制御軸7はベルト部材92
に非連動状態にあり、矢印C、D方向に回転自在になっ
ている(融通機構)。締付けレバー92が矢印K方向の
第2の位置(図10(a)中破線で示す位置)に移動さ
れると、支点92bがベルト91を介してレンジ制御軸
7に当接し、該締付けレバー92の先端の引張り部92
aがベルト91の一部分を外周側に引張る。すると、ベ
ルト91はレンジ制御軸7に締付けられて、締付けレバ
ー92が矢印K方向に操作されると共に、該ベルト91
の摩擦によりレンジ制御軸7に矢印D方向の移動を伝達
する。この際、実施例1ないし実施例5と同様に、レン
ジ制御軸7が連動されると、係合している出力ギヤ1
7、小ギヤ36b、大ギヤ36a及び小ギヤ35なども
連動されるが、上述のようにシフト操作時以外では電磁
クラッチ30が切断されているため、手動操作装置90
の操作を妨げることはない。
【0092】例えばシフトレバー25がパーキングレン
ジに位置している場合には、制御軸7はパーキングレン
ジの第1の位置(図2中実線Pで示す角度の位置)にあ
る。例えば電気モータ12が機能しない状態である(か
つ電磁クラッチ30が解放状態である)場合(例えば断
線、ショートなどが発生したようなフェール時)には、
手動操作装置90の締付けレバー92を矢印K方向の第
2の位置に回転操作すると、該締付けレバー92が上述
のようにベルト91をレンジ制御軸7に締付けて、機械
的にレンジ制御軸7を矢印D方向の移動を伝達して、制
御軸7をニュートラルレンジの位置(図2中実線Nで示
す角度の位置)にすることができる。
【0093】以上のように、実施例6の手動操作装置9
0は、電気モータ12によるマニュアルバルブ2(つま
り油圧制御装置3)の操作時には、レンジ制御軸7に干
渉しないので電気モータ12などに負担をかけることを
防ぐことができるものでありながら、電気モータ12が
機能しない状態である(かつ電磁クラッチ30が解放状
態である)場合は、バルブ駆動装置10のギヤ列、レン
ジ制御軸7及びディテントレバー5の操作を可能にし
て、マニュアルバルブ2をパーキングレンジの位置より
ニュートラルレンジの位置に手動により操作することが
できる。それにより、例えば断線、ショートなどの故障
が発生した車輌の移動を可能にすることができる。
【0094】また、本実施例6の手動操作装置90は、
上述のように、レンジ制御軸7にベルト91を周設し、
締付けレバー92を配置したような、つまり簡単な構成
であり、レンジ制御軸7を特別に加工する必要をなくす
ことができるものでありながら、該レンジ制御軸7上の
何れの位置にも配置することを可能とし、更に、加工や
組付けなどを簡単にすると共に、比較的安価にすること
ができる。
【0095】なお、以上の第1及び第2の実施の形態に
おいて、不図示の手動操作機構に連結される連結部の形
状は、どのような形状であってもよく、手動操作機構の
手動操作を伝達できるようなものであればよい。また、
例えば車輌の室内、エンジンルーム内、などから連結部
に手動操作機構(その手動操作を伝達するような、例え
ばワイヤー機構など)を配設することで、例えば車輌の
室内、エンジンルームなどから手動操作を可能にするこ
とができる。
【0096】また、第1及び第2の実施の形態におい
て、バルブ駆動装置10の出力ギヤ17又はレンジ制御
軸7を操作し、手動によるレンジ切替え操作を可能とし
ているが、例えばディテントレバー5に係合する不図示
のパーキングロッドに、電気モータ12によるマニュア
ルバルブ2(油圧制御装置3)の操作時には干渉せず
に、かつ電気モータ12が機能しない場合には手動によ
るレンジ切替え操作を可能にするような(融通機構を備
えた)ものを配設してもよい。更に、これらに限らず、
電気モータによる切替えバルブの駆動時には、マニュア
ルバルブ2(油圧制御装置3)に動きを伝えず、電気モ
ータが機能しない場合には、手動によるレンジ切替え操
作を可能にするものであれば何れのものであってもよ
い。
【0097】更に、以上の本発明に係る実施の形態にお
いて、車輌のレンジ切替え装置を自動変速機に適用した
ものを例に説明したが、自動変速機を備えている車輌に
限らず、シフトレンジの切替え、特にパーキングレンジ
を有して他のレンジに切替えを行うような車輌であれば
自動変速機を備えてなくともよく、本発明を適用し得る
車輌であれば何れのものであってもよい。
【0098】また、以上の本発明に係る実施の形態にお
いて、バルブ駆動装置10は、ウォームギヤ12b、ウ
ォームホイール13及び電磁クラッチ30を備えている
が、例えばウォームギヤ12b及びウォームホイール1
3に代えて平歯車(平歯車に限らず、その他の歯車機構
も含む)などにより構成してもよい。ウォームギヤ12
