JP2002310428A - セラミックスヒータ型グロープラグの製造方法 - Google Patents

セラミックスヒータ型グロープラグの製造方法

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JP2002310428A
JP2002310428A JP2001108922A JP2001108922A JP2002310428A JP 2002310428 A JP2002310428 A JP 2002310428A JP 2001108922 A JP2001108922 A JP 2001108922A JP 2001108922 A JP2001108922 A JP 2001108922A JP 2002310428 A JP2002310428 A JP 2002310428A
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Japan
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ceramic heater
brazing
glow plug
electrode
mounting hole
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JP2001108922A
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English (en)
Inventor
Arihito Tanaka
有仁 田中
Takashi Aota
隆 青田
Toshitsugu Miura
俊嗣 三浦
Kan Chiyou
艱 趙
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Bosch Corp
Original Assignee
Bosch Automotive Systems Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セラミックスヒータ6の正極側リード64aと
電極取り出し金具12とをロウ付けにより接続する際
に、セラミックスヒータ6の端面6bに形成された取付
け孔6c内に溶けたロウ材を充分に侵入させることによ
り、グロープラグとして使用した際に、両者64a、1
2の接続部が大気にさらされて酸化することを防止し、
電気的抵抗の増大を防止する。 【解決手段】セラミックスヒータ6の一方の端部側を金
属製外筒8の内部に挿入する。そして、金属製外筒8内
に位置するセラミックスヒータ6の端面6bに電極取り
出し金具取付け孔12cを形成し、この取付け孔内6c
に発熱体64の正極側リード64aを露出させておく。
その後、この取付け孔6c内に電極取り出し金具12の
先端12aを挿入し、76Torr以下の雰囲気圧力中
でロウ付けを行う

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの始動補助用として使用されるグロープラグを製造す
る方法に係り、特に、発熱体としてセラミックスヒータ
を用いたセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁性セラミックス中に、高融点金属
(例えばタングステン等)のコイルや導電性セラミック
ス等の発熱体を埋設し、または導電性セラミックスの発
熱体の一部を露出させる等、絶縁性セラミックスと発熱
体としての無機導電体とを複合して形成したセラミック
スヒータを、金属製外筒内にロウ付けにより固定し、前
記発熱体の負極側のリード線を絶縁性セラミックスの側
面から取り出して金属製外筒に電気的に接続するととも
に、正極側のリード線を、絶縁性セラミックスの前記発
熱体が埋設された位置と逆の端面側で電極取り出し金具
の一端に接続し、さらに、この電極取り出し金具の他端
に外部接続端子を接続するように構成したセラミックス
ヒータ型グロープラグが従来から知られている。
【0003】ところで、近年、排気ガスの規制に対応す
るため、ディーゼルエンジンの燃焼方式が、副燃焼室を
有するタイプから、直接噴射型、いわゆる直噴型に移行
し、さらに、マルチバルブ化が行われてきている。この
ような直接噴射型のディーゼルエンジンに用いるグロー
プラグは、シリンダヘッドの壁面を通って主燃焼室に臨
むため、副燃焼室を予熱するタイプに比べて全長を長く
し、しかも、細径にすることが必要である。
【0004】さらに、シリンダヘッドの強度を確保する
ためにシリンダヘッドの厚さを大きくするとともに、バ
ルブ孔、噴射ノズル取付け孔およびグロープラグ取付け
