JP2002317143A - 建築用塗料組成物及び建築物内外装の施工方法 - Google Patents

建築用塗料組成物及び建築物内外装の施工方法

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JP2002317143A
JP2002317143A JP2001123975A JP2001123975A JP2002317143A JP 2002317143 A JP2002317143 A JP 2002317143A JP 2001123975 A JP2001123975 A JP 2001123975A JP 2001123975 A JP2001123975 A JP 2001123975A JP 2002317143 A JP2002317143 A JP 2002317143A
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Japan
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diatomaceous earth
slaked lime
weight
acrylic resin
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Katsuhiko Shono
克彦 庄野
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Katei Kagaku Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Katei Kagaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 日本古来のしっくいを利用することで結露や
ホルマリン等の発生による室内空気汚染の恐れがなく、
1回の塗装作業で必要な厚みの表面仕上げ層を形成で
き、乾燥硬化時の塗膜の割れなどなく、施工が簡単で工
期も短くてすみ、しかも施工後は振動で割れたり剥がれ
たりしない建築用塗料組成物を提供する。 【解決手段】 粉末状消石灰を15〜25重量%含有
し、消石灰100重量部に対して、粉末状珪藻土を40
〜80重量部、ガラス転移温度が−20℃以下、好まし
くは−25〜−55℃の範囲内であるアクリル系樹脂の
エマルジョンを固形分で20〜60重量部、骨材を50
〜100重量部配合した塗料組成物に必要に応じて水を
加えて混練し、下地材上に1mm以上の厚さに塗布し、
乾燥、硬化させて表面仕上げ層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸建住宅、集合住
宅、病院などの各種建築物の室内壁面や天井面、更には
外壁などの表面仕上げ層を形成するのに好適な建築用塗
料組成物及びこれを用いた建築物内外装の施工方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、戸建住宅やマンションなどの集合
住宅では、室内の壁面や天井面などの表面仕上げ層を形
成する内装材として、施工性、経済性などの観点から、
施工が簡単で工期が短く、費用も安くあがるビニルクロ
スやプリント合板などの新建材が多用されてきた。しか
し、これらの新建材は、一般的に吸放湿性に乏しいこと
から、外気温が低くなる冬季には、暖房などで室内の湿
度が高くなると壁面に結露が発生し、黒カビや細菌が発
生する原因となる。また、近年の住宅は、各部屋の密閉
性が高く、内装材としてビニルクロスやプリント合板な
どの新建材を使用した場合には、それらの製造時や施工
時に使用される接着剤などに含まれるホルマリンなどの
有機溶剤その他の化学物質などからの有害ガスが室内に
揮散し、例えば夏季などの30℃を超える密閉された室
内においてはホルムアルデヒドその他の有害ガスが充満
することによる室内空気汚染を引き起こす場合がある。
特に、竣工後間もない新築住宅の場合には、前記室内空
気汚染が発生する可能性が高い。前記のような新建材な
どの内装材による室内空気汚染は、住人の呼吸器や皮膚
に悪影響を及ぼし、アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘
息、頭痛などの遠因となることが指摘され、シックハウ
ス症候群、シックビル症候群などとして社会問題にもな
っている。また、これら新建材は、燃焼時に有害な塩素
化合物などが発生して環境汚染の原因となるおそれもあ
る。
【0003】そこで、上記のようなビニルクロスやプリ
ント合板などの新建材にかわり、日本古来の漆喰壁や、
