JP2002321286A - 架橋樹脂管の製造方法 - Google Patents

架橋樹脂管の製造方法

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JP2002321286A
JP2002321286A JP2001124771A JP2001124771A JP2002321286A JP 2002321286 A JP2002321286 A JP 2002321286A JP 2001124771 A JP2001124771 A JP 2001124771A JP 2001124771 A JP2001124771 A JP 2001124771A JP 2002321286 A JP2002321286 A JP 2002321286A
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crosslinked
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tubular body
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JP2001124771A
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English (en)
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Kotaro Tsuboi
康太郎 坪井
Takehisa Sugaya
武久 菅谷
Junichi Yokoyama
順一 横山
Akihiro Ogawa
彰弘 小川
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋性管状樹脂組成物と金型樹脂流路との間
に非架橋樹脂組成物からなる内側被覆層を介在させるよ
うにするとともに、架橋工程終了後、小さな径や長尺の
管であっても、内側被覆層を容易かつ確実に剥離除去す
ることができる架橋樹脂管の製造方法の提供を目的とす
る。 【解決手段】 架橋性管状樹脂組成物の少なくとも内周
面と金型樹脂接触面との間に非架橋樹脂組成物からなる
内側被覆層を形成させる内側被覆層形成工程と、前記内
側被覆層を形成させた架橋性管状樹脂を架橋させて架橋
樹脂管状体を製造する架橋樹脂管状体製造工程と、前記
架橋樹脂管状体の管中空部を減圧して内側被覆層を剥離
除去させる内側被覆層剥離除去工程とを備えた構成とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋樹脂管の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、架橋樹脂管の製造方法としては、
以下の方法が知られている。 (1)有機シランを熱可塑性樹脂へグラフト反応させた
後、熱水で架橋する。 (2)電離性放射線(電子線)を直接熱可塑性へ照射し
架橋する。 (3)架橋剤として過酸化物を熱可塑性樹脂に混練した
架橋性原料樹脂組成物を加熱して架橋する。
【0003】上述した(1)の方法は、熱水で架橋を行
うため、架橋を行う温度がどうしても低くなってしま
う。したがって、所定以上の架橋度を有する架橋樹脂管
を得ようとするためには莫大な時間を要し、生産性が極
めて悪くなってしまう。また、(2)の方法は、電離性
放射線を照射するための装置が大掛かりなものとなって
しまい、設備コストが莫大なものとなってしまう。した
がって、得られる架橋樹脂管の製造コストが非常に高く
なってしまう。これに対して、(3)の方法は、一工程
で連続的に架橋樹脂管を得ることができるとともに、設
備コストを安価に抑えることができるため、生産性およ
びコスト的に優れた製造方法といえる。
【0004】しかしながら、熱可塑性樹脂に架橋剤とし
て過酸化物を混練した架橋性原料樹脂組成物(以下、
「混練物」と記す。)は、過酸化物の反応により増粘し
てしまい、流動性を失ってしまうこともある。このよう
な混練物は、通常の押出機で金型内を通過させようとす
ると、過度の押出し圧力の上昇を引き起こしてしまうお
それがある。その結果、押出機から混練物の押出しが不
能となってしまうおそれが生じたり、もしくは架橋樹脂
管を得ることができたとしても、その表面が非常に粗悪
な架橋樹脂間、すなわち外観が悪い架橋樹脂管となって
しまうおそれが生じたりする。
【0005】一方、過酸化物と熱可塑性樹脂とを混練し
た後、この混練物を金型内で所定の架橋度となるまで加
熱して架橋樹脂管を得るときに、過度の押出し圧力の上
昇が生じるのを防ぎ、得られる架橋樹脂管表面の粗悪化
を防止することができる架橋樹脂管の製造方法が、特表
平9−508864号公報に開示されている。
【0006】すなわち、特表平9−508864号公報
では、過酸化物と熱可塑性樹脂とを含む架橋性原料樹脂
組成物を断面管状に形成させた架橋性管状樹脂組成物に
対して、架橋剤を含まない熱可塑性樹脂組成物により構
成される非架橋樹脂組成物が架橋性管状樹脂組成物の内
周面および外周面を被覆する被覆層となるように多層押
出しされるようになっている。前記被覆層は、加熱を行
い強制的に架橋を行う際に架橋性管状樹脂組成物と、金
型樹脂接触面との間に介在する潤滑剤としての役割を有
し、加熱架橋を行う際の金型内での樹脂のすべりを向上
させるようになっている。
【0007】したがって、特表平9−508864号公
報の製造方法では、架橋性管状樹脂組成物を強制的に架
橋して架橋樹脂管状体を形成するとき、金型内で過度の
押出し圧力の上昇が生じることを防止することができる
ようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特表平9−5
08864号公報に開示されている架橋樹脂管の製造方
法で架橋樹脂管を製造したとき、この製造された架橋樹
脂管は、架橋樹脂間の外周面側を被覆している外側被覆
層の除去はなされているが、架橋樹脂管状体の内周面側
を被覆している内側被覆層が存在したままの状態となっ