孔の間隔をそれらの干渉防止のために確保する必要があ
る。そのため、グロープラグを装着する挿入孔が非常に
細く、しかも、長くなってきており、それに合わせてグ
ロープラグも非常に細長く形成する必要がある。
【0005】前述のようなグロープラグの長尺化の要求
に応えるとともに、セラミックスヒータの全長を短縮し
てコストダウンを図るために、セラミックスヒータを、
その発熱体が設けられている発熱部を外部に突出させて
金属製外筒の一端側に固定するとともに、電極取り出し
金具が接続されている他端側は金属製外筒の内部に位置
するようにした構造のグロープラグが提案されている。
【0006】前記のような構造のグロープラグは、図7
に示す工程により、セラミックスヒータ6の内部に埋設
された発熱線64(その一端の正極側リード64a)と
電極取り出し金具12との接続、およびセラミックスヒ
ータ6と金属製外筒8との接合を、ロウ付けによって行
うことが一般に行われている。これら各部材6,8,1
2をロウ付けする場合の従来の工程について図7
(a)、(b)により説明する。先ず、セラミックスヒ
ータ6および金属製外筒8をロウ付け治具14に取付け
て位置あわせをし、電極取り出し金具12の一端12a
をセラミックスヒータ6の上部の端面6bに開口してい
る取付け孔6c内に挿入した後、所定量の銀ロウ26
を、線材をコイル状に巻いた状態にして、セラミックス
ヒータ6の平坦な上部側端面6b上に挿入し(図7
(a)参照)、水素ガスまたはその他の還元性ガスまた
は不活性ガス雰囲気中で900℃に加熱する。
【0007】900℃に加熱すると、セラミックスヒー
タ6の上部側端面6b上に載っている銀ロウ26が溶け
て、セラミックスヒータ6の外周面と金属製外筒8の内
周面との間の隙間、およびセラミックスヒータ6の取付
け孔6cと電極取り出し金具12の先端部12aとの間
の隙間に流れ込み、前記正極側リード64aと電極取り
出し金具12およびセラミックスヒータ6と金属製外筒
8とが接合されるとともに、セラミックスヒータ6の外
面に露出している負極側リード64bと金属製外筒8と
が電気的に接続される。このような銀ロウによるロウ付
けが正常に行われた場合には、セラミックスヒータ6の
上部側端面6b上の溶けた銀ロウが、すべて前記隙間に
流れ込んで、これらが銀ロウにより完全に接合され、電
気的に接続される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のようにセラミッ
クスヒータ6の正極側リード64aと電極取り出し金具
12とを接合する際に、従来は、水素雰囲気中でロウ付
けを行うことが一般的であった。しかしながらセラミッ
クスヒータ6の端面6bに形成された電極取り出し金具
接続用の取付け孔6cは、極めて小径であり、しかも、
正極側リードと電極取り出し金具との接合長さを充分に
とって確実な電気的接続を行うためには、相当の深さを
有することが必要である。そのため、従来の水素雰囲気
中でロウ付けを行う方法では、前記取付け孔6cの内面
と電極取り出し金具12の外面との間の狭い空間内に銀
ロウが充分浸透せず、取付け孔6cの内部に空間Sが形
成されてしまい、正極側リード64aと電極取り出し金
具12との接合が不完全になる場合があった(図7
(b)参照)。
【0009】前記のように取付け孔12内に銀ロウが完
全に充填されない場合には、正極側リード64aと電極
取り出し金具12とのロウ付け部に空間Sが生じ、これ
ら正極側リード64aおよび電極取り出し金具12が大
気にさらされるおそれがあった。このような状態のセラ
ミックスヒータ6をグロープラグの発熱体として使用す
ると、前記部分が高温の大気中に長時間暴露されること
となり、その結果、前記接続部で酸化が進行して電気抵
抗が大きくなり、グロープラグとしての性能が低下して
しまうという問題が発生した。
【0010】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたもので、セラミックスヒータの端面に形成された電
極取り出し金具接続用の取付け孔の内部にロウ材が完全
に充填されて、電極取り出し金具と正極側リードととの
接合部が大気にさらされるおそれのないセラミックスヒ
ータ型グロープラグの製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るセラミック
スヒータ型グロープラグの製造方法は、絶縁性セラミッ
クスと無機導電体で形成したセラミックスヒータと、こ
のセラミックスヒータの端部内でその発熱体の一方の極
に電気的に接続された電極取り出し金具と、前記セラミ
ックスヒータの発熱体側先端部を外部に突出させるとと
