JP2002322574A - 金属被覆線、樹脂被覆線、金属製品への金属被覆方法 - Google Patents
金属被覆線、樹脂被覆線、金属製品への金属被覆方法Info
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Abstract
する。 【解決手段】金属線2に溶融めっきを施してめっき層3
を形成し、めっき層3が硬化する前にこのめっき層3に
金属粒子4を吹き付けて付着させることによって、めっ
き層3と金属粒子4とからなる厚い金属被覆層5を形成
する。
Description
覆線、金属製品の被覆方法に関する。
高めるために、その表面にめっき処理を施して、あるい
はさらに液体塗料又は粉体塗料による塗装を施して種々
の用途に供されている。例えば、特公平6−49173
号公報には、鋼線に亜鉛めっき処理を施した後、そのめ
っき表面が冷却する前(表面温度が350〜400℃の
時)に飽和ポリエステル粉末と接触させることにより、
めっき処理時の余熱で当該飽和ポリエステル粉末を亜鉛
めっき面に焼き付けて樹脂被覆層を形成し、しかる後、
速やかに冷却する方法が記載されている。また、同公報
には、そのような方法が鋼線以外の他の金属製品にも適
用し得ること、並びに金属製品に亜鉛めっき処理を施し
た場合、金属製品とめっき層との境界にもろい金属層
(合金層)が形成されることが記載されている。
ん酸塩皮膜を形成することにより、塗膜その他の樹脂被
覆層の密着性を高めること、さらには金属線の表面に機
械的又は化学的に梨地処理を施して樹脂被覆層の密着性
を高めることも一般に行なわれている。
等の金属線に亜鉛めっき処理を施すとその耐食性が向上
するのは、それが腐食性雰囲気に置かれたときに、電気
的に卑な金属である亜鉛が陽極となって溶け、鉄に電子
を与えてこれを保護するためである。従って、めっき層
が厚いほど耐食性は高くなる。溶融めっき処理によって
厚いめっき層を形成するには金属線の送り速度(以下、
線速という。)を高くすればよい。
らその上方のターンローラに至るまでに金属線のめっき
層を充分に冷却硬化させることができず、ターンローラ
を捲回するときにめっき層に傷が付くという問題があ
り、線速を高めることはめっき設備の点から難しい。ま
た、線速を高めることができたとしても、線速が高くな
るほど金属線に対するめっき用金属の付着量が不安定に
なり、すなわち、金属付着量が不均一になり、得られる
めっき線の外観が悪くなる。
その他の樹脂被覆層を形成すると、耐食性が高まるだけ
でなく、所望の色にすることが可能になるが、めっき層
と樹脂被覆層とは強固に密着させる必要がある。また、
樹脂被覆線はその表面が平滑であるのが通常であり、高
い摩擦係数が要求される用途には向かず、また、異物に
よって樹脂被覆層が傷付きやすいのが通常である。
属製品の表面に層厚な金属被覆層を形成できるようにす
ることにある。
工性が良好な金属被覆線を得ることにある。
性の高い樹脂被覆層を形成することにある。
脂被覆線を得ることにある。
課題に対して、金属線その他の金属製品の表面に金属被
覆層を形成するにあたり、溶融めっきと金属粉末の吹付
けとを併用すれば、あるいは樹脂被覆と金属その他の粒
子の吹付けとを併用すれば、その解決を図ることができ
ることを見出し、以下の各発明を完成したものである。
属被覆層が形成されている金属被覆線であって、上記金
属被覆層は、上記金属線の表面に形成された溶融めっき
によるめっき層と、このめっき層に付着した多数の金属
粒子とによって形成されていることを特徴とする。
き層に多数の金属粒子を付着させているから、めっき層
だけで金属被覆層を形成する場合に比べて、金属粒子が
加わる分、金属被覆層を厚くすること、換言すれば金属
被覆層のボリュームを大きくすることが容易になる。本
発明において特に重要な点は、層厚な金属被覆層を形成
するために、めっき層自体を厚くする必要がないという
ことである。従って、溶融めっき処理において線速を過
