JP2002322360A - ポリフェニレンサルファイド部材 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド部材

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JP2002322360A
JP2002322360A JP2002042997A JP2002042997A JP2002322360A JP 2002322360 A JP2002322360 A JP 2002322360A JP 2002042997 A JP2002042997 A JP 2002042997A JP 2002042997 A JP2002042997 A JP 2002042997A JP 2002322360 A JP2002322360 A JP 2002322360A
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JP
Japan
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pps
polyphenylene sulfide
hydrogen atom
fiber
weight
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JP2002042997A
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English (en)
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Makoto Nakahara
誠 中原
Kenzo Kubo
賢三 久保
Hideyuki Yamamoto
英行 山本
Ryutaro Ito
龍太郎 伊藤
Koji Sumi
幸司 角
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NAGASE COLOUR CHEMICAL KK
Nagase and Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
NAGASE COLOUR CHEMICAL KK
Nagase and Co Ltd
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、PPS特有の特徴を阻害すること
なく、紫外線等の光線に対する耐久性に優れ、屋外にお
ける使用においても変色のないPPS部材を提供せんと
するものである。 【解決手段】 本発明のPPS部材は、JIS L−0
842に基づいて測定される紫外線カーボンアーク灯光
に対する耐光堅牢度が1級以上であることを特徴とする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線などの光線
に対する耐久性に優れたポリフェニレンサルファイド部
材に関する。特に、日光の下で使用されたり、もしくは
干されたりする靴下、肌着、衣服などをはじめとする衣
料や布団、毛布、枕などの寝具などに用いられるポリフ
ェニレンサルファイド繊維製品おいて特に顕著な耐光性
を示すポリフェニレンサルファイド部材に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、保温性の必要な衣料、寝具とし
て、ポリフェニレンサルファイド(以下単にPPSとい
う。)からなる繊維資材が用いられている。これらはP
PS100%の状態で用いる場合や、他の汎用素材であ
る羊毛繊維、ポリアクリロニトリル繊維、木綿、ポリエ
チレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、ナイ
ロン繊維、ポリウレタン繊維などとの複合により用いる
場合がある。また、PPSは、耐熱性、寸法安定性にも
優れた樹脂であることから、家電製品で用いられる成型
品(例えば、電子レンジにおけるレンジ室内の保護フィ
ルム、ドアノブおよびツマミ)としても広く展開が検討
されている。
【0003】しかし、これらPPSは素材固有の性質と
して耐光性に劣る、すなわち、紫外線等の光線の照射下
において変色すると言う問題があった。そのため、従来
技術にかかるPPS100%あるいはPPSとその他の
汎用樹脂による繊維、繊維資材、フィルム、成形体等の
PPS部材は、長時間日光にさらされた際にPPSが茶
色に変色し、繊維資材もしくは部材の外観を損ない、さ
らには消費者の信頼を損なう懸念があった。
【0004】一般に、樹脂部材の耐光性を改善する試み
としては、耐光剤を樹脂中に含有あるいは表面に組成し
て用いることなどは知られるところである。しかしなが
ら、PPSにおいてはかかる耐光剤の適用により成功し
た例は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、PPS特有の特徴を阻害することな
く、紫外線等の光線に対する耐久性に優れ、屋外におけ
る使用においても変色のないPPS部材を提供せんとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段をつい酔うするもので
ある。すなわち、本発明のPPS部材は、JIS L−
0842に基づいて測定される紫外線カーボンアーク灯
光に対する耐光堅牢度が1級以上であることを特徴とす