もに、電極取り出し金具接続側の端部を内部に収容した
状態で固定された金属製外筒とを備えたセラミックスヒ
ータ型グロープラグを製造する方法であって、前記セラ
ミックスヒータの金属製外筒内に収容される端部に取付
け孔を形成して、この取付け孔内に前記発熱体の一方の
極を露出させ、次に、この取付け孔内に電極取り出し金
具の先端を挿入した後、76Torr以下の雰囲気圧力
中でロウ付けを行うことにより、前記一方の極と電極取
り出し金具とを電気的に接続する工程を含むことを特徴
とするものである。
【0012】前記セラミックスヒータ型グロープラグの
製造方法では、真空雰囲気中でロウ付けを行うので、小
径でしかも深さのある取付け孔であっても、従来のよう
に水素ガス等の還元性ガス雰囲気中でロウ付けを行う場
合よりも溶けたロウ材が侵入しやすく、正極側リードと
電極取り出し金具との接続部の周囲に空間が生じること
がない。従って、これら正極側リードと電極取り出し金
具が大気にさらされて酸化するおそれがない。
【0013】また、請求項2に記載の発明方法は、請求
項1に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造
方法において、1E−6Torr以上の雰囲気圧力中で
ロウ付けを行うことを特徴とするものである。
【0014】この請求項2に記載の発明方法では、真空
度が1E−6Torrを下まわるとロウ材の蒸散を招
き、ロウ付け部に隙間が生じてしまうおそれがあるた
め、前記1E−6Torrを下限とする雰囲気圧力中で
ロウ付けを行うようにしたものである。
【0015】さらに、請求項3に記載の発明方法は、前
記請求項1または請求項2に記載のセラミックスヒータ
型グロープラグの製造方法において、前記雰囲気圧力中
でロウ付けを行っている途中で、還元性ガス、または不
活性ガスを注入するようにしたものである。
【0016】また、請求項4に記載の発明方法は、前記
請求項3に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの
製造方法において、前記還元性ガス、または不活性ガス
の注入によって雰囲気圧力が76Torrをこえること
を特徴とするものである。
【0017】請求項3および請求項4に記載の発明方法
では、76Torr以下の雰囲気圧力中でロウ付けを始
めるが、途中で還元性ガス、または不活性ガスを注入し
圧力を上昇させることにより、さらにロウ材が取付け孔
内に侵入しやすくなる。しかも、これらのガスの注入に
よって雰囲気圧力が前記76Torrをこえても同様の
効果を奏することができる。
【0018】また、請求項5に記載の発明方法は、請求
項1ないし請求項4のいずれかに記載のセラミックスヒ
ータ型グロープラグの製造方法において、前記取付け孔
の内径と電極取り出し金具の外径との差が、0.5mm
よりも小さいことを特徴とするものである。
【0019】請求項5に記載の発明方法では、取付け孔
の内径と電極取り出し金具の外径との差が、0.5mm
よりも小さい、すなわち、取付け孔の内面と電極取り出
し金具の外面との間の隙間が片側で0.25mmよりも
小さいので、取付け孔内のロウ層の厚さが厚すぎず、電
極取り出し金具を確実に保持することができ、取付け孔
内のロウ付け部分での電極取り出し金具の切断を防止す
ることができる。
【0020】また、請求項6に記載の発明方法は、請求
項1ないし請求項5のいずれかに記載のセラミックスヒ
ータ型グロープラグの製造方法において、前記一方の極
と電極取り出し金具とのロウ付けによる電気的接続と同
時に、セラミックスヒータと金属製外筒とをロウ付けに
より接合することを特徴とするものである。
【0021】請求項6に記載の発明方法では、前記雰囲
気中でロウ付けを行うので、セラミックスヒータと金属
製外筒との間の隙間にロウ材が完全に充填され、両者が
確実に接合される。しかも、セラミックスヒータの発熱
体の他方の極(負極)をセラミックスヒータの外面に取
り出して接続する場合には電気的接続が確実に行われ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態によ
り本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係
る製造方法により製造されるセラミックスヒータ型グロ
ープラグ(全体を符号1で示す)の一例を示す縦断面図
であり、この図によりセラミックスヒータ型グロープラ
グ1の構成およびこのセラミックスヒータ型グロープラ
グ1の製造方法について説明する。このグロープラグ1
のハウジング2はほぼ円筒状をしており、その内部の孔
4は、図の右側のセラミックスヒータが固定される部分
