JP2002303693A - 放射性物質を収納する金属密閉容器の製造方法 - Google Patents
放射性物質を収納する金属密閉容器の製造方法Info
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Abstract
となく、所定の形状の金属密閉容器を製造可能な金属密
閉容器の製造方法を提供することにある。 【解決手段】キャニスタの製造方法において、金属から
なる一対の半円筒40を互いに溶接して円筒状の胴部1
4を形成した後、胴部の各溶接部40aを、胴部の内周
面側および外周面側の両側から同時にショットブラスト
する。続いて、胴部の一端部に底壁42を溶接して容器
本体12を形成した後、胴部と底壁との間の溶接部42
aを容器本体の外面側からショットブラストする。次
に、容器本体内に放射性物質を収納した後、容器本体の
上端開口部に一次蓋および二次蓋を順に溶接して容器本
体を密閉する。
Description
性物質を収納する金属密閉容器、いわゆるキャニスタ、
を製造する金属密閉容器の製造方法に関する。
性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の
再使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。
そして、これらの使用済燃料は、再処理を行うまでの
間、密閉された状態で貯蔵される。この場合、使用済燃
料は、原子力発電所で金属密閉容器としてのキャニスタ
に収納され、更に、このキャニスタは輸送用キャスクに
収納された状態で、トラック等により中間貯蔵施設や再
処理施設に搬送され貯蔵される。
胴部および胴部の底を閉塞した底壁を有した容器本体
と、この容器本体内に配置されたバスケットと、を有
し、使用済燃料は、バスケットによって支持された状態
で、容器本体内に複数体封入さる。また、容器本体の上
部開口は、溶接された一次蓋および二次蓋によって閉塞
される。
は、以下のような方法が考えられる。まず、製造工場に
て、ステンレス等かなる一対又は2対の半円筒を互いに
溶接して胴部を形成した後、胴部の一端に底壁を溶接し
て容器本体を製造する。同時に、胴部の内径に対応した
径を有する円盤状の一次蓋および二次蓋を製造する。そ
して、原子力発電所の使用済燃料プールにて、上記のよ
うに製造された容器本体内にバスケット、使用済燃料を
装填した後、一次および二次蓋を順次溶接して容器本体
を密閉することにより、使用済燃料を収納したキャニス
タを製造する。
たキャニスタでは、原子力発電所において容器本体内に
使用済燃料を収納した後、一次蓋および二次蓋の溶接が
行われる。この場合、各蓋の外周面と胴部内周面との間
に約2mm以上の隙間があると、これらの蓋を胴部に対
して溶接することが困難となる。また、使用済燃料を収
納したキャニスタを輸送用キャスクに装填した状態にお
いて、キャニスタの胴部は輸送用キャスクの内面と所定
の隙間を持って配置されていることが望ましい。これら
のことから、キャニスタの胴部は、歪みなく所定の真円
度を維持していることが必要となる。
材を互いに溶接してキャニスタの容器本体を製造する場
合、溶接部に引っ張り残留応力が発生し、歪みを生じ易
い。そのため、容器本体の胴部を所定の真円度に形成す
ることが困難となる。また、引っ張り応力が残留してい
る場合、キャニスタが外部衝撃等を受けた際に亀裂が発
生し易くなるという問題もある。
で、その目的は、溶接による引っ張り残留応力や歪み、
亀裂を生じることなく、所定形状の金属密閉容器を製造
可能な金属密閉容器の製造方法を提供することにある。
め、この発明に係る金属密閉容器の製造方法は、円筒状
の胴部および胴部の一端を閉塞した底壁を有した容器本
体と、上記容器本体の上端開口を閉塞する一次蓋および
二次蓋と、を備え放射性物質を収納する金属密閉容器の
製造方法において、金属からなる複数の部分円筒部材を
互いに溶接して円筒状の胴部を形成する工程と、上記胴
部の各溶接部を、胴部の内周面側および外周面側の両側
から同時に、あるいは片側からショットブラストする工
程と、上記胴部の一端部に底壁を溶接して容器本体を形
成する工程と、上記胴部と底壁との間の溶接部を容器本