ている。このように内側被覆層が存在したままの架橋樹
脂管は、たとえば、この架橋樹脂管を給湯管などに使用
した場合、内側被覆層と架橋樹脂管状体との界面が剥離
しやすい状態にあるため、この剥離した部分から割れが
生じたりして漏水を引き起こすおそれがある。
【0009】また、内側被覆層は、架橋していない分、
架橋樹脂管状体に比べてクリープ強度が劣るという問題
がある。これを解消するためには、架橋樹脂管状体の肉
厚を厚くする必要があるが、このように架橋樹脂管状体
の肉厚を厚くすると、製品としての架橋樹脂管が、規格
化された寸法の管継ぎ手などを使用することができなく
なってしまい、この架橋樹脂管の肉厚に合う管継ぎ手を
新たに作成しなければならず、結果的にコストがかかる
こととなる。また、規格化された管継ぎ手を取り付ける
ために、架橋樹脂管の端部を管継ぎ手の規格に合わせて
削ることも考えられるが、このような行為は、非常に手
間がかかるため実用的であるとはいえない。
【0010】したがって、架橋樹脂管は、最終的に内側
被覆層も剥離して、架橋樹脂管状体のみで構成されるよ
うにすることが好ましいが、内側被覆層を架橋樹脂管状
体から剥離させることは困難性を伴う。特に、径が小さ
い架橋樹脂管状体や、連続的に製造した長尺の架橋樹脂
管状体から内側被覆層を剥離させるのは極めて困難であ
る。
【0011】そこで、本発明は、このような事情に鑑み
て、架橋性管状樹脂組成物を強制的に架橋させて架橋樹
脂管状体を形成させるときは、金型内の樹脂接触面と樹
脂との間に非架橋樹脂組成物からなる被覆層を介在させ
てすべりをよくすることができるとともに、架橋樹脂管
状体を形成させた後には、この架橋樹脂管状体の径が小
さかったり、架橋樹脂管状体を連続的に製造して長尺と
なってしまったりした場合であっても、内側被覆層を完
全に剥離除去することができる架橋樹脂管の製造方法を
提供することを目的としてなされた。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に記載の発明にかかる架橋
樹脂管の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記
す。)は、押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架橋
剤とを含む架橋性原料樹脂組成物を金型内に供給し、前
記金型内の管状の樹脂流路に展開させて樹脂合流点で断
面管状になるように合流させることにより形成させた架
橋性管状樹脂組成物の少なくとも内周面と、金型樹脂接
触面との間に、架橋剤が非含有の非架橋樹脂組成物を層
状に介在させるように内側被覆層を形成させる内側被覆
層形成工程と、前記内側被覆層を形成させた架橋性管状
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂を強制的に架橋させて架橋
樹脂管状体を製造する架橋樹脂管状体製造工程と、前記
架橋樹脂管状体を所定温度以下まで冷却した後、前記架
橋樹脂管状体の管中空部を減圧することにより、前記架
橋樹脂管状体の内側被覆層を剥離させた後、前記架橋樹
脂管状体の管端から剥離物を抜き取る内側被覆層剥離除
去工程とを備えた構成とした。
【0013】また、本発明の請求項2に記載の発明にか
かる架橋樹脂管の製造方法(以下、「請求項2の製造方
法」と記す。)は、請求項1の製造方法の構成に加え
て、架橋剤として過酸化物を使用する構成とした。
【0014】本発明で使用される押出機としては、単軸
押出機、2軸押出機、多軸押出機等が可能であるが、押
出機中で架橋剤と熱可塑性樹脂とを混練させる場合に
は、これらの中でも熱可塑性樹脂を溶融させ、架橋剤と
の混合能力に優れる2軸同方向回転押出機が好ましい。
【0015】また、本発明では、押出機に対する圧力を
許容耐圧力以下にするために、押出機と金型との間の樹
脂流路に昇圧押込装置を設けるとともに、昇圧押込装置
の上流側に設けた圧力検出装置で検出した圧力を、押出
機の耐圧力以下の値、好ましくは一定の値に制御するこ
とが好ましい。すなわち、押出機から押し出される架橋
性原料樹脂組成物の押出し圧力値が低すぎる場合、押出
機内で架橋剤が熱可塑性樹脂に十分に混練されないおそ
れが生じてしまう。したがって、混練物中に架橋剤が一
定の割合で配合されず、その結果、熱可塑性樹脂の架橋
が均等に行われなくなってしまい、最終製品の流量ばら
つきが発生してしまう。
【0016】一方、押出機から押し出される架橋性原料
樹脂組成物の押出し圧力値が高すぎる場合、押出機内で
架橋剤が熱可塑性樹脂に過剰に混練された状態となって
しまい、混練で生じる剪断発熱により押出機内で熱可塑
性樹脂の架橋が進行してしまう。したがって、押出機か
ら連続的に架橋性原料樹脂組成物を押し出すことが不能
となってしまう。
【0017】また、押出機から金型内に供給する架橋性
原料樹脂組成物の供給圧力を制御する方法としては、特
に限定されないが、たとえば、押出機から押出される架
橋性原料樹脂組成物の圧力変動の周期に合わせて制御対
象を決定することが好ましい。すなわち、具体的な制御
方法としては、圧力変動の周期が大きい場合において
は、押出機内へ原料樹脂となる熱可塑性樹脂および架橋
剤を供給する量や押出機内の温度を制御することなどが
挙げられ、圧力変動の周期が小さい場合においては、押
出機内のスクリュー回転数を制御することなどが挙げら
れる。このときの制御ロジックとしては、特に限定され
ないが、PID制御やファジ制御などが挙げられ、特
に、制御係数設定の簡便性からPID制御を用いること
が好ましい。
【0018】また、さらに押出機からの押し出し圧力を
向上させるための昇圧押込装置としては、押出機から押
し出された架橋性原料樹脂組成物を金型内に圧入する機
構を有していれば特に限定されないが、たとえば、互い
に外接して噛み合うようになっている二個の歯車をケー
シング内に併設し、歯車の噛み合い部を中に挟んでケー
シング内の樹脂の進行方向上流側に樹脂の吸入流路を形
成し、下流側に樹脂の吐出流路を形成し、これら流路間
のケーシング内壁が歯車に近接されているギアポンプが
最も好ましい。
