JPWO2006035868A1 - 難燃性ポリエステル系人工毛髪 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪 Download PDF

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Abstract

ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、難燃助剤(B)0〜10重量部および、有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)0.1〜5重量部を溶融混練して得られる組成物を溶融紡糸して形成されたポリエステル系フィラメントに対して難燃剤吸尽加工を行い、難燃剤(E)の吸尽量を2〜20重量%とすることにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、光沢、触感、くし通り、セット性に優れたポリエステル系人工毛髪用繊維およびそれを用いた人工毛髪を提供することができる。

Description

本発明は、ポリエステルに難燃助剤、有機微粒子および/または無機微粒子を含む組成物から形成されたポリエステル系フィラメントを、難燃剤吸尽加工して得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、難燃性、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、光沢、触感、くし通り、セット性に優れた人工毛髪に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。
人工毛髪素材として、難燃性の特徴を生かしてモダクリル繊維が多く使用されてきているが、耐熱性の点では不充分である。
近年、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪が提案されるようになってきている。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルからなる繊維は、可燃性素材であるため、耐燃性が不充分である。
従来、ポリエステル繊維の耐燃性を向上させようとする試みは種々なされており、例えば、溶融混練時または紡糸時に難燃剤を練り込む方法や、リン原子を含有する難燃性モノマーを重合時に共重合させる方法や、後加工によりポリエステル繊維に難燃剤を含浸させる方法などが知られている。
溶融混練時または紡糸時に難燃剤を練り込む方法としては、ポリエステルにリン酸エステル系難燃剤を溶融混練して得られた樹脂組成物を紡糸することにより難燃ポリエステル繊維を得る方法(特許文献1)などが提案されているが、繊維表面にべたつき感がある、また、洗濯やシャンプーをした際に難燃剤が溶出してしまうといった問題がある。
また、難燃性モノマーを共重合させる方法でとしては、リン化合物を共重合させたポリエステル繊維(特許文献2、3)などが提案されているが、十分な難燃性を得るためには、共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難となる、また、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないものの、溶融・ドリップするという問題が発生していた。
さらに、後加工によりポリエステル繊維に難燃剤を含有させる(難燃剤吸尽)方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献4)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献5)などが提案されている。しかし、これらには、十分な耐燃性を得るためには、含有処理時間を長時間にする必要がある、あるいは、大量の難燃剤を使用しなければならないという問題や、洗濯やシャンプーをした際に難燃剤が溶出してしまうという問題や、繊維物性が低下する、生産性が低下する、製造コストがアップするなどの問題が存在していた。また、特許文献4には、難燃剤の吸尽効率を改善するために、ハロゲン化シクロアルカン化合物の微分散化技術が開示されているが、ハロゲン化シクロアルカン化合物よりも疎水性の高いハロゲン化芳香族系難燃剤等においては、微分散状態の安定化が困難であるという問題も存在していた。
また、染色と難燃剤吸尽を同時に行う方法としては、ポリエステルとして、脂肪族ジカルボン酸成分を共重合したガラス転移温度が35〜60℃であるポリエチレンテレフタレートを用いることにより、染色性および難燃剤の吸尽性を改善する方法(特許文献6)が提案されている。しかし、この方法では、ポリエステル自体の融点低下のために、耐熱性が不十分となり、融着のトラブルが発生しやすくなる、また、耐光性の低下のために、変色が起こりやすくなるという課題が残されたままであった。
従来、種々の提案がなされてきているが、人工毛髪に要求される高い耐燃性を確保するためには、いずれの方法においても多量の難燃剤を使用する必要があり、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持することは困難であった。これらのことから、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、難燃性、セット性、くし通りに優れた人工毛髪は、未だ得られていないのが実状である。
特開平9−268423号公報 特開平3−27105号公報 特開平5−339805号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報 特開平9−324315号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決した、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、難燃性、光沢、触感、くし通りおよびセット性に優れ、さらに、繊維の艶がコントロールされた難燃性ポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルに難燃助剤、有機微粒子および/または無機微粒子を含む組成物から形成されたポリエステル系フィラメントを難燃剤吸尽加工することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、光沢、触感、くし通りおよびセット性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、難燃助剤(B)0〜10重量部および、有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)0.1〜5重量部を含む樹脂組成物から形成されたポリエステル系フィラメントを、難燃剤吸尽加工して得られる難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維であって、難燃剤(E)の吸尽量が、ポリエステル系フィラメントに対して2〜20重量%である難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する物である。さらには、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪を、難燃剤吸尽加工時に染色を同時に行うことにより得られる難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。