が小径部4a、図の左側の外部接続端子が固定される端
部が大径部4c、これら小径部4aと大径部4cの間が
中径部4bである段付きの軸方向孔になっている。
【0023】前記ハウジング2の内部孔4(段付きの軸
方向孔)の小径部4a内には、セラミックスヒータ6が
ロウ付けにより接合された金属製外筒8が挿入され、こ
の金属製外筒8の外周面の一部が圧入またはロウ付け等
によりこのハウジング2に固定されている。
【0024】セラミックスヒータ6は、その本体部を構
成するセラミックス絶縁体62の内部に、高融点金属
(例えばタングステン(W)等)をコイル状にした発熱
線(発熱体)64が埋め込まれた発熱部6aを有してお
り、この発熱部6aが、前記金属製外筒8の先端8bか
ら外部へ突出するとともに、この発熱部6aから遠い側
の端面6bが金属製外筒8の内部に位置している。な
お、この実施の形態では、発熱体6aを高融点金属とし
ているが、導電性セラミックスやシート状の発熱体等に
しても良く、導電性セラミックスの発熱体の一部を絶縁
性セラミックスから露出させる等、セラミックヒータ6
は、絶縁性セラミックスと発熱体としての無機導電体と
を複合して形成したものであればよい。
【0025】前記セラミックスヒータ6の内部に埋め込
まれたコイル状発熱線64の一方の端部(正極側のリー
ド)64aが、セラミックスヒータ6の前記端面6b側
に伸びており、セラミックスヒータ6の内部で電極取り
出し金具12の一端12aに接続されている。一方、他
方の端部(負極側のリード)64bが、金属製外筒8の
内部側でセラミックス絶縁体62の外面に露出して金属
製外筒8の内面にロウ付けにより電気的に接続されてい
る。
【0026】前記電極取り出し金具12の一端12aを
セラミックスヒータ6の正極側リード64aに接続する
場合には、セラミックスヒータ6の前記端面6bに電極
取り出し金具取付け孔6cを形成し(後に説明する図2
(a)参照)、この電極取り出し金具取付け孔6c内に
前記正極側リード64aの側面を露出させておく。そし
て、この電極取り出し金具取付け孔6c内に電極取り出
し金具12の先端部12aを挿入し、ロウ付け(例えば
銀ロウ材によるロウ付け)することにより、セラミック
スヒータ6の正極側リード64aと電極取り出し金具1
2とを電気的に接続する。
【0027】なお、この実施の形態では、前記セラミッ
クスヒータ6と金属製外筒8とのロウ付けによる接合と
負極側リード64bと金属製外筒8との電気的接続、お
よびセラミックスヒータ6の正極側リード64aと電極
取り出し金具12とのロウ付けによる電気的接続とを同
時に行うようになっており、これらを銀ロウを用いたロ
ウ付けにより接合する工程について、図2(a)、
(b)により説明する。先ず、金属製外筒8内にセラミ
ックスヒータ6を挿入し、これら金属製外筒8とセラミ
ックスヒータ6とをロウ付け治具14内に取り付けて位
置合わせをする。セラミックスヒータ6と金属製外筒8
とを位置決めをした状態では、セラミックスヒータ6の
先端の発熱部6aは金属製外筒8の外部に突出し、前記
電極取り出し金具12が接続される逆の端面6b(上端
部)は金属製外筒8の内部に位置している。
【0028】前記セラミックスヒータ6の銀ロウ付けを
行う部分(セラミックスヒータ6の外周面と、電極取り
出し金具取付け孔6cの内周面)には、銀ロウとの親和
性を高めるために表面処理を行っている。例えば、前記
ロウ付けを行う部分に金属Ni層を形成する。つまり、
セラミックスヒータ6の前記部分に、Niペーストを塗
布した後、メタライジング処理、すなわち、950度程
度の温度で焼いて、ペースト中の金属成分(Ni)を金
属被膜化する処理を行う。なお、メタライジング処理は
Niメタライジングに限るものではなく、例えば、活性
金属としてTiを含むAg−Cu系の活性銀ロウ等によ
るメタライジングは、強固な結合を行いうるメタライジ
ング層が得られるので望ましい。
【0029】セラミックスヒータ6および金属製外筒8
をロウ付け治具14に取付けて位置あわせをした後、セ
ラミックスヒータ6の端面6bに形成されて、発熱線6
4の正極側リード64aの側面が露出している電極取り
出し金具取付け孔6c内に、電極取り出し金具12の一
端12a挿入する。その後、線状の銀ロウ材26を、外
径が前記金属製外筒8の内径とほぼ同じぐらいの外径を
有するコイル状に巻き、金属製外筒8の内部に挿入して
セラミックスヒータ6の前記端面6b上に載せる(図2
(a)参照)。
【0030】前記のようにロウ付け治具14にセットさ
れたセラミックスヒータ6および金属製外筒8は、真空
炉(図示せず)中に収容されており、この真空炉内にお
