JP2002302776A - 加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板 - Google Patents

加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板

Info

Publication number
JP2002302776A
JP2002302776A JP2001108011A JP2001108011A JP2002302776A JP 2002302776 A JP2002302776 A JP 2002302776A JP 2001108011 A JP2001108011 A JP 2001108011A JP 2001108011 A JP2001108011 A JP 2001108011A JP 2002302776 A JP2002302776 A JP 2002302776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
phase
corrosion resistance
mass
plated steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001108011A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3702193B2 (ja
Inventor
Kazuhiko Honda
和彦 本田
Akira Takahashi
高橋  彰
Yujiro Miyauchi
優二郎 宮内
Akira Tanaka
曉 田中
Yoshihiro Suemune
義広 末宗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2001108011A priority Critical patent/JP3702193B2/ja
Publication of JP2002302776A publication Critical patent/JP2002302776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3702193B2 publication Critical patent/JP3702193B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑性と加工後の耐食性に優れたプレス油を
省略した非脱膜型の潤滑めっき鋼板を提供することを目
的とする。 【解決手段】 鋼板の表面に下層として、Zn−Mg−
Al系合金めっき層、又はZn−Mg−Al−Si系合
金めっき層を形成させ、その上にクロメート被膜もしく
はりん酸塩被膜の化成被膜を形成させ、更にその上にビ
スフェノール型骨格、エステル骨格及びカルボキシル基
を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂とエポキシ
樹脂、ポリオレフィンワックス及びシリカを含有する水
性潤滑塗料を塗布して得られる被膜を設けたことを特徴
とする加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレス加工後に潤滑
被膜を除去することなく使用する家電、建材、自動車等
の部品に利用される表面処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家電、建材、自動車等に使用され
る部品はプレス油を塗布し、プレス成形後に油を除去し
て製造されていた。しかし、脱脂溶剤の使用規制やコス
ト低減要求に伴い、プレス油を省略できる潤滑性能及び
プレス後の被膜が優れた表面特性(外観、耐食性、塗料
密着性等)を有する表面処理鋼板のニーズが強くなって
いる。特に強加工を行う部材では、有機被膜やめっき被
膜が損傷し易く、この被膜損傷を原因とする加工後の耐
食性劣化が起こり易いため、良好な潤滑性能と加工後の
耐食性とを併せ持つ表面処理鋼板のニーズが強い。
【0003】こうした問題を解決する技術として、特開
平03−016726号公報に開示された技術がある。
これは、亜鉛系或いはアルミニウム系の合金めっき鋼板
の表面にCr付着量200mg/m2以下のクロメート
被膜、その上に0.3〜3.0g/m2の樹脂被膜を有
するもので樹脂被膜は水酸基及び/又はカルボキシル基
を有する樹脂100重量部、シリカ10〜80重量部、
平均粒径1〜7μmのポリオレフィンワックス20重量
部以下であることが開示されており、この潤滑鋼板は幅
広い種類の樹脂が適用できると記載されている。しかし
ながら、実際の高速連続クランクプレス加工性や、加工
後の被膜劣化が少ないという観点からは満足できるレベ
ルのものではなく、樹脂、シリカ及び潤滑剤で構成され
る被膜を最適化することによってはじめて安定操業可能
な潤滑鋼板が得られる。特に非脱膜型の潤滑鋼板では加
工後の外観と性能が重要であり、潤滑被膜の膜厚の均一
性や延び、圧縮、摺動摩耗性を考慮しなければならな
い。
【0004】このため、特開平06−173037号公
報には、めっき鋼板表面に化成処理を行い、エーテル、
エステル型ウレタン樹脂とエポキシ樹脂、ポリオレフィ
ンワックス、シリカを最適化した塗料を被覆することに
より、優れた潤滑性を有するプレス油を省略した非脱膜
型潤滑めっき鋼板が得られることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな潤滑めっき鋼板では、厳しいプレス加工後の加工部
の耐食性が十分に確保されていないという問題点を依然
として有している。
【0006】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっ
き鋼板を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは既に、特開
2000−104154号公報に開示されているよう
に、耐食性が通常の溶融亜鉛めっき鋼板よりも大幅に優
れたZn−Mg−Alめっき鋼板を提案しているが、更
に鋼板の表面にZn−Mg−Al合金めっき又はZn−
Mg−Al−Si合金めっきを施し、その上に下地処理
としてクロメート被膜若しくはりん酸塩被膜を施し、さ
らにその上にエーテル・エステル型ウレタン樹脂とエポ
キシ樹脂、ポリオレフィンワックス、シリカを最適化し
た塗料を被覆することにより優れた潤滑性と加工部の耐
食性を有する非脱膜型潤滑めっき鋼板を製造し得ること
を見出して本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨とするところは以下の
とおりである。
【0009】(1) 鋼板の表面に下層として、Mg:
1〜10質量%、Al:2〜19質量%を含有し、且
つ、Mg質量%+Al質量%≦20質量%を満たし、残
部がZn及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層
を有し、その上にCr付着量5〜100mg/m2のク
ロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2
りん酸塩被膜の化成被膜を有し、更にその上にビスフェ
ノール型骨格、エステル骨格及びカルボキシル基を有す
るエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ
樹脂(b)の合計(a+b)が全固形分に対して50〜
85質量%、ポリオレフィンワックス(c)を3〜30
質量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40
質量%含有する水性潤滑塗料を塗布して得られる膜厚
0.2〜5μmの被膜を設けたことを特徴とする加工部
の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0010】(2) 鋼板の表面に下層として、Mg:
1〜10質量%、Al:2〜19質量%、Si:0.0
1〜2質量%を含有し、且つ、Mg質量%+Al質量%
≦20質量%を満たし、残部がZn及び不可避的不純物
よりなるZn合金めっき層を有し、その上にCr付着量
5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量
0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜の化成被膜を有
し、更にその上にビスフェノール型骨格、エステル骨格
及びカルボキシル基を有するエーテル・エステル型ウレ
タン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の合計(a+b)
が全固形分に対して50〜85質量%、ポリオレフィン
ワックス(c)を3〜30質量%、粒径3〜30nmの
シリカ(d)を10〜40質量%含有する水性潤滑塗料
を塗布して得られる膜厚0.2〜5μmの被膜を設けた
ことを特徴とする加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑
めっき鋼板。
【0011】(3) エーテル・エステル型ウレタン樹
脂(a)のポリエステル骨格に対するポリエーテル骨格
の重量比率が10:90〜70:30であり、且つ前記
ウレタン樹脂の酸価が10〜50であることを特徴とす
る上記(1)又は(2)に記載の加工部の耐食性に優れ
た非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0012】(4) エポキシ樹脂(b)がグリコール
骨格又はビスフェノール型骨格を有し、エーテル・エス
テル型ウレタン樹脂(a)のカルボキシル基の20〜1
00質量%と反応する比率で配合されていることを特徴
とする上記(1)又は(2)に記載の加工部の耐食性に
優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0013】(5) ポリオレフィンワックス(c)の
融点が70〜160℃、粒径が0.1〜7μmであるこ
とを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加工部耐
食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0014】(6) ポリオレフィンワックス(c)の
ケン化価が30以下又は0であり、且つ分岐を有する構
造であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載
の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0015】(7) Zn合金めっき層が〔Al/Zn
/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si
相〕と〔Zn2Mg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属
組織を有することを特徴とする上記(2)に記載の加工
部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0016】(8) Zn合金めっき層が〔Al/Zn
/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si
相〕と〔Zn2Mg相〕及び〔Al相〕が混在した金属
組織を有することを特徴とする上記(2)に記載の加工
部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
【0017】(9) Zn合金めっき層が〔Al/Zn
/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si
相〕と〔Zn2Mg相〕及び〔Zn相〕、〔Al相〕が
混在した金属組織を有することを特徴とする上記(2)
に記載の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼
板。
【0018】(10) Zn合金めっき層が〔Al/Z
n/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si
相〕と〔Zn相〕及び〔Al相〕が混在した金属組織を
有することを特徴とする上記(2)に記載の加工部の耐
食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板、である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明の潤滑めっき鋼板は鋼板上にZn−
Mg−Al合金めっき、Zn−Mg−Al−Si合金め
っきを施し、その上に下地処理としてクロメート被膜も
しくはりん酸塩被膜を施し、更にその上にエーテル・エ
ステル型ウレタン樹脂とエポキシ樹脂、ポリオレフィン
ワックス、シリカを最適化した塗料を付与したものであ
る。
【0021】本発明の下地鋼板としては、Alキルド鋼
板、Ti、Nbなどを添加した極低炭素鋼板、及びこれ
らにP、Si、Mnなどの強化元素を添加した高強度鋼
等種々のものが適用できる。
【0022】Zn−Mg−Alめっき層は、Mg:1〜
10質量%、Al:2〜19質量%で、且つMgとAl
がMg(%)+Al(%)≦20(%)を満たし、残部
がZn及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層で
ある。
【0023】Mgの含有量を1〜10質量%に規定した
理由は、1質量%未満では加工性、加工後耐食性を向上
させる効果が不十分であるためであり、10質量%を超
えるとめっき層が脆くなって密着性が低下するためであ
る。
【0024】Alの含有量を2〜19質量%に規定した
理由は、2質量%未満では加工後耐食性を向上させる効
果が不十分であるためであり、19質量%を超えると加
工後耐食性を向上させる効果が飽和するためである。
【0025】MgとAlの含有量を式、Mg(%)+A
l(%)≦20(%)に規定した理由は、めっき中のZ
n含有量が小さいと犠牲防食効果が小さくなり耐食性が
低下するためである。
【0026】本発明において、更に耐食性の良好なめっ
き鋼板を得るためには、さらにSiを添加すると共にM
g、Alの添加量を多くして、めっき層の凝固組織中に
〔Mg2Si相〕が混在した金属組織を有することが望
ましい。
【0027】Si添加の目的の1つは、めっき密着性の
向上及び加工後の耐食性の向上である。Siの含有量を
0.01〜2質量%に規定した理由は、0.01質量%
未満では密着性を向上させる効果が不十分であるためで
あり、2質量%を超えると密着性を向上させる効果が飽
和するためである。望ましくはAl含有量の3%以上添
加する。
【0028】また、Al、Mg、Siの添加量を多く
し、めっき層凝固組織中に〔Mg2Si相〕が混在した
金属組織を作製することにより、更に加工後耐食性を向
上させることが可能となる。そのためにはMgの含有量
を2質量%以上、Alの含有量を4質量%以上とするこ
とが好ましい。
【0029】本めっき組成はZn−Mg−Al−Siの
四元系合金であるがAl、Mgの量が比較的少量である
場合、凝固初期はZn−Siの二元系合金に類似した挙
動を示しSi系の初晶が晶出する。その後、今度は残っ
たZn−Mg−Alの三元系合金に類似した凝固挙動を
示す。即ち、初晶として〔Si相〕が晶出した後、〔A
l/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Z
n相〕、〔Al相〕、〔Zn2Mg相〕の1つ以上を含
む金属組織ができる。また、Al、Mgの量がある程度
増加すると、凝固初期はAl−Mg−Siの三元系合金
に類似した挙動を示し、Mg2Si系の初晶が晶出し、
その後、今度は残ったZn−Mg−Alの三元系合金に
類似した凝固挙動を示す。即ち、初晶として〔Mg2
i相〕が晶出した後、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元
共晶組織〕の素地中に〔Zn相〕、〔Al相〕、〔Zn
2Mg相〕の1つ以上を含む金属組織ができる。
【0030】ここで、〔Si相〕とは、めっき層の凝固
組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、例
えばZn−Siの二元系平衡状態図における初晶Siに
相当する相である。実際には少量のAlが固溶している
こともあり、状態図で見る限りZn、Mgは固溶してい
ないか、固溶していても極微量であると考えられる。こ
の〔Si相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に
区別できる。
【0031】また、〔Mg2Si相〕とは、めっき層の
凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相であ
り、例えばAl−Mg−Siの三元系平衡状態図におけ
る初晶Mg2Siに相当する相である。状態図で見る限
りZn、Alは固溶していないか、固溶していても極微
量であると考えられる。この〔Mg2Si相〕はめっき
中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0032】また、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共
晶組織〕とは、Al相とZn相と金属間化合物Zn2
g相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成
しているAl相は例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡
状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶する
Al固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するもの
である。この高温でのAl″相は常温では通常は微細な
Al相と微細なZn相に分離して現れる。また、この三
元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によ
っては更に少量のMgを固溶したZn固溶体である。こ
の三元共晶組織中のZn2Mg相は、Zn−Mgの二元
系平衡状態図のZn:約84質量%付近に存在する金属
間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相には
Siが固溶していないか、固溶していても極微量である
と考えられるが、その量は通常の分析では明確に区別で
きないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明
細書では〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕と
称す。
【0033】また、〔Al相〕とは、前記の三元共晶組
織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であ
り、これは例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図
における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固
溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものであ
る。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度
に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温
でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZ
n相に分離するが、常温で見られる縞状の形状は高温で
のAl″相の形骸を留めたものであると見てよい。状態
図で見る限りこの相にはSiが固溶していないか、固溶
していても極微量であると考えられるが、通常の分析で
は明確に区別できないため、この高温でのAl″相(A
l初晶と呼ばれる)に由来し、且つ形状的にはAl″相
の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と称
す。この〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成してい
るAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0034】また、〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組
織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であ