度に高める必要がなく、それにも拘わらず、金属線全体
にわたって均質で且つ層厚な金属被覆層を形成すること
ができる。
形成することができるから、この金属被覆層を金属線よ
りも卑な金属で構成すれば、高い耐食性が得られること
になる。また、本発明によって得られる金属被覆線は金
属粒子によって表面に多数の微小凹凸が形成されている
から、物と接触したときの摩擦係数が大きくなり、大き
な摩擦抵抗が得られる、つまり、滑り止め効果が得られ
る。また、表面の金属粒子が金属線を異物との接触から
保護し、該異物との接触による摩耗・損傷を防ぐことに
なる。
ら、比較的厚いめっき層を形成する上で有利になる。ま
た、めっき層が硬化する前に金属粒子を吹き付けること
により、該めっき層に金属粒子を簡単に付着させること
ができる。
対する付着量ないしは付着密度をコントロールすること
により、めっき層の厚さを大きく変更することなく、金
属被覆層全体の厚さないしはボリュームを簡単に変える
ことができ、また、表面粗度ないしは摩擦係数を簡単に
変えることができる。
腐食し易い金属線に適用した場合にその耐食性を高める
ことができるという格別な効果が得られるが、金属線の
種類を特に限定する必要はなく、アルミニウム、銅、そ
の他の金属線を採用することもできる。
あっても、合金であってもよく、例えば亜鉛、アルミニ
ウム、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−アルミニウム−
マグネシウム合金等がある。
ずれでもよく、例えば亜鉛、アルミニウム、亜鉛−アル
ミニウム合金、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金
等を採用することができる。金属粒子は、溶融めっき用
の金属と同種の金属であっても異種の金属であってもよ
い。
類及び金属粒子の種類を特に限定するものでないこと
は、特に断らない限り、以下に述べる他の発明も同じで
ある。
金属被覆線において、上記金属粒子は、上記めっき層よ
りも防錆力が高い金属材料によって形成されていること
を特徴とする。
形成した場合、金属線とめっき層との境界に化合物が形
成されるが、その化合物がもろい性質を有すると、得ら
れるめっき線の曲げ加工性が低下する。従って、上記境
界に生ずる化合物がもろいものにならない、加工性が高
いめっき用金属を選ぶ必要がある。しかし、一般にはそ
のような加工性の高いめっき用金属は金属線の防錆効果
が低い。
き層よりも防錆力が高い金属材料を採用したものであ
る。従って、めっき用金属として加工性の高いものを採
用すれば、当該めっき層による防錆効果が低くなって
も、金属粒子によって高い防錆力を得ることができるか
ら、加工性と耐食性との両立が図れることになる。
場合は、金属粒子としてZn−Al合金又はZn−Al
−Mg合金を採用し、めっき用金属としてZn−Al合
金を用いる場合は、金属粒子としてZn−Al−Mg合
金を採用すればよい。
属被覆層が形成され、該金属被覆層の表面が樹脂被覆層
によって覆われている樹脂被覆線であって、上記金属被
覆層は、上記金属線の表面に形成された溶融めっきによ
るめっき層と、このめっき層に付着した多数の金属粒子
とによって形成されていることを特徴とする。
る発明と同様に層厚な金属被覆層を形成することができ
る一方、金属被覆層表面の微小凹凸がアンカー効果を生
んで該金属被覆層に対する樹脂被覆層の密着性が高くな
る。
樹脂被覆線において、さらに、上記樹脂被覆層に多数の
金属粒子又は無機質粒子が付着していることを特徴とす
る。
樹脂被覆層表面に微小凹凸が形成されるから、物と接触
したときの摩擦係数が大きくなり、大きな摩擦抵抗が得
られる、つまり、滑り止め効果が得られる。また、表面
の粒子が樹脂被覆層を異物との接触から保護し、該異物
との接触による摩耗・損傷を防ぐことができる。
の無機酸化物粒子、ガラス粒子、その他のセラミックス
粒子を採用することができ、あるいは砂を採用すること
ができる。
溶融めっき処理を施すことによってめっき層を形成する