好ましい態様としては、ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維である。好ましい態様としては、難燃助剤(B)が、メラミンシアヌレート、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維である。好ましい態様としては、有機微粒子(C)が、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂および架橋ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維である。好ましい態様としては、無機微粒子(D)が、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイトおよびマイカよりなる群から選ばれた少なくとも1種である難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維である。より好ましい態様としては、難燃剤吸尽加工に使用される難燃剤(E)が、リン系難燃剤、臭素含有リン系難燃剤、臭素化脂肪族系難燃剤、臭素化芳香族系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物および臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種である難燃性ポリエステル系人工毛髪である。さらに好ましい態様としては、難燃剤(E)の融点が160℃以上である難燃性ポリエステル系人工毛髪である。さらに好ましい態様としては、難燃剤(E)の分子量が200〜4000である難燃性ポリエステル系人工毛髪である。さらに好ましい態様としては、難燃剤(E)の吸尽量が3〜20重量%である難燃性ポリエステル系人工毛髪である。
より好ましい態様としては、ポリエステル系フィラメントに対する染色および難燃剤吸尽加工が、90〜150℃の温度にて同時に行われ、かつ、ポリエステル系人工毛髪が染料を0.1重量%以上含む、難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。
また、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は非捲縮生糸状であり、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましい。
本発明によると、ポリエステルに難燃助剤および、有機微粒子および/または無機微粒子を含む組成物から形成されたポリエステル系フィラメントを難燃剤吸尽加工することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、光沢、触感、くし通りおよびセット性に優れたポリエステル系人工毛髪を得ることができる。
さらには、フィラメントの着色方法を染色法とすることにより、原着法に比べ、色相に優れたポリエステル系人工毛髪を得ることができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、難燃助剤(B)および、有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)を含む組成物から形成されたポリエステル系フィラメント(繊維)を、難燃剤吸尽加工することにより得られる人工毛髪である。
さらには、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系フィラメントに対して、難燃剤吸尽加工と同時に染色を行うことにより得られる人工毛髪である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが、入手の容易性およびコストの点から、特に好ましい。
前記主体とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(例えば、テレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(例えば、テレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートまたは共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
本発明で用いられるポリエステル(A)のガラス転移温度は、60〜115℃が好ましく、65〜105℃がより好ましい。ポリエステル(A)のガラス転移温度が60℃よりも低い場合には、耐熱性が不十分になり、アイロンセット性が低下する傾向があり、115℃よりも高い場合には、難燃剤の吸尽性や染色性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル(A)の固有粘度は、0.5〜1.4、さらには0.6〜1.2であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向があり、1.4を超えると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明で用いられる難燃助剤(B)は、含窒素化合物またはアンチモン化合物などの、後加工で使用されるリン系難燃剤や臭素含有難燃剤と相互作用して難燃性付与効果を高められるものであれば、特に限定はなく、使用することができる。
本発明における含窒素化合物の具体例としては、例えば、メラミンシアヌレートなどがあげられる。本発明におけるアンチモン化合物の具体例としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどがあげられる。これらは、必要に応じて、エポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
本発明で用いられる難燃助剤(B)の平均粒子径は、15μm以下であれば使用することができる。難燃助剤(B)として平均粒子径0.3〜1μmのものを使用する場合、隠蔽率が最も大きくなり、人工毛髪の色相(発色性)低下が生じる傾向があるため、難燃助剤(B)の平均粒子径は0.2μm以下または1.5〜15μmが好ましく、0.15μm以下または1.7〜12μmがより好ましく、0.1μm以下または1.9〜10μmがさらに好ましい。
本発明で用いられる難燃助剤(B)の使用量は、ポリエステル(A)100重量部に対し、0〜10重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、0.7〜8重量部がさらに好ましい。難燃助剤(B)の使用量が0重量部でも難燃性は発現されるが、より高い難燃性を得るためには、0.5重量部以上使用するのが好ましい。難燃助剤(B)の使用量が10重量部より多いと、加工安定性、外観性および透明性が損なわれる傾向がある。