るものである。
【0007】なお、本発明の好ましい実施態様として
は、下記一般式(I)で表される化合物および下記一般
式(II)で表される化合物から選択される少なくとも
1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴とするもので
ある。
【0008】
【化3】
【0009】ここで、R1 は水素原子または水酸基であ
り、R2 は水酸基、あるいは1個〜12個の炭素原子を
有する直鎖状のまたは分岐鎖状のアルキルオキシ基であ
り、R3 は水素原子または−SO3 Hであり、R4 は水
素原子または−OCH3 であり、そしてR5 は水素原子
または水酸基である。
【0010】
【化4】
【0011】ここで、R6 は水素原子であるかあるいは
1個〜5個の炭素原子を有する直鎖状のまたは分岐鎖状
のアルキル基であり、R7 は1個〜5個の炭素原子を有
する直鎖状のまたは分岐鎖状のアルキルであり、そして
8 は水素原子または塩素原子である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いるPPSとは、その
構成単位の90モル%以上が−(C6 4 −S)−であ
らわされるフェニレンサルファイド構造単位を有する重
合体からなるものである。好ましくは、フェニレンサル
ファイド構造の内90モル%以上がパラ配向にて結合さ
れたものである。このPPSは従来公知の方法にて製造
することができる。
【0013】本発明のPPSは10重量%未満であれ
ば、他の樹脂が含有あるいは共重合されていても良く、
このような樹脂には特に制限はないが、例えば、ポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、
ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレ
ンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイ
ミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエ
ーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリ
イミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステル
エラストマー、フッ素系樹脂などが挙げられ、本発明の
効果を損なわない範囲において配合することができる。
【0014】本発明のPPS部材は、耐光性の評価指標
であるJIS L−0842に基づいて測定される紫外
線カーボンアーク灯光における耐光堅牢度が1級以上で
ある。該耐光堅牢度が1級未満であると、日光にさらさ
れた際の変色が大きく、上述の課題を解決することはで
きない。該耐光堅牢度は好ましくは2級以上であり、さ
らに好ましくは3級以上であるのがよい。
【0015】本発明でいう耐光堅牢度はJIS L−0
842記載の紫外線カーボンアーク灯光法の第3露光法
に基づいて測定されるものである。すなわち、試験片
と、該JISにて規定されたブルースケールとを共にカ
ーボンアーク灯光によって露光し、試験片の変退色と、
ブルースケールの変退色とを比較して、その堅牢度を判
定するものである。また、該耐光堅牢度の等級について
は、試験片と同程度の変退色を示したブルースケールの
等級で表し、この等級が高くなるほど、耐光堅牢度に優
れることを意味するものである。
【0016】次に前記JIS L−0842紫外線カー
ボンアーク灯光法の第3露光法の詳細について述べる。 1.測定する試料が布の場合は1cm×6cm以上の試
験片を1枚採取する。 2.試料が糸の場合は1cm×6cm以上の厚紙に長辺
方向に平行に均一な厚さとなるように巻き付ける。 3.試料がステープルの場合は、しの状として1cm×
6cm以上の厚紙に長辺方向に平行に均一な厚さとなる
ように巻き付ける。 4.試料が樹脂板の場合は1cm×6cm以上の試験片
を1枚採取する。 5.JIS L−0841「日光に対する染色堅牢度試
験方法」に規定されているブルースケールを用意する。 6.試験片およびブルースケールの半分を不透明な白厚
紙で覆った後、JISL−0842に規定の紫外線カー
ボンアーク灯形耐光試験機に付属の試料ホルダーに取り
付ける。 7.試験片およびブルースケールを取り付けた試料ホル
ダーを前記試験機に取り付ける。 8.露光をはじめブルースケールの目的とする等級が標
準退色するまで光を照射する。 9.ブルースケールの目的とする等級が退色したら露光
を止め、試験片とブルースケールを取り出して、2時間
以上室温の暗所に放置する。 10.試験片の光照射部と未照射部の色の変化と、ブル
ースケールの光照射部と未照射部の色の変化を比較し、
表1の等級区分に従って変退色の程度を等級付けする。
【0017】
【表1】
【0018】次に、本発明のPPS部材を得る方法につ
いて、一例を挙げて説明する。しかし、かかる説明によ
り、本発明が制限されるわけではない。
【0019】本発明のPPS部材は、好ましく少なくと
も下記一般式(I)や一般式(II)に示す特定の紫外
線吸収剤を含有させることにより得ることができる。
【0020】すなわち、一般式(I)で表される化合
物、および以下の一般式(II)で表される化合物から
なる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
