JP2002254491A - 架橋樹脂管の製造方法および製造金型 - Google Patents

架橋樹脂管の製造方法および製造金型

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JP2002254491A
JP2002254491A JP2001060416A JP2001060416A JP2002254491A JP 2002254491 A JP2002254491 A JP 2002254491A JP 2001060416 A JP2001060416 A JP 2001060416A JP 2001060416 A JP2001060416 A JP 2001060416A JP 2002254491 A JP2002254491 A JP 2002254491A
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JP2001060416A
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English (en)
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Akihiro Ogawa
彰弘 小川
Takehisa Sugaya
武久 菅谷
Junichi Yokoyama
順一 横山
Kotaro Tsuboi
康太郎 坪井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 径が小さい架橋樹脂管を製造するときであっ
ても、金型におけるマンドレル部分が撓むことなく、架
橋樹脂が金型内に滞留したり、偏流が発生して押出し不
能となったりすることを防止することができる架橋樹脂
管の製造方法および製造金型の提供を目的とする。 【解決手段】 金型内に供給された架橋性原料樹脂組成
物を架橋させた状態で、架橋樹脂管形状に賦形する工程
を含む架橋樹脂管の製造方法において、前記金型内の架
橋から賦形までを行う樹脂流路を、クリアランス減少率
と断面積減少率との比が、0.01≦クリアランス減少
率/断面積減少率≦0.6となるように調整したことを
特徴とする構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋樹脂管の製造
方法および製造金型に関し、詳しくは、径の小さな架橋
樹脂管であっても、クリープ性能および外観の向上を図
ることができる架橋樹脂管の製造方法および製造金型に
関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を架橋させた架橋樹脂管の
製造方法としては、様々な方法が知られており、たとえ
ば、特表平9−508864号公報などで、架橋剤と熱
可塑性樹脂とを含む架橋性原料樹脂組成物を、管(チュ
ーブ)の形態となるように金型内の樹脂流路に押出す工
程と、この工程に引き続いて管状の架橋性原料樹脂組成
物を熱架橋させる工程とを含む架橋樹脂管の製造方法が
開示されている。このような架橋樹脂管の製造方法は、
一つの工程で架橋樹脂管を得ることができるとともに、
設備コストを安価に抑えることができるため、生産性お
よびコスト的に優れた製造方法といえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の架橋樹
脂管の製造方法では、製造金型として、直径が一定の内
径側コア(マンドレル)を使用しているため、製品とな
る架橋樹脂管の径を小さくしようとすればするほどマン
ドレルに撓みが生じやすくなってしまい、得られる架橋
樹脂管の寸法安定性が低下したり、得られる架橋樹脂管
の周方向に架橋度の分布が発生してしまったりするおそ
れがある。
【0004】そこで、上述した弊害を解消するために
は、金型内に供給された管状の架橋性原料樹脂組成物を
熱架橋させて管状架橋樹脂組成物を得る金型内の架橋ゾ
ーンから、最終賦形物としての架橋樹脂管を賦形する金
型内の賦形ゾーンにかけての樹脂流路を形成しているマ
ンドレルの径を段階的に小さくしていくことでマンドレ
ルの撓みを抑えるようにすることが考えられる。
【0005】このように、架橋ゾーンから賦形ゾーンに
かけて、マンドレルの径を小さくしていく場合、このマ
ンドレルとともに金型内の樹脂流路を形成する金型本体
の筒形状をした内壁面の径も合わせて小さくしていかな
ければならない。しかし、架橋性樹脂の金型内の樹脂流
路での引っ張りもしくは圧縮の変形を考慮せずに、これ
らマンドレルの径および金型本体の内壁面の径を小さく
していくだけでは、架橋樹脂が金型内に滞留したり、偏
流が発生して押出し不能となってしまったりして、得ら
れる架橋樹脂管のクリープ性能が劣ったり外観が悪くな
ってしまったりする。
【0006】本発明者は、実験を繰り返すことにより、
架橋ゾーンから賦形ゾーンにかけての樹脂流路のクリア
ランス減少率と断面積減少率との比がある所定の範囲内
にあるときに、架橋樹脂が金型内に滞留したり、偏流が
発生して押出し不能となってしまったりすることなくマ
ンドレルの径および金型本体の内壁面の径を小さくする
ことができることを突き止めた。
【0007】そこで、本発明は、上述した問題に鑑みて
なされ、径が小さい架橋樹脂管を製造するときであって
も、金型におけるマンドレル部分が撓んだりすることな
く、また、架橋樹脂が金型内に滞留したり、偏流が発生
