JP2009034915A - 導電性ゴムロールを製造するための押出し機 - Google Patents

導電性ゴムロールを製造するための押出し機 Download PDF

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Abstract

【課題】流れの滞留個所やウェルドラインが少なく偏肉厚の出ないゴムロールの押出し機の提供。
【解決手段】軸体にゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムロールを製造するための、クロスヘッドダイを備えた押出し機であって、該クロスヘッドダイは、流入口から入れられたゴム組成物を2方向に展開する、2条のマニホールド部と、該マニホールド部を通過した該ゴム組成物を該クロスヘッドダイの周方向にスパイラル状に拡散する2条のスパイラル部とを有し、ダイの内周面とマンドレルの外周面とは、テーパー面もしくは円柱面で形成される位置決めのための接地面を有し、該ダイと該マンドレルの接地面の隙間は0.01mm以下であり、該接地面には該流入口から2条に展開されたゴム組成物が該スパイラル部で合流する位置まで該ゴム組成物が流れる流動溝が配置されており、該ゴム組成物の流れの上流に当たる部分が該ダイとマンドレルの接地面となっている押出し機。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱硬化性未加硫ゴムを被覆してなる導電性ゴムロールを製造するための、クロスヘッド式押出し機に関する。
従来、ゴム等の熱硬化性の材料をロール状に押出して成形するためのダイには、ストレートダイとクロスヘッドダイの2種類が主に使用されている。
ストレートダイでは、スクリュー軸とダイが同軸上にあるので材料流路が曲折しないために、流路形状が単純でゴムに負荷をかけることがなく、ゴムの滞留等が起こりづらい。しかし、ストレートダイは、単純な流路形状のためゴムの押出しには適しているが、ダイの構造上、軸体をダイ内に通過させてゴムを被覆させながら成形する一体成形が行えない。よって、軸体を持つ導電性ロールなどの製造には、ゴム層と軸体の被覆工程を別途設けることが必要とされる。
一方、クロスヘッドダイでは、スクリュー軸とダイがある程度角度を持って配置されている。よって、ダイ内に空気や軸体を通すことができ、ロール状になったゴムの内部に軸体などを通すことも可能である。そのため、ゴム層の押出し工程に軸体の被覆工程を組み込めるため、クロスヘッドダイの方が後の工程の簡略化ができるなどの利点があり、導電性ロールの押出し製造には、クロスヘッドダイが使用されることが多い(特許文献1参照)。
特開2005−329639号公報 特開平03−118135号公報 特開2000−127219号公報
しかしながら、クロスヘッドダイにおいては、マンドレル内でダイの周方向にゴムを展開するために、ゴム組成物の流路を曲折させる必要がある。その際、流入口から入ったゴムは流路曲折個所で2方向に分流され、それぞれがダイを半周回ったのちに再び合流し、マンドレルの軸方向に向かって進む。すなわち、クロスヘッドダイにおいては、ゴム組成物の流路が曲折する個所が最低でも1箇所、およびゴム組成物の接合面が最低でも1個所存在する。当然ながら、クロスヘッドダイ内のゴム組成物の流れは、前記接合面附近で滞留を起こしやすい。滞留したゴムは熱によってダイ内で硬化しはじめ、劣化したゴムはウェルドラインとなって押出される。ストレートダイにもゴム接合面は存在しウェルドラインは発生するが、流路曲折が存在しないため、ゴム接合面でも比較的スムーズにゴムが流れる。すなわち、クロスヘッドダイにおいては、ストレートダイに比べてウェルドラインが悪化しやすいのである。悪化したウェルドラインは、滞留することで熱の影響を他の部分より多く受け硬化し、劣化したゴムが集まっているため、例えば帯電ロールではウェルドラインの部分が極端な高抵抗になり、ロール周方向の抵抗ムラを引き起こす。
また、クロスヘッドダイにおいては、流路曲折があるために、周方向の流れを均一にできず、ロール成形時の周方向の肉厚が不均一になりやすい。この偏肉厚によって後のロール研磨時における研磨しろが不均一となり、研磨した肉厚の量によってその部分の抵抗値が大きく変化し、周方向の抵抗ムラが発生する原因になる(特許文献2参照)。したがって、クロスヘッドダイのマンドレルには、ウェルドライン対策と偏肉厚対策が重要といえる。
