JP4725023B2 - 溶融めっき合金化処理鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融めっき鋼板の製造設備に関し、特に、(1)多品種少量生産を効率的に行うこと、(2)多種多様の合金めっきを製造できること、ができる溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備及び製造方法に関するものである。
溶融めっき鋼板は、品種の多様化と共に量的拡大を示している鉄鋼製品の一つである。その背景には、(1)省資源・省エネルギーなどの社会的要請、(2)需要業界の技術革新・先端分野の発展、(3)生活水準の向上とライフスタイルの変化が起こり、消費者ニーズの多様化・高級化・多機能化したため、溶融めっき鋼板の適用範囲が拡大するという変化があったことがあげられる。
溶融亜鉛めっき鋼板はZnの持つ優れた犠牲防食性のゆえに、鉄鋼の最も安価で確実な防錆法として古くから用いられてきた。建築土木用をはじめ、家電や自動車などの用途に広く大量に使用されている。また、溶融アルミニウムめっき鋼板は耐熱性と耐食性を生かして、自動車排気系部品や熱器具などに使用されている。一方、様々な特性向上を目的に多くの合金めっき鋼板が開発されてきた。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融めっきした亜鉛と鋼中の鉄を加熱することにより拡散合金化させ、めっき皮膜をFe−Zn合金としたもので、塗装耐食性や溶接性に優れることから、家電や自動車等において大量に使用されている。
溶融Zn−Al合金めっき鋼板はZnとAlの特長を同時に生かし、鉄鋼材料の耐食性向上と製品コストの低下を図る目的で開発された。5%Al系と55%Al系のが多く製造されている。5%Al系は耐食性を生かしてZnめっきの高級材として、また、55%Al系はZnめっきとAlめっきの中間的性格を持っているので、耐熱性や耐食性を要求される用途に用いられている。さらに、最近では、Zn−Al合金にMgを加えためっき鋼板も開発されてきている。この背景には、近年世界的に問題になっている酸性雨が、従来主流である純Znめっきの防食性能を低下させてきていることが影響しており、このような環境下での耐食性の向上には、Zn中へのAlの添加が有効で、これらZn−Al系合金めっきが、Znめっきの代替として伸びてきている。
以上現行の主な溶融めっき製品について述べたが、需要家ニーズの高級化・多様化から要求性能に対する更なる高度化が起こってきており、その中で最も大きなウエイトを占めるものは高耐食性であるが、高塗装性、高加工性、高耐熱性なども挙げられる。このような観点から、製品の種類はますます多様化し、多種多様な合金めっき鋼板が必要とされるようになってくると予想される。
溶融めっき鋼板の製造は、連続プロセス(例えば、連続溶融亜鉛めっきライン:CGL)で行われ、量の拡大とコスト低下を目指して、溶融めっき鋼板製造ラインは大型化・高速化の方向へ進展した。現状の連続溶融めっきラインは、高生産性の追及により高速化・大能力化・省力化・省エネルギー化されており、少品種大量生産指向である。多様化してきた製品を1ラインで生産する多品種生産ラインとしては必ずしも適切ではない。製品の高級化・多様化に対する対応として、ある用途に対してその性能を引き出すのに最も適した専用ラインにて製造するのも1つの方法である。しかしながら、製品の多様化が進むと多用な用途に対して比較的少量ずつ使用されるようになるため必然的に単一製品の生産量は減少する。よって少量、多品種生産を1ラインで行うことが、多様化してきた表面処理鋼板を供給する上で必要不可欠である。
亜鉛、アルミニウム、及びその合金などの溶融めっき鋼板は、従来、一般的に以下のように製造されている。すなわち、冷間圧延後の薄鋼板に対し前処理工程で表面の洗浄を施し、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉内において表面酸化膜を除去し、焼鈍を行い、次いで冷却して溶融金属浴温度とほぼ同程度まで冷却して、亜鉛、アルミニウム、及びその合金などの溶融めっき金属を溶融した溶融金属浴中に侵入させる。その後、鋼板を浴から引き上げ、鋼板表面に付着した過剰の溶融金属をガスワイパーで払拭している。
従来の溶融めっき鋼板の製造に用いられる溶融めっき鋼板製造設備の要部配置を示す概略断面図を図1に示す。鋼板1は、焼鈍炉2にて材質を調整された後、非酸化性雰囲気に保たれたスナウト3からめっきポット4aに保持された溶融金属浴4に引き込まれ、シンクロール5を経て鉛直方向に引き上げられ、ガスワイパー6で過剰の溶融金属が払拭される。合金化溶融亜鉛めき鋼板を製造する場合には、合金化炉8で加熱することによりめっきした亜鉛と地鉄のFeとを拡散合金化させ、めっき皮膜をFe−Zn合金とする。その後、冷却装置9により常温程度にまで冷却され、後工程に導かれ、製品となる。