して押出し不能となったりすることを防止して、得られ
る架橋樹脂管のクリープ性能および外観の向上を図るこ
とができる架橋樹脂管の製造方法および製造金型の提供
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に記載の発明にかかる架橋
樹脂管の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記
す。)は、押出機から押出された熱可塑性樹脂と架橋剤
とを含む架橋性原料樹脂組成物を金型内に供給した後、
金型内で前記架橋性原料樹脂組成物中の熱可塑性樹脂を
架橋させた状態で、最終賦形物としての架橋樹脂管形状
に賦形する工程を含む架橋樹脂管の製造方法において、
前記金型内の架橋から賦形までを行う樹脂流路を、クリ
アランス減少率と断面積減少率との比が、0.01≦ク
リアランス減少率/断面積減少率≦0.6となるように
調整したことを特徴とする構成とした。
【0009】また、本発明の請求項2に記載の発明にか
かる架橋樹脂の製造方法(以下、「請求項2の製造方
法」と記す。)は、請求項1の製造方法の構成に加え
て、架橋させる前の架橋性原料樹脂組成物を、金型内の
管状の樹脂流路に展開させて樹脂合流点で断面管状にな
るように合流させた後、樹脂合流点で架橋性原料樹脂組
成物の合流部およびその近傍部分を除去し金型外部へ排
出させる工程を備えた構成とした。
【0010】また、本発明の請求項3に記載の発明にか
かる架橋樹脂の製造方法(以下、「請求項3の製造方
法」と記す。)は、請求項1または請求項2の製造方法
の構成に加えて、断面管状の架橋性管状樹脂組成物を架
橋するとき、この架橋性管状樹脂組成物の少なくとも内
層側または外層側の何れかと、金型の樹脂接触面との間
に層状に介在するように、金型内に架橋剤非含有の樹脂
組成物を供給する構成とした。
【0011】また、本発明の請求項4に記載の発明にか
かる架橋樹脂の製造金型(以下、「請求項4の金型」と
記す。)は、押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架
橋剤とを含む架橋性原料樹脂組成物から架橋性管状樹脂
組成物を形成させる樹脂流路を備えた金型であって、前
記金型内には、前記架橋性管状樹脂組成物を強制的に架
橋させる加熱手段が設けられている架橋ゾーンと、前記
架橋ゾーンで架橋させた管状架橋樹脂組成物を製品形状
に賦形する賦形ゾーンとを有するとともに、前記金型内
の樹脂流路が、前記架橋ゾーンから賦形ゾーン出口にか
けて、クリアランス減少率と断面積減少率との比が、
0.01≦クリアランス減少率/断面積減少率≦0.6
となるように形成されていることを特徴とする構成とし
た。
【0012】また、本発明の請求項5に記載の発明にか
かる架橋樹脂の製造金型(以下、「請求項5の製造金
型」と記す。)は、請求項4の製造金型の構成に加え
て、押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架橋剤とを
含む架橋性原料樹脂組成物を展開させて樹脂合流点で断
面管状となるように合流させることにより架橋性管状樹
脂組成物を形成させる樹脂流路を備えた金型であって、
前記樹脂合流点で架橋性原料樹脂組成物の合流部および
その近傍部分を除去し金型外部へ排出させる樹脂排出口
が、金型内の樹脂接触面に設けられていることを特徴と
する構成とした。
【0013】また、本発明の請求項6に記載の発明にか
かる架橋樹脂の製造金型(以下、「請求項6の製造金
型」と記す。)は、請求項4または請求項5の製造金型
の構成に加えて、金型の架橋ゾーンよりも前方位置に、
金型内の樹脂接触面と架橋性管状樹脂組成物との間に架
橋剤非含有の樹脂組成物を層状に介在させるように供給
する樹脂供給口が少なくとも金型内における前記架橋性
管状樹脂組成物の内層側または外層側の何れかに臨むよ
うに設けられている構成とした。
【0014】上記構成において、架橋ゾーンから賦形ゾ
ーン出口にかけてのクリアランス減少率は、以下の式
(1)により表すことができる。
【0015】 クリアランス減少率=(t1−t2)/t1 ・・・・・・・・(1) 上記式(1)において、t1は、樹脂流路の架橋ゾーン
でのクリアランスを示し、t2は、樹脂流路の賦形ゾー
ン出口でのクリアランスを示す。
【0016】また、架橋ゾーンから賦形ゾーン出口にか
けての断面積減少率は、以下の式(2)により表すこと
ができる。
【0017】 断面積減少率=(s1−s2)/s2 =(D1 2−d1 2)−(D2 2−d2 2)/(D2 2−d2 2)・・(2) 上記式(2)において、s1は、樹脂流路の架橋ゾーン
での断面積を示し、s2は、樹脂流路の賦形ゾーン出口
での断面積を示す。また、D1は、架橋ゾーン流路外径
を示し、d1は、架橋ゾーン流路内径を示し、D2は、賦
形ゾーン流路外径を示し、d2は、賦形ゾーン流路内径
を示す。(図2参照)
【0018】したがって、架橋ゾーンから賦形ゾーン出
口にかけてのクリアランス減少率と断面積減少率との比
は、以下の式(3)により表すことができる。
【0019】 クリアランス減少率/断面積減少率 =|((t1−t2)/t1)/((s1−s2)/s1)| =|((t1−t2)/t1)/((D1 2−d1 2)−(D2 2−d2 2)/(D2 2−d2 2))|・・(3 ) 上記式(3)において、|X|は、絶対値を示す。
【0020】本発明の製造方法においては、上述したよ
