JP2002325428A - 電力制御方法および電力制御装置 - Google Patents

電力制御方法および電力制御装置

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JP2002325428A JP2001123933A JP2001123933A JP2002325428A JP 2002325428 A JP2002325428 A JP 2002325428A JP 2001123933 A JP2001123933 A JP 2001123933A JP 2001123933 A JP2001123933 A JP 2001123933A JP 2002325428 A JP2002325428 A JP 2002325428A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高調波を発生せず、従来のサイクル制御に比
べて、高精度な制御を可能にするとともに、負荷に流れ
る交流電流の極性が偏るのを防止する。 【解決手段】 温度調節器1からの電力指令値を、半サ
イクル毎にサンプル・ホールド部21で保持し、入力電
力指令値と出力誤差累積値を加算部24で加算し、この
加算出力と閾値とを比較部25で比較して出力電力指令
値を決定し、それまでの電流の極性の累積値に基づい
て、その極性累積値が閾値を上回るときには、決定した
出力電力指令値の出力を禁止し、これによって、負荷に
流れる交流電流が、閾値を上回って同じ極性に偏ること
がないようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力の制御方法お
よび制御装置に関し、更に詳しくは、交流電圧のサイク
ル制御を行う電力制御方法および電力制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒータ等の温度制御システムに
は、図4に示すように、温度調節器1より所定の入力電
力指令値をサイクル制御装置2に与え、サイクル制御装
置2では、入力された電力指令値に応じ、所定の周期、
例えば0.2〔sec〕毎に1ないし数サイクルの出力
をゼロクロス機能付きSSR3に与え、前記所定の周期
毎の何サイクルをヒータ4に与えてON/OFFし、そ
のヒータ4の温度を温度センサ5で検出し、温度調節器
1にフィードバックし、サイクル制御を繰り返すことに
より、ヒータ4の温度を入力電力指令値に応じた値とな
るように制御するものである。
【0003】サイクル制御装置2は、図5に示すように
温度調節器1で100%が出力されていると、電源周波
数が50Hzの場合、この出力値100%を受け、0.
2secの制御周期の10サイクルがフル出力される。
温度調節器1の出力が75%であるとサイクル制御装置
2からは10サイクル中、7.5サイクル分がONで出
力される。同様に、温度調節器1の出力が50%の場
合、サイクル制御装置2からは10サイクル中5サイク
ルがONで出力される。以下25%の温度調節器出力の
場合は、10サイクル中、2.5サイクル分がONされ
る。0%の温度調節器出力では、出力も10サイクルす
べてOFFである。
【0004】なお、0.2secで50Hzの全サイク
ルは10回となるが、図5は様式的なものであり、全サ
イクルを4回としている。
【0005】温度制御には、周期毎の数サイクル分中の
オンサイクル比率を設定値に応じて変える上記サイクル
制御の他に、設定値に応じて各サイクルにおける点弧角
を制御する位相制御が採用されることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のサイク
ル制御では、制御周期が固定であり、かつ1サイクルを
単位としてON/OFF制御するので、出力分解能が低
く、制御精度が悪く、出力応答も遅い。また、ON状態
が時間的に偏るため、制御対象の寿命に悪影響、例えば
制御対象がヒータの場合、熱ストレスが大きいという問
題がある。
【0007】一方、位相制御では、高精度の制御が可能
であるが点孤角を制御するものであるから、基本波成分
以外に高調波が発生するという問題がある。さらに高速
処理が必要であるため、装置全体が高価になるという問
題がある。
【0008】そこで、本件出願人は、平成12年3月1
5日提出の「サイクル制御装置、電力調整装置、温度調
節器および温度制御装置」(特願2000−71642
号)において、高調波を発生せず、しかも従来のサイク
ル制御に比べて、高精度な制御が可能なサイクル制御装
置を提案している。
【0009】以下、この先に提案したサイクル制御装置
の概要について説明する。
【0010】図6は、このサイクル制御装置を備えた温
度制御システムの概略構成を示すブロック図である。こ
の温度制御システムは、温度調節器1と、サイクル制御
装置20と、ゼロクロス機能付きSSR3と、ヒータ4
と、温度センサ5とから構成されている。サイクル制御
装置20以外は、図4に示したものと同様である。
【0011】サイクル制御装置20は、温度調節器1か
らの電力指令値Xを半サイクル間保持するサンプル・ホ
ールド部21と、入力された電力指令値Xと実際の出力
値Yの出力誤差Eを算出する出力誤差演算部22と、出
力誤差演算部22で求めた出力誤差Eを累積する出力誤
差累積部23と、入力された電力指令値Xと出力誤差累
積値とを加算する加算部(補正部)24と、加算部24
の出力を受け、その入力値と所定の閾値とを比較し、入
力値が閾値より大なる場合に100〔%〕出力、入力値
が閾値より小なる場合に0%出力とする比較部25とを
備えている。
【0012】次に、図7に示すフロー図により、サイク
ル制御装置20の動作を中心に説明する。動作の開始に
あたり、先ず初期処理が実施される(ステップST
1)。例えば、比較部25の閾値Sの設定(ステップS
T11)、変数nをクリア(ステップST12)、パラ
メータ初期値を設定し、累積用レジスタΣ(n)をクリ
アする(ステップST13)。
【0013】初期処理に続いて、変数nを1インクリメ
