JP3667663B2 - 鉄道車両用一軸台車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用一軸台車(一つの台車枠に一対の車輪を備えた)に関するもので、鉄道車両のうちでも、とくに低床式路面電車に好適であり、詳しくは回転半径の小さな(たとえば30m未満)曲線路を走行可能で、左右の各車輪がそれぞれ個々に独立して操向(水平旋回)する方式の一軸台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー、低公害およびバリアフリーなどの特性を有することから、LRT(Light Rail Transit)と称される路面電車が再評価され、欧米をはじめ各都市で導入が進んでいる。この種の路面電車は、車両重量が軽く、軌道上を走行する台車部分を一軸台車で構成することができる。一軸台車は周知のように、台車枠には左右に車輪を一つずつしか備えていないことから、台車がピッチングしやすいという欠点がある。
【0003】
そこで、たとえば車両の床面が軌道上からかなり高い位置(800〜1100mm)に位置している高床式の一軸台車では、台車枠の前後に上下一対のラジアスロッドを配置して、これらのロッドの踏ん張りによってピッチングを防止することを基本にした、DSB(Danske Stads Banen:デンマーク国鉄)の一軸台車が運用されている。
【0004】
その他の先行技術として、特開平10−250573号公報に記載の一軸台車がある。この台車は、1本の輪軸の両端を高弾性率の軸ばねを介して台車枠に支持し、この台車枠と車体との間に複数個の枕ばねを介して車体を支持し、前記台車枠と前記車体とを前後方向の相対的な移動を規制する牽引機構により連結した構造からなっている。また、特開昭60−64065号公報に記載の台車もある。
【0005】
ところで、上記した先行技術に係る各台車は、いずれも左右の車輪を軸支した台車ごと旋回させて曲線路を走行する構造からなることから、曲線路の回転半径が例えば30m以下のような急なカーブになると、カーブした軌道に沿って車輪が追随して操向(水平旋回)できなくおそれがある。つまり、そのような急カーブでは、車輪の持つ踏面勾配のみでは左右の車輪の半径差を補足しきれず、車輪がレールに対して逆アタックアングルを持つような挙動が見られる。これを回避するために、左右の車輪を個々に独立して操向させる必要がでてくるが、こうした構造の台車については、たとえば欧州特許公開第308720号に提案されている。この台車においては、台車枠の内側に垂直なピン(一種のキングピン)を介して相対向する一対の車輪をそれぞれ水平旋回自在に支持している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDSB台車および上記公報に記載の台車では、次のような点で不都合がある。
【0007】
すなわち、車両の床面の高さが軌道から300mm程度しかない低床式の路面電車に適用しようとする場合に、台車が配置される位置の床面をかなり高くする必要があり、床面に凹凸が生じる。いいかえれば、100%低床式の路面電車には適用できない。また、特開昭60−64065号公報に記載の台車などの従来の技術にかかる台車は、鉄道の一般の台車と曲線通過性を向上した操舵台車に関する二軸台車であり、また各車軸は回転式で左右の車輪を一体回転可能に連結した構成であるから、一軸台車を対象とし、左右の車輪を連結する車軸部分を省こうとする本発明の対象とする台車には不向きである。
【0008】
さらに、上記した従来の台車は、台車枠又は連結はりに駆動用モータが搭載され、台車枠又は連結はりに装着された減速機を介して車輪に駆動力が伝達されるが、たわみ継手などを用いて減速機を介し車輪を駆動するために非常に構造が複雑になり、またこの台車のばね下重量は車輪車軸と車軸に装架される減速機の重量のほか、連結はりから減速機および駆動用モータの一部までが含まれることから、ばね下重量がきわめて大きくなるために、レール等の軌道に対する負荷が膨大で損傷しやすく、乗り心地にも悪い影響を与える。
【0009】
また、上記欧州特許公開公報に記載の、操舵式車輪を備えた台車では、車軸部材が拡大されて台車枠部材となり、この台車枠部材に駆動用モータや減速機が直接搭載されているため、ばね下重量は車輪車軸のほかモータや減速機ならびに台車枠部材など全ての重量が含まれ大きくなる。このために、モータへの振動や軌道に対する振動荷重が大きく、耐久性ならびに乗り心地に悪い影響を与える。しかも、車輪を操舵する方式であるため、台車枠と車体間の結合用を含めてリンク機構が多くて構造が複雑である。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、低床式の路面電車に好適であり、軌道上に載置される車輪を操向可能に取り付ける軸はりに搭載される減速機や駆動用モータの重量の一部を、ばね上の車体やばね間の台車枠はりなどに分散して支持させ、軌道にかかる負荷を軽減でき、しかも最小回転半径が30m以下の急な曲線路においても車輪が線路に沿って円滑に操向する鉄道車両用一軸台車を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明にかかる鉄道車両用一軸台車(駆動台車)は、a)側はり部分を備えた台車枠はりの一端部両側を車体の底面に台車枠はりピンを介して他端側が上下方向に揺動可能に連結し、車体と台車枠はりの他端部間に空気ばね等の弾性体を介設し、b)前記台車枠はりの下方で前記側はり部分にほぼ平行に左右一対の軸はりを配置し、駆動用モータのケーシングを前記軸はりの一端部に一体に設け、当該ケーシングから突設したブラケットを介して軸はりピンにより前記軸はりの一端部を、前記台車枠はりの前記台車枠はりピン側の端部に対し上下方向に揺動可能に連結し、前記台車枠はりの他端部と軸はり間に軸ばね等の弾性体を介設し、c)前記各軸はりにそれぞれ軸受により回転自在に支持した車輪を、ナックルを介して前記車輪外側に配置したキングピンを中心に操向可能に取り付け、d)前記各軸はりの前記軸はりピン側の前記ケーシング内に駆動用モータを設けて該モータを前記軸はりに内装した減速機を介して前記車輪に接続したことを特徴とする。