うに、架橋ゾーンから賦形ゾーン出口にかけてのクリア
ランス減少率と断面積減少率との比が、0.01≦クリ
アランス減少率/断面積減少率≦0.6となるように調
整することが必要である。すなわち、クリアランス減少
率/断面積減少率が0.01よりも小さい場合には、製
品肉厚と略同程度の肉厚で、架橋ゾーンでの樹脂加熱を
十分行うことになり、架橋ゾーンの長さを長くしなけれ
ばならなくなってしまう。また、架橋ゾーンの長さを長
くすると、これに伴って内径コアの撓みが生じてしま
い、偏流が発生するおそれがある。
【0021】また、クリアランス減少率/断面積減少率
が0.6よりも大きい場合には、架橋ゾーンから賦形ゾ
ーン出口に至る領域で製品寸法に絞られる際に、架橋樹
脂が折り畳まれながら押出されることことになり、外観
にシワやスジが発生したり、架橋樹脂が金型の樹脂接触
面に滞留したり、偏流が発生して押出し不能となってし
まったりするおそれがある。
【0022】このとき、架橋樹脂と架橋ゾーンを形成す
る金型内の樹脂接触面との間に、架橋剤非含有の熱可塑
性樹脂や潤滑剤を介在させるようにして押出し圧力を低
減させることにより押出し可能な状態にすることが考え
られるが、この場合架橋樹脂同士は融着しにくく、架橋
樹脂の折り畳まれた部分の間に架橋剤非含有の熱可塑性
樹脂や潤滑剤が入り込んでしまい強度的に弱くなり、ク
リープ性能を低下させるおそれがある。
【0023】本発明で使用される押出機としては、単軸
押出機、2軸押出機、多軸押出機等が可能であるが、押
出機中で架橋剤と熱可塑性樹脂とを混練させる場合に
は、これらの中でも熱可塑性樹脂を溶融させ、熱架橋剤
との混合能力に優れる2軸同方向回転押出機が好まし
い。
【0024】また、本発明では、押出機に対する圧力を
許容耐圧力以下にするために、押出機と金型との間の樹
脂流路に昇圧押込装置を設けるとともに、昇圧押込装置
の上流側に設けた圧力検出装置で検出した圧力を、押出
機の耐圧力以下の値、好ましくは一定の値に制御するこ
とが好ましい。すなわち、押出機から押し出される架橋
性原料樹脂組成物の押出し圧力値が低すぎる場合、押出
機内で架橋剤が熱可塑性樹脂に十分に混練されないおそ
れが生じてしまう。したがって、混練物中に架橋剤が一
定の割合で配合されず、その結果、熱可塑性樹脂の架橋
が均等に行われなくなってしまい、最終製品を賦形する
際の流量ばらつきからくる品質ばらつき不良が発生して
しまう。
【0025】一方、押出機から押し出される架橋性原料
樹脂組成物の押出し圧力値が高すぎる場合、押出機内で
架橋剤が熱可塑性樹脂に過剰に混練された状態となって
しまい、混練で生じる剪断発熱により押出機内で熱可塑
性樹脂の架橋が進行してしまう。したがって、押出機か
ら連続的に架橋性原料樹脂組成物を押し出すことが不能
となってしまう。
【0026】また、押出機から金型内に供給する架橋性
原料樹脂組成物の供給圧力を制御する方法としては、特
に限定されないが、たとえば、押出機から押出される架
橋性原料樹脂組成物の圧力変動の周期に合わせて制御対
象を決定することが好ましい。すなわち、具体的な制御
方法としては、圧力変動の周期が大きければ、押出機内
へ原料樹脂となる熱可塑性樹脂および架橋剤を供給する
量や押出機内の温度を制御し、圧力変動の周期が小さけ
れば、押出機内のスクリュー回転数を制御することなど
が挙げられる。このときの制御ロジックとしては、特に
限定されないが、PID制御やファジ制御などが挙げら
れ、特に、制御係数設定の簡便性からPID制御を用い
ることが好ましい。
【0027】また、昇圧押込装置としては、押出機から
押し出された架橋性原料樹脂組成物を金型内に圧入する
機構を有していれば特に限定されないが、たとえば、互
いに外接して噛み合うようになっている二個の歯車をケ
ーシング内に併設し、歯車の噛み合い部を中に挟んでケ
ーシング内の樹脂の進行方向上流側に樹脂の吸入流路を
形成し、下流側に樹脂の吐出流路を形成し、これら流路
間のケーシング内壁が歯車に近接されているギアポンプ
が最も好ましい。また、ギアポンプ内の歯車形状は、特
に限定されないが、たとえば、歯が平行に設けられてい
るスパーギアや、角度を有した状態で設けられているヘ
リカルギアなどが挙げられる。特に、外観等の点からヘ
リカルギアを用いることが好ましい。
【0028】次に、本発明において用いられる熱可塑性
樹脂は、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィ
ン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメ
タクリレート、ポリカーボネート、ポリエステルが挙げ
られ、これらが単独であるいは混合して用いられる。こ
の中でも特に、製品となった架橋樹脂管の柔軟性に優れ
ており、安価に手に入るという観点から、ポリオレフィ
ン樹脂が好ましく、さらに最適な樹脂として、L−LD
PE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度
ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、H
DPE(高密度ポリエチレン)等のポリエチレン樹脂が
挙げられる。
【0029】また、本発明において用いられる架橋性原
料樹脂組成物は、適宜添加剤が添加されていても構わな
