JP2006194420A - 自動変速機のセレクトアシスト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作力特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供する。
【解決手段】 コントローラ3は、操作位置がセレクト停留位置とセレクト停留位置の間の中間位置で止まっていることを判定する中間停止判定部35と、操作位置から作動位置の目標位置を設定し、かつ中間停止状態を通常の状態にする目標位置設定部34と、作動位置が目標位置に近づくよう駆動指令値を演算する駆動指令値演算部32とを備えた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、自動変速機を備えた車両において、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて、自動変速機のセレクト位置を制御で切り換える自動変速機のセレクトアシスト装置の技術分野に属する。
従来、自動変速機のセレクトレバーは、ロッドやケーブル等の操作力伝達手段を介して自動変速機のマニュアルバルブと機械的に連結されている。セレクトレバーに入力されるドライバの操作力は、操作力伝達手段を介してマニュアルバルブに伝達され、操作量に応じてセレクト位置が切り換えられる(例えば、特許文献1参照)。
一方、セレクトレバーとマニュアルバルブとが電気的に接続された、いわゆるシフトバイワイヤ技術を用いたものが知られている。この従来技術は、マニュアルバルブを作動するアクチュエータを設け、セレクトレバーの回動操作を電気信号に変化してアクチュエータを駆動することにより、セレクト位置を切り換えるものである(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−323559号公報 特開2003−97694号公報
セレクトレバーの操作時には、操作力伝達手段のフリクション、ディテントの抵抗等、機械的な操作反力が発生するため、大きな操作力が要求される。よって、ドライバの必要操作力を小さくするために、セレクトレバーの長さを十分な梃子力が得られる長さに設定する必要がある。
したがって、上記従来技術のうち前者にあっては、セレクトレバーの長さに起因して形状が大きくなるため、設置場所に制約が多く、車室内におけるレイアウト自由度が低いという問題があった。
一方、後者では、アクチュエータの採用によってセレクトレバーを短く設計でき、前者と比較してレイアウト自由度は高くなる。ところが、セレクトレバーとマニュアルバルブとが機械的に連結していないため、フェール時にレンジ切り換えが不能となる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置では、セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、前記アシストアクチュエータの駆動を制御するアシスト制御手段を設け、前記セレクトレバーの操作位置を検出する操作位置検出手段を設け、前記セレクト位置切換装置の作動位置を検出する作動位置検出手段を設け、前記アシスト制御手段は、前記操作位置が、セレクト停留位置とセレクト停留位置の間の中間位置で止まっていることを判定する中間停止判定手段と、前記操作位置から作動位置の目標位置を設定する目標位置設定手段と、前記作動位置が目標位置に近づくよう駆動指令値を演算する駆動指令演算手段と、中間停止状態を通常の状態にする中間停止排除手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結を保持しつつ、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて自動変速機のセレクト位置切換装置の切り換えを制御駆動で行うことにより、フェール時のレンジ切り換え操作の確保と、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を共に達成できる。
以下に、本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を実現する実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の自動変速装置の構成を示す側面図、図2はセレクト部の細部構造を示す要部斜視図である。
実施例1の自動変速装置は、図1に示すように、セレクト部1、アシストアクチュエータ2、コントローラ3、コントロールケーブル4、自動変速機5を主要な構成としている。
セレクト部1は、セレクトレバー11、セレクトノブ12、第1回転部13(第1連結部材に相当する)、チェック機構部14、ウォームホイール16、第2回転部17(第2連結部材に相当する)、ケーブル取付レバー18、支点軸19からなる。
セレクトレバー11は、運転席から操作可能な位置に設けられ、セレクトレバー11の先端には、セレクト操作時にドライバが把持するためのセレクトノブ12が付設されている。セレクトレバー11は、第1回転部13に取り付けられ、第1回転部13は支点軸19を中心に回動操作される。結果的にセレクトレバー11は、回動操作可能となる。セレクトレバー11は、従来の一般的なセレクトレバーよりも250mm短い100mmに設定されている。
さらに、支点軸19には、回転自在に第2回転部17を設ける。第2回転部17は、第1回転部13と同軸となるが、相対回転可能な構造にする。
第2回転部17の一端側には、ウォームホイール16を設け、このウォームホイールと反対側には、ケーブル取付レバー18を設ける。このケーブル取付レバー18にコントロールケーブル4の端部を取り付け、反対側の端部を自動変速機5の制御アーム51に取り付ける。
同じ回転軸(支点軸19)に対して相対回転が可能な第1回転部13と第2回転部17において、第1回転部13には、円周方向に対して所定の長さである遊び溝131を設ける。第2回転部17には、遊び溝131内に位置するよう突起171を設ける。これにより、第1回転部13と第2回転部17の相対回転は遊び溝131の間を突起171が移動できる範囲となる。(第1回転部13の遊び溝131と第2回転部17の突起171で相対変位許容連結機構である遊び連結機構を構成する)