【0013】
上記の構成を有する本発明(請求項1)にかかる一軸台車によれば、左右の各車輪は軸はりに軸受を介して回転自在にかつキングピンを介して操向自在に取り付けられているので、左右の車輪はキングピン回りをほぼ水平に旋回するから、最小回転半径が30m以下の曲線路においても各車輪がレール(軌道)のカーブに沿って円滑に操向する。
【0014】
また、軸はりは一端が台車枠はりにピンを介して上下方向に揺動可能に連結され、台車枠はりは一端が車体にピンを介して上下方向に揺動可能に連結されており、台車枠はりの他端と軸はりの間および台車枠はりの他端と車体の間には、それぞればね部材などの弾性体が介設されている。軸はりピンとモータ重心位置を接近させることによって、モータが軸はりに取り付けられているとしてもモータの重量の大部分が軸はりピンに作用し、台車全体の振動挙動はモータが台車枠はりに取り付けられた状態に近似したものになる。同様に、軸はりピンと台車枠はりピンの位置を相互に接近させることによって、モータが軸はりに取り付けられているとしても、モータの重量の大半が台車枠はりピンに作用し、台車全体の振動挙動はモータが車体に取り付けられた状態に近似したものになる。重量的な配分は各部材の重心位置とピンおよび支持する弾性体との関係位置によって、自由に設定することが可能になる。この結果、モータが台車枠あるいは車体に取り付けられた状態に近似したものとなり、いわゆるばね下重量が軽減されるために、レール等の軌道から受ける振動がばね下で吸収され、車体に伝わる振動が低減されるとともに、軌道に対する負担が軽減される。
【0015】
さらに、乗り心地に関しては、図18に示すばね系において、m0を軸はりの一部重量(等価重量)、m1を台車枠はりの一部重量(等価重量)および軸はりの一部重量(等価重量)、m2を車体の重量および台車枠はりの一部重量(等価重量)と仮定し、m1とm2間のばね定数をk2、同ダンパーの減衰係数をC2、m0とm1間のばね定数をk1、同ダンパーの減衰係数をC1と仮定すれば、
▲1▼ m1/m2≒0.3 ▲2▼ k2/k1≒0.5 前後にすることが理論的に好ましいと言われているが、本発明によれば、上記のように台車枠ピン、軸はりピン、モータ重心の位置を調整することにより、軸はりおよび台車枠はりの見かけの(あるいは等価な)重量(あるいは質量)m0、m1を上記式▲1▼を満足するように設定し、併せて各弾性体のばね定数を上記式を満足するように選択することによって比較的容易に達成できる。
【0016】
なお、図18において、レールの下にばねを配置し、このばね定数をkrとしているのは、道床を含めレール等のばね系を簡易的に表現したもので、m0が小さいほど道床に与える衝撃荷重が少ないことを伺い知ることができる。
【0017】
また、図19は上記図18のばね系に対応する共振曲線を各固有振動数との関係で表した線図である。ここで、C2=∞の場合はm1とm2とが一体化された状態を表すものであり、図19の線図において乗り心地を良好にするためには、f1・f3・f2を適当に離す必要があり、結論的に m1/m2≒0.3およびk2/k1≒0.5前後にすることが好ましい。
【0019】
請求項1記載の駆動台車では、駆動用モータのケーシングや減速機のケーシングにより軸はりの一部を形成できるから、軸はりに別個にモータや減速機を装着する場合に比べて構造が簡素化されかつ軽量化される。なお、本構成は駆動系台車に限られるもので、非駆動系台車の場合には駆動用モータおよび減速機は省かれる。また、本請求項1にかかる一軸台車では、軸はり自体の重量に加えて車輪やナックルおよび軸受などの重量がかかるうえに、駆動用モータや減速機の重量も加わるが、上記の構成によれば、軸はり自体や車輪などの重量の一部とともに駆動用モータや減速機の重量の一部は一端側の軸はりピンと他端側の弾性体とによって軸はりから台車枠はり側へ、また一端側の台車枠はりピンと他端側の弾性体とによって軸はりから台車枠はり側あるいは車体側へそれぞれ重量が移行して分散される(重量が移行し分散される場合は、重心または着力点と、支点および支持弾性との距離の逆比で按分する。)ことから、乗り心地を良好にし、かつ走行軌道への負担を軽減するうえでとくに有効である。
【0020】
請求項2に記載のように、前記台車枠はりは、前記台車枠はりピン側で垂下させて垂下部両側を横はりにより一体に連結し、前記軸はりは、軸はりピンと反対側で端部同士を横リンクにより枢支連結することができる。
【0021】
請求項2記載の一軸台車によれば、一端開放の台車枠はりの構成部材が横はりにより剛性高く連結される。軸はりは軸はりピン側で台車枠はりに上下方向の揺動運動が可能なことを除いて、高い剛性で枢支(実施例では、とくに車輪が受ける横荷重に耐えるようにピンを2分割にして隔てて配置し、レールから車輪が受ける横荷重に対して踏ん張るように配慮している。)され、また、他端の開放側では横リンクによって左右の軸はりを枢支連結していることから、車輪を介してレールから受ける横方向の荷重に対して車輪を十分な剛性のもとに保持し、車輪の間隔をも確保することを可能にしている。
【0022】
請求項3に記載のように、前記駆動用モータを前記軸はりに一体に設けるとともに、駆動用モータのケーシングから突設したブラケットを介して前記軸はりピンにより前記台車枠はりに対し軸はりを揺動可能に連結し、前記軸はりを中空構造にして前記減速機を軸はり内に組み込むことができる。
【0023】