い。添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、耐光剤、
紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げら
れ、これら添加剤は、所望の物性を向上させるために用
いられるものである。また、物性を向上させるための手
段として、混練物中に結晶核剤となり得るものを少量添
加することで、結晶を微細化して物性を均一化させる補
助としても構わない。
【0030】また、熱架橋に使用する熱架橋剤として
は、特に限定されないが、有機過酸化物の使用が可能で
あり、使用する熱可塑性樹脂の成形温度や相溶性の観点
から適宜選択することができる。具体的には、ジクミル
パーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキ
シ−m−イソプロピル)ベンゼン、シクロヘキサンパー
オキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シク
ロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ(t−
ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ベレレート、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパ
ーオキシネオデカテート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブ
チルパーアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ジアゾアミノベ
ンゼン、N,N´−ジクロロアゾジカーボンアミド、ト
リクロロペンタジエン、トリクロロメタンスルフォクロ
リド、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン等が挙げられ、ジクミルパーオキサイ
ド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソ
プロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましく、ジクミルパ
ーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンがより好
ましい。
【0031】また、熱架橋剤の添加量としては、特に限
定されないが、たとえば、熱架橋性樹脂としてポリエチ
レン樹脂を使用した場合、ポリエチレン樹脂100重量
部に対して、架橋剤が0.5重量部以上3.0重量部以
下となるようにすることが好ましく、特に1.0重量部
以上2.0重量部以下となるようにすることがより好ま
しい。すなわち、架橋剤の添加量が少なすぎると、最終
的に得られる熱架橋のゲル分率が十分高くならず架橋の
効果を得ることができない。また、架橋剤の添加量が多
すぎると、架橋の進行が速くなりすぎるばかりか、系中
に未反応の架橋剤が残留してしまう可能性が高くなって
しまう。
【0032】さらに、本発明において、金型内の架橋ゾ
ーン出口での架橋樹脂の架橋度は15%以上であること
が望ましく、65%以上であることがより好ましい。す
なわち、架橋樹脂の架橋度が15%よりも少ないと、ク
リープ性能を補償できなくなってしまう。なお、架橋度
は、JIS K6769に準拠して以下の式(4)で示
されるゲル分率(%)で表すことができる。
【0033】
【数1】 なお、上記式(4)において、溶剤抽出後の試料重量と
は、選択した架橋状態の熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤
を用いて試料中に残った未架橋状態の樹脂分を溶解させ
て、残った不溶分のみの重量である。
【0034】また、本発明の架橋樹脂管の製造方法に用
いる製造金型としては、従来架橋樹脂管の製造金型とし
て使用されているスパイダー、スパイラル、コートハン
ガーなどの流路形状を備えた金型を使用することができ
るが、金型内の樹脂流路に展開された架橋性原料樹脂組
成物が管状に賦形されるように合流する部分(以下、
「樹脂合流点」という。)での金型内の樹脂接触面に
は、架橋性原料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分
を金型外部に排出させるための樹脂排出口が設けられて
いる必要がある。
【0035】このとき、樹脂排出口の形状としては、架
橋性原料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分を金型
外部に排出可能となっていれば特に限定されないが、架
橋性原料樹脂組成物の樹脂合流点での金型内の樹脂接触
面に溝または排出穴などを設けるとともに、この溝また
は排出穴から金型外部まで通じさせた樹脂排出用の樹脂
流路を金型内に設けるようにした形状などが挙げられ
る。
【0036】また、樹脂排出口から排出させる架橋性原
料樹脂組成物量の制御は、樹脂排出用の樹脂流路の径や
長さ、原料樹脂の押出し圧力および架橋ゾーン以降での
樹脂圧力、樹脂粘度などにより左右されるが、たとえ
ば、排出流路の径を任意に制御できるようにすることで
排出量の制御は可能であるようにすることが好ましい。
【0037】このように制御された排出樹脂の量は、金
型内に供給された架橋性原料樹脂組成物量に対して0.