連続溶融めっきラインにおいて多品種の合金めっきを製造する方法としては、パスラインは変更せずにめっき金属を入れ替える方法、めっきポットを取り替える方法、そしてめっきポットを2系統持ちポット以降のパスラインを変更する方法がある。めっき金属を入れ替える方法はポンプで溶融金属を汲み出して行うので、汲み取り速度が遅く、めっき浴組成の調整に時間を要し操業停止時間が長くなり、浴成分のコンタミの問題も生じる。また、ポットを交換すること、パスラインを変更することは、装置の構造上の問題から大きな労力と時間を要することになる。以上のことから、現状の連続溶融めっきラインにおいて多品種少量生産を妨げる原因は、製造するめっきの合金種毎にそれに対応する溶融金属を保持するめっきポットを使用していることであるといえる。
一方、このような問題点に対処するため、めっきポットを小型化し、溶融めっき金属の供給および切替えを容易にすることを目的とした、底部に開口部のある浴に溶融金属を保持し、開口部下方から鋼板を通過させてめっきを行う技術、いわゆる空中ポットが開発されている。例えば、特許文献1には、循環による空中ポットが開示され、鋼板導入部に静圧を印加することが記載されている。また、特許文献2には、溶融金属を電磁力により保持し、鋼板通過位置において気体を噴射する空中ポットが開示されている。
上記空中ポットで問題となるのは、溶融金属をいかに保持して浴底部開口部から流下させないかということであり、これまでに開示された技術の多くもその点に着目したもの
である。しかしながら、上述の特許文献1や特許文献2のように気体の圧力や電磁力により溶融金属の流下を防止する技術は、浴面の高さや流下溶融金属の複雑な流動状態等に応じて気体圧力や電磁力を制御する必要があり、これら従来技術ではその十分な制御方法が得られていないだけでなく、制御範囲も限定されている。また、気体を噴射して溶融金属の流下を防止する方法では、溶融金属の飛散や気泡巻込みに起因しためっき不良といった問題点もある。
特開昭63−109148号公報 特開昭63−303045号公報
このように、上記従来技術いわゆる空中ポットはいずれも、溶融金属の流下を操業上問題のないレベルで長時間に亘って防止することが困難である。
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、(1)多品種少量生産を効率的に行うこと、(2)多種多様の合金めっきを製造できること、ができる、溶融めっき合金化処理鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、成分組成が異なる溶融金属を保持する複数のめっきポット有することなく、即ち、めっきポットを交換することなく、あるいは、パスラインを変更することなく、多品種少量生産を効率的に行い、かつ多種多様の合金めっきを製造することができる、溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備及び方法について鋭意検討した。
その結果、単一のめっき浴(純金属あるいは合金)で溶融めっきを行い、合金化させる金属は溶融めっきが完了した後に、めっき表面に供給して付着させ、さらにその後で加熱して、めっき金属と付着させた金属とを合金化させることにより、(1)多品種少量生産を効率的に行うこと、(2)多種多様の合金めっきを製造できること、ができることを見出した。
上記課題を解決する本発明の手段は以下の通りである。
発明は、鋼板を、連続的に溶融亜鉛浴を通過させて、鋼板の少なくとも一方の面に溶融めっきする溶融めっき鋼板の製造方法において、
前記溶融亜鉛浴を通過させた鋼板をめっき金属が凝固する温度まで冷却する冷却工程と、
前記冷却工程後の鋼板の少なくとも一方の面のめっき表面に鉄粉を吹付けて付着させる付着工程と、
鋼板を加熱してめっき金属と付着工程で付着させた鉄粉の鉄とを合金化させる加熱工程と、
を有することを特徴とする、溶融めっき合金化処理鋼板の製造方法である。
以上説明したように、本発明によれば、単一のめっき浴(純金属あるいは合金)で溶融めっきを行い、溶融めっきが完了した後に、合金化させる金属を供給してめっき表面に付着させ、さらにその後で加熱してめっき金属と付着させた金属とを合金化させることにより、(1)多品種少量生産を効率的に行うこと、(2)多種多様の合金めっきを製造できることができる。しかも、合金化させる金属種の変更が容易であることから、多品種少量生産を効率的に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。以下の図において、説明済みの図に示された部分と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図2は、本発明の第1発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備の要部を示す概略断面図である。図2において、7aは金属付着装置、8aは合金化炉、9aは冷却装置である。
図3は、本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第1の実施の形態を説明する図である。本実施の形態に係る金属付着装置は、金属粉をガスに混入させてめっき鋼板に金属粉を吹付けて付着させる金属粉吹き付け装置の一実施の形態である。
図3の金属粉吹き付け装置7cにおいて、10aは金属粉供給装置、11はブロワ、12は金属粉供給管、13は金属粉戻り管、14は金属粉吹き付けボックスである。金属粉を鋼板1の両側に吹きつけて鋼板の両面に金属粉を付着できるように構成されている。鋼板1の走行方向は、図中矢印の方向である。