り、実際には少量のAl、更には少量のMgを固溶して
いることもある。状態図で見る限り、この相にはSiが
固溶していないか、固溶していても極微量であると考え
られる。この〔Zn相〕は前記の三元共晶組織を形成し
ているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別でき
る。
【0035】また、〔Zn2Mg相〕とは、前記の三元
共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相
であり、実際には少量のAlを固溶していることもあ
る。状態図で見る限り、この相にはSiが固溶していな
いか、固溶していても極微量であると考えられる。この
〔Zn2Mg相〕は前記の三元共晶組織を形成している
Zn2Mg相とは顕微鏡観察において明瞭に区別でき
る。
【0036】本発明において〔Si相〕の晶出は耐食性
向上に特に影響を与えないが、〔初晶Mg2Si相〕の
晶出は耐食性向上に大きく寄与する。これはMg2Si
が非常に活性であることに由来し、腐食環境で水と反応
して分解し、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組
織〕の素地中に〔Zn相〕、〔Al相〕、〔Zn2Mg
相〕の1つ以上を含む金属組織を犠牲防食すると共に、
できたMg水酸化物が保護性の皮膜を形成し、それ以上
の腐食の進行を抑制するためであると考えられ、特に加
工部においてこの効果が顕著である。
【0037】めっき層中には、これ以外にFe、Sb、
Pbを単独或いは複合で0.5質量%以下含有してもよ
い。また、これらを主成分とするめっきにCa、Be、
Ti、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、P、B、Sn、
REMを合計で1%以下含有しても本発明の効果を損な
わず、その量によっては更に耐食性が改善される等好ま
しい場合もある。Zn−Mg−Al−Siめっきの付着
量については特に定めないが、耐食性の観点から10g
/m2以上、加工性の観点から350g/m2以下である
ことが望ましい。
【0038】本発明において、めっき鋼板の製造方法に
ついては特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方
式の溶融めっき法が適用できる。下層としてNiプレめ
っきを施す場合も通常行われているプレめっき方法を適
用するばよく、Niプレめっきを施した後、無酸化或い
は還元雰囲気中で急速低温加熱を行い、その後に溶融め
っきを行う方法等が好ましい。
【0039】化成被膜としてはクロメート被膜もしくは
りん酸塩被膜を用いる。化成被膜はめっき面と潤滑被膜
との間に位置し加工時の密着性、耐食性向上に寄与す
る。クロメートは3価クロム水和酸化物を主成分とする
後水洗型の電解還元クロメート、3価クロムと6価クロ
ムの水和酸化物を主成分とする後水洗型のエッチングク
ロメート液を塗布し乾燥する無水洗型の塗布クロメート
被膜を採用できる。
【0040】付着量はCr換算で5〜100mg/m2
である。5mg/m2未満では十分な耐食性が得られ
ず、100mg/m2超ではクロメート自身の凝集破壊
が生じ易く、密着性が得られない。クロメート被膜は3
価クロム/6価クロム比率の高い、水系潤滑塗料に溶解
し難いものが望ましい。
【0041】りん酸塩被膜は亜鉛、ニッケル、マンガ
ン、カルシウム等のりん酸塩で構成されるものである。
付着量は0.2〜2.0g/m2の範囲が耐食性及びめ
っき密着性の理由で望ましい。0.2g/m2未満では
十分な耐食性が得られない。2.0m/m2超ではりん
酸塩被膜の凝集破壊により、厳しい加工で密着性が得ら
れない。
【0042】次に、本発明の潤滑被膜について以下に説
明する。
【0043】本発明の第一の特徴は、ベース樹脂として
適切な種類の樹脂を一定質量比で配合させることにあ
る。樹脂としては、密着性、伸び、せん断強度、耐食
性、耐摩耗性、耐薬品性のバランスのとれた成分にする
必要がある。これらの性能を満足するためには、本発明
の樹脂の組み合せ使用が好ましい。本発明者らは、既に
ウレタン樹脂とエポキシ樹脂を配合し、且つ特定のポリ
オレフィンワックスを配合することにより高度の加工性
と耐食性を得ることができるという知見を得ていたが、
更に鋭意研究した結果、ウレタン樹脂の構造を特定する
ことにより、特に優れた性能を発揮することを見出し
た。
【0044】高加工性と高耐食性を達成するためには、
塗膜が均一であり、且つ密着性が優れていることが前提
であり、更に強度と伸びのバランスがとれていることが
重要である。分子量の大きいウレタン樹脂とエポキシ樹
脂とを併用することで、低分子量同士の樹脂の架橋によ
ってできた膜よりも基本的な物性を制御し易く、且つ塗
膜量で0.3〜6g/m2の薄膜でも、均一物性が得ら
れ易いことを見出した。
【0045】尚、低分子量のウレタン樹脂とは、各種イ
ソシアネート系の架橋剤を含む種類のものである。樹脂
として分子量3000以上の耐摩耗性に優れたウレタン
樹脂と密着性又は膜強度の向上に優れたエポキシ樹脂を
配合した樹脂系の組み合せが特に高加工性と高耐食性等
の諸特性を発揮するのに適したベース樹脂である。
【0046】本発明のウレタン樹脂は、分子量が300
0以上でビスフェノール型骨格とエステル骨格を有し、
且つカルボキシル基を有する水分散性のエーテル・エス
テル型ウレタン樹脂(a)で、エポキシ樹脂(b)はグ
リコール骨格又はビスフェノール骨格を有するタイプで
あって、(a)のカルボキシル基の20〜100%を反
応させる比率で配合されたものである。本発明の高分子
ウレタン樹脂を使用することで薄膜での均一な成膜性が
得られ本発明の目的は達成されるが、より好ましくは塗
膜の伸びが100%以上で、且つ抗張力が100kg/
cm2以上になる樹脂を適用すれば最高の加工性が得ら
れる。
【0047】一般的にウレタン樹脂の物性の制御は、ハ
ードセグメントとソフトセグメントのバランス及び架橋
密度によって行われているため、構成される骨格及びイ
ソシアネートの種類によって、広範な特性が制御でき
る。本発明に使用されるウレタン樹脂の伸びと抗張力の
調整は、可とう性を示すエステル骨格と強靭性を示すエ
ーテル骨格及びウレタン結合部の含有量で制御され、後
者の含有量が増えれば、伸びは小さいが抗張力の高い強
靭な特性が得られる。特に優れた潤滑特性を発揮させる
ためには、本発明の樹脂物性と同程度の数値を有するポ
リエステル骨格単独のウレタン樹脂より、ポリエステル
骨格とエーテル成分がビスフェノール骨格を有するもの
が特に優れた性能を示す。同程度の樹脂物性でビスフェ
ノール骨格を有するものが潤滑特性に優れることは、樹
脂の伸び及び強度だけでなく素地との密着性が潤滑性の
大きな要因であることから容易に推察される。ポリエー
テル骨格とポリエステル骨格の重量比率は、10:90
〜70:30の範囲が好ましい。ポリエーテルの比率が
上記範囲より多い場合、強靭である伸びが小さいため高
度の成形加工性に劣る。
【0048】エーテル及びエステルのポリオールをイソ
シアネートで分子量3000以上に高分子化させたウレ
タン樹脂系は、加熱により自己成膜するが、塗膜性能と
して更に加工性、耐薬品性及び耐食性を向上させる方法
として、反応性の官能基(水酸基、エポキシ基など)を
有するエポキシ樹脂を配合して加熱架橋させて機能性を
向上させる方法がある。この方法が、ウレタン樹脂のエ
ポキシ変性を行った変性物単独の成膜方法より加工性、
耐食性、耐薬品性の大幅な向上が図れることを新たに見
出した。この架橋反応は組み合わされた樹脂系だけでも
進行するが、必要に応じて硬化剤と呼ばれるイソシアネ
ート化合物又はアミノ化合物などを配合してもよい。
【0049】本発明に使用するウレタン樹脂骨格のポリ
エーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ビスフェノールAなどの低分子グ
リコール類にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイ
ド等を付加したポリオール、ポリオキシテトラメチレン
グリコールなどが挙げられるが、特にビスフェノールA
骨格を有するポリエーテルポリオールが好適である。ポ
リエステルポリオールとしては、低分子グリコール類と
2塩基酸との脱水縮合反応によって得られるポリエステ
ル類及びε−カプロラクタムなどのラクタム類を低分子
グリコールの存在下で開環重合したラクタムポリオール
類が挙げられる。
【0050】ウレタン樹脂のエステル骨格とエーテル骨
格を結合させるイソシアネート基としてはトリレジイソ
シアネート、ジフェニルメタジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートの
単量体、2量体、3量体、及び、それらとポリエーテル
ポリオールやポリエステルポリオールなどとの反応物、
及びそれらの水素添加誘導体である脂環族イソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートなどの脂環族、及び脂肪族イソシアネート
の単量体、2量体、3量体とポリエーテルポリオールや
ポリエステルポリオールなどとの反応物、及びこれらの
混合物も使用できる。配合量は、使用するポリエステル
ポリオール、ポリエーテルポリオール、及び後述するカ
ルボキシル基導入成分の分子量との比率になるが、NC
O換算でウレタン樹脂の5〜20質量%が樹脂物性とし
て最適な加工特性を得られる。
【0051】カルボキシル基は、自己乳化するための官
能基であると共に金属表面との密着性に大きく寄与す
る。カルボキシル基の導入成分としては、2個以上のヒ
ドロキシル基、又はアミノ基と1個以上のカルボキシル
基を含む化合物であり、2,2−ジメチロールプロピオ
ン酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−
ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸な
どのジヒドロキシカルボン酸やリジン、アルギニンなど
のジアミノカルボン酸類が挙げられる。これらから選ば
れるカルボキシル基化合物は、前記ポリエステルポリオ
ール及びポリエーテルポリオールとの組み合せでイソシ
アネート化合物で高分子化される。この方法により、本
発明で使用する分子量が3000以上のカルボキシル基
を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂ができる。
【0052】前記のウレタン樹脂を水に分散させる方法
としては、カルボキシル基をアンモニア、トリメチルア
ミン等のアルカリで中和して自己乳化させる方法、又は
乳化剤を用いてエマルジョン分散させる方法が挙げられ
る。作業環境対策としては、水系化以前のウレタン製造
工程中に含有する溶剤を回収して、最終的に無溶剤タイ
プの水分散体を得ることが最も好ましい。カルボキシル
基の量は、ウレタン固形分当りの酸価で10〜50であ
ることが適切である。10未満の場合、密着性が不十分
で加工性及び耐食性が劣る。50を超える場合、耐水
性、耐アルカリ性が劣るため耐食性が低下する。
【0053】反応性の官能基(水酸基、エポキシ基な
ど)を有するエポキシ樹脂の配合量としては、好ましく
はウレタン樹脂のカルボキシル基の20〜100%が反
応する比率で配合するのが適切である。20%未満では
配合効果が乏しく、100%を超える量ではエポキシ樹
脂が可塑剤的役割となるため加工性が低下する。尚、エ
ポキシ樹脂は、耐薬品性、耐食性向上効果が大きい。エ
ポキシ樹脂にビスフェノールA型骨格を有する構造物を
用いると、密着性及び耐食性向上効果が特に大きい。環
境対策として無溶剤タイプ及び塗膜性能低下を防ぐため
無乳化剤タイプが必要であるときは、グリコール骨格で
親水性を付与することにより水溶性エポキシ樹脂を得る
ことができる。
【0054】ウレタン樹脂の酸価に応じてエポキシ樹脂
の配合量を決定する必要があり、その計算方法は、次の
とおりである。ウレタン樹脂のカルボキシル基とエポキ
シ樹脂のエポキシ基が当量で反応するとして、所定の酸
価(AV)を有するウレタン樹脂に対し、100%の反
応をするためのエポキシ樹脂の必要量を求めたのが下記
式(1)である。 エポキシ固形分質量(g)=ウレタン樹脂のAV値×(1/56)/1000 ×エポキシ当量×ウレタン樹脂配合質量(g) ・ ・ ・(1)
【0055】本発明で配合されるエポキシ基はカルボキ
シル基と架橋するため、密着性に寄与するカルボキシル
基は反応相当分なくなるが、エポキシ基の開環によりO
H基が生ずるため密着性は確保される。また、エポキシ
樹脂の配合により、耐食性も大きく向上する。分子量が
3000未満のウレタン樹脂と上記エポキシ樹脂の組み
合せでは、安定して高加工性が達成されない。また、分
子量3000以上のウレタン樹脂単独の成膜では、高度
の加工性及び耐食性が得られない。
【0056】本発明の水系潤滑塗料組成物のウレタン樹
脂(a)とエポキシ樹脂(b)の合計重量は、全固形分
比で50〜85%が適切である。50%未満の場合及び
85%を超える場合は耐食性と加工性が不十分である。
しかし、これらの樹脂系被膜のみでは目的の加工性を達
成することができないため、潤滑添加物の併用が必要と
なる。潤滑添加物としては、公知のフッ素系、炭化水素
系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属
石鹸系及び無機系等の滑剤が挙げられる。加工性向上の
ための潤滑添加物の選択基準としては、添加した滑剤が
成膜した樹脂膜に分散して存在するよりも樹脂膜表面に
存在するような物質を選択するのが、成型加工物の表面
と金型の摩擦を低減させ潤滑効果を最大限発揮させる点
から必要である。即ち、滑剤が成膜した樹脂膜に分散し
て存在する場合、表面摩擦係数が高く樹脂膜が破壊され
易く粉状物質が剥離体積してパウダリング現象といわれ
る外観不良及び加工性の低下を生じる。樹脂膜表面に存
在するような物質としては、樹脂に相溶せず、且つ表面
エネルギーの小さいものが選ばれる。
【0057】本発明者らが検討した結果、ポリオレフィ
ンワックスを使用すると、加工性が大きく向上し、加工
後の耐食性及び耐薬品性等の性能も良好になることが判
った。このワックスとしては、パラフィン、マイクロク
リスタリン又はポリエチレン等の炭化水素系のワックス
が挙げられる。加工時には、素材の変形熱と摩擦熱によ
って被膜温度が上昇するため、ワックスの融点は70〜
160℃が適切であり、70℃未満では加工時に軟化溶
融して固体潤滑添加物としての優れた特性が発揮されな
い。また、160℃を超える融点のものは、硬い粒子が
表面に存在することとなり摩擦特性を低下させるので高
度の成形加工成は得られない。好ましくは、ポリオレフ
ィンワックスのケン化価としては30以下又は0であ
り、且つ分岐構造を有するものを使用することが好まし
い。ケン化価が30を超えるものは、極性が大きく樹脂
に相溶し易いため、成膜時に樹脂表面に存在しにくくな
るため、高度な加工性能レベルが必要に場合には適切と
は言えない。特に好ましいのは、樹脂との相溶性のより
小さいエステル結合を持たないケン化価が0のワックス
である。これらのワックスの粒径は0.1〜7.0μm
が適切である。7.0μmを超えるものは、固体化した
ワックスの分布が不均一となるため好ましくない。ま
た、0.1μm未満の場合は加工性が不十分である。潤
滑添加物の量は、潤滑性塗料の全固形分重量に対して固
形分比で3〜30%を添加する。3%未満の場合、加工
性向上効果が小さく、30%を超える量では加工性及び
耐食性が低下する。
【0058】その他の添加物として、耐食性向上のため
SiO2を全固形分に対して10〜40%を添加する。
SiO2の添加により、耐食性の大幅な向上及び加工性
の向上効果がある。10%未満の場合、耐食性及び加工
性の向上効果が小さく、40%を超える量では樹脂のバ
インダー効果が小さくなり、耐食性が低下すると共に樹
脂の伸びと強度が低下するため加工性が低下する。Si
2の粒径については3〜30μmが適切である。30
μmを超える場合及び3μm未満の場合、より高度の加
工性及び耐食性が得られない。シリカの種類としては、
液相コロイダルシリカ及び気相シリカがあるが、本発明
では特に限定するものではない。また、溶接性の向上の
ために導電性物又は意匠性向上のため着色顔料物を添加
することもある。また、沈降防止剤、レベリング剤、増
粘剤等の各種添加剤を添加しても本発明の効果は損なわ
れない。
【0059】本発明は水系の塗料であるため、溶剤系に
比較して表面張力が高く表面濡れ性が劣り、被塗面に所
定量塗布を行う場合、均一な塗布性が得られないことが
ある。しかし、高度の加工性及び耐食性等の性能を確保
するためには、被塗表面に均一な塗布が行われることが
不可欠である。このため、濡れ剤又は増粘剤を配合添加
することが公知である。濡れ剤としては、表面張力を低
下させるフッ素系、シリコン系等の公知の表面張力を低
下させる界面活性剤が挙げられる。特にこれらの化合物
の中で付加エチレンオキサイドのモル数が0〜20のア
セチレングリコール・アルコール型界面活性剤を水系潤
滑塗料組成物に対し0.05〜0.5%含有させると好
ましい。尚、アセチレングリコール・アルコール型界面
活性剤は、濡れ速度が大きく且つ消泡効果を同時に有す
ることが特徴である。一方、フッ素系及びシリコン系の
界面活性剤は、表面張力低下能力は優れているが、濡れ
速度は小さく、消泡性に劣り且つ上塗り塗装密着性も劣
るため適切ではない。また、増粘剤は被塗面のはじき箇
所に対して濡れ剤だけでは十分な表面被覆性が確保でき
ない場合、又はロールコーターに代表される塗布方法で
塗膜厚が確保されない場合の対策として添加することが
ある。本発明の塗料は、通常、高速で被塗物に塗装され
るため、セルロース系に代表されるチクソタイプの増粘
剤では、高速ずり応力を受ける塗工条件では効果が小さ
い。このような塗工条件では、ニュートニアタイプの増
粘剤が適切であることは公知である。本発明に使用する
増粘剤としては、分子量が1000〜20000のエー
テル・ウレタン骨格を有する増粘剤が特に好ましい。
【0060】この増粘剤は本発明で使用される塗料のベ
ース樹脂であるウレタン樹脂骨格と相溶性があるため会
合性のニュートニア増粘挙動を示し、少量の添加量で有
効な効果を示す。通常、塗料に添加剤を配合する場合、
本来の性能を低下させることが多いが、この増粘剤は加
水分解が起こりにくい骨格のため塗膜中に残存した場合
の影響が非常に小さいことが特徴である。添加量は、水
系潤滑性塗料組成物の樹脂固形分に対し0.01〜0.
2%であり、通常、塗工条件により決定される。0.0
1%未満では増粘効果が小さく、0.2%を超える量で
は粘度が大きくなりすぎるため塗工性に支障が生じるこ
と及び高度の加工性と優れた耐食性が低下するため好ま
しくない。
【0061】以上述べた化合物で構成される本発明にお
ける塗料は用途、塗装条件によって異なるが、一般的に
は不揮発分濃度15〜30%、粘度10〜50cps、
表面張力を80dyne/cm以下に調整することが望
ましい。その理由は狙い膜厚を制御し易く、外観むらや
塗料はじきのない均一な膜厚を得るためである。塗布の
方法はロールコート法、浸漬法、エアーナイフしぼり、
グルーブロール法、カーテン塗布法等の既存の方法を採
用できるが、膜厚制御及び膜厚精度、むらのない外観が
得られ易いリバースロールコート塗布が最も望ましい。
塗布量は乾燥膜厚として0.2〜5μm塗布後、直ちに
熱風、遠赤外線炉、電気炉、燃焼炉、誘導加熱炉等で板
温80〜200℃、好ましくは120〜160℃に焼付
けた後、水冷等の方法により強制冷却し乾燥して成膜さ
せる。
【0062】膜厚0.2〜5μmの範囲を限定した理由
は、0.2μm未満では本発明が目的とする潤滑性、加
工性、耐食性が不十分である。5μm超では溶接ができ
ず、ブロッキング等の問題が生じ易くなる。焼付板温の
限定理由は、80℃未満では樹脂のリフローと架橋反応
が不十分のため粗面の欠陥の多い被膜となり、200℃
超では樹脂、潤滑剤のポリオレフィンが熱分解、加熱酸
化を受け性能が劣化する。最も望ましい樹脂の融解と架
橋による均一で平滑な無欠陥被膜及び潤滑剤の適度な表
面濃化と被膜中分散は120〜160℃の範囲で得られ
る。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0064】(実施例1)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温400〜600℃で、それぞ
れMg量、Al量を変化させたZn−Mg−Alめっき
浴、Mg量、Al量、Si量を変化させたZn−Mg−
Al−Siめっき浴を使用して3秒溶融めっきを行い、
2ワイピングでめっき付着量を60g/m2に調整し
た。得られためっき鋼板のめっき層中の組成を表1に示
す。次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr付着量5
