JP2002316240A - 内部品質の良好な高強度厚鋼板の製造方法 - Google Patents
内部品質の良好な高強度厚鋼板の製造方法Info
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Abstract
で連続鋳造した鋳片を熱間圧延した厚鋼板であって、そ
の溶接時または曲げ加工時に割れが発生しない、内部品
質の良好な高強度厚鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.2%、S
i:0.05〜0.4%、Mn:0.2〜2%、P:
0.02%以下、S:0.005%以下、B:0.00
08〜0.003%を含み、Mn/Sの値が300以上
の炭素鋼または低合金鋼からなる、厚さが6〜150m
mの高強度厚鋼板の製造方法であって、厚さ200〜3
50mmの横断面形状が長方形の鋳片を、速度0.7〜
2.5m/分で鋳造し、次いで鋳片を素材として熱間圧
延する方法。
Description
高強度厚鋼板の製造方法に関する。
強度の厚鋼板の熱間圧延用の素材として、連続鋳造した
鋳片が用いられている。ところで、近年、連続鋳造にお
ける生産性の向上の要望が高まり、鋳片の厚さを厚く
し、速い速度で鋳造することが指向されている。鋳片の
厚さが厚く、鋳造速度が速くなると、鋳片内部の凝固界
面が鋳造中に破断して、鋳片内部に割れが発生しやす
い。
した凝固界面である割れの部分が空孔として観察される
ことはまれで、切断面を腐食したり、サルファプリント
した後に、偏析線として確認できることが多い。このよ
うな偏析線とは、凝固界面の破断した部分に偏析成分が
濃化した溶鋼が吸引され、そのまま凝固して形成された
ものである。
な破断した凝固界面である空孔に偏析成分が濃化した偏
析線を、総称して、一般に鋳片の内部割れと呼んでいる
(以下、このような偏析線を、単に内部割れと記す場合
がある)。
圧延して厚鋼板とすると、鋳片の内部割れは、厚鋼板に
おいてC、Mn、P、Sなどの成分が濃化した偏析部分
として残存する。この厚鋼板の偏析部分は、その周りの
組織より硬化している。その硬化の程度が著しいと、厚
鋼板を溶接する際、または曲げ加工などの際に、その硬
化した偏析部分を起点として割れが発生しやすい。とく
に、厚鋼板の厚さが厚い程、鋳片の内部割れが厚鋼板に
偏析部分として残存しやすくなる。
つぎのように考えられている。すなわち、横断面形状が
長方形である、いわゆるスラブの連続鋳造においては、
鋳片の非金属介在物対策などの観点から、垂直曲げ型連
続鋳造機を用いた鋳造が主流となっており、このような
連続鋳造機では、鋳造中の鋳片にさまざまな応力が作用
する。たとえば、内部に未凝固部を含む鋳片が引き抜か
れて垂直部から湾曲部に進む際に、鋳片は円弧状に曲げ
られるので、円弧の外側に相当する鋳片内部の凝固殻の
凝固界面には、引張り応力が作用して引張り歪が発生す
る。さらに、内部に未凝固部を含む鋳片が湾曲部から水
平部に進む際に、鋳片は矯正されて真っ直ぐになるの
で、円弧の内側の鋳片の凝固殻の凝固界面には、引張り
応力が作用して引張り歪が発生する。
ロールで支持されつつ引き抜かれる際、溶鋼静圧によっ
て鋳片はガイドロール間でバルジングし、バルジングし
た部分は、その後ガイドロールで圧下される。そのた
め、圧下された近傍の鋳片内部の凝固殻の凝固界面に