金属粉は、金属粉供給装置10aからブロワ11の金属粉戻り管13に供給してガスに混入させて吹き付けブロワ11により加圧し、金属粉供給管12を通って、金属粉吹き付けボックス14の吹き付けチャンバー15に送り、該吹き付けチャンバー15のスリット16から鋼板1に吹付けて鋼板1のめっき表面に付着させる。余剰の金属粉は、金属粉吹き付けボックス14の上下部のスリット18から排気チャンバー17に戻り、金属粉戻り管13を通って、再びブロワ11で加圧し、循環使用する。金属粉の酸化を防ぐために、ガスは窒素ガスを用いることが好ましいが、空気を用いることも可能である。金属粉の供給量は、鋼板の板巾、ラインスピード、めっき付着量および目標の合金化率により調整する必要があり、まためっき表面へ付着する金属粉の歩留まり(=付着効率)も考慮して調整する必要がある。
金属粉は、物理的粉砕法、液相法、気相法などにより製造されたものを用いることができる。金属粉の粒子径は、分級処理により、そろえたものを用いる。金属粉の平均粒子径は、0.01μm〜200μmのものを用いる。平均粒子径が小さいほど、合金化率の調整が行いやすい。一方、平均粒子径が200μmを越えると、合金化率の不均一を生じる可能性があり好ましくない。なお、合金化率とは、めっき金属中に含有させる金属粉の含有割合である。
図3の金属吹き付け装置7cを図2の設備に配置する場合、金属粉吹き付けボックス14は、鋼板1の走行方向が鉛直方向になるように配置される、溶融状態にあるめっき金属表面に金属粉を吹き付けてめっき金属表面に金属粉を付着させる。
合金化炉8aは、鋼板を加熱して、溶融めっき金属と金属付着装置7aで付着させた金属とを合金化させる。合金化炉8aの加熱条件は、溶融めっき金属種およびその付着量、付着させた金属種およびその付着量、合金化率により調整される。合金化炉8aの加熱方式は特に限定されない。ガス加熱炉、高周波誘導加熱炉等公知の装置を採用できるが、合金化率の制御性の点から高周波誘導加熱炉が有利である。
冷却装置9aは合金化処理後の鋼板を常温程度の温度まで冷却する。鋼板表面に空気を吹き付けて冷却する空冷装置等、公知の冷却装置を採用できる。
図2の設備に図3の金属吹き付け装置7cを設置した場合、次のようにして合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。鋼板1は、焼鈍炉2にて材質を調整された後、非酸化性雰囲気に保たれたスナウト3から溶融金属浴4に引き込まれ、シンクロール5を経て鉛直方向に引き上げられて溶融めっきされ、ガスワイパー6で過剰の溶融金属が払拭されて、所定のめっき付着量に調整される。その直後に、溶融状態にあるめっき金属表面に対して、金属付着装置7aにより、合金化させる金属を付着させ、さらに、合金化炉8aで鋼板を加熱して、溶融めっき金属と付着させた金属とを合金化させる。めっき皮膜の合金化の形態は、付着金属の全部とめっき金属が合金化したものだけでなく、付着金属の一部がめっき金属と合金化したもの、付着金属が皮膜中に分散し一部が合金化したもの、付着金属が皮膜中に層状に合金化したものであってもよい。その後、冷却装置9aにより常温程度にまで冷却し、そのままコイル状に巻き取り、又はコイル状に巻き取る前に、調質圧延を施したり、化成処理・潤滑処理皮膜等を形成する後処理を施したりする後工程を経て、所要の製品(溶融めっき合金化処理鋼板)となる。
図4は、本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第2の実施の形態を説明する図である。金属粉をめっき鋼板に吹き付けて付着させる金属吹き付け装置の別の実施の形態を示す。本実施の形態に係る金属吹き付け装置7dは、金属粉をめっき鋼板に投射して付着させる。
図4において、(a)は金属吹き付け装置7dの構造を説明する概略図で、金属吹き付け装置7dは、鋼板上下面の各々に対向して金属粉を投射する金属粉投射装置21a、21bを備える。図4(b)は鋼板上面に金属粉を投射する金属粉投射装置21aの構造を説明する概略図で、10bは金属粉供給装置、22はモーター、23は遠心ロータである。金属粉24は金属粉供給装置10bから供給し、モーター22で遠心ロータ23を回転させ、供給された金属粉24を鋼板1上面に投射してめっき表面に金属粉を付着させる。鋼板下面に金属粉を投射する金属粉投射装置21bも同様の構成を備え、金属面の下面に金属粉を投射してめっき表面に金属粉を付着させる。
金属粉は、物理的粉砕法、液相法、気相法などにより製造されたものを用いることができる。金属粉の粒子径は、分級処理により、そろえたものを用いる。金属粉を投射する際には、金属粉の平均粒子径を10〜300μmにする必要がある。これは、平均粒子径が10μm未満であると、投射した金属粉の速度が空気中で低下するため、投射速度を非常に大きくしなければ、付着させることができないためである。一方、平均粒子径が300μmを超えると合金化率の調整が難しくなる。また、金属粉末の投射速度は30m/sec以上にする必要がある。これは、投射速度が30m/s未満であると、金属粉をめっき表面に付着させるために十分な運動エネルギーが付与されないためである。この観点から投射速度の上限は特に設けないが、投射速度が大きいと、金属粉末運動エネルギーが過大となりめっき皮膜を損傷させる可能性があることから、300m/sec以下であることが望ましい。金属粉の供給量は、板巾、ラインスピード、めっき付着量および目標の合金化率により調整する必要があり、めっき表面へ付着する粉末の歩留まり(=付着効率)も考慮する必要がある。