【0019】また、ギアポンプ内の歯車形状は、特に限
定されないが、たとえば、歯が平行に設けられているス
パーギアや、角度を有した状態で設けられているヘリカ
ルギアなどが挙げられる。特に、外観等の点からヘリカ
ルギアを用いることが好ましい。
【0020】次に、本発明において用いられる熱可塑性
樹脂は、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィ
ン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメ
タクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙
げられ、これらが単独であるいは混合して用いられる。
この中でも特に、製品となった架橋樹脂管の柔軟性に優
れており、安価に手に入るという観点から、ポリオレフ
ィン樹脂が好ましく、さらに最適な樹脂として、L−L
DPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密
度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、
HDPE(高密度ポリエチレン)等のポリエチレン樹脂
が挙げられる。
【0021】また、本発明において用いられる架橋性原
料樹脂組成物は、適宜添加剤が添加されていても構わな
い。添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、耐光剤、
紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げら
れ、これら添加剤は、所望の物性を向上させるために適
宜用いられるものである。また、物性を向上させるため
の手段として、混練物中に結晶核剤となり得るものを、
結晶を微細化して物性を均一化させる補助剤として少量
添加するようにしても構わない。
【0022】また、熱架橋に使用する架橋剤としては、
特に限定されないが、有機過酸化物の使用が可能であ
り、使用する熱可塑性樹脂の成形温度や相溶性の観点か
ら適宜選択することができる。具体的には、ジクミルパ
ーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、シクロヘキサンパーオ
キサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロ
ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ(t−
ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ベレレート、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパ
ーオキシネオデカテート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブ
チルパーアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ジアゾアミノベ
ンゼン、N,N´−ジクロロアゾジカーボンアミド、ト
リクロロペンタジエン、トリクロロメタンスルフォクロ
リド、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン等が挙げられ、ジクミルパーオキサイ
ド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソ
プロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましく、ジクミルパ
ーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンがより好
ましい。
【0023】また、架橋剤の添加量としては、特に限定
されないが、たとえば、熱架橋性樹脂としてポリエチレ
ン樹脂を使用した場合、ポリエチレン樹脂100重量部
に対して、架橋剤が0.5重量部以上2.0重量部以下
となるようにすることが好ましく、特に1.0重量部以
上2.0重量部以下となるようにすることがより好まし
い。
【0024】すなわち、架橋剤の添加量が少なすぎる
と、最終的に得られる熱架橋のゲル分率が十分高くなら
ず架橋の効果を得ることができない。また、架橋剤の添
加量が多すぎると、架橋の進行が速くなりすぎるばかり
か、系中に未反応の架橋剤が残留してしまう可能性が高
くなってしまう。
【0025】また、本発明の架橋樹脂管の製造方法に用
いる製造金型としては、従来架橋樹脂管の製造金型とし
て使用されているスパイダー、スパイラル、コートハン
ガーなどの流路形状を備えた金型を使用することができ
るが、金型内の樹脂流路に展開された架橋性原料樹脂組
成物が管状に賦形されるように合流する部分(以下、
「再合流部分」という。)での金型内の樹脂接触面に
は、架橋性原料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分
を金型外部に排出させるための樹脂排出口が設けられて
いることが好ましい。
【0026】このとき、樹脂排出口の形状としては、架
橋性原料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分を金型
外部に排出可能となっていれば特に限定されないが、架
橋性原料樹脂組成物の再合流部分での金型内の樹脂接触
面に溝または排出穴などを設けるとともに、この溝また
は排出穴から金型外部まで通じさせた樹脂排出用の樹脂
流路を金型内に設けるようにした形状などが挙げられ
る。
【0027】また、樹脂排出口から排出させる架橋性原
料樹脂組成物量の制御は、樹脂排出用の樹脂流路の径や
長さ、原料樹脂の押出し圧力および架橋ゾーン以降での
樹脂圧力、樹脂粘度などにより左右されるが、たとえ
ば、排出流路の径を任意に制御できるようにすると、排
出量の制御が可能となるため好ましい。
【0028】このように制御された排出樹脂の量は、金
型内に供給された架橋性原料樹脂組成物量に対して0.