1重量%以上2重量%以下であることが望ましい。すな
わち、排出樹脂の量が、0.1重量%以下であると、樹
脂の排出量が少なすぎるため、樹脂の再合流部分での融
着強度を十分に確保することができない。また、排出樹
脂の量が、2重量%以上である場合、これ以上排出樹脂
の量を増量しても効果は変化しないため経済的でない。
【0038】また、断面管状をした架橋性原料樹脂組成
物(以下、「管状樹脂組成物」と記す。)中の熱架橋性
樹脂を強制的に架橋させる方法としては、特に限定され
ないが、金型内の樹脂接触面をヒーターや熱媒体などに
より温度調整して、この樹脂接触面に接触した管状樹脂
組成物を熱架橋させる接触方式と、金型からでてきた管
状樹脂組成物の外部から、この管状樹脂組成物と接触さ
せずに熱架橋を行う非接触方式とが挙げられる。上記接
触方式により熱架橋を行うときは、熱伝達効率が低く、
管状樹脂組成物の厚み方向で温度分布のばらつきが発生
するので、管状樹脂組成物の内外面より加熱するように
する。
【0039】また、加熱するに際して、管状樹脂組成物
の架橋が進行して増粘することにより、金型内で圧力上
昇が生じたり架橋された架橋樹脂管の表面悪化が生じた
りするのを防ぐために、管状樹脂組成物と金型の樹脂接
触面との間に架橋剤が非含有の樹脂組成物を層状に介在
させるようにすることが好ましい。この樹脂組成物を介
在させる方法としては、公知の技術である多層押出し方
式などが挙げられる。
【0040】一方、上記非接触方式としては、特に限定
されないが、たとえば、赤外線加熱、超音波加熱、マイ
クロ波加熱などが挙げられる。このように非接触方式に
より熱架橋を行うときは、管状樹脂組成物の肉厚方向へ
均一にしかも急速に架橋させるために、樹脂中に分散し
ている架橋剤を加熱する必要があり、また、架橋剤の分
解反応を促進させるために、架橋剤を励起させ分子振動
を活性化させることで発熱させる方法が望ましい。この
観点から短波長赤外線の電磁波を照射することが好まし
く、特に、中心波長が1.2μmの近赤外線を照射する
ことがより好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、本発明の架
橋樹脂管を連続的に製造するのに用いる製造装置の概略
図である。図2は、図1に示した製造装置1における架
橋樹脂管の製造金型(以下、「金型」とのみ記す。) 2
の構造を説明するための断面図である。
【0042】図1に示すように、この製造装置1は、金
型2と、架橋樹脂用押出機3とを備えている。また、金
型2は、図2に示したように、金型本体21とマンドレ
ル22とにより形成されているとともに、分配ゾーンA
と、架橋ゾーンBと、賦形ゾーンCとを備えている。
【0043】金型本体21は、図2に示したように、架
橋樹脂供給口211を備えていとともに、架橋性原料樹
脂組成物が押出される方向に向かって、分配ゾーン形成
筒部212、架橋筒部213、賦形筒部214が形成さ
れている。架橋樹脂供給口211は、架橋樹脂用押出機
3から押し出される溶融状態の熱可塑性樹脂と熱架橋剤
とを混練した架橋性原料樹脂組成物を供給する入口とな
っており、架橋樹脂供給口211から供給された架橋性
原料樹脂組成物は、金型本体21と、マンドレル22と
の間に形成される樹脂流路内に展開されるようになって
いる。
【0044】分配ゾーン形成筒部212は、金型本体2
1における架橋樹脂供給口211側の端部から中央部に
向かって設けられており、架橋筒部213に向かって徐
々に縮径しながら架橋筒部213に連結されている。ま
た、架橋筒部213は、金型本体21の中央部に設けら
れている。また、賦形筒部214は、架橋筒部213を
通過してきた管状樹脂組成物を架橋させた架橋樹脂管状
体を最終製品となる架橋樹脂管の大きさに賦形するよう
に、製品となる架橋樹脂管の外径に合わせた大きさに縮
径している。
【0045】一方、マンドレル22は、架橋性原料樹脂
組成物が押出される方向に向かって、分配ゾーン形成軸
部222、架橋軸部223、賦形軸部224が繋ぎ合わ
されて形成されている。
【0046】分配ゾーン形成軸部222は、一端側の一
部で金型本体21に支持されており架橋樹脂供給口21
1から供給された架橋性原料樹脂組成物を金型内の樹脂
流路に展開するための分配溝221が設けられていると
ともに、分配ゾーン形成筒部212との間で、後述する
架橋ゾーンBに樹脂を分配する分配ゾーンAを形成する
ようになっている。架橋軸部223は、金型本体21の
架橋筒部213との間に小径厚肉の管状の隙間からなる
架橋ゾーンBを形成するようになっており、賦形軸部2
24は、金型本体21の賦形筒部214との間にほぼ成
形しようとする管の断面形状と同じ断面形状の隙間から
なる賦形ゾーンCを形成するようになっている。
【0047】ここで、金型2内の樹脂流路は、架橋ゾー
ンBから賦形ゾーンC出口にかけての樹脂流路のクリア
ランス減少率と断面積減少率との比が、0.01≦クリ
アランス減少率/断面積減少率≦0.6の範囲内となる
ように形成されている。なお、クリアランス減少率は、
図2における(t1−t2)/t1により表すことがで
き、断面積減少率は、図2における(D1 2−d1 2)/
(D2 2−d2 2)により表すことができる。
【0048】以上のような構成をしている金型1は、架
橋ゾーンBから賦形ゾーンCの出口にかけてマンドレル