本発明においては、有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)を配合することにより、繊維表面に凹凸が形成され、安定的な光沢調整効果を発現することができる。
本発明で用いられる有機微粒子(C)としては、主成分であるポリエステル(A)と相溶しないか、あるいは、部分的に相溶しない構造を有する有機樹脂成分であれば使用することができ、例えば、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンなどが好ましく用いられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定的に光沢調整効果を発現するためには、耐熱性、分散性の点から、架橋ポリエステル粒子、架橋アクリル粒子が好ましい。
前記架橋ポリエステル粒子は、不飽和ポリエステルおよびビニル系単量体を水分散させ、架橋硬化させることにより得られるものである。ここで使用される不飽和ポリエステルとしては、特に限定はなく、例えば、α,β−不飽和酸もしくはそれと飽和酸との混合物と二価アルコールもしくは三価アルコールとを重合させたものなどをあげることができる。不飽和酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などが、飽和酸としては例えば、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、およびセバチン酸などがあげられる。また、二価アルコールおよび三価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどがあげられる。一方、ビニル系単量体としては、特に限定はなく、例えば、スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メチルアクリレート、アクリロニトリル、エチルアクリレート、およびジアリルフタレートなどがあげられる。
前記架橋アクリル粒子は、アクリル系単量体と架橋剤を水分散させ、架橋硬化させることで得られるものである。ここで使用されるアクリル系の単量体としては、アクリル酸、アクリル酸の誘導体、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、あるいはメタクリル酸、メタクリル酸の誘導体、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単量体があげられる。これらは1種又は2種以上を組合せて使用することができる。また、架橋剤としては、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体であればいずれでもよいが、1分子中に2個のビニル基を有するものが好ましい。その好ましい単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸との反応生成物(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなど)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。架橋剤の添加量は、ビニル基を1個有する単量体100重量部に対して0.02〜5重量部が好ましい。重合開始剤としては、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化ジtert−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドなどがあげられる。ラジカル重合開始剤は、ビニル基を1個有する単量体100重量部に対して0.05〜10重量部使用されるのが好ましい。
本発明で用いられる無機微粒子(D)としては、繊維の透明性および発色性への影響から、ポリエステル(A)の屈折率に近い屈折率を有するものが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカなどがあげられまた、メラミン樹脂/シリカ複合体などの酸化ケイ素、酸化ケイ素を主体とした複合粒子なども含まれる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでは、球形に近い微粒子の方が、光沢調整効果が高いため、酸化ケイ素、酸化ケイ素を主体とした複合粒子などが好ましい。本発明に用いられる無機微粒子(D)は、必要に応じて、エポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)の平均粒子径は、0.1〜15μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましく、0.5〜8μmがさらに好ましい。粒子径が0.1μmより小さい場合には、光沢調整効果が小さい傾向があり、粒子径が15μmより大きい場合には、光沢調整効果が小さくなったり、糸切れが発生したりする傾向がある。
本発明における有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)の使用量は、特に限定されないが、ポリエステル(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましく、0.3〜2重量部がさらに好ましい。有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)の使用量が5重量部を超えると、外観性、色相および発色性が損なわれる傾向があり、0.1重量部未満では、繊維表面に形成される微細な突起が少なくなるため、繊維表面の光沢調整が不十分になる傾向がある。
本発明に使用するポリエステル系組成物は、例えば、ポリエステル(A)、難燃助剤(B)および、有機微粒子(C)および/または向き微粒子(D)をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
前記混練機の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
例えば、スクリュー径45mmの二軸押出機を用いて、バレル温度を260〜300℃とし、吐出量50〜150kg/hr、スクリュー回転数150〜200rpmで溶融混練し、ダイスよりストランドを引取、水冷した後に、ストランドカッターを用いてペレット化して、本発明の組成物を得ることができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、前記難燃性ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、例えば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させた後、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた未延伸糸は熱延伸されるが、延伸は未延伸糸を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、触感やくし通りを向上させるため、シリコーン系繊維処理剤、非シリコーン系繊維処理剤などを使用することができる。
