JP6605266B2 - 衣料用布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭洗濯を繰り返しても防しわ性、防縮性に優れ、特に洗濯後の部屋干し臭等を効果的に抑えることのできる布帛に関するものである。
セルロース短繊維からなる布帛は、吸水、吸湿性に優れ、風合いにも優れるため、衣料用途を中心に幅広く使用されている。しかし、セルロース短繊維からなる布帛には、洗濯するとしわが入り易く、収縮し易いという欠点がある。加えて、最近ではライフスタイルの変化により、衣服を洗濯後、部屋干し乾燥する機会が増えている。しかし、衣服を部屋干しすると、部屋干し臭や生乾き臭が発生することがあり、その改善が求められている。
そこで、架橋改質されたセルロース系繊維に抗菌性樹脂を付与した布帛が(例えば特許文献1)、吸水性と速乾性とを改良しかつ抗菌防臭性や消臭性も兼ね備える綿紡績糸編物が(例えば、特許文献2)それぞれ提案されている。さらに、部屋干し臭や生乾き臭の抑制については、例えば特許文献3において、生乾き臭の抑制評価方法が提案され、さらに、特許文献4には、具体的にセルロース短繊維から構成される衣料の部屋干し臭を抑制する技術が提案されている。
特開2000−129575号公報 特開2010−275653号公報 特許第5591981号公報 実用新案登録第3187759号公報
しかしながら、特許文献1、2記載の発明は、セルロース系繊維を架橋することにより防しわ性、防縮性を改良し、かつ抗菌防臭性をも発現するものであるが、部屋干し臭や生乾き臭の抑制については一切検討されていない。
また、特許文献3記載の発明では、部屋干し臭や生乾き臭の原因物質が4−メチル−3−ヘキサン酸にあり、この原因物質の発生源がモラクセラ菌にあることが特定されている。しかし、同文献には、セルロース繊維を使用した布帛にあって、モラクセラ菌の増殖を具体的に抑制する方法についてまでは記載されていない。そして、特許文献4記載の発明では、セルロース繊維を使用した布帛にあって部屋干し臭を抑える具体的な技術が記載されているものの、防しわ性、防縮性の付与については一切検討されていない。
本発明の課題は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、部屋干し臭や生乾き臭の抑制効果と共に、防しわ性、防縮性にも優れ、もって利便性に優れる衣服に好適な布帛を提供する点にある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明の要旨は以下の通りである。
すなわち、第一の発明としては、ポリエステル短繊維を芯部に配し、セルロース短繊維を鞘部に配してなる複重層糸から構成される布帛であって、金属酸化物からなる抗菌剤と、グリオキザール系樹脂、尿素ホルマリン系樹脂及びエチレン尿素系樹脂のいずれかを含む繊維素反応樹脂とを保持しており、以下の(1)〜(3)の構成を満足することを特徴とする衣料用布帛を要旨とする。
(1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が3.0以上である。
(2)JIS L1096 8.24.1A−1法に基づく洗濯を5回行い、その後JIS L1096 8.24.1A−1法2.1)の記載に基づきドリップ乾燥した後の、JIS L1096 8.24に基づく洗濯後のしわが級以上である。
(3)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1096 8.39.8記載のタテ方向およびヨコ方向における寸法変化率が%以下である。
さらに、第二の発明としては、さらに、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される1種以上の樹脂を保持することを特徴とする上記記載の衣料用布帛を要旨とする。