工程と、上記めっき層が硬化する前に該めっき層に金属
粒子を吹き付けて付着させる工程とを備えていることを
特徴とする金属製品の金属被覆方法である。
き層が実質的に溶融した状態にあること又は半溶融状態
にあるこを意味する。この点は請求項6〜9の各発明も
同じである。
融状態又は半溶融状態にあるめっき層にめり込んで付着
することになり、当該付着のために新たにめっき層や金
属粒子を加熱溶融させたり、接着剤を用いたりすること
なく、層厚な金属被覆層を形成することができる。特
に、金属粒子はめっき層に溶着することになるから、高
い結合力が得られる。めっき層と金属粒子とが異なる金
属材料によるものであれば、両者の合金層が形成される
ことになる。金属粒子としては常温のものであってもよ
いが、これを予熱すると、めっき層との間で合金化し易
くなる。
板等の押出し成形品、鋳物、プレス成形品等であっても
よい。
金属製品への金属被覆方法において、上記金属製品は金
属線であり、上記硬化前のめっき層の余熱によって上記
金属粒子の一部分を溶融させることを特徴とする。
凸が形成された層厚な金属被覆層を有する金属線が得ら
れる。
金属製品への金属被覆方法において、上記金属製品は金
属線であり、上記硬化前のめっき層の余熱によって上記
金属粒子全体を溶融させることを特徴とする。
な凹凸がない層厚な金属被覆層を有する金属線が得られ
る。
金属製品への金属被覆方法において、上記めっき層に吹
き付ける金属粒子の粒径が75μm以下であることを特
徴とする。
な凹凸がない、例えば、中心線平均粗さRa=3〜6程
度の層厚な金属被覆層を有する金属線が得られる。金属
粒子の粒径は64μm以下が好ましく、さらに好ましい
のは45μm以下である。
融めっき処理を施すことによってめっき層を形成する工
程と、上記めっき層が硬化する前に該めっき層に多数の
金属粒子を吹き付けて付着させる工程と、上記多数の金
属粒子が付着しためっき層を樹脂で被覆する工程と、上
記樹脂被覆層が硬化する前に又は上記樹脂被覆層を軟化
させて、該樹脂被覆層に多数の金属粒子又は無機質粒子
を吹き付けて付着させる工程とを備えていることを特徴
とする金属線への被覆方法である。
脂に粘りがある状態ないしはべとつく状態を意味する。
また、上記「樹脂被覆層を軟化させて」とは、粘りない
しはべとつきが一旦なくなった若しくは弱くなった樹脂
を、例えば加熱することにより、粘りがある状態ないし
はべとつく状態にすることを意味する。
融状態又は半溶融状態にあるめっき層にめり込んで付着
することになり、当該付着のために新たにめっき層や金
属粒子を加熱溶融させたり、接着剤を用いたりすること
なく、層厚な金属被覆層を形成することができる。特
に、金属粒子はめっき層に溶着することになるから、高
い結合力が得られる。めっき層と金属粒子とが異なる金
属材料によるものであれば、両者の合金層が形成される
ことになる。金属粒子としては常温のものであってもよ
いが、これを予熱すると、めっき層との間で合金化し易
くなる。
しはべとつきのある樹脂被覆層にめり込んで付着するこ
とになる。よって、請求項4に係る樹脂被覆線を比較的
簡単に得ることができる。
ば、金属線表面の金属被覆層を、溶融めっきによるめっ
き層と、このめっき層に付着した多数の金属粒子とによ
って形成するようにしたから、めっき時の線速を高める
ことなく、金属線全体にわたって均質で且つ層厚な金属
被覆層を形成することができ、耐食性を高める上で有利
になり、また、表面の微小凹凸により、金属被覆線の摩
擦抵抗を高めることができ、さらに金属線を摩耗・損傷
から保護する上でも有利になる。また、金属粒子の粒径
ないしは付着量のコントロールによって金属被覆層の厚
さや摩擦抵抗の大きさを調節することができる。
子として、上記めっき層よりも防錆力が高い金属材料を
採用したから、加工性と耐食性との両立を図る上で有利
になる。
の金属被覆層を、溶融めっきによるめっき層と、このめ
っき層に付着した多数の金属粒子とによって形成して、