珪藻土を用いた壁材など、ホルマリンなどの有機溶剤そ
の他の化学物質を使用しない無機質の内装材が再び注目
されてきている。前記漆喰は、消石灰に植物繊維や山土
を混ぜたものに、ふのりや角又などを練り合わせたもの
であり、新建材のようなホルマリンその他の有害ガスな
どの発生もなく、また吸放湿性や吸着性を有しており結
露が防止されるだけでなく、他の建材から発生するホル
マリンその他の有害ガスやたばこの煙などの吸着効果も
あり、室内空気汚染の防止効果が期待できる。また、珪
藻土は、その多孔質構造により吸放湿性や吸着性を有し
ており、この珪藻土を用いた壁材の場合にも、前記漆喰
壁と同様にホルマリンその他の有害ガスなどの発生はな
く、また結露が防止されると同時に有害ガスやたばこの
煙などを吸着して室内空気汚染を防止する効果が期待で
きる。
【0004】上記のように、漆喰壁や珪藻土を用いた壁
材の場合には、有害ガスなどの発生がなく、また吸放湿
性や吸着性を有することにより、結露防止や室内空気汚
染防止効果が期待できる。しかし、漆喰壁の場合には、
消石灰が空気中の二酸化炭素を吸収して硬化するもの
で、乾燥硬化時の収縮が大きく、割れやすく、脆いとい
う欠点があり、特に厚塗りした場合には収縮率が大きく
なる傾向にある。このため、施工時には、一度に厚塗り
することができず、1mm以下の厚さで繰り返し重ね塗
りする必要がある。そのため高度な左官の技術が必要で
ある。しかも、重ね塗りのたびに下塗り層を乾燥硬化さ
せるための養生期間が必要となり、工期が長くなる。従
って、工費が高くつくという欠点がある。また、珪藻土
を用いた壁材の場合には、硬度や耐水性に問題がある。
更に、消石灰と珪藻土とを混ぜ合わせた壁材も知られて
いる。この場合には、漆喰に較べて施工が容易ではある
が、少しの振動で、室内の出隅角や入隅角に割れ、剥が
れが発生しやすいという欠点がある。これらの漆喰、珪
藻土などからなる壁材における欠点を解決するために、
例えば合成樹脂エマルジョンのような有機系材料を添加
することも行われている。しかし、この場合には、添加
した有機系材料により漆喰が空気中の二酸化炭素を吸収
して硬化する際の呼吸作用が妨げられ、内部の漆喰の硬
化が阻害されて表面層のみが先に硬化して表面被膜が形
成される。このように表面被膜が形成されると、その
後、内部の漆喰が硬化する際に、硬化した表面と内部と
の収縮差により割れや剥がれが発生するという問題があ
る。また、添加した有機系材料により漆喰や珪藻土が本
来有する吸放湿性、吸着性などの特徴が損なわれ、結露
防止や室内空気汚染の抑制効果が低下しまうという問題
もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来の壁材における問題点に鑑み、各種建築物の内外壁
面や天井面などの表面仕上げ層を形成するための建築用
塗料組成物として、繰り返し重ね塗りすることなく1回
の塗装作業で必要な厚みの表面仕上げ層を形成でき、し
かも塗膜の乾燥硬化時の割れなどの発生もなく、施工が
簡単で工期が短くてすみ、工費も安くつく、建築用塗料
組成物を提供せんとするものである。また本発明は、新
建材のような結露やホルマリンその他の有害ガスなどの
発生による室内空気汚染などのおそれもなく、しかも少
しの振動などで割れたり剥がれたりすることのない建築
用塗料組成物を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、漆喰や珪藻土
に、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル系樹脂の
エマルジョンを添加することにより、下地材への接着性
に優れ、割れ、剥がれなどの発生しにくい表面仕上げ層
を、一回の塗装作業によって必要な厚さに形成すること
ができ、しかも、乾燥硬化後の表面仕上げ層は、漆喰や
珪藻土が本来有する吸放湿性や吸着性が損なわれること
なく、結露などの発生が防止されることを見出し、本発
明を完成させるに至った。即ち、本発明に係る建築用塗
料組成物は、粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びガラス転
移温度が−20℃以下、好ましくは−25〜−55℃で
あるアクリル系樹脂のエマルジョンを含有してなるもの
であり、組成物中には消石灰を15〜25重量%含有
し、かつ珪藻土の消石灰100重量部に対する配合割合
は40〜80重量部であり、アクリル系樹脂エマルジョ
ン(固形分)の消石灰に対する配合割合は20〜60重
量部である。前記消石灰、珪藻土及びアクリル系樹脂エ
マルジョン(固形分)は、重量比でほぼ3:2:1又は