上記シリコーン系繊維処理剤としては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、両末端水酸基ジメチルポリシロキサン、ビニル基含有オルガノポリシロキサン、エポキシ基含有オルガノポリシロキサン、アミノ基含有オルガノポリシロキサン、エステル基含有オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン含有オルガノポリシロキサンがあげられ、上記非シリコーン系繊維処理剤としては、たとえば、ポリエーテル系化合物、脂肪酸エステル系化合物、有機アミン系化合物、有機アミド系化合物、有機脂肪酸エステル類、有機アンモニウム塩、有機脂肪酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸エステル塩、有機リン酸エステル塩などがあげられる。
前記繊維処理剤は、必要量を紡糸加工時に付着させてもよいし、難燃剤吸尽加工時に付着させてもよいし、または、難燃剤吸尽加工後に付着させてもよい。
本発明において用いられる難燃剤(E)は、リン系難燃剤、臭素含有リン系難燃剤、臭素化シクロアルカン系難燃剤、臭素化芳香族系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物および臭素含有イソシアヌル酸系化合物より選ばれた少なくとも1種であれば、特に限定はなく、使用することができる。
難燃剤(E)の具体例としては、例えば、1,4−フェニレン−ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビフェニル−ビス(ジキシレニルホスフェート)、下記式(1)〜(4);
Figure 2006035868
Figure 2006035868
Figure 2006035868
Figure 2006035868
で表される化合物などのリン系難燃剤、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルグリコール、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化脂肪族化合物、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダンなどの臭素化芳香族系難燃剤、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン系難燃剤、下記式(5);
Figure 2006035868
で表される臭素化ポリスチレン類、下記式(6);
Figure 2006035868
で表される臭素化ポリベンジルアクリレート類、下記式(7);
Figure 2006035868
で表される臭素化エポキシオリゴマー類、下記式(8);
Figure 2006035868
で表される臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などがあげられる。
これらの中では、耐熱性および吸尽加工性の点から、難燃剤の融点が160℃以上、または、難燃剤の分子量が200〜4000であるものが好ましい。
一般に、繊維品を後加工によって難燃加工する場合、用いる難燃剤(E)の粒子径は、繊維品に付与される難燃性能に重要な影響を及ぼすため、難燃剤の粒子径は小さいほど、繊維品に高い難燃性能を付与することができる。
本発明においては、後加工によって、難燃剤がポリエステル系繊維の内部に十分に拡散して、ポリエステル系繊維において難燃剤による難燃性能が耐久性を有するために、難燃剤(E)の平均粒子径は、0.1〜15μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。
本発明においては、ポリエステル系人工毛髪に対し難燃剤を吸尽加工することにより、難燃剤混練法または共重合法による難燃剤添加法に比べて、含有させる難燃剤量の調整が容易であり、同一のフィラメントにおいても、要求される難燃性レベルに応じて、難燃剤含有量を変更することができる。
本発明における難燃剤(E)の吸尽量は、ポリエステル系人工毛髪に対し、2〜20重量%が好ましく、4〜15重量%がより好ましい。難燃剤(E)の吸尽量が2重量%未満では、ポリエステル系人工毛髪に十分な難燃性を付与することができない傾向があり、20重量%を越えると、難燃加工後の風合いが悪くなるなどの不具合を生じる場合がある。
本発明における難燃剤吸尽加工に用いられる難燃剤(E)は、界面活性剤の存在下で水に分散させた分散液、または、有機溶剤に溶解させた溶液として用いられる。
難燃剤(E)を水分散させる場合には、乾式または湿式で粉砕することにより、難燃剤(E)を微粒子化させることができる。分散液として用いる場合に使用する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤が用いられ、ノニオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤を併用してもよい。
上記ノニオン系活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤があげられる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩等の硫酸エステル塩や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等をあげられる。
一方、上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン、エチレングリコール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類などがあげられる。
上記界面活性剤や有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる分散液は、ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドグラインダーなどの乳化機や分散機を用いて得ることができる。
本発明において、ポリエステル系人工毛髪を難燃加工する場合、難燃剤(E)の水分散液または有機溶媒溶液の固形分濃度は、分散安定性および吸尽加工の効率の点から、1〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましい。
本発明における難燃剤(E)の吸尽量は、難燃剤分散液の濃度、吸尽加工温度または時間を調節することにより、調整することができる。