この金属被覆層の表面を樹脂被覆層によって覆うように
したから、層厚な金属被覆層を形成することができ耐食
性を高める上で有利になるとともに、該金属被覆層に対
する樹脂被覆層の密着性を高めることができる。
記樹脂被覆層に多数の金属粒子又は無機質粒子が付着し
ているから、大きな摩擦抵抗が得られ、滑り止め効果を
得る上で有利になるとともに、樹脂被覆層が異物との接
触によって摩耗・損傷することを防ぐことができる。
表面に溶融めっき処理を施すことによってめっき層を形
成し、該めっき層が硬化する前に該めっき層に金属粒子
を吹き付けて付着させるようにしたから、めっき層や金
属粒子を新たに加熱溶融させたり、接着剤を用いたりす
ることなく、金属粒子をめっき層に溶着させて層厚な金
属被覆層を形成することができ、生産性の向上が図れ
る。
記載の金属製品への金属被覆方法において、上記金属製
品として金属線を採用し、硬化前のめっき層の余熱によ
って金属粒子の一部分を溶融させるようにしたから、表
面に微小凹凸が形成された層厚な金属被覆層を有する金
属線を得ることができる。
記載の金属製品への金属被覆方法において、上記金属製
品として金属線を採用し、硬化前のめっき層の余熱によ
って金属粒子全体を溶融させるようにしたから、表面に
実質的な凹凸がない層厚な金属被覆層を有する金属線を
得ることができる。
記載の金属製品への金属被覆方法において、上記めっき
層に吹き付ける金属粒子として粒径が75μm以下のも
のを採用したから、表面に実質的な凹凸がない層厚な金
属被覆層を形成する上で有利になる。
面に溶融めっき処理を施すことによってめっき層を形成
し、該めっき層が硬化する前に該めっき層に多数の金属
粒子を吹き付けて付着させ、さらに樹脂被覆処理を施し
た後、当該樹脂被覆層が硬化する前に又は該樹脂被覆層
を軟化させて、該樹脂被覆層に多数の金属粒子又は無機
質粒子を吹き付けて付着させるようにしたから、樹脂被
覆層に接着剤を用いることなく多数の金属粒子又は無機
質粒子を付着させることができ、請求項4に係る樹脂被
覆線を比較的簡単に得ることができる。
に基づいて説明する。
被覆線1が示されている。この金属被覆線1において、
2は金属線であり、その表面に金属被覆層5が形成され
ている。この金属被覆層5は、溶融めっきによって金属
線2の表面に形成されためっき層3と、該めっき層3の
表面全体にわたって略均等に分散して付着した多数の金
属粒子4とによって形成されている。各金属粒子4はそ
の一部がめっき層3に埋まることによって該めっき層3
に溶着している。従って、当該金属被覆線1には、上記
金属粒子4によって表面全体にわたって微小凹凸が形成
されている。
層3の厚さは5〜200μm程度、好ましくは10〜1
00μm程度、金属粒子4の平均粒径は5〜500μm
程度、好ましくは10〜300μm程度、めっき層3と
金属粒子4とを合わせた付着量は例えば50〜1000
g/m2 程度とすることができ、当該金属被覆線1の表
面において金属粒子4の占める面積の割合は例えば5〜
100%とすることができる。
同図において、15は金属線コイルであって、酸洗後、
伸線機にかけて所定の線径にしてなる金属線2がコイル
状に巻かれている。16は金属線2の焼鈍炉、17は酸
洗槽、18は溶融亜鉛メッキ浴、19は粒子ブースであ
る。この粒子ブース19はメッキ浴18の直上に配置さ
れていて、その内部に粒子吹付けノズル20が設けられ
ている。
焼鈍炉16による焼鈍、酸洗槽17での酸洗を経てめっ
き浴18に浸漬されて引き上げられる。金属線2は表面
のめっき層3が硬化する前の溶融状態にあるときに金属
粉末ブース19に送られる。この金属粉末ブース19で
は金属粉ノズル20から金属線2に向かって金属粒子4
が吹き付けられる。これにより、金属線2に当たった金
属粒子4は溶融状態にあるめっき層3にめり込んで溶着
する。しかる後、金属線2はめっき層3が固化するよう
に水の噴霧による冷却、並びに冷却水槽による冷却を経
てコイルに巻き取られる。