体の外面側からショットブラストする工程と、上記容器
本体内に放射性物質を収納した後、容器本体の上端開口
部に一次蓋および二次蓋を順に溶接して容器本体を密閉
する工程と、を備えたことを特徴としている。
方法によれば、上記胴部の溶接、および胴部と底壁との
間の溶接は、電子ビーム溶接あるいはTIG溶接により
行うことが望ましい。
方法によれば、胴部の溶接部および底壁の溶接部をショ
ットブラスト処理することにより、溶接部に生じた引っ
張り残留応力を除去することができる。この際、胴部の
溶接部については、両面側から同時にショットブラスト
処理することにより、胴部として比較的薄い金属材料を
用いた場合でもショットブラスト処理に起因する変形を
防止することが可能となる。従って、胴部の歪みを低減
し所望の真円度を有した金属密閉容器を得ることができ
る。同時に、引張り残留応力に起因する亀裂の発生を無
くし、信頼性の構造した金属密閉容器を得ることができ
る。
るいはTIG溶接を用いることができる。特に、電子ビ
ーム溶接を用いた場合、溶接部の歪みを大幅に低減する
ことができ、また、溶接時間を短縮することができ望ま
しい。
明の実施の形態に係るキャニスタの製造方法について詳
細に説明する。まず、キャニスタの構成について説明す
ると、図1および図2に示すように、金属密閉容器とし
てのキャニスタ10は、上端開口部11を有した容器本
体12を備えている。この容器本体12は、円筒状の胴
部14とこの胴部の下端開口を閉塞した底壁16とによ
って構成されている。そして、容器本体12は、図示し
ない輸送用キャスクに挿入できるように、輸送用キャス
クの本体の内径よりも僅かに小さな外径を有している。
り支持された状態で、使用済燃料集合体20が複数体封
入されている。バスケット18は、ボロン(B)とアル
ミニウム又はSUSとの複合材料によって構成されてい
る。使用済燃料集合体20は、例えば、原子炉の使用済
燃料であり、崩壊熱に伴う発熱と放射線の発生を伴う放
射性物質を含んでいる。そして、キャニスタ10は、封
入された放射性物質が外部に漏洩しないよう、溶接密閉
構造を有している。また、容器本体12内には、ヘリウ
ムガス等の不活性ガスまたは窒素ガスが負圧状態あるい
は正圧状態で充填されている。
は複数、例えば4つの支持台22が固定され、円周方向
に沿って互いに等間隔離間して設けられている。この支
持台22上には、円環状の支持板23を介して、または
直接、円盤状の遮蔽板24が載置され、容器本体12の
上端開口部11を閉塞している。
は、遮蔽板24に重ねて円盤状の一次蓋26が装着さ
れ、容器本体の上端開口11を閉塞している。また、一
次蓋26の外周部の上端側部分は、全周に亘って、容器
本体12の内周面に溶接されている。
は、一次蓋26に重ねて円盤状の二次蓋28が装着され
ている。二次蓋28の外周部の上端側部分は、全周に亘
って、容器本体12の内周面に溶接されている。二次蓋
28の内面には、複数の軸対称の凹所30が形成されて
いる。そして、二次蓋28の内面は、これらの凹所30
を除き、一次蓋24の上面に密着し、あるいは1mm以
下のギャップを有している。
と二次蓋28との間には、モニタリングの検査空間とし
て機能する密閉空間が形成され、この密閉空間内は負圧
あるいは正圧に維持されている。これにより、キャニス
タ10内部と外部との間に圧力障壁が形成され、一次蓋
と二次蓋とが密着、あるいは1mm以下のギャップを有
しているにも拘わらずモニタリングが可能となる。
11は、遮蔽板24、一次蓋26、および二次蓋28に
よって気密に閉塞されている。これら容器本体12、遮
蔽板24、一次蓋26、あるいは二次蓋28は、例え
ば、Cr+3Mo>34%のSUS329J4L、SU
S329J3L、あるいはSUS317等の腐食に強い
金属によって形成されている。また、キャニスタ10の
各部の板厚は、胴部14が約10〜20mm、底壁16
が30〜40mm、遮蔽板24が100〜150mm、
一次蓋26および二次蓋28がそれぞれ30〜50mm
に設定されている。
製造方法について説明する。まず、図3(a)に示すよ
うに、胴部を構成する部分円筒部材としての一対の半円
筒40、および円盤状の底壁16を用意する。次に、半
