JP2017179632A - 抗菌性撥水布帛、それを用いてなる雨具及び衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた抗菌防臭性(生乾き臭の抑制)、撥水性及び紫外線遮蔽性の何れにも優れる布帛を提供する【解決手段】構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含み、下記(1)〜(3)を満足する抗菌性撥水布帛。織物には撥水剤と抗菌剤とが固着されており、織物のカバーファクターが1500以上3000以下である。(1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上、(2)JIS L 1092(スプレー法)に基づく撥水性が3級以上、(3)紫外線遮蔽率が90%以上【選択図】なし
Description
本発明は、撥水性及び紫外線遮蔽性に優れ、かつ生乾き臭を抑制し得る抗菌性撥水布帛、それを用いてなる雨具及び衣服に関する。
ポリエステル系繊維を含む布帛は、耐久性、防シワ性、又は防縮性に優れるため、各種用途において幅広く利用されている。近年、臭いに対する関心が高まっているなかで、住宅環境又はライフスタイルの変化により、洗濯後の衣料を部屋干し乾燥する機会が増えている。しかし、衣料を部屋干しした場合は、いわゆる部屋干し臭と呼ばれる生乾き臭が発生することが多く、その改善が求められている。
例えば、傘又はレインコートなどの雨具、ウインドブレーカーなどの衣料においても、洗濯後又は実使用後に、濡れたまま放置していると、生乾き臭が発生する問題がある。特に、天候の変化が激しく水及び紫外線に曝される環境下で使用される、晴雨兼用傘などに関しては、撥水性及び紫外線遮蔽性に優れ、さらに生乾き臭の抑制性にも優れることが重要である。
こうした現状に対して、衣料に対して抗菌剤又は消臭剤等を付与し、臭いを抑制する方法が様々に検討されている。例えば特許文献1では、洗濯した脱水後の繊維製品に対して、特定の抗菌剤をスプレーで噴霧し接触させることで、生乾き臭を抑制する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、洗濯のたびに抗菌剤をスプレー噴射しなければならず、手間がかかるばかりか、抗菌性を維持することが困難である。そこで、特許文献2では、撥水剤が付与された繊維布帛に対して、光触媒半導体をマイクロカプセル化しコーティングすることで、耐久性のある消臭、抗菌、又は抗カビ性に優れた撥水機能を発現させている。しかし、特許文献2の課題はたばこ臭に関する防臭性であり、生乾き臭の抑制に関してはまったく検討されていない。
特許文献3では、吸水速乾性に優れる織編物に対して金属組成物を含む抗菌剤を付与することで洗濯乾燥性を向上させて、生乾き臭又は汗臭を抑制し得る衣料用織編地が得られている。しかしながら、特許文献3では、撥水性、防臭性および紫外線遮蔽性を同時に向上させようとすることについては何ら記載されていない。
また、特許文献4では、材料部品に光触媒を使用した傘が記載されている。特許文献5には合成樹脂多層フィルムシートを使用した晴雨兼用傘が提案されている。しかし特許文献4又は5の技術を用いたとしても、所望の撥水性及び紫外線遮蔽性に加え、生乾き臭に対する防臭性は不十分である。
本発明は、このような現状に鑑み、ポリエステル系繊維を主たる構成成分とし、優れた抗菌防臭性(生乾き臭の抑制)、撥水性及び紫外線遮蔽性の何れにも優れる布帛を提供することを目的とするものである。
本発明者は、ポリエステル系繊維を主たる構成繊維とする織物において、その構成を特定のものとすることで、撥水性と紫外線遮蔽性とに優れ、さらに生乾き臭の原因菌(モラクセラ菌)に対して殺菌力を有する抗菌剤が固着されていることで、雨具又は衣料などを水に塗れたまま放置したり、部屋干ししたりしても、生乾き臭を抑制できることを初めて見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(I)〜(VI)を要旨とする。
(I)構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含む抗菌性撥水布帛であって、前記織物の少なくとも片面には撥水剤と抗菌剤とが固着されており、前記織物のカバーファクターが1500以上3000以下であり、下記(1)〜(3)を満足する、抗菌性撥水布帛。
(1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上である。
(2)JIS L 1092(スプレー法)に基づく撥水性が3級以上である
(3)分光光度計にて測定された紫外線透過率から、下記式によって求められる紫外線遮蔽率が90%以上である。
紫外線遮蔽率(%)=100−(紫外線透過率)
(II)前記ポリエステル系繊維の単糸繊度が0.2〜1.5dtexである、(I)の抗菌性撥水布帛。
(I)構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含む抗菌性撥水布帛であって、前記織物の少なくとも片面には撥水剤と抗菌剤とが固着されており、前記織物のカバーファクターが1500以上3000以下であり、下記(1)〜(3)を満足する、抗菌性撥水布帛。
(1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上である。
(2)JIS L 1092(スプレー法)に基づく撥水性が3級以上である
(3)分光光度計にて測定された紫外線透過率から、下記式によって求められる紫外線遮蔽率が90%以上である。
紫外線遮蔽率(%)=100−(紫外線透過率)
(II)前記ポリエステル系繊維の単糸繊度が0.2〜1.5dtexである、(I)の抗菌性撥水布帛。