以上の事情より、熱可塑性のゴム組成物の押出し成形において、ウェルドライン対策および偏肉厚対策としてスパイラルマンドレルを利用しているものがある。というのも、スパイラルマンドレルでは、流入口から供給されたゴム組成物は1方向以上のマニホールドにより円周上に分配され、そこからスパイラル溝によって流れる溝流と、スパイラルの溝頂部を乗り越えて流れる軸流とに分かれる。それらの流れが合成することによって、流れの均一化とマニホールド分流の合流部分のウェルドラインを周方向に散らす効果を得る(特許文献3参照)。
しかしながら、スパイラルマンドレルは、上記のような周方向のゴム組成物の流れが均一になる、およびウェルドラインの影響が少なくなる等の利点を有するが、一方で次のような問題もある。すなわち、構造上、ゴム組成物の流れが滞る滞留個所(滞留部)があるため、熱分解するゴム組成物や熱硬化するゴム組成物には適していない。よって、スパイラルマンドレルを使用したゴムの押出しは困難である。
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、流れの滞留個所やウェルドラインの影響が少なく、偏肉厚の出ない、熱硬化性未加硫ゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムロールを成形するクロスヘッド式押出し機を提供することを目的とする。
本発明は、軸体にゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムロールを製造するための、クロスヘッドダイを備えた押出し機であって、該クロスヘッドダイは、その内部に、流入口から入れられたゴム組成物を少なくとも2方向に展開する、少なくとも2条のマニホールド部と、該マニホールド部を通過した該ゴム組成物を該クロスヘッドダイの周方向にスパイラル状に拡散する、少なくとも2条のスパイラル部と、を有し、該クロスヘッドダイの構成部品であるダイの内周面とマンドレルの外周面とは、テーパー面もしくは円柱面で形成される位置決めのための接地面をそれぞれ有し、該ダイと該マンドレルの接地面の隙間は0mm以上0.01mm以下であり、および、該接地面には該流入口から少なくとも2条に展開されたゴム組成物が該スパイラル部で合流する位置まで、該ゴム組成物が流れる流動溝が配置されており、かつ該ゴム組成物の流れの上流に当たる部分が該ダイとマンドレルの接地面となっていることを特徴とする。また、前記ゴム組成物を押出すスクリューの軸方向から前記クロスヘッドダイの軸方向へと該ゴム組成物の流れを変更する流路曲折個所において、前記2条のマニホールド部が流路の周方向への展開と流路曲折を同時に行い、および、該流路曲折個所の最小半径は該マニホールド部の流動溝半径の2倍以上であることを特徴とする。また、前記マニホールド部の終了位置から前記スパイラル部へと流路が曲折する個所において、該流路の曲折角度は105°以上120°以下の範囲にあることを特徴とする。
本発明の押出し機によれば、スパイラルマンドレル特有の流れの滞留個所を無くすことが可能である。よって、ゴムの押出しにスパイラルマンドレルを使用することができるため、ウェルドラインの影響を少なく、周方向のゴムの流れを均一化することで、押出し成形時の偏肉厚を少なくすることが可能となる。これにより、形成するゴムロールの肉厚の不均一を小さくできるので、周方向の抵抗ムラの小さいゴムロールを提供することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照にしながら詳細に説明する。
図1は、本発明の押出し機の概略的な断面図である。さらに詳しくは、図1は押出し機から供給されてくる未加硫ゴムと芯金軸供給装置から送られてくる芯金軸とをクロスヘッドダイの中でクロスさせて共押出しする工程の断面図である。
まず、押出し機1のゴム投入口(図示せず)から未加硫ゴム5を短冊状もしくはリボン巻き状で投入する。押出し機1のシンリンダー2内でスクリュー3が回転することにより、未加硫ゴム5は押出し機1の先に接続されたクロスヘッドダイ18に向かって徐々に押出されていく。シリンダー2やスクリュー3には、温度を一定に保つために温水が循環させてある。温水の温度は押出しするゴムの種類によって決まるが、30℃から80℃の範囲が一般的である。スクリュー3によって押出されてきた未加硫ゴム5は、スクリュー3の先に設置したブレーカープレート4を通ることで流れが整流となってクロスヘッドダイ18へ供給されていく。ブレーカープレート4にメッシュ(図示せず)を取り付けることで、未加硫ゴム5の中の異物等を除去することもできる。クロスヘッドダイ13にも、温水が循環することで温調制御がなされている。マンドレル11で展開された未加硫ゴム5は、外径を絞られながらマンドレル11の先端部のニップル14に向かっていく。