円筒40の側縁同士を突き合わせて配置した後、これら
の側縁同士を電子ビーム溶接により互いに溶接し胴部1
4を形成する。電子ビーム溶接は所望の真空度を有した
真空処理室内で行う。そして、電子ビーム溶接を用いた
場合、溶接部に生じる歪みを小さく抑えることができ
る。なお、TIG溶接を用いることもできる。
査、超音波検査等により、胴部14の各溶接部40aに
おける溶接欠陥の有無を検査する。続いて、図3(b)
に示すように、胴部14の各溶接部40aを胴部の内周
面および外周面の両側から同時に、あるいは片側からシ
ョットブラスト処理する。このように、溶接部40aを
両側から同時にショットブラスト処理することにより、
溶接部40aに生じた引っ張り残留応力を除去すること
ができるとともに、板厚10〜20mmの比較的薄い金
属材料を用いた場合でも、ブラスト処理による変形を防
止することが可能となる。
ム溶接により、胴部14の下端に底壁16を溶接し胴部
の下端開口を閉塞する。溶接後、放射線検査あるいは浸
透探傷検査等により、胴部14と底壁16との溶接部4
2aにおける溶接欠陥の有無を検査する。続いて、溶接
部42aを外側からショットブラスト処理することによ
り、溶接部42aに生じた引っ張り残留応力を除去す
る。
の真円度1/1600〜4/1600に形成された胴部14を有した
容器本体12が製造される。また、必要に応じて、図3
(d)に示すように、胴部14の上端部内周面に、つま
り、一次蓋および二次蓋が溶接される内周面部分に切
削、研磨等の機械加工を施し、所定の直径および真円度
に形成する。
の支持台22を溶接する。また、遮蔽板24、一次蓋2
6、および二次蓋28を別途用意する。そして、ここま
での工程は、製造工場等で行う。
2内にバスケット18を配置した後、容器本体12を冷
却水内に浸水した状態で、使用済燃料集合体20を装填
および収納する。続いて、容器本体12を冷却水から引
き上げ、所定量の水を抜いた後、図4(a)に示すよう
に、容器本体12の上端開口部11内に支持板23およ
び遮蔽板24を順次装着し、上端開口部11を閉塞する
とともに遮蔽板24に重ねて一次蓋26を装填する。こ
の状態で、一次蓋26の上端側周縁部をTIG溶接によ
り胴部14の上端部内周面に順次多層盛溶接していく。
により気密漏洩検査を行い、溶接欠陥の有無を調べる。
更に、一次蓋26の溶接部を外側からショットブラスト
処理し、引っ張り残留応力を除去してもよい。
12内から冷却水を完全に抜き取り乾燥させ真空乾燥処
理を実施する。次に、胴部14の上端開口部11内にお
いて、一次蓋26に重ねて二次蓋28を装着し、二次蓋
28の上端側周縁部をTIG溶接により胴部14の上端
部内周面に順次多層盛溶接していく。溶接後、二次蓋2
8の溶接部を外側からショットブラスト処理し、引っ張
り残留応力を除去する。ついで、耐圧試験、不活性ガス
置換を行った後、一次蓋26の孔を溶接閉塞する。更
に、浸透探傷検査あるいは超音波検査等により気密漏洩
検査を行い、溶接欠陥の有無を調べる。
空間における耐圧試験、不活性ガス(ヘリウム等)置
換、密封作業を行うことにより、キャニスタ14の蓋密
閉溶接が終了し、使用済燃料を収納したキャニスタ10
が完成する。そして、このように製造されたキャニスタ
10は、図示しない輸送用キャスクに収納され、発電所
から中間貯蔵施設まで輸送される。
方法によれば、胴部14の溶接部40aおよび底壁16
の溶接部42aをショットブラスト処理することによ
り、溶接部に生じた引っ張り残留応力を除去することが
できる。この際、胴部14の溶接部40aについては、
両面側から同時にショットブラスト処理することによ
り、胴部として比較的薄い金属材料を用いた場合でもシ
ョットブラスト処理に起因する変形を防止することが可
能となる。従って、胴部14の歪みを低減し所望の真円
度を有した容器本体12を製造することができる。その
結果、容器本体12の上端開口部11に対して一次蓋2
6および二次蓋28を確実に溶接し、密閉性の高い所定
形状のキャニスタ10を得ることができる。
よって溶接することにより、溶接部の歪みを低減し所望
形状の容器本体およびキャニスタを得ることができる。
更に、ショットブラスト処理によって各溶接部の引っ張
り残留応力を除去することにより、応力腐食割れが発生