2:1:1程度の割合で含有されていることがより好ま
しい。また、前記建築用塗料組成物には、更に消石灰1
00重量部に対して50〜100重量部程度の骨材が含
有されていることが好ましい。更に、前記粉末状珪藻土
としては、粉末状焼成珪藻土を用いることが好ましい。
また、本発明に係る建築物内外装の施工方法は、上記の
ような建築用塗料組成物に必要に応じて水を加えて混練
し、壁面などの下地材上に1mm以上の厚さで塗布し、
これを乾燥、硬化させることで表面仕上げ層を形成する
というものである。
【0007】上記のような本発明に係る建築用塗料組成
物による建築物内外装の施工に際しては、本組成物中
を、例えば、戸建住宅、マンション、病院などの各種建
築物の室内壁面や天井面、あるいは外壁の下地材上に塗
布、乾燥、硬化させる。このとき、組成物中の消石灰は
空気中の二酸化炭素を吸収して硬化する。この消石灰の
硬化時、組成物中に配合されたアクリル系樹脂エマルジ
ョンは、ガラス転移温度が−20℃以下、好ましくは−
25〜−55℃であることから、消石灰が空気中の二酸
化炭素を吸収して硬化する際の呼吸作用を妨げることが
なく、硬化時の収縮率の差による塗膜の割れの発生が防
止され、一度の塗装作業で必要な厚みの表面仕上げ層を
形成することができる。また、アクリル系樹脂により、
下地材に対する接着性が補強され、かつ軟らかな塗膜が
下地材の表面に形成されることから、乾燥硬化後の表面
仕上げ層が振動などにより割れたり、剥がれたりするお
それもない。しかも、前記アクリル系樹脂エマルジョン
としてガラス転移温度が−20℃以下であるアクリル系
樹脂のエマルジョンを用いた場合には、消石灰や珪藻土
による吸放湿性や吸着性が損なわれることもなく、結露
による黒カビや細菌などの発生を抑制でき、またホルマ
リンその他の有害ガスによる室内空気汚染のおそれもな
い。また、この建築用塗料組成物は、アクリル系樹脂エ
マルジョンを含有することで耐水性に優れるうえに、塗
りやすく、また漆喰などに較べて乾燥硬化時の収縮率も
小さく、漆喰のように繰り返し重ね塗りをする必要がな
く、下地材表面への施工も簡単で高度な左官技術も不要
であり、工期も短くて済む。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の建築用塗料組成物の主成
分は、粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びアクリル系樹脂
エマルジョンである。本発明の建築用塗料組成物中で、
前記消石灰は空気中の二酸化炭素を吸収して硬化するも
のであり、硬化後は、室内空気中の湿気の吸収、放出に
より壁面結露を効果的に防止するとともに、断熱効果、
吸音効果を有する。更に、弱アルカリ成分によりカビの
発生を抑制する効果もある。また、ビニルクロスなどの
新建材に較べて耐久性に優れる。普通の消石灰は、石灰
石をか焼、消化したものであるが、石灰石のほかに、貝
殻を原料としたものもあり、いずれも左官用消石灰とし
て市販されている。本発明では、石灰石及び貝殻のいず
れを原料としたものでも使用することができる。なお、
一般的には、貝類を原料とする消石灰のほうが普通の消
石灰より乾燥硬化時の収縮率は小さいといわれている。
また、本発明で用いる消石灰の粒度については特に限定
はなく、左官用消石灰として市販されているものをその
まま使用することができる。
【0009】本発明の建築用塗料組成物中で、珪藻土
は、その多孔質構造による吸放湿性による壁面などの結
露防止効果の他、断熱効果、遮音効果などを有する。ま
た、珪藻土を含有することで、高い不透水性と呼吸発散
性により耐用年数の長い防水性を発揮する。珪藻土は、
単細胞藻類の一種である珪藻が化石となったもので、珪
藻の殻からなる軟質の岩石もしくは土壌であり、1ミク
ロン以下の小さな孔が幾何学的に並んだ多孔質構造を有
し、空隙率が80〜85%と大きく、液体の吸収能力や
濾過能力に優れている。このため、精製処理された珪藻
土製品として各種のものが市販されており、液体の濾過
助材、断熱材、研磨剤などに利用されている。粉末状の
珪藻土製品としては、例えば選別採鉱して粉砕、乾燥
後、分級して粒度を調整した乾燥品や、粉砕乾燥した珪
藻土を原材料とし、これに少量の融剤を添加し、高温焼
成後、粒度調整した融剤添加焼成品などが市販されてい
る。本発明で使用する珪藻土の粒度は特に限定はなく、
前記のような市販の粉末状珪藻土を使用することができ
るが、乾燥品に較べて不純有機物の少ない焼成品を用い
るほうが好ましい。
【0010】本発明の建築用塗料組成物中でアクリル系
樹脂エマルジョンは、前記粉末状消石灰及び粉末状珪藻