ントする(ステップST2)。処理開始で先ずn=1と
される。そして、第1番目(n=1)のオン比率入力X
1を取り込む。(ステップST3)。続いて前回までの
出力誤差累積Σ(n−1)に今回の入力指令値Xnを加
算し、補正出力値Y(n)を求める(ステップST
4)。
【0014】最初の半サイクルの処理ではΣ(n−1)
は0〔%〕であり、Xn=X1である。したがって、入
力電力指令値を40%に設定したとすると、X1=40
〔%〕であり、Yi1も40〔%〕である。比較部25
で入力された補正出力値Yi1と閾値Sが比較され(ス
テップST5)、補正出力値Yi1が閾値S以上である
と出力を100〔%〕とする(ステップST6)。逆に
補正出力値Yi1が閾値Sよりも小さいと出力を0
〔%〕とする(ステップST7)。
【0015】続いて今回の入力指令値X1と出力Y1の
偏差、出力誤差E←X1−Y1を求める(ステップST
8)とともに、それまでの出力誤差累積値に今回の出力
誤差E1を加算して、出力誤差累積を更新する(ステッ
プST9)。これにより、最初の半サイクルに係る処理
を終了する。
【0016】その後ステップST2に戻り、変数nを1
インクリメント(n=2)し、2回目の半サイクルの処
理を実行する。ステップST2からステップST9の処
理は制御周期間にわたり繰り返され、次の制御周期に入
ると、再度変数n及びΣ(n)をクリアして,同様の処
理を繰り返す。
【0017】上記した処理動作を具体的な数値を例に上
げて説明する。以下の説明では入力電力指令値X=40
〔%〕、閾値S=50〔%〕とし、50〔Hz〕の交流
信号を制御するものとする。50〔Hz〕の半サイクル
期間は10〔msec〕であるから、10〔msec〕
毎に、図7に示すフロー図の処理を実行する。入力電力
指令値Xは40〔%〕であるから、制御周期は半サイク
ル期間×5と決定される。
【0018】最初の半サイクル(周期1)では、図8に
示すように、入力電力指令値40〔%〕、この入力電力
指令値40〔%〕と出力誤差累積Σ(0)の加算で補正
出力Yi1が40〔%〕、この補正出力Yi1が40
〔%〕と閾値S=50〔%〕との比較で閾値Sの方が大
であるから、出力0〔%〕、電力指令値X1=40
〔%〕とこの出力0〔%〕の偏差より、出力誤差E1=
40〔%〕、同時に累積誤差Σ(1)=40〔%〕であ
る。
【0019】第2番目の半サイクルでは、同じく図8に
示すように、入力電力指令値は変わらず40〔%〕、こ
の電力指令値40〔%〕と前回までの累積値Σ(1)=
40〔%〕の加算で、補正出力Yi2が80〔%〕、こ
の補正出力Yi2が80〔%〕と閾値S=50〔%〕の
比較で閾値Sよりも補正出力Yi2の方が大であるか
ら、出力を100〔%〕とする。電力指令値X2=40
〔%〕と出力100〔%〕との偏差より、出力誤差E2
=−60〔%〕、前回までの出力累積誤差Σ(2)=−
20〔%〕である。
【0020】第3番目の半サイクル(周期3)では、入
力電力指令値は変わらず40〔%〕、この電力指令値4
0〔%〕と前回までの累積値Σ(2)=−20〔%〕の
加算で、補正出力Yi3が20〔%〕、この補正出力Y
i3が20〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値S
の方が大きいので、出力を0〔%〕とする。指令値X3
=40〔%〕と出力0〔%〕の偏差で、出力誤差E3=
40〔%〕、前回までの累積値Σ(2)=−20〔%〕
を加算して、出力誤差累積Σ(3)=20〔%〕であ
る。
【0021】第4番目の半サイクル(周期4)では、入
力指令値X4は40〔%〕、この指令値40〔%〕と前
回までの累積値Σ(3)=20〔%〕の加算で、補正出
力Yi4が60〔%〕、この補正出力Yi4=60
〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正
出力Yi4の方が大きいので、出力を100〔%〕とす
る。電力指令値X4=40〔%〕と出力100〔%〕の
偏差で、出力誤差E4=−60〔%〕、前回までの累積
値Σ(3)=20〔%〕に出力誤差−60〔%〕を累積
して、出力誤差累積Σ(4)=−40〔%〕である。で
ある。
【0022】第5番目の半サイクル(周期5)では、入
力電力指令値X5は40〔%〕、この指令値40〔%〕
と前回までの累積値−40〔%〕の加算で、補正出力Y
i5=0〔%〕、この補正出力Yi5と閾値S=50
〔%〕の比較では明らかに閾値Sの方が大なので、出力
を0〔%〕とする。電力指令値X5=40〔%〕と出力
0〔%〕の偏差で、出力誤差E5=40〔%〕、前回ま
での累積値Σ(4)=−40〔%〕を加算して、出力誤
差累積Σ(5)=0〔%〕である。
【0023】以上5回の半サイクルで制御周期が終了
し、次の制御周期に移る。1制御周期の中では電力指令
値40〔%〕に対し、出力100〔%〕の半サイクルが
2回あり、5回の半サイクル中に2回の100〔%〕出
力で他の3回のサイクルが出力0%であるから、電力指
令値に対応した出力となる。
【0024】同様に、例えば、入力電力指令値が、50
%であった場合には、2回の半サイクルを制御周期とし
て、一方の半サイクルが出力100%、他方の半サイク
ルが出力0%となる。また、例えば、入力電力指令値
が、60%であった場合には、5回の半サイクルを制御
周期として、その内の3回の半サイクルが出力100
%、2回の半サイクルが出力0%となるかかるサイクル
制御装置によれば、制御周期を決定し、半サイクル毎に
出力補正し、電力指令値に応じて100〔%〕出力か、
0〔%〕出力かを選択して出力するものであるから、従
来のサイクル制御に比し、出力応答が速く、また、従来
のサイクル制御に比し、ON状態が時間的に分散される
ので、制御対象を長寿命化できる。従来の位相制御に比
べて高速処理が必要ないため、装置が安価に実現でき
る。ゼロ電圧スイッチングであるため、電気ノイズが小
さいなどの効果がある。
【0025】しかしながら、このサイクル制御装置で
は、入力電力指令値が、例えば、12.5%、25%あ