一方、芯金軸6は芯金軸供給装置8の芯金軸送りロール9によってクロスヘッドダイ13の後端にある芯金軸供給口10からクロスヘッドダイ18の中へ送り込まれていく。通常、芯金軸6には未加硫ゴム5と接着するための接着剤7が、芯金軸6の両端を除いて塗布されている。芯金軸供給口10より先は、芯金軸6の外径に対して0.01〜0.02mm大きい内径の芯金軸ガイド12となっていて、マンドレル11の中心を先端部のニップル14に向けて芯金軸6を連続的に送りこんでいく。そして、ニップル14の先端の孔から出てきた芯金軸6の外周上に、マンドレル11で展開された未加硫ゴム5が被着され、芯金軸6と未加硫ゴム5が共にダイス15で外径を制御されながらゴムロール形状となって押出されていく。押出されるゴムロール17の外径は、未加硫ゴム5の押出し量を一定とした場合には、ダイス15の内径と芯金軸6の供給速度により決定される。
本発明は、図2に示してあるように、クロスヘッドダイ18部に特徴がある。すなわち、クロスヘッドダイ18の構成部品であるダイ13の内周面とマンドレル11の外周面とが、テーパー面もしくは円柱面で形成される該ダイ13と該マンドレル11の位置決めのために勘合される接地面19、20を有している。また、ゴムを該クロスヘッドダイ18内に充填させる流動溝が設けられている。該流動溝は、まず、該クロスヘッドダイ18内にゴムを注入する流入口22から流れ入るゴムを少なくとも2方向に展開する少なくとも2条のマニホールド部23を通る。それから、該マニホールド部23から流れるゴムを周方向にスパイラル状に拡散する少なくとも2条のスパイラル部24まで続いている。
だが、多条のスパイラルマンドレルにおいては、ゴムの流れの滞留が生じやすい個所があり、主に滞留はマニホールド部23からスパイラル部24の間においてしばしば起きる。特には、マニホールド部23の流路曲折個所、テーパー面接地面19と円柱面接地面20におけるダイ13とマンドレル11との隙間、スパイラル部24における流れの上流部に、滞留個所が発生しやすい。
本発明においては、テーパー面接地面19と円柱面接地面20における隙間に関しては、マンドレル加工時にテーパー面接地面19と円柱面接地面20を現合わせでもって加工を行う。そうすることで、それぞれの接地面の隙間は0mm以上0.01mm以下となり、流動溝以外の隙間がなくなって、この区間における流路が限定される。したがって、ゴムは流動溝のみを流れてマニホールド部23からスパイラル部24へと進む。
また、マニホールド部23におけるゴムの流れの滞留は、流入口22からマンドレル11へ至る際、マンドレル11の周方向へ流路を2条に展開させるためにゴムの流れを変える流路曲折個所で発生しやすい。さらには、周方向へ展開した流れをマンドレル11の軸方向へとその方向を変える流路曲折個所の転回半径が小さいときにも、外周側の流れの滞留が発生しやすい。例えば、熱可塑性ゴム組成物用クロスヘッドの流路曲折個所は、ほぼ直角に周方向から軸方向へと流れの向きを変更している。熱可塑性ゴム組成物の場合、押出し時の見かけ粘度が熱硬化性ゴム組成物に比べて低く、ゴム組成物の流速も速いため、曲折個所での滞留がほとんど無い。一方、熱硬化性ゴム組成物の場合は、押出し時の見かけ粘度が高く、押出し時の流速も遅いために、ゴムは直角の流路を角度が最も鈍角になるように流れるため、流路曲折個所において滞留個所が発生しやすい。
そこで、本発明では、スクリュー3の軸方向の流れからクロスヘッドダイ18の軸方向へと流れの方向を変更する流路曲折個所に、次のような特徴を有する。すなわち、2条のマニホールド部23がダイの周方向への展開と流路曲折を同時に行い、その際、流路曲折個所の最小半径27がマニホールド部23の流動溝半径の2倍以上とする。というのも、従来、例えば流路曲折個所の最小半径27が0のとき(直角のとき)、圧力損失係数は0.7〜1.3という大きな値であった。それに対し、流路曲折個所の最小半径27をマニホールド部23の流動溝半径の2倍とすると、圧力損失係数を0.15〜0.2まで下げることができる。圧力損失を少なくなくすることで、ゴムの流れもスムーズになり、流路曲折個所の流動溝縁のゴムの停滞が少なくなる。本発明では、そのようなゴムの流れの展開方式にすることによって、マニホールド部23の流れの滞留個所を無くしている。