は、引張り応力が作用して引張り歪が発生する。鋳片は
複数の支持用ガイドロールを通過するので、繰り返して
バルジングおよび圧下の変形を受けることになり、繰り
返して引張り歪みが発生する。さらに、支持用ガイドロ
ールが所定のパスラインよりずれている場合、そのずれ
に相当する厚さだけ、鋳片のバルジング量が大きくな
り、さらに、圧下量も大きくなって、凝固界面に作用す
る引張り歪が大きくなる。鋳片の冷却過程で、ZST
(抗張力発現温度)からZDT(延性発現温度)までの
間に鋳片内部の凝固殻に作用する引張り歪量の総和が、
鋼に固有の限界値(内部割れ発生限界歪)を超えると、
鋳片の内部割れが発生することが知られている。近年指
向されているように、鋳片の厚さが厚くなり、鋳造速度
が速くなると、鋳片の抜熱が相対的に低下し、上記のZ
STからZDTまでの温度領域に相当する鋳造方向の間
隔が長くなり、その間に凝固殻に作用する引張り歪量の
総和が多くなる。したがって、鋳片の内部割れの発生の
危険性が飛躍的に大きくなるのである。とくに鋳片の厚
さが200mmを超えると、これら内部割れが著しく発
生しやすくなる。
られる高強度厚鋼板には、通常、B含有鋼が用いられて
いる。Bを含有させるのは、厚鋼板の焼入れ性を向上さ
せ、厚さ方向に均一な高強度厚鋼板を得るためである。
有すると鋳片では、割れ感受性が高くなり、鋳片の内部
割れ発生の危険性が高くなる。
度を速くする近年の連続鋳造では、破断した凝固界面で
ある空孔およびその空孔に偏析成分が濃化した偏析線で
ある鋳片の内部割れが発生しやすく、さらに、Bを含有
する鋳片では、内部割れがより発生しやすい。このよう
な内部割れの発生した鋳片を素材として熱間圧延した厚
鋼板では、溶接時または曲げ加工時などの際に、割れが
発生しやすい。
を厚くし、鋳造速度を速くする条件で連続鋳造した鋳片
を素材として熱間圧延した高強度厚鋼板において、その
溶接時または曲げ加工時に割れが発生しない、内部品質
の良好な高強度厚鋼板の製造方法の提供を目的とする。
で、C:0.05〜0.2%、Si:0.05〜0.4
%、Mn:0.2〜2%、P:0.02%以下、S:
0.005%以下、B:0.0008〜0.003%を
含み、Mn/Sの値が300以上の炭素鋼または低合金
鋼からなる、厚さが6〜150mmの高強度厚鋼板の製
造方法であって、厚さ200〜350mmの横断面形状
が長方形の鋳片を、速度0.7〜2.5m/分で鋳造
し、次いで上記鋳片を素材として熱間圧延する内部品質
の良好な高強度厚鋼板の製造方法にある。
鋼」とは、上記C、Si、Mn、P、SおよびB以外
に、必要に応じて、質量%で、Al;0.1%以下、C
r;1.5%以下、Mo;1.5%以下、Ni;1.5
%以下、Cu;1.5%以下、Ti;0.1%以下、N
b;0.1%以下およびV;0.1%以下のうちの1種
類または2種類以上を含有し、残部がFeおよび不純物
からなる鋼を意味する。
空孔に偏析成分が濃化した偏析線である鋳片の内部割れ
の発生には、鋳片の厚さ、鋳造速度および鋼の化学組成
の条件が影響する。
度の影響は、下記のとおりである。すなわち、とくに、
0.7〜2.5m/分の高速で鋳造した200〜350
mmの厚さの横断面形状が長方形の鋳片には、内部割れ
が発生しやすい。鋳造速度が0.7〜2.5m/分程度
に速くなると、メニスカスからの距離が同じ位置の未凝