図2の設備に図4の金属吹き付け装置7dを設置した場合、該金属吹き付け装置7dを用いて、溶融状態にあるめっき金属表面に金属粉を吹き付けてめっき金属表面に金属粉を付着させ、次に、合金化炉8aで鋼板を加熱して、溶融めっき金属と付着させた金属とを合金化させ、冷却装置9aにより常温程度にまで冷却することで溶融めっき合金化処理鋼板を製造することができる。
図5は、本発明の第2発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備の要部を示す概略断面図である。図5において、7bは金属付着装置、8bは合金化炉、9b、9cは冷却装置である。合金化炉8bは、鋼板1を加熱して、溶融めっき金属と金属付着装置7bで付着させた金属を合金化させる。加熱方式は特に限定されない。ガス加熱炉、高周波誘導加熱炉等公知の装置を採用できるが、合金化率の制御性の点から高周波誘導加熱炉が有利である。冷却装置9b、9cは各々鋼板を常温程度の温度まで冷却する。鋼板表面に空気を吹き付けて冷却する空冷装置等、公知の冷却装置を採用できる。
図5の装置に配置する金属付着装置は、前述の図3、図4に示した金属吹き付け装置を使用可能である。
図3の金属吹き付け装置7c装置を図5の設備に配置する場合、金属粉吹き付けボックス14は、鋼板1の走行方向が水平方向になるように配置される。図5の設備に図3の金属付着装置を配置した場合、次のようにして溶融めっき合金化処理鋼板を製造する。鋼板1は、焼鈍炉2にて材質を調整された後、非酸化性雰囲気に保たれたスナウト3から溶融金属浴4に引き込まれ、シンクロール5を経て鉛直方向に引き上げられて溶融めっきされ、ガスワイパー6で過剰の溶融金属が払拭されされて、所定のめっき付着量に調整される。その後、冷却装置9bにより常温程度にまで冷却された後に、金属付着装置7bにより、めっき表面に合金化させる金属を吹き付けて付着させ、さらに、合金化炉8bで鋼板を再加熱して、溶融めっき金属と付着させた金属とを合金化させる。溶融めっき金属と付着させた金属との合金化は、固相拡散による合金化、めっき金属を溶融することで固液拡散による合金化のいずれでもでもよい。その後、冷却装置9cにより常温程度にまで冷却され、後工程に導かれ、所要の製品(溶融めっき合金化処理鋼板)となる。
図4の装置を図5の設備に配置するときは、図4に示されるように、金属付着装置7dは、鋼板1の走行方向が水平方向になるように配置される。図5の設備に図4の金属付着装置を配置した場合は、常温程度に冷却されためっき鋼板表面に金属付着装置を用いて金属粉を投射してめっき金属表面に金属粉を付着させることで、前記方法と同様にして合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
前述の図3および図4の装置では、金属粉は鋼板1の両面に付着させるように構成されているが、必要に応じて、鋼板の一方の面のみに金属粉を付着させるように構成してもよい。
図6は、本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第3の実施の形態を説明する図である。本実施の形態は、金属付着装置が、電気めっき装置である場合の一実施の形態を示す概略断面図である。図6において、電気めっき装置7eは、前処理装置31、めっき装置32、水洗乾燥装置33を備える。
前処理装置31、めっき装置32、水洗乾燥装置33は鋼板の電気めっきで一般的に用いられる装置でよい。例えば前処理装置31は、アルカリ脱脂装置でよく、必要に応じて、アルカリ脱脂装置の後に、水洗装置、酸洗酸洗装置、水洗スクラバーを順次配置しても良い。めっき装置32は通常の電気めっき装置でよく、水洗乾燥装置33は、電気めっき液を中和するための表面調整装置や湯洗装置でよい。
図6の金属付着装置(電気めっき装置7e)は、図5の溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置され、次のようにして、溶融めっき合金化処理鋼板を製造する。溶融金属めっきされ、冷却装置9bで常温程度に冷却されためっき鋼板は、前処置装置31で前処理され、めっき装置32で合金化させる金属が電気めっきされ、水洗乾燥装置33で水洗乾燥される。次に、合金化炉8bで鋼板を加熱して、溶融めっき金属と付着させた金属とを合金化させ、冷却装置9cにより常温程度にまで冷却される。
図7は、本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第4の実施の形態を説明する図である。本実施の形態は、金属付着装置が合金化される金属粉をめっき金属表面に塗布する塗布装置である場合の一実施の形態を示す概略断面図である。
図7において、塗布装置7fは、粉末塗布装置41、乾燥装置42、圧着装置43を備える。