また、スパイラル部24を設置する効果として、ウェルドライン発生の低減を図ることができる。スパイラル部24を設けることで、スパイラル溝による溝流と、スパイラルの溝頂部を乗り越えて流れるクロスヘッドの軸に平行な軸流との合成によって、流れの均一化およびマニホールド分流の合流部分のウェルドラインを周方向に散らす作用が生じる。そのため、スパイラルの長さだけ合流点が存在するので、1個所で受けていた合流点をスパイラル部全体に分散させることができる。
また、前述したが、滞留はスパイラル部24における流れの上流部においても起こりやすい。流れの上流部とは、マニホールド部終了位置25からマニホールド部の周方向に180°回転した合流点までの、スパイラル溝をはさんで軸流とは反対側の個所を指す。前述したように、スパイラル部のゴムの流れは、周方向へ回転しながらニップル14方向へ流れる溝流と、その上を通ってニップル14方向へと流れる軸流がある。しかし、ゴムの流れの上流部にクリアランスを作ると、スパイラル溝をはさんで軸流とは反対側の流れが発生し、上流のクリアランスに入りこんだゴムはそれ以上流れる方向を持たず、滞留を起こす。そのため、本発明においては、ゴムの流れの上流に当たる部分を前述した隙間のない接地面とする。そのようなゴムの流れの展開、拡散方式を持つことで、ゴムの流れは上流部に滞留個所を持たない2層の流れとなる。
また、マニホールド部終了位置25からスパイラル溝へと流路が曲折する個所は、曲折角度を105°以上120°以下の範囲で設定すると、スパイラル溝の壁面で流れがあまり停滞せず周方向へ回転していく。というのも、スパイラル部のスパイラル溝を流れる流れ(Q1とする)とスパイラル溝の上を流れる軸流(Q2とする)の2つの流れの比率(Q2/Q1)はsin(曲折角度−90°)に反比例する。曲折角度を小さくすれば溝を流れる流れが弱くなり、スパイラル部が始まって半周溝を流れてもう一方のスパイラル溝との合流点に至るまでに、流れの停滞個所ができてしまい、ゴムが滞留するおそれがある。そのため、曲折角度の下限を105°とした。また、曲折角度を大きくしすぎれば、スパイラル溝を流れる流れは多くなるが、軸流の流れが弱くなる。よって、スパイラル壁面を流れる軸流が無くなる、または僅かな流れとなってしまい、スパイラル部の2層の流れで合流点をスパイラル部全体に分散させる効果が小さくなってしまう。そのため、曲折角度の上限を120°とした。
また、軸流が流れる部分のクリアランスは、押出し時の圧力と関係するため、下記の圧力損失の計算式によって決定されるスパイラル部終了位置26の断面積によって決定した。
流動溝を通って押出されるゴムの圧力損失は下記計算式、
2ηQLB (η:粘度定数 Q:流量 L:流動溝長さ B:流動溝周長さ)
gA (g:重力加速度 A:流動溝断面積)
を使用して推測することができる。
マンドレルの形状からL、B、Aが決定するため、B/Aを、流入口、マニホールド部、スパイラル部の3点で一定の誤差範囲内にすることで、圧力損失の割合をほぼ一定にし、押出されるゴムに急激な負荷をかけなくすることもできる。
本発明では、主にスパイラルマンドレルを使用したときにみられる高圧の押出し圧力を低減させるためにこの関係式を利用している。すなわち、B/Aを、流入口、マニホールド部、スパイラル部の3点で一定の誤差範囲内にすることで圧力損失の計算式を、粘度、流量、流動溝長さ、係数として簡略化し、従来のマンドレルとほぼ変わらない押出し圧力を実現する形状を設計した。
図1において、芯金軸供給装置8は、芯金軸送りロール9の回転速度を変えることで芯金軸6の供給速度を変化できるように、芯金軸送りロール9に接続しているサーボモータ(図示せず)の回転数の制御を行っている。また、芯金軸供給装置8の中に、クロスヘッドダイ18の先端となる位置から芯金軸6の全長の整数倍となる位置にトリガーを設定する。そして、ちょうど芯金軸6の先端位置から供給速度の減速が始まって、その中央位置で供給速度の減速が終了し、その後、中央位置から供給速度の加速が始まってちょうど後端位置で供給速度の加速が終了するように、芯金供給速度を制御する。最後に、後端位置では、供給速度を後続する芯金軸6の供給開始速度に切り替える。また、芯金送りロール9には、芯金軸6の供給速度の設定値を任意に入力することが可能である。
未加硫ゴム5が被覆した芯金軸6はダイス15から押出され、その芯金軸6の後端と後続している芯金軸6の先端の間は切断刃16によって切断される。その後、引取り機(図示せず)によって引き取られて、一本づつのゴムロール17が得られる。