0mg/m2の塗布クロメート処理又は付着量1.5g
/m2のりん酸亜鉛処理を行い、分子量5000のエー
テルエステルウレタン樹脂(ビスフェノールAエーテ
ル:酸価18、エーテル/エステル比=30/70、イ
ソシアネート含有率8)とプロピレングリコールエポキ
シ樹脂(エポキシ当量220)に平均粒径8nmのシリ
カゾルを21%、粒径0.6μmのポリエチレンワック
ス(比重0.93、軟化点120℃)13%を配合した
潤滑塗料を塗布し、板温130℃にて焼付けて膜厚3μ
mの潤滑鋼板を作製した。
【0065】加工後耐食性の評価は、60mm深さの角
筒高速クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面
部について、CCT60サイクル後の白錆発生状況を以
下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr
→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は
3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0066】評価結果を表1に示す。番号45、51は
Mg、Al含有量が本発明の範囲外であるため耐食性が
不合格となった。番号46、52はMg含有量が本発明
の範囲外であるため耐食性が不合格となった。番号4
7、50、53、56はAl含有量が本発明の範囲外で
あるため耐食性が不合格となった。番号48、54はM
g+Al含有量が本発明の範囲外であるため耐食性が不
合格となった。番号49、55はMg含有量が本発明の
範囲外であるため、めっき密着性が劣化し耐食性が不合
格となった。これら以外はいずれも加工後耐食性が良好
な結果となった。
【0067】
【表1】
【0068】(実施例2)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al
めっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめ
っき付着量を60g/m2に調整した。得られためっき
鋼板のめっき層中の組成はMg=3%、Al=5%であ
った。
【0069】また、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備
し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al−Siめっ
き浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき
付着量を60g/m2に調整した。得られためっき鋼板
のめっき層中の組成はMg=3%、Al=10%、Si
=0.15%であった。
【0070】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、表2
に示す付着量の塗布クロメート処理又はりん酸亜鉛処理
を行い、分子量5000のエーテルエステルウレタン樹
脂(ビスフェノールAエーテル:酸価18、エーテル/
エステル比=30/70、イソシアネート含有率8)と
プロピレングリコールエポキシ樹脂(エポキシ当量22
0)に表2に示す平均粒径のシリカゾルを21%、粒径
0.6μmのポリエチレンワックス(比重0.93、軟
化点120℃)13%を配合した潤滑塗料を塗布し、板
温130℃にて焼付けて膜厚3μmの潤滑鋼板を作製し
た。
【0071】密着性の評価は、エリクセン試験機で9m
m絞り、凸部をテープ剥離し、剥離しなかったものを合
格、剥離したものを不合格とした。加工後耐食性の評価
は、60mm深さの角筒高速クランクプレスを行ったサ
ンプルのコーナー側面部について、CCT60サイクル
後の白錆発生状況を以下に示す評点づけで判定した。C
CTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サ
イクルとした。評点は3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0072】評価結果を表2に示す。番号1、6、1
5、16、21、30は化成処理付着量が本発明の範囲
外であるため密着性、耐食性が不合格となった。番号
7、10、22、25はシリカゾルの平均粒径と付着量
が本発明の範囲外であるため耐食性が不合格となった。
これら以外はいずれも、密着性、耐食性が良好な結果と
なった。
【0073】
【表2】
【0074】(実施例3)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al
めっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめ
っき付着量を60g/m2に調整した。得られためっき
鋼板のめっき層中の組成はMg=3%、Al=5%であ
った。
【0075】また、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備
し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al−Siめっ
き浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき
付着量を60g/m2に調整した。得られためっき鋼板
のめっき層中の組成はMg=3%、Al=10%、Si
=0.15%であった。
【0076】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr
付着量50mg/m2の塗布クロメート処理を行い、分
子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフ
ェノールAエーテル:酸価18、エーテル/エステル比
=30/70、イソシアネート含有率8)とプロピレン
グリコールエポキシ樹脂(エポキシ当量220)、平均
粒径8nmのシリカゾル、粒径0.6μmのポリエチレ
ンワックス(比重0.93、軟化点120℃)を表3に
示す配合比で作製した潤滑塗料を塗布し、板温130℃
にて焼付けて膜厚3μmの潤滑鋼板を作製した。
【0077】加工性の評価は、60mm深さの角筒高速
クランクプレスを行い、サンプルとダイスの金属接触に
よるかじりの発生状況を以下に示す評点づけで判定し
た。 3:かじり発生無し 2:僅かにかじり発生が認められるが許容されるレベル 1:かじりの激しいもの
【0078】加工後耐食性の評価は、60mm深さの角
筒高速クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面
部について、CCT60サイクル後の白錆発生状況を以
下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr
→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は
3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0079】評価結果を表3に示す。番号1、6、1
5、20はワックス添加量が本発明の範囲外であるため
加工性、耐食性が不合格となった。番号7、12、2
1、26はシリカゾル添加量が本発明の範囲外であるた
め加工性、耐食性が不合格となった。番号13、14、
27、28は全塗料重量に対するウレタン樹脂とエポキ
シ樹脂合計重量の割合が本発明の範囲外であるため加工
性、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも、
加工性、耐食性が良好な結果となった。
【0080】
【表3】
【0081】(実施例4)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al
めっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめ
っき付着量を60g/m2に調整した。得られためっき
鋼板のめっき層中の組成はMg=3%、Al=5%であ
った。
【0082】また、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備
し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al−Siめっ
き浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき
付着量を60g/m2に調整した。得られためっき鋼板
のめっき層中の組成はMg=3%、Al=10%、Si
=0.15%であった。
【0083】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr
付着量50mg/m2の塗布クロメート処理を行い、分
子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフ
ェノールAエーテル:酸価18、エーテル/エステル比
=30/70、イソシアネート含有率8)とプロピレン
グリコールエポキシ樹脂(エポキシ当量220)に平均
粒径3〜8nmのシリカゾルを21%、粒径0.6μm
のポリエチレンワックス(比重0.93、軟化点120
℃)13%を配合した潤滑塗料を塗布し、板温130℃
にて焼付けて表4に示す膜厚の潤滑鋼板を作製した。
【0084】加工性の評価は、60mm深さの角筒高速
クランクプレスを行い、サンプルとダイスの金属接触に
よるかじりの発生状況を以下に示す評点づけで判定し
た。 3:かじり発生無し 2:僅かにかじり発生が認められるが許容されるレベル 1:かじりの激しいもの
【0085】加工後耐食性の評価は、60mm深さの角
筒高速クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面
部について、CCT60サイクル後の白錆発生状況を以
下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr
→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は
3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0086】溶接性の評価は、次に示すスポット溶接条
件で行った。 加圧力:200kgf 電極:Cu−Cr系合金、CF型、先端6mmφ 通電時間:10サイクル 連続溶接条件:ナゲット形成電流I0(板厚をtとした