(III)厚みが0.1〜0.5mmである、(I)又は(II)の抗菌性撥水布帛。
(IV)前記抗菌剤が金属酸化物を含むものであり、さらに前記織物の全質量に対し0.1〜1質量%の割合で固着されている、(I)〜(III)の何れかの抗菌性撥水布帛。
(IV)前記抗菌剤が金属酸化物を含むものであり、さらに前記織物の全質量に対し0.1〜1質量%の割合で固着されている、(I)〜(III)の何れかの抗菌性撥水布帛。
(V)(I)〜(IV)の何れかの抗菌性撥水布帛を用いてなる、雨具。
(VI)(I)〜(IV)の何れかの抗菌性撥水布帛を用いてなる、衣服。
(VI)(I)〜(IV)の何れかの抗菌性撥水布帛を用いてなる、衣服。
本発明の抗菌性撥水布帛は、生乾き臭の原因菌であるモラクセラ菌に対する殺菌力を有する抗菌剤が固着されているため、雨具又は衣料などに用いられた場合に、使用後又は洗濯後に塗れたまま放置しても、生乾き臭を抑制することができる。さらに、本発明の布帛は撥水性に優れるため、上記の雨具若しくは衣料を使用した後、又は洗濯した後に水滴を簡単に振り払うことができるため、生乾き臭をいっそう抑制することができる。さらに本発明の抗菌性撥水布帛は紫外線遮蔽性にも優れるため、天候の変化が激しく、雨又は紫外線が多い夏場の屋外での使用にも十分耐えることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の抗菌性撥水布帛は、構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含み、この織物の少なくとも片面に対して撥水剤と抗菌剤とが固着されてなる。ポリエステル系繊維を主たる構成繊維とすることで、耐久性、防臭性および撥水性に優れるものとなる。ポリエステル系繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、又はポリ乳酸などのポリエステルを主たる原料とするマルチフィラメント糸、又は短繊維であり、二酸化チタン、二酸化ケイ素又は顔料などの各種添加剤を含んでいてもよい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸のみを構成繊維とした場合は、例えば、ポリエステル短繊維を含む紡績糸などを含む場合と比較して、織物の空隙をより低減できるため、いっそう紫外線遮蔽性に優れるものとなる。
本発明の抗菌性撥水布帛は、構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含み、この織物の少なくとも片面に対して撥水剤と抗菌剤とが固着されてなる。ポリエステル系繊維を主たる構成繊維とすることで、耐久性、防臭性および撥水性に優れるものとなる。ポリエステル系繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、又はポリ乳酸などのポリエステルを主たる原料とするマルチフィラメント糸、又は短繊維であり、二酸化チタン、二酸化ケイ素又は顔料などの各種添加剤を含んでいてもよい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸のみを構成繊維とした場合は、例えば、ポリエステル短繊維を含む紡績糸などを含む場合と比較して、織物の空隙をより低減できるため、いっそう紫外線遮蔽性に優れるものとなる。
ポリエステル系繊維の総繊度は、撥水性と風合いとのバランスにより優れるために、50〜150dtexが好ましく、55〜140dtexがより好ましい。ポリエステル系繊維の単糸繊度は、0.2〜1.5dtexが好ましく、0.3〜1dtexがより好ましい。単糸繊度が1.5dtex以下であると織物表面における単糸の浮き出しが抑制されるために、織物表面と水との接触面積がより小さくなることで、撥水性にいっそう優れる。一方、0.2dtex以上であると、風合いが適度な硬さとなりシワになりにくいという利点がある。ポリエステル系繊維を構成する単糸について、長手方向における断面形状は特に限定されるものでなく、丸断面であってもよいし、異型断面であってもよい。
織物は、ポリエステル系繊維(マルチフィラメント、短繊維)を50質量%以上含み、80質量%以上含むことが好ましく、100質量%含むことが最も好ましい。織物中に含まれていてもよいポリエステル系繊維以外の繊維として、綿、麻、羊毛、カシミア、絹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、ハイウェットモジュラスレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルなどの再生繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11などのポリアミド繊維、及びポリアクリロニトリル、モダクリル(登録商標:カネカロン)などのアクリル繊維が挙げられる。
織物の組織は、特に限定されず、例えば、平織、綾織、朱子織などの三原組織及びその変化組織、経二重織、緯二重織等の片二重組織及び経緯二重織などが採用できる。こうした織物は、例えばウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、フライシャトル織機等で得ることができる。
本発明において織物は高密度に織布されたものであることが必要であり、詳しくは織物カバーファクター(CF)が1500以上3000以下であることが必要であり、1800〜2500であることが好ましい。CFがこの範囲を満足することにより、撥水性と紫外線遮蔽特性とに顕著に優れた布帛が得られる。詳しくは、織物のCFが1500未満であると密度が低下するため、織物組織の拘束力が弱くなり、織物の空隙が多くなって所望の撥水性を達成出来ないばかりか、紫外線を透過させ易くなるため、紫外線遮蔽性が低下してしまい、後述の紫外線遮蔽率90%以上を達成することができない。また、CFが3000を超えると、織物は過度に密に詰まってしまい、織物の滑脱抵抗が増加することで引裂強力が低下する。またCFをこの範囲にするために、例えば、構成繊維の総繊度、糸密度などを調節することができる。