本発明の難燃剤吸尽加工する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、難燃剤分散液または溶液を、スプレー噴霧にてポリエステル系人工毛髪に付着させ、乾燥させた後、100〜220℃、より好ましくは140〜190℃の温度にて、30秒〜10分間熱処理を行う方法がある。熱処理温度が100℃未満であると、ポリエステル繊維の分子中の非結晶領域が、難燃剤分子または粒子を受け入れられるレベルに弛緩または膨張できず、十分に吸尽し難くなる傾向がある。熱処理温度がより高ければ、難燃剤の固着をより強固にすることができるが、熱処理温度が220℃を超えると、人工毛髪の繊維強度が低下したり、分繊不良が生じる恐れがある。
また、難燃剤吸尽加工する別の方法としては、例えば、高圧染色機等を用いて、難燃剤分散液または溶液中にポリステル系人工毛髪を浸漬し、90〜150℃、より好ましくは110〜140℃の温度にて、3〜60分間浸漬した状態で熱処理を行う方法がある。浸漬熱処理温度が90℃未満であると、ポリエステル繊維の分子中の非結晶領域が、難燃剤分子または粒子を受け入れられるレベルに弛緩または膨張できず、十分に吸尽し難くなる傾向がある。浸漬熱処理温度が150℃を超えると、人工毛髪の繊維強度が低下したり、分繊不良が生じる恐れがある。
上記のような熱処理工程を行うことにより、難燃剤(E)が、ポリエステル系フィラメント(繊維)分子中の非結晶領域に、安定に、かつ、より強固に固着され、ポリエステル系フィラメント(繊維)に対して、十分な難燃性および耐久性を得ることができる。
本発明においては、前述したように、従来の難燃剤の微分散化技術では、疎水性が強いために分散安定化が難しいとされていた臭素化芳香族系難燃剤等においても、難燃剤(E)の分散液にノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤の種類を選択して混合することにより、難燃剤(E)の分散安定性を改善することができる。
そのため、本発明においては、ガラス転移温度が高く、耐熱性が十分に得られるポリエステル(A)を使用しても、前記の処理温度範囲にて難燃剤の吸尽加工を行うことができ、ガラス転移温度の低いポリエステル樹脂を使用して得られた難燃性ポリエステル系繊維を人工毛髪として利用した場合に、その耐熱性の低下により、融着のためにヘアーアイロンによるカールセットが困難となるという問題点を改善することができる。
このようにして得られる本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪用に適している。また、人工毛髪用繊維としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有している。
本発明の難燃性ポリエステル系繊維が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常の難燃性ポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
一般に、ポリエステル系フィラメント(繊維)の着色方法を染色法とすることにより、原着法に比べ、色相に優れたポリエステル系人工毛髪を得ることができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、難燃性付与のための難燃剤吸尽加工を行うにあたり、染色も同時に行ない、繊維に着色できることも特徴である。
本発明においては、難燃剤吸尽加工と染色を同時に行うことにより、工程の省略によりコストを低減でき、吸尽加工と染色を別々に実施した場合に比べ、加熱による物性や品質低下を招くことなく、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得ることができる。
本発明において用いられる染料は、一般に使用されるものであれば特に限定はなく、黒色、黄色、赤色、褐色など任意に用いることができ、複数の染料を混合して調色して用いてもよい。具体的な染料として、例えば、ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ等)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリジンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ等)、アントラキノン系、縮合系(キノフタリン、スチリル、クマリン等)の分散染料などがあげられる。
本発明においては、pH8.0〜10.0の、好ましくはpH8.5〜9.0のアルカリ性の染色浴中で染色することが好ましい。すなわち、pHが8.0以上、好ましくは8.5以上であれば、酸性状態の染色に比べて、染料染着性、発色性に優れ、さらにはオリゴマー除去、再付着防止を効果的に行うことができる。しかし、染浴のpHが10.0を越えると、染料の加水分解を惹起する傾向が強くなり、色相変化の可能性が高く、染料を選択する必要性が出てくる。ほとんどの染料が問題なく使用できるアルカリ領域のpHとしては、pH8.5〜9.0の範囲が最も好ましい。ここでいう、pH8.0〜10.0の染色浴とは、染料、染色助剤、pH調整剤などを含有する染色浴でのpHである。染料は、主として分散染料が用いられ、染色助剤としては、分散剤、均染剤、オリゴマー除去剤などが使用されるが、特にそれらに限定されるものではない。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
染色助剤としては、分散性と均染性を促進する薬剤である分散剤、均染剤ならびに分散均染剤を配合することができる。染色助剤としては、例えば、ナフタリンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩などを使用することができる。かかる染色助剤は、好ましくは0.5〜2g/Lの範囲で使用される。
また、pH調整剤としては、染色浴のpHを8.0〜10.0、好ましくは8.5〜9.0の範囲に緩衝的に制御して維持する作用を有するものであればよく、例えば、酢酸/ピロリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムまたは有機リン化合物とポリカルボン酸との組み合わせなどを使用することができる。かかるpH調整剤は、好ましくは0.5〜2g/Lの範囲で使用される。
本発明においては、染料は、ポリエステル系フィラメントに対して、0.1重量%以上吸尽されるのが好ましいが、人工毛髪においては、黒髪のような濃色から、褐色や赤毛のような中間色、金髪や白髪(グレー)のような淡色まで色のバリエーションが多いため、各色に合せ適宜調整する必要がある。
本発明における染料の吸尽量は、染色浴の濃度、染色温度、時間によって調整することができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、繊維表面の凹凸により、適度に艶消しされており、人工毛髪として使用することができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛などの頭髪製品に使用される人毛は、一般に、キューティクルの処理や脱色および染色されており、触感、くし通りを確保するために、シリコーン系の繊維表面処理剤、柔軟剤を使用しているため、未処理の人毛とは異なり易燃性であるが、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維と人毛とを人毛混率60%以下で混合した場合、良好な難燃性を示す。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(難燃剤吸尽量)