粉末塗布装置41は、金属粉末のスラリーをめっき鋼板表面に塗布できるものであればよい。カーテンコーター、ロールコーター、スプレーコーターなど、スラリーの塗布に使用される公知の塗布装置を使用できる。乾燥装置42は、高周波誘導加熱装置が好ましく、公知の乾燥装置(熱風乾燥炉、焼き付け炉)を使用できる。圧着装置43は圧延ロールを使用できる。
合金化される金属粉は、スラリーとして供給される。金属粉は、前述の図3、図4の装置で使用する金属粉と同様の金属粉を使用することができる。図7の金属付着装置(粉末塗布装置7f)は、図5の溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置され、次のようにして、溶融めっき合金化処理鋼板を製造する。鋼板は、溶融金属めっきされ、冷却装置9bで常温程度に冷却される。合金化される金属粉末を混合したスラリーは、粉末塗布装置41を用いて常温程度に冷却されためっき鋼板表面に塗布され、乾燥装置42で加熱乾燥してめっき表面に金属粉末を付着させる。次いで圧着装置43を用いて金属粉末が付着しためっき鋼板を圧延して金属粉末をめっき表面に圧着する。なお、圧着装置43は必要に応じて使用される。次に、合金化炉8bで鋼板を加熱して、溶融めっき金属と付着させた金属とを合金化させ、冷却装置9cにより常温程度にまで冷却される。スラリ状の金属粉末がロールコーター等の塗布装置で塗布される場合、金属粉末、水、微量の反応抑制剤よりなるスラリーは、金属粉末の含有量と粒径を適度に調整する必要がある。即ち、ロールコーターで塗布する上でスラリーの粘度は200cp以上であることが必要である。
粉末塗布装置41は、乾燥した金属粉末を静電気的に鋼板に付着させる静電塗布装置を使用してもよい。静電塗布装置を使用する場合、例えば、ノズルから噴出するガスジェットによって金属粉末をチャンバー内に導入しチャンバー内に発生しているコロナ放電で帯電させて、アースした鋼板に静電気的に付着させる。スラリーを用いたときのような水を含まない乾式法であるので、乾燥装置42は設けなくてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。
本発明においては、ベースとなる溶融めっき金属は、種々の金属又は合金を適用でき、さらに、付着させる金属種を適宜選択して、めっき金属と付着させた金属とを合金化させることにより、多種多様の合金めっきを製造できることができる。
例えば、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(溶融Fe−Zn合金めっき鋼板)、5%Al−Zn合金めっき鋼板及び55%Al−Zn合金めっき鋼板を製造する場合、従来は、溶融亜鉛めっき鋼板と合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、Al濃度の異なる溶融亜鉛浴を用いて製造され、5%Al−Zn合金めっき鋼板及び55%Al−Zn合金めっき鋼板は、各々のめっき種に対応する成分組成の溶融金属浴を用いて製造されるので、これらの製品を1つの鋼板製造設備で製造するのは、コスト面、生産性の点から問題があった。
本発明によれば、溶融めっき金属として亜鉛を選択し、付着させる金属として鉄を選択した場合には、付着させる鉄の量をコントロールすることにより、皮膜中鉄含有率の異なるFe−Zn合金めっきを容易に製造することができる。また、溶融めっき金属として亜鉛を選択し、付着させる金属としてアルミニウムを選択した場合には、付着させるアルミニウムの量をコントロールすることにより、皮膜中アルミニウム含有率の異なるZn−Al合金めっき、例えば、5%Al−Zn合金めっき、22%Al−Zn合金めっき(超塑性合金めっき)、55%Al−Zn合金めっきを容易に製造することができる。
また、逆に、溶融めっき金属としてアルミニウムを選択し、付着させる金属として亜鉛を選択した場合にも、付着させる亜鉛の量をコントロールすることにより、皮膜中アルミニウム含有率の異なるZn−Al合金めっき、例えば、5%Al−Zn合金めっき、22%Al−Zn合金めっき(超塑性合金めっき)、55%Al−Zn合金めっきを容易に製造することができる。
尚、付着させる金属として、単一の金属だけではなく、2種類以上の金属を配合することにより、多種多様の合金めっきを製造することができる。例えば、溶融めっき金属として亜鉛を選択し、付着させる金属としてアルミニウムにマグネシウムやシリコンなどの他の元素を混合することにより、多種多様の合金めっきを製造することが可能となる。
一方、溶融めっき金属も、単一の金属だけでなく、種々の合金を用いることができる。すなわち、純金属では、亜鉛、アルミニウム、鉛などがあり、合金では、Al−Zn合金(5%Al−Zn合金めっき、22%Al−Zn合金めっき(超塑性合金めっき)、55%Al−Zn合金めっき)、Sn−Zn合金、Pb−Zn合金など、を用いることができる。
本発明において、被めっき鋼板は冷延鋼板だけでなく脱スケール処理された熱延鋼板であってもよい。