b、ウォームホイール13が介在している場合には、逆
駆動(電気モータ12による駆動を正駆動とする。)が
困難であり、手動操作手段により手動でレンジを切替え
ることは不可能であるため、電磁クラッチ30をウォー
ムギヤ12b及びウォームホイール13とシフトレンジ
操作部との間に備えて解放状態にする必要があるが、例
えば平歯車などにより構成した場合には、電磁クラッチ
30を備えていなくても、手動操作手段により手動でレ
ンジを切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輌のレンジ切り替え装置の一例を示す図。
【図2】バルブ駆動装置の出力ギヤを示す一部省略断面
図。
【図3】本発明に係る実施例1の手動操作装置を示す斜
方視図。
【図4】本発明に係る実施例1の手動操作装置を示す断
面図。
【図5】本発明に係る実施例2の手動操作装置を示す断
面図。
【図6】本発明に係る実施例2の手動操作装置を示す斜
視図。
【図7】本発明に係る実施例3の手動操作装置を示す斜
方視図。
【図8】本発明に係る実施例4の手動操作装置を示す図
で、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図9】本発明に係る実施例5の手動操作装置を示す図
で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は固定部
材を示す斜方視図、(d)は当接レバーを示す斜方視
図。
【図10】本発明に係る実施例6の手動操作装置を示す
図で、(a)は正面図、(b)は斜方視図。
【符号の説明】
1 車輌のレンジ切替え装置 2 シフトレンジ操作部(マニュアルバルブ) 3 シフトレンジ操作部(切替えバルブ、油圧制御装
置) 5 シフトレンジ操作部(連結機構) 7 シフトレンジ操作部(制御軸) 9 シフトレンジ操作部(ディテント機構、ディテント
スプリング) 10 シフトレンジ操作部(バルブ駆動装置) 12 電気モータ 12b ウォームギヤ 13 ギヤ列(ウォームホイール) 17 ギヤ列(出力ギヤ) 25 シフトレンジ選択手段(シフトレバー) 30 電磁クラッチ 35 ギヤ列(小ギヤ) 36a ギヤ列(大ギヤ) 36b ギヤ列(小ギヤ) 37 ピン 37a 当接部 40 手動操作手段(手動操作装置) 42 支点 43 レバー(長型レバー) 50 手動操作手段(手動操作装置) 51 ロッド 51a 溝部 51b 当接部 60 手動操作手段(手動操作装置) 62 支点 63 レバー(短型レバー) 70 手動操作手段(手動操作装置) 72 回動レバー 72a 突起部 72b 係合孔 80 手動操作手段(手動操作装置) 81 当接レバー 83 孔 84 固定部材 90 手動操作手段(手動操作装置) 91 ベルト 92 締付けレバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 治郎 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 大越 直樹 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 鈴木 規之 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 (72)発明者 長谷川 博康 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 Fターム(参考) 3J067 AA01 AB01 AB23 BA56 BA58 CA32 DA02 DB33 FB73 GA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シフトレンジ選択手段と、前記シフトレ
    ンジ選択手段からの信号に基づいて駆動する電気モータ
    と、前記電気モータにより駆動され、シフトレンジを切
    替え操作し得るシフトレンジ操作部と、を備える車輌の
    レンジ切替え装置において、 前記シフトレンジ操作部に、融通機構を介して機械的に
    連動する手動操作手段を備え、 前記融通機構は、前記電気モータの駆動による前記シフ
    トレンジの操作時には前記手動操作手段に前記シフトレ
    ンジ操作部の動きを伝えず、かつ該手動操作手段の操作
    に基づき前記シフトレンジ操作部を操作可能に構成し、 前記手動操作手段は、前記電気モータが機能しない場合
    に操作する、 ことを特徴とする車輌のレンジ切替え装置。
  2. 【請求項2】 前記レンジ切替え装置は、前記電気モー
    タと前記シフトレンジ操作部との動力伝達状態を断続す
    る電磁クラッチを備え、 前記手動操作手段は、前記電磁クラッチと前記シフトレ