土のバインダーとして作用するものである。このアクリ
ル系樹脂エマルジョンとして、本発明では、特にガラス
転移温度が−20℃以下、より好ましくはガラス転移温
度が−25〜−55℃のものを用いる。このようなアク
リル系樹脂を用いることで、消石灰の硬化時の呼吸を妨
げることがなく、硬化時の割れの発生を防止できる。ま
た、下地材への塗膜の接着力を向上させると同時に軟ら
かな塗膜が形成され、硬化した表面仕上げ層の割れ、剥
がれを防止する効果を発揮できる。しかも硬化後の表面
仕上げ層は、消石灰及び珪藻土による吸湿性などの特性
を阻害することがない。
【0011】本発明で用いるアクリル系樹脂エマルジョ
ンのアクリル系重合体は、ガラス転移温度が−20℃以
下、好ましくは−25℃〜−55℃の範囲にあれば、構
成するモノマーの組成に特に制限はない。アクリル系重
合体としては、(メタ)アクリル酸エステルと、これと
共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。前
記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシ
ルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニル
アクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸
エステル、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリ
レート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリ
レート、アミルメタアクリレート、ヘキシルメタアクリ
レート、オクチルメタアクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレー
ト、ドデシルメタアクリレート、オクタデシルメタアク
リレート、フェニルメタアクリレート、ベンジルメタア
クリレートなどのメタアクリル酸エステルなどが挙げら
れる。また、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合
可能な他の単量体としては、その他のビニル系単量体、
例えばスチレンを代表とする芳香族ビニル類、シアン化
ビニル類、酢酸ビニルなどのエチレン性単量体などが挙
げられる。更に、水酸基、アミド基、アミノ基を有する
ビニル系単量体、又はアクリル酸、メタクリル酸などの
エチレン性不飽和カルボン酸なども使用することができ
る。上記の単量体は、1種又は2種以上を使用すること
ができる。
【0012】本発明の建築用塗料組成物中には、上記の
ような粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びアクリル系樹脂
エマルジョンの他、骨材(充填材)を配合することが好
ましい。骨材を配合することにより、塗膜の乾燥硬化時
の収縮率が減少し、割れ、剥がれの防止効果が期待でき
る。骨材としては、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
く、砂や各種繊維材料を配合することもできる。また、
本発明の建築用塗料組成物には、顔料などの着色剤成分
を適宜添加して、形成される表面仕上げ層に着色を施す
こともできる。
【0013】上記のような本発明の建築用塗料組成物に
おける各成分の配合割合としては特に限定的ではない
が、消石灰を15〜25重量%含有し、かつ珪藻土の消
石灰100重量部に対する配合割合が40〜80重量部
であり、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分)の消石
灰に対する配合割合が20〜60重量部であることが好
ましい。更に、粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びアクリ
ル系樹脂エマルジョン(固形分)を、重量比でおおよそ
3:2:1又は2:1:1の割合で配合することがより
好ましい。組成物中で消石灰の割合が多すぎる場合には
乾燥硬化時の収縮による割れや剥がれが発生しやすくな
る傾向があり、また硬化後の表面仕上げ層が脆くなる傾
向がある。また、珪藻土の割合が多すぎる場合には、塗
装の作業性が悪くなったり、乾燥硬化後の仕上げ層に割
れが発生しやすくなったり、耐水性が低下する傾向があ
る。更に、アクリル系樹脂の割合が多くなりすぎると、
コテ塗り作業時のコテ離れが悪くなったり、消石灰の硬
化時の呼吸作業が阻害されて硬化を妨げる結果、乾燥時
の塗膜に割れが発生したり、乾燥硬化後の仕上げ層の吸