1重量%以上2重量%以下であることが望ましい。すな
わち、排出樹脂の量が、0.1%重量%以下であると、
樹脂の排出量が少なすぎるため、樹脂の再合流部分での
融着強度を十分に確保することができない。また、排出
樹脂の量が、2重量%以上である場合、これ以上排出樹
脂の量を増量しても効果は変化しないため経済的でな
い。
【0029】また、架橋性管状樹脂組成物中の熱架橋性
樹脂を強制的に架橋させる方法としては、特に限定され
ないが、金型内の樹脂接触面をヒーターや熱媒体などに
より温度調整して、この樹脂接触面に接触した架橋性管
状樹脂組成物を熱架橋させる接触方式が挙げられる。上
記接触方式により熱架橋を行うときは、熱伝達効率が低
く、架橋性管状樹脂組成物の厚み方向で温度分布のばら
つきが発生するので、架橋性管状樹脂組成物の内外面よ
り加熱するようにする。
【0030】また、本発明の製造方法においては、加熱
するに際して、架橋性管状樹脂組成物の架橋が進行して
増粘することにより、金型内で圧力上昇が生じるのを防
ぐため、架橋性管状樹脂組成物の少なくとも内周面と金
型樹脂接触面との間に架橋剤が非含有の非架橋樹脂組成
物を層状に介在させるように内側被覆層を形成すること
が必要である。
【0031】内側被覆層を形成する方法としては、特に
限定されないが、公知の技術である多層押出し方式など
により被覆層を形成する方法等が挙げられる。架橋性管
状樹脂組成物の外周面と金型樹脂接触面との間には、内
側被覆層を形成させるのと同様に非架橋樹脂組成物を層
状に介在させるように外側被覆層を形成させるようにす
ることが好ましいが、これに代えて、潤滑材を介在させ
るようにしても構わない。
【0032】非架橋樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂
としては特に限定されないが、たとえば、架橋性管状樹
脂組成物を構成する熱可塑性樹脂がポリエチレンの場
合、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレー
ト、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。中でも、接着
力、結晶化時の収縮差などの観点からポリスチレンやポ
リメタクリレート等の非晶性高分子を熱可塑性樹脂とし
て使用することが望ましく、特に、強制的に架橋を行う
金型内の樹脂流路への温度の影響の観点から、低温で押
出し可能な性質を有しているポリスチレンが好ましい。
【0033】また、内側被覆層剥離工程において、架橋
樹脂管状体の管中空部を減圧する減圧の圧力は、架橋樹
脂管状体を構成する樹脂組成物および内側被覆層を構成
する樹脂組成物の組み合わせや、架橋樹脂管状体の径の
大きさや、架橋樹脂管状体の長さなどにより適宜決める
ことができる。
【0034】また、架橋樹脂管状体の管中空部を減圧す
る方法としては、特に限定されないが、たとえば、架橋
樹脂管状体の管の両端部を、ゴムコルクや金属工具など
でシールした状態で、真空ポンプなどの減圧装置を用い
て管中空部の空気を吸引していく方法などが挙げられ
る。なお、架橋樹脂管状体の外周面を被覆する外側被覆
層が形成されている場合、この外側被覆層を剥離する方
法としては、この外側被覆層に切り込みを入れさえすれ
ば容易に剥離することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、本発明の架
橋樹脂管を連続的に製造するのに用いる製造装置の概略
図である。図2(a)は、図1に示した製造装置1にお
ける架橋樹脂管の製造金型(以下、「金型」とのみ記
す。) 2の構造を説明するための断面図である。
【0036】図1に示すように、この製造装置1は、金
型2と、架橋樹脂用押出機3と、内層被覆用押出機4
と、外層被覆用押出機5、水槽6、引き取り機7、外側
被覆層切断手段8、管切断手段9、外側被覆層巻き取り
機10、架橋樹脂管状体巻き取り機11とを備えてい
る。また、金型2は、図2に示したように、金型本体2
1とマンドレル22とにより形成されているとともに、
分配ゾーンAと、強制架橋ゾーンBと、賦形ゾーンCと
を備えている。
【0037】金型本体21は、図2に示したように、架
橋樹脂供給口211、非架橋樹脂供給口211aおよび
211bを備えている。また、架橋性原料樹脂組成物が
押出される方向に向かって、分配ゾーン形成筒部21
2、縮径筒部214、小径筒部213、賦形筒部215
が形成されている。架橋樹脂供給口211は、架橋樹脂
用押出機3から押し出される溶融状態の熱可塑性樹脂と
架橋剤とを混練した架橋性原料樹脂組成物を供給する入
口となっており、架橋樹脂供給口211から供給された
架橋性原料樹脂組成物は、金型2内の樹脂流路に展開さ
れるようになっている。
【0038】非架橋樹脂供給口211aは、図1に示し
た内層被覆用押出機4から押し出される溶融状態の架橋
剤非含有の非架橋樹脂組成物を供給する入口となってお
り、非架橋樹脂供給口211aから供給された非架橋樹