いて76Torr以下で、かつ、1E−6Torr以上
の雰囲気圧力中で850度ないし950度まで加熱さ
れ、この最高温度に30分間保持される。前記温度に加
熱することにより、銀ロウ26が溶けて、セラミックス
ヒータ6の外周面と金属製外筒8の内周面との間の隙間
や、セラミックスヒータ6の端面6bに形成された取付
け孔6cの内面と電極取り出し金具12の外面との間に
流れ込みロウ付けが行われる(図2(b)参照)。
【0031】前記構成のセラミックスヒータ型グロープ
ラグ1のセラミックスヒータ6と金属製外筒8、および
セラミックスヒータ6の端部に形成され、発熱体64の
正極側リード64aが露出している取付け孔6cと電極
取り出し金具12とを銀ロウ付けすると、溶けた銀ロウ
26が、前述のように電極取り出し金具取付け孔6cの
内部および、セラミックスヒータ6の外面と金属製外筒
8の内面との間の隙間に流れ込んでこれらが接合される
が、前記圧力の真空雰囲気中でロウ付けを行うので、小
径で深い取付け孔6cの内部まで銀ロウ材が完全に侵入
し、従来のように水素ガス等のガス中でロウ付けを行っ
た場合(図7参照)のように、取付け孔6c内の正極側
リード64aや電極取り出し金具12の周囲に空間が生
ずることがない。なお、この実施の形態では、セラミッ
クスヒータの発熱体の正極側リードと電極取り出し金具
との接合と、セラミックスヒータの外面と金属製外筒の
内面との接合を一回のロウ付け工程で同時に行ったが、
これらのロウ付けを別々の工程で行うようにしても良
い。
【0032】前記のように銀ロウ付けを行って、絶縁性
セラミックス62の内部に埋設されたコイル状発熱線6
4の正極側リード64aに電極取り出し金具12が接続
されるとともに、その外周面に金属製外筒8が接合され
たセラミックスヒータ6が、シリンダヘッドへの取付金
具となる筒状のハウジング2内に、挿入されて固定され
る。
【0033】前記電極取り出し金具12の正極側リード
64aに接続された端部12aと逆の端部12bには、
外部接続端子18の一端18aが接合されており、この
外部接続端子18の他端のねじ部18bが前記ハウジン
グ2の内部孔4の大径部4cから外部に突出している。
この外部接続端子18のねじ部18bの外周にシール部
材20および絶縁ブッシュ22が嵌合されて、前記大径
部4c内に挿入されている。さらにその外側からナット
24を外部接続端子18の締め付けねじ部18bに締結
し固定している。
【0034】前述のように真空炉内において、76To
rr〜1E−6Torrの雰囲気圧力で、セラミックス
ヒータ6の端面6bに形成された取付け孔6c内に露出
している正極側リード64aと電極取り出し金具12の
先端12aとをロウ付けすると、ロウ材が取付け孔6c
の内部まで完全に入り込み、取付け孔6cの内部に従来
のような空間S(図7(b)参照)が出来ることがな
い。従って、取付け孔6c内のロウ付け部が密封されて
大気に触れるおそれがないので、セラミックヒータ型グ
ロープラグ1として使用した際に長時間高温の大気中に
さらされても、酸化の進行による電気抵抗の増加を抑制
することができ、セラミックヒータ型グロープラグ1の
性能変化を防止することができる。また、取付け孔6c
内のロウ付け部分の気密性が向上し、セラミックスヒー
タ6の内部への水分や油分の侵入を防止することがで
き、これら水分や油分の気化の結果生じるセラミックス
ヒータ6の割れの発生を防止することができる。さら
に、ロウ付け部分の内部に発生する空孔、気孔が減少
し、電極取り出し金具12の接続強度が増大する。
【0035】前記実施の形態では、真空炉内で、76T
orr〜1E−6Torrの範囲の雰囲気圧力中でロウ
付けを行ったが、ロウ付けの開始から終了まで常に前記
圧力を保持する場合に限るものではなく、途中でガスを
注入して圧力を上昇させるようにしても良い。この場合
には、前記76Torr以下の圧力でロウ付けを開始
し、途中(例えば、後に説明する図3のガス導入ポイン
トP参照)でARガスあるいはH2ガス等のガスを注入
して圧力を上昇させる。この構成では、ガスの注入によ
り圧力が上昇して76Torrをこえた場合でも、前記
実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0036】なお、前記実施の形態では、ロウ材として
銀ロウを用いてロウ付けを行ったが、銀ロウに限るもの
ではなく、その他のロウ材、例えば、銅ロウ、リン銅ロ
ウ、ニッケルロウ、金ロウ、パラジウムロウ等いわゆる
硬ロウを用いても良く、この場合でも同様の効果を奏す
ることができる。
【0037】前述のように、真空炉中で雰囲気圧力を7
6Torr〜1E−6Torrの範囲に設定してロウ付