水性、吸湿性が低下する傾向がある。また、骨材の添加
量についても特に限定はないが、消石灰100重量部に
対して50〜100重量部程度の割合で配合すればよ
い。
【0014】上記のような本発明に係る建築用塗料組成
物は、粉末状消石灰、粉末状珪藻土、骨材及びアクリル
系樹脂エマルジョンを混合し、混練して使用される。こ
の場合、粉末状消石灰、粉末状珪藻土、骨材などの粉体
成分を予め混合しておき、これにアクリル系樹脂エマル
ジョンを添加混合するとよい。また、必要に応じて水を
添加し、混練物中の水の含有量が40〜60重量%程
度、好ましくは45〜50重量%程度となるように調整
することが好ましい。この混練物を、各種建築物の内外
壁面や天井面などの下地材の上に塗布し、乾燥硬化させ
ることで、表面仕上げ層を形成する。下地材としては特
に限定されるものではなく、コンクリート、石膏ボー
ド、合板、スレートなどの他、住宅などのリフォームに
際してビニルクロス、壁紙、プリント合板など、既存の
内装材などの上から本発明の建築用塗料組成物を塗布し
て新たな表面仕上げ層を形成するようにしてもよい。な
お、下地材への塗布に際して、下地が痛んでいる場合な
どには、塗布面に予めプライマー処理を施しておくとよ
り好ましい。プライマーとしては、樹脂モルタルなどの
施工時に用いられる公知のアクリル系プライマーなどを
使用することができる。塗布方法には特に限定はなく、
コテ塗り、ロール塗り、刷毛塗り、更には吹き付けなど
の各種方法を採用することができるが、1回の作業で比
較的厚い塗膜を形成できるコテ塗りが好ましい。なお、
塗布方法や塗布面により前記組成物の水分量を適宜調整
することが好ましい。塗膜の厚さは特に限定はなく、下
地材の状態や用途に応じて適宜設定されるが、通常の内
装仕上げの場合には0.5mm〜数mm程度でよく、好
ましくは1〜3mm程度、より好ましくは2mm程度で
ある。本発明の塗料組成物の場合には、前記のような特
定のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を配合して
なることから、前記のような1mm以上の厚みに塗布し
た場合にも、乾燥硬化によって割れが発生することもな
く、1回の塗装作業で所望の厚みの表面仕上げ層を形成
することができる。
【0015】なお、本発明の建築用塗料組成物には、上
記各成分以外に、例えばメチルセルロースのような増粘
剤、防腐剤、消泡剤、分散剤(減水剤)その他、通常の
塗り壁材や塗料組成物に含まれる各種添加剤成分を添加
することができる。また、塗膜厚みのバラツキによる割
れの発生を防止するためのレベリング剤を配合すること
もできる。
【0016】上記のように、建築物の下地材表面に本発
明の建築用塗料組成物を塗布し、乾燥、硬化させること
で、表面仕上げ層が形成される。乾燥硬化のための養生
時間は、塗膜の厚さや気温や湿度などにもよるが、通常
は5〜24時間程度である。
【0017】
【実施例】(実施例1)粉末状消石灰9kg、粉末状焼
成珪藻土6kg及び骨材(充填材)として炭酸カルシウ
ム4.5kgを均一に混合し、これにガラス転移温度が
−25℃のアクリル系樹脂のエマルジョン(固形分42
%、旭化成工業株式会社)7kg及び水その他の添加剤
16.08kgを加えて混練し、下記表1に示す配合の
建築用塗料組成物を得た。
【0018】(比較例1)アクリル系樹脂エマルジョン
として、ガラス転移温度が−15℃のものを用いた以外
は実施例1と同様にして建築用塗料組成物を得た。
【0019】
【表1】
【0020】実験 (接着強さ、表面硬度及び割れの発生)上記実施例1及
び比較例1の建築用塗料組成物を、JISコンクリート
歩道板(300×300×60mm)の表面に、施工厚
2mmにコテ塗りし、20℃、相対湿度60%で4週間
養生して乾燥硬化させたものについて、その表面硬度並
びに室温状態及び20℃水中下で24時間浸漬後の接着
強さを測定した。結果を表2に示す。なお、プライマー
としては旭化成工業株式会社のA−1500の3倍液を
使用した。表面硬度の測定はスプリング式硬度計を使用
して測定した。また、コンクリートとの接着強さの測定
は、「建研式引っ張り試験方法」に基づき行った。ま
た、割れの発生状況を目視にて判定した。
【0021】
【表2】
【0022】(吸放湿性能試験)上記実施例1の建築用
塗料組成物を、外寸300mm角で厚さ2mmのアルク
リ板及びその周縁部に設けた幅10mm、厚さ3mmの
アクリル板枠で構成された薄型容器内に塗り込み、20
±1℃、相対湿度60±5%の恒温恒湿室内で、試験体
重量が恒量になるまで乾燥硬化させた。上記のようにし
て作成した試験体について、吸湿過程(20℃、相対湿