アシストアクチュエータ2は電動モータであり、その出力軸には、ウォーム21を設けて、ウォームホイール16と係合させてウォームギアを構成し、アシストアクチュエータ2により第2回転部17を回転駆動させる構造にする。さらに、支点軸19の部分には、固定部材に対する第1回転部13のストローク角度、つまりセレクトレバー11の操作角度を検出する位置センサ61(操作位置検出手段に相当する)を設ける。さらに支点軸19の部分には、固定部材に対する第2回転部17のストローク角度、つまり、コントロールケーブル4を介して自動変速機5の制御アーム51の回転位置を検出する位置センサ62(作動位置検出手段に相当する)を設ける。位置センサ61と位置センサ62とで相対変位量が検出される。
さらに、第1回転部13のセレクトレバー11の反対側には、チェック機構部14を設けている。チェック機構部14は、第1回転部13から外周側に突出させたピン141と、ピン141に係合する溝部142からなる。ピン141は詳細には図示しないが内部から先端を突出方向にバネで付勢する構造である。このピン141の先端を溝部142に係合させる。溝部142は、5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部142aを形成するよう波形状にしたものである(図には、省略して4つの溝を示している)。このチェック機構部14により、選択されたセレクト位置が保持されるようにし、操作を伴わない例えば車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトの入力を防止する。
また、コントローラ3の外部には、ドライバに警報を行う警報部72(警報手段に相当する)を設ける。なお、ドライバへの警報は、音や、表示、振動などのいずれであってもよい。
コントローラ3(アシスト制御手段に該当する)は、検出された相対位置に基づいて、アシストアクチュエータ2の指令値を設定し、電動モータの出力デューティ比をPWM制御する。
図3にコントローラ3の制御ブロック図を示す。
セレクト部1において、レンジ切り換え操作されたセレクトレバー11のストローク変化は、第1回転部13と第2回転部17の相対回転変化となり、遊び溝131と突起171との相対変位量の変化となる。第1回転部13の回転変位は、セレクトレバー11のストローク変化として、例えばPレンジ相当位置を基準として、位置センサ61で検出され、コントローラ3へ出力される。第2回転部17の回転変位は、位置センサ62で検出され、コントローラ3へ出力される。よって、位置センサ61と位置センサ62の回転位置偏差が相対変位量となる。
相対変位量演算部31は、位置センサ61からの操作位置と、位置センサ62からの作動位置から、相対変位量を演算する。
駆動指令値演算部32(駆動指令設定手段に相当する)は、目標位置と操作位置が一致する通常の制御においては、相対変位量を小さくするよう駆動指令値を演算し、操作位置と異なる目標位置が設定される場合には、目標位置に近づくよう駆動指令値を演算する。
モータ駆動制御部33は、駆動指令値に従って、アシストアクチュエータを駆動する。
目標位置設定部34(中間停止排除手段と目標位置設定手段に相当する)は、操作位置から目標位置を設定する。中間停止判断時には、中間停止時点の操作位置に近いセレクト停留位置を操作位置に設定する。
中間停止判定部35(中間停止判定手段に相当する)は、操作位置と作動位置から、操作位置が中間停止しているかどうかを判定する。判定結果は、目標位置設定部34とコントローラ3の外部に設けた警報部72に出力される。
次に、自動変速機5のディテント構造について説明する。
図4は、自動変速機5のディテント構造を示す斜視図である。
制御アーム51には回転シャフト52が設けられ、この回転シャフト52にディテントプレート53が支持されている。ディテントプレート53の上端には、カム山53aの間に5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部53bが形成されている。そして、この谷部53bにバネ板54の先端に形成されたディテントピン55を係合させ、選択されたセレクト位置を保持することにより、車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトを防止している。
すなわち、アシストアクチュエータ2の作動力又はセレクトレバー11の操作力により回転シャフト52が回動し、この回動に応じてディテントプレート53がディテントピン55に対して相対移動する。このとき、ディテントピン55がカム山53aを乗り越えて隣のレンジに対応した谷部53bと係合し、係合状態がバネ板54の弾性力により保持される。この弾性力がセレクト操作する際の主要な負荷力となる。
なお、ディテントプレート53には、パーキングロッド56の一端が回動自在に連結されている。このパーキングロッド56は、セレクトレバー11をPレンジに移動させたとき、カム状プレート57を介してパーキングギア58の回転を阻止し、図外の駆動輪をロックするものである。これにより、勾配路上にPレンジで車両を駐車したとき、勾配に応じて駆動輪をロックするように車重負荷が加わり、パーキングロッド56を咬む力として作用する。
実施例1では、自動変速機5とセレクト部において、それぞれディテント力(チェック力)が働くようにしている。
次に作用を説明する。
[自動変速機のセレクト位置制御処理]
図5は、コントローラ3で実行されるセレクト位置制御処理の基本処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、位置センサ6からの相対位置変位量信号を入力して、相対位置の変位量を読み込む。
ステップS2では、読み込んだ相対位置から、相対位置の中点からの偏差を演算する。
ステップS3では、相対位置の中点からの偏差から、モータトルク指令値を設定する。
ステップS4では、モータトルク指令値に従ってアシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
[自動変速機の操作反力特性]
図6は、P→Rレンジ方向いおけるアシストアクチュエータ2の出力軸に発生する操作反力、及び連結状態においてセレクトノブ12に発生する操作反力を示す特性図である。この操作反力特性は、出力軸における操作反力[N]及びセレクトレバー11における操作反力[N]をセレクトレバー11の操作位置(ストローク角度)と対比させたものである。