脂組成物は、金型内部を通って、後述する分配ゾーン形
成軸部222の略中央位置表面部分から架橋性原料樹脂
組成物の内層部分を覆うように展開されるようになって
いる。
【0039】非架橋樹脂供給口211bは、図1に示し
た外層被覆用押出機5から押し出される溶融状態の架橋
剤非含有の非架橋樹脂組成物を供給する入口となってお
り、非架橋樹脂供給口211bから供給された非架橋樹
脂組成物は、金型本体21における分配ゾーン形成筒部
212の略中央位置から架橋性原料樹脂組成物の外層部
分を覆うように展開されるようになっている。
【0040】分配ゾーン形成筒部212は、金型本体2
1における架橋樹脂供給口211側の端部から中央部に
向かって設けられている。また、小径筒部213は、金
型本体21の中央部に設けられており、分配ゾーン形成
筒部212と小径筒部213との間には、分配ゾーン形
成筒部212から小径筒部213に向かって徐々に縮径
する縮径筒部214が設けられている。また、賦形筒部
215は、小径筒部213を通過してきた管状樹脂組成
物を架橋させた架橋樹脂管状体を最終製品となる架橋樹
脂管の大きさに賦形するように、架橋樹脂管の外径に合
わせた大きさに縮径している。
【0041】一方、マンドレル22は、架橋性原料樹脂
組成物が押出される方向に向かって、分配ゾーン形成軸
部222、縮径軸部224、小径軸部223、賦形軸部
225が繋ぎ合わされて形成されている。
【0042】分配ゾーン形成軸部222は、一端側の一
部で金型本体21に支持されており、架橋樹脂供給口2
11に臨む部分から縮径軸部224に到る部分の外周面
の一部に凹部溝226が穿設されている。小径軸部22
3は、金型本体21の小径筒部213との間に小径厚肉
の管状の隙間を形成するようになっており、賦形軸部2
25は、金型本体21の賦形筒部215との間にほぼ成
形しようとする管の断面形状と同じ断面形状の隙間を形
成するようになっている。縮径軸部224は、分配ゾー
ン形成軸部222から小径軸部223に向かって徐々に
縮径している。
【0043】凹部溝226は、押出機3から供給された
架橋性原料樹脂組成物を、分配ゾーン形成軸部222と
分配ゾーン形成筒部212との間に展開させた後、断面
管状となるように合流させる樹脂合流点Sを備えている
とともに、この樹脂合流点Sで架橋性原料樹脂組成物の
合流部およびその近傍部分を除去し金型2の外部へ排出
させる樹脂排出口227が設けられている。
【0044】樹脂排出口227は、図示していないが、
排出量調整機構が設けられており、金型2内に供給され
た架橋性原料樹脂組成物の0.1重量%以上2重量%以
下を、排出口228を介して金型2の外部に排出するよ
うに調整可能となっている。水槽6は、金型2から出て
きた軟化状態の架橋樹脂管状体P0を冷却して、硬化状
態の架橋樹脂管状体P1とするようになっている。
【0045】引き取り器7は、硬化状態の架橋樹脂管状
体P1を、その寸法を規制しつつ引き取ることにより、
押出成形における押出速度の微調整を行うようになって
いる。外側被覆層切断手段8は、硬化状態の架橋樹脂管
状体P1における外側皮膜層を剥離除去した架橋樹脂管
状体P2が形成されるように、硬化状態の架橋樹脂管状
体P1における外側被覆層に切り込みを入れるようにな
っている。管切断手段9は、外側被覆層を剥離除去した
架橋樹脂管状体P2を所定の長さで切断するようになっ
ている。
【0046】外側被覆層巻き取り機10は、外側被覆層
切断手段8により切り込みが入れられた硬化状態の架橋
樹脂管状体P1における外側被覆層を巻き取り回収する
ようになっている。図5は、図1の架橋樹脂管状体巻き
取り機11のX方向矢視図である。架橋樹脂管状体巻き
取り機11は、図1および図5に示したように外側被覆
層が除去された架橋樹脂管状態P2の先端部P2aを予
め巻き始め時に出しておいた状態で巻き取り回収するよ
うになっている。
【0047】次に、製造装置1により架橋樹脂管状体P
2が得られるまでの工程と、架橋樹脂管状体P2から内
側被覆層を剥離除去して、最終製品である架橋樹脂管が
製造されるまでの工程を説明する。製造装置1は、図2
に示した分配ゾーンAで、以下のような工程を経て架橋
ゾーンBに樹脂が分配されるようになっている。
【0048】(1) 架橋樹脂押出機3から押出されてき
た架橋性原料樹脂組成物が、架橋樹脂供給口211から
供給された後、分配ゾーン形成軸部222と分配ゾーン
形成筒部212との間に展開していき、樹脂合流点Sで
断面管状となるように合流したときに、この樹脂合流点
Sで架橋性原料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分
を樹脂排出口227から排出させて管状架橋樹脂組成物
を形成させる。このとき排出される架橋性原料樹脂組成
物の合流部およびその近傍部分の量は、架橋樹脂供給口
211から供給された架橋性原料樹脂組成物量の0.1
重量%以上2重量%以下を目安とする。
【0049】(2) 内層被覆用押出機4から押出されて