本発明において、織物のカバーファクター(CF)は下記(イ)式より求めることができる。
CF=X√D1+Y√D2 (イ)
X:織物1インチ当りの経糸本数
Y:織物1インチ当りの緯糸本数
D1:織物構成経糸の繊度(dtex)
D2:織物構成緯糸の繊度(dtex)
CF=X√D1+Y√D2 (イ)
X:織物1インチ当りの経糸本数
Y:織物1インチ当りの緯糸本数
D1:織物構成経糸の繊度(dtex)
D2:織物構成緯糸の繊度(dtex)
本発明の抗菌性撥水布帛の厚みは、0.1〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.4mmであることがより好ましい。厚みが0.1mm以上であると、紫外線遮蔽性により優れるものとなり、90%以上の紫外線遮蔽率を達成し易くなる。また0.5mm以下であると軽量感に優れるものとなり、例えば傘地又はウインドブレーカーのような薄さと軽量性とが要望される用途に、より好適となる。
本発明の抗菌性撥水布帛においては、上記の織物に撥水剤が固着している。撥水剤としてはシリコン系化合物又はフッ素系化合物等の公知の撥水剤が挙げられる。特にポリエステル系繊維に対する撥水剤の洗濯耐久性の観点から、フッ素系撥水剤が好ましい。環境配慮の観点から、炭素数が6以下のフルオロアルキルアクリレート基を有するフッ素系撥水剤がより好ましい。特に、フッ素原子と炭素原子4〜6個が結びついたC4〜6有機フッ素化合物(C4〜C6)を主成分とするフッ素系撥水剤がより好ましく、パーフルオロヘキサン酸(C6)系撥水剤が好ましく、PFOA(パーフルオロオクタン酸)を実質的に含有しないことが好ましい。PFOA(パーフルオロオクタン酸)を実質的に含有しないフッ素系撥水剤としては、例えば、アサヒガードEシリーズ(旭硝子株式会社製)、NKガードSシリーズ(日華化学株式会社製)、ユニダインマルチシリーズ(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
撥水剤の固着量は、後加工後の織物100質量%に対して、固形分質量で0.3〜1質量%であることが好ましく、0.3〜0.7質量%であることがより好ましい。0.3質量%以上であると撥水性(所望の撥水度)により優れるものとなり、一方1.0質量%を超えると、染色堅牢度を招くとともにコストアップの問題が発生する場合がある。
本発明の抗菌性撥水布帛は、生乾き臭の抑制効果に優れている。具体的には、家庭洗濯10回後、ライン乾燥した後のモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上である。ここで、家庭洗濯はJIS L0217 103法に従うものであり、ライン乾燥はJIS L1096 8.24.1Aの記載に従うものであり、モラクセラ菌の殺菌活性値はJIS L 1902に記載の菌液吸収法に従うものである。ここでモラクセラ菌の殺菌活性値がマイナス表示であればモラクセラ菌が増殖していることを意味し、この状態では、部屋干し臭や生乾き臭の発生を抑制することができない。なお、本発明においては、通常の防臭性にも優れる観点から、黄色ブドウ状球菌又は肺炎桿菌に対する殺菌活性値についても、各々0以上であることがさらに好ましい。
モラクセラ菌とは、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)のことであり、洗濯物を部屋干ししたときに発生する生乾き臭の原因菌とされている。モラクセラ菌によって雑巾のような悪臭を発生する4−メチル−3−ヘキセン酸という物質が生成されるため、部屋干し臭又は生乾き臭を抑えるには、モラクセラキンの増殖を抑える必要がある。本発明においては、好ましい抗菌剤を織物に固着することで、モラクセラ菌の発生及び増殖を効果的に抑制し、生乾き臭を軽減することができる。
抗菌剤としては様々なものが公知であるが、本発明の抗菌性撥水布帛に固着される抗菌剤としては、ポリエステル系繊維においてモラクセラ菌の発生および増殖を抑制する観点から、金属酸化物からなる抗菌剤が好適である。具体的には酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素、酸化銅、酸化鉄、又はアルミナ等からなる抗菌剤が挙げられる。抗菌剤の固着量は、後加工後の布帛100質量%に対して0.1〜1質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜0.7質量%の範囲がより好ましい。固着量が0.1質量%以上であると抗菌性(所望の殺菌活性値)により優れるものとなり、一方、1質量%を超えると、抗菌性に対しての効果が飽和するばかりかコストが高くなり、加えて変色が発生しやすくなる場合がある。
さらに本発明の抗菌性撥水布帛は、JIS L 1092(スプレー法)に従う撥水性が3級以上である。撥水性が3級未満の場合、撥水性に乏しく、水に曝される環境で使用(例えば、雨天時又は降雪時に使用)される用途に適さないばかりか、布帛表面における水の残存量が多くなるため、生乾き臭の抑制効果が不十分となる。つまり、本発明においては、撥水性と抗菌性とを所定の範囲まで向上させることで、生乾き臭に関する防臭性に優れるという相乗効果が奏される。