請求項3記載の一軸台車によれば、駆動用モータが台車枠はりの一端に吊設されるから、駆動用モータの重量のかなりの部分が軸はりから台車枠はり側に移行され、軸はり側の重量が軽減される。また、軸はりの一部を減速機箱に併用でき、構造が簡略化できるとともに、減速機が外部に露呈せず軸はり内に収納され、コンパクトにまとまり小型化が図られる。
【0024】
請求項4に記載のように、前記台車枠はりピンを車体に対し、前記車体と前記台車枠はり間の相対的な左右移動を許容するように設けるとともに、車体と台車枠はり間の相対的な左右移動時に該移動を抑制するように弾性体を、台車枠はりピンの周囲に設けることが好ましい。
【0025】
請求項4記載の一軸台車によれば、車体に対する一軸台車の幅(左右)方向の相対移動が可能になり、また車体と一軸台車間に弾性体を介在させたことにより車体の横振動等が低減される。
【0026】
また請求項5に記載のように、前記台車枠はりの前記台車枠はりピン側端を車体に対し、弾性体又は吊りリンクを介して左右方向に揺動自在に連結するとともにラジアスロッドを介して前後方向にも連結することが好ましい。
【0027】
この構成により、車体に対する一軸台車の幅(左右)方向の相対移動が可能になり、また車体と一軸台車間に介在させた緩衝ばねなどの弾性体又は吊りリンクにより車体の横振動等が低減される。
【0028】
請求項6に記載のように、前記車輪の車軸と前記減速機の出力軸とを、前記キングピン付近で等速ボールジョイント等の折曲可能な動力伝達軸継手により接続することができる。
【0029】
請求項6記載の一軸台車によれば、軸はりにナックルを介して取り付けられた車輪がキングピンを中心に移行する際に、軌道上に載置され走行する車輪の車軸と減速機の出力軸とが折れ曲がりながら等速ジョイント等の折曲可能な動力伝達軸継手によって駆動用モータからの駆動力が操向可能な車輪の車軸に確実に伝達される。
【0030】
請求項7に記載のように、前記左右の操舵用アームを、内軌側車輪が外軌側車輪に比べて大きく操向されるように傾斜角度をつけてタイロッドにより枢支連結するのがよい。
【0031】
この構成により、内外の車輪の回転角(操舵角)が曲線部における軌道の曲率にほぼ一致するようになって外軌道側に大きな押圧力が作用するのが防止されるから、軌道の曲線部に沿ってスムーズに旋回する。
【0032】
請求項8に記載のように、前記台車枠はりの一端下端部に対し、前記台車枠はりピンのほぼ真下に配置した軸はりピンを介して前記軸はりの一端を他端側が上下方向に揺動可能に連結し、該軸はりの他端側を前記台車枠はりの他端より外方へ突出させ、軸はりの他端部に前記車輪を操向可能に取り付けることができる。
【0033】
この構成の一軸台車によれば、連接車両の連接箇所付近で一方の車両を一軸台車上に完全に搭載することが可能になり、他方の車両との干渉が起こりにくいので、連接車両の連接箇所に配置するのに最適である。
【0034】
請求項9記載の一軸台車は、左右一対の軸はりの一端部を車体の底面に軸はりピンを介して他端側が上下方向に揺動可能に連結し、前記各軸はりの他端側と前記車体との間に軸ばね等の弾性体を介設し、前記各軸はりにそれぞれ軸受に回転自在に支持した車輪を、ナックルを介して前記車輪外側に配置したキングピンを中心に操向可能に取り付け、前記各軸はりの前記軸はりピン側に駆動用モータを設けて該モータを前記軸はりに内装した減速機を介して前記車輪に接続したことを特徴としている。
【0035】
上記の構成を有する本発明(請求項9)にかかる一軸台車(駆動台車)によれば、左右の各車輪は軸はりに軸受を介して回転自在にかつキングピンを介して操向自在に取り付けられているので、左右の車輪はキングピン回りをほぼ水平に旋回するから、最小回転半径が30m以下の曲線路においても各車輪がレール(軌道)のカーブに沿って円滑に操向する。
【0036】
また、軸はりは一端が車体に軸はりピンを介して上下方向に揺動可能に連結され、軸はりの他端側と車体との間には、軸ばねなどの弾性体が介設されているため、軸はりに取り付けられる車輪や駆動用モータや減速機および軸はり自体の重量の一部は、その重心位置と軸はりピンとの関係によって上方の車体に移行され軸はり側の重量の一部が分散されて支持される。この結果、軸はりから軌道に作用する負荷は削減され、軌道に対する負担が軽減される。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鉄道車両用一軸台車を低床式路面電車に適用した実施例について図面を参照して説明する。
【0038】
図1は本発明の実施例にかかる一軸台車を適用した100%低床式2両編成の連接車両を示す側面図で、図2は本発明の実施例にかかる一軸台車を適用した100%低床式単一車両を示す側面図である。図4は本発明の実施例にかかる図1・図2の車両の右端に配置した一軸台車を示すもので、図4(a)は右半分を省略した拡大平面図、図4(b)は左側面図、図5(a)は図4(a)の正面図で、図5(b)は図5(a)の一軸台車の車輪を左右方向に操向させた状態を示す平面図で台車枠はりおよび横はりを省略している。
【0039】
図1および図2に示すように、各路面電車1・1’は床面3が軌道としてのレール9から300mm前後の高さに位置する100%低床式で、台車は全て一軸台車10からなり、床面3は一軸台車10の位置で幅がやや狭くなっているが、車体2の全長にわたり連続して平坦な床面から構成されている。
【0040】
図3は部分定床式の2両編成路面電車を示すもので、車両の前部又は後部(端部)の床面3’を他の部分の床面3に比べて高くしている。このため、本例の路面電車1”では、連接部の台車10”を除いて後述する本発明の一軸台車10〜10−2に限らず、左右の車輪14・14間を車軸で連結した従来の一般的な台車(不図示)を使用することもできる。
【0041】