きた熱可塑性樹脂が、非架橋樹脂供給口211aから供
給された後、金型内部を通って、分配ゾーン形成軸部2
22の略中央位置表面部分から(1)工程で得た管状架橋
樹脂組成物の内層部分を層状に覆うように展開され内側
被覆層が形成されるとともに、外層被覆用押出機5から
押出されてきた熱可塑性樹脂が、非架橋樹脂供給口21
1bから供給された後、分配ゾーン形成筒部212の略
中央位置から(1)工程で得た管状架橋樹脂組成物の外層
部分を層状に覆うように展開され外側被覆層が形成され
ることで、3層構造をした管状樹脂組成物を形成させ
る。 (3) (2)工程で得た3層構造の管状樹脂組成物を、任意
の径の管状体となるように縮径させるようにして、架橋
ゾーンBに分配していく。
【0050】次に、製造装置1は、架橋ゾーンBで、以
下のようにして管状樹脂組成物を熱架橋するようになっ
ている。 (4) 架橋ゾーンBを形成する小径筒部213および小
径軸部223の樹脂接触面が、ヒーター(図示せず)に
より管状樹脂組成物を架橋させる温度まで加熱され、こ
の小径筒部213および小径軸部223の間に形成され
ている樹脂流路を通過する管状樹脂組成物は、前記樹脂
接触面の熱により強制的に架橋されて、架橋樹脂管状体
が形成される。
【0051】(5) (4)までの工程により得られた架橋樹
脂管状体は、賦形ゾーンCで製品となる管の径に合わせ
るように賦形されて軟化状態の架橋樹脂管状体P0の形
で金型2の外部へと押し出される。 (6) 軟化状態の架橋樹脂管状体P0は、水槽6の中を
通過することにより強制的に冷却され、硬化状態の架橋
樹脂管状体P1となる。
【0052】(7) 硬化状態の架橋樹脂管状体P1は、
引き取り機7により引き取られた後に、外側被覆層を剥
離除去した架橋樹脂管状体P2の形で、架橋樹脂管状体
巻き取り機11に巻き取られる。このとき、外側被覆層
は、外側被覆層切断手段8により切り込みを入れること
により剥離可能な状態にされ、外側被覆層巻き取り機1
0で巻き取られる。また、架橋樹脂管状体P2は、図1
および図5に示したように、架橋樹脂管状体巻き取り機
11に巻き取られる際、その先端部P2aを予め出して
おく。
【0053】(8) 架橋樹脂管状体11に巻き取られた
架橋樹脂管状体P2は、図1および図3(a)に示した
ように、50m程度の長さとなったら管切断手段9によ
り切断され両端が外に臨んだ状態とする。 (9) 次に、図3(b)に示したように、架橋樹脂管状
体P2の両端部分にゴムコルクなどからなるシール部材
G1およびG2を取り付け、架橋樹脂管状体P2の管中
空部を密閉状態とする。
【0054】(10) その後、図3(c)および図4
(a)、(b)に示したように、両端にシール部材G1
およびG2を取り付けた架橋樹脂管状体P2の一端から
真空ポンプ(図示せず)に連結されているノズルNを差
し入れ、架橋樹脂管状体P2の管中空部を減圧してい
く。すると、図4(c)に示したように、内側被覆層U
が剥離される。次に、シール部材G1、G2およびノズ
ルNを引き抜くことで、図4(d)に示したように内側
被覆層Uが架橋樹脂管状体の一端から外部へと除去可能
な状態にする。 (11) 最後に図3(d)に示したように、内側被覆層U
を内側被覆層用巻き取り機12で巻き取り回収すること
により、残りの架橋樹脂部分のみからなる最終的な架橋
樹脂管P3が得られる。
【0055】以上のような製造方法を行うと、架橋樹脂
管を製造するとき、金型内で押し出し圧力の上昇が起こ
るのを確実に抑えることができるため、クリープ性能お
よび外観に優れた架橋樹脂管を連続的に製造していくこ
とができる。また、最終的に得られる架橋樹脂管P3
は、非架橋樹脂組成物が剥離除去されているため、肉厚
を厚く形成させなくても十分な強度を有したものとな
る。したがって、規格化された従来からの管継ぎ手など
を使用することができる。また、本発明の製造方法は、
製造する架橋樹脂管の径が小さかったり、連続的に長尺
の架橋樹脂管状体を製造したりした場合であっても、確
実しかも容易な操作で内側被覆層を剥離除去することが
できる。
【0056】なお、本発明にかかる架橋樹脂管の製造方
法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記
実施の形態では、管状樹脂組成物の外層部分および内層
部分が、非架橋性樹脂組成物からなる外側被覆層および
内側被覆層となっていたが、外層部分に関しては、非架
橋性樹脂組成物からなる外側被覆層に代えて潤滑剤など
を使用するようにしてもよい。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の実施例をより詳しく説明す
る。
【0058】(実施例1)各部の寸法が以下のようにな
っている図2に示すような金型2と、図1に示した架橋
樹脂用押出機3と、内層被覆用押出機4と、外層被覆用