固部を含む鋳片において、凝固殻の厚さが相対的に薄く
なるので、凝固界面で発生するバルジング歪み、曲げ歪
み、矯正歪みなどが大きくなり、歪量の総和が大きくな
って、鋼に固有の限界値を超え、凝固界面が破断しやす
くなる。さらに、鋳片の厚さが200〜350mm程度
に厚くなると、未凝固部を含む鋳片からの抜熱が相対的
に低下するので、ZST(抗張力発現温度)からZDT
(延性発現温度)までの間隔が長くなり、内部割れが発
生しやすくなるのは、前述のとおりである。
影響は、下記のとおりである。すなわち、産業機械、圧
力容器などに用いられる高強度厚鋼板には、詳細後述す
るように、鋼の強度確保のためにCを、鋼の焼入れ性の
向上のためにBを、それぞれ鋼中に含有させる。また、
PおよびSは不純物として鋼中に含有される。しかし、
これらC、P、SおよびBは、平衡分配係数が1よりか
なり小さいので、鋳片において偏析しやすい。これらが
偏析した凝固殻は、割れ感受性が高くなるが、とくにB
を含有する場合に、凝固殻の割れ感受性がより高くな
る。さらに、Bは、凝固殻と未凝固の溶鋼とのぬれ性を
促進させる。このぬれ性が促進されると、未凝固の溶鋼
と接する凝固殻の界面、すなわち、凝固界面の割れの原
因となる液膜脆化を助長するので、内部割れが発生しや
すくなる。ここでいう液膜脆化の現象とは、既に凝固し
た結晶粒全体が未凝固の溶鋼で液膜状に覆われ、結晶粒
同士の接合性が妨げら、凝固組織が脆くなって、内部割
れが発生しやすくなる現象のことである。
り、偏析しやすいSの作用を詳細検討した結果、Sは凝
固殻と未凝固の溶鋼とのぬれ性を促進させ、Bと同様に
内部割れを発生しやすくする作用があるばかりでなく、
SおよびBが同時に溶鋼中に存在すると、上記の液膜脆
化の現象が、相乗的に大きく現れることを知見した。つ
まり、凝固界面近傍にある凝固直前の未凝固の溶鋼中に
偏析したSおよびBは、その未凝固の溶鋼の融点を、そ
れらSまたはBが単独で偏析した場合よりも大きく低下
させる。そのため、凝固直前の未凝固の溶鋼の過熱度が
上昇し、凝固殻と未凝固の溶鋼とのぬれ性が相乗的に促
進し、相乗的に内部割れが発生しやすくなる。
ず、鋳片の内部割れの発生の要因となるSおよびBの含
有率をともに低下させる。具体的には、S含有率は0.
005質量%以下と低くし、B含有率は0.0008〜
0.003質量%と低くする。さらに、液膜脆化に対す
るBとSの相乗的な作用を、より確実に低減させるた
め、SおよびBの含有率を、それぞれ上記範囲内に低く
することに加えて、凝固界面近傍の凝固直前の未凝固の
溶鋼中に偏析したSをMnSとして固定することが効果
的であることがわかった。その際、S含有率に対するM
n含有率の比、Mn/Sの値を300以上とすることが
効果的である。
Nで固定することも考えられるが、N含有率を多くする
と、鋳片表面に横割れが発生しやすくなるという問題が
あり、BをNで固定することは効果的な方法ではない。
このように、SおよびBの含有率を低くすることに加え
て、S含有率に対するMn含有率の比、Mn/Sの値を
高くすることにより、液膜脆化に対するBとSの相乗的
な作用を低減でき、厚鋼板が速度0.7〜2.5m/分
で鋳造した厚さ200〜350mmの横断面形状が長方
形の鋳片を素材として熱間圧延した厚鋼板であっても、
鋳片の内部割れの発生を防止できるので、鋳片の内部割