本発明の抗菌性撥水布帛は、紫外線遮蔽率が90%以上であることが必要であり、95%以上であることが好ましい。紫外線遮蔽率は、分光光度計を使用して生地に照射した紫外線(280〜400nm)波長の透過率を測定し、その透過率を用いて下記式(ロ)により求められるものである。遮蔽率が90%未満であると、紫外線遮蔽性が十分発揮されず、晴天時の屋外など紫外線の影響を受けやすい環境下での使用に不適なものとなる。
紫外線遮蔽率(%)=100−紫外線透過率(%) (ロ)
紫外線遮蔽率(%)=100−紫外線透過率(%) (ロ)
上記の紫外線遮蔽率を達成するための手法として、例えば、織物において主体となる構成繊維として好ましい態様のポリエステル系繊維を採用したり、織物のCFを特定範囲としたり、又は布帛表面のL*値を40以下に調整したりすることができる。L*値は色の明るさの指標であり、例えば、染色加工時の染料の種類又は濃度を適宜に設定することで調整することができる。L*値が0に近いほどより濃色であることを示し、100に近いほどより淡色であることを示す。なお、L*値は、分光色差計を用いて測定することができる。
次に、本発明の抗菌性撥水布帛の製造方法の一例について以下に述べる。
まず、ポリエステル系繊維を用いて織物を得る。織物は、常法によって得ることができ、例えば、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、又はフライシャトル織機等を用いて製織することができる。
まず、ポリエステル系繊維を用いて織物を得る。織物は、常法によって得ることができ、例えば、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、又はフライシャトル織機等を用いて製織することができる。
織物には後加工が施されていてもよい。後加工としては、例えば糊抜き精練、漂白、シルケット加工などが挙げられる。また、本発明においては、布帛表面のL値を低下させて90%の紫外線遮蔽散率を達成するために、染色加工を施すことが好ましい。具体的には、通常の糊抜き精練を行った後にリラックス処理を行い、プレセットを行った後、高圧液流染色等を用いて染色を施すことができる。染色方法としては、例えば、先染めによる方法、又は後染めによる方法が挙げられる。
後加工、及び必要に応じて染色を施した後、織物に対して撥水剤と抗菌剤とを付与し固着させる。織物に対して撥水剤と抗菌剤とを付与するには、撥水剤を含む分散液と抗菌剤を含む分散液とを各々調製し、一方の分散液に織物を含浸し、次いで絞液、乾燥、熱処理を施した後に他方の液分散に含浸し、次いで絞液、乾燥、熱処理を施す方法(別浴で含浸する2段法)を採用してもよいし、または撥水剤と抗菌剤とを含む分散液を調製し、この分散液に織物を含浸し、次いで絞液、乾燥、熱処理する方法(同浴で含浸する方法)を採用してもよい。前者の方法で得られた本発明の抗菌性撥水布帛においては、織物上に撥水剤を含有する層(撥水層)と抗菌剤を含有する層(抗菌層)とが別々に形成された構成となる。後者の方法で得られた本発明の抗菌性撥水布帛は、織物上に、撥水剤と抗菌剤とを含有する層(抗菌撥水層)が形成された構成となる。
絞液時の絞り率は、35〜110%の範囲が好ましい。乾燥条件は、温度80〜140℃、時間1〜10分の範囲が好ましい。また、熱処理はピンテンター等の通常の熱処理機を使用して行えばよく、その条件としては温度150〜190℃、時間30〜300秒の範囲が好ましい。ここで熱処理温度が150℃以上であると、撥水剤の架橋が十分となり撥水性により優れるものとなる。一方、190℃を超えると、強度低下又は変色が生じる場合がある。
撥水剤及び抗菌剤の付与に際し、抗菌性の洗濯耐久性向上のためにアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂若しくはポリエステル樹脂等のバインダーの樹脂、又はメラミン樹脂からなる架橋剤を併用してもよいし、風合い調整のために柔軟剤又は硬味剤を併用してもよい。
本発明においては、撥水性、耐水性をさらに高めるために、カレンダー加工が施されていてもよい。または同様の理由から、一方の面にコーティングが施されていてもよい。こうした処理は通常の方法で行うことができ、例えば、カレンダー加工としては、加熱された熱スチールロールと、紙製又は樹脂製の対向ロールと、の間に織物を通過させる方法が挙げられる。またコーティング法としては、ナイフコーターを用い、布帛片面に樹脂をコーティングする方法が挙げられる。
上記のような本発明の抗菌性撥水布帛は、撥水性と紫外線遮蔽性とに優れ、さらに生乾き臭を抑制することができる。そのため、雨又は雪のような水分に曝され、かつ紫外線の影響を受けやすい屋外の環境で使用される用途に好適であり、具体的には、雨具(例えば、雨傘又は晴雨兼用傘の傘地、レインコート、ベビーカー用雨カバー、鞄カバー)、衣料(例えば、スポーツウエア、ウインドブレーカー、ダウンジャケット)、又はテント、タープ、寝袋などのアウトドア用品、各種の保護シートなどの資材に好適に用いることができる。
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。なお、布帛の評価又は測定は、以下の方法により行った。
[抗菌性(殺菌活性値)]
未洗濯の布帛と、JIS L 0217 103法に従って洗濯を10回施した後、ライン乾燥した布帛とを準備した。各々の布帛に対し、JIS L 1902に記載の菌液吸収法に基づき、モラクセラ菌の殺菌活性値を測定した。
未洗濯の布帛と、JIS L 0217 103法に従って洗濯を10回施した後、ライン乾燥した布帛とを準備した。各々の布帛に対し、JIS L 1902に記載の菌液吸収法に基づき、モラクセラ菌の殺菌活性値を測定した。
[撥水性(撥水度)]
JIS L 1092(スプレー法)に従って測定した。
JIS L 1092(スプレー法)に従って測定した。
[紫外線遮蔽性(紫外線遮蔽率)]