設備の要部を示す。同図において、21はめっき浴18
の中に設けられたターンローラである。金属線2はこの
ターンローラ21に巻き掛けられて立ち上げられる。2
2はめっき付着量を調節する筒状の絞りであって、その
下端がめっき浴18に差し込まれている。
20には金属粉末を貯留するホッパ23がバルブ24を
介して接続されている。金属粉ノズル20にはコンプレ
ッサから加圧エアが送られ、バルブ24で調節された量
の金属粉末、すなわち、金属粒子4が加圧エアによって
金属線2の溶融状態にあるめっき層3に吹き付けられ
る。金属粉ノズル20の上方に冷却水を金属線2のめっ
き層3に吹き付けるための冷却水ノズル25が配置され
ている。上記金属粉ノズル20及び冷却水ノズル25は
金属線2の通過経路の周囲に等間隔をおいてそれぞれ複
数個配設されている。
らず、例えば硬鋼線を用いることができ、あるいはアル
ミニウム、銅その他の金属線を採用することができる。
また、金属線2としては、図4(a)に示すような表面
に多数のリブ2aを有するリブ線2,図4(b)に示す
ような表面に多数のインデント2bを有するインデント
線2、図4(c)に示すような表面に突起2cを有する
異形棒鋼2等のように、表面に凹凸を有するものであっ
てもよい。
備により金属被覆処理を行なった。軟鋼線の直径は4m
m、めっき用金属は表1に記載のZn−Al−Mg合
金、金属粉末は表1の記載の組成及び粒度分布のZn粉
末である。軟鋼線の線速は10m/min.及び20m
/min.の2種類、めっき浴温度は450℃、冷却水
ノズル及び水槽の冷却水温度は20℃とした。
に示す。金属粒子4は一部分が溶融してめっき層3に付
着しており、両者が合金化することによってZn濃度の
高い合金層7が両者の境界部分に形成されている。ま
た、金属線2とめっき層3との境界には厚さ10〜15
μm程度の薄い合金層6が形成されている。当該金属被
覆線は、金属粒子4がめっき層3の表面から突出するこ
とによって表面に凹凸が形成されているから、摩擦係数
が高いものになり、しかも、個々の金属粒子4が異形で
ある(球形でなく角がある)から、さらに摩擦係数が高
いものになる。
被覆線の外観、軟鋼線に対する金属付着量、加工性(巻
付試験)を調べ、比較例1-1,1-2と比較した。比較例1-
1,1-2は金属粉末の吹付けを行なわないことを除いて実
施例と同じ条件で溶融めっき処理を施したものである。
結果は表2に示されている。なお、実施例1-1,1-2の金
属付着量はめっき付着量と金属粒子付着量とを合わせた
ものである。
き線は表面が平滑であったが、実施例1-1,1-2の金属被
覆線では表面全体にわたって金属粒子による多数の凹凸
が略均等に形成されていた。金属付着量は、線速10m
/minでは実施例の方が35g/m2 、線速20m/
minでは55g/m2 多い。この差が金属粒子の付着
量に相当する。また、巻付試験は直径4mmの丸棒に金
属被覆線を巻き付けてめっき層の剥離、亀裂の有無をみ
るというものであるが、実施例及び比較例のいずれもめ
っき層の剥離や亀裂は見られず、試験結果は良好であっ
た。
着量を増大させることができること、そして、金属粉末
を吹き付けても、得られる金属被覆線の加工性は従来の
めっきのみを施したものと変わらないことがわかる。
金を用い、軟鋼線の線速を10m/min.、20m/
min.及び30m/min.の3種類とする他は実施
例1と同じ条件・方法によって実施例2-1〜2-3及び比較
例2-1〜2-3の各金属被覆線を製造し、比較した。また、
実施例2-1〜2-3の金属被覆線については、ひし形金網を
製造する際の加工性についても調べた。結果を表3及び
図6に示す。
いては実施例1と同様の結果となった。また、実施例2-
1〜2-3の金属被覆線の金網加工性についても良好であり
問題はなかった。金属付着量は、いずれの線速の場合も
実施例の方が約100g/m 2 多いという結果になっ
た。この付着量差が金属粒子の付着量に相当する。
min.、27.5m/min.及び35m/min.