図4に示すように、一軸台車10は台車枠はり11、軸はり12、軸受13、車輪14および駆動用モータ15などを備えている。台車枠はり11は側はり部分11aを備え、この一端部(後端側、ただし前後の向きが変わることがあり、その場合には前端側になる)から垂直はり部分11cが下方に延設されて側方より見て略L形に形成されており、左右の垂直はり部分11cの下端部間が横はり11dにより一体に連結されて平面視「略コ」の字形からなる。台車枠はり11の両側上部後端は、車体2の底面に下向きに固設されたブラケット16に水平な台車枠はりピン17を介して連結され、台車枠はり11の他端側(前端側)が上下方向に揺動(回転)可能である。
【0042】
つまり、台車枠はりピン17の両端は、図6(a)のように台車枠はり11側の一対のブラケット18・18間に固定され、ピン17上で一定の範囲内で横移動可能に被装されたボールスプライン構造のスリーブ20cの外周面に、外周に外筒20aを一体に備えたゴムブッシュ状の防振ゴム20が結合されてユニットが形成されている。このユニットはスリーブ20cと外筒20aとの間に、防振ゴム20を加硫接着又は圧入して構成される。そして、このユニットと車体2側のブラケット16とが一体に固定されている。なお、ピン17上でスリーブ20cの移動範囲が規制されるように、たとえばストッパーゴム(図示せず)が移動範囲の両側に取り付けられる。そのほか、たとえば図6(c)に示すように、円筒状のゴム体を複数層積層した防振ゴム20’をピン17上に連結してもよい。
【0043】
この構成により、車体2に対して台車枠はり11がピン17を中心に上下方向に揺動可能で、かつ車体2と台車枠はり11の相対的な横移動が許容される。ボールスプライン構造に代えてリニアボールやリニアブッシュを備えたスリーブを用いてもよく、また横移動はボールスプラインあるいはリニアブッシュなどによって分担させ、台車から車体2へ伝わってくる振動はゴムブッシュなどの防振ゴム20で遮断する。
【0044】
横移動量が少ないかあるいは防振ゴム20・20’のスペースを大きくとれる場合には、ボールスプラインのように機械的に摺動するものを使用せずに、たとえばピン17上にスリーブ20cを一体的に装着し、ゴムブッシュの剪断変形のみで台車枠はり11のピン17に沿った横移動およびピン17を中心とした上下方向の揺動を可能にできる。さらに、台車から車体2に伝わる振動をゴムブッシュで遮断することもでき、メンテナンス上からもゴムブッシュは有効な手段である。
【0045】
図4(b)に示すように、台車枠はり11の他端側は下向きに傾斜して水平に延設され、この水平部11eと車体2の底面との間に空気ばねやゴムばねやコイルばねなどの弾性体からなる枕ばね21が介設されている。
【0046】
軸はり12は台車枠はり11の下方にほぼ平行に配置され、軸はり12の後端部内面に駆動用電動モータ15のケーシング15aが一体的に固設されている。モータケーシング15aの下部から一対のブラケット22・22が下向きに突設され、横はり11dの両側部分にブラケット22・22に対応する一対の支持片23・23が後方へ突設され、軸はりピン19により台車枠はり11に対し軸はり12を他端側が上下方向に揺動可能に連結している。そして軸はり12の他端側と台車枠はり11の他端側との間に積層ゴムや圧縮スプリングなどの弾性体からなる軸ばね24が介設されている。また、左右の軸はり12の他端間には、横リンク25の両端部がそれぞれ回転可能に支持ピン25aにより枢支連結され、平面視で断面略「コ」の字形に形成されている。ただし、「コ」の字形の向きは台車枠はり11と軸はり12とでは逆である。
【0047】
左右の軸はり12の内側に、車輪14がそれぞれ垂直な軸であるキングピン26およびナックル28を介して操向(水平旋回)可能かつ軸受13を介して回転可能に設けられる。詳しくは、たとえば図13に示すように、車輪14の内周部は車軸28bの周囲に軸受13を介して回転可能に支持されるとともに、車輪14と駆動軸27とは一体回転可能に連結されている。本例の場合、車軸28bはナックル28と一体であり、この構成により、車輪14はキングピン26を中心にナックル28を介して車軸28bおよび軸受13とともに水平旋回する。
【0048】
図5(b)に示すように、ナックル28からアーム28aを一体にして前方へそれぞれ延設し、各ナックルアーム28aの先端側を内側へ湾曲して傾斜させ、両側のナックルアーム28a先端部をタイロッド29により垂直な連結ピン29aを介してそれぞれ回転可能に枢支連結する。左右のナックルアーム28a先端部の傾斜度合いは、内軌側の車輪14の操向角度が外軌側車輪14の操向角度よりも大きくなるように設定する。図5(a)に示すように、車体2の床面3は左右の車輪14を回避して設けられ、前後の一軸台車10を配置していない部分の床面と同一高さとすることができる。また両側の車輪14の位置する部分には、座席や連接部の幌で囲まれた部分を配置することで、床面高さ300mm程度の100%低床の車両が実現できる。
【0049】
軸はり12は、図14のように中空構造のケーシング12aを備えており、電動モータ15の駆動軸15cと車輪14の駆動軸27(図13)との間を接続するための減速機30が軸はり12内に配置されている。本例では、減速機30は大小の複数の減速歯車を組み合わせて噛合させた構造からなる。電動モータ15の駆動軸15cと一体回転する駆動ピニオン15bに減速ギヤ30aが噛合されている。最終の減速ギヤ30cには、図13のようにスプライン31aを介して一体回転可能に出力軸31が接続され、この出力軸31は軸はり12内で軸受32により、減速ギヤ30cを介して回転可能に支持されている。また、出力軸31は軸はり12の内方のナックル28に向けて突出され、等速ボールジョイント33(図23)を介在させて駆動軸27に接続されている。
【0050】