しにくく外部衝撃等を受けた場合でも亀裂が発生しにく
く耐衝撃性の高いキャニスタを得ることができる。
定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能で
ある。例えば、容器本体の胴部と底壁との間の溶接部
は、外面および内面の両側からショットブラスト処理す
るようにしてもよい。また、キャニスタの各部の寸法は
必要に応じて選択可能である。
の半円筒に限らず、図5に示すように、2対の半円筒4
1a、41b、43a、43bを互いに溶接して形成し
てもよい。
ば、引っ張り残留応力に起因する歪みを生じることな
く、所定の形状の金属密閉容器を製造可能な金属密閉容
器の製造方法を提供することができる。
製造されるキャニスタを一部破断して示す斜視図。
製造工程をそれぞれ示す斜視図および断面図。
に対して一次蓋および二次蓋を溶接およびショットブラ
スト処理する工程をそれぞれ示す断面図。
いる部分円筒部材を示す斜視図。
Claims (8)
- 【請求項1】円筒状の胴部および胴部の一端を閉塞した
底壁を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉
塞する一次蓋および二次蓋と、を備え放射性物質を収納
する金属密閉容器の製造方法において、 金属からなる複数の部分円筒部材を互いに溶接して円筒
状の胴部を形成する工程と、 上記胴部の各溶接部を、胴部の内周面側および外周面側
の両側から同時に、あるいは片側からショットブラスト
する工程と、 上記胴部の一端部に底壁を溶接して容器本体を形成する
工程と、 上記胴部と底壁との間の溶接部を容器本体の外面側から
ショットブラストする工程と、 上記容器本体内に放射性物質を収納した後、容器本体の
上端開口部に一次蓋および二次蓋を順に溶接して容器本
体を密閉する工程と、 を備えたことを特徴とする金属密閉容器の製造方法。 - 【請求項2】上記胴部の各溶接部における溶接欠陥の有
無を検査する工程と、 上記胴部と底壁との間の溶接部における溶接欠陥の有無
を検査する工程と、 上記一次蓋および二次蓋の溶接部における溶接欠陥の有
無を検査する工程と、 を備えていることを特徴とする請求項1に記載の金属密
閉容器の製造方法。 - 【請求項3】電子ビーム溶接あるいはTIG溶接によ
り、上記胴部の溶接、および胴部と底壁との間の溶接を
行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属密閉
容器の製造方法。 - 【請求項4】上記一次蓋および二次蓋の溶接部を外側か
らショットブラストする工程を備えていることを特徴と
する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金属密閉
容器の製造方法。 - 【請求項5】板厚が10ないし20mmの金属板により
上記胴部を形成することを特徴とする請求項1ないし4
のいずれか1項に記載の金属密閉容器の製造方法。 - 【請求項6】上記胴部を形成した後、機械加工により上
記胴部の上端部内周面を所定の真円度に形成することを
特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の金
属密閉容器の製造方法。 - 【請求項7】上記胴部を真円度1/1600ないし4/
1600に形成することを特徴とする請求項1ないし6
のいずれか1項に記載の金属密閉容器の製造方法。 - 【請求項8】上記胴部、底壁、一次蓋、あるいは二次蓋
として、Cr+3Mo>34%のSUS329J4L、
SUS329J3L、あるいはSUS317を用いるこ
とを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載
の金属密閉容器の製造方法。
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2001
- 2001-09-21 JP JP2001290223A patent/JP3820125B2/ja not_active Expired - Fee Related
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