の3種類とする他は実施例1と同じ条件・方法によって
実施例3-1〜3-3及び比較例3-1〜3-3の各金属被覆線を製
造し、比較した。また、実施例3-1〜3-3の金属被覆線に
ついては、ひし形金網を製造する際の加工性についても
調べた。結果を表4及び図7に示す。
いては実施例1と同様の結果となった。また、実施例3-
1〜3-3の金属被覆線の金網加工性についても良好であり
問題はなかった。金属付着量は、線速20m/min.
では実施例の方が65g/m 2 、線速27.5m/mi
n.では45g/m2 、35m/min.では35g/
m2 多いという結果になった。この付着量差が金属粒子
の付着量に相当する。
n粉末(以下、A粉末という。)と、次の表5に示す粒
度分布のZn粉末(以下、B粉末という。)との2種類
を準備し、金属粉末の粒度が表面性状や加工性に及ぼす
影響を調べた。すなわち、めっき用金属としてAl含有
量10%のZn−Al合金を用い、軟鋼線の直径を5m
mとし、線速を10m/min.及び20m/min.
の2種類として、A粉末のみを使用した場合、B粉末の
みを使用した場合、A粉末とB粉末とを1:1の質量比
率で混合した場合、並びに金属粉末の吹付けを行なわな
い場合の各々について、実施例1と同様にして金属被覆
線を製造した。但し、絞りに関しては、めっき付着量が
多くなるように調整した。結果を表6に示す。
試験及び金網加工性)は良好であった。線速10m/m
in.において、A粉末を用いた実施例4-3 では表面に
凹凸が認められたが、粒径の小さなB粉末を用いた実施
例4-1 では表面の凹凸が極めて小さいものになった。A
粉末とB粉末とを混合した実施例4-2 では表面に凹凸が
認められた。線速20m/min.では、A粉末とB粉
末とを混合した実施例4-4でも実施例4-1と同様に表面の
凹凸は極めて小さいものであった。実施例4-4の表面凹
凸が極めて小さくなったのは、線速が高く、金属粉末の
吹付け量が少なくなったためと考えられる。
を示す横断面の走査型電子顕微鏡写真、図9は図8の走
査型電子顕微鏡写真を図10〜図12の元素分布写真に
対応するように加工した参考顕微鏡写真、図10〜図1
2はエネルギー分散型X線分析装置によるFe、Zn及
びAlの各元素の分布を示す写真である。図8に記載し
たように、Fe地の上にAlリッチのFe−Al−Zn
合金層が形成され、その上にAl量の少ないAl−Zn
層が形成され、その上に粒子が溶着している。
粒はAlリッチの初晶粒である。溶着粒子中にも同様の
初晶粒が認められるが、これは、該溶着粒子内にめっき
金属であるAl−Zn合金のAlが移動していることを
意味する。図12のAl元素の分布を示す写真からも溶
着粒子内にAl元素が存在することが認められる。この
ことから、めっき層に吹き付けられたZn粒子は、硬化
前のめっき層の余熱によって粒子全体が一旦溶融してい
ることがわかる。
にめりこみ、且つ粒子全体が溶融することによって扁平
に広がっており、このため、表面の凹凸が極めて小さな
ものになっている。
織を示す横断面の走査型電子顕微鏡写真、図14は図1
3の走査型電子顕微鏡写真を図15〜図17の元素分布
写真に対応するように加工した参考顕微鏡写真、図15
〜図17はエネルギー分散型X線分析装置によるFe、
Zn及びAlの各元素の分布を示す写真である。図13
に記載したように、Fe地の上にAlリッチのFe−A
l−Zn合金層が形成され、その上にAl量の少ないA
l−Zn層が形成され、その上にZn粒子が付いてい
る。Zn粒子内には図17から明らかなようにAl元素
は存在しない。従って、Zn粒子は硬化前のめっき層の
余熱によってその一部分が溶融して該めっき層に付着し