等速ジョイント33はレール9上の車輪14がキングピン26を中心に操向することによって、軸はり12と車輪14との相対関係が平行でなくなった状態でも、車輪14に対して駆動力を伝達可能としている。なお、図13中の符号48はブーツ、符号49はプレーンベアリング、符号49aはスラスト軸受である。なお、等速ボールジョイント33(図23)に代えて、図21(a)・(b)および図22(a)・(b)に示すような折曲可能な駆動力伝達継手33'・33"を使用することもできる。図21の駆動力伝達継手33’は十字自在継手を2段組みした構造で、図中の符号41はスリーブであり、スリーブ41の内周面と十字ピンとの間で回動可能にするとともに駆動力を伝達する。そして、2段組みとすることにより、等速性が得られる。図22の駆動力伝達継手は歯車式の駆動力伝達継手33”で、等速性がある。図22において符号42はインターナルギヤで、符号43はエクスターナルギヤである。
【0051】
上記のようにして本例の一軸台車10が構成されるが、連接車両1の左端および単一車両1の左端の一軸台車10’は、一軸台車10の各構成部材と前後方向が中心対称に配置されるだけで、基本的に共通する。また、連接車両1の連接箇所に配置される一軸台車10”は、一軸台車10と共通のものを使用することができるが、連接箇所に好適な一軸台車10−3については、実施例を挙げて後述する。
【0052】
ところで、図6(b)は車体2の中央位置が台車10に対して一方へ距離s(通常25mm前後)だけ横移動した状態を表すもので、台車枠はりピン17とスリーブ20cとで構成されるボールスプラインにより、防振ゴム20がピン17の軸方向に移動するとともに、枕ばね21も一方(側方)へ変形し、車体2の横振動を抑制している。
【0053】
また、図7(a)は台車枠はり11に対し軸はり12の前端側が上方へ揺動した状態を表すもので、軸はりピン19を中心に軸はり12が上下に揺動して、軸ばね24を伸縮することで、車輪14の振動が吸収される。図7(b)は車体2に対し台車枠はり11の前端部側が上方へ揺動した状態を表すもので、台車枠はりピン17を中心に台車枠はり11が上下に揺動して枕ばね21が伸縮するで、車輪14から軸ばね24を経由して伝達された振動が吸収される。
【0054】
図8は本発明の一軸台車についての他の実施例を示すもので、本例の一軸台車10−1では、ナックルアーム28a上に踏面ブレーキユニット34をそのブレーキパッド34aを車輪14の踏面に対向して配備している。この踏面ブレーキユニット34は簡単な構造で、スプリング(図示せず)に抗して油圧力により車輪14の踏面からブレーキパッド34aを浮かして、ブレーキを緩解するところの、ばね作用油圧緩め方式あるいは油圧作動方式にすることによって軽量小型化が図られる。超低床を要求されるLRTの場合には、通常のブレーキに、回生ブレーキ又は自車両で電気エネルギーを消費する方式の発電ブレーキシステムを搭載することが多いので、機械的なブレーキの負担が軽減されることから、設置スペースに余裕がない場合には踏面ブレーキユニット34で対応するのが有利である。その他の構成および作用については上記台車10の場合と共通するので、共通の部材を同一の符号を用いて示し説明を省略する。
【0055】
図9は本発明の一軸台車についての他の実施例を示すもので、図9(a)は左半分を省略した平面図、図9(b)は同側面図である。本例では、一軸台車10−2の駆動力を含む前後方向の力を車体2に伝達するため、車体2と台車枠はり11の横はり11dとをラジアスロッド35で連結している。つまり、横はり11dの両側部にブラケット35aを後方へ向けて突設し、車体2側から前方へ向けてブラケット35bを突設し、ラジアスロッド35を左右の相対移動を許容するようにピン35c・35dを両ブラケット35a・35b間に遊嵌して連結している。なお、ピン35c・35dとブラケット35a・35bとの空隙部にはボルスターのような緩衝用ゴムブッシュが嵌め込まれたり、ピンに代えて球面軸受けが装填されたりする。
【0056】
また一軸台車10−2は、図10に示すように、横はり11dの長手方向の中央位置から横長穴36aを穿設した板材36を後ろ向きに突設し、車体2の下面から支持ピン37aを介して配設した一対の板材37と板材36とをゴム体38を介してそれぞれ一体に接着するとともに、支持ピン37aは横長穴36aに遊嵌する。この構成により、車体2と台車枠はり11(台車10−2)との相対的な横移動が許容され、車輪14から軸はり12を介して台車枠はり11に伝達される横振動をゴム体38の剪断変形で吸収する。板材36・37・ゴム体38に代えて、垂直方向の吊りリンクによって車体2と台車枠はり11とを連結しても同様の効果が期待できる。図示は省略するが、吊りリンクは車体2側のブラケットに上端を枢支するとともに、下端を台車枠はり11側のブラケットに枢支し、上下のいずれの枢支部も左右の揺動を可能に構成する。
【0057】
また、図10に示すラジアスロッド35の前後連結部や吊りリンクの上下連結部に、ゴム体38に代えて、たとえば図20に示すような球面軸受54を使用することができる。球面軸受54は、図20に示すように車体2と台車枠はり11との間に配置される。球面状の内輪体54aの周囲に球面状の外輪体54bが回転自在に外装され、台車枠はり11側の取付孔内に外輪体54bがサークリップ54cを介して嵌着されている。一方、内輪体54aの中心部の貫通孔54dを上下方向に貫通して支持ピン54eが嵌挿され、支持ピン54eのねじ部にナット54fが螺合して締め付けられる。支持ピン54eの周囲には、内輪体54aを上下から挟持するように座金54gが嵌挿されている。また、球面軸受54に代えて、ユニバーサルジョイント又は縦断面山形のゴムを積層したゴムなどの弾性体からなる連結具を用いて全方向(横方向には柔らかく、他の方向には比較的硬く支持する)の揺動を許容して連結することができる。
【0058】