22の径を段階的に減少させるようにしているため、マ
ンドレル22の賦形ゾーンC側に生じる撓みを最小限に
抑えることで安定的に架橋樹脂管を製造することができ
る。
【0049】しかも、金型2内の樹脂流路は、架橋性樹
脂の金型内での引っ張り若しくは圧縮の変形を考慮し
て、架橋ゾーンBから賦形ゾーンC出口にかけての樹脂
流路のクリアランス減少率と断面積減少率との比が、
0.01≦クリアランス減少率/断面積減少率≦0.6
の範囲内となるように形成されている。したがって、マ
ンドレル21の撓みを防止するために、架橋ゾーンBか
ら賦形ゾーンCの出口までの樹脂流路形状を段階的に減
少させた場合であっても、この樹脂流路を通過する架橋
性樹脂の折り畳みを防止することができ、架橋樹脂が金
型内に滞留したり、偏流が発生して押出し不能となって
しまったりすることがなくなる。
【0050】なお、本発明にかかる架橋樹脂管の製造方
法および製造装置は、上記実施の形態に限定されるもの
ではない。上記実施の形態では、押出機3から架橋樹脂
供給口211を介して金型2内に供給された架橋性原料
樹脂組成物が、分配ゾーンAに設けられている分配溝2
21を通じて、金型2内の樹脂流路に展開されるように
なっていたが、これに代えて、分配ゾーンAが、図3に
示したような構成をしている金型20を用いるようにし
ても良い。
【0051】金型20は、架橋ゾーンおよび賦形ゾーン
は、金型2と同様の構成をしているが、分配ゾーンAを
形成する金型本体210に非架橋樹脂供給口40が設け
られており、マンドレル220に非架橋樹脂供給口5
0、および凹部溝226が設けられている構成をしてい
る。凹部溝226は、押出機3から供給された架橋性原
料樹脂組成物を、図3の矢印に示したように、分配ゾー
ンAを形成する金型本体210とマンドレル220との
間に形成される樹脂流路に展開させた後、断面管状とな
るように合流させる樹脂合流点Sを備えているととも
に、この樹脂合流点Sで架橋性原料樹脂組成物の合流部
およびその近傍部分を除去し金型20の外部へ排出させ
る樹脂排出口6が設けられている。
【0052】非架橋樹脂供給口40は、架橋剤を含有し
ていない熱可塑性樹脂からなる非架橋樹脂を、断面管状
となるように合流した後の管状架橋性原料樹脂組成物の
外層を覆うように供給するようになっている。非架橋樹
脂供給口50は、架橋剤を含有していない熱可塑性樹脂
からなる非架橋樹脂を、マンドレル210の内部に設け
られている非架橋樹脂供給路51を介して、断面管状と
なるように合流した後の管状架橋性原料樹脂組成物の内
層を覆うように供給するようになっている。
【0053】以上のような構成をしている金型20は、
分配ゾーンAで、以下のような工程を経て架橋ゾーンB
に樹脂が分配されるようになっている。 架橋樹脂押出機3から押出されてきた架橋性原料樹
脂組成物が、架橋樹脂供給口211から供給された後、
図3の矢印で示したように、分配ゾーンAを形成する樹
脂流路内に展開していき、樹脂合流点Sで断面管状とな
るように合流したときに、この樹脂合流点Sで架橋性原
料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分を樹脂排出口
6から排出させて管状架橋樹脂組成物を形成させる。こ
のとき排出される架橋性原料樹脂組成物の合流部および
その近傍部分の量は、架橋樹脂供給口211から供給さ
れた架橋性原料樹脂組成物量の0.1重量%以上2重量
%以下を目安とする。
【0054】 内層被覆用押出機から押出されてきた
熱可塑性樹脂が、非架橋樹脂供給口50から供給された
後、金型内部の非架橋樹脂供給路51を通って、マンド
レル220の縮径する手前位置部分から工程で得た管
状架橋樹脂組成物の内層部分を層状に覆うように展開さ
れるとともに、外層被覆用押出機から押出されてきた熱
可塑性樹脂が、非架橋樹脂供給口40から供給された
後、金型本体210の縮径する手前位置部分から工程
で得た管状架橋樹脂組成物の外層部分を層状に覆うよう
に展開されることで、3層構造をした管状樹脂組成物を
形成させる。 工程で得た3層構造の管状樹脂組成物を、任意の
径の管状体となるように縮径させるようにして、架橋ゾ
ーンBに分配していく。
【0055】以上のようにして、架橋ゾーンBまで樹脂
を分配するようにすると、架橋性原料樹脂組成物が展開
された後、管状となるように合流した合流部分同士の融
着を確実に行うことができるとともに、管状の架橋性原
料樹脂組成物の内層および外層が架橋剤非含有の熱可塑
性樹脂で覆われているため、架橋ゾーンBで架橋工程を
行う際に樹脂の押出し圧力が上昇してしまうこともな
い。
【0056】
【実施例】以下に、本発明の実施例をより詳しく説明す
る。
【0057】(実施例1)各部の寸法が以下のようにな
っている図2に示すような金型2と、図1に示した架橋
樹脂用押出機3とを用意した。 〔金型本体寸法〕 ・架橋筒部213の内径:φD1=50.0mm ・賦形筒部214の内径:φD2=17.0mm 〔マンドレル寸法〕 ・架橋軸部223の外径:φd1=43.0mm ・賦形軸部224の外径:φd2=12.8mm 〔クリアランス減少率/断面積減少率〕 ・0.1 〔押出機〕 ・日本製鋼所社製TEX30α、L/D=51、口径3
2mm
【0058】そして、熱可塑性樹脂としての直鎖状低密
度ポリエチレン(密度0.945、メルトフローレート
(MFR)5.5融点127℃)を押出機に投入すると
