JP2002302038A - 鉄道車両用一軸台車 - Google Patents

鉄道車両用一軸台車

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JP2002302038A JP2001099601A JP2001099601A JP2002302038A JP 2002302038 A JP2002302038 A JP 2002302038A JP 2001099601 A JP2001099601 A JP 2001099601A JP 2001099601 A JP2001099601 A JP 2001099601A JP 2002302038 A JP2002302038 A JP 2002302038A
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Hideaki Ezaki
秀明 江崎
Hirohide Matsushima
博英 松嶋
Noboru Kobayashi
昇 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 100%低床式の路面電車に好適であり、し
かも構造が簡単で軽量で、ピッチングを防止でき、最小
回転半径が急な曲線路においても車輪が線路に沿って円
滑に旋回して走行する鉄道車両用一軸台車を提供する。 【解決手段】 一対の軸梁12の中間位置の内側に車輪
14を回転自在に軸着し、各軸梁14の先端部間を横長
リンク15により枢支連結し、各軸梁12の基端側をク
ロスピン18を介して水平方向および垂直方向に旋回自
在に基部リンク16の先端部に連結し、基部リンク16
の基端を台車枠11に対し水平旋回自在に連結するとと
もに、台車枠11の基端を車体3に対し垂直方向に旋回
自在に連結し、各軸梁12の先端側に先端リンク17の
基端を水平旋回自在に連結するとともに、先端リンク1
7の先端を台車枠11の先端に水平旋回自在に連結して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両のうちで
も、とくに低床式路面電車に好適な一軸台車(一つの台
車枠に一対の車輪を備えた)に関するもので、詳しくは
回転半径の小さな(例えば30m未満)曲線路を走行可
能で、仮想回転中心を中心に左右の各車輪がそれぞれ旋
回する方式の一軸台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー、低公害およびバリ
アフリーなどの特性を有することから、LRT(Lig
ht Rail Transit)と称される路面電車
が再評価され、欧米をはじめ各都市で導入が進んでい
る。この種の路面電車は、車両重量が軽く、軌道上を走
行する台車部分を一軸台車で構成することができる。一
軸台車は周知のように、台車枠には左右に車輪を一つず
つしか備えていないことから、台車がピッチングしやす
いという欠点がある。
【0003】そこで、例えば車両の床面が軌道上からか
なり高い位置(800〜1100mm)に位置している
高床式の一軸台車では、台車枠の前後に上下一対のラジ
アスロッドを配置して、これらのロッドの踏ん張りによ
ってピッチングを防止するようにした、DSB(Dan
ske Stads Banen)と称される構造の台
車が提案されている。
【0004】その他の先行技術として、特開平10−2
50573号公報に記載の一軸台車がある。この台車
は、1本の輪軸の両端を台車枠に支持し、この台車枠と
車体との間に複数個の枕ばねを介して車体を支持し、前
記台車枠と前記車体とを前後方向の相対的な移動を規制
する牽引機構により連結した構造からなっている。
【0005】また、特許第2788047号掲載公報に
記載の台車がある。この台車は二軸台車で、台車枠に対
し前後2つの車軸の中央部が軸受手段を介してハの字形
リンクにより支持されるとともに、スリ板を介して台車
の旋回時に車軸の前後方向および左右方向の摺動が可能
なように構成されている。
【0006】ところで、上記した先行技術に係る各台車
は、いずれも左右の車輪を軸支した台車ごと旋回させて
曲線路を走行する構造からなることから、曲線路の回転
半径が例えば30m以下のような急なカーブになると、
カーブした軌道に沿って車輪が追随して旋回(操向)で
きなくおそれがある。つまり、そのような急カーブでは
台車の左右の車輪を個々に独立して旋回(操向)させる
必要があるが、こうした構造の台車については、例えば
欧州特許公開第308720号に提案されている。この
台車においては、台車枠の内側に垂直なピン(一種のキ
ングピン)を介して相対向する一対の車輪をそれぞれ水
平旋回自在に支持している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のDSB台車および上記の2件の公報ならびに欧
州特許公開公報に記載の台車では、次のような点で不都
合がある。
【0008】すなわち、車両の床面の高さが軌道から3
00mm程度しかない低床式の路面電車に適用しようと
する場合に、台車が配置される位置の床面をかなり高く
する必要があり、床面に凹凸が生じる。いいかえれば、
100%低床式の路面電車には適用できない。また、特
許第2788047号掲載公報に記載の台車は二軸台車
であり、また各車軸は回転式でそれらの中央部を軸受手
段で支持する構造であるから、一軸台車を対象とし、左
右の車輪を連結する車軸部分を省こうとする本発明の対
象とする台車には不向きである。
【0009】さらに、上記欧州特許公開公報に記載の台
車は、台車枠に駆動用モーターが搭載され、台車枠に装
着された減速機を介して車輪に駆動力が伝達されるが、
上記したとおり車輪は台車枠に対し水平方向に旋回(操
舵)するように構成されていることから、等速ボールジ
ョイントなどの複雑な動力伝達機構を使用する必要があ
るために、全体的な構造が非常に複雑になる。
【0010】本発明は上述の点に鑑みなされたもので、
100%低床式の路面電車に好適であり、しかも構造が
簡単で軽量で、ピッチングを防止でき、最小回転半径が
30m以下の急な曲線路においても車輪が線路に沿って
円滑に旋回して走行する鉄道車両用一軸台車を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明に係る鉄道車両用一軸台車は、a)左右一対