難燃剤吸尽量は、難燃加工されたフィラメントを粉末にし、得られた粉末100mgを圧縮成形し、これに対し蛍光X線分析装置((株)島津製作所製、EDX−700HS)を用いて蛍光X線分析を行い、リン原子の含有量または臭素原子の含有量を求め、算出した。
(染料濃度)
染料濃度は、得られた染め上がり延伸糸をオルソクロロフェノールに溶解させ、比色計(東京光電(株)製、ANA−18A+)を用いて、波長720nmでの吸光度を測定して、繊維中に吸尽された染料濃度を求めた。
(強度および伸度)
引張圧縮試験機(インテスコ社製、INTESCO Model201型)を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重1/30gF×繊度(デニール)、引張速度20mm/分で試験を行ない、破断時の引張強度および伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価した。
−燃焼性−
◎:残炎時間が0秒(着火しない)
○:3秒未満
△:3〜10
×:10秒以上
−耐ドリップ性−
◎:ドリップ数が0
○:5以下
△:6〜10
×:11以上。
(光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
◎:人毛に等しいレベルに光沢が調整されている
○:適度に光沢が調整されている
△:若干光沢が多すぎる、または、若干光沢が少なすぎる
×:光沢が多すぎる、または、光沢が少なすぎる。
(色相)
長さ30cmおよび総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
○:顔料もしくは染料本来の色に近い発色性を示す
△:若干発色性の低下が見られる(若干白っぽい)
×:発色性の低下が見られる(白っぽい)。
(触感)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面のベタツキ感を評価する。
○:ベタツキ感なし
△:若干ベタツキ感がある
×:ベタツキ感がある。
(くし通り)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントに繊維表面処理剤として、PO/EOランダム共重合体(丸菱油化工業(株)製、KWC-Q)とカチオン系帯電防止剤(丸菱油化工業(株)製、加工剤No.29)を50/50の比率で含む3%水溶液に浸漬し、それぞれ0.1%が付着するようにし、80℃で5分間乾燥させる。処理されたトウフィラメントにくし(デルリン樹脂製)を通し、くしの通り易さを評価する。
○:ほとんど抵抗ない(軽い)
△:若干抵抗がある(重い)
×:かなり抵抗がある、または、途中で引っかかる。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、櫛通り、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
−フィラメント間の融着−
○:融着なし
△:わずかな融着がある
×:融着あり
−縮れ/糸切れ−
○:縮れ、糸切れがない
△:わずかに縮れ、糸切れがある
×:縮れ、糸切れがある
−ロッドアウト−
○:アイロンロッドがスムーズに抜ける
△:アイロンロッドが若干抜け難い
×:アイロンロッドが抜け難い
−セット性−
○:カールの形状が維持される
△:わずかにカールの形状が崩れる
×:カールの形状が崩れる。
本実施例および比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
ポリエステル(A):
・ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製、EFG−85A、ガラス転移温度67℃
・ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製、BK−2180、ガラス転移温度67℃
・ポリブチレンテレフタレート、KOLON社製、KP−210、ガラス転移温度37℃
難燃助剤(B):
・メラミンシアヌレート、日産化学(株)製、MC−610
・三酸化アンチモン、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製、PATOX−P
・アンチモン酸ナトリウム、平均粒子径(一次粒子)2.4μm、日本精鉱(株)製、SA−A
有機微粒子(C):
・架橋アクリル粒子、平均粒子径1.8μm、総研化学(株)製 、MX−180TA
無機微粒子(D):
・リン酸処理炭酸カルシウム、平均粒子径9μm、丸尾カルシウム(株)製、HAP−90P
・メラミン樹脂/シリカ複合体、平均粒子径1.9μm、日産化学工業(株)製、オプトビーズ2000M
難燃剤(E):
・有機環状リン化合物、三光(株)製、SANKO−BCA
Figure 2006035868
・トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、大八化学工業(株)製、CR−900
・ペンタブロモトルエン、マナック(株)製、PBT
・テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、阪本薬品工業(株)製、SR−TBA400
界面活性剤:
・ノニルフェノールエチレンオキサイド12モル付加物
・トデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム
・ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム
シリコン系消泡剤:
・日本ユニカー(株)製、FZ−5221
繊維処理剤:
・松本油脂製薬(株)製、KRE−05、KRE−08、KRE−101
染料:
・分散染料、ダイスター(株)製、ダイアニックス ブラック SPN リキッド
・分散剤、明成化学(株)製、ディスパーTL
・ノニオン系界面活性剤、第一工業(株)製、アミラジンD
(製造例1〜4)
表1に示した種類および配合比率にて、水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート、アンチモン系難燃助剤、メラミンシアヌレート、有機微粒子または無機微粒子を配合した組成物100部に、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステル分はポリエステル(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドした後、(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度280℃にて溶融混練し、ペレット化した後、水分量100ppm以下に乾燥させた。