ともに、L/D=35の位置から熱架橋剤としての2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キシン−3(日本油脂社製パーヘキシン25B、193
℃半減期時間60秒)を押出機に直鎖状低密度ポリエチ
レン100重量部に対して1.5重量部の割合で添加
し、押出機内で170℃の樹脂温度で直鎖状低密度ポリ
エチレンと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)ヘキシン−3とを混合混練して架橋性原料
樹脂組成物を得た。
【0059】得られた架橋性原料樹脂組成物を、架橋樹
脂用押出機3と金型2との間に設置された計量ポンプを
介して、図2に示した架橋ゾーンBを形成する金型内の
樹脂接触面の温度が250℃に温度調整されているとと
もに、賦形ゾーンCを形成する金型内の樹脂接触面が2
00℃に温度調整されている金型2へ供給し、外径1
7.0mm、内径12.8mmの架橋樹脂管を成形速度
(ラインスピード)15.0m/minで連続的に得
た。
【0060】なお、押出機としては、スクリュー軸が上
流側から下流側に向かって第一フルフライト形状部−第
一逆フルフライト形状部−第二フルフライト形状部−第
二逆フルフライト形状部を順に備えた押出機を用い、高
圧部 (第一逆フルフライト形状部)と、高圧部 (第二逆
フルフライト形状部)との間に挟まれた低圧部 (第二フ
ルフライト形状部)から2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を供給するよう
にした。
【0061】(実施例2)金型の分配ゾーンAを形成す
る形状が、図3に示したような金型20を用いたこと以
外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、金型20
は、コートハンガータイプのものを使用し、マニホール
ド流路末端となる凹部溝226の樹脂合流点Sに、金型
20の外に架橋性原料樹脂組成物を排出させる樹脂排出
口6としてφ5mmの穴を金型外部より設置した。ま
た、金型外部へ排出させる架橋性原料樹脂組成物の量
は、金型内に供給された架橋性原料樹脂組成物の1.0
%となるように調整した。
【0062】(比較例1)金型寸法を以下のようにした
以外は、実施例1と同様にして架橋樹脂管を連続的に得
た。 〔金型寸法〕 ・架橋筒部213の内径:64.4mm ・賦形筒部214の内径:60.0mm 〔マンドレル寸法〕 ・架橋軸部223の外径:52.0mm ・賦形軸部224の外径:50.3mm 〔クリアランス減少率/断面積減少率〕 ・0.62
【0063】(比較例2)金型寸法を以下のようにした
以外は、実施例1と同様にして架橋樹脂管を連続的に得
た。 〔金型寸法〕 ・架橋筒部213の内径:48.0mm ・賦形筒部214の内径:27.0mm 〔マンドレル寸法〕 ・架橋軸部223の外径:34.9mm ・賦形軸部224の外径:14.0mm 〔クリアランス減少率/断面積減少率〕 ・0.007
【0064】上記実施例1、実施例2、比較例1、およ
び比較例2での架橋度、熱間内圧クリープ試験、得られ
た架橋樹脂管の外観観察を行い、その結果を表1に示し
た。架橋度は、JIS K6769に基づき以下の式
(4)で示されるゲル分率(%)で表した。
【0065】
【数2】 なお、上記式(4)において、溶剤抽出後の試料重量と
は、選択した架橋状態の熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤
を用いて試料中に残った未架橋状態の樹脂分を溶解させ
て、残った不溶分のみの重量である。
【0066】また、得られた架橋樹脂管の熱間内圧クリ
ープ試験は、JIS K6769に規定される方法にて
測定を行い、割れその他の欠点の有無を目視にて観察し
た。欠点が認められない場合を○、割れその他の欠点が
認められた場合を×とした。得られた架橋樹脂管の外観
観察は、目視にてシワ、スジなどの有無を観察した。
【0067】
【表1】
【0068】表1より、実施例1または実施例2のよう
に、クリアランス減少率/断面積減少率が0.6以下で
ある場合と、比較例1または比較例2のようにクリアラ
ンス減少率/断面積減少率が0.6より大きい場合とで
は、そのゲル分率がほとんど変わらないにもかかわら
ず、熱間内圧クリープ試験の結果および製品外観に大き
く違いが生じることが分かる。
【0069】
【発明の効果】本発明の請求項1にかかる架橋樹脂管の
製造方法は、以上のように構成されているので、径が小
さい架橋樹脂管を製造するときであっても、金型におけ
るマンドレル部分が撓んだりすることなく、また、架橋
樹脂が金型内に滞留したり、偏流が発生して押出し不能
となったりすることを防止して、得られる架橋樹脂管の
クリープ性能および外観の向上を図ることができる。
【0070】また、本発明の請求項2にかかる架橋樹脂
管の製造方法は、上記効果に加えて金型内の樹脂流路に
架橋性樹脂組成物を展開させて樹脂合流点で断面管状と
なるように合流させたとき、この樹脂合流点で架橋性原
料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分を除去するよ
うにしたので、樹脂組成の均一化を図ることができ、優
れたクリープ性能と外観とを備えた架橋樹脂管を製造す