本発明において、溶融めっき金属のめっき方法は公知の方法でよい。溶融めっき設備も限定されない。溶融金属めっき設備も全還元方式連続溶融めっき設備や、直火加熱式連続溶融めっき設備などの全ての連続溶融めっき設備に対して本発明を適用できる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、少量多品種のめっき鋼板の製造を効率的に行うことができる。また、多種多様な合金めっき鋼板の製造にも容易に対応可能である。
以下、Fe−Zn合金化処理鋼板の製造例について説明する。
成分組成の異なる三種類の鋼板(めっき原板)を準備した。準備した鋼板は、板厚0.8mmの冷延鋼板で、汎用の低炭素Alキルド鋼(=素材A)、高加工用で従来法で合金化処理する場合パウダリングを起こしやすい極低炭素Ti添加鋼(素材B)、および従来法で合金化処理する場合合金化速度が遅いハイテン鋼(素材C)である。各々の鋼板の成分組成を表1に示す(残部Fe及び不可避不純物である)。
Figure 0004725023
準備した鋼板を無酸化炉および還元加熱炉を備えた連続式溶融めっき設備に装入して、焼鈍、溶融亜鉛めっきを行い、さらに金属付着工程でめっき表面にFeを付着させた後、合金化処理工程で加熱して溶融亜鉛めっき層とFeを合金化させ、本発明例の溶融めっき合金化処理鋼板を作製した。その際に溶融亜鉛めっき条件、Fe付着条件、合金化処理条件を変えた。
本発明例では、溶融亜鉛めっき皮膜と金属付着工程で付着させたFeとの合金化反応を起こさせるため、溶融亜鉛めっき皮膜と下地鋼板との合金化は不要である。そこで、溶融亜鉛めっき皮膜と下地鋼板との合金化反応を抑制するため、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を行わない通常の溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合に用いる、Al濃度0.20%のめっき浴で溶融亜鉛めっきを行った。
めっき付着量は、合金化処理後の目付け量で、通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の目付け量である50g/m2と、耐食性向上を目的として厚目付けを狙った、100g/m2、150g/m2に調整した。
めっき表面へFe付着は、(1)ガスによるFe粉吹き付け(図3)、(2)投射によるFe粉吹き付け(図4)、(3)電気Feめっき(図6)、(4)スラリー塗布(図7)のいずれかの方法で行った。各々の条件を以下に記載する。
(1)ガスによるFe粉吹き付け(試験材No.1〜20)
・平均粉末粒径:0.1μm、1μm
・フローレート(噴射口):300〜1000g/分、窒素ガス吹き付け
(2)投射によるFe粉吹き付け(試験材No.21〜25)
・平均粉末粒径:10μm
・投射速度(投射口):100m/s
・投射距離:500mm
・投射量:7.5〜30g/m2
(3)電気Zn−Feめっき(試験材No.26〜30)
・めっき液:硫酸第1鉄(150〜200g/l)、硫酸亜鉛(30〜200g/l)、
めっき浴pH1.5、
・めっき条件:浴温50℃、電流密度20〜100A/dm2
(4)スラリー塗布法(試験材No.31〜36)
・スラリー:金属Fe粉(平均粉末粒径1μm)を水分散、金属Fe粉量100g/l
・ロールコーターで塗布乾燥
合金化処理には誘導加熱炉を使用し、合金化処理後の冷却は空冷した。
溶融亜鉛めっき条件、Fe付着条件、合金化処理条件を表2〜表5に示す。
尚、比較のために、通常の方法(従来法)により製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件を比較例として表2〜表5に併せて示す。
前記で作製した溶融めっき合金化処理鋼板のめっき皮膜の断面をSEM観察して、めっき皮膜の合金化の状態を、以下のように分類した。
A:付着金属の全部とめっき金属が合金化した状態。
B:付着金属の一部がめっき金属と合金化した状態。
C:付着金属が皮膜中に分散し一部が合金化した状態。
D:付着金属が皮膜中に層状に合金化した状態。
また、作製した溶融めっき合金化処理鋼板の特性を以下のように評価した。
(1)耐パウダリング性
耐パウダリング性の評価は、ドロービード試験を行い、単位面積当たりの皮膜剥離量を測定し、皮膜剥離量5g/m2未満を「非常に良好:◎」、5g/m2以上10g/m2未満を「良好:○」、10g/m2以上15g/m2未満を「普通:△」、15g/m2以上を「劣る:×」とした。
ここで、ドロービード試験とは、潤滑油を塗布した鋼板を、ビードとダイスで挟んだ状態で引き抜き、その後テープ剥離試験を行い、試験の前後の重量差から、めっき皮膜の剥離量を評価する試験方法である。ビードは先端角度90°の三角ビードを用い、成形高さは4mm、ビードとダイスの押し付け荷重は500kgfとした。
(2)耐食性
耐食性は電着塗装後の耐食性により評価した。即ち、リン酸塩処理(日本パーカライジング社製PBL−3080)を施した後、関西ペイント社製電着塗料エレクロンGT−10を用いて正規の電着塗装条件により20μmの膜厚の塗装を行った。その後、複合腐食サイクル試験(CCT)に供した。試験条件は、自動車技術会が制定した自動車用材料腐食試験方法(JASO M 609−91)により行い、30サイクル経過した時点での錆発生状況を観察した。評価基準は以下の通りである。