なお、図11(a)は車輪14から軸ばね24を介して伝達された振動を空気ばねなどからなる枕ばね21が縮んで吸収している様子を示したもので、前記したようにゴム体38を台車枠はりピン17に代用した場合には、台車枠はり11はゴム体38を中心に上下方向に揺動し、枕ばね21が伸縮して振動を吸収する。図11(b)は台車枠はり11に対して軸はり12が上下方向に揺動した状態を表しており、軸はりピン19を中心に軸はり12が上下に揺動し、軸ばね24を伸縮することで、車輪14からの振動を吸収する。その他の構成および作用については上記台車10の場合と共通するので、共通の部材を同一の符号を用いて示し説明を省略する。
【0059】
図12は本発明のさらに別の実施例を示す側面図で、本例の一軸台車10−3は、台車枠はり11の車体2との台車枠はりピン17による連結部分が略45°下向きに傾斜しており、図12のように傾斜はり部分11eの上端部にブラケット39が突設され、車体2の下面から下向きに突設されたブラケット16との間に台車枠はりピン17が枢着される。軸はり12の後部内側に電動モータ15が取り付けられ、軸はり12の前部内側に車輪14が操向可能にかつ回転自在に装着されるが、軸はり12の前部は車輪14を含めて台車枠はり11の他端(前端)側から前方へ張り出している。軸はり12の後端から後方へ下向きに傾斜して支持部材12eが延設され、電動モータ15のケーシング15aから後方下向きに延設されたブラケット22とともに軸はりピン19により軸はり12のブラケット23に軸着され、その前端側が上下方向に揺動自在に支持される。台車枠はり11の前端部と軸はり12の間に軸ばね24が介設され、台車枠はり11の前端部と車体2との間に枕ばね21が介設される。
【0060】
上記の構成からなる本例の一軸台車10−3は、図12のように連接車両の一方の下面が完全に搭載され、軸はり12の端部および車輪14が他方の連接車両の下方へ張り出すように配置される。このため、一軸台車10に2両の車体2が跨って搭載されることがないので、連接箇所に設置するのに好適である。なお、軸はり12の端部および車輪14が一方の車両内に収まり、他方の車両に張り出さないようにすることもできる。その他の構成および作用については上記台車10の場合と共通するので、共通の部材を同一の符号を用いて示し説明を省略する。
【0061】
図15は本発明の一軸台車に使用される歯車減速機のギヤトレーンの他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図で、減速歯車列を2段に組み合わせて減速比を大きくし、電動モータ15の回転数を上げて高出力を得られるようにしている。なお、図中の15bは駆動ピニオン、30bはピニオン・ギヤユニット、30dはアイドルギヤ、30cは最終減速ギヤである。
【0062】
図16も本発明の一軸台車に使用される歯車減速機のギヤトレーンの他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図で、減速歯車列を2段に組み合わせて減速比を大きくし、電動モータ15の回転数を上げて高出力を得られるようにしているところは図15と共通するが、本例の場合には車輪14と電動モータ15との間隔を拡げて電動モータ15の設置スペースを大きくしている。なお、図中の15bは駆動ピニオン、30bはピニオン・ギヤユニット、30dはアイドルギヤ、30cは最終減速ギヤである。その他の構成および作用については上記台車10の場合と共通するので、共通の部材を同一の符号を用いて示し説明を省略する。
【0063】
図17は本発明の一軸台車に使用される減速機のさらに他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図である。本例では、歯車減速機30に代えてドライブシャフト40とベベルギヤ41〜43を組み合わせて用いている。すなわち、図に示すように、車輪14の出力軸側に大型の減速用ベベルギヤ43を配置し、小型のベベルギヤ42に噛合させている。電動モータ15の駆動用ベベルギヤ41を別の小型のベベルギヤ42aと噛合させ、各ベベルギヤ42と一体回転可能なシャフト44を軸はり12のケーシング12a内に軸受45により回転可能に支持し、二つのシャフト44をドライブシャフト46によりカップリング47を介してそれぞれ連結している。
【0064】
なお、歯車減速機30およびドライブシャフト40に代えて、スティールベルトとプーリあるいはチェーンとスプロケットを組み合わせて使用することもできる。
【0065】
以上に本発明の一軸台車に関する実施例を示したが、本発明は低床式路面電車に限らず、床の位置が高い一般的な路面電車や軽量化を図った鉄道車両に適用できることは言うまでもない。
【0066】
また、上記に複数の実施例を上げた本発明にかかる一軸台車によれば、図18において車両の振動系を示すように、m0を軽くする必要があり、またm1,m2,k1,k2も適値があり、軸はりピン19と台車枠はりピン17とを接近させ、かつ電動モータ15の付近に位置させることによって、m0の重量を軽減するとともに、電動モータ15をm1又はm2に含ませることが可能になる。いいかえれば、図19において車両の乗り心地の状況を表す共振曲線を示すように、m1,m2,k1,k2を適値に設定することで、乗り心地の良い車両にすることができる。とくに本発明にかかる一軸台車では、上記したとおり、軸はりピン19と台車枠はりピン17の設定位置によって、モータの重量をばね下重量とするのではなく、m1又はm2に含ませることが可能で、良い結果をもたらせる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明にかかる鉄道車両用一軸台車には、次のような優れた効果がある。
【0068】