ているということができる。このため、Zn粒子はAl
−Zn層より大きく盛り上がっている。
子とAl−Zn層との境界が明瞭に表れているが、これ
は、Zn粒子のAl−Zn層に溶着した部位ではなく、
該Zn粒子が溶着部位より外側へ張り出してAl−Zn
層に被さった部位で観察したためと考えられる。
の表面粗さを触針式の測定器で測定した結果を示す。粒
径の大きな粉末Aを用いた実施例4-3 では表面の凹凸が
大きいが、実施例4-1 では表面の凹凸が極めて小さくな
っている。
表面粗さが変わることがわかる。また、200メッシュ
以上の金属粉末を用いると、すなわち、粒径75μm以
下の金属粉末を用いると、10m/min.程度の低い
線速でも表面が平滑でしかも層厚な金属被覆層が得られ
ることがわかる。
れており、樹脂被覆線30に関する。すなわち、この樹
脂被覆線30は、金属線2の表面に金属被覆層5が形成
され、該金属被覆層5が樹脂被覆層31によって覆われ
たものである。金属被覆層5は、溶融めっきによって金
属線2の表面に形成されためっき層3と、該めっき層3
の表面全体にわたって略均等に分散して付着した多数の
金属粒子4とによって形成されている。各金属粒子4は
その一部がめっき層3に埋まることによって該めっき層
3に付着している。従って、当該金属被覆層5の表面に
は全体にわたって上記金属粒子4による微小凹凸が形成
されている。樹脂被覆層31は、金属被覆層5が形成さ
れた金属線に粉体塗装を施すことによって形成されてい
る。
層3の厚さは5〜200μm程度、好ましくは10〜1
00μm程度、金属粒子4の平均粒径は5〜500μm
程度、好ましくは10〜300μm程度、めっき層3と
金属粒子4とを合わせた付着量は例えば50〜1000
g/m2 程度、樹脂被覆層31の厚さは50〜1000
μm程度とすることができ、金属被覆層5の表面におい
て金属粒子4の占める面積の割合は例えば5〜100%
とすることができる。
層が厚くなることを避けながら、金属被覆層5を厚くし
て耐食性を高めることができるとともに、この金属被覆
層5の表面の微小凹凸がアンカー効果を生んで該金属被
覆層5に対する樹脂被覆層31の密着性が高くなる。
れており、樹脂被覆線35に関する。すなわち、この樹
脂被覆線35は、樹脂被覆層31に多数の金属粒子(又
は無機質粒子)36が樹脂被覆層31の表面全体にわた
って略均等に分散して付着している点に特徴があり、他
は実施形態2と同じである。
程度、好ましくは10〜300μm程度、当該樹脂被覆
層31の表面において金属粒子36の占める面積の割合
は例えば5〜100%とすることができる。
得ることができる。
って金属被覆線を形成した後、この金属被覆線を200
℃前後の温度に加熱して、熱可塑性樹脂による粉体塗料
を流動せしめた槽内に通しその粉体を金属被覆線の表面
に溶融付着させる。これにより、樹脂被覆層31が形成
される。粉体塗料の流動槽を出た金属被覆線の冷却硬化
する前のべとつきを有する樹脂被覆層31に金属粒子3
6を実施形態1で説明した方法によって吹き付けて付着
させる。なお、上記べとつきを維持するために当該吹付
け前に、樹脂被覆層31を加熱するようにしてもよい。
しかる後、樹脂被覆層31を冷却硬化させる。
つきのある樹脂被覆層31にめり込んで付着することに
なる。金属粒子36によって樹脂被覆層31表面に微小
凹凸が形成されるから、物と接触したときの摩擦係数が
大きくなり、大きな摩擦抵抗が得られる、つまり、滑り
止め効果が得られる。また、金属粒子36は樹脂被覆層
31を異物との接触から保護し、該樹脂被覆層31の摩
耗・損傷を防ぐことができる。
粒子によって表面に凹凸を形成した金属被覆線は、摩擦
係数を高くする必要がない用途においては、この金属被
覆線をダイスに通して表面の凹凸をなくす、すなわち、
表面平滑処理を施すようにしてもよい。そのような平滑
処理としては、加熱溶融方法を採用してもよい。
面にして示す斜視図。
図。
例とについて線速と金属付着量との関係を示すグラフ
図。
例とについて線速と金属付着量との関係を示すグラフ
図。
型電子顕微鏡写真。
の元素分布写真に対応するように加工した参考顕微鏡写
真、
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
査型電子顕微鏡写真。
17の元素分布写真に対応するように加工した参考顕微
鏡写真、
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
示すエネルギー分散型X線分析装置による写真。
針式の測定器で測定した結果を示す図。
図。
部の断面図。
Claims (9)
- 【請求項1】 金属線の表面に金属被覆層が形成されて
いる金属被覆線であって、 上記金属被覆層は、上記金属線の表面に形成された溶融
めっきによるめっき層と、このめっき層に付着した多数
の金属粒子とによって形成されていることを特徴とする
金属被覆線。 - 【請求項2】 請求項1に記載の金属被覆線において、 上記金属粒子は、上記めっき層よりも防錆力が高い金属
材料によって形成されていることを特徴とする金属被覆
線。 - 【請求項3】 金属線の表面に金属被覆層が形成され、
該金属被覆層の表面が樹脂被覆層によって覆われている
樹脂被覆線であって、 上記金属被覆層は、上記金属線の表面に形成された溶融
めっきによるめっき層と、このめっき層に付着した多数
の金属粒子とによって形成されていることを特徴とする
樹脂被覆線。 - 【請求項4】 請求項3に記載の樹脂被覆線において、 さらに、上記樹脂被覆層に多数の金属粒子又は無機質粒
子が付着していることを特徴とする樹脂被覆線。 - 【請求項5】 金属製品の表面に溶融めっき処理を施す
ことによってめっき層を形成する工程と、 上記めっき層が硬化する前に該めっき層に多数の金属粒
子を吹き付けて付着させる工程とを備えていることを特
徴とする金属製品への金属被覆方法。 - 【請求項6】 請求項5に記載の金属製品への金属被覆
方法において、 上記金属製品は金属線であり、 上記硬化前のめっき層の余熱によって上記金属粒子の一
部分を溶融させることを特徴とする金属製品への金属被
覆方法。 - 【請求項7】 請求項5に記載の金属製品への金属被覆
方法において、 上記金属製品は金属線であり、 上記硬化前のめっき層の余熱によって上記金属粒子全体
を溶融させることを特徴とする金属製品への金属被覆方
法。 - 【請求項8】 請求項7に記載の金属製品への金属被覆
方法において、 上記めっき層に吹き付ける金属粒子の粒径が75μm以
下であることを特徴とする金属製品への金属被覆方法。 - 【請求項9】 金属線の表面に溶融めっき処理を施すこ
とによってめっき層を形成する工程と、 上記めっき層が硬化する前に該めっき層に多数の金属粒
子を吹き付けて付着させる工程と、 上記多数の金属粒子が付着しためっき層を樹脂で被覆す
る工程と、 上記樹脂被覆層が硬化する前に又は上記樹脂被覆層を軟
化させて、該樹脂被覆層に多数の金属粒子又は無機質粒
子を吹き付けて付着させる工程とを備えていることを特
徴とする金属線への被覆方法。
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-
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