とき、ナゲット径が4√t以上になる最小電流値)の
1.4倍の電流値(Ia)、1打点/3秒の速度、20
打点毎に30秒休止の条件で連続溶接 連続溶接終了:100打点毎にナゲット径測定用のサン
プルを0.85×Iaの電流値で溶接し、ナゲット径が
4√tより小さくなった時点を終了と判定
【0087】評価は、溶接点数500点以上を合格とし
た。評価結果を表4に示す。番号1、6は膜厚が本発明
の範囲外であるため加工性、耐食性が不合格となった。
番号5、10は膜厚が本発明の範囲外であるため溶接性
が不合格となった。これら以外はいずれも、加工性、耐
食性、溶接性が良好な結果となった。
【0088】
【表4】
【0089】(実施例5)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al
めっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめ
っき付着量を60g/m2に調整した。得られためっき
鋼板のめっき層中の組成はMg=3%、Al=5%であ
った。
【0090】また、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備
し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al−Siめっ
き浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき
付着量を60g/m2に調整した。得られためっき鋼板
のめっき層中の組成はMg=3%、Al=10%、Si
=0.15%であった。
【0091】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr
付着量50mg/m2の塗布クロメート処理を行い、表
5に示すエーテルエステルウレタン樹脂と表6に示すエ
ポキシ樹脂に平均粒径8nmのシリカゾル、粒径0.6
μmのポリエチレンワックス(比重0.93、軟化点1
20℃)を配合した潤滑塗料を表7に示す組成で塗布
し、板温130℃にて焼付けて膜厚3μmの潤滑鋼板を
作製した。
【0092】加工性の評価は、60mm深さの角筒高速
クランクプレスを行い、サンプルとダイスの金属接触に
よるかじりの発生状況を以下に示す評点づけで判定し
た。 3:かじり発生無し 2:僅かにかじり発生が認められるが許容されるレベル 1:かじりの激しいもの
【0093】加工後耐食性の評価は、60mm深さの角
筒高速クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面
部について、CCT40サイクル後の白錆発生状況を以
下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST6hr
→乾燥4hr→湿潤4hr→冷凍4hrを1サイクルと
した。評点は3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0094】評価結果を表7に示す。番号8、18はウ
レタン樹脂の分子量が小さいため加工性、耐食性が不合
格となった。これら以外はいずれも、加工性、耐食性が
良好な結果となった。特にエーテル・エステル型ウレタ
ン樹脂のポリエステル骨格に対するポリエーテル骨格の
重量比率が10:90〜70:30であり、且つ前記ウ
レタン樹脂の酸価が10〜50である塗料、エポキシ樹
脂がグリコール骨格又はビスフェノール型骨格を有する
タイプであって、ウレタン樹脂のカルボキシル基の20
〜100質量%と反応する比率でエポキシ樹脂が配合さ
れた塗料は非常に良好な加工性、耐食性を示した。
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【表7】
【0098】(実施例6)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al
めっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめ
っき付着量を60g/m2に調整した。得られためっき
鋼板のめっき層中の組成はMg=3%、Al=5%であ
った。
【0099】また、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備
し、これに浴温450℃のZn−Mg−Al−Siめっ
き浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき
付着量を60g/m2に調整した。得られためっき鋼板
のめっき層中の組成はMg=3%、Al=10%、Si
=0.15%であった。
【0100】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr
付着量50mg/m2の塗布クロメート処理を行い、分
子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフ
ェノールAエーテル:酸価18、エーテル/エステル比
=30/70、イソシアネート含有率8)とプロピレン
グリコールエポキシ樹脂(エポキシ当量220)に平均
粒径8nmのシリカゾルを21%、表8に示すワックス
13%を配合した潤滑塗料を塗布し、板温130℃にて
焼付けて膜厚3μmの潤滑鋼板を作製した。
【0101】加工性の評価は、60mm深さの角筒高速
クランクプレスを行い、サンプルとダイスの金属接触に
よるかじりの発生状況を以下に示す評点づけで判定し
た。 3:かじり発生無し 2:僅かにかじり発生が認められるが許容されるレベル 1:かじりの激しいもの
【0102】加工後耐食性の評価は、60mm深さの角
筒高速クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面
部について、CCT40サイクル後の白錆発生状況を以
下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST6hr
→乾燥4hr→湿潤4hr→冷凍4hrを1サイクルと
した。評点は3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0103】評価結果を表8に示す。いずれも良好な加
工性、耐食性を示した。特にケン化価が30以下又は0
であるワックス、粒径が0.1〜7.0μmのワックス
は良好な加工性、耐食性を示した。
【0104】
【表8】
【0105】(実施例7)まず、厚さ0.8mmの冷延
鋼板を準備し、これに400〜600℃の浴中のMg
量、Al量、Si量を変化させたZn−Mg−Al−S
iめっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングで
めっき付着量を60g/m2に調整した。得られためっ
き鋼板のめっき層中の組成を表9に示す。また、めっき
鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を
観察した結果を同じく表9に示す。
【0106】次に、このめっき鋼板を脱脂した後、Cr
付着量50mg/m2の塗布クロメート処理又は付着量
1.5g/m2のりん酸亜鉛処理を行い、分子量500
0のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフェノールA
エーテル:酸価18、エーテル/エステル比=30/7
0、イソシアネート含有率8)とプロピレングリコール
エポキシ樹脂(エポキシ当量220)に平均粒径8nm
のシリカゾルを21%、粒径0.6μmのポリエチレン
ワックス(比重0.93、軟化点120℃)13%を配
合した潤滑塗料を塗布し、板温130℃にて焼付けて膜
厚3μmの潤滑鋼板を作製した。
【0107】耐食性の評価は、60mm深さの角筒高速
クランクプレスを行ったサンプルのコーナー側面部につ
いて、CCT40サイクル後の白錆発生状況を以下に示
す評点づけで判定した。CCTは、SST6hr→乾燥
4hr→湿潤4hr→冷凍4hrを1サイクルとした。
評点は3以上を合格とした。 5:5%未満 4:5%以上10%未満 3:10%以上20%未満 2:20%以上30%未満 1:30%以上
【0108】評価結果は表9に示すとおりであり、本発
明材はいずれもよい耐食性を示した。めっき層中にMg
2Si相が観察されためっき鋼板は特に良好な耐食性を
示した。
【0109】
【表9】
【0110】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によりプ
レス油を塗布することなく厳しいプレス加工が可能で、
加工部の耐食性も十分に確保された潤滑鋼板を製造する
ことが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 B05D 7/24 302U B32B 15/08 B32B 15/08 G C23C 2/06 C23C 2/06 2/26 2/26 2/40 2/40 (72)発明者 宮内 優二郎 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 (72)発明者 田中 曉 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 (72)発明者 末宗 義広 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 Fターム(参考) 4D075 BB73X BB74X BB87X CA02 CA09 CA13 CA33 CA44 DA06 DB02 DC01 DC13 DC19 EA06 EA10 EB13 EB33 EB35 EB37 EB38 EB52 EB53 EB55 EB56 EB57 4F100 AA20D AA22C AB03A AB09B AB10B AB18B AB31B AJ11D AK03D AK51D AK53D AK62D AK66D AL05D BA04 BA05 BA07 BA10A BA10D DE01D EH46D EH71B EJ68C EJ69C GB07 GB32 GB48 JA04D JB01 JK06 JK16 YY00B YY00C YY00D 4K027 AA02 AA22 AB05 AB26 AB32 AB44 AC82 AE21 4K044 AA02 AB02 BA10 BA15 BA17 BA21 BB04 BC02 CA11 CA16 CA53