◎:膨れ極小(非常に良好)。○:膨れ小(良好)。△:膨れ小、赤錆発生(普通)。×:膨れ大、赤錆発生。
(3)電着塗装性
電着塗装性は、70×150mmのテストピースにリン酸塩処理(日本パーカライジング社製PBL−3080)を施した後、関西ペイント社製電着塗料エレクロンGT−10を用いて電着塗装を行い、電着塗装欠陥の発生程度を目視により評価した。電着塗装に際しては、正規の条件とは異なりクレーターが発生しやすいように、電着塗料として3ヶ月程度使い込んだ塗料を用いた。電着温度30℃、電圧280Vで塗装を行った。評価基準は、以下の通りである。
◎:クレーター状欠陥発生無し(非常に良好)。○:クレーター状欠陥発生5個以下(良好)。△:クレーター状欠陥発生6〜20個以下(普通)。×:クレーター状欠陥発生多数(劣る)。なお、クレーター状欠陥発生数は1テストピース当たりの発生数である。
合金層の状態の観察結果および特性の評価結果を表2〜表5に示す。
Figure 0004725023
Figure 0004725023
Figure 0004725023
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本発明例では、耐パウダリング性が良好あるいは非常に良好な皮膜が得られた。厚め付けを狙った試験材No.11〜25あるいは31〜35では、さらに耐食性が良好あるいは非常に良好な皮膜が得られた。また、めっき皮膜の表面から合金化が行われるため、皮膜の最表面はFe含有量が高くなるため、塗装性が良好であった。さらに、高Fe含有率を狙った試験材No.5、10、15、20、25、30、35では、塗装性が非常に良好であった。
尚、ハイテン鋼(素材C)を下地鋼板とした場合、従来法(比較例)では、試験材No.37に示すように高温での合金化処理が必要になり、耐パウダリング性が劣っていたが、本発明法では、試験材No.6〜10に示すように良好な耐パウダリング性を示した。さらに、下地鋼板としてハイテン鋼(素材C)を用い、厚め付けを狙って、めっき量を100g/m2とすると、従来法では、試験材No.38に示すように合金化しないが、本発明法では、試験材No.16〜20に示すように、容易に合金化可能であった。
さらに、従来法では、浴中Al濃度0.20%のめっき浴では、試験材No.40に示すように、めっき皮膜が合金化しないので、合金化溶融亜鉛めっきを製造する際は、浴中Al濃度を0.12%と低めにせざるを得ない。そのため、同一設備で合金化しない溶融亜鉛めっき鋼板と合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、前者では浴中Al濃度を0.20%、後者では浴中Al濃度0.12%と浴中Al濃度を変更する必要が生じ、生産ロスを発生する。
一方、本発明法では、合金化処理しないものと同じ浴中Al濃度のめっき浴を用いてめっきを行うことができるので、浴中Al濃度変更による生産ロスは発生しない。また、金属付着工程での金属付着を行うこと、それを中止することで、前述の両製品を切替ロスが無く瞬時に容易に作り分けることが可能になる。
尚、本発明では、合金化させる金属(Fe)を付着させてから該Feとめっき皮膜を合金化させるが、その際に下地鋼板との合金化反応を起こさせても良く、従って通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際に使用する浴中Al濃度(例えば0.12%Al程度)のめっき浴を使用してもよい。
従来法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金化率は、合金化炉の出力を変更して調整を行っていたが、鋼種の違いやめっき条件(浴中Al濃度)の違いが合金化反応に影響を及ぼすため、所定のFe%に調整するのに時間がかかるため、合金化不良による歩留まりロスを発生させていた。本発明法によれば、付着させるFeの量を調整すれば、瞬時に容易に所望のFe%のめっき皮膜を作り分けることが可能になる。
尚、本実施例では、無酸化炉および還元加熱炉を備えた連続式溶融めっき設備を使用したが、このめっき設備に限定されず、全還元方式連続溶融めっき設備や、直火加熱式連続溶融めっき設備などあらゆる連続溶融めっき設備を使用できる。
実施例1の表1の素材Aの成分組成の鋼板を無酸化炉および還元加熱炉を備えた連続式溶融めっき設備に装入して、焼鈍、溶融金属めっきを行い、さらに金属付着工程でめっき表面に溶融金属めっき種とは成分組成の異なる金属を付着させた後、合金化処理工程で加熱して溶融金属めっき層と金属付着工程で付着させた金属を合金化させた。
溶融金属めっきは、通常の溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際に用いる0.2%Al−Zn浴、5%Al−Znめっき(ガルファン)、55%Al−Znめっき(ガルバリウム)ならびに、91%Al−9%Si(Alめっき)浴で実施し、金属付着工程で溶融金属めっき種とは異なる成分組成の金属を付着させた後、めっき鋼板を加熱して溶融金属めっきと金属付着工程で付着させた金属の合金化処理を行った。
めっき表面への金属付着は、(1)ガスによる金属粉吹き付け、(2)投射による金属粉吹き付け、(3)電気金属めっき、(4)スラリー塗布のいずれかの方法で行った。各々の条件を以下に記載する。