れに起因する厚鋼板の溶接時または曲げ加工時における
割れの発生も防止できる。
さを以下に説明する。なお、以下の%表示は質量%を意
味する。 C:0.05〜0.2% Cは、厚鋼板の強度を確保する上で安価で有用な元素で
あり、所要の強度などの機械的特性による成分設計に基
づいて含有率を決めればよい。その効果を発揮させるた
めには、その下限は0.05%とする。一方、0.2%
を超えて含有させると、厚鋼板の溶接性および加工性を
悪化させることから、その上限は0.2%とする。ま
た、Cは、鋳片において偏析しやすい元素であり、Cが
偏析した凝固界面の割れ感受性が高くなるが、上記の範
囲内の含有率であれば、とくに影響はない。したがっ
て、C含有率は、0.05〜0.2%とする。
含有されるが、厚鋼板の加工性を劣化することなく強度
を高めることができる元素であり、その効果を発揮させ
るためには、その下限は0.05%とする。0.4%を
超えて含有させると厚鋼板の化成処理性が悪化するの
で、その上限は0.4%とする。したがって、Si含有
率は、0.05〜0.4%とする。
値が300以上 Mnは、厚鋼板の強度を高める上で有用な元素であり、
その効果を発揮させるためには、その下限は0.2%と
する。しかし、鋳片において偏析しやすい元素であるの
で、その上限は2%とする。鋳片の厚さ中心部にMnが
偏析すると、その鋳片の中心偏析が厚鋼板の厚さ中心部
に硬化層として残存し、厚鋼板の曲げ加工時に、その硬
化層を起点に割れが発生しやすい。したがって、Mn含
有率は、0.2〜2%とする。Mnは偏析しやすい元素
であるが、S含有率に対してMnを適宜多く含有させる
ことにより、鋳片の内部割れの発生を防止できる。すな
わち、SはMnSとしてMnに固定されるので、凝固殻
と未凝固の溶鋼とのぬれ性の上昇が抑制され、鋳片の内
部割れの発生が抑制される。したがって、S含有率に対
するMn含有率の比であるMn/Sの値は300以上と
する。また、この比、Mn/Sの値は1000以下が望
ましい。Mn/Sの値が1000を超えると、高価なM
n合金鉄を多く添加したり、またはSを大きく低下させ
るために、製造コストが高くなる。
すく、Pが偏析した凝固界面の割れ感受性は高くなる。
しかし、0.02%以下の範囲内の含有率であれば、と
くに影響はない。したがって、P含有率は、0.02%
以下とする。
すく、Sが偏析した凝固界面の割れ感受性は高くなる。
さらに、Sは未凝固の溶鋼のぬれ性を上昇させる元素で
あり、鋳片の内部割れが発生しやすくなるが、前述のと
おり、S含有率に対するMn含有率の比であるMn/S
の値は300以上とするので、上記Sの範囲内の含有率
であれば、とくに鋳片の内部割れに対する影響はない。
したがって、S含有率は、0.005%以下とする。
せることができる。その効果を発揮させるためには、そ
の下限は0.0008%とする。一方、Bは、鋳片にお
いて偏析しやすく、Bが偏析した凝固界面の割れ感受性
は高くなり、さらに、未凝固の溶鋼のぬれ性を上昇さ
せ、鋳片に内部割れが発生しやすくなるので、その上限
は0.003%とする。したがって、B含有率は、0.
0008〜0.003%とする。
強度厚鋼板は、上記C、Si、Mn、P、SおよびB以
外に、必要に応じて、Al;0.1%以下、Cr;1.
5%以下、Mo;1.5%以下、Ni;1.5%以下、
Cu;1.5%以下、Ti;0.1%以下、Nb;0.