    ンジ操作部との間に設けられ、前記電磁クラッチが解放
    状態にある場合に操作する、 ことを特徴とする請求項1記載の車輌のレンジ切替え装
    置。
  3. 【請求項3】 前記レンジ切替え装置は、前記電気モー
    タと前記電磁クラッチとの間にウォームギヤ、又はウォ
    ームホイールを備えてなる、 請求項2記載の車輌のレンジ切替え装置。
  4. 【請求項4】 前記シフトレンジ操作部は、前記シフト
    レンジを各シフトポジション間で切替えし得る切替えバ
    ルブと、前記切替えバルブの操作部を前記各シフトポジ
    ションに保持させるディテント機構と、を備え、 前記電気モータは、切換えバルブを駆動してなり、 前記電磁クラッチは、前記電気モータと前記切替えバル
    ブとの間の動力伝達状態を断続してなる、 請求項1ないし3のいずれか記載の車輌のレンジ切替え
    装置。
  5. 【請求項5】 前記手動操作手段は、パーキングレンジ
    よりニュートラルレンジに切替えるために前記シフトレ
    ンジ操作部を操作してなる、 請求項1ないし4のいずれか記載の車輌のレンジ切替え
    装置。
  6. 【請求項6】 前記電気モータの駆動を、ギヤ列と、該
    ギヤ列に連結された制御軸と、該制御軸と前記切替えバ
    ルブとを連結する連結機構と、を介して前記切替えバル
    ブの操作部に伝達し、 前記融通機構は、前記ギヤ列のうちの少なくとも1つの
    ギヤに設けられた突起部と、前記手動操作手段に連動し
    て設けられ、前記突起部に接離可能にされた当接部と、
    を有する、 請求項4または5記載の車輌のレンジ切替え装置。
  7. 【請求項7】 前記融通機構は、溝部及び該溝部の一方
    端の段差部からなる当接部を有するロッドを備え、 前記溝部が前記電気モータの駆動による前記切替えバル
    ブの操作時には前記突起部とは接触せずに前記ギヤを移
    動自在にし、かつ前記当接部が前記ロッドの操作に基づ
    き前記突起部に一方より当接して前記ギヤを連動してな
    る、 請求項6記載の車輌のレンジ切替え装置。
  8. 【請求項8】 前記融通機構は、前記突起部に対向して
    配置されたピンと、一端に支点を有して回動することで
    該ピンを一方に押圧操作するレバーと、を備え、 前記ピンが前記電気モータの駆動による前記切替えバル
    ブの操作時には前記突起部とは接触せずに前記ギヤを移
    動自在にし、かつ前記ピンの一端からなる前記当接部が
    前記レバーの操作に基づき前記突起部に一方より当接し
    て前記ギヤを駆動してなる、 請求項6記載の車輌のレンジ切替え装置。
  9. 【請求項9】 前記電気モータの駆動を、ギヤ列と、該
    ギヤ列に連結された制御軸と、該制御軸と前記切替えバ
    ルブとを連結する連結機構と、を介して前記切替えバル
    ブの操作部に伝達し、 前記融通機構は、前記制御軸上に配置されてなる、 請求項4または5記載の車輌のレンジ切替え装置。
  10. 【請求項10】 前記制御軸に設けられた当接部と、前
    記手動操作手段に連結され、突起部が配置された係合孔
    を有する回動レバーと、を備え、 前記融通機構は、前記係合孔が前記電気モータの駆動に
    よる前記切替えバルブの操作時には前記制御軸を回転自
    在にし、かつ前記係合孔に配置された突起部が前記回動
    レバーの操作に基づき前記制御軸の当接部に当接して前
    記制御軸を連動してなる、 請求項9記載の車輌のレンジ切替え装置。
  11. 【請求項11】 前記融通機構は、前記制御軸に固定さ
    れる固定部材と、前記制御軸を貫通させる孔を有して該
    制御軸上に支持される当接レバーと、を備え、 前記孔が前記電気モータの駆動による前記切替えバルブ
    の操作時には前記制御軸を回転自在にし、かつ前記当接
    レバーの操作に基づき前記当接レバーと前記固定部材と
    が当接して前記制御軸を連動してなる、 請求項9記載の車輌のレンジ切替え装置。
  12. 【請求項12】 前記融通機構は、前記制御軸に巻かれ
    たベルトと、一端を該ベルトに連結し、かつ他端を前記
    手動操作手段に連結した締付けレバーと、を備え、 前記締付けレバーの第1の位置にあっては、前記制御軸
    と前記締付けレバーとは非連動状態にあり、前記締付け
    レバーの第1の位置から第2の位置への移動を前記制御
    軸に伝達してなる、 請求項9記載の車輌のレンジ切替え装置。
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