けを行うと、小径で深い電極取り出し金具取付け孔6c
であってもその内部まで銀ロウが完全に侵入して、取付
け孔6c内に空間ができることがないので、従来の水素
ガス等の還元性ガス雰囲気中でロウ付けをする方法より
もロウ付け品質が向上する。このようにロウ付け品質が
向上したことを確認するための試験を行った。
【0038】ロウ付けにより電極取り出し金具取付け孔
6cの内部まで完全にロウ材が侵入した場合には、電気
的抵抗が小さく、また、取付け孔6c内に充分にロウ材
が侵入せず取付け孔6cの封止が不完全な場合には、界
面における酸化が進行し、グロープラグとして使用した
際に高温大気中での長時間暴露に伴って接触抵抗が増大
する。そこで、この試験では、ロウ付け完了後、高温大
気中に放置した場合の抵抗増加率を測定することにより
ロウ付け品質の良否を確認した。
【0039】先ず、第1の確認試験の試験試料として、
セラミックスヒータ6は、その端面に形成した電極取り
出し金具取付け孔6cの内径をφ0.8mm、深さを
4.0mmとしたものを使用した。一方、前記取付け孔
6c内にロウ付けされる電極取り出し金具12は、外径
をφ0.5mmとした。従って、取付け孔6c内に電極
取り出し金具12を挿入したときの、取付け孔6cの内
面と電極取り出し金具12の外面との間の隙間は、片側
が0.15mmとなる。
【0040】また、セラミックスヒータ6の取付け孔6
cの内面にはメタライジング処理を行った。前記実施の
形態で述べたNiメタライジングを行ったものと、活性
銀ロウメタライジングをしたものとの二種類での試験を
行った。銀ロウ材はBAg−8を使用した。
【0041】試験条件として、ロウ付けの雰囲気は、従
来の方法である水素雰囲気炉中と、真空炉中で雰囲気圧
力を変化させた複数の圧力を選択した。真空炉中の圧力
は、150Torr、76Torr、1E−3Tor
r、1E−6Torrを選択した。さらに、1E−6T
orrでロウ付けを開始し、途中でArガスを注入し圧
力を760Torrまで上昇させた場合の試験を行っ
た。ロウ付けの温度は、前記各圧力中で、850℃、9
00℃および950℃の三段階で行った。このロウ付け
温度は、図3に示す条件に設定した。すなわち、昇温速
度を20℃/minとして、最高温度である前記850
℃、900℃、950℃に達した後30分間保持し、そ
の後、炉内を冷却した。
【0042】前記条件でロウ付けを完了した後、300
℃の高温大気中に放置したときの抵抗増加率を測定し
た。放置した時間は、それぞれ500時間および100
0時間とした。
【0043】前記試験条件で第1の確認試験を行った結
果を図4および図5に示す。図4はセラミックスヒータ
6の取付け孔6c内に施した表面処理がNiメタライジ
ングの場合、図5はその表面処理が活性銀ロウによるメ
タライジングの場合である。測定結果は、前記各条件で
ロウ付けを行ったものについて、初期抵抗値に対する百
分率で表示した。図中の評価欄の○は、高温大気中に長
時間放置した場合でも抵抗値がほとんど変化していない
ので、銀ロウが完全に取付け孔6c内に浸透していると
考えられるものであり、×印は、抵抗値の変化が大き
く、取付け孔6c内のロウ付け部に隙間が生じて、その
後の高温長時間暴露により酸化が進行したものと推定さ
れるものである。
【0044】前記図4および図5から明らかなように、
セラミックスヒータ6にいずれのメタライジング処理を
行った場合も、真空炉内で雰囲気圧力が76Torr、
1E−3Torrの条件でロウ付けを行ったものはセラ
ミックスヒータ6の取付け孔6cの内部まで完全にロウ
材が侵入しており、ロウ付け部分の抵抗増加を抑制でき
るので、セラミックヒータ型グロープラグ1としての性
能変化を防止できる。
【0045】これに対し、従来の水素雰囲気中でロウ付
けを行った場合、および真空炉内で圧力が150Tor
rの場合のように真空度が低いものでは、取付け孔6c
の内部に残留している気泡が抜けないため、銀ロウが取
付け孔6cの内部まで充分入り込めないことから、セラ
ミックスヒータ6の正極側リード64aと電極取り出し
金具12との接合面に隙間が生じ、その後の高温暴露に
より酸化が進行したものと推定される。また、真空炉内
で1E−6Torrの条件でロウ付けした場合も抵抗値
が大きく変化しているが、これは銀ロウが蒸散して取付
け孔6c内に隙間が生じたため、酸化が進行し、抵抗値
が上がったものと推定される。なお、雰囲気圧力が1E
−6Torr中でロウ付け温度が850℃の場合には評
価が○になっているが、この雰囲気圧力でのロウ付け
は、表中に※印を付したものすべてを不合格と判断し
た。
【0046】次に、第2の確認試験として、セラミック
