JP3350343B2 - 熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法

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JP3350343B2 JP08424696A JP8424696A JP3350343B2 JP 3350343 B2 JP3350343 B2 JP 3350343B2 JP 08424696 A JP08424696 A JP 08424696A JP 8424696 A JP8424696 A JP 8424696A JP 3350343 B2 JP3350343 B2 JP 3350343B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はステンレス鋼の製造
方法に関するものであって、特に熱間圧延での表面疵の
発生を防止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱間圧延された鋼板のエッジ部に
は表面疵が発生しやすく、なかでも表面の美麗さがその
特性の1つであるステンレス鋼では表面疵は品質上大き
な問題となる。またこの表面欠陥の発生により品質が低
下するのみでなく、製造上においても歩留りの低下、ま
た疵の研削工程、再酸洗工程を必要とするなどコスト上
昇の大きな原因となる。とりわけ、SUS304と並ん
で生産量の大きなSUS430に代表されるフェライト
系ステンレス鋼は線ヘゲ疵及びエッジシーム疵と言われ
る表面欠陥が発生しやすいことが知られている。
【0003】この線ヘゲ疵及びエッジシーム疵は熱延鋼
板のエッジより約100mm程度に発生する線状の皺疵で
あるが、これらの表面疵は深さが約100μmと深いた
め疵研削にかかるコストも高く、歩留りを大きく低下さ
せる。従来より線ヘゲ疵及びエッジシーム疵低減のため
多くの検討がなされており、特開平4−350123号
公報や特開昭63−123516号公報、特開平4−2
79202号公報、特開平6−241号公報にはこれら
の技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−35012
3号公報では、ヘゲは表層部の割れによるものとし、割
れを防止する観点からスラブの形状ワークロールサイズ
及び圧下率を規定しているが、この技術によっても割れ
を防止する点で熱間圧延時の制約が大きく、またスラブ
の形状制御及びワークロールの規定による大幅なコスト
アップをもたらす。また特開昭63−123516号公
報では、スケール起因の疵防止の観点から加熱条件を規
定してスケールオフ量を制御するスケール疵防止技術を
開示している。しかし、フェライト系ステンレス鋼でも
多くの成分系があり、成分の異なる鋼種によっては同じ
加熱条件でもスケール生成量が大きく異なり、スケール
疵を完全に防止できるとは言えず、またスケールを生成
させるために加熱時間が長くなる場合には鋳片組織が大
きくなる等の問題も多い。
【0005】また、特開平4−279202号公報及び
特開平6−241号公報には、エッジシーム疵低減に関
する技術が開示されている。特開平4−279202号
公報では、潤滑圧延し端部のバルジング量を低減し、ト
リミング量を低減する方法が開示されている。これはエ
ッジシームの発生範囲を狭くしただけであり、エッジシ
ーム疵に対する根本的な解決方法にはならない。また、
特開平6−241号公報では、垂直圧延時の圧下率を規
定し、水平圧延時に生じる熱延鋼板端部の皺を垂直圧延
によって平滑にする方法が開示されているが、この方法
によっても熱延鋼板端部における皺の発生は避けられな
い。
【0006】本発明は、上述したフェライト系ステンレ
ス鋼で特有な熱間圧延時に発生する線ヘゲ疵及びエッジ
シーム疵の防止方法に関するものであり、工程負担増な
く表面欠陥の発生を防止するフェライト系ステンレス鋼
の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フェライ
ト系ステンレス鋼における線ヘゲ疵及びエッジシーム疵
の発生過程を調査した。その結果、線ヘゲ疵及びエッジ
シーム疵は、熱間圧延時のスラブエッジの結晶粒の変形
にともない発生すること、特にスラブ表層部の柱状晶の
粒径に大きく影響を受け、結晶粒を単位とする凹凸量
(凹凸深さ)が疵発生に大きく関係することが判明し
た。この熱間圧延時の凹凸の発生を防止する方法に関
し、結晶粒の微細化が有効であり結晶粒が微細なほど熱
延時の凹凸が生じ難く、また生じたとしても凹凸量が小
さいため熱間圧延段階で線ヘゲ疵及びエッジシーム疵が
生じにくくなることを明らかにした。
【0008】17Cr−0.05Cを基本成分とするS
US430鋼では凝固後の部分γ変態(α→γ)がある
が、フェライト系ステンレス鋼のそのほとんどは凝固後
に変態はない。このような変態がないか、或るいはあっ
ても部分変態の場合では、炭素鋼のようなδ→γ変態、
γ→α変態の完全変態による鋳片あるいは圧延前組織微
細化は困難であり、フェライト系ステンレス鋼、特に連
続鋳造鋳片では凝固組織の微細化が圧延前の組織の微細
化の重要ポイントとなる。
【0009】本発明者らは、フェライト系ステンレス鋼
の凝固組織の微細化を検討した結果、Alと微量Mgを
適量添加することでフェライト系ステンレス鋼の凝固組
織の微細化が達成でき、粗大な結晶粒に起因するスラブ
エッジ部に発生しやすい線ヘゲ疵及びエッジシーム疵等
を防止できることを確認した。
【0010】本発明は、以上の知見に基づくものであ
り、以下の構成を要旨とする。 (1)重量%でC :0.001〜0.08%、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.01〜2.0%、 P :0.040%以下、 S :0.010%以下、 Cr:11〜35%、N :0.001〜0.08%、 Al:0.005〜0.15%、 Mg:0.0010〜0.020%、 O :0.010%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる溶鋼を連
続鋳造する際に溶鋼過熱度(溶鋼温度と融点の差)を5
0℃以下として鋳造し、この連続鋳造片を加熱後熱間圧
延することを特徴とする熱間圧延での表面疵の発生を防
止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法。 (2)溶鋼中に前記(1)記載の成分のほかに、さらに
重量%で、 Cu:0.1〜2.0%、 Mo:0.1〜4.0%、 Ni:0.1〜5.0% の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)記載
の熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライト系ス
テンレス鋼の製造方法。 (3)溶鋼中に前記(1)または(2)記載の成分のほ
かに、さらに重量%で、 Nb:0.01〜0.5%、 Ti:0.01〜0.5%、 V :0.01〜0.5%、 Zr:0.01〜0.5% の1種以上を含有し、かつ(Nb+Ti+V+Zr)>
10(C+N)であることを特徴とする前記(1)また
は(2)記載の熱間圧延での表面疵の発生を防止するフ
ェライト系ステンレス鋼の製造方法。 (4)熱間圧延前の加熱温度:T(℃)を1050〜1
250℃とし、かつ均熱時間:t (min)が下式を満足す
る範囲とする前記(1)、(2)または(3)のいずれ
かに記載の熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェラ
イト系ステンレス鋼の製造方法。
【0011】t≦−6/5・T+1560
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明者らは、フェライト系ステンレス鋼における
線ヘゲ疵及びエッジシーム疵の発生過程を詳細に検討し
た。特に鋳片組織と疵発生の関係を調査し、組織的因子
を明確にした。表1に示す代表的なフェライト系ステン
レス鋼であるSUS430鋼の連続鋳造鋳片(スラブ厚
250mm)を熱間圧延機で3mmまで圧延する間に数段階
で中断し、各段階における試験片横断面の短辺部の凹凸
を調査した。
【表1】
【0013】その結果、図1に示すようにスラブの短辺
部の凹凸は圧下率が30%を超えると生じ始め、その後
は圧下率が高まるにつれて凹凸深さが大きくなった。凹
凸深さの測定方法は図2に示すように隣合う凸部の頂点
を結ぶ直線より凹部に垂線をおろし、その長さをもって
凹部深さとした。このスラブ短辺部の凹凸は結晶粒単位
で生じること、この凹凸は水平圧延の圧下率が高くなる
と熱延鋼板表面に回り込み線状に残存しエッジシーム疵
となること、スラブ横断面の長辺部に回り込む範囲は短
辺部のエッジより1/4t(tはスラブ厚み)の範囲で
あることを確認した。また、ヘゲ疵は垂直圧延時にエッ
ジより約100mm以内に生じた表面の凹凸が水平圧延時
につぶされ皺となり線状に残存することを明らかにし
た。
【0014】上述したように、線ヘゲ疵及びエッジシー
ム疵は共に圧延時に生じる表面の凹凸に起因する皺疵で
あり、凹凸は結晶粒単位で生じていることから、表層部
の結晶粒を細粒化できれば凹凸量は低減でき、エッジシ
ーム疵や線ヘゲ疵の発生を防止できることが判明した。
また、50%ラボ熱延材の凹凸と実機の線ヘゲ疵及びエ
ッジシーム疵の発生率の比較より、ラボ熱延時の凹凸が
800μm以下であれば線ヘゲ疵及びエッジシーム疵発
生率はほぼ0%となり、そのためには初期組織として柱
状晶であればその幅が2mm以下、また等軸晶であればそ
の平均粒径が2mm以下であればよいことが判明した。
【0015】上記の検討結果より線ヘゲ疵及びエッジシ
ーム疵となる最大の組織的原因は粒径であり、柱状晶の
場合は柱状晶の幅、等軸晶の場合は平均粒径を粗大させ
ないことが必要であることから鋳片組織の制御方法につ
いてさらに検討を加えた。
【0016】表2に示す成分のSUS430鋼を実験室
で3kg真空溶解し、各種合金元素を添加し溶鋼の過熱度
ΔTを30℃として中空の内径25mmの鋼管で溶鋼を吸
い上げる方法で、鋳片のフェライト粒径に及ぼす各種合
金の影響を調査した結果、AlとMgを同時に添加した
場合、鋳片組織が微細化されることが判明した。
【0017】
【表2】 この効果をAl、Mg量を変化させ、溶鋼過熱度ΔT
(溶鋼温度と融点の差)を30〜50℃として実験した
結果を図3に示す。図3に示すように、Al:0.00
5%以上でMg:0.0010%以上含有される場合に
微細化効果が顕著であることが明らかとなった。また、
溶鋼過熱度を変えて実験したところ、この効果は溶鋼過
熱度によっても大きく変化し、溶鋼過熱度ΔTが50℃
以下である場合に顕著であることが明らかとなった。
【0018】本発明が対象とする11%以上のCrを含
有するフェライト系ステンレス鋼鋳片を圧延する場合、
凝固温度以下では普通鋼のようなδ→γ、γ→αのよう
な変態がないため、鋳造から圧延前加熱までの組織微細
化は再結晶を活用する以外には本質的に不可能である。
このため連続鋳造鋳片をそのまま熱間圧延に供する場合
には結晶粒の粗大化防止が重要となる。とくに連続鋳造
鋳片を直接加熱する場合には加熱温度により大きく粒成
長挙動が異なり、凝固組織が微細化されていても加熱時
に粗大化し、線ヘゲ疵やエッジシーム疵の発生を防止で
きない。
【0019】上記の観点から、本発明者らはAl:0.
12%、Mg:0.0028%材を用いて圧延前の加熱
時の均熱温度と均熱時間と凹凸発生の関係を調査し、熱
間圧延率50%での凹凸を測定し、凹凸が800μmを
超えたものを凹凸発生大として整理すると、図4に示す
ように1250℃を超えたり、また1250℃以下でも
長時間加熱では凹凸が著しいことが判明し、加熱条件は
次式を満足することが必要であると判明した。 t(min) ≦−(6/5)・T(℃)+1560 ここで、t:均熱時間(min) 、T:均熱温度(℃)、 但し、1050℃≦T≦1250℃ 1250℃より高い加熱温度では粒成長により粗大化
し、線ヘゲ疵やエッジシーム疵を防止できないため、加
熱温度は1250℃以下とすることが必要である。また
粒成長の点では低温加熱が望ましいが、1050℃より
低温では熱間圧延時のスケール起因の疵等が発生しやす
く、下限は1050℃とした。
【0020】以上の現象について、ラボ実験にて成分系
を広げて検討した結果、上記の表面疵防止方法は、下記
の成分系で成り立つことが判明した。すなわち、本発明
のフェライト系ステンレス鋼は、重量%で、 C :0.001〜0.08%、Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.01〜2.0%、 P :0.040%以下、 S :0.010%以下、 Cr:11〜35%、 N :0.001〜0.08%、Al:0.005〜0.15%、 Mg:0.0010〜0.020%、O :0.010%以下 を含有する成分系であり、必要に応じて選択元素として Cu:0.1〜2.0%、 Mo:0.1〜4.0%、 Ni:0.1〜5.0% のいずれか1種を含有し、さらに必要に応じて Nb:0.01〜0.5%、 Ti:0.01〜0.5%、 V :0.01〜0.5%、 Zr:0.01〜0.5% の1種以上を(Nb+Ti+V+Zr)>10(C+
N)を満たす範囲で含有する。
【0021】Cr:Crは本願発明のフェライト系ステ
ンレス鋼の主要元素であり、11%以下ではフェライト
系ステンレス鋼としての耐食性が十分得られず、また3
5%を超えるCrを含有するフェライト系ステンレス鋼
は高Crのために脆化が著しいためCrの上限は35%
とした。
【0022】Al:Alは脱酸元素として使用される
が、本願発明においてはMgと共存して凝固組織の微細
化に寄与する重要な元素であり、その効果は0.005
%以上でMgの2倍以上含有する場合に効果が著しい。
またTiを添加する場合は、Al、Mg添加による微細
化効果をより効果的にするためにAl/Tiを0.1以
上とすることが重要である。但し、0.15%を超えて
添加してもまた製品の溶接性が劣化するため、Alは
0.05〜0.15%で添加する。
【0023】Mg:Mgは強力な脱酸元素であり、特に
凝固時にAlと共存して酸化物を形成し凝固組織の微細
化に寄与する重要な元素であり、0.0010%以上で
その効果が現れるが、0.020%を超えて添加しても
効果が飽和し、また製品の溶接性が劣化するためMgは
0.02%以下で添加する。
【0024】O:Oは本願発明において重要な元素であ
り、溶鋼中或いは凝固完了までにMg、Alと酸化物を
形成し、フェライト粒の細粒化に寄与するため0.00
1%以上の添加が必要であるが、0.02%を超えて添
加しても靭性や延性を劣化させるので0.001〜0.
02%とした。
【0025】その他の成分については以下に好ましい範
囲を述べる。 C:Cは耐食性の点では有害であり、特に溶接部の耐食
性に悪影響を与えるが、強度の観点からある程度は必要
である。現状では0.001%未満にするには製造コス
トが高くなり、また0.08%を超えて添加すると加工
性、靭性が劣化するためにCは0.001〜0.08%
がよい。
【0026】Si:Siは脱酸剤として使用されるが、
0.01%未満では十分な効果がなくまた1%を超えて
添加すると脆化を著しく促進させ、延性、靭性を劣化さ
せるので0.01〜1.0%で添加するのがよい。 Mn:Mnも脱酸元素として添加するが、0.01%未
満では効果が十分ではなく、2%を超えて添加してもそ
の効果が飽和するので、0.01〜2.0%で添加する
のがよい。
【0027】P:Pは加工性や靭性また耐食性の点でも
有害であり、その含有量は少ないほど望ましく、0.0
40%以下とするのがよい。 S:Sは延性、靭性等を劣化させ、また耐食性の観点か
らも有害であり、少なければ少ないほど良く、0.01
0%以下とするのがよい。
【0028】N:NはCと同様に含有量が少ないほど耐
食性、加工性が好ましいが、0.001%未満にするこ
とは工業的には困難であり、また0.08%を超えて添
加すると加工性、靭性が劣化するためにNは0.001
〜0.08%の範囲で添加するのがよい。
【0029】本発明では、必要に応じてCu、Mo、T
iのいずれか1種以上を含有する。 Cu:Cuは耐食性の点で好ましい元素であり必要に応
じて添加できるが、0.1%未満ではその効果は十分で
なく、また2.0%を超えて添加してもその効果は飽和
するので、0.1〜2.0%で添加する。 Mo:Moも耐食性の点で好ましい元素であり必要に応
じて添加できるが、0.1%未満ではその効果は十分で
なく、また4.0%を超えて添加してもその効果は飽和
し脆化が著しいので0.1〜4.0%で添加する。 Ni:Niはフェライト系ステンレス鋼の靭性、延性を
改善するのに有効な元素であり必要に応じて添加できる
が、0.1%未満では効果がなく、また5.0%を超え
て添加するとフェライト相を不安定にし、熱間での脆化
を引き起こしやすくするので0.1〜5.0%とした。
【0030】本発明鋼においては、なお一層耐食性を向
上させるために、さらにNb、V、Ti、Zrの1種以
上を含有させることができる。 Nb:NbはCやNを固定するため、特に溶接部でのC
r炭窒化物の析出を抑制して耐食性を向上させるため、
選択元素として0.01%以上で添加できる。また0.
5%以上添加しても靭性及び延性を劣化させるため0.
01〜0.5%とした。 Ti:TiもNbと同様にCやNを固定するため、特に
溶接部でのCr炭窒化物の析出を抑制して耐食性を向上
させるため、選択元素として0.01%以上で添加でき
る。また0.5%以上添加すると粗大なTiNが析出し
て特に鋳片の靭性が劣化したり、また製品の靭性を低下
させるので0.01〜0.5%とした。 V:VもCやNを固定するため、特に溶接部でのCr炭
窒化物の析出を抑制して耐食性を向上させるため、選択
元素として0.01%以上で添加できる。また0.5%
以上添加しても靭性及び延性を劣化させるため0.01
〜0.5%とした。 Zr:ZrもCやNを固定するため、特に溶接部でのC
r炭窒化物の析出を抑制して耐食性を向上させるため、
選択元素として0.01%以上で添加できる。また0.
5%以上添加しても靭性及び延性を劣化させるため0.
01〜0.5%とした。
【0031】これらのNb、V、Ti、Zrは単独添加
または複合添加であっても (Nb+Ti+V+Zr)>10(C+N) を満たす必要がある。上式が満たされない場合には、
C、Nの固定が不十分となり溶接部でのCr炭窒化物の
析出が抑制されない。
【0032】
【実施例】表3に示す成分のフェライト系ステンレス鋼
を溶製した後、連続鋳造にて250mm厚のCCスラブと
した。スラブ手入れ後、圧延前加熱を実施した後に3mm
まで熱間圧延を行い、熱延鋼板段階における疵発生状況
を比較した。その結果、本願発明鋼では疵の発生も見ら
れず良好な鋼板が得られた。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】上記のように、本発明はフェライト系ス
テンレス鋼で特有な熱間圧延時に発生する線ヘゲ疵及び
エッジシーム疵を、工程負荷増なく防止でき、フェライ
ト系ステンレス鋼の歩留向上及び生産性向上に大きく寄
与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延時に生じるスラブ短辺部の凹凸の発生
過程をスラブ圧延方向から見た模式図であり、(a)は
圧下前、(b)は50%圧下後、(c)は80%圧下後
を示す。
【図2】熱間圧延後、スラブ横断面における短辺部の凹
凸深さを測定する方法を示した図面であり、点線は隣合
う凸部を結ぶ直線、矢印は凹凸深さを表している。
【図3】溶鋼吸い上げ実験における鋳片組織のフェライ
ト粒径に及ぼすAl、Mgの影響を示した図表である。
【図4】本発明のTi添加材における凹凸発生挙動に及
ぼす加熱条件の影響を示した図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18 38/50 38/50 (72)発明者 竹下 哲郎 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 鈴木 享 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平1−262048(JP,A) 特開 昭63−123516(JP,A) 特開 平8−281380(JP,A) 特開 平8−104950(JP,A) 特開 平2−270942(JP,A) 特開 平8−239717(JP,A) 特開 平4−138803(JP,A) 特開 平9−217151(JP,A) 特開 平7−80604(JP,A) 特開 平1−197046(JP,A) 特開 平1−118341(JP,A) 特開 平4−279202(JP,A) 特開 平4−350123(JP,A) 特公 平6−241(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/00 B21B 3/02 B22D 11/11 C21D 8/02 C22C 38/00 302 C22C 38/18 C22C 38/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC :0.001〜0.08%、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.01〜2.0%、 P :0.040%以下、 S :0.010%以下、 Cr:11〜35%、N :0.001〜0.08%、 Al:0.005〜0.15%、 Mg:0.0010〜0.020%、 O :0.010%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる溶鋼を連
    続鋳造する際に溶鋼過熱度(溶鋼温度と融点の差)を5
    0℃以下として鋳造し、この連続鋳造片を加熱後熱間圧
    延することを特徴とする熱間圧延での表面疵の発生を防
    止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶鋼中に請求項1記載の成分のほかに、
    さらに重量%で、 Cu:0.1〜2.0%、 Mo:0.1〜4.0%、 Ni:0.1〜5.0% の1種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の
    熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライト系ステ
    ンレス鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶鋼中に請求項1または2記載の成分の
    ほかに、さらに重量%で、 Nb:0.01〜0.5%、 Ti:0.01〜0.5%、 V :0.01〜0.5%、 Zr:0.01〜0.5% の1種以上を含有し、かつ(Nb+Ti+V+Zr)>
    10(C+N)であることを特徴とする請求項1または
    2記載の熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライ
    ト系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱間圧延前の加熱温度:T(℃)を10
    50〜1250℃とし、かつ均熱時間:t (min)が下式
    を満足する範囲とする請求項1、2または3のいずれか
    に記載の熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライ
    ト系ステンレス鋼の製造方法。 t≦−6/5・T+1560
JP08424696A 1996-04-05 1996-04-05 熱間圧延での表面疵の発生を防止するフェライト系ステンレス鋼の製造方法 Expired - Lifetime JP3350343B2 (ja)

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