なお、セレクトレバー11の操作力が自動変速機5へ伝達される場合には、セレクトレバー11における操作反力は、上述したセレクト部1におけるディテントで発生する負荷力に機構の摩擦力等を合成したものである。よって、レンジ切り換え制御中、レンジ切り換え操作を行う場合には、この操作反力以上の手動操作を必要とする。
また、アシストアクチュエータ2の電動モータの出力軸における操作反力は、上述した自動変速機5のディテントで発生する負荷力に、コントロールケーブル4の摩擦力、電動モータのイナーシャ等を合成したものである。よって、アシストアクチュエータ2によるレンジ切り換えは、この操作反力以上の駆動力が必要となる。
図6に示すように、セレクトレバー11をP→Rレンジ方向に操作したときに発生する操作反力は、各レンジ間において、初めにセレクトレバー11の操作方向、又はアシストアクチュエータ2の駆動方向と逆方向(D→Nレンジ方向)に発生し、ピーク後に向きを変えて操作方向と同一方向(P→Rレンジ方向)に発生し、レンジ切り換え位置(停止位置)付近でゼロに収束した状態となる。この特性は、ディテントピン55又はピン141が、カム山53a又は溝部142のカム山を乗り越える際に発生する負荷力に起因している。すなわち、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えるまでは、バネ板54又はピン141を付勢する図示しないバネの付勢力により抵抗力が発生し、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えた後は、ディテントピン55又はピン141が次のカム山53aの溝又は溝53bに落ち込んで引き込み力(慣性力)が発生するためである。
[自動変速機のレンジ切り換え制御]
実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、操作前の状態の例として、第1回転部13と第2回転部17は非連結状態であり、遊び溝131内において、突起171は相対位置が中点の位置、つまり、どちらの操作方向に対しても余裕分を有する状態となっている(図8(a)参照)。
この状態から、例えばセレクトレバー11を操作し始めると、この遊び溝131と突起171の相対変位量が変化する。しかし、非連結状態における位置範囲内であるので、コントロールケーブル4に動きはない。この相対変位量の変化は、位置センサ6で検出され、駆動指令値演算部32でその相対位置の偏差に応じたモータ駆動制御指令値が設定されて、アシストアクチュエータ2の電動モータが駆動される。アシストアクチュエータ2の駆動出力は、ウォーム21によりウォームホイール16に伝達され、第2回転部17が回転し、コントロールケーブル4を介して自動変速機5の制御アーム51が駆動されて自動変速機のセレクト位置が切り換えられる。
なお、第2回転部17の回転によりコントロールケーブル4が進退することにより、遊び溝131と突起171の相対位置は、中点近傍に復帰する。
つまり、駆動指令値演算部32の制御により相対位置変位量を、相対位置の中点近傍に保持することにより、図8(a)〜(c)に示すようにセレクトレバー11の操作による動きに追従させて自動変速機の制御アーム51を駆動して、セレクト位置を切り換えることになる。
この動きは、あたかもセレクトレバー11と自動変速機5の制御アーム51がコントロールケーブル4で接続されているかのような動きとなる。
なお、例として、PレンジからRレンジに移動させる際の相対位置の変化状態を図7に示す。セレクトレバー11に入力される角度を操作角、制御アーム51の角度を作動角とした場合、操作角と作動角の関係は、非連結状態を保ちつつ図7に示すような状態となる。つまり、制御開始当初は、操作角に対して作動角が遅れて追従し、ディテントによる次レンジへの吸い込み力によって、制御後半は、操作角に対して作動角が先行するのである。
[操作フィーリングの向上作用]
実施例1では、上記に説明したように通常の制御が行われている場合、第1回転部13の遊び溝131と、第2回転部17の突起171の相対位置が中点に保たれるため、操作の途中で、第1回転部13と第2回転部17が機械的伝達系として接続して、そのショックがセレクトレバー11に伝達されて操作フィーリングを低下させてしまうことがない。
これにより、実施例1における操作フィーリングは、セレクト部1のチェック機構部14のみによって生成されることになる。よって、溝部142とピン141におけるカム山の形状、大きさ、ばねの強さ等を、従来に対して小さいセレクトレバー11の軽い操作フィーリングを非常に良好にする構成にできるのである。
[急な坂道における発進時の操作フィーリングの向上作用と小型軽量化]
急な坂道を発進しようとしてPレンジからDレンジへセレクト操作する場合には、パーキングロッドを引き抜く力が大きくなるため操作力が重くなる。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、このように負荷が大きい場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力を加算してパーキングロッド56を引き抜くため、操作フィーリングとしては軽い操作となり、システムとしては、電動モータの定格を小さくできシステムの小型軽量化となる。
[急激なシフト操作における操作フィーリングの向上作用とコスト低減作用]
本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置において、急激なセレクト操作をした場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力が加算される。よって、操作フィーリングとしては軽快な操作となり、システムとしては、電動モータへの応答性の要求が緩和され、モータの定格小型化となる。
[セレクトレバーと自動変速機の制御アームの機械的連結]
さらに、実施例1において、フェール時には、セレクトレバー11を、非連結状態の位置範囲を超えて操作すれば、その操作方向において、可動量つまり遊び量がなくなり、連結状態となって、コントロールケーブル4を介して、その操作力によって、自動変速機5の制御アーム51を操作することができる。