これより、本発明の実施例について説明するが、以下の例に限定されはしない。
(実施例)
本実施例においては、本発明の押出し機を用いてゴムロールを製作した。
まず、エピクロロヒドリンゴム100質量部、加硫促進助剤5質量部、加工助剤1質量部、カーボンブラック5質量部、炭酸カルシウム60質量部、可塑剤8質量部、硫黄1質量部、加硫促進剤2質量部を配合した。それから、前記混合物を密閉型混練機およびロール機を用いて混練を行って、未加硫のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物のムーニー粘度は40であった。
図2に示してある本発明のクロスヘッドダイを有する押出し機を使用して、上記ゴム組成物からゴムロールを押出し成形した。その際の条件は、下記のように設定した。
押出し本数:ゴムロール3000本連続押出し
芯金軸:全長252mm、外径φ6.0mm
ゴムロール:押出し外径 平均φ8.5狙い
押出し機:三葉製作所製φ70mm、L/D20
スクリュー回転数:4.2rpm
ダイス径:φ8.6mm
押出し圧力:165kgf/cm
押出し速度(1本の押出しに必要な時間):3秒
上記の未加硫のゴム組成物を押出し機で押出し加工すると同時に、連続的に芯金軸を押出し機のクロスヘッドダイに通過させ、芯金軸の外周上に未加硫ゴムを配置させて、芯金軸間にあたる位置に切断刃を入れて、上記のゴムロール形状にした。その後、200℃で20分間熱風炉に投入して加硫を行って、芯金軸上に加硫ゴム層が形成されたゴムロールを得た。加硫後のゴムロールの両端部10mmを突切り加工を行って芯金軸を露出させ、ゴム部を直径8.5mmまで研磨して形状を整え、ゴムロールを作製した。
(比較例)
本比較例においては、従来のマンドレル(図3参照)を有する押出し機を使用して、実施例と同様の未加硫のゴム組成物からゴムロールを押出し成形した。その際の条件は、下記のように設定した。
押出し本数:ゴムロール3000本連続押出し
芯金軸:全長252mm、外径φ6.0mm
ゴムロール:押出し外径 平均φ8.5狙い
押出し機:三葉製作所製φ70mm、L/D20
スクリュー回転数:4.2rpm
ダイス径:φ8.6mm
押出し圧力:176kgf/cm
押出し速度(1本の押出しに必要な時間):6秒
上記の未加硫のゴム組成物を押出し機で押出し加工すると同時に連続的に芯金軸を押出し機のクロスヘッドダイに通過させ、芯金軸の外周上に未加硫ゴムを配置させて、芯金軸間にあたる位置に切断刃を入れて、上記のゴムロール形状にした。その後、200℃で20分間熱風炉に投入して加硫を行って、芯金軸上に加硫ゴム層が形成されたゴムロールを得た。加硫後のゴムロールの両端部10mmを突切り加工を行って芯金軸を露出させ、ゴム部を直径8.5mmまで研磨して、形状を整えゴムロールを作製した。
(評価)
押出し本数が500本、1000本、1500本、2000本、2500本、3000本のそれぞれの場合において、押出し時の偏肉厚を測定した。偏肉厚は押出し時の外径を一周100点測定し、外径の最大値と最小値の差を偏肉とした。
また、各50本に1本づつサンプルを取出し、周方向の電流値を測定し、抵抗ムラ(周ムラ)を計算した。円柱状の金属ドラムに両端500g荷重でゴムロールを当接させ、金属ドラムを回転させた状態で、ゴムロールと金属ドラム間に200Vの電圧を印加し、測定周期50msで電流を測定し、電流値の最大値/最小値によって周ムラを測定した。
以上の実施例および比較例における測定結果をそれぞれ下記の表1および表2に示す。
表1より、比較例においては、押出本数が増加すると、偏肉が途中から大きくなっていることがわかる。これは、流路曲折個所29における流れの方向転換で、流入口22側と周方向に180°展開した反対側でゴムの流量の差が発生し、押出し圧力差によってダイス15の位置が変わってしまったためだと考えられる。また、上記のような流量の差があるために、ダイスの軸中心をクロスヘッドの軸中心よりずらして設定しなければならないということも、ダイス位置調整の困難化および偏肉の増大化の原因となっている。
また、特にゴムの流れが滞りやすい流路曲折個所29における流入口22側から周方向に180°展開した反対側の合流点では、熱劣化したゴムが発生している。これは、周方向へゴムを展開させる流れよりも軸方向へと流れる力が強いので、その反対側での周方向の流れが滞ることによって、滞留個所のゴムが熱により劣化することで生じる。