【0021】
【化5】
【0022】ここで、R1 は水素原子または水酸基であ
り、R2 は水酸基、あるいは1個〜12個の炭素原子を
有する直鎖状のまたは分岐鎖状のアルキルオキシ基であ
り、R3 は水素原子または−SO3 Hであり、R4 は水
素原子または−OCH3 であり、そしてR5 は水素原子
または水酸基である。
【0023】
【化6】
【0024】ここで、R6 は水素原子であるかあるいは
1個〜5個の炭素原子を有する直鎖状のまたは分岐鎖状
のアルキル基であり、R7 は1個〜5個の炭素原子を有
する直鎖状のまたは分岐鎖状のアルキルであり、そして
8 は水素原子または塩素原子である。
【0025】かかる一般式(I)で表される化合物の例
としては、2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒ
ドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、およ
び2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフ
ェノンが好ましく使用される。
【0026】また、一般式(II)で表される化合物の
例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−
メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒ
ドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−
ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−
tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾール、および2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t
ert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールが好まし
く使用される。
【0027】本発明においては、上記一般式(I)およ
び(II)で表される化合物で示される紫外線吸収剤
を、単独または組み合わせて使用することができる。
【0028】本発明においては、かかる紫外線吸収剤の
中でも、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチ
ル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾールを用いることが、PPS基材により優れた耐光性
を与える上から、特に好ましく使用される。
【0029】かかる紫外線吸収剤は、PPS100gに
対し、好ましくは0.3重量部〜6重量部、より好まし
くは0.5重量部〜4重量部の割合で分散、含有されて
いるのがよい。紫外線吸収剤の含有量が0.3重量部を
下回ると、得られるPPS部材は、充分な耐光性を有し
ない恐れがある。他方、紫外線吸収剤の含有量が6重量
部を超えて含有させても、PPS部材に、特にそれ以上
の優位な差を得ることがなく、経済性の観点において好
ましくない。また、ブリードアウトなどで製品の外観を
損ねる恐れがある。
【0030】かかる紫外線吸収剤を含有させるための手
法については、特に限定されるものではないが、次の例
を好ましく用いることができる。
【0031】すなわち、上記紫外線吸収剤および分散剤
を含有する処理液に、PPS基材を接触させる方法が採
用される。この処理液との接触には、浸漬、スプレー、
および塗布などの任意の手段が使用されるが、作業性に
優れる点から、浸漬により接触させる手段が好ましく使
用される。
【0032】具体的には、例えば、高圧高温容器(例え
ば、高圧染色機)を用いて、PPS基材を、好ましくは
4倍〜400倍、より好ましくは8倍〜40倍の浴比
で、該処理液からなる処理浴に浸漬する方法が採用され
る。処理温度は、特に限定されないが、好ましくは14
0℃以上、より好ましくは140℃以上150℃以下の
温度に該処理浴を調節することにより、PPS部材の耐
光性をさらに向上せしめることができる。
【0033】また、かかる処理液に、後述するカバリン
グ剤を含有させることにより、該処理温度を低下させる
ことも可能である。さらに、上記接触に要する処理時間
は、好ましくは15分〜120分が採用される。
【0034】上記のような条件で処理液に接触されられ
たPPS基材は、次いで、処理浴から取り出され、水洗
等の通常の洗浄処理が施される。
【0035】本発明においては、かかる処理液に、分散
剤を含有せしめることが極めて好適に採用される。かか
る分散剤を併用することにより、処理液中(溶液中)の
紫外線吸収剤の分散性が向上し、かつ、PPS部材の耐
光性が飛躍的に向上する。本発明においては、分散剤を
用いず耐光性を向上させることも可能であるが、この場
合は、耐光性の向上効果も少なく、なおかつ紫外線吸収
剤の含有量を多くする必要や、紫外線吸収剤を含有させ
る際の処理温度を高くする必要などがあり、経済性、生
産性などを考慮する上で好ましくない。
【0036】このような分散剤の例としては、ポリオキ
シアルキレン・スチレンオキサイド付加物の硫酸化物、
スチレン化フェノール・エチレンオキサイド付加物の脂