[中間停止について]
チェック機構部14は、自動変速機5のディテント機構より小さな力で、特性としては近くなるよう構成されている。そのため、セレクト停留位置の間には、その時点で止めると、どちらのセレクト停留位置にも吸い込まれず、機構の持つ静止摩擦力等により、つり合う位置のように停止してしまう中間停止が発生する。
この中間停止は、機構上、生じるものであるため、制御に関わらず発生してしまう。この中間停止の場合、ドライバは、操作したと思っていることが多い。しかし、中間停止後は、受ける力方向によりどちらのセレクト停留位置にも移動する不安定な状態である。よって、ドライバが操作したと思い込んだ場合、そのセレクト停留位置と異なるセレクト停留位置へセレクトレバーが移動した場合、アシストアクチュエータの追従する制御駆動により自動変速機のレンジ位置は、ドライバの意図するレンジ位置と異なるレンジ位置へ切り換ってしまう。これは誤操作、誤動作であり、非常に好ましくないものである。
実施例1では、中間停止を判定し、中間停止を制御により排除することで、この課題を解決している。
[中間停止の検出、排除処理]
図9は、コントローラ3で実行される中間停止の検出、排除処理の流れを示すフローチャート図であり、以下各ステップについて説明する。
ステップS11では、操作位置(操作角X1)、作動位置(作動角X2)を検出する。
ステップS12では、中間停止フラグが0かどうかを判断し、フラグ0であるならばステップS13へ進み、フラグ1であるならばステップS23へ進む。
ステップS13では、操作位置がC1を超え、C2に達しない範囲にあるかどうか(C1<X1<C2)を判断し、範囲内ならばステップS14へ移行し、範囲外ならばステップS18へ進む。
ステップS14では、経過時間を計測するT1タイマーをスタートさせる。
ステップS15では、経過時間がT1に達したかどうかを判断し、T1に達したならばステップS16へ進み、T1に達しないならばステップS18へ進む。
ステップS16では、操作位置をX1iniとして記憶し、中間停止フラグをセットする。
ステップS17では、T1タイマーをクリアする。
ステップS18では、目標作動位置(目標作動角tX2)を操作位置に設定する。
ステップS19では、ΔX=tX2-X2、つまり、目標作動位置と実測した作動位置の差を演算する。
ステップS20では、ΔX、つまり目標作動位置と実測した作動位置の差から駆動指令値を演算する。
ステップS21では、中間停止フラグが1かどうかを判断し、フラグ1であるならばステップS22へ進み、フラグ0であるならば処理を終了する。
ステップS22では、駆動指令値を制限する。
ステップS23では、A=|tX2-X1|、つまり目標作動位置と操作位置の差の絶対値を演算する。
ステップS24では、Aと前回のAを比較し、前回のAが大きいならばステップS25へ進み、Aが前回のA以上ならばステップS30へ進む。
ステップS25では、目標位置(tX2)を記憶されたX1iniから演算する。つまり、X1iniの操作位置に近いセレクト停留位置を目標位置に設定する。
ステップS26では、|X2-tX2|<C5、つまり、作動位置と目標の作動位置の差が所定値より小さくなったかどうかを判断し、所定値より小さいならばステップS27へ進み、所定値以上ならばステップS18へ進む。
ステップS27では、経過時間を計測するT2タイマーをスタートさせる。
ステップS28では、経過時間T2が経過したかどうかを判断し、T2が経過したならばステップS29へ進み、T2が経過していないならばステップS19へ進む。
ステップS29では、T2タイマーをクリアし、中間停止フラグをリセットする。
ステップS30では、中間停止フラグをリセットする、
[中間停止の検出、排除]
実施例1において、Pレンジ位置からRレンジ位置へ切り換える場合を例として説明する。Pレンジ位置からRレンジ位置へ切り換える途中において、中間停止になった場合、操作角がC1とC2間となり、時間T1が経過することで、中間停止と判断される(ステップS13,S14,S15)。
中間停止と判断された際には、中間停止フラグが1となり、その時点の操作位置がX1iniとして記憶される(ステップS16)。
なお、中間停止フラグが1となることで、アシストアクチュエータ2の駆動指令値は制限され(ステップS21,S22)、中間停止の排除処理(ステップS23〜S30)へ移行する。
中間処理の排除は、ステップS25において、中間停止と判断した操作位置から近いセレクト停留位置を、目標位置にする。この場合はRレンジ位置となる。すると、図11に示すように、アシストアクチュエータ2の駆動により第2回転部17及び連結された制御アーム51がRレンジ位置へ移動する。
第2回転部17が駆動により回転することで、第1回転部13との遊び溝131と突起171との係合が機械的に連結した遊びのないものとなって、第1回転部13及びセレクトレバー11が中間停止位置から、Rレンジ位置に相当するセレクト停留位置へ作動位置より遅れて移動する(図11参照)。
このように実施例1では、目標位置を近いセレクト停留位置(レンジ位置相当)に変更することにより、中間停止を排除する。
中間停止状態が排除されたことは、ステップS26〜S29の処理により、目標となったセレクト停留位置近傍の所定範囲(C5)に所定時間T2位置したことにより、判定され、中間停止フラグが0リセットされる。
[ドライバ操作の優先制御]
セレクトレバー11が中間停止している場合、ドライバの手がセレクトレバー11から離れている場合には、上記に説明の通り、ステップS23〜S30の処理により中間停止が排除される。
ドライバの手がセレクトレバー11を操作中に、ドライバが手を止めることにより中間停止が発生している場合、ステップS22で駆動指令値を制限していることにより、ドライバの操作を優先し、第1回転部13と第2回転部17の遊び分のみしか移動しないようにする。
この状態から、手が離れた場合には、図11に示すように、制限した駆動力によって、中間停止が排除されることになる。
また、ドライバが操作中に手を止めることにより中間停止している場合、ドライバの手でセレクトレバー11は止まっているが、上記のように、目標位置は、中間停止位置に近いRレンジ位置へ変更され、アシストアクチュエータ2は駆動されている。よって、ドライバが中間停止の状態から、Rレンジ位置方向へ操作した場合には、セレクトレバー11がRレンジ位置に相当するアシスト停留位置へ移動し、目標位置をRレンジ位置とした作動位置が、アシストアクチュエータ2の駆動によりRレンジ位置へ移動する。
さらにまた、ドライバが操作中に手を止めることにより中間停止している場合、制御によりRレンジ位置を目標位置に変更して駆動制御し、駆動指令値を制限したことにより、手でセレクトレバー11が止まっている場合において、中間停止の排除のために目標位置としたRレンジ位置方向と反対側のPレンジ方向へドライバが操作した際には、ステップS23,S24の処理により、このことが検出され、ステップS30の処理で中間停止フラグが0にリセットされる。
よって、通常の制御に戻るため、Pレンジ位置へ向かうセレクトレバー11の操作に第2回転部17及び制御アーム51が追従するようアシストアクチュエータ2が駆動する。
このようにドライバの操作意思は優先される。
[警報作用]
本実施例1では、中間停止と判定した場合には、警報部72により、中間停止と判定したことがドライバに伝達される。
これにより、ドライバがセレクトレバー11から手を離せば、上記のようにセレクトレバー11は中間停止排除制御により、セレクト停留位置へ移動する。また、警報に気づいたドライバが、中間停止位置からセレクトレバー11を移動させれば、これに伴って作動位置がレンジ位置へ移動する。
このように警報を行うことによって、好ましくない中間停止の状態をより早急に排除することになる。
次に効果を説明する。
本実施の形態の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
(1)セレクトレバー11は従来のセレクトレバーよりも車室内空間への突出量が150mm程度少なく、さらに、セレクトレバー11と制御アーム51は遊び量を持ってコントロールケーブル4を介して連結されているため、従来品よりも車室内レイアウトの自由度が大きく、インストルメントパネル等、車室内の任意箇所にセレクトレバー11を設定できる。
また、セレクトレバー11と制御アーム51がコントロールケーブル4によって、遊び量を有して機械的に連結されているため、アシストアクチュエータ2やコントローラ3がフェールした場合でも、ドライバは手動でセレクト位置を切り換えることができる。
また、第1回転部13の遊び溝131、第2回転部17の突起171の係合により非連結状態と連結状態とを設け、設定遊び量内で中立状態を保持するため、通常の操作の際に非連結状態から連結状態となることによる違和感を生じないようにできる。
また、実施例1においては、通常の状態を非連結状態とするため、連結状態の際に受ける後段の摩擦抵抗を受けることなく、セレクトレバー11の小型化に合わせた軽い力で操作する良好な操作フィーリングをセレクト部1のチェック機構部14で生じさせることができる。
また、実施例1においては、非連結状態の遊び量を有するため、セレクトレバー11側と自動変速機5側の組付の際に互いに同期させる調整等を簡略化でき、車両への組付性を向上させることができる。
また、セレクト操作系の負荷が過大となる急な坂道での発進や急激なセレクト操作の際には、ドライバの操作力にモータのアシスト力が加わり、操作を軽快にできる。また、操作力を伝達できるために、システムとしてモータ定格の小型化やモータへの応答性要求の緩和化ができる。
さらに、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるシフトバイワイヤシステムに対する有利な作用効果について、比較して説明する。
上記に挙げた作用効果において、(A)通常時は、手動操作力を自動変速機に伝達することなくアクチュエータの作動力によりレンジ切り換えを行う。(B)フェール時は、アクチュエータの作動力を用いることなく、手動操作力によりレンジ切り換えを行う。(C)過大な負荷が生じる場合には、手動操作力とアクチュエータの作動力を加算したものによりレンジ切り換えを行う(アシスト状態)。特に(B),(C)は、シフトバイワイヤシステムに対し有利な作用効果である。
さらに、(A)と(C)の状態も可変であることが有利である。つまり、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、走行状況に応じて、ドライバの操作力とアシストアクチュエータによるアシスト力の比率を変えることができる。例えば、走行速度が高い時にRレンジからPレンジにシフトしようとする場合に、モータのアシスト力を弱めることにより、ドライバの操作力を高くして(操作を重くして)フィンガータッチの誤セレクトによって車が急停止することが防止できる。このように、操作フィーリングの向上に加えて、誤セレクトの防止や、それにつながるものを抑制することが操作を重くすることで実現できるのである。
さらにシフトバイワイヤシステムと比較すると、ポテンショメータ(位置センサ)のゼロ点の経時移動や電源電圧の変動、回路入力電圧のドリフトなどの外乱に対して、シフトバイワイヤシステムでは制御系の応答性や位置決め精度が劣化しやすい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、制御系に多少の変動があってもドライバはメカリンクを通じてその変動分を吸収して操作できるためシステムのロバスト安定性に優れている。
さらに、シフトバイワイヤシステムがシステムダウンした際には、非常用レバーを探して通常と異なる操作をする必要がありパニックに陥ったドライバには負担が大きい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では操作力が重くなるものも通常と同様のセレクト操作のまま平常心で運転を続けられる。
さらに、実施例1では、コントローラ3は、操作位置がセレクト停留位置とセレクト停留位置の間の中間位置で止まっていることを判定する中間停止判定部35と、操作位置から作動位置の目標位置を設定し、かつ中間停止状態を通常の状態にする目標位置設定部34と、作動位置が目標位置に近づくよう駆動指令値を演算する駆動指令値演算部32とを備えるため、中間停止を検出して、通常の状態に戻すことができ、誤操作、誤動作が防止できる。
(2)駆動指令値演算部32は、中間停止判定後、通常の状態になるまでの間、駆動指令値を制限するため、ドライバの操作で中間停止している場合に、ドライバの操作を優先し、ドライバの意に反してまで、駆動させないようにして、違和感が生じないようにする。また、中間停止の際にアシストアクチュエータ2が駆動し続けることによる発熱や、消費電力を抑制することができる。
(3)中間停止の際にドライバに警報する警報部72を設けたため、より早急に中間停止を排除することができる。
(4)中間停止の排除は、目標位置設定部34が行うものとし、中間停止と判定されると、中間停止判定時点の操作位置から近いセレクト停留位置を、目標のセレクト停留位置と設定し、この目標セレクト停留位置から目標位置を設定するため、近いセレクト停留位置に速やかに移動させるようにして、中間停止を排除することができる。
(7)中間停止判定部35は、操作位置が、各セレクト停留位置のいずれに対しても、所定値以上離れている状態が所定時間以上連続した場合に中間停止と判定するため、アシストアクチュエータ2の駆動制御に用いる操作位置を用いて、特別な検出手段を用いずに、中間停止を判定することができる。
(8)中間停止判定部35は、中間停止状態と判定されている間に、操作位置が目標位置から離れる方向に変化した場合に、非中間停止状態に判定結果を切り換えるため、ドライバの意思を優先させる中間停止排除制御にすることができる。
また、これにより、ドライバに違和感を与えるようなことがなく、良好な操作フィーリングを損ねることなく、車両の状態として好ましくない中間停止状態を排除することができる。
(9)中間停止判定部35は、中間停止状態と判定されている間に、作動位置が目標位置となった状態が継続した場合に、非中間停止状態に判定結果を切り換えるため、アシストアクチュエータ2の駆動制御に用いる操作位置を用いて、特別な検出手段を用いずに、中間停止の排除が確認、判定できる。
実施例2は、操作が開始した操作位置、と中間停止の操作位置、操作方向から、目標位置を設定する例である。
構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
作用を説明する。
[中間停止の検出、排除処理]
図13は実施例2のコントローラで実行される中間停止の検出、排除処理の流れを示すフローチャート図で、以下各ステップについて説明する。なお、実施例1の図9の処理と同様のステップについては、同じ符号を使用し、説明を省略する。
ステップS31は、レンジ切換フラグが0かどうかを判断し、フラグ0ならばステップS32へ進み、フラグ1ならばステップS35へ進む。
ステップS32は、中間停止範囲(C1,C2)よりもセレクト停留位置に近い範囲(C3,C4、図10参照)の操作開始と判断する範囲内となったかどうかを判断し、範囲内(C3<X1<C4)ならばステップS33へ進み、範囲外であるならばステップS12へ進む。
ステップS33では、レンジ切換フラグを1にセットする。
ステップS34では、操作位置(操作角X1)をXstとして記憶する。
ステップS35では、操作位置が停留位置かどうかを判断し、停留位置ならばステップS36へ進み、停留位置でないならばステップS12へ進む。
ステップS36では、レンジ切換フラグを0にリセットする。
ステップS37では、目標位置(tX2)をX1stとX1、つまり、操作開始位置と中間停止の際の操作位置、及び操作方向から、目標位置を設定する。
[中間停止の検出、排除作用]
実施例2においては、中間停止と判定される前に、操作位置がセレクト停留位置から、操作が開始され、操作開始と判定することができる所定範囲(C3,C4)に入ると、レンジ切換フラグを1にし、その操作位置をX1stとして記憶しておく。このレンジ切換フラグは、その後に、操作位置がいずれかのセレクト停留位置となることでクリアされる。
中間停止と判定した場合には、操作開始位置X1st、中間停止の際の操作位置X1iniから、操作方向がわかるため、例えば、図11に示すように、Pレンジ位置から操作が開始され、Rレンジ位置との途中で中間停止状態となった場合には、ドライバの操作意思を優先し、その操作方向から、Rレンジ位置を目標位置とするのである。これにより、ドライバが操作しようとしたレンジ位置に切り換るように中間停止の排除処理が行われることになる。
効果を説明する。実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)〜(3),(7)〜(9)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5)中間停止排除を目標位置設定部34が行うものとし、目標位置設定部34は、操作が開始した時点の操作位置を検知し、操作が開始した時点の操作位置と、中間停止判定時点の操作位置とから操作方向を判別し、操作位置と操作方向から目標位置を設定するため、ドライバの操作を予測し中間停止を排除する際に、その方向へ移動させるようにし、ドライバの操作意思により沿った中間停止排除を行うことができる。
その他、作用効果は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例3は、中間停止が発生した際には、予め設定したセレクト停留位置へ向かって中間停止の排除が行われるようにした例である。
構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
作用を説明する。
[中間停止の検出、排除処理]
図14は実施例3におけるコントローラで実行される中間停止の検出、排除処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。なお、実施例1の図9の処理と同様のステップについては、同じ符号を使用し、説明を省略する。
ステップS37では、中間停止した時点の操作位置(X1ini)から目標位置を演算する。なお、実施例3では、どのセレクト停留位置間(レンジ位置間)で中間停止したかにより、目標位置が予め定められている。
[中間停止の検出、排除作用]
実施例3では、予め、どのセレクト停留位置間で中間停止したかにより、中間停止の排除方向を設定している。中間停止の排除により切り換えられたレンジ位置が、ドライバが予期しないレンジ位置の場合に、車両が動き出してしまうようなレンジ位置では、ドライバの意思に反することになり、非常に好ましくない。