度80%)を6時間、放湿過程(20℃、相対湿度40
%)を6時間、養生過程(20℃、相対湿度60%)を
18時間として、吸湿→養生→放湿→養生過程を1サイ
クルとして2回繰り返し、経過時間に対する試験体の質
量を電子天秤(最小目盛:0.01g)を用いて測定
し、下記(式1)により吸放湿率(%)を算出した。そ
の結果、吸放湿率は、吸湿過程においては約1%、放湿
過程では約−0.7%であり、吸放湿性能が認められ
た。
【0023】 吸放湿率(%)={(各経過時間の質量−試験開始直前の質量)/試験開始直 前の質量}×100・・・(式1)
【0024】(ガス吸着性能)上記実施例1及び比較例
1の建築用塗料を20℃、相対湿度60%で養生して乾
燥硬化させたもの1gを試料とした。テドラーバック
(5リットル)中に試料及び各種試料ガスを注入し、3
時間後及び24時間後のガス濃度を検知管を用いて測定
し、下記(式2)により脱臭率(%)を算出した。結果
を表3に示す。
【0025】 脱臭率(%)={(コントロールガス濃度−試料ガス濃度)/コントロールガス 濃度}×100・・・(式2)
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る建築用塗料
組成物を用いて建築物の室内壁面や天井面、外壁面など
を施工すれば、1回の塗装作業で1mm以上の必要な厚
みの表面仕上げ層を割れの発生なく形成できる。従っ
て、従来の漆喰壁のような繰り返し重ね塗りを必要とす
ることなくがなく、施工が簡単で工期が短くてすみ、工
費も安くつく。また、形成される表面仕上げ層は無機材
料を主成分とすることから、難燃性に優れ、また吸放湿
性により壁面結露が効果的に防止され、カビや細菌の発
生が抑制される。更に、断熱効果により、冷暖房が効果
的に利用できる。また、吸音効果により、室内の音の漏
れや外部からの音の侵入を防止する遮音効果を有する。
また、天然素材の使用により、ホルマリンその他の有害
ガスの発生による室内空気汚染のおそれもなく、一般住
宅、マンションなどの集合住宅はもちろんのこと、病院
その他の公共施設の内外装の施工にも好適である。ま
た、新建材のように廃棄物の燃焼時に塩素化合物などの
有害物質が発生することによる環境汚染の問題もない。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 BB16Y BB24Z BB26Z BB92Z CA05 CA13 CA18 CA38 CA39 CA40 CA42 CA45 CA47 DA04 DA06 DB12 DB18 DB22 DC02 EA06 EA13 EB14 EB19 EB20 EB22 EB53 EB56 EC01 EC13 EC54 4J038 CG141 HA206 HA526 KA20 MA08 MA10 MA13 PB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びガラス
    転移温度が−20℃以下であるアクリル系樹脂のエマル
    ジョンを含有してなり、消石灰を15〜25重量%含有
    し、かつ珪藻土の消石灰100重量部に対する配合割合
    が40〜80重量部であり、アクリル系樹脂エマルジョ
    ン(固形分)の消石灰に対する配合割合が20〜60重
    量部である建築用塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記アクリル系樹脂のガラス転移温度が
    −25〜−55℃の範囲内である請求項1記載の建築用
    塗料組成物。
  3. 【請求項3】 粉末状消石灰、粉末状珪藻土及びアクリ
    ル系樹脂エマルジョン(固形分)を、重量比でほぼ3:
    2:1又は2:1:1の割合で含有してなる請求項1又
    は2に記載の建築用塗料組成物。
  4. 【請求項4】 骨材を消石灰100重量部に対して50
    〜100重量部の割合で含有してなる請求項1〜3のい
    ずれかに記載の建築用塗料組成物。
  5. 【請求項5】 粉末状珪藻土が粉末状焼成珪藻土である
    請求項1〜4のいずれかに記載の建築用塗料組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の建築用
    塗料組成物に必要に応じて水を加えて混練し、下地材上
    に1mm以上の厚さに塗布し、乾燥、硬化させて表面仕
    上げ層を形成することを特徴とする建築物内外装の施工
    方法。
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