分光光度計(島津製作所製「SIMAZU UV−3100PC」)を使用し、布帛に紫外線(280〜400nm)を照射して、その紫外線透過率を測定した。測定した紫外線透過率を用い、下記式(ロ)により紫外線遮蔽率を算出した。
紫外線遮蔽率(%)=100−紫外線透過率(%) (ロ)
分光光度計(島津製作所製「SIMAZU UV−3100PC」)を使用し、布帛に紫外線(280〜400nm)を照射して、その紫外線透過率を測定した。測定した紫外線透過率を用い、下記式(ロ)により紫外線遮蔽率を算出した。
紫外線遮蔽率(%)=100−紫外線透過率(%) (ロ)
[L*値、a値、b値]
分光光度計(X−Rite社製「Color−Eye 3100」)を用いて測定した。
なお、a値、b値はともに色相を示すものである。色座標aは緑〜赤色を示すものであり、a値が負の範囲であると緑系の色を示し、正の範囲であると赤系の色を示す。色座標bは青〜黄色を示すものであり、b値が負の範囲であると青系の色を示し、正の範囲であると黄系の色を示す。a値およびb値ともに、絶対値が大きいほど、彩度が高いことを示す。
分光光度計(X−Rite社製「Color−Eye 3100」)を用いて測定した。
なお、a値、b値はともに色相を示すものである。色座標aは緑〜赤色を示すものであり、a値が負の範囲であると緑系の色を示し、正の範囲であると赤系の色を示す。色座標bは青〜黄色を示すものであり、b値が負の範囲であると青系の色を示し、正の範囲であると黄系の色を示す。a値およびb値ともに、絶対値が大きいほど、彩度が高いことを示す。
[抗菌剤、撥水剤の織物に対する固着率(固着量)]
下記式に基づいて算出した。
固着率(固着量)(%)=[(処方液中の薬剤濃度/100)×(絞り率/100)×(薬剤の固形分濃度/100)]×100
下記式に基づいて算出した。
固着率(固着量)(%)=[(処方液中の薬剤濃度/100)×(絞り率/100)×(薬剤の固形分濃度/100)]×100
(実施例1)
経糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/36f)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(140dtex/416f)を用い、平織物を製織して織物を得た。この織物に対し常法に従って精練を行った。次いで、ピンテンターを用いて190℃で30秒間のプレセットを行った。その後、下記染色処方1にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行い、ベージュ色の織物を得た。
<染色処方1>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.02%o.m.f
KAYALON POLYESTER RUBIN 3GL−S 0.01%o.m.f
KAYALON POLYESTER BLUE T−S 0.03%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
経糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/36f)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(140dtex/416f)を用い、平織物を製織して織物を得た。この織物に対し常法に従って精練を行った。次いで、ピンテンターを用いて190℃で30秒間のプレセットを行った。その後、下記染色処方1にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行い、ベージュ色の織物を得た。
<染色処方1>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.02%o.m.f
KAYALON POLYESTER RUBIN 3GL−S 0.01%o.m.f
KAYALON POLYESTER BLUE T−S 0.03%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
次に、下記分散液処方1の分散液を調製し、得られた織物を分散液に浸漬した。その後、マングルを使用して絞り率40%で絞液し、ピンテンターにて130℃で2分間の乾燥を行った。次いで、170℃で1分間の熱処理を行った。その後、160℃でカレンダー加工を行って、実施例1の抗菌性撥水布帛(経糸密度118本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cm、カバーファクター2087)を得た。
<分散液処方1>
アモルデンNAZ−30 30g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
アモルデンNAZ−30 30g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
(実施例2)
経糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/48f)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(78dtex/48f)を用い、平織物を製織して織物を得た。この織物に対して常法に従って精練を行い、テンターを用いて190℃で30秒間のプレセットを行った。その後、下記染色処方2にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行って紺色の織物を得た。
<染色処方2>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.02%o.m.f