の軸梁の前後方向の中間位置の内側に車輪を車軸を介し
て回転自在に軸着し、各軸梁を先端部で横長リンクによ
り回転自在にそれぞれ枢支連結し、b)前記各軸梁の基
端側を、クロスピンを介して水平方向および垂直方向に
旋回自在に基部リンクの先端部に連結し、該基部リンク
の基端を車体又は該車体に垂直旋回自在に連結した台車
枠に対し水平旋回自在に連結し、c)前記各軸梁の前後
方向の中間位置又は先端寄りに先端リンクの基端を球面
軸受あるいは垂直方向および前後方向の相対変位を許容
する弾性体を介在させて水平旋回自在に連結するととも
に、該先端リンクの先端を車体又は台車枠に球面軸受あ
るいは垂直方向および前後方向の相対変位を許容する弾
性体を介在させて水平旋回自在に連結し、d)前記各車
輪が、平面視において前記基部リンクの前後の連結部を
結ぶ直線の延長線と前記先端リンクの前後の連結部を結
ぶ直線の延長線が交差する交点を仮想回転中心として水
平方向に旋回するように構成したことを特徴とする。
【0012】あるいは請求項2に記載のように、A)左
右一対の軸梁の前後方向の中間位置の内側に車輪を車軸
を介して回転自在に軸着し、各軸梁を先端部で横長リン
クにより回転自在にそれぞれ枢支連結し、B)前記各軸
梁の基端側を,クロスピンを介して水平方向および垂直
方向に旋回自在に基部リンクの先端部に連結し、該基部
リンクの基端を台車枠に対し水平旋回自在に連結すると
ともに、該台車枠の基端を車体に対し垂直方向に旋回自
在に連結し、C)前記各軸梁の前後方向の中間位置又は
先端寄りに先端リンクの基端を球面軸受あるいは垂直方
向および前後方向の相対変位を許容する弾性体を介在さ
せて水平旋回自在に連結するとともに、該先端リンクの
先端を前記台車枠の先端に球面軸受あるいは垂直方向よ
び前後方向の相対変位を許容する弾性体を介在させて水
平旋回自在に連結し、D)前記各車輪が、平面視におい
て前記基部リンクの前後の連結部を結ぶ直線の延長線と
前記先端リンクの前後の連結部を結ぶ直線の延長線が交
差する交点を仮想回転中心として水平方向に旋回するよ
うに構成したことを特徴とする。
【0013】上記の構成を有する本発明(請求項1又は
2)に係る一軸台車によれば、左右の各軸梁は車体に対
し水平方向における車輪の旋回(操向)を許容するよう
に、図5のように横長リンクを介して前記基部リンクの
前後の連結部を結ぶ直線の延長線と前記先端リンクの前
後の連結部を結ぶ直線の延長線とが交差する左右の各交
点O・O’をそれぞれ仮想回転中心にして水平に旋回
し、各車輪も交点O・O’をそれぞれ仮想回転中心にし
て水平に旋回する。このとき、左右の軸梁の傾倒は前後
両端で車体に対し垂直な軸の回りに回転する先端リンク
と基部リンクとでそれぞれ支持されていることにより、
阻止される。つまり、左右の各車輪は軸梁に車軸を介し
て軸着されているが、左右の各交点O・O’をそれぞれ
仮想回転中心にして水平に旋回するから、例えば最小回
転半径が30m以下の曲線路においても各車輪が線路
(軌道)のカーブに沿って円滑に旋回して走行する。
【0014】また、左右の各交点O・O’は仮想回転中
心であって、実際には車輪は車軸を介して軸梁に回転可
能に軸支されているから、軸梁に搭載した駆動モーター
により動力伝達機構および減速機などを介して駆動力を
車輪に伝達することができるので、軸梁に対し車輪を旋
回自在に装備した上記欧州特許公開公報に記載の台車と
違って動力伝達構造を簡略にできる。しかも、とくに低
床式路面電車の場合には、車体と台車との力の受け渡し
を車体の一カ所で行なうよりも、複数カ所で行なうこと
ができ、車体台枠の強度面から有利であり、また各軸梁
が旋回中心の1カ所で荷重を負担するのに比べて、前後
に2つのリンクを用いたことにより複数カ所に負荷を分
散でき、軸梁の負担を軽減できる。
【0015】また、前記台車枠の基端を車体に対し、吊
りリンクを介して左右方向に揺動自在に連結するととも
にラジアスロッドを介して前後方向にも連結することが
好ましい。
【0016】この構成により、車体に対する一軸台車の
幅(左右)方向の相対移動が可能になり、たとえば車体
と一軸台車間に緩衝ばねを介在させることにより車体の
横揺れ等が緩和される。
【0017】さらに、前記車輪の旋回時に内軌側車輪の
回転角(操舵角)が外軌側車輪の回転角(操舵角)より
も大きくなるように構成することが好ましい。
【0018】この構成により、内外の車輪の回転角(操
舵角)が曲線部における軌道の曲率にほぼ一致するよう
になって外軌道側に大きな押圧力が作用するのが防止さ
れるから、軌道の曲線部に沿ってスムーズに旋回する。
【0019】さらにまた、前記車輪の旋回時に、前記基
部リンクの軸梁側連結点が、前記先端リンクの両側の連
結点と前記基部リンクの車体側又は台車枠側連結点とを
結ぶ三角形の領域内に常に位置するようにすることが望
ましい。
【0020】この構成により、車輪は先端リンクの左右
の連結点を結ぶ直線と基部リンクの前後の連結点を結ぶ
直線の延長線との交点を仮想回転中心として円弧状の軌
道(図14参照)に沿って安定しかつ円滑に旋回する。
【0021】また、前記軸梁と前記台車枠の先端寄り間
に軸ばねが介装されるとともに、前記台車枠と前記車体
間に枕ばねが介装されることが好ましい。
【0022】この構成からなるサスペンションによる
と、側面視における基部リンクの傾斜がなく、クロスピ
ン、垂直支軸および水平支軸によるニーアクションのサ
スペンションが構成されているために、車輪の踏面に前
後方向の接線力(具体的には力行や制動力)が作用して
も、その作用力の影響によってわずかに軸ばね荷重など
が変化するだけであるから、車輪および車軸部材が車体
に対して相対的に大きなピッチング変位を起こすことが
ない。また車体は、このように軸ばねによる1次系のサ
スペンションと枕ばねによる2次系のサスペンションと
の2つのサスペンションで上下に揺動自在に支持される
ために、乗り心地を良好にできる。
【0023】さらに、前記先端リンクに代えて、前後方
向に比べ左右方向に高い剛性をもつ、積層ゴムなどの弾
性体を前記軸梁と前記車体又は台車枠との間に介設する
ことができる。
【0024】この構成により、前記弾性体が左右方向の
相対変位を拘束して実質的に先端リンクと同様の作用を
奏するので、先端リンクを省くことが可能になって構造
が間単になり、軽量化が図れる。
【0025】さらにまた、前記先端リンクに代えて、基
端(後端)リンクの前後端を前記各軸梁の基端側と前記
車体又は前記台車枠とにそれぞれ球面軸受あるいは垂直
方向および前後方向の相対変位を許容する弾性体を介在
させて水平旋回自在に連結することができる。
【0026】この構成によれば、車輪の操向(旋回)に
対して軸梁や基端リンクの幾何学的な長さの変化(伸縮
率)が少なくなるので、基端リンクを軸梁の基端側と台
車枠に枢支結合する支軸の基端リンク側の孔径を小さく
したり、球面軸受を省いたりできる。
【0027】また、前記台車枠の側梁(前後方向部材)
の先端位置を前記車輪のほぼ中心位置付近に短縮するこ
とができる。
【0028】この構成により、台車枠の側梁(前後方向
部材)の長さが短縮され、台車枠を含む台車全体の重量
が軽減される。
【0029】前記各軸梁の基端側を基部リンクの先端部
に水平旋回自在に連結するとともに、該基部リンクの基
端を車体に垂直旋回自在に連結した台車枠又は車体に対
しクロスピンを介して水平方向および垂直方向に旋回自
在に連結することができる。
【0030】この構成によっても、上記の各一軸台車と
同様に所期の作用効果を達成できる。
【0031】前記各軸梁の一部を駆動用モーターで構成
し、該軸梁の車輪取付箇所に減速機を一体に組み込むこ
とができる。
【0032】この構成により、駆動用モーターのケーシ
ングや減速機のケーシングにより軸梁の一部を形成でき
るから、軸梁に別個にモーターや減速機を装着する場合
に比べて構造が簡素化されかつ軽量化される。なお、本
構成は駆動系台車に限られるもので、非駆動系台車の場
合には軸梁部材だけで軸梁が構成される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の鉄道車両用一軸台
車を低床式路面電車に適用した実施例について図面を参
照して説明する。
【0034】図1は本発明の実施例に係る一軸台車を適
用した100%低床式2両編成の連接車両を示す側面
図、図2は本発明の実施例に係る一軸台車を適用した1
00%低床式単一車両を示す側面図である。図4は本発
明の実施例に係る図1・図2の車両の左端に配置した一
軸台車を示すもので、図4(a)は右半分を省略した拡
大平面図、図4(b)は左側面図、図4(c)は図4
(a)の背面図である。図5は図4の一軸台車が左方向
に旋回した状態を示す平面図で、台車枠を省略してい
る。
【0035】図1および図2に示すように、各路面電車
1・1’は床面3が軌道としてのレール9から300m
mもしくは330mmの高さに位置する100%低床式
で、台車は全て一軸台車10からなり、床面3は一軸台
車10の位置で幅がやや狭くなっているが、車体2の全
長にわたり平坦な床面から構成されている。
【0036】図5に示すように、一軸台車10は台車枠
11、軸梁12、車軸13、車輪14および複数のリン
ク15〜17を備えている。台車枠11は平面視「略
コ」の字形で側方より見て略L形で、かつ後方より見て
下向きに凹状に形成され、幅方向において両側縦部材1
1aの下端で横部材11bにより連結されている。台車
枠11は両側上部に一対の側梁11cを備え、台車枠1
1の後端両側に連結片11dがそれぞれ後方へ突設さ
れ、車体2の下面に下向けに突設されたブラケット19
を介して連結片11dが横向きのピン19aにより台車
枠11が垂直方向に旋回自在に連結されている。
【0037】一対の軸梁12の基端側12aが上下二股
状に形成され、軸梁12の先端部12bは内向きに屈曲
し、この屈曲部12bの先端間に横長リンク15の両端
が縦向きのピン15aにより枢支連結されている。軸梁
12の基端二股部12a間にはクロスピン18の縦ピン
18aが跨がって水平旋回可能に連結されている。ま
た、平面視において先端部16aが左右二股状に形成さ
れ基端部16bが三角形状に絞られかつ上方へ延設され
た平面視略五角形の基部リンク16の二股状先端部16
a間に、クロスピン18の横ピン18bが垂直方向に旋
回自在に連結され、基部リンク16の基端部16bが台
車枠11の後端部両側に縦向きの支軸16cにより水平
方向に旋回可能に枢支連結されている。
【0038】各軸梁12の前後方向の中間位置よりやや
前方寄りで内側に、車輪14が車軸13を介して回転自
在に支承されている。本例では、車軸13に車輪14の
中心部が一体回転可能に固定され、車軸13が軸受(不
図示)を介して軸梁12に対し回転自在に支持されてい
る。本例の駆動用台車の場合、軸梁12内の車軸13の
位置にハイポイドギヤなどの減速機20としての歯車が
一体に組み込まれており、後方に隣接して軸梁12の一
部を構成する駆動用モーター21からの駆動力が減速機
20により減速されて車軸13に伝達され、車輪14が
回転する。
【0039】台車枠11の先端部は軸梁12の先端より
も前方へ突出しかつ外側へ屈曲しており、この屈曲部1
1fの先端二股部11eと軸梁12の上部先端二股部1
2eの間に一対の先端リンク17が後方へ向け「略ハ」
の字形に配置され結合される。各結合部11e・12e
は、先端リンク17の前後両端が縦向きの支軸17a・
17bを介し、かつリンク17の端部と各二股部11e
・12e間に隙間を設けるとともに、隙間にゴムなどの
弾性体(不図示)を介在させて上下方向の相対的変位を
許容するとともに、前後方向の相対変位も許容するよう
に構成されている。これらのうちの一つ(上下方向の相
対的変位許容)は台車枠11との間で軸梁12の上下動
を可能にしてクッション性をもたすためで、本例では、
軸梁12の車軸13の位置と台車枠11との間に1次系
サスペンションを構成する積層ゴムや圧縮スプリングな
どの弾性体からなる軸ばね22を介設している。また、
台車枠11の側梁11cの前後方向のほぼ中間位置に空
気ばねやゴムばねやコイルばねなどの弾性体からなる枕
ばね23が配置され、この枕ばね23上に車体2を支持
して2次系サスペンションを構成している。また、他の
一つ(前後方向の相対的変位許容)は、軸梁12が車輪
14とともに水平方向に旋回する際に前後方向にも変位
するためこれを許容する必要があるからで、支軸17a
・17bを支持する先端リンク17側の孔(不図示)を
大きくしたり、支軸17a・17bによる結合に代えて
球面軸受24(図10参照)を用いたりする。
【0040】上記のようにして本例の一軸台車10が構
成されるが、連接車両1の右端および単一車両1の右端
の一軸台車10’は、一軸台車10の各構成部材と前後
方向が対称に配置されるだけで、基本的に共通する。ま
た連接車両1の連接箇所に配置される一軸台車10”
は、一軸台車10と共通のものを使用することができ
る。
【0041】図5には本例の一軸台車10が車体2(お
よび台車枠11)に対し相対的に左旋回した状態を示す
が、基部リンク16の前後両端の結合部(連結部)を結
ぶ直線の延長線と先端リンク17の前後両端の結合部
(連結部)を結ぶ直線の延長線とが交差する交点O・
O’を仮想旋回中心として、左右の車輪14および軸梁
12がそれぞれ一体的に旋回する。直進状態では、図4
(a)に示すように左側車輪14の仮想回転中心Oが車
輪14の外側で車軸13の中心線の延長線上にくるが、
車輪14の旋回角度が小さいときにはその仮想回転中心
Oを中心に旋回する。このとき、先端リンク17は前端
側の支軸17aを中心に時計方向に旋回するとともに、
基部リンク16が後端(基端)の縦向きの支軸16cを
中心に時計方向に旋回する。車輪14および軸梁12
は、台車枠11に対して前後両端が縦向きの支軸16c
・17aにより支持されたリンク16・17にて支持さ
れているから、垂直方向に傾倒することがない。なお、
先端リンク17が支軸17aを中心に旋回する際に、先
端リンク17を長さ方向に伸縮させるように軸梁12が
前後方向に変位するが、これは上記したように先端リン
ク17側の孔(不図示)を大きくしたり、球面軸受を用
いたりすることで解決できる。また、先端リンク17
を、図11のように伸縮可能な構造にして対応すること
ができ、この場合には先端リンク17が孔を支軸17a
・17bの外径に比べて大きくしなくて済み、また球面
軸受24(図10参照)も不要になる。なお、図5では
仮想旋回中心O・O’が左右の各車輪14の外側の位置
から遠く隔たった位置にあるが、これは軸梁12や基部
リンク16、先端リンク17などの寸法や寸法比や連結
点などを調整することで、各車輪14の外側にくるよう
になる。
【0042】図5に示すように、本例の一軸台車10に
よれば、左右の車輪14がそれぞれレール9の曲線・直
線に沿って交点O・O’を仮想旋回中心として独立して
旋回しながら走行するから、回転半径30m以下の急カ
ーブにおいても円滑に走行する。
【0043】図6は本発明の第2実施例に係る一軸台車
10−2を示すもので、図6(a)は直線走行状態にお
ける平面図、図6(b)は同左側面図、図6(c)は左
方向に旋回した曲線走行状態を示す平面図である。
【0044】図6に示すように、本例の一軸台車10−
2が上記した第1実施例に係る台車10と相違するとこ
ろは次の点である。すなわち、 軸梁12の先端側と
台車枠11を連結していた先端リンク17を取り除き、
代わりに「略ハ」の字状に配置した一対の基端リンク3
1にて軸梁12の基端側と台車枠11を連結したこと、
これに伴って、基端リンク31の前後の結合位置(連結
部)を結ぶ直線の延長線と基部リンク16の前後の結合
位置(連結部)を結ぶ直線の延長線との交点O・O’を
仮想回転中心として左右の車輪14が旋回するようにな
る。 また基端リンク31による軸梁12の連結位置
を先端側から基端側に変更したことにより、台車枠11
の側梁11cを先端方向に延長する必要がなくなったの
で、側梁11cの先端位置を車輪14の位置付近に短縮
したことである。
【0045】本例の場合は、図6(c)からも推測され
るように、車輪14の操向(旋回)に対して軸梁11や
基端リンク31の幾何学的な長さの変化(伸縮率)が少
なくなるという利点が生じるので、基端リンク31を軸
梁12の基端側と台車枠11に枢支結合する支軸31a
・31bの基端リンク31側の孔径を小さくできる。そ
の他の構成および作用については上記台車10の場合と
共通するので、共通の部材を同一の符号を用いて示し説
明を省略する。
【0046】図7および図8は本発明の第3実施例に係
る一軸台車10−3を示すもので、図7(a)は直線走
行状態における右半分を省略した平面図、図7(b)は
同左側面図、図7(c)は右半分を省略した背面図であ
る。図8(a)は図7(b)のa−a線断面図、図8
(b)は左方向に旋回した曲線走行状態を示す平面図で
ある。
【0047】本例の一軸台車10−3が上記した第1実
施例に係る台車10と相違するところは次の点である。
すなわち、図7に示すように、 基部リンク16の前
後の向きを逆にし、軸梁12の基端二股部12aに基部
リンク16の先端を縦のピン16cにて水平旋回自在に
連結し、基部リンク16の基端をクロスピン18を介し
て台車枠11の後端に垂直方向および水平方向へ旋回自
在に連結したこと、台車枠11の側梁11cの先端側
を実施例2の台車10−2と同様に車輪14の位置に短
縮したこと、 先端リンク17を取り除くとともに軸
ばね22を省き、代わりに図8(a)に示すように縦断
面山形のゴムを積層した弾性体28にて、台車枠11の
側梁11cの先端部下面と軸梁12の車軸13位置の上
面との間を連結し、上下方向・左右方向および前後方向
に相対変位(台車枠11と軸梁12との間)を許容する
ようにしたことである。その他の構成については、上記
した第1実施例の台車10と共通するので、共通の部材
については同一の符号を用いて示し説明を省略する。
【0048】本例の一軸台車10−3によれば、急なカ
ーブを走行する際には、図8(b)に示すように、車軸
13の中心線上で車輪14と軸梁12の内面との中間位
置Oを中心に車輪14および軸梁12がそれぞれ一体的
に旋回(操向)する。この状態で、弾性体28は前後方
向および左右方向に圧縮変形され、台車枠11に対する
軸梁12の前後方向および左右方向への相対変位を吸収
する。また、一軸台車10−3の上記構成からなるサス
ペンション機構によると、側面視における基部リンク1
6の左右方向における傾斜がなく、クロスピン18、垂
直支軸16cおよび横向きのピン19aによるニーアク
ションのサスペンションが構成されているために、車輪
14の踏面に前後方向の接線力(具体的には力行や制動
力)が作用しても、その作用力の影響によってわずかに
弾性体28によるばね荷重などが変化するだけであるか
ら、車輪14が車体2に対して相対的に大きなピッチン
グ変位を起こすことがない。さらに、車体2は、軸ばね
22に代わる弾性体28による1次系のサスペンション
と枕ばね23による2次系のサスペンションとの2つの
サスペンションで上下に揺動自在に支持されるために、
乗り心地を良好にできる。
【0049】図9は本発明の第4実施例に係る一軸台車
10−4を示すもので、図9(a)は直線走行状態にお
ける右半分を省略した平面図、図9(b)は同左側面
図、図9(c)は2自由度系(左側)と1自由度系(右
側)を模式的に表わした正面図である。
【0050】本例の一軸台車10−4が上記した第1実
施例に係る台車10と相違するところは次の点である。
すなわち、図9(a)・(b)に示すように、台車枠1
1および枕ばね23を省いて、軸梁12上の軸ばね22
上に車体2を支持したことである。車体2に基部リンク
16’の基端を垂直な支軸29により支持し、この基部
リンク16’の先端に軸梁12の基端側をクロスピン1
8にて結合するとともに、軸梁12の先端側は先端リン
ク17によりある程度の上下動を許容して車体2に結合
している。なお、基部リンク16’の前後の連結部を結
ぶ直線の延長線と先端リンク17の前後の連結部を結ぶ
直線の延長線とが交差する交点O・O’を仮想回転中心
として車輪14が旋回することは共通している。
【0051】したがって、本例の一軸台車10−4は図
9(c)の右側に示すように、車体mを1次系サスペン
ション(軸ばね22)だけにより支持した1自由度系の
構造からなり、構造が簡素化されるが、機能的には上記
した一軸台車10〜10−3と概ね共通する。また、乗
り心地を改善するためには、ゴムタイヤなどの弾性車輪
を使用する。なお、上記した一軸台車10〜10−3
は、図9(c)の左側に示すように、車体mを1次系サ
スペンション(軸ばね22)および台車枠m’を介して
2次系サスペンション(枕ばね23)により支持した2
自由度系の構造からなる。
【0052】図10は上記した先端リンク17や基端リ
ンク31の結合箇所の一方あるいは両方に適用可能な球
面軸受を表わすもので、この球面軸受24は、図10に
示すように先端リンク17の端部の取付孔17hと台車
枠11の先端側および軸梁11の先端側の先端二股部1
1e・12eとの間に配置される。球面状の内輪体24
aの周囲に球面状の外輪体24bが回転自在に外装さ
れ、リンク17の取付孔17h内に外輪体24bがサー
クリップ24cを介して嵌着されている。一方、二股部
11e・12eの孔(11h・12h)および内輪体2
4aの中心部の貫通孔24dを上下方向に貫通して支持
ピン24eが嵌挿され、支持ピン24eのねじ部にナッ
ト24fが螺合して締め付けられる。支持ピン24eの
周囲には、内輪体24aを上下から挟持するように座金
24gが嵌挿されている。また、球面軸受24に代え
て、ユニバーサルジョイント又はゴムなどの弾性体から
なる連結具を用いて全方向の揺動を許容して連結するこ
とができる。
【0053】図11は伸縮可能な構造を備えた先端リン
ク17の実施例を示す断面図で、図11(a)は常態
を、図11(b)は伸長状態を、図11(c)は収縮状
態をそれぞれ現している。これらの図に示すように、先
端リンク17は、一端を開口した円筒体61内に円柱状
のロッド62を出入り自在に挿入しており、円筒体61
の内部は口径の異なる2段階の孔部61a・61bに形
成し、これに対応してロッド62も大径部62a・62
bと小径部との2段に形成している。大口径側孔部61
a内においてロッド62の小径部62bの周囲に一対の
リング63・63を外装し、リング63間にコイルスプ
リング64を縮装した構造からなる。この構造により、
先端リンク17は伸長時および収縮時のどちらでも、コ
イルスプリング64の付勢力に抗して伸長あるいは収縮
して緩衝する。なお、符号65はロッド62の先端ねじ
部に螺合し締着したナットで、ナット65の内側にはス
トッパー66を介装してリング63の抜けを防止してい
る。
【0054】図12以降は本発明の一軸台車のさらに別
な実施例を示すもので、図12(a)は直進状態の平面
図、図12(b)は左旋回状態の平面図、図13(a)
は左側面図、図13(b)は図12(a)のア−ア線断
面図である。
【0055】本例の一軸台車10−5は、図4・図5に
示す一軸台車10において、台車枠11の先端(前端)
側と軸梁12の中間位置とを連結する先端リンク17’
を、車輪14の車軸13の中心軸の延長線上に配置し、
軸梁12の基端(後端)側と台車枠11の後端寄りを連
結する左右の基部リンク16”の前後の連結部を結ぶ直
線を、後方に向け「ハ」の字状に配置し、車軸13の中
心軸の延長線上にある先端リンク17’の左右の連結部
を結ぶ直線と基部リンク16”の前後の連結部を結ぶ直
線の延長線とが交差する交点O・O’を仮想回転中心と
して車輪14が旋回する。なお、図12において符号4
1はストッパーで、基部リンク16”の回転角を規制す
るためのもので、左右に設けられている。
【0056】図14〜図16は上記実施例の一軸台車1
0−5の直進状態、左旋回状態、右旋回状態を順に示す
平面模式図で、図14に示すように、反時計回りを正と
すると、左側車輪14の回転角αは直進状態を0.0゜
とした場合に、左最大旋回時が+13.6゜、右最大旋
回時が−15.7゜であり、左側基部リンク16”の前
後の連結部を結ぶ直線の回転角βは、直進状態において
台車の左右対称軸の角度を0.0゜とした場合に、+1
9.4゜(したがって右側基部リンク16”の回転角
β’は−19.4゜)であり、左最大旋回時(図15)
の左側基部リンク16”の回転角βは+14.0゜(右
側基部リンク16”の最大回転角β’は+26.4
゜)、右最大旋回時(図16)の左側基部リンク16”
の最大回転角βは+26.4゜(右側基部リンク16”
の最大回転角β’は−14.0゜)である。このように
車輪14の旋回時に左右の基部リンク16”の回転角に
差異が生じるのは、自動車と同様に左右の車輪14の操
舵角が異るからである。なお、図15・図16では、内
軌側と外軌側の操舵角がほぼ等しく示されているが、こ
れは軸梁12や基部リンク16”などの各構成部材の寸
法や基部リンク16”の連結点の位置などを調整してい
ないためで、それらを調整することにより内軌側の操舵
角が外軌側の操舵角に比べて大きく操舵されるようにな
る。また、図19に車輪14が左旋回状態から直進状態
さらに右旋回状態に至る過程をリンク16”・17’等
の動作とともに表している。
【0057】図17および図18は別の実施例に係る一
軸台車を示すもので、本例の一軸台車10−6が上記実
施例の一軸台車10−5が相違するところは下記の点で
ある。すなわち、図17に示すように、台車枠11の幅
方向の揺動を許容するため、車体2の底面にブラケット
43を介して吊りリンク42の上端を前後方向の枢支軸
42aを介して幅方向に揺動自在に枢支連結し、吊りリ
ンク42の下端を台車枠11の後端に前後方向の枢支軸
42bを介して幅方向に揺動自在に枢支連結している、
また、台車枠11の後方で車体2の底部前面にブラケッ
ト45を介して幅方向の枢支軸44aにより後端に連結
したラジアスロッド44の前端を、台車枠11の後端に
幅方向の枢支軸44bにより連結している。そのほか、
基部リンク16”の後端をクロスピン18により台車枠
11に連結し、前端を縦向きの枢支軸16cにより軸梁
12の後端に連結している。さらに、軸梁12にはホイ
ールモータ21を一体に組み込み車軸13を介して車輪
14を駆動するようにている。以上の構成以外は、上記
実施例と共通するので、共通する部材には同一符号を付
して示し、説明を省略する。なお、以上の構成からなる
本例に係る一軸台車10−6は、図18に示すように吊
りリンク42が幅方向に傾動することにより、一軸台車
10−6の車体2に対する幅方向の移動を許容する。
【0058】ところで、図14に上記した一軸台車10
−5および10−6に関する仮想回転中心についての説
明を示すように、鉄道車両が安定して旋回するには、仮
想回転中心Oを車輪14の外側に位置させる必要があ
り、そのためには、軸梁12にほぼ直交する方向に配置
された先端リンク17’の連結点C−Dおよび基部リン
ク16”の車体2側連結点Bの3点を結んで形成される
三角形の領域内に、基部リンク16”の軸梁12側連結
点Aが配置されるようにすればよい。この結果、車輪1
4は先端リンク17’の左右の連結点C−Dを結ぶ直線
と基部リンク16”の前後の連結点A−Bを結ぶ直線の
延長線との交点Oを仮想回転中心として円弧状の実線に
沿って安定しかつ円滑に旋回する。
【0059】図3は部分定床式の2両編成路面電車を示
すもので、車両の前部又は後部(端部)の床面3を他の
部分に比べて高くしている。このため、本例の路面電車
1”では、連接部の台車10”を除いて上記した本発明
の一軸台車10〜10−4に限らず、左右の車輪14・
14間を車軸で連結した従来の一般的な台車(不図示)
を使用することができる。
【0060】以上に本発明の一軸台車に関する実施例を
示したが、上記の実施例に限らず例えば一軸台車10−
4において基部リンク16’の前後の向きを逆にした
り、一軸台車10−2や10−3において基部リンク1
6の向きを逆にしたりするなど、種々の組み合わせが可
能である。また、本発明は低床式路面電車に限らず、床
の位置が高い一般的な路面電車や軽量化を図った鉄道車
両に適用できることは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明に係る鉄道車両用一軸台車には、次のような優れ
た効果がある。
【0062】(1)100%低床式の路面電車に好適で
連接台車にも適用可能であり、しかも構造が簡単で軽量
で、一軸でピッチングを防止でき、最小回転半径が30
m以下の急な曲線路においても車輪が線路に沿って円滑
に旋回して走行する。
【0063】(2)左右の各軸梁は車体に対し水平方向
における車輪の旋回(操向)を許容するように、図5の
ように横長リンクを介して前記基部リンクの前後の連結
部を結ぶ直線の延長線と前記先端リンクの前後の連結部
を結ぶ直線の延長線とが交差する左右の各交点O・O’
をそれぞれ仮想回転中心にして水平に旋回し、各車輪も
交点O・O’をそれぞれ仮想回転中心にして水平に旋回
する。このとき、左右の軸梁は前後両端で車体に対し垂
直な軸の回りに回転する先端リンクと基部リンクとでそ
れぞれ支持されていることにより、軸梁の傾斜が阻止さ
れる。つまり左右の各車輪は軸梁に車軸を介して軸着さ
れているが、左右の各交点O・O’をそれぞれ仮想回転
中心にして水平に旋回するから、例えば最小回転半径が
30m以下の曲線路においても各車輪が線路(軌道)の
カーブに沿って円滑に旋回して走行する。
【0064】(3)また、左右の各交点O・O’は仮想
回転中心であって、車輪は車軸を介して軸梁に回転可能
に軸支されているから、軸梁に搭載した駆動モーターに
より動力伝達機構および減速機などを介して駆動力を車
輪に伝達することができるので、軸梁に対し車輪を旋回
自在に装備した上記欧州特許公開公報に記載の台車と違
って動力伝達構造を簡略にできる。とくに低床式路面電
車の場合には、車体と台車との力の受け渡しを車体の一
カ所で行なうよりも、複数カ所で行なうことができ、車
体台枠の強度面から有利であり、また各軸梁あるいは台
車枠が旋回中心の1カ所で荷重を負担するのに比べて、
前後に2つのリンクを用いたことにより2カ所に負荷を
分散でき、軸梁の負担を軽減できる。
【0065】(4)前記軸梁と前記台車枠の先端寄り間
に軸ばねが介装されるとともに、前記台車枠と前記車体
間に枕ばねが介装されることにより、側面視における基
部リンクの傾斜がなく、クロスピン、垂直支軸および水
平支軸によるニーアクションのサスペンションが構成さ
れているために、車輪の踏面に前後方向の接線力(具体
的には力行や制動力)が作用しても、その作用力の影響
によってわずかに軸ばね荷重などが変化するだけである
から、車輪および車軸部材が車体に対して相対的に大き
なピッチング変位を起こすことがない。また車体は、こ
のように軸ばねによる1次系のサスペンションと枕ばね
による2次系のサスペンションとの2つのサスペンショ
ンで上下に揺動自在に支持されるために、乗り心地を良
好にできる。
【0066】(5)前記先端リンクに代えて、前後方向
に比べ左右方向に高い剛性をもつ、積層ゴムなどの弾性
体を前記軸梁と前記車体又は台車枠との間に介設するこ
とにより、先端リンクを省くことが可能になって構造が
間単になり、軽量化が図れる。
【0067】(6)前記先端リンクに代えて、基端リン
クの前後端を前記各軸梁の基端側と前記車体又は前記台
車枠とにそれぞれ(垂直方向の相対変位を許容する弾性
体を介在させて)水平旋回自在に連結することにより、
車輪の操向に対して軸梁や後端リンクの幾何学的な長さ
の変化(伸縮率)が少なくなるので、後端リンクを軸梁
の基端側と台車枠に枢支結合する支軸のリンク側の孔径
を小さくしたり、球面軸受を省いたりできる。
【0068】(7)前記各軸梁の基端側を基部リンクの
先端部に水平旋回自在に連結するとともに、該基部リン
クの基端を車体に垂直旋回自在に連結した台車枠又は車
体に対しクロスピンを介して水平方向および垂直方向に
旋回自在に連結するこによっても、上記の各一軸台車と
同様に所期の作用効果を達成できる。
【0069】(8)前記各軸梁の一部を駆動用モーター
で構成し、該軸梁の車輪取付箇所に減速機を一体に組み
込むことにより、駆動用モーターのケーシングや減速機
のケーシングにより軸梁の一部を形成できるから、軸梁
に別個にモーターや減速機を装着する場合に比べて構造
が簡素化されかつ軽量化される。なお、本構成は駆動系
台車に限られるもので、非駆動系台車の場合には軸梁部
材だけで軸梁が構成される。
【0070】(9)前記台車枠の基端を車体に対し、吊
りリンクを介して左右方向に揺動自在に連結するととも
にラジアスロッドを介して前後方向にも連結することに
より、車体に対する一軸台車の幅(左右)方向の相対移
動が可能になり、車体の横揺れ等を緩和できる。
【0071】(10)前記車輪の旋回時に内軌側車輪の
回転角(操舵角)が外軌側車輪の回転角(操舵角)より
も大きくなるように構成することにより、内外の車輪の
回転角(操舵角)が曲線部における軌道の曲率にほぼ一
致するようになって外軌道側に大きな押圧力が作用する
のが防止されるので、軌道の曲線部に沿ってスムーズに
旋回できる。
【0072】(11)前記車輪の旋回時に、前記基部リ
ンクの軸梁側連結点が、前記先端リンクの両側の連結点
と前記基部リンクの車体側又は台車枠側連結点とを結ぶ
三角形の領域内に常に位置するようにすることにより、
車輪は先端リンクの左右の連結点を結ぶ直線と基部リン
クの前後の連結点を結ぶ直線の延長線との車輪外側の交
点を仮想回転中心として円滑にかつ安定して旋回でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る一軸台車を適用した10
0%低床式2両編成の連接車両を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る一軸台車を適用した10
0%低床式単一車両を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る一軸台車を連設箇所に適
用した部分低床式2両編成の連接車両を示す側面図であ
る。
【図4】本発明の実施例に係る一軸台車を示すもので、
図4(a)は右半分を省略した拡大平面図、図4(b)
は左側面図、図4(c)は図4(a)の背面図である。
【図5】図4の一軸台車が左方向に旋回した状態を示す
平面図で、台車枠を省略している。
【図6】本発明の第2実施例に係る一軸台車10−2を
示すもので、図6(a)は直線走行状態における平面
図、図6(b)は同左側面図、図6(c)は左方向に旋
回した曲線走行状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第3実施例3に係る一軸台車10−3
を示すもので、図7(a)は直線走行状態における右半
分を省略した平面図、図7(b)は同左側面図、図7
(c)は右半分を省略した背面図である。
【図8】図8(a)は図7(b)のa−a線断面図、図
8(b)は左方向に旋回した曲線走行状態を示す平面図
である。
【図9】本発明の第4実施例に係る一軸台車10−4を
示すもので、図9(a)は直線走行状態における右半分
を省略した平面図、図9(b)は同左側面図、図9
(c)は2自由度系(左側)と1自由度系(右側)を模
式的に表わした正面図である。
【図10】図10は上記した先端リンク17や基端リン
ク31の結合箇所の一方あるいは両方に適用可能な球面
軸受を表わすもので、図10(a)は図10(b)のa
−a線拡大断面図、図10(b)は右半分を省略した拡
大平面図である。
【図11】本発明の一軸台車における伸縮可能な構造を
備えたリンクの実施例を示す断面図で、図11(a)は
常態を、図11(b)は伸長状態を、図11(c)は収
縮状態をそれぞれ現している。
【図12】本発明の一軸台車のさらに別な実施例を示す
もので、図12(a)は直進状態の平面図、図12
(b)は左旋回状態の平面図である。
【図13】図13(a)は図12の一軸台車の左側面
図、図13(b)は図12(a)のア−ア線断面図であ
る。
【図14】図12の一軸台車10−5の直進状態を示す
平面模式図である。
【図15】図12の一軸台車10−5の左旋回状態を示
す平面模式図である。
【図16】図12の一軸台車10−5の右旋回状態を示
す平面模式図である。
【図17】本発明の別の実施例に係る一軸台車を示すも
ので、図17(a)は左側部分を示す平面図、図17
(b)は同左側面図である。
【図18】図17(b)のイ−イ線矢視図で、図18
(a)は常態を示し、図18(b)は横移動状態を示
す。
【図19】図12の一軸台車10−5の車輪14が左旋
回状態から直進状態さらに右旋回状態に至る過程をリン
ク16”・17’等の動作とともに示す平面模式図であ
る。
【符号の説明】
1・1’・1” 路面電車 2 車体 3 床面 9 レール 10〜10−4 一軸台車 11 台車枠 12 軸梁 13 車軸 14 車輪 15 横長リンク 16・16’・16” 基部リンク 17・17’ 先端リンク 20 減速機 21 電動モーター 22 軸ばね 23 枕ばね 24 球面軸受 31 基端リンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奧 保政 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番18 号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 (72)発明者 門田 浩次 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 河野 行伸 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 王子 修 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 江崎 秀明 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 松嶋 博英 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 小林 昇 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目12番14 号 川重車両エンジニアリング株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対の軸梁の前後方向の中間位置の
    内側に車輪を車軸を介して回転自在に軸着し、各軸梁を
    先端部で横長リンクにより回転自在にそれぞれ枢支連結
    し、 前記各軸梁の基端側を、クロスピンを介して水平方向お
    よび垂直方向に旋回自在に基部リンクの先端部に連結
    し、該基部リンクの基端を車体又は該車体に垂直旋回自
    在に連結した台車枠に対し水平旋回自在に連結し、 前記各軸梁の前後方向の中間位置又は先端寄りに先端リ
    ンクの基端を球面軸受あるいは垂直方向および前後方向
    の相対変位を許容する弾性体を介在させて水平旋回自在
    に連結するとともに、該先端リンクの先端を車体又は台
    車枠に球面軸受あるいは垂直方向および前後方向の相対
    変位を許容する弾性体を介在させて水平旋回自在に連結
    し、 前記各車輪が、平面視において前記基部リンクの前後の
    連結部を結ぶ直線の延長線と前記先端リンクの前後の連
    結部を結ぶ直線の延長線が交差する交点を仮想回転中心
    として水平方向に旋回するように構成したことを特徴と
    する鉄道車両用一軸台車。
  2. 【請求項2】 左右一対の軸梁の前後方向の中間位置の
    内側に車輪を車軸を介して回転自在に軸着し、各軸梁を
    先端部で横長リンクにより回転自在にそれぞれ枢支連結
    し、 前記各軸梁の基端側を、クロスピンを介して水平方向お
    よび垂直方向に旋回自在に基部リンクの先端部に連結
    し、該基部リンクの基端を台車枠に対し水平旋回自在に
    連結するとともに、該台車枠の基端を車体に対し垂直方
    向に旋回自在に連結し、 前記各軸梁の前後方向の中間位置又は先端寄りに先端リ
    ンクの基端を球面軸受あるいは垂直方向および前後方向
    の相対変位を許容する弾性体を介在させて水平旋回自在
    に連結するとともに、該先端リンクの先端を前記台車枠
    の先端に球面軸受あるいは垂直方向よび前後方向の相対
    変位を許容する弾性体を介在させて水平旋回自在に連結
    し、 前記各車輪が、平面視において前記基部リンクの前後の
    連結部を結ぶ直線の延長線と前記先端リンクの前後の連
    結部を結ぶ直線の延長線が交差する交点を仮想回転中心
    として水平方向に旋回するように構成したことを特徴と
    する鉄道車両用一軸台車。
  3. 【請求項3】 前記台車枠の基端を車体に対し、吊りリ
    ンクを介して左右方向に揺動自在に連結するとともにラ
    ジアスロッドを介して前後方向にも連結した請求項2記
    載の鉄道車両用一軸台車。
  4. 【請求項4】 前記車輪の旋回時に内軌側車輪の回転角
    が外軌側車輪の回転角よりも大きくなるように構成した
    請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
  5. 【請求項5】 前記車輪の旋回時に、前記基部リンクの
    軸梁側連結点が、前記先端リンクの両側の連結点と前記
    基部リンクの車体側又は台車枠側連結点とを結ぶ三角形
    の領域内に常に位置するようにした請求項1〜4のいず
    れかに記載の鉄道車両用一軸台車。
  6. 【請求項6】 前記軸梁と前記台車枠の先端寄り間に軸
    ばねを介装するとともに、前記台車枠と前記車体間に枕
    ばねを介装した請求項2記載の鉄道車両用一軸台車。
  7. 【請求項7】 前記先端リンクの前後端を、前記各軸梁
    の先端側と前記車体とにそれぞれ垂直方向・前後方向の
    相対変位を許容する弾性体あるいは球面軸受を介在させ
    て水平旋回自在に連結した請求項2又は3記載の鉄道車
    両用一軸台車。
  8. 【請求項8】 前記先端リンクに代えて、前後方向に比
    べ左右方向に高い剛性をもつ、積層ゴムなどの弾性体を
    前記軸梁と前記車体又は前記台車枠との間に介設した請
    求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
  9. 【請求項9】 前記先端リンクに代えて、基端リンクの
    前後端を前記各軸梁の基端側と前記車体又は前記台車枠
    とにそれぞれ球面軸受あるいは垂直方向および前後方向
    の相対変位を許容する弾性体を介在させて水平旋回自在
    に連結した請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用
    一軸台車。
  10. 【請求項10】 前記台車枠の前後方向部材の先端位置
    を前記車輪のほぼ中心位置付近に短縮した請求項7又は
    9記載の鉄道車両用一軸台車。
  11. 【請求項11】 前記各軸梁の基端側を基部リンクの先
    端部に水平旋回自在に連結するとともに、該基部リンク
    の基端を車体に垂直旋回自在に連結した台車枠又は車体
    に対しクロスピンを介して水平方向および垂直方向に旋
    回自在に連結した請求項1〜10のいずれかに記載の鉄
    道車両用一軸台車。
  12. 【請求項12】 前記各軸梁の一部を駆動用モーターで
    構成し、該軸梁の車輪取付箇所に減速機を一体に組み込
    む請求項1〜11のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台
    車。
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