1%以下およびV;0.1%以下のうちの1種類または
2種類以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる
鋼とする。
i、NbおよびVの元素を含有させると、厚鋼板の強
度、靱性などの機械的特性が改善される。また、これら
の元素は、上記の範囲内の含有率であれば、鋳片の内部
割れの発生への影響はない。
mmとする。産業機械、圧力容器などに用いられる厚鋼
板の製品用途から、上記厚さとする。さらに、150m
mを超える厚さの厚鋼板では、後述する厚さの鋳片を素
材として熱間圧延した場合に、所要の厚鋼板の強度、靱
性などの機械的特性が得られにくい。
である鋳片の鋳造方法を説明する。断面形状が長方形で
厚さ200〜350mmの鋳片を速度0.7〜2.5m
/分の条件で鋳造する。
造速度の範囲内において、鋳片の生産性が低い。また、
鋳片の厚さが350mmを超えると、鋳片の内部割れが
発生しやすい。また、連続鋳造機が大型になる。したが
って、鋳片の厚さは200〜350mmとする。
(鋳片の厚さ/厚鋼板の厚さ)が1.5以上となるよう
に、厚鋼板の厚さに応じた鋳片の厚さを確保するのが望
ましい。上記圧下比が1.5未満では、鋳片の凝固組織
が厚鋼板にまで残存し、厚鋼板の強度、靱性などに影響
するからである。
内部割れの発生を抑制できるが、上記鋳片の厚さの範囲
内において、鋳片の生産性が低い。また、2.5m/分
を超えると、鋳片表面に割れが発生しやすく、また内部
割れが発生しやすい。したがって、鋳造速度は0.7〜
2.5m/分とする。
〜2.5m/分の速度で鋳造する場合に、前述の化学組
成とすることにより、鋳片の内部割れの発生を防止する
ことができる。
に、圧延前の鋳片の加熱温度、加熱時間などの加熱条
件、および圧延温度、仕上温度などの圧延条件は、鋼に
応じた通常の条件とすることができる。
4点矯正、機長30mの垂直曲げ型連続鋳造機を用い、
厚さ200mmまたは250mm、幅1800mmの鋳
片を鋳造する試験を実施した。連続鋳造機のガイドロー
ルの軸心間距離は、垂直部で250mm、湾曲部で25
0〜400mm、水平部で400〜450mmである。
鋳片の二次冷却の比水量は1〜2リットル/kg−鋼と
した。
すように、C含有率が0.07〜0.20質量%、B含
有率が0.0009〜0.0035質量%である低炭素
鋼または中炭素鋼である。後述する試験No.1および
No.8以外の試験では、Al、Ti、NbおよびV
を、1種または2種含有させた鋼を用いた。また鋳造速
度は、厚さ200mmの鋳片の鋳造時には2.0m/
分、厚さ250mmの鋳片の鋳造時には1.0m/分と
した。なお、以下に記載する%は、質量%を意味する。
100mmの全幅の横断サンプルを採取し、その横断面
をサルファプリントした後、破断した凝固界面である空
孔およびその空孔に偏析成分が濃化した偏析線である鋳
片の内部割れの発生の有無を目視により調査した。
20mmの厚鋼板とした。その際、鋳片を1000〜1
300℃の温度範囲内で加熱し、750〜1000℃で
圧延を終了した。得られた厚鋼板の厚さ中心部相当の位
置から、JIS Z 2201で規定される4号または
5号試験片を圧延方向に垂直な方向に採取し、引張試験
を行った。
プルを採取し、拘束溶接割れ試験を行い、熱影響部にお
いて割れが発生するかどうかを調査した。図1は、拘束
溶接割れ試験に用いる試験片の形状、寸法を示す図であ
る。図1(a)は開先の横断面を示す側面図、図1
(b)は開先を上から見た平面図である。図中の符号a
は厚鋼板の厚さを示し、10〜120mmの範囲内の厚
さである。符号bは拘束板の厚さを示し、用いる厚鋼板
の厚さに対応して、60〜200mmとした。厚鋼板お
よび拘束板の縦横寸法である符号fおよびgの寸法は、
それぞれ500mmとした。厚鋼板と拘束板を重ね、開
先と反対側の下端部を溶接試験前に事前に溶接した。符