ることができる。
【0071】また、本発明の請求項3にかかる架橋樹脂
管の製造方法は、上記効果に加えて樹脂の架橋を行う際
の金型内での圧力上昇を抑えることができる。
【0072】また、本発明の請求項4にかかる架橋樹脂
管の製造金型は、径が小さい架橋樹脂管を製造するとき
であっても、金型におけるマンドレル部分が撓んだりす
ることなく、また、架橋樹脂が金型内に滞留したり、偏
流が発生して押出し不能となったりすることを防止し
て、得られる架橋樹脂管のクリープ性能および外観の向
上を図ることができる。
【0073】また、本発明の請求項5にかかる架橋樹脂
管の製造金型は、上記効果に加えて樹脂組成の均一化を
図ることができ、優れたクリープ性能と外観とを備えた
架橋樹脂管を製造することができる。また、本発明の請
求項6にかかる架橋樹脂管の製造金型は、上記効果に加
えて樹脂の架橋を行う際の金型内での圧力上昇を抑える
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる架橋樹脂管の製造装置の一実施
形態を示した概略図である。
【図2】図1の製造装置における金型を示した断面図で
ある。
【図3】図2に示した金型と分配ゾーン部分の形状が異
なる金型の分配ゾーン部分を示した拡大断面図である。
【符号の説明】
1 製造装置 2 金型 21 金型本体 22 マンドレル 3 (架橋樹脂用)押出機 6 樹脂排出口 A 分配ゾーン B 架橋ゾーン C 賦形ゾーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 康太郎 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 3H111 AA01 BA15 CB02 CB14 CB29 EA04 4F207 AB03 AG08 KA01 KA17 KK01 KK12 KL51 KL57 KL83 KL92

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】押出機から押出された熱可塑性樹脂と架橋
    剤とを含む架橋性原料樹脂組成物を金型内に供給した
    後、金型内で前記架橋性原料樹脂組成物中の熱可塑性樹
    脂を架橋させた状態で、最終賦形物としての架橋樹脂管
    形状に賦形する工程を含む架橋樹脂管の製造方法におい
    て、前記金型内の架橋から賦形までを行う樹脂流路を、
    クリアランス減少率と断面積減少率との比が、0.01
    ≦クリアランス減少率/断面積減少率≦0.6となるよ
    うに調整したことを特徴とする架橋樹脂管の製造方法。
  2. 【請求項2】架橋させる前の架橋性原料樹脂組成物を、
    金型内の管状の樹脂流路に展開させて樹脂合流点で断面
    管状になるように合流させた後、樹脂合流点で架橋性原
    料樹脂組成物の合流部およびその近傍部分を除去し金型
    外部へ排出させる工程を備えた請求項1に記載の架橋樹
    脂管の製造方法。
  3. 【請求項3】断面管状の架橋性管状樹脂組成物を架橋す
    るとき、この架橋性管状樹脂組成物の少なくとも内層側
    または外層側の何れかと、金型の樹脂接触面との間に層
    状に介在するように、金型内に架橋剤非含有の樹脂組成
    物を供給する請求項1または請求項2に記載の架橋樹脂
    管の製造方法。
  4. 【請求項4】押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架
    橋剤とを含む架橋性原料樹脂組成物から架橋性管状樹脂
    組成物を形成させる樹脂流路を備えた金型であって、前
    記金型内には、前記架橋性管状樹脂組成物を強制的に架
    橋させる加熱手段が設けられている架橋ゾーンと、前記
    架橋ゾーンで架橋させた管状架橋樹脂組成物を製品形状
    に賦形する賦形ゾーンとを有するとともに、前記金型内
    の樹脂流路が、前記架橋ゾーンから賦形ゾーン出口にか
    けて、クリアランス減少率と断面積減少率との比が、
    0.01≦クリアランス減少率/断面積減少率≦0.6
    となるように形成されていることを特徴とする架橋樹脂
    管の製造金型。
  5. 【請求項5】押出機から押し出された熱可塑性樹脂と架
    橋剤とを含む架橋性原料樹脂組成物を展開させて樹脂合
    流点で断面管状となるように合流させることにより架橋
    性管状樹脂組成物を形成させる樹脂流路を備えた金型で
    あって、前記樹脂合流点で架橋性原料樹脂組成物の合流
    部およびその近傍部分を除去し金型外部へ排出させる樹
    脂排出口が、金型内の樹脂接触面に設けられていること
    を特徴とする請求項4に記載の架橋樹脂管の製造金型。
  6. 【請求項6】金型の架橋ゾーンよりも前方位置に、金型
    内の樹脂接触面と架橋性管状樹脂組成物との間に架橋剤
    非含有の樹脂組成物を層状に介在させるように供給する
    樹脂供給口が少なくとも金型内における前記架橋性管状
    樹脂組成物の内層側または外層側の何れかに臨むように
    設けられている請求項4または請求項5に記載の架橋樹
    脂管の製造金型。
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