本発明によれば、部屋干し臭や生乾き臭の抑制効果に優れ、かつ防しわ性、防縮性にも優れる布帛が提供でき、本発明の布帛を使用することで利便性に優れる衣服が提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の布帛は、衣料用途全般に適用しうるものであり、中でもメンズ、レディス、スポーツ等のシャツ又はインナー用途等に好適に使用できるものである。本発明の布帛を使用することで、利便性に優れる衣服が提供できる。
本発明では、ポリエステル短繊維を芯部に配し、セルロース短繊維を鞘部に配してなる複重層糸を使用して布帛を構成する。まず、本発明で用いるポリエステル短繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸などから構成される短繊維があげられる。ポリエステル短繊維の断面形状としては、特に限定されるものでなく、また、繊維中には、二酸化チタン、二酸化ケイ素、顔料などが含まれていてもよい。さらに、繊維の単糸繊度、繊維長も特に限定されるものでなく、例えば単糸繊度としては0.6〜4.2dtexが、繊維長としては10〜50mmが各々好ましい。
一方、セルロース短繊維は、文字通りセルロースからなる短繊維をいう。セルロースとは、βグルコース分子の縮合体からなり、立体構造を有し逆配置になる2個のグルコースユニットを繰り返した構造を持つ高分子である。セルロース短繊維としては、綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテートなどから構成される短繊維があげられる。
また、繊維の混率としては、例えば、複重層糸100質量%に対してセルロース系繊維を55〜85質量%の範囲で含んでいることが好ましい。セルロース短繊維の混率が55質量%未満になると、布帛としたとき良好な肌触り感が得られ難く、一方、85質量%を超えると、ポリエステル短繊維の混率が過度に減る結果、ポリエステル短繊維に由来する防しわ性、防縮性、風合いの効果が得られ難くなり、かつ複重層糸の強度が低下する傾向にもあるため、いずれも好ましくない。
さらに、複重層糸の芯部には、発明の効果を損なわない範囲でポリエステル短繊維以外の繊維が含まれていてもよく、同様に鞘部にもセルロース短繊維以外の繊維が含まれていてもよい。
本発明で使用する複重層糸は、紡績糸であるから言うまでなく撚りを有している。撚り構造としては、芯部、鞘部ともに撚りを有し、かつ芯部に鞘部が捲回した構造をなしていればよく、撚り方向については特に限定されないが、好ましくは、芯部・鞘部の撚方向が同一方向であり、かつ芯部に鞘部が捲回した構造をなしているのがよい。
複重層糸を得るには、例えば、カバーリング機を使用してポリエステル紡績糸の周囲にセルロース紡績糸を巻き付けるか、又は芯部にポリエステル短繊維を配し、鞘部にセルロース短繊維を配した複合粗末を作製し精紡するか、もしくはポリエステル短繊維からなる粗糸の周囲にセルロース短繊維からなる粗糸を巻き付けつつ精紡することにより得ることができる。
本発明では、以上のような複重層糸を使用して布帛を得る。布帛の形状としては、例えば、織物、編物などがあげられる。織物は、エアージェット織機、レピア織機、フライシャトル織機等を使用して製織することにより得られ、織物組織としては、平織組織、綾織組織、朱子組織等があげられる。また、編物は、丸編機、経編機等を使用して編成することにより得られ、編物組織としては、天竺、鹿の子、スムース等があげられる。布帛の密度、目付け、厚みとしては、衣料用途に見合うものであればよく、特に限定されない。
本発明の布帛は、部屋干し臭や生乾き臭の抑制効果に優れている。具体的には、家庭洗濯10回後、ライン乾燥した後のモラクセラ菌の殺菌活性値が0以上である必要がある。ここで、家庭洗濯はJIS L0217 103法に、ライン乾燥はJIS L1096 8.24.1Aの記載に、殺菌活性値はJIS L1902記載の菌液吸収法に各々基づく。