号hが、その溶接部である。この溶接部の符号cで示す
寸法は約10mm、符号dで示す寸法は約20mmとし
た。開先角度は90゜とし、開先深さeは20mmとし
た。
を行い、溶接ビードは符号gで示す長さとした。溶接
後、図1(b)中に示すA1−A2線部分を機械加工に
より切断し、その横断面の溶接熱影響部の割れの発生の
有無をダイチェックして観察した。試験条件および試験
結果を、表1および表2に示す。
速度2.0m/分で鋳造した。用いた鋼は中炭素鋼で、
Mn含有率1.15%、S含有率0.0020%で、M
n/Sの値は575である。得られた鋳片を熱間圧延
し、厚さ10mmの厚鋼板とした。これら化学組成、鋳
片の厚さ、鋳造速度および厚鋼板の厚さの各条件は、本
発明で規定する条件の範囲内である。この試験では、鋳
片の内部割れは発生せず、また、厚鋼板の拘束溶接割れ
試験において、熱影響部に割れは発生しなかった。得ら
れた厚鋼板の引張強さは674MPaで、高強度の厚鋼
板であった。
させた中炭素鋼を用いたこと以外は、試験No.1とほ
ぼ同じ条件で試験した。化学組成、鋳片の厚さ、鋳造速
度および厚鋼板の厚さの各条件は、本発明で規定する条
件の範囲内である。この試験では、鋳片の内部割れは発
生しなかった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ試験におい
て、熱影響部に割れは発生しなかった。得られた厚鋼板
の引張強さは669MPaで、高強度の厚鋼板であっ
た。
Tiを含有させた低炭素鋼を用いたこと以外は、試験N
o.1とほぼ同じ条件で試験した。化学組成、鋳片の厚
さ、鋳造速度および厚鋼板の厚さの各条件は、本発明で
規定する条件の範囲内である。この試験では、鋳片の内
部割れは発生しなかった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ
試験において、熱影響部に割れは発生しなかった。得ら
れた厚鋼板の引張強さは、試験No.1に比べてC含有
率が低いために、No.1より低い545MPaであっ
た。
させた中炭素鋼を用いたこと以外は、試験No.2とほ
ぼ同じ条件で試験した。化学組成、鋳片の厚さ、鋳造速
度および厚鋼板の厚さの各条件は、本発明で規定する条
件の範囲内である。この試験では、鋳片の内部割れは発
生しなかった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ試験におい
て、熱影響部に割れは発生しなかった。得られた厚鋼板
の引張強さは684MPaで、試験No.2の厚鋼板よ
り高強度であった。
せた中炭素鋼を用いたこと、厚鋼板の厚さを50mmと
したこと以外は、試験No.2とほぼ同じ条件で試験し
た。化学組成、鋳片の厚さ、鋳造速度および厚鋼板の厚
さの各条件は、本発明で規定する条件の範囲内である。
この試験では、鋳片の内部割れは発生しなかった。ま
た、厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部に割
れは発生しなかった。さらに、得られた厚鋼板の引張強
さは632MPaで、鋳片の厚さを厚鋼板の厚さで除し
た圧下比が4であり、試験No.2の圧下比20に比べ
て小さいことから、試験No.2より低い強度であっ
た。
mmの鋳片を速度1.0m/分で鋳造したこと、厚鋼板
の厚さを70mmとしたこと以外は、試験No.5とほ
ぼ同じ条件で試験した。化学組成、鋳片の厚さ、鋳造速
度および厚鋼板の厚さの各条件は、本発明で規定する条
件の範囲内である。この試験では、鋳片の内部割れは発
生しなかった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ試験におい
て、熱影響部に割れは発生しなかった。さらに、得られ
た厚鋼板の引張強さは638MPaで、鋳片の厚さを厚
鋼板の厚さで除した圧下比が3.6であり、試験No.
5の圧下比4より小さい圧下比であるが、B含有率がN
o.5より高いので、試験No.5とほぼ同じ程度の高
強度であった。
Nbを含有させた中炭素鋼を用いたこと、厚鋼板の厚さ
を120mmとしたこと以外は、試験No.6とほぼ同
じ条件で試験した。化学組成、鋳片の厚さ、鋳造速度お
よび厚鋼板の厚さの各条件は、本発明で規定する条件の
範囲内である。この試験では、鋳片の内部割れは発生し
なかった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、
熱影響部に割れは発生しなかった。さらに、得られた厚
鋼板の引張強さは625MPaで、鋳片の厚さを厚鋼板
の厚さで除した圧下比が2.1であり、試験No.6の
圧下比3.6に比べて小さく、試験No.6より低い強
度であった。
0.0040%と高くし、Mn/Sの値を288と低く
すること以外は、試験No.1とほぼ同じ条件で試験し
た。Mn/Sの値が、本発明で規定する条件を外れて低
い値である。この試験では、鋳片に著しい偏析線である
内部割れが発生した。また、得られた厚鋼板の引張強さ
は682MPaで、試験No.1とほぼ同じ高強度であ
ったが、厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部
に割れが発生した。
0.0043%と高くし、Mn/Sの値を286と低く
すること以外は、試験No.3とほぼ同じ条件で試験し
た。Mn/Sの値が、本発明で規定する条件を外れて低
い値である。この試験では、鋳片に著しい偏析線である
内部割れが発生した。また、得られた厚鋼板の引張強さ
は549MPaで、試験No.3とほぼ同じ強度であっ
たが、厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部に
割れが発生した。
0.0045%と高くし、Mn/Sの値を278と低く
すること以外は、試験No.5とほぼ同じ条件で試験し
た。Mn/Sの値が、本発明で規定する条件を外れて低
い値である。この試験では、鋳片に著しい偏析線である
内部割れが発生した。また、得られた厚鋼板の引張強さ
は625MPaで、試験No.5とほぼ同じ高強度であ
ったが、厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部
に割れが発生した。
を1.40%と高くしたが、S含有率も0.0048%
と高くし、Mn/Sの値を292と低くすること以外
は、試験No.6とほぼ同じ条件で試験した。Mn/S
の値が、本発明で規定する条件を外れて低い値である。
この試験では、鋳片に著しい偏析線である内部割れが発
生した。得られた厚鋼板の引張強さは、B含有率が試験
No.6より低いので、試験No.6より低い629M
Paであった。また、厚鋼板の拘束溶接割れ試験におい
て、熱影響部に割れが発生した。
0.0024%と低くしたが、Mn含有率も0.70%
と低くし、Mn/Sの値を292と低くすること以外
は、試験No.7とほぼ同じ条件で試験した。Mn/S
の値が、本発明で規定する条件を外れて低い値である。
この試験では、鋳片に著しい偏析線である内部割れが発
生した。また、得られた厚鋼板の引張強さは628MP
aで、試験No.7とほぼ同じ高強度であったが、厚鋼
板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部に割れが発生
した。
0.0032%と高くしたこと以外は、試験No.6と
ほぼ同じ条件で試験した。B含有率が、本発明で規定す
る条件を外れて高い値である。この試験では、鋳片に著
しい偏析線である内部割れが発生した。また、得られた
厚鋼板の引張強さは、試験No.6よりB含有率が高い
ので、試験No.6より高い654MPaであったが、
厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部に割れが
発生した。
0.0035%と高くしたこと以外は、試験No.7と
ほぼ同じ条件で試験した。B含有率が、本発明で規定す
る条件を外れて高い値である。この試験では、鋳片に著
しい偏析線である内部割れが発生した。また、得られた
厚鋼板の引張強さは、試験No.7よりB含有率が高い
ので、試験No.7より高い638MPaであったが、
厚鋼板の拘束溶接割れ試験において、熱影響部に割れが
発生した。
し、鋳造速度を速くする条件で鋳造した鋳片を素材とし
て熱間圧延した厚鋼板において、その溶接時に割れが発
生しない、内部品質の良好な高強度厚鋼板を得ることが
できる。
を示す図である。
拘束板の縦寸法 g:厚鋼板および拘束板の横寸法 h:厚鋼板を拘束
するための溶接部
Claims (1)
- 【請求項1】質量%で、C:0.05〜0.2%、S
i:0.05〜0.4%、Mn:0.2〜2%、P:
0.02%以下、S:0.005%以下、B:0.00
08〜0.003%を含み、Mn/Sの値が300以上
の炭素鋼または低合金鋼からなる、厚さが6〜150m
mの高強度厚鋼板の製造方法であって、厚さ200〜3
50mmの横断面形状が長方形の鋳片を、速度0.7〜
2.5m/分で鋳造し、次いで上記鋳片を素材として熱
間圧延することを特徴とする内部品質の良好な高強度厚
鋼板の製造方法。
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JP2001117970A JP3562483B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 耐拘束溶接割れ性に優れた高強度厚鋼板の製造方法 |
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-
2001
- 2001-04-17 JP JP2001117970A patent/JP3562483B2/ja not_active Expired - Lifetime
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