例えば、Pレンジ位置へ操作したつもりがRレンジ位置になる場合や、Nレンジ位置へ操作したつもりがRレンジ位置になる場合、Nレンジ位置へ操作したつもりがDレンジ位置になる場合である。
実施例3では、例えば、Pレンジ位置とRレンジ位置の間で中間停止の場合には、Pレンジ位置へ向かうよう中間停止が排除される。というように、車両の動き出しがないレンジ位置へ移動するようにし、ドライバにとって意図しないレンジ切り換りの発生がないようにする。
効果を説明する。実施例3の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)〜(3),(7)〜(9)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(6)中間停止排除を目標位置設定部34が行うものとし、目標位置設定部34は、中間停止時の操作位置から、どのセレクト停留位置間で停止しているかを判別し、中間停止位置がどのセレクト停留位置間かにより、予め目標となるセレクト停留位置を設定し、目標セレクト位置から目標位置を設定するため、ドライバの意図に合わない車両の発進を防止して、中間停止の排除を行うことができる。
その他、作用効果は実施例1と同様であるので説明を省略する。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を実施例1〜実施例3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
セレクトレバー11の形状や大きさは任意であり、指先で操作可能なスイッチ形状としてもよい。
位置センサの例として、ブラシと基板の接触位置が可変するポテンショメータを例として挙げておく。
実施例1〜実施例3では、相対変位許容連結機構の例として遊び連結機構を示したが、遊び連結機構以外であっても、例えば、限界弾性変位量までの弾性変位を許容しつつ両連結部材と連結する弾性連結機構であってもよい。
弾性連結機構について具体的に説明すると、実施例1において、第1回転部13の遊び溝131に係合して遊び溝131内に位置する突起171に対し、遊び溝131の両端側から中点位置に向かって突起171を付勢するようにバネを両側に設ける。チェック機構部14は設けない。すると、自動変速機5のディテント力によりコントロールケーブル4を介して作動位置に回転して位置する第2回転部17の突起171によりバネが伸縮され、バネ力により第1回転部13つまり、セレクトレバー11の位置が決まる。弾性連結機構では、このようにバネを介して自動変速機側のディテントを伝達することでセレクトレバー11への操作反力が生成される。また、制御は、同様に遊び溝の中点位置、つまり弾性変位量を0にするよう制御されることで、セレクトレバー11の操作に自動変速機5の作動が追従する動きをさせるのである。この弾性連結機構も相対変位許容連結機構の例である。
実施例1〜実施例3では、遊び連結機構の例として、遊び量を許容する溝と
突起、アシストアクチュエータをセレクト部に設けたが、図15に示すように、第2回転部17及びアシストアクチュエータを自動変速機5に設けるようにしてもよい。図15を参照して具体的に説明すると、自動変速機5の制御アーム51を第2回転部17に接続して設け、第2回転部17の回転によって制御アーム51がレンジ位置を切り換える構造にする。この第2回転部17には、ウォームホイール16を設け、アシストアクチュエータ2のウォーム21を係合させる。よって、アシストアクチュエータ2は自動変速機5側に設ける。セレクトレバー11が設けられた第1回転部13の遊び溝131内を移動する突起171には、コントロールケーブル4の一端を取付け、他端を第2回転部17に取り付ける。このような構成であってもよい。
また、遊び連結機構の例として、遊び連結機構、アシストアクチュエータをコントロールケーブルの途中に設けた例を図16、図17に示す。
この例においては、遊び連結機構は、コントロールケーブル8aとコントロールケーブル8bの接続部分で形成されるとともに、位置センサ71によりその相対変位量が検出される。セレクトレバー11側のコントロールケーブル8bは、ジョイント91により入力レバー92に接続し、自動変速機5側のコントロールケーブル8eは、ジョイント96により出力レバー95に接続する。この入力レバー92と出力レバー95は、同一の回転軸となる出力軸94に接続した構造にする。出力軸94には、ウォームホイール93を設け、アシストアクチュエータの電動モータ97の出力軸にウォーム98を設けてウォームホイール93と係合させる。このようにコントロールケーブルの途中に遊び連結機構、アシストアクチュエータを設ける構成にしてもよく、また、遊び連結機構における相対位置変位量が発生する部分で直接、変位量を検出するようにしてもよい。
第1実施例の自動変速機の構成を示す側面図である。 アクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。 コントローラの制御ブロック図である。 自動変速機のディテントの構造を示す斜視図である。 コントロールユニットで実行されるレンジ切り換え制御の処理の基本的な流れを示すフローチャートである。 P→Rレンジ方向においてセレクトレバーに発生する操作反力を示す特性図である。 P→Rレンジへの操作におけるセレクトレバーの操作角とアクチュエータの作動角、及び相対位置の特性を示す説明図である。 セレクトレバーの操作とアクチュエータの動作を示す説明図である。 コントローラで実行される中間停止の検出と排除処理の流れを示すフローチャート図である。 P→Rレンジへの操作におけるセレクトレバーの操作位置変化と中間停止判定の例を示す説明図である。 P→Rレンジへの操作における中間停止の際の操作位置、作動位置を示す説明図である。 P→Rレンジへの操作における中間停止の際に手動操作がある場合の操作位置、作動位置を示す説明図である。 実施例2におけるコントローラで実行される中間停止の検出と排除処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3におけるコントローラで実行される中間停止の検出と排除処理の流れを示すフローチャートである。 実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。 実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。 実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例のリンク部分を示す図である。
符号の説明
1 セレクト部
11 セレクトレバー
12 セレクトノブ
13 第1回転部
131 溝
14 チェック機構部
141 ピン
142 溝部
142a 谷部
16 ウォームホイール
17 第2回転部
171 突起
18 ケーブル取付レバー
19 支点軸
2 アシストアクチュエータ
21 ウォーム
3 コントローラ
31 相対変位量演算部
32 駆動指令値演算部
33 モータ駆動制御部
34 目標位置設定部
35 中間停止判定部
4 コントロールケーブル
5 自動変速機
51 制御アーム
52 回転シャフト
53 ディテントプレート
53a カム山
53b 溝(谷部)
54 バネ板
55 ディテントピン
56 パーキングロッド
57 カム状プレート
58 パーキングギア
61 位置センサ
62 位置センサ
71 位置センサ
72 警報部
8a コントロールケーブル
8b コントロールケーブル
8e コントロールケーブル
91 ジョイント
92 入力レバー
93 ウォームホイール
94 出力軸
95 出力レバー
96 ジョイント
97 電動モータ
98 ウォーム

Claims (9)

  1. セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、
    前記アシストアクチュエータの駆動を制御するアシスト制御手段を設け、
    前記セレクトレバーの操作位置を検出する操作位置検出手段を設け、
    前記セレクト位置切換装置の作動位置を検出する作動位置検出手段を設け、
    前記アシスト制御手段は、
    前記操作位置が、セレクト停留位置とセレクト停留位置の間の中間位置で止まっていることを判定する中間停止判定手段と、
    前記操作位置から作動位置の目標位置を設定する目標位置設定手段と、
    前記作動位置が目標位置に近づくよう駆動指令値を演算する駆動指令演算手段と、
    中間停止状態を通常の状態にする中間停止排除手段と、
    を備えることを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  2. 請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記駆動指令演算手段は、
    中間停止判定後、通常の状態になるまでの間、駆動指令値を制限する、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    中間停止の際にドライバに警報する警報手段を設けた、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  4. 請求項1〜請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止排除手段は、前記目標位置設定手段であり、
    中間停止と判定されると、中間停止判定時点の操作位置から、目標のセレクト停留位置を設定し、目標のセレクト停留位置から目標位置を設定するようにした、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  5. 請求項1〜請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止排除手段は、前記目標位置設定手段であり、
    前記目標位置設定手段は、
    操作が開始した時点の操作位置を検知する操作開始位置検知手段と、
    操作が開始した時点の操作位置と、中間停止判定時点の操作位置とから操作方向を判別する操作方向判別手段と、
    操作位置と操作方向から目標位置を設定する手段と、
    を備えることを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  6. 請求項1〜請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止排除手段は、前記目標位置設定手段であり、
    前記目標位置設定手段は、
    中間停止判定時の操作位置から、どのセレクト停留位置間で停止しているかを判別する中間停止位置判定手段と、
    中間停止位置がどのセレクト停留位置間かにより、予め目標となるセレクト停留位置が設定された目標セレクト位置設定手段と、
    目標セレクト位置から目標位置を設定する手段と、
    を備えることを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  7. 請求項1〜請求項6に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止判定手段は、
    操作位置が、各セレクト停留位置のいずれに対しても、所定値以上離れている状態が所定時間以上連続した場合に中間停止と判定する、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  8. 請求項1〜請求項7に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止判定手段は、
    中間停止状態と判定されている間に、操作位置が目標位置から離れる方向に変化した場合に、非中間停止状態に判定結果を切り換える、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
  9. 請求項1〜請求項8に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
    前記中間停止判定手段は、
    中間停止状態と判定されている間に、作動位置が目標位置となった状態が継続した場合に、非中間停止状態に判定結果を切り換える、
    ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
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