(1)100%低床式の路面電車に好適で連接台車にも適用可能であり、しかも構造が簡単で軽量で、軌道上に載置される車輪を操向可能に取り付ける軸はりに搭載される減速機や駆動用モータの重量の一部を、ばね上やばね間の台車枠はりなどに分散して支持させ、軌道にかかる負荷を軽減できる。また、最小回転半径が30m以下の急な曲線路においても、車輪が線路に沿って円滑に旋回して走行する。
【0069】
(2)一端開放の台車枠はりの構成部材が横はりにより剛性高く連結され、軸はりは軸はりピン側で台車枠はりに上下方向の揺動運動が可能なことを除いて、高い剛性で枢支され、また、他端の開放側では横リンクによって左右の軸はりが枢支連結されているので、車輪を介してレールから受ける横方向の荷重に対して車輪を十分な剛性のもとに保持でき、車輪の間隔も確保することができる。
【0070】
(3)駆動用モータを軸はりに一体に設け、駆動用モータのケーシングから突設したブラケットを介して軸はりピンにより台車枠はりに対し軸はりを揺動可能に連結し、軸はりを中空構造にして前記減速機を軸はり内に組み込み、駆動用モータ重心と軸はりピンの位置を配慮することにより、駆動用モータの重量のかなりの部分が軸はりから台車枠はり側に移行され、軸はり側のばね下重量に配分される部分が軽減され、また軸はりの一部を減速機箱に併用でき、構造が簡略化できるとともに、減速機が外部に露呈せず、軸はり内に収納される。
【0071】
(4)台車枠はりピンを車体に対し、車体と台車枠はり間の相対的な左右移動を許容するように設けるとともに、台車枠はりピンを経由して台車枠はりから車体へ伝達される振動や騒音の遮断を図るために弾性体を台車枠はりピンの周囲に設けるか、あるいは台車枠はりの一端を車体に対し、弾性体又は吊りリンクを介して左右方向に揺動自在に連結するとともにラジアスロッドを介して前後方向にも連結することにより、車体に対する一軸台車の幅(左右)方向の相対移動が可能になり、また車体と一軸台車間に弾性体を介在させたことにより車体の横振動等が緩和される。
【0072】
(5)車輪の車軸と減速機の出力軸とをキングピン付近で等速ボールジョイントにより折曲可能に接続することにより、軸はりにナックルを介して取り付けられた車輪がキングピンを中心に移行する際に、軌道上に載置され走行する車輪の車軸と減速機の出力軸とが折れ曲がりながら等速ジョイントによって駆動用モータからの駆動力が車軸に伝達されるとともに、軸はりの上下揺動が円滑に行なわれる。
【0073】
(6)左右の操舵用ナックルアームを、内軌側車輪が外軌側車輪に比べて大きく操向されるように傾斜角度をつけてタイロッドにより枢支連結することにより、内外の車輪の回転角(操舵角)が曲線部における軌道の曲率にほぼ一致するようになって外軌道側に大きな押圧力が作用するのが防止されるから、軌道の曲線部に沿ってスムーズに旋回する。
【0074】
(7)台車枠はりの一端下端部に対し、前記台車枠はりピンのほぼ真下に配置した軸はりピンを介して前記軸はりの一端を他端側が上下方向に揺動可能に連結し、該軸はりの他端側を前記台車枠はりの他端より外方へ突出させ、軸はりの他端部に前記車輪を操向可能に取り付けることにより、連接車両の連接箇所付近で一方の車両を一軸台車上に完全に搭載することが可能になり、他方の車両との干渉が起こりにくいので、連接車両の連接箇所に配置するのに最適である。
【0075】
(8)台車枠はりを省いて車体に軸はりを、上記の構成により設けることにより、上記したのとほぼ同様の効果が生じ、構成が簡素化され、小型軽量化が容易に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る一軸台車を適用した100%低床式2両編成の連接車両を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る一軸台車を適用した100%低床式単一車両を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る一軸台車を連設箇所に適用した部分低床式2両編成の連接車両を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例にかかる図1・図2の車両の右端に配置した一軸台車10を示すもので、図4(a)は右半分を省略した拡大平面図で、図4(b)は左側面図である。
【図5】図5(a)は図4(a)の正面図で、図5(b)は図5(a)の一軸台車の車輪を左右方向に操向させた状態を示す平面図で、台車枠はりおよび横はりを省略している。
【図6】図6(a)は図4(a)の台車枠はりピン部分を拡大して示す断面図で、図6(b)は台車10に対し車体2がsだけ横移動した状態を示す右半分を省略した拡大平面図である。図6(c)は防振ゴムの他の実施例を示す断面図である。
【図7】図7(a)は台車枠はり11に対し軸はり12の前端側が上方へ揺動した状態を表す側面図、図7(b)は車体2に対し台車枠はり11の前端部側が上方へ揺動した状態を表す側面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる一軸台車10−1を示す、右半分を省略した拡大平面図である。
【図9】本発明の第3実施例にかかる一軸台車10−2を示すもので、図9(a)は右半分を省略した拡大平面図、図9(b)は同左側面図である。
【図10】図10(a)は一軸台車10−2に対し車体2がsだけ横移動した状態を示す右半分を省略した拡大平面図、図10(b)は図10(a)のA方向から見た拡大断面図である。
【図11】図11(a)は台車枠はり11に対し軸はり12の前端側が上方へ揺動した状態を表す側面図、図11(b)は車体2に対し台車枠はり11の前端部側が上方へ揺動した状態を表す側面図である。
【図12】本発明の第4実施例にかかる一軸台車10−3を示す左側面図である。