KAYALON POLYESTER NAVY BLUE GX−SF 4.95%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
経糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/48f)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(78dtex/48f)を用い、平織物を製織して織物を得た。この織物に対して常法に従って精練を行い、テンターを用いて190℃で30秒間のプレセットを行った。その後、下記染色処方2にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行って紺色の織物を得た。
<染色処方2>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.02%o.m.f
KAYALON POLYESTER NAVY BLUE GX−SF 4.95%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
次に、上記分散液処方1と同一処方の分散液を調製し、得られた織物を分散液に浸漬した。その後、実施例1と同様にマングルを用いて絞り率40%で絞液し、ピンテンターにて130℃で2分間の乾燥を行った。ついで、170℃で1分間の熱処理を施した後、160℃でカレンダー加工を行い、実施例2の抗菌性撥水布帛(経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度127本/2.54cm、カバーファクター2441)を得た。
(実施例3)
経糸としてポリエステル短繊維(単糸繊度:0.3dtex、平均繊維長:38mm)65質量%と、綿糸35質量%とからなる混紡糸(65番手)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/72f)を用いて、平組織の織物を製織した。次いで、この織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白を施した。その後、下記染色処方3にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行った。その後、染色後排液、ソーピング、還元洗浄を行った。次いで、染色処方4にて常法に従い、液流染色機を用いて80℃で40分間の条件で綿を染色し、カーキ色の織物を得た。なお、この織物においてポリエステル系繊維(マルチフィラメント、短繊維)の合計含有率は80質量%であった。
<染色処方3>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYACELON YELLOW E−BRL conc 0.70%o.m.f
KAYACELON RED E−GL 0.20%o.m.f
KAYACELON BLUE E−BR 0.80%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
<染色処方4>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の反応染料)
KAYACION YELLOW E−CM 0.34%o.m.f
KAYACION BROWN E−LE conc 0.79%o.m.f
KAYACION MARINE E−LE conc 0.31%o.m.f
(助剤)
無水芒硝(硫酸ナトリウム) 60g/L
ソーダ灰(炭酸ナトリウム) 20g/L
経糸としてポリエステル短繊維(単糸繊度:0.3dtex、平均繊維長:38mm)65質量%と、綿糸35質量%とからなる混紡糸(65番手)を用い、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex/72f)を用いて、平組織の織物を製織した。次いで、この織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白を施した。その後、下記染色処方3にて常法に従い、液流染色機を用いて130℃で30分間の条件で染色を行った。その後、染色後排液、ソーピング、還元洗浄を行った。次いで、染色処方4にて常法に従い、液流染色機を用いて80℃で40分間の条件で綿を染色し、カーキ色の織物を得た。なお、この織物においてポリエステル系繊維(マルチフィラメント、短繊維)の合計含有率は80質量%であった。
<染色処方3>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYACELON YELLOW E−BRL conc 0.70%o.m.f
KAYACELON RED E−GL 0.20%o.m.f
KAYACELON BLUE E−BR 0.80%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
<染色処方4>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の反応染料)
KAYACION YELLOW E−CM 0.34%o.m.f
KAYACION BROWN E−LE conc 0.79%o.m.f
KAYACION MARINE E−LE conc 0.31%o.m.f
(助剤)
無水芒硝(硫酸ナトリウム) 60g/L
ソーダ灰(炭酸ナトリウム) 20g/L