るいは50%などの値のときには、ヒータ4を流れる交
流電流が同じ極性に偏ることになる。
【0026】例えば、入力電力指令値が、50%である
ときには、図9の出力波形に示されるように半サイクル
おきに同一の極性の電流がヒータ4に流れることにな
り、DC電圧を印加している状態と同様となる。なお、
この図9においては、上述の図8に対応する入力、補正
出力、出力および累計誤差等の各項目を併せて示してい
る。
【0027】このようなサイクル制御装置によって、例
えば、図10に示されるように、セラミック基板31
に、ヒータ4を埋め込んだ半導体ウェハの熱処理盤の前
記ヒータ4等の負荷の温度制御を行った場合には、上述
のように入力電流指令値によって負荷を流れる電流の極
性が偏るために、マイグレーションが発生して負荷が短
絡故障する場合があるという難点がある。
【0028】本発明は、上述の点に鑑みて為されたもの
であって、高調波を発生せず、しかも従来のサイクル制
御に比べて、高精度な制御が可能であって、負荷を流れ
る交流電流の極性に偏りのない電力制御方法および電力
制御装置を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明では、上述の目的
を達成するために、次のように構成している。
【0030】すなわち、本発明の電力制御方法は、入力
電力指令値に応じて、交流電流をスイッチング制御する
ための出力電力指令値を出力する電力制御方法であっ
て、半サイクル以上の所定サイクル毎に、前記入力電力
指令値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算
する加算ステップと、加算ステップで加算された加算値
と基準値とを比較してその比較結果に応じて出力電力指
令値を決定する決定ステップと、それまでに累積された
極性累積値に基づいて、決定された出力電力指令値の出
力を許容または禁止する出力ステップと、出力ステップ
で出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との
出力誤差値を演算する演算ステップと、演算ステップで
演算した出力誤差値を、それまでに累積された前記出力
誤差累積値に累積する出力誤差累積ステップと、出力ス
テップで出力される出力電力指令値に対応する交流電流
の極性を判定して前記極性累積値に累積する極性累積ス
テップとを行うものである。
【0031】本発明によると、先に提案しているサイク
ル制御と同様に、出力応答が速く、ON状態が時間的に
分散されるので、制御対象を長寿命化できる。特に、出
力ステップで出力する出力電力指令値を用いて、次のサ
イクルのための出力誤差の演算処理およびそれに基づく
出力誤差の累積処理を行うことができるので、例えば、
出力ステップで出力された出力電力指令値によって、後
段のSSR等の点弧をフィードバックして出力電力指令
値を決定するための処理を行うといった構成に比べて、
SSR等の点弧を待つ必要がなく、より簡便な構成が可
能となる。
【0032】さらに、累積された極性累積値に基づい
て、出力電力指令値の出力を許容または禁止するので、
負荷に流れる交流電流の極性が一方側に偏る場合には、
出力電力指令値の出力を禁止することが可能となり、こ
れによって、負荷に流れる交流電流の極性の偏りに起因
するマイグレーションの発生を抑制できる。
【0033】本発明の他の実施態様においては、前記決
定ステップでは、前記比較結果に応じて100%の出力
電力指令値または0%の出力電力指令値に決定し、前記
出力ステップでは、決定された100%の出力電力指令
値を出力すると、その出力に対応して累積される前記極
性累積値が、所定値を越えると予測されるときに、前記
100%の出力電力指令値の出力を禁止し、前記極性累
積ステップでは、前記出力ステップで100%の出力電
力指令値を出力したときに、その出力電力指令値に対応
する交流電流の極性を判定してそれまでに累積された前
記極性累積値に累積するものである。
【0034】本発明によると、100%の出力電力指令
値を出力すると、その出力に対応して累積される極性累
積値が、所定値を越える、すなわち、負荷に流れる交流
電流の極性が所定値を越えて同じ極性に偏ると予測され
るときには、その出力を禁止するので、前記所定値を越
えて同一の極性の電流が続くことがなく、負荷に流れる
交流電流の極性の偏りに起因するマイグレーションの発
生を抑制できる。
【0035】本発明の電力制御装置は、入力電力指令値
に応じて、交流電流のスイッチング制御を行うための出
力電力指令値を出力する電力制御装置であって、半サイ
クル以上の所定サイクル毎に、前記入力電力指令値とそ
れまでに累積された出力誤差累積値とを加算する加算手
段と、前記所定サイクル毎に、前記加算手段からの加算
値と基準値とを比較してその比較結果に応じて出力電力
指令値を決定する比較手段と、前記所定サイクル毎に、
それまでに累積された極性累積値に基づいて、比較手段
で決定された出力電力指令値の出力を許容または禁止す
る出力手段と、前記所定サイクル毎に、前記出力手段か
ら出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との
出力誤差値を演算する演算手段と、前記所定サイクル毎
に、前記演算手段から出力誤差値を、それまでに累積さ
れた前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積手段
と、前記所定サイクル毎に、前記出力手段から出力され
る出力電力指令値に対応する交流電流の極性を判定して
前記極性累積値に累積する極性累積手段とを備えてい
る。
【0036】本発明によると、先に提案しているサイク
ル制御と同様に、出力応答が速く、ON状態が時間的に
分散されるので、制御対象を長寿命化できる。特に、出
力ステップで出力する出力電力指令値を用いて、次のサ
イクルのための出力誤差の演算処理およびそれに基づく
出力誤差の累積処理を行うことができるので、例えば、
出力ステップで出力された出力電力指令値によって、後