一方、表1よりわかるように、実施例においては、3000本押出しを行っても、偏肉厚が大きく変化することは無かった。実施例では、ゴムの流れはマニホールド部23により周方向へ2方向に展開され、スパイラル部24の2層の流れにより周方向で均一な流量となり、偏肉が小さいゴムロールを作製することができた。
実施例の流路曲折個所29では管内の流れの方向を変えるため、曲折半径を大きく取っていればゴムの流れが滞ることがなく、滞留個所が発生しない。問題となるのは、テーパー面接地面19と円柱面接地面20の隙間にゴムが流れ込んで滞留し熱劣化を起こすことだが、成形後ヘッドを分解して確認した所、隙間にゴムが流れ込んでいることは無かった。
また、表2より詳しくわかるように、実施例においては、周ムラに関しても、押出し本数が増えても安定した数値とすることが可能であった。よって、実施例では、ウェルドラインの影響による周ムラの悪化がほとんど見られない。ウェルドラインが周全体に散らされることで、局所的な高抵抗による周ムラを悪化させることがなくなっていると考えられる。
それに対して、比較例においては、押出本数が増加するに従い、周ムラが大きくなっていることがわかる。
以上の結果より、本発明のゴム押出し用スパイラルマンドレルを用いることで、スパイラルマンドレル特有の流れの滞留個所を無くすことができる。よって、ゴムの押出しにスパイラルマンドレルを使用し、ウェルドラインの影響を少なくすることができ、周方向のゴムの流れも均一化され、押出し成形時に偏肉厚を少なくすることが可能となった。これにより、形成するゴムロールの肉厚の不均一を小さくできるので、周方向の抵抗ムラの小さいゴムロールを成形することができる。
本発明の押出し機の断面図である。 本発明の押出し機に設けられたクロスヘッドダイの断面図および説明図である。 従来の押出し機に設けられているマンドレルの断面図である。
符号の説明
1 押出し機
2 シリンダー
3 スクリュー
4 ブレーカープレート
5 未加硫ゴム(ゴム組成物)
6 芯金軸
7 接着剤
8 芯金軸供給装置
9 芯金軸送りロール
10 芯金軸供給口
11 マンドレル
12 芯金軸ガイド
13 ダイ
14 ニップル
15 ダイス
16 切断刃
17 ゴムロール
18 クロスヘッドダイ
19 テーパー面接地面
20 円柱面接地面
21 流動溝
22 流入口
23 マニホールド部
24 スパイラル部
25 マニホールド部終了位置
26 スパイラル部終了位置
27 流路曲折個所 最小半径
28 流路曲折個所 最大半径
29 流路曲折個所

Claims (3)

  1. 軸体にゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムロールを製造するための、クロスヘッドダイを備えた押出し機であって、
    該クロスヘッドダイは、その内部に、流入口から入れられたゴム組成物を少なくとも2方向に展開する、少なくとも2条のマニホールド部と、該マニホールド部を通過した該ゴム組成物を該クロスヘッドダイの周方向にスパイラル状に拡散する、少なくとも2条のスパイラル部と、を有し、
    該クロスヘッドダイの構成部品であるダイの内周面とマンドレルの外周面とは、テーパー面もしくは円柱面で形成される位置決めのための接地面をそれぞれ有し、該ダイと該マンドレルの接地面の隙間は0mm以上0.01mm以下であり、および、
    該接地面には該流入口から少なくとも2条に展開されたゴム組成物が該スパイラル部で合流する位置まで、該ゴム組成物が流れる流動溝が配置されており、かつ該ゴム組成物の流れの上流に当たる部分が該ダイとマンドレルの接地面となっていることを特徴とする押出し機。
  2. 前記ゴム組成物を押出すスクリューの軸方向から前記クロスヘッドダイの軸方向へと該ゴム組成物の流れを変更する流路曲折個所において、前記2条のマニホールド部が流路の周方向への展開と流路曲折を同時に行い、および、該流路曲折個所の最小半径は該マニホールド部の流動溝半径の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の押出し機。
  3. 前記マニホールド部の終了位置から前記スパイラル部へと流路が曲折する個所において、該流路の曲折角度は105°以上120°以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の押出し機。
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