肪酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルアリ
ルエーテルの脂肪酸エステルが好ましく使用される。か
かる分散剤としては、特に上記のものに限定する必要は
なく、上記紫外線吸収剤の水に対する分散性を向上させ
る分散剤であれば、別に使用してもさしつかえない。
【0037】処理液中に含まれる上記分散剤は、基材中
のPPS含量100gに対し、好ましくは0.1重量部
〜2重量部、より好ましくは0.2重量部〜1重量部の
割合であるのがよい。分散剤の含有量が0.1重量部を
下回ると、耐光性の改善に対し、分散剤の効果を十分に
認めることは困難である。他方、分散剤の含有量が2重
量部を超えても、その処理液を用いて得られるPPS部
材に特に優位な差を得ることがなく、むしろ生産性に劣
る恐れがある。
【0038】なお、本発明のPPS部材を得るにあた
り、前記処理液中において特定の平均粒径を有する上記
紫外線吸収剤と、上記分散剤とを併用して調製すること
は特に好ましい方法である。かかる紫外線吸収剤の平均
粒径としては、好ましくは2ミクロン以下、より好まし
くは0.1ミクロン〜1ミクロンの範囲のものが好まし
く使用される。紫外線吸収剤が、このような平均粒径の
ものであると、得られるPPS部材の耐光性を、さらに
顕著に向上させることができる。
【0039】また、これら紫外線吸収剤は、単独で用い
ることもできるが、種々の染料との併用も可能であり、
これにより、染色されたPPS部材の耐光性を向上させ
ることも可能である。
【0040】なお、紫外線吸収剤を含有するにあたり、
含有させる際の基材の形態は特に限定されるものではな
く、PPSの樹脂板や、フィルム、さらにはPPS繊維
100%からなる紡績糸や、PPS繊維とその他の汎用
繊維とを混紡した紡績糸の状態で紫外線吸収剤を含有せ
しめることも可能であるし、また平織りなどの織物の状
態で含有せしめることも可能である。さらには、PPS
のステープルやフィラメント単独の状態で紫外線吸収剤
を含有させ、その後PPS100%からなる紡績糸もし
くはフィラメントや、その他の汎用繊維との混紡糸、混
繊糸に仕立て使用することも可能である。該汎用繊維と
しては例えば、羊毛繊維、木綿、ポリエチレンテレフタ
レート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン
繊維、塩ビ繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維な
どが挙げられる。
【0041】また、さらには、繊維などを充填させたP
PS基材に紫外線吸収剤を含有せしめることも可能であ
る。充填材としては例えば、ガラス繊維、ガラスミルド
ファイバー、炭素繊維、チタン酸カルシウムウイスカ
ー、酸化亜鉛ウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊
維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、
金属繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオラ
イト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベント
ナイト、アスベスト、タルク、などの珪酸塩、アルミ
ナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、
酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、などの水酸化
物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビー
ズ、窒化ホウ酸、炭化珪素、カーボンブラック、金属粉
末、およびシリカなどの非繊維状充填材などが挙げられ
る。
【0042】本発明のPPS部材は、無着色物でもよい
が、着色物を所望するときには、以下のカバリング剤と
染料を含有せしめることが好ましい。
【0043】もちろん、かかるカバリング剤は、染料配
合せず、上記紫外線吸収剤のみを含む形で処理すること
もできる。
【0044】かかるカバリング剤としては、下記一般式
(III)で表される化合物および下記一般式(IV)
で表される化合物から選択される少なくとも1種を含む
ものが好ましく使用される。
【0045】
【化7】
【0046】ここで、Aは、−O−または−C(O)O
−であり、R9 はフェニル基またはその誘導体の基、あ
るいは置換または未置換のフェニルアルキレン基であ
る。
【0047】
【化8】
【0048】ここで、R2 は1個〜5個の炭素原子を有
する脂肪族炭化水素基であり、そしてX1 およびX
2 は、それぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子で
ある。
【0049】上記一般式(III)で表される化合物の
例としては、安息香酸フェニルおよびその誘導体(例え
ば、安息香酸サリチレート)、ベンジルベンゾエートお
よびその誘導体、ジフェニルエーテル、ならびにフェニ
ルベンジルエーテルおよびその誘導体が、好ましく採用
される。
【0050】また、上記一般式(IV)で表される化合
物の例としては、下記一般式の化合物が好ましく使用さ
れる。
【0051】
【化9】