【図13】本発明の各実施例にかかる一軸台車10〜10−3に用いられる、車輪14・ナックル28・減速機30の関係を拡大して示す断面図である。
【図14】本発明の一軸台車10等に使用される歯車減速機のギヤトレーンの実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図である。
【図15】本発明の一軸台車10等に使用される歯車減速機のギヤトレーンの他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図である。
【図16】本発明の一軸台車10等に使用される歯車減速機のギヤトレーンの他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図である。
【図17】本発明の一軸台車10等に使用される歯車減速機のギヤトレーンのさらに他の実施例を示す一部を切り欠いて表した平面図である。
【図18】鉄道車両の振動系を示す模式図である。
【図19】鉄道車両の乗り心地の状況を表す共振曲線である。
【図20】球面軸受54の一例を表わすもので、図20(a)は図20(b)のa−a線拡大断面図、図20(b)は右半分を省略した拡大平面図である。
【図21】図21(a)・(b)は折曲可能な駆動力伝達継手33’を示す断面図で、図21(a)は図21(b)のa−a線断面図、図21(b)は図21(a)のb−b線断面図である。
【図22】図22(a)(b)は他の実施例にかかる折曲可能な駆動力伝達継手33”を示す断面図で、図22(a)は常態を図22(b)は折曲常態を表す。
【図23】折曲可能な駆動力伝達継手の一つである等速ボールジョイント33を示す断面図である。
【符号の説明】
1・1’・1” 路面電車
2 車体
3 床面
9 レール
10〜10−3 一軸台車
11 台車枠はり
12 軸はり
13 軸受
14 車輪
15 駆動用電動モータ
17 台車枠はり
19 軸はりピン
20・20’ロール状防振ゴム
21 枕ばね
24 軸ばね
30 減速機
Claims (9)
- 側はり部分を備えた台車枠はりの一端部両側を車体の底面に台車枠はりピンを介して他端側が上下方向に揺動可能に連結し、車体と台車枠はりの他端部間に空気ばね等の弾性体を介設し、
前記台車枠はりの下方で前記側はり部分にほぼ平行に左右一対の軸はりを配置し、駆動用モータのケーシングを前記軸はりの一端部に一体に設け、当該ケーシングから突設したブラケットを介して軸はりピンにより前記軸はりの一端部を、前記台車枠はりの前記台車枠はりピン側の端部に対し上下方向に揺動可能に連結し、前記台車枠はりの他端部と軸はり間に軸ばね等の弾性体を介設し、
前記各軸はりにそれぞれ軸受により回転自在に支持した車輪を、ナックルを介して前記車輪外側に配置したキングピンを中心に操向可能に取り付け、
前記各軸はりの前記軸はりピン側の前記ケーシング内に駆動用モータを設けて該モータを前記軸はりに内装した減速機を介して前記車輪に接続したこと
を特徴とする鉄道車両用一軸台車。 - 前記台車枠はりは、前記台車枠はりピン側で垂下させて垂下部両側を横はりにより一体に連結し、
前記軸はりは、軸はりピンと反対側で端部同士を横リンクにより枢支連結した請求項1記載の鉄道車両用一軸台車。 - 前記駆動用モータを前記軸はりに一体に設けるとともに、駆動用モータのケーシングから突設したブラケットを介して前記軸はりピンにより前記台車枠はりに対し軸はりを揺動可能に連結し、前記軸はりを中空構造にして前記減速機を軸はり内に組み込んだ請求項1又は2記載の鉄道車両用一軸台車。
- 前記台車枠はりピンを前記車体に対し、前記車体と前記台車枠はり間の相対的な左右移動を許容するように設けるとともに、弾性体を台車枠はりピンの周囲に、車体と台車枠はり間の相対的な左右移動時に該移動を抑制するように設けた請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
- 前記台車枠はりの前記台車枠はりピン側端を車体に対し、弾性体又は吊りリンクを介して左右方向に揺動自在に連結するとともにラジアスロッドを介して前後方向にも連結した請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
- 前記車輪の車軸と前記減速機の出力軸とを、前記キングピン付近で等速ボールジョイント等の折曲可能な動力伝達軸継手により接続した請求項1〜5のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
- 前記左右のナックルから前方へ操舵用アームを延設し、内軌側車輪が外軌側車輪に比べて大きく操向されるように傾斜角度をつけてタイロッドにより枢支連結した請求項1〜6のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
- 前記台車枠はりの一端下端部に対し、前記台車枠はりピンのほぼ真下に配置した軸はりピンを介して前記軸はりの一端を他端側が上下方向に揺動可能に連結し、該軸はりの他端側を前記台車枠はりの他端より外方へ突出させ、軸はりの他端部に前記車輪を操向可能に取り付けた請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用一軸台車。
- 左右一対の軸はりの一端部を車体の底面に軸はりピンを介して他端側が上下方向に揺動可能に連結し、前記各軸はりの他端側と前記車体との間に軸ばね等の弾性体を介設し、
前記各軸はりにそれぞれ軸受により回転自在に支持した車輪を、ナックルを介して前記車輪外側に配置したキングピンを中心に操向可能に取り付け、
前記各軸はりの前記軸はりピン側に駆動用モータを設けて該モータを前記軸はりに内装した減速機を介して前記車輪に接続したこと
を特徴とする鉄道車両用一軸台車。
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