モラクセラ菌とは、モラクセラ・オスロエンシス (Moraxella osloensis)のことであり、洗濯物を部屋干したときに発生する生乾き臭の原因菌とされている。モラクセラ菌は4−メチル−3−ヘキセン酸を生成する菌であり、この4−メチル−3−ヘキセン酸が部屋干し臭や生乾き臭の原因物質とされている。したがって、部屋干し臭や生乾き臭を抑えるには、モラクセラ菌の増殖を抑える必要がある。モラクセラ菌の殺菌活性値がマイナス表示になることは、モラクセラ菌が増殖していることを意味し、この状態では、部屋干し臭や生乾き臭を抑えることはできない。
さらに、本発明では、消臭性の観点からモラクセラ菌に対してだけでなく、黄色ブドウ状球菌、肺炎桿菌等に対しても殺菌活性値が各々0以上であることが好ましい。
モラクセラ菌の殺菌活性値を0以上にすることは、モラクセラ菌に対して殺菌力のある抗菌剤を布帛に付与することにより可能である。そのような抗菌剤としては、金属酸化物からなる抗菌剤が好適であり、具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素、酸化銅、酸化鉄、アルミナ等からなる抗菌剤があげられる。抗菌剤の付与量としては、後加工後の布帛100質量%に対して0.1〜1.0質量%の範囲が好ましい。付与量が0.1質量%未満になると、所望の殺菌活性が得られず、一方、1.0質量%を超えると、殺菌活性の向上がそれ以上期待し難くなるばかりか、かえってコストが上がり、また布帛が変色し易くなるので、各々好ましくない。
さらに、本発明の布帛は、防しわ性、防縮性にも優れている。防しわ性としては、具体的に、家庭洗濯5回後、ドリップ乾燥した後の洗濯後のしわが3.5級以上である必要がある。ここで、家庭洗濯はJIS L1096 8.24.1A−1法に、ドリップ乾燥はJIS L1096 8.24.1A−1法2.1)の記載に、洗濯後のしわはJIS L1096 8.24に各々基づく。洗濯後のしわを測定することで、ウォシュアンドウェア性を評価できる。洗濯後のしわは、判定用標準レプリカを使用して級判定する。
他方、防縮性としては、家庭洗濯10回後、ライン乾燥した後の寸法変化率が3%以下である必要がある。ここで、家庭洗濯はJIS L0217 103法に、ライン乾燥はJIS L1096 8.24.1Aの記載に、寸法変化率はJIS L1096 8.39.8記載に各々基づく。寸法変化率が3%以下であることにより防縮性に優れるといえる。
以上のような防しわ性、防縮性は、複重層糸の芯部にポリエステル短繊維を配置しつつ、布帛を繊維素反応樹脂で樹脂加工することにより達成できる。
本発明では、繊維素反応樹脂とセルロース分子の水酸基とを反応させることで、セルロース分子を架橋する。セルロース分子を架橋すると、布帛の防しわ性、防縮性が向上する。しかし、単にセルロース分子を単に架橋しただけでは初期(洗濯前)の防しわ性、防縮性しか得られず、十分な洗濯耐久性までは得られない。そこで、本発明では、ポリエステル短繊維を使用する。ポリエステル短繊維はセルロース短繊維よりも硬く、繊維束とすることで一定の硬さが確保できる。このとき、複重層糸の芯部にポリエステル短繊維の繊維束を配置すると、糸全体として一定の剛直さが発現する。その結果、布帛にハリ・腰感が付与され、これにより防しわ性、防縮性が向上する。なお、本発明における複重層糸は、ポリエステル短繊維とセルロース短繊維とから構成されるから、芯部にポリエステル短繊維を配置すると、セルロース短繊維は必然的に鞘部に配されることになる。セルロース短繊維を用いることは、布帛の風合い向上に効果的であり、本発明ではそのセルロース短繊維が複重層糸鞘部に配されているから、風合いの点でも優れたものとなる。
本発明の布帛は、このように防しわ性、防縮性に優れており、複重層糸の芯部にポリエステル短繊維を配置しつつ、布帛を繊維素反応樹脂で樹脂加工することにより、かかる性能が達成できる。このときの繊維素反応樹脂としては、各種のものが使用できるが、好ましくは、グリオキザール系樹脂、尿素ホルマリン系樹脂及びエチレン尿素系樹脂のいずれかを含む繊維素反応樹脂を使用するとよい。具体的には、低ホルマリン系樹脂と呼ばれているジメチロールグリオキザール尿素系樹脂、ノンホルマリン樹脂と呼ばれているジメチルグリオキザール尿素系樹脂などがあげられる。繊維素反応樹脂の付与量としては、後加工後の布帛100質量%に対して3〜10質量%の範囲が好ましい。付与量が3質量%未満になると、所望の防しわ性及び防縮性が得られず、一方、10%質量を超えると、セルロース分子が架橋され過ぎてしまい、繊維強度が低下することがあり、各々好ましくない。
また、セルロース分子の架橋は、繊維素反応樹脂のみを用いて行ってもよいが、反応促進の観点から、触媒を併用することが好ましい。触媒としては、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩又は有機酸等があげられる。
次に、本発明の布帛を製造するための好ましい方法について説明する。
本発明では、まず上記の複重層糸を用いて生機を得る。生機は、複重層糸を用意した後、これを製織編することにより得ることができ、複重層糸の製法及び製織編の方法としては、前記の方法が採用できる。
製織編後は、生機を後加工する。後加工としては、例えば、生機が織物であれば、糊抜き精練、漂白、シルケット等を、編物であれば、精練、漂白、シルケット等をそれぞれ行うとよい。さらに、本発明の布帛は、染色されていることが好ましく、染色方法としては、先染めによる方法、後染めによる方法のいずれもが採用できる。例えば、先染めの場合であれば、複重層糸をチーズ染色機、カセ染機等で糸染めした後、順次製織編、後加工すればよい。ただし、先染めの場合、後加工で漂白の工程を組み入れると色が落ちてしまうので、通常は漂白を省略する。一方、後染めの場合であれば、製織編、後加工の後、連続染色法又はバッチ染色法等に準じて染色すればよい。染色に使用する染料としては、衣料用途に使用できるものであれば特に限定されないが、通常は、染着性、染色堅牢度、染色濃度等を考慮し、ポリエステル短繊維は分散染料により、セルロース短繊維は、直接染料、反応染料、スレン染料等によりそれぞれ染色するのがよい。
後加工及び必要に応じて染色した後は、布帛に抗菌剤と繊維素反応樹脂とを付与する。布帛に抗菌剤と繊維素反応樹脂とを付与するには、例えば、繊維素反応型樹脂を含む分散液、抗菌剤を含む分散液を各々調整し、一方の液に布帛を含浸し、絞液、乾燥、熱処理した後、他方の液に布帛を含浸し、絞液、乾燥するか、又は抗菌剤と繊維素反応樹脂とを含む分散液に布帛を含浸し、絞液、乾燥、熱処理すればよい。なお、別浴で抗菌剤及び繊維素反応樹脂を付与する場合、順序としては特に限定されないが、好ましくは繊維素反応樹脂を付与した後、抗菌剤を付与するのがよい。
上記の場合、絞液時の絞り率は、60〜110%の範囲が好ましい。乾燥は、温度80〜140℃、時間1〜10分の範囲が好ましい。また、熱処理は、温度150〜190℃、時間30〜300秒の範囲が好ましく、ピンテンター等の通常の熱処理機を使用して行えばよい。ここで、熱処理温度が150℃未満になると、繊維素反応樹脂が十分に架橋し難くなり、一方、190℃を超えると、布帛の強度が低下し易くなると共に変色し易くなるため、いずれも好ましくない。
また、本発明では、モラクセラ菌の殺菌活性において、その洗濯耐久性を向上させるために、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のバインダー樹脂を併用することが好ましい。さらに、布帛の風合いを改良するために、柔軟剤、硬味剤等を併用してもよい。
さらに、前述の通り本発明の布帛は、防縮性に優れるものであるが、特に布帛経方向の防縮性を改良するために、機械的な手段で防縮処理してもよい。かかる防縮処理としては、無端の肉厚ゴムベルトやフェルトの伸縮を利用して布帛を経方向に圧縮すればよく、こうすることで、布帛が経方向に収縮し、防縮性が付与される。防縮処理のための設備としては、サンフォライズ加工機やカムフィット加工機等があげられる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。布帛の特性は以下の方法により測定した。
(1)殺菌活性値
JIS L0217 103法により10回洗濯した後ライン乾燥した布帛と、未洗濯の布帛とを用意し、それぞれについてJIS L1902記載の菌液吸収法に基づきモラクセラ菌の殺菌活性値を測定した。ここで、ライン乾燥とは、脱水後、経糸方向が垂直になるように、数箇所をつかみ、室温で風通しのないところでつるして乾燥することをいう。
(2)防しわ性
JIS L1096 8.24.1A−1法により5回洗濯した後ドリップ乾燥した布帛について、JIS L1096 8.24に基づき洗濯後のしわを測定した。しわの判定には判定用標準レプリカを使用し、級判定した。ここで、ドリップ乾燥とは、布帛を脱水することなく、経糸方向が垂直になるように、数箇所をつかみ、室温で風通しのないところでつるして乾燥することをいう。
(3)防縮性
JIS L0217 103法により10回洗濯した後ライン乾燥した布帛について、JIS L1096 8.39.8の記載に基づき寸法変化率を算出した。
(4)変色
洗濯前布帛の変色度合いを、グレースケールを使用して目視判定した。3.5級を合格とした。
(実施例1)
単糸繊度1.5dtex、繊維長38mmのポリエステル短繊維からなる練条スライバーと、単糸繊度1.42dtex、繊維長32mmの綿繊維からなる練条スライバーとを用意した後、前者を芯側へ後者を鞘側へ各々配しつつ、撚係数0.95の条件で粗紡し、複合粗糸を得た。そして、かかる複合粗糸を42.4倍でドラフトしつつ、撚係数3.5の条件で精紡し、40番手(英式綿番手)の複重層糸を得た。得られた複重層糸における綿繊維の混率は60質量%であった。
続いて、この複重層糸を用いてエアージェット織機(石川製作所社製)にて平組織の生機を製織した。製織後、生機を糊抜き精練、漂白、シルケットし、その後、蛍光染料を用いて通常の条件で連続染色し、経糸密度68本/インチ、緯糸密度60本/インチの織物とした。
次に、下記処方1の分散液を調製した。そして、上記織物を分散液に浸漬した後、マングルを使用して絞り率80%で絞液し、ネット乾燥機にて130℃×2分間の条件で乾燥した。その後、ピンテンター(市金工業社社製)を使用して160℃×2分間の条件で熱処理した。
<処方1>
リケンレジンMS−150 40g/l
(三木理研工業社製、グリオキザール系樹脂、固形分60%)
リケンフィクサーMX−27 12g/l
(三木理研工業社製、触媒、複合金属塩、固形分35%)
そして、下記処方2の分散液を調製した。上記樹脂加工後の織物をかかる分散液に浸漬し、マングルを用いて絞り率80%で絞液した。その後、ピンテンターにて130℃×2分間の条件で乾燥した。
<処方2>
アモルデンNAZ−30 20g/l
(大和化学工業社製、酸化亜鉛系抗菌剤、固形分30%)
ファイコート70K 20g/l
(大和化学工業社製、アクリル樹脂、固形分25%)
リケンソフナーAS−18 10g/l
(三木理研工業社製、柔軟剤、アミノ変性シリコーン樹脂、固形分15%)
さらに、サンフォライズ加工機(サンフォライズ社製)を使用して、織物をシリンダー温度120℃、追い込み率2%の条件で機械的に防縮処理し、衣料用布帛とした。
(実施例2)
綿繊維の混率を55質量%に変更する以外は、実施例1の場合と同様の方法で複重層糸を得た。得られた複重層糸を28ゲージ、釜径30インチの丸編機に導入し、天竺組織の生機を編成した。生機の目付けは、150g/mであった。
編成後、生機を精練、漂白し、さらに液流染色機サーキュラー(日阪製作所社製)を使用してスレン染料にてバッチ染色し、サックス色の編物とした。
次に、下記処方3の分散液を調製した。得られた編地を分散液に浸漬し、マングルを用いて絞り率100%で絞液し、その後、ピンテンターを使用して130℃×2分間の条件で乾燥した。さらに、ピンテンターを使用して160℃×2分間の条件で熱処理し、衣料用布帛とした。
<処方3>
リケンレジンDEX−20 50g/l
(三木理研工業社製、グリオキザール系樹脂、固形分45%)
リケンフィクサーMX−7 13g/l
(三木理研工業社製、触媒、複合金属塩、固形分10%)
アモルデンNAZ−30 20g/l
(大和化学工業社製、酸化亜鉛系抗菌剤、固形分30%)
ファイコート70K 20g/l
(大和化学工業社製、アクリル樹脂、固形分25%)
リケンソフナーAS−18 10g/l
(三木理研工業社製、柔軟剤、アミノ変性シリコーン樹脂、固形分15%)
(比較例1)
単糸繊度1.42dtex、繊維長32mmの綿繊維からなる40番手の綿紡績糸を用意し、複重層糸に代えてこの紡績糸を用いた以外は、実施例1と同様に行い、布帛を得た。
(比較例2)
単糸繊度1.5dtex、繊維長38mmのポリエステル短繊維と、単糸繊度1.42dtex、繊維長32mmの綿繊維とからなる40番手の混紡糸を用意し、複重層糸に代えてこの混紡糸を用いた以外は、実施例1と同様に行い、布帛を得た。
(比較例3)
処方1の分散液を使用した樹脂加工を省略した以外は、実施例1と同様に行い、布帛を得た。
(比較例4)
処方2の分散液を使用した加工を省略した以外は、実施例1と同様に行い、布帛を得た。
(比較例5、実施例3)
処方2中のアモルデンNAZ−30の使用量を20g/lに代えて3g/l(比較例5)又は40g/l(実施例3)とした以外は、各々実施例1と同様に行い、布帛を得た。
以上の布帛について、その特性を表1にまとめた。
実施例にかかる織編物は、モラクセラ菌に対する殺菌活性に優れ、その殺菌活性は初期だけでなく洗濯を繰り返した後も持続していた。この結果から、実施例にかかる織編物には、部屋干し臭や生乾き臭の抑制効果が期待でき、洗濯後もその効果が期待できることが確認できた。さらに、かかる織編物は、防しわ性、防縮性の洗濯耐久性にも優れていた。以上より、これらの織編物を使用することで、利便性に優れる衣服が提供できることが確認できた。また、実施例1、2かかる織編物は変色が少なく、用途展開の点で有利であったのに対し、実施例3では抗菌剤の付与量が多かったことにより、織物がやや変色していた。これにより、実施例3にかかる織物は、用途面でやや制約を受けるものとなった。
これに対し、比較例1では、ポリエステル短繊維を使用しなかったことにより、比較例2では、ポリエステル短繊維を使用したものの、複重層糸の芯部に繊維束の形態で混在させなかったことにより、いずれも布帛の防しわ性、防縮性が、実施例の結果と比べ劣るものとなった。また、比較例3では、布帛に繊維素反応樹脂を付与しなかったため、所望の防しわ性、防縮性が得られなかった。比較例4、5では、抗菌剤を付与しない又は付与してもその量が少なかったため、所望の殺菌活性が得られなかった。

Claims (2)

  1. ポリエステル短繊維を芯部に配し、セルロース短繊維を鞘部に配してなる複重層糸から構成される布帛であって、金属酸化物からなる抗菌剤と、グリオキザール系樹脂、尿素ホルマリン系樹脂及びエチレン尿素系樹脂のいずれかを含む繊維素反応樹脂とを保持しており、以下の(1)〜(3)の構成を満足することを特徴とする衣料用布帛。
    (1)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1902記載の菌液吸収法に基づくモラクセラ菌の殺菌活性値が3.0以上である。
    (2)JIS L1096 8.24.1A−1法に基づく洗濯を5回行い、その後JIS L1096 8.24.1A−1法2.1)の記載に基づきドリップ乾燥した後の、JIS L1096 8.24に基づく洗濯後のしわが級以上である。
    (3)JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回行い、その後JIS L1096 8.24.1Aの記載に基づきライン乾燥した後の、JIS L1096 8.39.8記載のタテ方向およびヨコ方向における寸法変化率が%以下である。
  2. さらに、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される1種以上の樹脂を保持することを特徴とする、請求項1に記載の衣料用布帛。

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