次いで、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)を用いて、バレル設定温度280℃にてノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金(設定温度280℃)より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を80℃の温水浴中で延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行ない、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006035868
*1 ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製
*2 ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製
*3 ポリブチレンテレフタレート、KOLON社製
*4 メラミンシアヌレート、日産化学(株)製
*5 三酸化アンチモン、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製
*6 アンチモン酸ナトリウム、平均粒子径(一次粒子)2.4μm、日本精鉱(株)製
*7 架橋アクリル粒子、平均粒子径1.8μm、総研化学(株)製
*8 リン酸処理炭酸カルシウム、平均粒子径9μm、丸尾カルシウム(株)製
*9 メラミン樹脂/シリカ複合体、平均粒子径1.9μm、日産化学工業(株)製
(製造例5〜8)
表2に示した種類および配合比率にて、水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート、アンチモン系難燃助剤、メラミンシアヌレート、有機微粒子または無機微粒子を配合した組成物をドライブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度280℃にて溶融混練し、ペレット化した後、水分量100ppm以下に乾燥させた。
次いで、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)を用いて、バレル設定温度280℃にてノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金(設定温度280℃)より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を80℃の温水浴中で延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行ない、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006035868
*1 ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製
*2 ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製
*3 ポリブチレンテレフタレート、KOLON社製
*4 メラミンシアヌレート、日産化学(株)製
*5 三酸化アンチモン、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製
*6 アンチモン酸ナトリウム、平均粒子径(一次粒子)2.4μm、日本精鉱(株)製
*7 架橋アクリル粒子、平均粒子径1.8μm、総研化学(株)製
*8 リン酸処理炭酸カルシウム、平均粒子径9μm、丸尾カルシウム(株)製
*9 メラミン樹脂/シリカ複合体、平均粒子径1.9μm、日産化学工業(株)製
(製造例9〜12)(難燃加工剤の調製)
表3に示す種類および配合比率にて、難燃剤、界面活性剤、消泡剤およびイオン交換水を混合し、直径0.8mmのガラスビーズを充填したミル(アイメックス(株)製、竪形湿式媒体撹拌ミル1TSG)中に仕込み、平均粒子径が1.5〜3.0μmとなるまで粉砕処理した後、120℃で20分間乾燥した際の不揮発分濃度が40重量%になるようにイオン交換水で希釈して、難燃加工剤を得た。
Figure 2006035868
*10 有機環状リン化合物、三光(株)製、SANKO−BCA
(実施例1〜10)
製造例1〜4で得られた人工毛髪用ポリエステル繊維を用い、長さ30cmおよび総繊度10万dtexのトウフィラメントを作製した。他方、製造例7〜10で得られた難燃加工剤を10%omfとなるように希釈した処理液を調製した。
表4に示すフィラメント種と難燃加工剤種の組合せにて、高圧染色機((株)日阪製作所製、LLC型)を用いて、処理液温度130℃にて、0.274MPaの圧力下において、浴比1:20の処理液中に該トウフィラメントを浸漬し、浸漬時間を調節することにより、それぞれの難燃剤吸尽量が10重量%になるように処理した。
Figure 2006035868
得られたフィラメントに対し、繊維処理剤としてKRE−05、KRE−08およびKRE−101の付着量が、それぞれ、0.15%omf、0.05%omfおよび0.10%omfとなるように浸漬法にて付着させ、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、触感、くし通りおよびアイロンセット性を評価した結果を、表5に示す。
Figure 2006035868
(比較例1〜2)
表4に示したように、浸漬時間を調節することにより、難燃剤吸尽量が1重量%(比較例1)または30重量%(比較例2)になるように処理した以外は、実施例と同様の操作により、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、触感、くし通り、アイロンセット性を評価した結果を、表5に示す。
(実施例11〜17および実施例20)
製造例5〜8で得られた人工毛髪用ポリエステル系繊維120gを用い、直径約40cmの枷を作製した。他方、製造例7〜10で得られた難燃加工剤を10%owfとなるように、表6に示す染料レサイプにより作製した染色液に混合した処理液を調製した。
Figure 2006035868
*10 分散染料、 ダイスター(株)製
*11 分散剤、 明成化学(株)製
*12 ノニオン系界面活性剤、 第一工業(株)製
表7に示すポリエステル系繊維と難燃加工材との組合せにて、高圧染色機((株)日阪製作所製、LLC型)を用いて、処理液温度130℃にて、0.274MPaの圧力下において、浴比1:20の該処理液中に60分間浸漬し、それぞれの難燃剤吸尽量が10重量%、染料濃度が1重量%になるように処理した。次いで、表6に示す還元溶液を用いて、還元条件にて還元洗浄を行なって染色されたフィラメントを得た。
Figure 2006035868
得られたフィラメントに対し、繊維処理剤としてKRE−05、KRE−08およびKRE−101の付着量がそれぞれ、0.15%omf、0.05%omfおよび0.10%omfとなるように浸漬法にて付着させ、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、色相、触感、くし通りおよびアイロンセット性を評価した結果を表8に示す。