スヒータ6の取付け孔6cの内径と電極取り出し金具1
2の外径を各種寸法に変更した場合について、ロウ付け
を完了後、300℃の高温大気中に放置したときの電気
抵抗の増加率と、電極取り出し金具12の引き抜き強度
を測定した。
【0047】この試験では、試験試料として、セラミッ
クスヒータ6は、その取付け孔6cの深さを4mmと
し、内径をφ0.52mm、0.6mm、0.7mm、
0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、
1.3mm、1.5mm、1.7mm、1.9mmの1
1種類とした。そして、取付け孔6cの内面にはNiメ
タライジング処理を行った。また、電極取り出し金具1
2は、外径がφ0.5mmと、1.0mmの二種類とし
た。
【0048】試験条件は、ロウ付け雰囲気が1E−3T
orrの真空雰囲気で、ロウ付け温度は900℃とす
る。また、ロウ材の材質は、銀ロウBAg−8とした。
【0049】前記条件で、前記各試料をロウ付けし、そ
の後、300℃の大気中に1000時間放置した後、電
気抵抗率と、電極取り出し金具の引き抜き強度を測定し
た。第2の確認試験の結果を図6に示す。この表から明
らかなように、電気抵抗の変化については隙間(取付け
孔6cと電極取り出し金具12との間の隙間)に関して
依存性はなく、1000時間放置後の抵抗値はすべて許
容範囲内にある。しかし、取付け孔6cと電極取り出し
金具12との隙間が片側で0.25mm以上(取付け孔
6cの内径と電極取り出し金具12の外径との差が0.
5mm以上)の組み合わせの場合には、電極取り出し金
具12の引き抜き強度試験において、ロウ付け部分の内
部で破壊した。つまり、取付け孔6cの内部に挿入して
いる電極取り出し金具12がその途中で破壊した。これ
は、取付け孔6c内部のロウの厚さが厚すぎて、電極取
り出し金具12の保持が不十分になったためと思われ
る。従って、取付け孔6cの内径と電極取り出し金具1
2の外径との差が0.5mm未満の場合には判定が○で
あり、0.5mm以上の場合には判定が×で不合格であ
った。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、絶
縁性セラミックスと無機導電体で形成したセラミックス
ヒータと、このセラミックスヒータの端部内でその発熱
体の一方の極に電気的に接続された電極取り出し金具
と、前記セラミックスヒータの発熱体側先端部を外部に
突出させるとともに、電極取り出し金具接続側の端部を
内部に収容した状態で固定された金属製外筒とを備えた
セラミックスヒータ型グロープラグを製造する製造方法
において、前記セラミックスヒータの金属製外筒内に収
容される端部に取付孔を形成してこの取付孔内に前記発
熱体の一方の極を露出させ、次に、この取付孔内に電極
取り出し金具の先端を挿入した後、76Torr以下の
雰囲気圧力中でロウ付けを行うようにしたので、前記取
付け孔内にロウ材が完全に充填される。その結果、ロウ
付け部分が大気にさらされることがことがなくなり、電
極部が酸化するおそれがない。従ってグロープラグとし
ての性能の劣化を防止することができる。また、ロウ付
け部の気密性が向上するので、セラミックスヒータ内へ
の水分や油分等の浸入を防止することができ、セラミッ
クスヒータ内部でこれら水分や油分が気化することで生
じるセラミックスの割れ等を防止することができる。さ
らに、ロウ付け部の空孔、気孔が減少することで、その
部分の機械的強度を増大させることもできる。
【0051】また、請求項2に記載の発明方法では、1
E−6Torr以上の雰囲気圧力中でロウ付けを行うよ
うにしたので、ロウ材が蒸散することを防止でき、ロウ
付け部に隙間が生じることがない。従って、酸化の進行
による電気的抵抗の増加を防止することができる。
【0052】さらに、請求項3および請求項4に記載の
発明方法では、前記雰囲気圧力中でロウ付けを行ってい
る途中で、ガスを注入するようにしたことにより、真空
雰囲気中のロウ付けで取付け孔内のエアを排出しつつロ
ウ材を侵入させた後、圧力を上げることにより、さらに
ロウ材を確実に取付け孔内に侵入させることができる。
なお、このときにはガスの注入によって雰囲気圧力が7
6Torrをこえる状態になっても良い。
【0053】また、請求項5に記載の発明方法では、前
記取付け孔の内径と電極取り出し金具の外径との差が、
0.5mmよりも小さくなるように設定したので、取付
け孔内のロウ付け部が電極取り出し金具を確実に保持す
ることができ、ロウ付け部内で電極取り出し金具が破壊
することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る製造方法によって