押出機5とを用意した。 〔金型寸法〕 ・小径筒部213の内径:50.0mm ・賦形筒部215の内径:43.0mm 〔マンドレル寸法〕 ・小径軸部223の外径:17.0mm ・賦形軸部225の外径:12.8mm 〔押出機〕 ・日本製鋼所社製TEX30α、L/D=51、口径3
2mm
【0059】そして、熱可塑性樹脂としての直鎖状低密
度ポリエチレン(密度0.945、メルトフローレート
(MFR)5.5融点127℃)を押出機に投入すると
ともに、L/D=35の位置から架橋剤としての2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
シン−3(日本油脂社製パーヘキシン25B、193℃
半減期時間60秒)を押出機に直鎖状低密度ポリエチレ
ン100重量部に対して1.5重量部の割合で添加し、
押出機内で170℃の樹脂温度で直鎖状低密度ポリエチ
レンと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキシン−3とを混合混練して架橋性原料樹脂
組成物を得た。
【0060】得られた架橋性原料樹脂組成物を、架橋樹
脂用押出機3と金型2との間に設置された計量ポンプを
介して、金型2へ供給した。金型2は、コートハンガー
タイプのものを使用し、マニホールド流路末端となる凹
部溝226の樹脂合流点Sに、金型2の外に架橋性原料
樹脂組成物を排出させる樹脂排出口227としてφ5m
mの穴を設け、この孔は、樹脂排出路228を介して金
型外部へと通じるようにした。なお金型外部へ排出させ
る架橋性原料樹脂組成物の量は、金型内に供給された架
橋性原料樹脂組成物の1.0%となるように調整した。
【0061】熱架橋は、小径筒部213および小径軸部
223の樹脂接触面をヒーターにより250℃となるよ
うに調整することで行うようにし、賦形筒部215およ
び賦形軸部225の樹脂接触面は、ヒーターで200℃
となるように温調した。また、内層被覆用押出機4およ
び外層被覆用押出機5からは、ポリスチレン(メルトフ
ローレート(MFR)10)がそれぞれ管状架橋樹脂組
成物の内層および外層を覆う内側被覆層および外側被覆
層となるように多層押出しを行った。
【0062】以上の操作を行うことにより、外径17.
0mm、内径12.8mmの架橋樹脂管状体P1を成形
速度(ラインスピード)15.0mm/minで連続的
に製造した。架橋樹脂管状体P1の外側被覆層は、外側
被覆層切断手段8により傷を入れて連続的にピーリング
(剥離)して外側被覆層巻き取り機10で巻き取った。
【0063】また、外側被覆層が剥離除去された架橋樹
脂管状体P2は、先端部分P2aを予め出しておいた状
態で架橋樹脂管状体巻き取り機11に巻回していき、5
0mの長さの巻物となったところで、管切断手段9によ
り切断を行った。巻物となった架橋樹脂管状体P2の管
中空部が密閉状態となるように管の両端部分をゴムコル
クによりシールした後、この一方から真空ポンプに連結
されているノズルを差し入れて、管中空部が減圧される
ように真空ポンプの吸引を行い、この吸引により剥離さ
れた内側被覆層Uを内側被覆層巻き取り機により巻き取
ることにより、架橋樹脂のみにより構成された架橋樹脂
管を得た。
【0064】なお、押出機としては、スクリュー軸が上
流側から下流側に向かって第一フルフライト形状部−第
一逆フルフライト形状部−第二フルフライト形状部−第
二逆フルフライト形状部を順に備えた押出機を用い、高
圧部 (第一逆フルフライト形状部)と、高圧部 (第二逆
フルフライト形状部)との間に挟まれた低圧部 (第二フ
ルフライト形状部)から2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を供給するよう
にした。
【0065】(実施例2)内層被覆用押出機4および外
層被覆用押出機5から押し出す非架橋樹脂組成物をポリ
プロピレンとしたことを除いて、実施例1と同様の操作
を行った。
【0066】(実施例3)内層被覆用押出機4および外
層被覆用押出機5から押し出す非架橋樹脂組成物をポリ
塩化ビニル(PVC)としたことを除いて実施例1と同
様の操作を行った。
【0067】(比較例1)内層被覆用押出機4および外
層被覆用押出機5から押し出す非架橋樹脂組成物を直鎖
状低密度ポリエチレンとしたことを除いて実施例1と同
様の操作を行おうとしたが、架橋樹脂管状体から内側被
覆層を減圧により剥離除去することができなかったた
め、内側被覆層を備えた架橋樹脂管状体を製品としての
架橋樹脂管とした。
【0068】上記実施例1〜3、比較例1での架橋度お
よび熱間内圧クリープ試験を行い、その結果を表1に示
した。なお、架橋度は、JIS K6769に基づき以
下の式(1)で示されるゲル分率(%)で表すことがで
きる。
【0069】 ゲル分率(%)=(溶剤抽出前の試料重量−溶剤抽出後の試料重量)/溶剤抽出
前の試料重量×100 ・・・・(1) 上記式において、溶剤抽出後の試料重量とは、選択した
架橋状態の熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤を用いて試料
中に残った未架橋樹脂の樹脂分を溶解させて残った不溶