Figure 2006035868
(実施例18〜19)
表7に示したように、浸漬時間を調節することにより、難燃剤吸尽量が3重量%(実施例18)および18重量%(実施例19)になるように処理した以外は、実施例と同様の操作により、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、色相、触感、くし通り、アイロンセット性を評価した結果を表8に示す。
(比較例3〜4)
表7に示したように、浸漬時間を調節することにより、難燃剤吸尽量が1重量%(比較例1)および30重量%(比較例2)になるように処理した以外は、実施例と同様の操作により、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた難燃性ポリエステル系人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、色相、触感、くし通り、アイロンセット性を評価した結果を表8に示す。
(比較例5)
水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート(BK−2180、三菱化学(株)製)100重量部、ペンタブロモトルエン10重量部、アンチモン酸ナトリウム(SA−A、日本精鉱(株)製)2重量部、架橋アクリル系微粒子(MX−180TA、綜研化学(株)製)1重量部および黒顔料マスターバッチ(カーボンブラック含有量20重量%、PESM22367BLACK、大日精化工業(株)製)3重量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度280℃で溶融混練し、ペレット化した後に、水分量100ppm以下に乾燥させた。
次いで、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)を用いて、シリンダ設定温度280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を80℃の温水浴中で延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行ない、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られたフィラメントに対し、繊維処理剤としてKRE−05、KRE−08およびKRE−101の付着量がそれぞれ、0.15%omf、0.05%omfおよび0.10%omfとなるように浸漬法にて付着させ、難燃性ポリエステル系人工毛髪を得た。
得られた人工毛髪を用いて、強伸度、難燃性、光沢、色相、触感、くし通り、アイロンセット性を評価した結果を、表8に示す。
表に示したように、今回の難燃剤吸尽加工、および難燃剤吸尽加工と染色を同時に実施することにより、強伸度、難燃性、光沢、触感、くし通り、セット性に優れた難燃性人工毛髪繊維を得ることが可能となることが確認された。

Claims (13)

  1. ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、難燃助剤(B)0〜10重量部および、有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)0.1〜5重量部を含む樹脂組成物から形成されたポリエステル系フィラメントを、難燃剤吸尽加工して得られる難燃性ポリエステル系人工毛髪であって、難燃剤(E)の吸尽量が、ポリエステル系フィラメントに対して、2〜20重量%である、難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  2. 請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪が、難燃剤吸尽加工時に同時に染色を行うことにより得られる、難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  3. ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである、請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  4. 難燃助剤(B)が、メラミンシアヌレート、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  5. 有機微粒子(C)が、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂および架橋ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  6. 無機微粒子(D)が、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイトおよびマイカよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  7. 難燃剤吸尽加工に使用される難燃剤(E)が、リン系難燃剤、臭素含有リン系難燃剤、臭素化脂肪族系難燃剤、臭素化芳香族系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物および臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  8. 難燃剤吸尽加工に使用される難燃剤(E)の融点が160℃以上である、請求項7記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  9. 難燃剤吸尽加工に使用される難燃剤(E)の分子量が200〜4000である、請求項7記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  10. ポリエステル系フィラメントに対する染色および難燃剤吸尽加工が、90〜150℃の温度にて同時に行われ、かつ、ポリエステル系人工毛髪が染料を0.1重量%以上含む、請求項2〜9のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  11. 前記難燃性ポリエステル系繊維が、非捲縮生糸状である、請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  12. 前記難燃性ポリエステル系繊維が、原着されている、請求項1または3〜9のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  13. 単繊維繊度が10〜100dtexである、請求項1〜12のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
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