製造されるセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面
図である。
【図2】前記製造方法のうちのセラミックスヒータと電
極取り出し金具とのロウ付け工程を示す図であり、図
(a)は加熱前、図(b)は加熱後を示す。
【図3】前記ロウ付け工程の加熱条件を示すグラフであ
る。
【図4】第1の確認試験の結果を示す第1の表である。
【図5】第1の確認試験の結果を示す第2の表である。
【図6】第2の確認試験の結果を示す表である。
【図7】従来のセラミックスヒータと電極取り出し金具
とのロウ付け工程を示す図であり、図(a)は加熱前、
図(b)は加熱後を示す。
【符号の説明】
6 セラミックスヒータ 6b セラミックスヒータの端面 8 金属製外筒 12 電極取り出し金具 12a 電極取り出し金具の先端 62 セラミックス絶縁体 64 発熱体(発熱線) 64a セラミックスヒータの発熱体の一方の極(正極
側リード)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青田 隆 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株 式会社ボッシュオートモーティブシステム 東松山工場内 (72)発明者 三浦 俊嗣 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株 式会社ボッシュオートモーティブシステム 東松山工場内 (72)発明者 趙 艱 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株 式会社ボッシュオートモーティブシステム 東松山工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性セラミックスと無機導電体で形成
    したセラミックスヒータと、このセラミックスヒータの
    端部内でその発熱体の一方の極に電気的に接続された電
    極取り出し金具と、前記セラミックスヒータの発熱体側
    先端部を外部に突出させるとともに、電極取り出し金具
    接続側の端部を内部に収容した金属製外筒とを備えたセ
    ラミックスヒータ型グロープラグを製造する製造方法に
    おいて、 前記セラミックスヒータの金属製外筒内に収容される端
    部に電極取り出し金具の取付け孔を形成して、この取付
    け孔内に前記発熱体の一方の極を露出させ、次に、この
    取付け孔内に電極取り出し金具の先端を挿入した後、7
    6Torr以下の雰囲気圧力中でロウ付けを行うことに
    より、前記一方の極と電極取り出し金具とを電気的に接
    続することを特徴とするセラミックスヒータ型グロープ
    ラグの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のセラミックスヒータ型
    グロープラグの製造方法において、 1E−6Torr以上の雰囲気圧力中でロウ付けを行う
    ことを特徴とするセラミックスヒータ型グロープラグの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のセラミ
    ックスヒータ型グロープラグの製造方法において、 前記雰囲気圧力中でロウ付けを行っている途中で、不活
    性ガスないし還元性ガスを注入することを特徴とするセ
    ラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のセラミックスヒータ型
    グロープラグの製造方法において、 前記不活性ガスないし還元性ガスの注入によって雰囲気
    圧力が76Torrをこえることを特徴とするセラミッ
    クスヒータ型グロープラグの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法にお
    いて、 前記取付け孔の内径と電極取り出し金具の外径との差
    が、0.5mmよりも小さいことを特徴とするセラミッ
    クスヒータ型グロープラグの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法にお
    いて、 前記一方の極と電極取り出し金具とのロウ付けによる電
    気的接続と同時に、セラミックスヒータと金属製外筒と
    をロウ付けにより接合することを特徴とするセラミック
    スヒータ型グロープラグの製造方法。
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