(1)ガスによる金属粉吹き付け(試験材No.41〜54)
・金属粉:Al、Mg、Ni、Si、Mn、Cu、Cr、Co、Mo、Sn、V、W
・平均粉末粒径:1μm
・フローレート(噴射口):300〜1000g/分、窒素ガス吹き付け
(2)投射による金属粉吹き付け(試験材No.55〜68)
・金属粉:Al、Mg、Ni、Si、Mn、Cu、Cr、Co、Mo、Sn、V、W
・平均粉末粒径:10μm
・投射速度(投射口):100m/s
・投射距離:500mm
・投射量:7.5〜30g/m2
(3)電気めっき(試験材No.69〜74)
・めっき金属:Ni、Cu、Co、Zn
・めっき液:
単独金属めっきの場合 MeSO4・7(5)H2O:350g/L+添加剤
亜鉛合金めっきの場合 MeSO4・7(5)H2O:350g/L+硫酸亜鉛(30〜200g/L)+添加剤
但し、MeはNi、Cu、Co、Zn。硫酸銅は5水塩。
・めっき浴pH:1.5
・めっき条件:浴温50℃、電流密度20〜100A/dm2
(4)スラリー塗布法(試験材No.75〜78)
・金属粉:Al、Mg、Ni、Si、Mn、Cu、Cr、Co、Mo、Sn、V、W、Zn
・スラリー:金属粉(平均粉末粒径:1μm)を水分散、金属粉量100g/l
・ロールコーターで塗布乾燥
合金化処理には誘導加熱炉を使用し、合金化処理後の冷却は空冷した。
溶融めっき条件、金属付着工程の条件、合金化処理条件を表6および表7に示す。
前記で作製した溶融めっき合金化処理鋼板のめっき皮膜の断面をSEM観察して、めっき皮膜の合金化の状態を、以下のように分類した。
A:付着金属の全部とめっき金属が合金化した状態。
B:付着金属の一部がめっき金属と合金化した状態。
C:付着金属が皮膜中に分散し一部が合金化した状態。
D:付着金属が皮膜中に層状に合金化した状態。
合金層の状態の観察結果を表6および表7に示す。
Figure 0004725023
Figure 0004725023
本発明法によれば、溶融めっきするめっき金属に対し、付着させる金属の種類および量を調整することで、容易に希望する成分組成の合金めっき皮膜を作り分けることが可能になる。
本発明の鋼板の製造設備は少量多品種のめっき鋼板の製造を効率的に行う設備として利用することができ、また、多種多様な合金めっき鋼板の製造を行う設備として利用することができる。
本発明の鋼板の製造方法は、少量多品種のめっき鋼板を効率的に製造する方法として利用することができ、また、多種多様な合金めっき鋼板を製造する方法として利用することができる。
従来の溶融めっき鋼板の製造に用いられる溶融めっき鋼板製造設備の要部配置を示す概略断面図である。 本発明の第1発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備の要部を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第1の実施の形態を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第2の実施の形態を説明する図である。 本発明の第2発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備の要部を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第3の実施の形態を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る溶融めっき合金化処理鋼板の製造設備に配置される金属付着装置の第4の実施の形態を説明する図である。
符号の説明
1 鋼板
2 焼鈍炉
3 スナウト
4 溶融金属浴
4a めっきポット
5 シンクロール
6 ガスワイパー
7a、7b 金属付着装置
7c、7d 金属粉吹き付け装置
7e 電気めっき装置
7f 塗布装置
8、8a、8b 合金化炉
9、9a、9b、9c 冷却装置
10a、10b (金属粉供給装置)
11 ブロワ
12 金属粉供給管
13 金属粉戻り管
14 金属粉吹き付けボックス
15 吹き付けチャンバー
16 スリット
17 排気チャンバー
18 スリット
21a、21b 金属粉投射装置
22 モーター
23 遠心ロータ
24 金属粉
31 前処理装置
32 めっき装置
33 水洗乾燥装置
41 粉末塗布装置
42 乾燥装置
43 圧着装置

Claims (1)

  1. 鋼板を、連続的に溶融亜鉛浴を通過させて、鋼板の少なくとも一方の面に溶融めっきする溶融めっき鋼板の製造方法において、
    前記溶融亜鉛浴を通過させた鋼板をめっき金属が凝固する温度まで冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程後の鋼板の少なくとも一方の面のめっき表面に鉄粉を吹付けて付着させる付着工程と、
    鋼板を加熱してめっき金属と付着工程で付着させた鉄粉の鉄とを合金化させる加熱工程と、
    を有することを特徴とする、溶融めっき合金化処理鋼板の製造方法。
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