【0052】ここで、R2 は、1個〜5個の炭素原子を
有する脂肪族炭化水素基である。
【0053】上記一般式(IV)で表される化合物のよ
り好ましい化合物の例としては、下記一般式の化合物が
好ましく使用される。
【0054】
【化10】
【0055】本発明においては、かかる(III)、
(IV)の化合物の中でも、汎用性を高める(例えば、
臭気および耐光性の低下が少ない)点から、ベンジルベ
ンゾエートを含有させることが好ましい。
【0056】本発明に用いられるカバリング剤を用いる
場合には、例えば、処理液中に含有せしめて用いること
ができる。このカバリング剤は、上記一般式(III)
および/または(IV)で表される化合物を含有する乳
化物を採用するものであるが、具体的には、かかる化合
物と、界面活性剤のような乳化剤とから構成されるもの
が使用される。
【0057】本発明のカバリング剤は、上記一般式(I
II)または(IV)で表される化合物を、カバリング
剤の全重量に対して、好ましくは10重量%〜40重量
%の割合でPPS基材中に含有させるのがよい。
【0058】上記カバリング剤は、基材中のPPS含量
100gに対し、好ましくは1重量部〜20重量部、よ
り好ましくは2重量部〜10重量部の割合で含有し、か
つ、染料を含有する処理液を使用して処理するのがよ
い。かかるカバリング剤の含有量をこのような範囲とす
ることにより、経済性および生産性の点で有利であり、
また、低い浴温度での処理が可能になるので、処理中の
変形を起こすことがなく、また、耐熱性に劣る他の素材
との複合時に、該素材の劣化あるいは変形などを起こす
ことなく、処理することができ、つまり実用性を損なう
こと無く、耐光性を向上せしめることが可能である。
【0059】また、ここで使用する染料は、分散染料が
好ましく使用され、通常の染料濃度で該処理液を構成す
ることができる。もちろん、前記紫外線吸収剤をかかる
処理液に配合して、同時に処理することもできる。
【0060】かかるカバリング剤を含有する処理液は、
PPS基材と、より低温度で接触させることができるの
である。かかる処理液の好ましい処理温度は、100℃
から130℃である。処理温度が100℃未満では、P
PS部材に充分な耐光性を提供することができない恐れ
がある。
【0061】以上説明した、PPS部材は、如何なる形
状、構造のものでもよく、例えばPPSからなる成型物
を家電製品の部材として用いることも可能であるし、フ
ィルムの状態で使用することもできる。さらには、PP
Sの繊維を、紡績糸とした後に、織物、編物などとして
布帛化し、靴下や肌着、下着、サポーター、ズボン、タ
イツ、ストッキング、Yシャツ、Tシャツ、セーター、
トレーナー、スウェット、スーツ、ジャンパー、ジャケ
ット、コート、手袋、帽子、マフラーなどとして用いる
こともできるし、フィラメントの状態で織物、編物など
とし、同様に靴下や肌着、下着、サポーター、ズボン、
タイツ、ストッキング、Yシャツ、Tシャツ、セータ
ー、トレーナー、スウェット、スーツ、ジャンパー、ジ
ャケット、コート、手袋、帽子、マフラーなどとして用
いることも可能である。また、綿の状態で布団やコー
ト、ジャンパー、ジャケットなどの中綿として用いるこ
とも可能である。また、不織布の状態で毛布などとして
用いることも可能である。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本願発明はそれら実施例に限定されるものではな
い。
【0063】実施例1 繊度2.0d、カット長51mm、捲縮数14個/inch
のPPS短繊維(東レ(株)製"トルコン")を用い、単
糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸を得た。この紡績
糸を用いて、平織りして、PPS紡績糸平織物を得た。
他方、この織物の重量を基準として、紫外線吸収剤であ
る2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−
5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル分散化物2重量部(分散化物全重量のうち、該クロロ
ベンゾトリアゾールを30重量%含有する)、および分
散剤である(サンソルトRM340(日華化学(株)製:
ポリオキシアルキレン・スチレンオキサイド付加物の硫
酸化物およびスチレン化フェノールエチレンオキサイド
付加物の脂肪酸エステル)1重量部、および水2000
重量部を混合して処理液を調製した。この処理液を含む
浴に、上記PPS紡績糸平織物を、140℃の温度で4
5分間浸漬し、その後水洗して風乾させることにより、
処理済PPS紡績糸平織物を得た。
【0064】実施例2 実施例1と同様のPPS紡績糸織物を用い、この織物を
処理する処理液中の紫外線吸収剤である2−(2'−ヒ
ドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール分散化物の含有量
を4重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法に
て、処理済PPS紡績糸平織物を得た。
【0065】実施例3 実施例1と同様のPPS紡績糸織物を用い、実施例1で
調製した処理液に、さらにカバリング剤であるベンジル
ベンゾエート乳化物4重量部(実施例1と同様、織物の
重量を基準とする)を添加した、新たな処理液を調製し