分のみの重量である。
【0070】また、得られた架橋樹脂管の熱間内圧クリ
ープ試験は、JIS K6769に規定される方法にて
測定を行い、割れその他の欠点の有無を目視にて観察し
た。欠点が認められない場合を○、割れその他の欠点が
認められた場合を×とした。
【0071】
【表1】
【0072】表1より、同じように架橋が行われていて
も、実施例1〜3のように、外側被覆層および内側被覆
層を剥離除去するようにすると、比較例1のように、外
側被覆層および内側被覆層を剥離除去しないものと比べ
て、熱間内圧試験の結果が優れていることが分かる。す
なわち、外側被覆層および内側被覆層を剥離除去するこ
とができると、同じ肉厚であっても、クリープ性能が優
れた架橋樹脂管を得ることができる。
【0073】
【発明の効果】本発明の請求項1および請求項2にかか
る架橋樹脂管の製造方法は、以上のように構成されてい
るので、架橋樹脂管を製造するときに金型内で押し出し
圧力が上昇してしまうことを防ぐことができるのに加え
て、小口径の架橋樹脂管や長尺の架橋樹脂管を連続的に
得る場合であっても、架橋樹脂管状物の内層に介在させ
た内側被覆層を容易かつ確実に剥離除去することができ
るため、クリープ性能の優れた架橋樹脂管を得ることが
できる。したがって、給水給湯管などとして使用した場
合、長期にわたって破壊することなく好適に使用するこ
とのできる架橋樹脂管を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる架橋樹脂管の製造方法に用いる
製造装置の一実施形態を示した概略図である。
【図2】図1の製造装置における金型を示した断面図で
ある。
【図3】図1で得られた架橋樹脂管状体の内側被覆層を
剥離除去させる様子を示した説明図である。(a)は、
架橋樹脂管状体を切断する様子を示している。(b)は
管の両端にシール部材を詰め込む様子を示している。
(c)は、真空ポンプに連結された吸引ノズルを差し込
んだ様子を示している。(d)は、剥離した内側被覆層
を巻き取っている様子を示している。
【図4】図3で示した架橋樹脂管状体の内側被覆層を剥
離除去させる様子をより詳しく示した説明図である。
(a)は、吸引ノズルを差し込んだ様子を示している。
(b)は、管中空部の吸引開始時を示している。(c)
は、内側被覆層が剥離した状態を示している。(d)
は、剥離した内側被覆層を除去する開始時を示してい
る。
【図5】図1の架橋樹脂管状体巻き取り機のX方向矢視
図である。
【符号の説明】
1 製造装置 2 金型 21 金型本体 211 架橋性原料樹脂組成物供給口 22 マンドレル 3 (架橋樹脂用)押出機 4 (非架橋樹脂用)押出機 5 (非架橋樹脂用)押出機 P2 架橋樹脂管状体 P3 架橋樹脂管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00 23:00 23:00 (72)発明者 小川 彰弘 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水エ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3H111 AA01 BA15 EA04 EA12 EA13 4F207 AB03 AB19 AG03 AG08 KA01 KA11 KB26 KK01 KM26 KW50 4F213 AA08 AA11 AA13 AB03 AG03 AG08 AM32 WA06 WA33 WB02 WB21 WB22 WE06 WE07 WE30 WF01 WF02 WK01 WK02 WK03 WW01 WW06 WW15 WW23 WW33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架
    橋剤とを含む架橋性原料樹脂組成物を金型内に供給し、
    前記金型内の管状の樹脂流路に展開させて樹脂合流点で
    断面管状になるように合流させることにより形成させた
    架橋性管状樹脂組成物の少なくとも内周面と、金型樹脂
    接触面との間に、架橋剤が非含有の非架橋樹脂組成物を
    層状に介在させるように内側被覆層を形成させる内側被
    覆層形成工程と、前記内側被覆層を形成させた架橋性管
    状樹脂組成物中の熱可塑性樹脂を強制的に架橋させて架
    橋樹脂管状体を製造する架橋樹脂管状体製造工程と、前
    記架橋樹脂管状体を所定温度以下まで冷却した後、前記
    架橋樹脂管状体の管中空部を減圧することにより、前記
    架橋樹脂管状体の内側被覆層を剥離させた後、前記架橋
    樹脂管状体の管端から剥離物を抜き取る内側被覆層剥離
    除去工程とを備えた架橋樹脂管の製造方法。
  2. 【請求項2】架橋剤として過酸化物を使用する請求項1
    に記載の架橋樹脂管の製造方法。
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