段のSSR等の点弧をフィードバックして出力電力指令
値を決定するための処理を行うといった構成に比べて、
SSR等の点弧を待つ必要がなく、より簡便な構成が可
能となる。
【0037】さらに、累積された極性累積値に基づい
て、出力電力指令値の出力を許容または禁止するので、
負荷に流れる交流電流の極性が一方側に偏る場合には、
出力電力指令値の出力を禁止することが可能となり、こ
れによって、負荷に流れる交流電流の極性の偏りに起因
するマイグレーションの発生を抑制できる。
【0038】本発明の他の実施態様においては、前記比
較手段は、前記比較結果に応じて100%の出力電力指
令値または0%の出力電力指令値に決定し、前記出力手
段は、決定された100%の出力電力指令値を出力する
と、その出力に対応して累積される前記極性累積値が、
所定値を越えると予測されるときに、前記100%の出
力電力指令値の出力を禁止し、前記極性累積手段は、前
記出力手段から100%の出力電力指令値を出力したと
きに、その出力電力指令値に対応する交流電流の極性を
判定してそれまでに累積された前記極性累積値に累積す
るものである。
【0039】本発明によると、100%の出力電力指令
値を出力すると、その出力に対応して累積される極性累
積値が、所定値を越える、すなわち、負荷に流れる交流
電流の極性が所定値を越えて同じ極性に偏ると予測され
るときには、その出力を禁止するので、前記所定値を越
えて同一の極性の電流が続くことがなく、負荷に流れる
交流電流の極性の偏りに起因するマイグレーションの発
生を抑制できる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図面によって、本発明の実
施の形態について、詳細に説明する。
【0041】図1は、本発明の一つの実施の形態に係る
電力制御装置を備える温度制御システムの概略構成を示
すブロック図であり、図6に対応する部分には、同一の
参照符号を付す。
【0042】この実施形態の温度制御システムは、温度
調節器1と、本発明に係る電力制御装置200と、ゼロ
クロス機能付きSSR3と、ヒータ4と、温度センサ5
から構成されている。
【0043】電力制御装置200は、温度調節器1から
の入力電力指令値Xを半サイクル間保持するサンプル・
ホールド部21と、入力された電力指令値Xと実際の出
力値Yとの出力誤差Eを算出する出力誤差演算部22
と、出力誤差演算部22で求めた出力誤差Eを累積する
出力誤差累積部23と、入力された電力指令値Xと出力
誤差累積値とを加算する加算部(補正部)24と、加算
部24の加算出力を受け、その入力値と基準値としての
閾値Sとを比較し その比較結果に応じて、100%ま
た0%の出力電力指令値を出力する比較部25とを備え
ており、以上の構成は、先に提案しているサイクル制御
装置と基本的に同様である。
【0044】この実施の形態では、電力制御装置200
から出力される出力電力指令値に応じて、SSR3でヒ
ータ4に流れる交流電流をスイッチングしたときに、電
流の極性が同一の極性に偏ってマイグレーションが発生
するといったことがないように、次のように構成してい
る。
【0045】すなわち、この実施の形態では、SSR3
に対して出力する出力電力指令値に対応してヒータ4に
流れる交流電流の極性を判定し、例えば、一方側の極性
であるときは、極性値を「100」とし、他方側の極性
であるときには、極性値を「−100」とし、その極性
値を累積し、この極性累積値に基づいて、同一の極性の
交流電流が、予め定めた所定値Smax、例えば、「−
200」または「200」のいずれかを上回る場合に
は、一方側の極性または他方側の極性が前記所定値を上
回って連続することになるとして、比較部25から出力
される出力電力指令値のSSR3に対する出力を禁止す
るのである。
【0046】なお、比較部25は、上述のように100
%また0%の出力電力指令値を出力するのであるが、0
%の出力電力指令値の場合には、ヒータ4には、交流電
流は流れないので、当然極性はなく、極性累積値は変化
しないことにになる。
【0047】この電力制御装置200は、当該電力制御
装置200からSSR3に対して出力電力指令値を出力
したときに、その電力指令値に対応してヒータ4に流れ
る交流電流の極性が、一方側であるか他方側であるか判
定して極性値を累積する極性累積部26と、この極性累
積部26の極性累積値に基づいて、比較部25からの出
力電力指令値の出力を許容または禁止する出力部27と
を備えている。この出力部27は、極性累積値と比較部
25の出力に基づいて、出力の許否を判定する許否判定
部28と、比較部25からの出力電力指令値の出力を許
容あるいは禁止するスイッチ部29とを備えている。
【0048】この電力制御装置200は、アナログ演算
回路で構成してもよいし、コンピュータ等のソフトウエ
アを含むデジタル演算回路で構成してもよい。
【0049】次に、この実施形態の温度制御システムの
動作を説明する。ここでは、図2に示すフローチャート
に基づいて、電力制御装置200の動作を中心に説明す
る。
【0050】動作の開始にあたり、先ず初期処理が実施
される(ステップST1)。例えば、比較部25の閾値
Sおよび極性累積値の閾値Smaxの設定(ステップS
T14)、変数nをクリア(ステップST15)、パラ
メータ初期値を設定し、出力誤差累積用レジスタΣ
(n)、極性累積用レジスタΣs(n)をクリアし、一
方側の極性であるか他方側の極性であるかを示す極性フ
ラグFを1とする(ステップST16)。
【0051】初期処理に続いて、変数nを1インクリメ
ントする(ステップST2)。処理開始で先ずn=1と
される。そして、第1番目(n=1)のオン比率入力
(入力電力指令値)X1を取り込む。(ステップST
3)。続いて前回までの出力誤差累積Σ(n−1)に今
回の入力指令値Xnを加算し、出力Y(n)を求める
(ステップST4)。
【0052】次に、出力閾値判定処理を行う(ST
5)。この出力閾値判定処理は、比較部25で入力され