次に、上記分散液処方1と同一組成の分散液を調製し、得られた織物を分散液に浸漬した。その後、実施例1と同様に、マングルを使用して絞り率40%で絞液し、ピンテンターにて130℃で2分間の乾燥を行った。次いで、170℃で1分間の熱処理を施し、実施例3の抗菌性撥水布帛(経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度98本/2.54cm、カバーファクター2119)を得た。
(比較例1)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方2で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例1の布帛を得た。
<分散液処方2>
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方2で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例1の布帛を得た。
<分散液処方2>
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
(比較例2)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方3で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例2の布帛を得た。
<分散液処方3>
アモルデンNAZ−30 30g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方3で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例2の布帛を得た。
<分散液処方3>
アモルデンNAZ−30 30g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
(比較例3)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方4で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3の布帛を得た。
<分散液処方4>
アモルデンNAZ−30 5g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
上記分散液処方1で示す組成の分散液を、下記分散液処方4で示す組成の分散液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3の布帛を得た。
<分散液処方4>
アモルデンNAZ−30 5g/L
(大和化学工業株式会社製の酸化亜鉛系抗菌剤、固形分濃度:30質量%)
ファイコート70K 30g/L
(大和化学工業株式会社製のアクリル系樹脂、固形分濃度:25質量%)
アサヒガードLSE009 50g/L
(明成化学工業株式会社製のフッ素系撥水剤、固形分濃度:18質量%)
ベッカミンM−3 5g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂、固形分濃度:80質量%)
キャタリストACX 3g/L
(DIC株式会社製のメラミン樹脂用触媒、固形分濃度:35質量%)
(比較例4)
実施例2の染色を、Hakkol STB(昭和化学株式会社製の蛍光増白剤)を1%o.m.fの濃度で用い、白色染色に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4の布帛を得た。
実施例2の染色を、Hakkol STB(昭和化学株式会社製の蛍光増白剤)を1%o.m.fの濃度で用い、白色染色に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4の布帛を得た。
(比較例5)
経糸及び緯糸として、それぞれ綿紡績糸(40番手)を用い、平組織の織物を製織した。この織物に対し、通常の糊抜き精練、漂白及びシルケットを行った後、Hakkol BRK(昭和化学株式会社製の蛍光増白剤)を1%o.m.fの濃度で用い、通常の連続染色法にて白色染色した。その後、実施例3と同様の操作を行って加工し、比較例5の布帛(経糸密度68本/2.54cm、緯糸密度63本/2.54cm、カバーファクター1593)を得た。
経糸及び緯糸として、それぞれ綿紡績糸(40番手)を用い、平組織の織物を製織した。この織物に対し、通常の糊抜き精練、漂白及びシルケットを行った後、Hakkol BRK(昭和化学株式会社製の蛍光増白剤)を1%o.m.fの濃度で用い、通常の連続染色法にて白色染色した。その後、実施例3と同様の操作を行って加工し、比較例5の布帛(経糸密度68本/2.54cm、緯糸密度63本/2.54cm、カバーファクター1593)を得た。
(比較例6)
経糸、緯糸共にポリエステルマルチフィラメント糸(22dtex/48f)を用い、糸密度を(経糸密度176本/2.54cm、緯糸密度122本/2.54cm)に変更することで、カバーファクターが1398、厚みが0.05mmである織物とし、下記染色処方4にて通常の液流染色法を行ってチャコール色に変更した以外は、実施例1と同様の操作により比較例6の布帛を得た。
<染色処方4>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.65%o.m.f
KAYALON POLYESTER RUBIN 3GL−S 0.27%o.m.f
KAYALON POLYESTER NAVY BLUE GX−SF 0.41%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
経糸、緯糸共にポリエステルマルチフィラメント糸(22dtex/48f)を用い、糸密度を(経糸密度176本/2.54cm、緯糸密度122本/2.54cm)に変更することで、カバーファクターが1398、厚みが0.05mmである織物とし、下記染色処方4にて通常の液流染色法を行ってチャコール色に変更した以外は、実施例1と同様の操作により比較例6の布帛を得た。
<染色処方4>
(染料:何れも日本化薬株式会社製の分散染料)
KAYALON POLYESTER YELLOW BRL−S 0.65%o.m.f
KAYALON POLYESTER RUBIN 3GL−S 0.27%o.m.f
KAYALON POLYESTER NAVY BLUE GX−SF 0.41%o.m.f
(助剤)
ニッカサンソルト(日華化学株式会社製) RM−340 1g/L
酢酸 2cc/L
実施例1〜3及び比較例1〜6で得られた布帛に対し、抗菌性、撥水性及び紫外線遮蔽性を前述の評価方法で測定し、それらの結果を表1に併せて示した。
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた抗菌性撥水布帛は、抗菌性、撥水性、遮蔽性の何れにも優れていた。特に実施例1および2においては、カレンダー加工が施されていたために、撥水性により優れていた。また、実施例2の抗菌性撥水布帛はL*値がより高かったために、紫外線遮蔽性にいっそう優れていた。
比較例1で得られた布帛は、モラクセラ菌に対する殺菌性に優れた抗菌剤が固着されていないために所望の殺菌活性値を達成することができず、生乾き臭も発生していた。比較例2で得られた布帛においては、撥水剤が固着されていないために所望の撥水度を達成することができず、撥水性に劣っていた。比較例3で得られた布帛は、抗菌剤の固着量が少ないために、所望の殺菌活性値を達成することができず、生乾き臭も発生していた。
比較例4で得られた布帛は、実施例1と比較するとL*値が高いために所望の紫外線遮蔽率を達成することができず、紫外線遮蔽性に劣っていた。比較例5で得られた布帛は綿の紡績糸のみで構成された織物を用いたために、所望の撥水度を達成することができず撥水性に劣っていた。また、L*値が高いうえ、綿の紡績糸を用いたことで織物の空隙が多くなったため、紫外線遮蔽性にも劣っていた。
比較例6で得られた布帛はカバーファクターが過度に低かったため、所望の撥水度を達成することができず撥水性に劣っており、さらに実施例1と比較するとL*値は低かったものの紫外線遮蔽性に劣っていた。
Claims (6)
- 構成繊維としてポリエステル系繊維を50質量%以上含有する織物を含む抗菌性撥水布帛であって、
前記織物の少なくとも片面には撥水剤と抗菌剤とが固着されており、
前記織物のカバーファクターが1500以上3000以下であり、
下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする、抗菌性撥水布帛。
(1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L 1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上である。
(2)JIS L 1092(スプレー法)に基づく撥水性が3級以上である
(3)分光光度計にて測定された紫外線透過率から、下記式によって求められる紫外線遮蔽率が90%以上である。
紫外線遮蔽率(%)=100−(紫外線透過率) - 前記ポリエステル系繊維の単糸繊度が0.2〜1.5dtexであることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性撥水布帛。
- 厚みが0.1〜0.5mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌性撥水布帛。
- 前記抗菌剤が金属酸化物を含むものであり、さらに前記織物の全質量に対し0.1〜1質量%の割合で固着されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の抗菌性撥水布帛。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の抗菌性撥水布帛を用いてなることを特徴とする、雨具。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の抗菌性撥水布帛を用いてなることを特徴とする、衣服。
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JP2016065873A JP2017179632A (ja) | 2016-03-29 | 2016-03-29 | 抗菌性撥水布帛、それを用いてなる雨具及び衣服 |
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JP2019131944A (ja) * | 2018-01-26 | 2019-08-08 | 合名会社安田商店 | 内装織物 |
CN111877017A (zh) * | 2020-07-10 | 2020-11-03 | 温州厚德服饰有限公司 | 一种防水棉服 |
JP2021165442A (ja) * | 2020-04-06 | 2021-10-14 | 東洋紡Stc株式会社 | 紡績糸織物 |
CN113981719A (zh) * | 2021-11-30 | 2022-01-28 | 晋江市龙兴隆染织实业有限公司 | 一种天然环保抗菌面料的染整方法 |
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2016
- 2016-03-29 JP JP2016065873A patent/JP2017179632A/ja active Pending
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