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に下層として、Mg:1〜1
    0質量%、Al:2〜19質量%を含有し、且つ、Mg
    質量%+Al質量%≦20質量%を満たし、残部がZn
    及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層を有し、
    その上にCr付着量5〜100mg/m2のクロメート
    被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩
    被膜の化成被膜を有し、更にその上にビスフェノール型
    骨格、エステル骨格及びカルボキシル基を有するエーテ
    ル・エステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂
    (b)の合計(a+b)が全固形分に対して50〜85
    質量%、ポリオレフィンワックス(c)を3〜30質量
    %、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40質量
    %含有する水性潤滑塗料を塗布して得られる膜厚0.2
    〜5μmの被膜を設けたことを特徴とする加工部の耐食
    性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板の表面に下層として、Mg:1〜1
    0質量%、Al:2〜19質量%、Si:0.01〜2
    質量%を含有し、且つ、Mg質量%+Al質量%≦20
    質量%を満たし、残部がZn及び不可避的不純物よりな
    るZn合金めっき層を有し、その上にCr付着量5〜1
    00mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2
    〜2.0g/m2のりん酸塩被膜の化成被膜を有し、更
    にその上にビスフェノール型骨格、エステル骨格及びカ
    ルボキシル基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹
    脂(a)とエポキシ樹脂(b)の合計(a+b)が全固
    形分に対して50〜85質量%、ポリオレフィンワック
    ス(c)を3〜30質量%、粒径3〜30nmのシリカ
    (d)を10〜40質量%含有する水性潤滑塗料を塗布
    して得られる膜厚0.2〜5μmの被膜を設けたことを
    特徴とする加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき
    鋼板。
  3. 【請求項3】 エーテル・エステル型ウレタン樹脂
    (a)のポリエステル骨格に対するポリエーテル骨格の
    重量比率が10:90〜70:30であり、且つ前記ウ
    レタン樹脂の酸価が10〜50であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の加工部の耐食性に優れた
    非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂(b)がグリコール骨格又
    はビスフェノール型骨格を有し、エーテル・エステル型
    ウレタン樹脂(a)のカルボキシル基の20〜100質
    量%と反応する比率で配合されていることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の加工部の耐食性に優れた
    非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィンワックス(c)の融点が
    70〜160℃、粒径が0.1〜7μmであることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の加工部耐食性に
    優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィンワックス(c)のケン化
    価が30以下又は0であり、且つ分岐を有する構造であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加工
    部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  7. 【請求項7】 Zn合金めっき層が〔Al/Zn/Zn
    2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と
    〔Zn2Mg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を
    有することを特徴とする請求項2に記載の加工部の耐食
    性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  8. 【請求項8】 Zn合金めっき層が〔Al/Zn/Zn
    2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と
    〔Zn2Mg相〕及び〔Al相〕が混在した金属組織を
    有することを特徴とする請求項2に記載の加工部の耐食
    性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  9. 【請求項9】 Zn合金めっき層が〔Al/Zn/Zn
    2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と
    〔Zn2Mg相〕及び〔Zn相〕、〔Al相〕が混在し
    た金属組織を有することを特徴とする請求項2に記載の
    加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
  10. 【請求項10】 Zn合金めっき層が〔Al/Zn/Z
    2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と
    〔Zn相〕及び〔Al相〕が混在した金属組織を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の加工部の耐食性に優
    れた非脱膜型潤滑めっき鋼板。
JP2001108011A 2001-04-06 2001-04-06 加工後の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板 Expired - Fee Related JP3702193B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001108011A JP3702193B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 加工後の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001108011A JP3702193B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 加工後の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002302776A true JP2002302776A (ja) 2002-10-18
JP3702193B2 JP3702193B2 (ja) 2005-10-05