た補正出力値Y(n)と閾値S(50%)とが比較さ
れ、補正出力値Y(n)が閾値S以上であると、出力電
力指令値を100〔%〕と決定し、逆に補正出力値Yi
1が閾値Sよりも小さいと、出力電力指令値を0〔%〕
と決定するものである。
【0053】続いて、決定された出力電力指令値を出力
したときに予測される極性累積値を演算する(ST
6)。これは、それまでの極性累積値Σs(n−1)
と、決定された出力電力指令値Y(n)に、半サイクル
毎に正負が反転する極性フラグFを掛けた値とを加算し
て求める。例えば、決定された出力電力指令値Y(n)
が100%であって、極性フラグが一方側の極性を示す
1であるときには、それまでの極性累積値Σs(n−
1)に、100を加算した値が、予測される極性累積値
となり、また、決定された出力電力指令値Y(n)が1
00%であって、極性フラグが他方側の極性を示す−1
であるときには、それまでの極性累積値Σs(n−1)
に、−100を加算した値が、予測される極性累積値と
なる。
【0054】この求めた予測極性累積値に基づいて、出
力許否判定を行う(ST7)。この出力許否判定では、
予測極性累積値Esが、極性累積値の閾値Smaxに対
して、−Smax以上であってSmax以下であるか否
かを判断するものであり、予測極性累積値Esが、−S
max以上であってSmax以下であるときには、ヒー
タ4に流れる交流電流の極性が、閾値Smaxを上回っ
て偏ることはないとして、決定された出力電力指令値Y
(n)の出力を許容し(ST8)、そうでないときに
は、ヒータ4に流れる交流電流の極性が、閾値Smax
を上回って偏ることになるとして、出力を禁止して出力
電力指令値を0%とする(ST13)。
【0055】続いて今回の入力電力指令値X(n)と実
際に出力された出力電力指令値Y(n)との偏差、すな
わち、出力誤差Σ(n)←X(n)−Y(n)を求める
(ステップST9)とともに、それまでの出力誤差累積
値Σ(n−1)に今回の出力誤差E(n)を加算して、
出力誤差累積Σ(n)を更新する(ステップST1
0)。
【0056】さらに、今回の出力Y(n)に極性フラグ
Fを掛けた値を、今回の極性値として、それまでの極性
累積値Σs(n−1)に加算して極性累積値を更新し
(ST11)、極性フラグの正負を反転させる(ST1
2)。
【0057】これにより、最初の半サイクルに係る処理
を終了する。
【0058】この電力制御装置200の後段のゼロクロ
ス機能付SSR3では、上述のステップST8の出力電
力指令値に応じて、次の半サイクルで点弧される。
【0059】この次の半サイクルでは、ステップST2
に戻り、変数nを1インクリメント(n=2)し、2回
目の半サイクルの処理を実行する。ステップST2から
ステップST13の処理は制御周期に渡って繰り返さ
れ、次の制御周期に入ると、再度変数n及びΣ(n)を
クリアして,同様の処理を繰り返す。
【0060】次に、上記した処理動作を具体的な数値を
例に上げて図3に基づいて説明する。以下の説明では、
上述の図9に示したように、ヒータ4に流れる交流電流
の極性に偏りが生じていた入力電力指令値X=50
〔%〕とし、また、比較部25における閾値S=50
〔%〕、許否判定部28における閾値Smax=200
〔%〕とし、50〔Hz〕の交流信号を制御するものと
する。50〔Hz〕の半サイクル期間は10〔mse
c〕であるから、10〔msec〕毎に、図2に示すフ
ロー図の処理を実行する。
【0061】最初の半サイクル(周期1)では、図3に
示すように、入力電力指令値50〔%〕、出力誤差累積
値(累計誤差)Σは0であるので、入力電力指令値50
〔%〕と出力誤差累積値Σとの加算で補正出力Yが50
〔%〕、この補正出力Y=50〔%〕と閾値S=50
〔%〕との比較で閾値S以上であるから、出力電力指令
値100〔%〕と決定される。
【0062】このとき極性フラグは、一方の側であるこ
とを示す1であり、予測極性累積値は、極性累積値が0
であって、決定された出力電力指令値が100であるの
で、100となり、極性累積値の閾値200以下である
ので、出力許否判定は、許可を示す1となり、これによ
って、100%の出力電力指令値が出力されることにな
る。
【0063】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値100〔%〕の偏差より、出力誤差E
=−50〔%〕、同時に出力誤差累積値Σ=−50
〔%〕となる。また、極性累積値(極性累積)Σは、今
回の一方側の極性に対応する100%の出力によって、
100%となる。
【0064】第2番目の半サイクル(周期2)では、入
力電力指令値は変わらず50〔%〕、この電力指令値5
0〔%〕と前回までの出力誤差累積値Σ=−50〔%〕
の加算で、補正出力Yが0〔%〕、この補正出力Y=0
〔%〕と閾値S=50〔%〕との比較で閾値Sよりも補
正出力Yの方が小さいので、出力電力指令値が0〔%〕
と決定される。
【0065】このとき極性フラグは、他方の側であるこ
とを示す−1であり、予測極性累積値は、それまでの極
性累積値Σ100に、出力電力指令値0と極性フラグと
を掛けた値0を加えた値である100となり、極性累積
値の閾値200以下であるので、出力許否判定は、許可
を示す1となり、これによって、0%の出力電力指令値
が出力されることになる。
【0066】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値0〔%〕の偏差より、出力誤差E=5
0〔%〕、出力誤差累積値Σ=50−50=0〔%〕と
なる。また、極性累積値は、今回の0%の出力によっ
て、前回までの極性累積値100%のままとなる。
【0067】第3番目の半サイクル(周期3)では、入
力電力指令値は変わらず50〔%〕、この電力指令値5
0〔%〕と前回までの出力誤差累積値Σ=0〔%〕の加
算で、補正出力Yが50〔%〕、この補正出力Y=50
〔%〕と閾値S=50〔%〕とのの比較で閾値S以上で
あるので、出力電力指令値が100〔%〕と決定され
る。
【0068】このとき極性フラグは、一方の側であるこ
とを示す1であり、予測極性累積値は、それまでの極性
累積値100に、出力電力指令値100と極性フラグ1
とを掛けた値を加えた値である200となり、極性累積
値の閾値200以下であるので、出力許否判定は、許可
を示す1となり、これによって、決定された100%の
出力電力指令値が出力されることになる。
【0069】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値100〔%〕の偏差より、出力誤差E
=−50〔%〕、同時に出力誤差累積値Σ=−50+0
=−50〔%〕となる。また、極性累積値は、今回の一
方側の極性に対応する100%の出力によって、200
%となる。
【0070】第4番目の半サイクル(周期4)では、入
力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と前回
までの出力誤差累積値Σ=−50〔%〕の加算で、補正
出力Yが0〔%〕、この補正出力Y=0〔%〕と閾値S
=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正出力Yの方が小
さいので、出力電力指令値を0〔%〕と決定する。
【0071】このとき極性フラグは、他方の側であるこ
とを示す−1であり、予測極性累積値は、それまでの極
性累積値200に、出力電力指令値0と極性フラグとを
掛けた値0を加えた値である200となり、極性累積値
の閾値200以下であるので、出力許否判定は、許可を
示す1となり、これによって、0%の出力電力指令値が
出力されることになる。
【0072】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値0〔%〕の偏差より、出力誤差E=5
0〔%〕、出力誤差累積値Σ=50−50=0〔%〕と
なる。また、極性累積値Σは、今回の0%の出力によっ
て、前回までの極性累積値200%のままとなる。
【0073】第5番目の半サイクル(周期5)では、入
力電力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と
前回までの出力誤差累積値Σ0〔%〕の加算で、補正出
力Y=50〔%〕、この補正出力Y=50と閾値S=5
0〔%〕の比較で閾値S以上なので、出力電力指令値が
100〔%〕と決定される。
【0074】このとき極性フラグは、一方の側であるこ
とを示す1であり、予測極性累積値は、それまでの極性
累積値200に、出力電力指令値100と極性フラグ1
とを掛けた値100を加えた値である300となり、極
性累積値の閾値200を上回るので、出力許否判定は、
禁止を示す0となり、これによって、100%の出力電
力指令値の出力が禁止されて0%の出力となる。
【0075】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値0〔%〕の偏差より、出力誤差E=5
0〔%〕、出力誤差累積値Σ=50−0=50〔%〕と
なる。また、極性累積値Σは、今回の0%の出力によっ
て、前回までの極性累積値200%のままとなる。
【0076】第6番目の半サイクル(周期6)では、入
力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と前回
までの出力誤差累積値Σ=50〔%〕の加算で、補正出
力Yが100〔%〕、この補正出力Y=100〔%〕と
閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正出力Yの
方が大きいので、出力電力指令値を100〔%〕と決定
する。
【0077】このとき極性フラグは、他方の側であるこ
とを示す−1であり、予測極性累積値は、それまでの極
性累積値200に、出力電力指令値100と極性フラグ
−1とを掛けた値−100を加えた値である100とな
り、極性累積値の閾値200以下であるので、出力許否
判定は、許可を示す1となり、これによって、他方側の
極性に対応する100%の出力電力指令値が出力される
ことになる。
【0078】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値100〔%〕の偏差より、出力誤差E
=−50〔%〕、出力誤差累積値Σ=−50+50=0
〔%〕となる。また、極性累積値Σは、今回の他方側の
極性に対応する100%の出力によって、前回までの極
性累積値Σ200%に、−100%を加算した値である
100%となる。
【0079】第7番目の半サイクル(周期7)では、入
力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と前回
までの出力誤差累積値Σ=0〔%〕の加算で、補正出力
Yが50〔%〕、この補正出力Y=50〔%〕と閾値S
=50〔%〕の比較で閾値S以上であるので、出力電力
指令値を100〔%〕と決定する。
【0080】このとき極性フラグは、一方の側であるこ
とを示す1であり、予測極性累積値は、それまでの極性
累積値Σ100に、出力電力指令値100と極性フラグ
1とを掛けた値100を加えた値である200となり、
極性累積値の閾値200以下であるので、出力許否判定
は、許可を示す1となり、これによって、100%の出
力電力指令値が出力されることになる。
【0081】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値100〔%〕の偏差より、出力誤差E
=−50〔%〕、出力誤差累積値Σ=−50+0=−5
0〔%〕となる。また、極性累積値Σは、前回までの極
性累積値100%に、今回の一方側の極性に対応する1
00%を加算した値である200%となる。
【0082】第8番目の半サイクル(周期8)では、入
力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と前回
までの出力誤差累積値Σ=−50〔%〕の加算で、補正
出力Yが0〔%〕、この補正出力Y=0〔%〕と閾値S
=50〔%〕の比較で閾値Sより小さいので、出力電力
指令値が0〔%〕と決定される。
【0083】このとき極性フラグは、他方の側であるこ
とを示す−1であり、予測極性累積値は、それまでの極
性累積値200に、出力電力指令値0と極性フラグとを
掛けた値を加えた値である200となり、極性累積値の
閾値200以下であるので、出力許否判定は、許可を示
す1となり、これによって、0%の出力電力指令値が出
力されることになる。
【0084】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値0〔%〕の偏差より、出力誤差E=5
0〔%〕、出力誤差累積値Σ=50−50=0〔%〕と
なる。また、極性累積値Σは、今回の0%の出力によっ
て、前回までの極性累積値200%のままとなる。
【0085】第9番目の半サイクル(周期9)では、入
力電力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕と
前回までの出力誤差累積値Σ=0〔%〕の加算で、補正
出力Yが50〔%〕、この補正出力Y=50〔%〕と閾
値S=50〔%〕の比較で閾値S以上であるので、出力
電力指令値を100〔%〕と決定される。
【0086】このとき極性フラグは、一方の側であるこ
とを示す1であり、予測極性累積値は、それまでの極性
累積値200に、出力電力指令値100と極性フラグ1
とを掛けた値100を加えた値である300となり、極
性累積値の閾値200を上回るので、出力許否判定は、
禁止を示す0となり、これによって、100%の出力電
力指令値の出力が禁止されて0%の出力となる。
【0087】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値0〔%〕の偏差より、出力誤差E=5
0〔%〕、出力誤差累積値Σ=50−0=50〔%〕と
なる。また、極性累積値Σは、今回の0%の出力によっ
て、前回までの極性累積値200%のままとなる。
【0088】第10番目の半サイクル(周期10)で
は、入力指令値Xは50〔%〕、この指令値50〔%〕
と前回までの出力誤差累積値Σ=50〔%〕の加算で、
補正出力Yが100〔%〕、この補正出力Y=100
〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正
出力Yの方が大きいので、出力電力指令値を100
〔%〕と決定する。
【0089】このとき極性フラグは、他方の側であるこ
とを示す−1であり、予測極性累積値は、それまでの極
性累積値200に、出力電力指令値100と極性フラグ
−1とを掛けた値−100を加えた値である100とな
り、極性累積値の閾値200以下であるので、出力許否
判定は、許可を示す1となり、これによって、100%
の出力電力指令値が出力されることになる。
【0090】入力電力指令値X=50〔%〕と出力され
た出力電力指令値100〔%〕の偏差より、出力誤差E
=−50〔%〕、出力誤差累積値Σ=−50+50=0
〔%〕となる。また、極性累積値Σは、今回の他方側へ
の100%の出力によって、前回までの極性累積値20
0%に、−100%を加算した値である100%とな
る。
【0091】この図3の出力波形に示されるように、第
5、第9、第13番目の半サイクルでは、出力電力指令
値が100%に決定されても、その100%の出力電力
指令値の出力を禁止し、次の第6、第10、第14番目
の半周期の他方側の極性のときに、100%の出力電力
指令値を出力することになり、上述の図9のようにヒー
タ4に流れる交流電流の極性が偏ることがない。
【0092】かかる電力制御装置によれば、先に提案し
ているサイクル制御と同様に、半サイクル毎に出力補正
し、電力指令値に応じて100〔%〕出力か、0〔%〕
出力かを選択して出力するものであるから、従来のサイ
クル制御に比し、出力応答が速く、また、従来のサイク
ル制御に比し、ON状態が時間的に分散されるので、制
御対象を長寿命化できる。従来の位相制御に比べて高速
処理が必要ないため、装置が安価に実現できる。ゼロ電
圧スイッチングであるため、電気ノイズが小さいなどの
効果がある。
【0093】しかも、累積された極性累積値に基づい
て、出力電力指令値の出力を許容または禁止するので、
ヒータ4に流れる交流電流の極性が一方側に偏る場合に
は、出力電力指令値の出力を禁止することが可能とな
り、これによって、ヒータ4に流れる交流電流の極性の
偏りに起因するマイグレーションの発生を抑制でき、ヒ
ータ4の短絡を防止できることになる。
【0094】上述の実施の形態では、比較部25におけ
る閾値を一つとし、その閾値との比較結果によって、1
00%また0%の出力電力指令値を出力したけれども、
本発明の他の実施の形態として、複数の閾値を設けると
ともに、それら閾値との比較結果に応じて0%、100
%出力に加えて、それ以外の出力電力指令値を出力する
ようにしてもよい。
【0095】本発明の他の実施の形態として、電力制御
装置200を温度調節器1に内蔵させる構成としてもよ
い。
【0096】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、入力電力
指令値に応じて、例えば、半サイクル毎に出力電力指令
値を補正するので、従来のサイクル制御に比べて、出力
応答が速く、また、ON状態が時間的に分散されるの
で、制御対象を長寿命化できる。特に、後段のSSR等
に出力する出力電力指令値を用いて、次のサイクルのた
めの出力誤差の演算処理およびそれに基づく出力誤差の
累積処理を行うことができるので、例えば、出力された
出力電力指令値によって、後段のSSR等の点弧をフィ
ードバックして出力電力指令値を決定するための処理を
行うといった構成に比べて、SSR等の点弧を待つ必要
がなく、より簡便な構成が可能となる。
【0097】さらに、本発明によれば、累積された極性
累積値に基づいて、出力電力指令値の出力を許容または
禁止するので、負荷に流れる交流電流の極性が一方側に
偏る場合には、出力電力指令値の出力を禁止することが
可能となり、これによって、負荷に流れる交流電流の極
性の偏りに起因するマイグレーションの発生を抑制でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度制御シス
テムの概略構成図である。
【図2】図1の実施の形態の動作説明に供するフローチ
ャートである。
【図3】図1の実施の形態の半サイクル毎の動作を説明
するための各部のレベルの一例を示す図である。
【図4】従来の温度制御システムの構成を示す概略構成
図である。
【図5】従来のサイクル制御を説明するための図であ
る。
【図6】先に提案したサイクル制御を説明するための概
略構成図である。
【図7】先に提案したサイクル制御の動作説明に供する
フローチャートである。
【図8】先に提案したサイクル制御の半サイクル毎の動
作を説明するための各部のレベルの一例を示す図であ
る。
【図9】入力電力指令値が50%の場合の図8に対応す
る図である。
【図10】ヒータを用いた半導体ウェハの熱処理盤を示
す図である。
【符号の説明】
1 温度調節器 200 電力制御装置 3 ゼロクロス機能付SSR 4 ヒータ 5 温度センサ 21 サンプル・ホールド部 22 出力誤差演算部 23 出力誤差累積部 24 加算部 25 比較部 26 極性累積部 27 出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 雄士 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 (72)発明者 八木 寛 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 Fターム(参考) 5H420 BB02 BB17 CC04 DD03 EA05 EB03 EB05 EB18 EB22 EB26 FF11 FF14 FF26 5H740 AA00 BA01 BB01 BC05 JA28 MM08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力電力指令値に応じて、交流電流をス
    イッチング制御するための出力電力指令値を出力する電
    力制御方法であって、 半サイクル以上の所定サイクル毎に、 前記入力電力指令値とそれまでに累積された出力誤差累
    積値とを加算する加算ステップと、 加算ステップで加算された加算値と基準値とを比較して
    その比較結果に応じて出力電力指令値を決定する決定ス
    テップと、 それまでに累積された極性累積値に基づいて、決定され
    た出力電力指令値の出力を許容または禁止する出力ステ
    ップと、 出力ステップで出力される出力電力指令値と前記入力電
    力指令値との出力誤差値を演算する演算ステップと、 演算ステップで演算した出力誤差値を、それまでに累積
    された前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積ステ
    ップと、 出力ステップで出力される出力電力指令値に対応する交
    流電流の極性を判定して前記極性累積値に累積する極性
    累積ステップと、 を行うことを特徴とする電力制御方法。
  2. 【請求項2】 前記決定ステップでは、前記比較結果に
    応じて100%の出力電力指令値または0%の出力電力
    指令値に決定し、 前記出力ステップでは、決定された100%の出力電力
    指令値を出力すると、 その出力に対応して累積される前記極性累積値が、所定
    値を越えると予測されるときに、前記100%の出力電
    力指令値の出力を禁止し、 前記極性累積ステップでは、前記出力ステップで100
    %の出力電力指令値を出力したときに、その出力電力指
    令値に対応する交流電流の極性を判定してそれまでに累
    積された前記極性累積値に累積する請求項1記載の電力
    制御方法。
  3. 【請求項3】 入力電力指令値に応じて、交流電流のス
    イッチング制御を行うための出力電力指令値を出力する
    電力制御装置であって、 半サイクル以上の所定サイクル毎に、前記入力電力指令
    値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算する
    加算手段と、 前記所定サイクル毎に、前記加算手段からの加算値と基
    準値とを比較してその比較結果に応じて出力電力指令値
    を決定する比較手段と、 前記所定サイクル毎に、それまでに累積された極性累積
    値に基づいて、比較手段で決定された出力電力指令値の
    出力を許容または禁止する出力手段と、 前記所定サイクル毎に、前記出力手段から出力される出
    力電力指令値と前記入力電力指令値との出力誤差値を演
    算する演算手段と、 前記所定サイクル毎に、前記演算手段から出力誤差値
    を、それまでに累積された前記出力誤差累積値に累積す
    る出力誤差累積手段と、 前記所定サイクル毎に、前記出力手段から出力される出
    力電力指令値に対応する交流電流の極性を判定して前記
    極性累積値に累積する極性累積手段と、 を備えることを特徴とする電力制御装置。
  4. 【請求項4】 前記比較手段は、前記比較結果に応じて
    100%の出力電力指令値または0%の出力電力指令値
    に決定し、 前記出力手段は、決定された100%の出力電力指令値
    を出力すると、その出力に対応して累積される前記極性
    累積値が、所定値を越えると予測されるときに、前記1
    00%の出力電力指令値の出力を禁止し、 前記極性累積手段は、前記出力手段から100%の出力
    電力指令値を出力したときに、その出力電力指令値に対
    応する交流電流の極性を判定してそれまでに累積された
    前記極性累積値に累積する請求項3記載の電力制御装
    置。
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