た。この処理液に、PPS紡績糸平織物を120℃の温
度で45分間浸漬したこと以外は、実施例1と同様にし
て処理済PPS紡績糸平織物を得た。
【0066】実施例4 実施例1と同様のPPS紡績糸平織物を用い、この織物
の重量を基準として、紫外線吸収剤である2−(2'−
ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール分散化物2重量
部(分散化物全重量のうち、該クロロベンゾトリアゾー
ルを30重量%含有する)、および分散剤である(サン
ソルトRM340(日華化学(株)製:ポリオキシアルキ
レン・スチレンオキサイド付加物の硫酸化物およびスチ
レン化フェノールエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エ
ステル)1重量部、およびカバリング剤であるベンジル
ベンゾエート乳化物4重量部、さらには分散染料である
(ダイアニックスレッドAC−E(ダイスター社製))
3.3重量部および水2000重量部を混合して処理液
を調製した。この処理液からなる処理浴に、上記PPS
紡績糸平織物を120℃の温度で45分間浸漬し、その
後水洗して風乾させることにより、処理済PPS紡績糸
平織物を得た。
【0067】比較例1 実施例1のPPS紡績糸平織物を未処理のままで評価を
行った。以上の5種類の平織物を、スガ試験機株式会社
製密閉式紫外線オートフェードメーター(型式FAL−
AU・B型)を用い、上述のJIS L 0842に規
定の紫外線カーボンアーク灯光法の第3露光法に基づく
測定による耐光堅牢度により、耐光堅牢度を評価した。
この結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】この結果からわかるように、実施例1〜4
のPPS紡績平織物の耐光堅牢度は、比較例1に比べ
て、良好であり、紫外線による変色が極めて少なかっ
た。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、耐光堅牢度に優れてい
るため、屋外における使用においても変色の少ないPP
S部材を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 中原 誠 滋賀県大津市大江1丁目1番1号東レ株式 会社瀬田工場内 (72)発明者 久保 賢三 大阪府大阪市北区堂島1丁目6番20号東レ 株式会社大阪本社内 (72)発明者 山本 英行 滋賀県大津市大江1丁目1番1号東レ株式 会社瀬田工場内 (72)発明者 伊藤 龍太郎 大阪府大阪市西区新町1丁目1番17号長瀬 カラーケミカル株式会社内 (72)発明者 角 幸司 大阪府大阪市西区新町1丁目1番17号長瀬 カラーケミカル株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CN011 EE036 EU176 EV236 FD010 FD056 FD090 GK01 4L033 AA06 AB05 AB06 AB07 AC15 BA09 BA56 4L035 JJ16 JJ21 MF02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS L−0842に基づいて測定さ
    れる紫外線カーボンアーク灯光に対する耐光堅牢度が1
    級以上であることを特徴とするポリフェニレンサルファ
    イド部材。
  2. 【請求項2】 前記耐光堅牢度が2級以上であることを
    特徴とする請求項1記載のポリフェニレンサルファイド
    部材。
  3. 【請求項3】 前記耐光堅牢度が3級以上であることを
    特徴とする請求項1記載のポリフェニレンサルファイド
    部材。
  4. 【請求項4】 前記ポリフェニレンサルファイド部材が
    繊維であることを特徴とする請求項1記載のポリフェニ
    レンサルファイド部材。
  5. 【請求項5】 下記一般式(I)で表される化合物およ
    び下記一般式(II)で表される化合物から選択される
    少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴と
    する請求項1記載のポリフェニレンサルファイド部材。 【化1】 (ここで、R1 は水素原子または水酸基であり、R2
    水酸基、あるいは1個〜12個の炭素原子を有する直鎖
    状のまたは分岐鎖状のアルキルオキシ基であり、R3
    水素原子または−SO3 Hであり、R4 は水素原子また
    は−OCH3 であり、そしてR5 は水素原子または水酸
    基である) 【化2】 (ここで、R6 は水素原子であるかあるいは1個〜5個
    の炭素原子を有する直鎖状のまたは分岐鎖状のアルキル
    基であり、R7 は1個〜5個の炭素原子を有する直鎖状
    のまたは分岐鎖状のアルキルであり、そしてR8 は水素
    原子または塩素原子である)
  6. 【請求項6】 前記紫外線吸収剤が、2−(2'−ヒド
    ロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニ
    ル)−5−クロロベンゾトリアゾールである請求項5記
    載のポリフェニレンサルファイド部材。
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