Family

ID=18960231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001108011A Expired - Fee Related JP3702193B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 加工後の加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3702193B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004218050A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Toyo Kohan Co Ltd めっき鋼板用後処理液、それを用いた後処理めっき鋼板、およびその製造方法
JP2004218051A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Toyo Kohan Co Ltd 後処理めっき鋼板
JP2004225157A (ja) * 2002-11-27 2004-08-12 Nippon Steel Corp 鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板
JP2006022363A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Nippon Steel Corp 加工部耐食性に優れた表面処理鋼板
KR100775241B1 (ko) 2006-07-14 2007-11-12 주식회사 포스코 Zn-Mg 합금도금강판 및 그 제조방법
JP2010519415A (ja) * 2007-02-23 2010-06-03 コラス・スタール・ベー・ブイ 冷間圧延されかつ連続的に焼きなましされた高強度鋼ストリップ及び該鋼の製造方法
JP2011012310A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Nippon Steel Corp 有機被覆溶融Sn−Znめっき鋼板
CN104334764A (zh) * 2012-04-25 2015-02-04 安赛乐米塔尔研发有限公司 用于生产具有涂油Zn-Al-Mg涂层的金属板的方法和对应的金属板
WO2020129473A1 (ja) 2018-12-20 2020-06-25 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板
CN113755773A (zh) * 2021-08-12 2021-12-07 唐山钢铁集团高强汽车板有限公司 一种厚规格厚镀层锌铝镁带钢表面质量的控制方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004225157A (ja) * 2002-11-27 2004-08-12 Nippon Steel Corp 鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板
JP2004218050A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Toyo Kohan Co Ltd めっき鋼板用後処理液、それを用いた後処理めっき鋼板、およびその製造方法
JP2004218051A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Toyo Kohan Co Ltd 後処理めっき鋼板
JP2006022363A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Nippon Steel Corp 加工部耐食性に優れた表面処理鋼板
KR100775241B1 (ko) 2006-07-14 2007-11-12 주식회사 포스코 Zn-Mg 합금도금강판 및 그 제조방법
JP2010519415A (ja) * 2007-02-23 2010-06-03 コラス・スタール・ベー・ブイ 冷間圧延されかつ連続的に焼きなましされた高強度鋼ストリップ及び該鋼の製造方法
JP2011012310A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Nippon Steel Corp 有機被覆溶融Sn−Znめっき鋼板
CN104334764B (zh) * 2012-04-25 2017-07-14 安赛乐米塔尔研发有限公司 用于生产具有涂油Zn‑Al‑Mg涂层的金属板的方法和对应的金属板
CN104334764A (zh) * 2012-04-25 2015-02-04 安赛乐米塔尔研发有限公司 用于生产具有涂油Zn-Al-Mg涂层的金属板的方法和对应的金属板
US10294558B2 (en) 2012-04-25 2019-05-21 Arcelormittal Investigacion Y Desarrollo, S.L. Method for producing a metal sheet having oiled Zn—Al—Mg coatings, and corresponding metal sheet
US10865483B2 (en) 2012-04-25 2020-12-15 Arcelormittal Metal sheet having oiled Zn—Al—Mg coatings
WO2020129473A1 (ja) 2018-12-20 2020-06-25 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板
KR20210092258A (ko) 2018-12-20 2021-07-23 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 표면 처리 강판
US11795526B2 (en) 2018-12-20 2023-10-24 Jfe Steel Corporation Surface-treated steel sheet
CN113755773A (zh) * 2021-08-12 2021-12-07 唐山钢铁集团高强汽车板有限公司 一种厚规格厚镀层锌铝镁带钢表面质量的控制方法
CN113755773B (zh) * 2021-08-12 2023-08-25 唐山钢铁集团高强汽车板有限公司 一种厚规格厚镀层锌铝镁带钢表面质量的控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3702193B2 (ja) 2005-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3547414B2 (ja) 加工部の耐食性に優れ環境負荷の小さい非脱膜型潤滑めっき鋼板
JP3179446B2 (ja) 耐食性に優れためっき鋼板と塗装鋼板及びその製造方法
JP3145441B2 (ja) 潤滑性塗料
JP2743237B2 (ja) プレス油省略可能非脱膜型潤滑めっき鋼板
KR100744094B1 (ko) 윤활성 수계 폴리우레탄 수지 조성물, 그것을 사용한아연계 도금 강판의 표면 윤활 처리 방법 및 그 표면 처리강판
JP5782198B2 (ja) アルカリ可溶型潤滑皮膜を有する鋼板、その製造方法および組成物
JP2788131B2 (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金表面への複合皮膜形成方法
JP2002302776A (ja) 加工部の耐食性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板
JP2719571B2 (ja) 水系潤滑性塗料組成物
JP2001140080A (ja) 潤滑ステンレス鋼板及び潤滑ステンレス鋼管、並びに潤滑ステンレス鋼管製造方法
JP4157491B2 (ja) 加工性に優れた非脱膜型潤滑めっき鋼板
JP2003138385A (ja) 塗膜密着性と加工部の耐食性に優れ環境負荷の小さい非脱膜型潤滑めっき鋼板
JP4374289B2 (ja) 加工部耐食性に優れた表面処理鋼板
JP3174504B2 (ja) プレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法
JPH05255587A (ja) プレス加工性に優れた潤滑鋼板用皮膜組成物及びこれを使用した潤滑鋼板
JPH10237478A (ja) 傷付き部耐食性に優れた水系金属表面処理組成物
JP3174503B2 (ja) プレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法
JP3135815B2 (ja) プレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法
JP4002534B2 (ja) 塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板
JP2696461B2 (ja) プレス性および耐摺動摩耗性に優れた硬質潤滑めっき鋼板
JP3113171B2 (ja) プレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法
JP3059675B2 (ja) 着色潤滑処理鋼板およびその製造法
JPH0565667A (ja) 高性能潤滑めつき鋼板の製造方法
JPH10109376A (ja) 非アルカリ脱膜型潤滑樹脂処理鋼板およびその製造方法
JP2009255907A (ja) 耐食性に優れるワイパーアームおよびワイパーブレードならびにこれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050530

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050715

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3702193

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080722

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090722

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090722

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100722

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110722

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120722

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130722

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130722

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130722

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130722

Year of fee payment: 8

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130722

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees