JP2002293978A - 多孔質硬化物の製造方法 - Google Patents
多孔質硬化物の製造方法Info
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Abstract
O/W型熱硬化性樹脂水性分散体を硬化させて得られる
樹脂粒子が結合し微細な連続気孔を有する硬化粒子集合
体からなる機械的強度に優れた多孔質硬化物および抗菌
性、防黴性または消臭性などの機能が硬化物の表面層に
局在化した多孔質硬化物を提供する。 【解決手段】液状にラジカル重合型熱硬化性樹脂を水相
中に分散してなるゲル化時間の異なる複数のO/W型熱
硬化性樹脂水性分散体混合物からなるO/W型熱硬化性
樹脂水性分散体を硬化させることを特徴とし、その1種
が抗菌性、防黴性または消臭性の水性分散体を使用さら
にO/W型熱硬化性樹脂水性分散体がゲル化状態に達し
た段階で加熱、加圧または振動の少なくとも一つの処理
を行って硬化させることを特徴とする製造方法。
Description
なる樹脂粒子が結合した微細な気孔を有する硬化粒子集
合体からなる多孔質硬化物の製造方法に関する。さらに
詳しくは、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂を水相中
に分散してなるO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を硬化
させ樹脂粒子が結合し連続気孔を有する硬化粒子集合体
からなる強度に優れた多孔質硬化物を製造する方法に関
する。
型熱硬化性樹脂と水とを混合し、水相中に樹脂粒子が均
一に分散されてなるO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を
硬化させることにより樹脂粒子が結合した硬化粒子集合
体からなる微細な連続気孔を有する多孔質硬化物が得ら
れることを見出した。このO/W型熱硬化性樹脂水性分
散体より得られる多孔質硬化物は、強化材の存在下で
は、実用上必要な強度を得ることは可能であったが、強
化材の存在しない場合には強度が十分ではない等の問題
があり、より高い強度を有するものが要求された。ま
た、通常の成型品に抗菌性等の機能を付与した高付加価
値製品を製造する場合、一般に原料樹脂に機能付与剤を
配合して成形されるので成形品表面に局在化させて所望
する機能を付与することは困難であった。そのため一定
以上の性能を発現させるためには多量の付与剤を使用し
なければならず、コスト高とならざるを得なかった。一
方、成形品の表面に抗菌性等の機能を付与する方法とし
て、成形品の表面に機能付与剤を塗布する等の手段によ
り付与することはできるが、持続性に問題がある。
カル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合し、水相中に樹脂
粒子が均一に分散されてなるO/W型熱硬化性樹脂水性
分散体を硬化させて得られる樹脂粒子が結合し微細な連
続気孔を有する硬化樹脂粒子集合体からなる機械的強度
に優れた多孔質硬化物を提供することを目的とする。
硬化性樹脂と水とを混合し、水相中に樹脂粒子が均一に
分散されてなるO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を硬化
させて得られる抗菌性、防黴性または消臭性などの機能
が硬化物の表面層に局在化した、樹脂粒子が結合し微細
な連続気孔を有する硬化樹脂粒子集合体からなる機械的
強度に優れた多孔質硬化物を提供することを目的とす
る。
カル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合してなるO/W型
熱硬化性樹脂水性分散体を硬化させて得られる多孔質硬
化物の強度を向上させる方法につき種々検討し、O/W
型熱硬化性樹脂水性分散体としてゲル化時間の異なる複
数のO/W型熱硬化性樹脂水性分散体の混合物からなる
O/W型熱硬化性樹脂水性分散体を使用することによ
り、単一のO/W型熱硬化性樹脂水性分散体から得られ
る硬化物に比べ、強化材の存在下で硬化させた場合は勿
論、強化材の存在しない系で硬化させた場合においても
得られる多孔質硬化物の強度が向上することを見出し
た。またO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を硬化させる
過程における樹脂粒子のゲル化から硬化に至る硬化反応
の挙動に着目し、ゲル化状態から硬化する過程において
加熱または加圧するか、振動を与えることにより、得ら
れる多孔質硬化物の強度が大幅に向上することが認めら
れた。O/W型水性分散体のゲル化段階で、加熱、加圧
あるいは振動を与えることはゲル化時間の異なる複数の
O/W型水性分散体混合物から多孔質硬化物を得る場合
に特に有効であるが、単一のO/W型水性分散体を硬化
させて多孔質硬化物を得る場合においても水性分散体が
ゲル化状態に達した段階で、加熱、加圧あるいは振動の
少なくとも一つの処理を行って硬化を行うことにより、
得られる多孔質硬化物の強度をより高めることができる
ことも認められた。またゲル化時間の異なる複数のO/
W型熱硬化性樹脂水性分散体の一つに抗菌性等の機能を
付与したO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を使用するこ
とにより抗菌性、防黴性または消臭性などの機能を硬化
物の表面層に局在化させることができることが分り、こ
れに基づき本発明を完成した。
硬化性樹脂を水相中に分散してなるゲル化時間の異なる
複数のO/W型熱硬化性樹脂水性分散体混合物からなる
O/W型熱硬化性樹脂水性分散体を硬化ることを特徴と
する多孔質硬化物の製造方法に関する。
熱硬化性樹脂水性分散体の少なくとも1種が、抗菌性、
防黴性または消臭性の少なくとも1種の機能を有するラ
ジカル重合型熱硬化性樹脂からなるO/W型熱硬化性樹
脂水性分散体であることを特徴とする上記(1)記載の
多孔質硬化物の製造方法に関する。
熱硬化性樹脂水性分散体の混合物からなるO/W型熱硬
化性樹脂水性分散体がゲル状態に達した段階で、加熱、
加圧または振動の少なくとも一つの処理を行って硬化さ
せることを特徴とする上記(1)または(2)記載の多
孔質硬化物の製造方法に関する。
を水相中に分散してなる単一のO/W型熱硬化性樹脂水
性分散体を硬化させて多孔質硬化物を製造するに際し
て、O/W型熱硬化性樹脂水性分散体がゲル状態に達し
た段階で、加熱、加圧または振動の少なくとも一つの処
理を行って硬化させることを特徴とする多孔質硬化物の
製造方法に関する。
樹脂水性分散体を硬化させることを特徴とする上記
(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質硬化物の製造
方法に関する。
が、液状不飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メ
タ)アクリレート樹脂、液状ウレタン(メタ)アクリレ
ート樹脂、液状(メタ)アクリル樹脂である上記(1)
〜(5)のいずれかに記載の多孔質硬化物の製造方法に
関する。
熱硬化性樹脂と水とを混合し、水相中に樹脂粒子が均一
に分散されてなるO/W型熱硬化性樹脂水性分散体(以
下、単に「O/W型水性分散体」または「水性分散体」
という)を硬化せて多孔質硬化物を製造する方法におい
て、ゲル化時間の異なる複数のO/W型熱硬化性樹脂水
性分散体混合物からなるO/W型熱硬化性樹脂水性分散
体を、強化材の存在下または不存在下に硬化させ樹脂粒
子が結合し微細な連続気孔を有する強度に優れた硬化粒
子集合体からなる多孔質硬化物を製造する方法に関する
ものである。
は、通常ゲル化時間が異なる2種類の樹脂を混合した場
合は、各々のゲル化時間の間で1つのゲル化時間を示す
ようになると考えられている。樹脂粒子を水中に分散さ
せた場合、樹脂微粒子は個々にゲル化時間を有して分散
しており、異なるゲル化時間を有する樹脂微粒子が混合
されても水中においては粒子間が水相で隔離された状態
にあるので、個々の粒子は混合されることはなくそれぞ
れのゲル化時間を有する微粒子として存在する。このこ
とからO/W型水性分散体において、ゲル化時間の異な
る水性分散体を複数混合した場合には、分散している樹
脂粒子単位でみるとゲル化時間を異にする複数の粒子か
らなる水性分散体として存在する。また、性能の異なる
樹脂のO/W型水性分散体を混合した場合も同様に異な
った性能を維持した粒子の水性分散体として存在させる
ことができる。
相中に分散されたO/W型水性分散体を硬化させて硬化
物を生成する際、硬化過程において水相中に分散した樹
脂粒子は、近接する粒子同士が接触し結合した状態でゲ
ル化が起こり略球状の形態で粒子同士が結合した状態で
固定され、硬化反応が進行し硬化に至るものと考えられ
る。この場合ゲル化時間の異なる複数の水性分散体混合
物では、ゲル化および硬化反応はそれぞれ個別に進行す
るものと考えられ、ゲル化および硬化反応に差異が生
じ、ゲル化時間の短い樹脂粒子が先にゲル化が起こり略
球状の形態で固定される。一方、同一系内に存在する長
いゲル化時間を有する樹脂粒子の水性分散体は、先にゲ
ル化した樹脂粒子の硬化反応に伴う発熱や外部からの加
熱などにより、分散安定性が壊れ微粒子状態で存在し難
くなり、ゲル化時間の長い樹脂粒子は、先にゲル化し固
定された粒子の表面に吸着され樹脂が付着した状態で硬
化される。その結果、硬化樹脂粒子間あるいは硬化樹脂
粒子表面にゲル化時間の長い樹脂が付着した状態で硬化
するので、硬化樹脂粒子間の結合が強くなり十分な強度
が得られるものと考えられる。
型水性分散体混合物からなるO/W型水性分散体から硬
化物を得る過程において、水性分散体がゲル状態に達し
た段階(具体的には水性分散体のゲル化時間経過後)で
加熱して硬化反応を行わせることにより微粒子同士の接
合部分の面積を高めることができ硬化物の強度をさらに
向上させることができることが認められた。この微粒子
同士の接合面積を高めるには加熱の他にゲル状態に達し
た段階で、加圧あるいは振動等の物理的作用を与えるこ
とによっても同様に粒子同士の接合面積を高めることが
でき、硬化物の強度を向上させることができる。O/W
型水性分散体のゲル化段階で、加熱、加圧あるいは振動
を与えることはゲル化時間の異なる複数のO/W型水性
分散体混合物から多孔質硬化物を得る場合に特に有効で
あるが、単一のO/W型水性分散体を硬化させて多孔質
硬化物を得る場合においても水性分散体がゲル化状態に
達した段階で、加熱、加圧あるいは振動の少なくとも一
つの処理を行って硬化を行うことにより、得られる多孔
質硬化物の強度をより高めることができる。
水性分散体混合物からなる水性分散体の硬化過程におけ
る先にゲル化した樹脂粒子表面にゲル化時間の長い樹脂
が付着し硬化に至る事象を応用することにより、ゲル化
時間の異なる複数のO/W型水性分散体混合物におい
て、ゲル化時間の長いO/W型水性分散体に抗菌性等の
機能を付与したラジカル重合型熱硬化性樹脂かならるO
/W型水性分散体を使用することにより、ゲル化時間の
短い樹脂粒子がゲル化した樹脂粒子表面にゲル化時間の
長い樹脂粒子が付着し薄い膜状で硬化することにより、
少量の機能性付与剤の使用量で広い面積に抗菌性等の機
能を付与できることから硬化物の表面層に特定の機能を
局在化させることができる。
ル状態に達した段階で加熱することによりゲル化した樹
脂粒子およびその表面に付着した樹脂粒子の硬化反応が
促進され得られる多孔質硬化物の強度が高められる。ま
たは加圧あるいは振動することによりゲル化した樹脂粒
子およびその表面に付着した樹脂粒子の接合度合いを高
めて硬化させるので得られる多孔質硬化物の強度が高め
られる。ゲル状態に達した段階で実施する加熱、加圧ま
たは振動の条件等は、使用した水性分散体混合物の組合
わせや樹脂の種類、成型品の形態等により一概に定める
ことはできないが、加熱温度は、一般的には樹脂成型温
度よりも10℃〜70℃高い温度範囲であり、最高でも
95℃以上にすることはない。また加圧は、一般的には
10Pa〜1000Pa、好ましくは20Pa〜500
Paの圧力である。また振動は水性分散体中の樹脂微粒
子の衝突を起させる程度の振動であればよい。
ゲル化時間の長い樹脂粒子が、先にゲル化し固定された
粒子の表面に吸着され樹脂が付着した状態で硬化され、
硬化樹脂粒子間あるいは硬化樹脂粒子表面にゲル化時間
の長い樹脂が付着した状態で硬化された粒状の樹脂粒子
同士が結合し微細な連続する気孔を有する硬化粒子集合
体からなる多孔質硬化物で、一般には、気孔率10容量
%〜40容量%、気孔径0.1μm〜1.0μmを有す
るものである。本発明において、気孔率および気孔径は
下記の方法により測定される値である。
しその値の差[(乾燥前重量)−(乾燥後重量)]を気
孔部分の容積(a)とする。乾燥後の硬化物の重量
(b)、硬化物中の強化材含有量の値(燃焼法により可
燃物重量(c)と燃焼残渣重量(d))を求め下記式か
ら気孔率(X)を求めた。
重)]×100
を硬化物と同一として近似値を用いた)]X(%)=a/
[(b/硬化物真比重+a)]×100
9420」を使用し、水銀の圧入圧力と圧入量から平
均気孔径を求めた。
O/W型水性分散体混合物は、ゲル化時間が異なるそれ
ぞれの液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合
し、水相中に樹脂粒子を均一に分散させて得られるそれ
ぞれ異なるゲル化時間を有するO/W型水性分散体の複
数を混合することによりゲル化時間の異なる複数のO/
W型水性分散体混合物とすることができる。また、本発
明におけるゲル化時間の異なる複数のO/W型水性分散
体混合物は、ゲル化時間の異なる異種のラジカル重合型
熱硬化性樹脂のO/W型水性分散体の複数を混合するこ
とができる。この場合、個々のO/W型水性分散体は、
液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを重量比で、
90:10〜60:40、好ましくは85:15〜7
0:30の範囲で混合することにより樹脂粒子が水相中
に均一に分散されたO/W型水性分散体を得ることがで
きる。
のO/W型水性分散体混合物を使用する場合、個々の水
性分散体のゲル化時間それ自体は特に規定されないが、
ゲル化時間を大別して2種類に分けて、長いゲル化時間
を有するO/W型水性分散体のゲル化時間は、同一温度
において短いゲル化時間を有するO/W型水性分散体の
ゲル化時間に対して、ゲル化時間の比がほぼ1.5倍〜
20倍、好ましくは2.0倍〜10倍であることが望ま
しい。混合するO/W型水性分散体のゲル化時間の比が
小さく1.5倍以下ではゲル化時間の差が小さく、殆ど
同時にゲル化してしまうため、本発明の効果が十分に得
られない。またその比が大きく20倍以上の場合には、
硬化不良が起こり十分な強度が得られない場合があり好
ましくない。
化時間の調節は添加される硬化剤、促進剤あるいは禁止
剤の添加量により調節することができるが、硬化剤や促
進剤の添加量で調節するよりも禁止剤の添加量で調節す
ることが好ましい。また、複数のO/W型水性分散体混
合物の場合、混合される水性分散体において使用される
硬化剤と促進剤との組み合わせは必ずしも同一にする必
要はないが、同一の組み合わせにすることが好ましい。
臭性等の機能を硬化物の表面層に局在化させる場合に
は、O/W型水性分散体混合物の一つの水性分散体に、
抗菌性、防黴性または消臭性の少なくとも1種の機能を
有するラジカル重合型熱硬化性樹脂からなるO/W型水
性分散体が使用される。本発明における抗菌性、防黴性
または消臭性の少なくとも1種の機能を有する液状のラ
ジカル重合型熱硬化性樹脂は、液状のラジカル重合型熱
硬化性樹脂に抗菌性付予与剤、防黴性付予与剤または消
臭性付予与剤の少なくとも1種を混合することにより得
られる。抗菌性を付与する方法は、ラジカル重合型熱硬
化性樹脂に抗菌性付予与剤を混合する方法と、抗菌性を
発現する物質を原料成分の一成分に用いてラジカル重合
型熱硬化性樹脂を製造することにより抗菌性を付与する
方法とがある。
性付予与剤を混合して抗菌性を付与する際に使用される
抗菌剤としては、銀に代表される金属系抗菌剤使用され
る。このような抗菌剤としては、例えば、東亞合成株式
会社から市販されている「ノバロンAGT300」、
「ノバロンAG300」,「ノバロンVZ100」等が
例示される。
一成分に使用して抗菌性を有する液状ラジカル重合型熱
硬化性樹脂とする方法としては、例えば不飽和ポリエス
テル樹脂を製造する際に、使用される二塩基酸の一部を
4級アンモニウム塩または4級ピリジニウム塩を含む二
塩基酸に換えて使用することにより、抗菌性を有する液
状不飽和ポリエステル樹脂を得ることができる。4級ア
ンモニウム塩または4級ピリジニウム塩を含む二塩基酸
としては、3,5−ジカルボキシメチル−ラウリルピリ
ジニウムクロライド,3,5−ジカルボキシメチル−ベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロライド等が例示され
る。
型熱硬化性樹脂は、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂
に防黴性付与剤を混合して防黴性を有する液状のラジカ
ル重合型熱硬化性樹脂を得ることができる。液状のラジ
カル重合型熱硬化性樹脂に混合して防黴性を付与するた
めにの防黴剤としては、市販の防黴剤例えば、東亞合成
株式会社から市販されている「カビノン800」や「カ
ビノン900」が例示される。
型熱硬化性樹脂は、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂
に消臭性付与を混合して消臭性を有する液状のラジカル
重合型熱硬化性樹脂を得ることができる。液状のラジカ
ル重合型熱硬化性樹脂に混合して消臭性を付与するため
の消臭剤は市販のものが使用され、例えば、東亞合成株
式会社から市販されている「ケスモンNS80E」や
「ケスモンTNS200」等が例示される。
化性樹脂は、特に特定されないが、一般的には、液状不
飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メタ)アクリレ
ート樹脂、液状ウレタン(メタ)アクリレート樹脂ある
いは液状(メタ)アクリル樹脂(いわゆるアクリルシラ
ップ)が使用される。
脂は、グリコール類を主成分とする多価アルコール類と
α,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物、さ
らに必要に応じて飽和二塩基酸および/またはその無水
物とを重縮合させて得られる不飽和ポリエステルをスチ
レン等のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量
体に溶解した液状樹脂である。
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトー
ル、ペンタエリスリットジアリエーテルのようなペンタ
エリスリトール誘導体、アリルグリシジルエーテル、水
素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールA誘導体、等が例示される。
/またはその無水物としては、例えば、マレイン酸また
はその無水物、フマル酸、イタコン酸またはその無水物
などが例示される。これらは単独で、または2種以上を
混合して使用することができる。
しては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラブロム無水フタ
ル酸、ヘット酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4―シクロヘキサ
ンジカルボン酸等が例示される。これらは単独で、また
は2種以上を混合して使用することができる。
重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトル
エン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル等のビニルモノマー、ジア
リルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリル
イソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等
のアリルモノマー、フェノキシエチルアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート等が例示される。これらは単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。またこれらのう
ちスチレン、ビニルトルエンなどのビニル系モノマーが
通常一般的に使用される。
リレート樹脂としては、1分子中に2個以上のグリシジ
ルエーテル基を有するエポキシ樹脂にアクリル酸または
メタクリル酸を付加反応させて得られる分子末端にエポ
キシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を、
エチレン性α,β−不飽和二重結合を有する重合性単量
体に溶解した液状樹脂である。上記1分子中に2個以上
のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂は、例え
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールS等、あるいはこれらの誘導体からのビスフェノー
ル型エポキシ樹脂、ビキシレノールおよびその誘導体か
らのビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノールおよ
びその誘導体からのビフェノール型エポキシ樹脂、ある
いはナフタレンおよびその誘導体からのナフタレン型エ
ポキシ樹脂、さらにはノボラック型エポキシ樹脂などの
エポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独で、または2種
以上を混合して使用することができる。エチレン性α,
β−不飽和二重結合を有する重合性単量体は、上記した
不飽和ポリエステル樹脂に使用されると同様の重合性単
量体を使用することができる。液状エポキシアクリレー
トまたはエポキシメタクリレート樹脂は、上記のエポキ
シアクリレートまたはエポキシメタクリレートを、例え
ばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートな
どの液状の重合性単量体に溶解した液状樹脂である。
アクリレート樹脂は、ポリアルコールおよび/またはポ
リエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリ
オールとジイソシアネートとを反応させて分子末端をイ
ソシアネートとを反応させてイソシアネート化し、これ
にアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタ
クリレートを反応させるか、または先ずアルコール性水
酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートとイソ
シアネートとをイソシアネート基を残してポリアルコー
ルおよび/またはポリエステルポリオールおよび/また
はポリエーテルポリオールとを反応させて得られる分子
末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を
有するウレタンアクリレート、またはウレタンメタクリ
レートを、例えばスチレン、ジエチレングリコールジメ
タクリレートなどの液状の重合性単量体に溶解した液状
樹脂である。これらは単独で、または2種以上の混合物
で使用することができる。
脂またはメタクリル樹脂としては、メチルメタクリレー
トを主成分とし部分的に他の重合性単量体を共重合体さ
せたメチルメタクリレート共重合体、またはこの共重合
体をメチルメタクリレートに溶解した液状樹脂であっ
て、通常アクリルシラップと呼ばれるものであり。な
お、これらの液状樹脂は熱硬化性とするには、例えば、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレートのような多官能性メタクリレー
トまたはアクリレート系の単量体が併用される。
は、液状のラジカル重合性熱硬化性樹脂と水とを、重量
比で90:10〜60:40、好ましくは、85:15
〜70:30の割合で物理的混合手段により混合するこ
とにより容易に製造することができる。具体的には、硬
化剤、必要に応じて促進剤を添加した液状のラジカル重
合性熱硬化性樹脂に、所定量の水を加え、例えば、ディ
ゾルバー(高速回転ミキサー)、ホモミキサーなどの物
理的混合手段、あるいは超音波照射により混合すること
により安定した水性分散体を得ることができる。使用さ
れる水は、イオン交換水、蒸留水および水道水のいずれ
でも差し支えなく特に限定するものではない。
は、硬化剤および必要に応じ促進剤を添加して使用され
るが、必要に応じ添加される促進剤は予め液状熱硬化性
樹脂に添加してO/W型水性分散体を調製することが望
ましい。硬化剤は通常は使用するに際して添加される。
硬化剤が粉末あるいはペースト状で樹脂への均一溶解に
時間がかかる場合は、硬化剤を予め液状熱硬化性樹脂に
添加してO/W型水性分散体を調製することが望まし
い。その場合、必要に応じて添加される促進剤は使用す
るに際して添加される。
有機過酸化物が使用される。そのような硬化剤として代
表的なものは、メチルエチルケトンパーオキサイドで代
表されるケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−
ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサンで代表されるパーオキシケタール類、クメンハイ
ドロパーオキサイドで代表されるハイドロパーオキサイ
ド類、ジクミルパーオキサイドで代表されるジアルキル
パーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイドで代表さ
れるジアシルパーオキサイド類、ビス(4−t−ブチル
シクロヘキシル)パーオキシジカーボネートで代表され
るパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエートで代表されるパーオキシベンゾエート類な
どを挙げられる。このような硬化剤は、通常、液状ラジ
カル重合型熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜
3.0重量部の範囲で使用され、好ましくは0.5〜
2.0重量部が使用される。
表される有機酸の金属塩(金属石鹸)類、N,N−ジメ
チルアニリン、N,N−ジメチルパラトルイジンなどの
3級アミン類、フェロセン等、不飽和ポリエステル樹脂
の室温硬化に通常使用される促進剤が使用される。これ
らの促進剤は、例えば、硬化剤としてケトンパーオキサ
イド、やハイドロパーオキサイドを使用した場合はナフ
テン酸コバルトのような金属石鹸との組合せが好まし
く、硬化剤がジアシルパーオキサイドである場合には3
級アミンとの組合せが好ましく、硬化剤がパーオキシカ
ーボネートである場合にはフェロセンとの組合せが好ま
しい。このような促進剤は、金属石鹸類は液状ラジカル
重合型熱硬化性樹脂100重量部に対して金属含有量6
%のものに換算して0.02〜2.0重量部の範囲で使
用され、好ましくは0.2〜1.0重量部が使用され
る。3級アミン類は液状ラジカル重合型熱硬化性樹脂1
00重量部に対して0.05〜1.0重量部の範囲で使
用され、好ましくは0.1〜0.5重量部が使用され
る。
て、必要に応じて界面活性剤を使用することができる。
界面活性剤の使用は本発明のO/W型水性分散体の安定
性を高めることができるので、本発明の水性分散体を調
製後直ぐに使用することなく数日間放置した後に硬化物
とするような場合には界面活性剤を添加することが望ま
しい。
非イオン系界面活性剤が望ましい。非イオン系界面活性
剤としては、(1)エステル型、(2)エーテル型、
(3)アルキルフェノール型、(4)ソルビタンエステ
ル型、(5)ポリオキシエチレンソルビタンエステル
型、および(6)特殊非イオン型のいずれのタイプでも
使用することができる。このような界面活性剤の添加量
は液状ラジカル硬化型熱硬化性樹脂100重量部に対し
て0.1〜10重量部の範囲で使用され、好ましくは
0.5〜2.0重量部で使用される。界面活性剤の添加
量が0.1重量部よりも少ない場合は添加の効果が発揮
されず、10重量部を超える量を添加した場合には耐水
性が低下する虞があり好ましくない。
化させて得られる多孔質硬化物に、さらに強度や耐久性
等を付与するために必要に応じて強化材を併用すること
ができる。このような強化材としては、ガラスクロス、
カーボンクロス、ガラスチョップドストランドマット、
アラミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエステル繊維などの合成繊維クロス、あるいはこれら
合成繊維不織布、レイヨン系不織布等が挙げられる。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
cmの金属製容器に、液状不飽和ポリエステル樹脂(日
本ユピカ(株)製、「ユピカ6502」(比重1.1
0))1000gを秤量し、これに禁止剤としてハイド
ロキノン0.2g、硬化剤として市販の50重量%濃度
の過酸化ベンゾイル20g(樹脂100gに対して純分
1g)、界面活性剤として「プルロニックL−61」
(ポリオキシエチレンプロピレンエーテル型、旭電化工
業(株)製)10gを加えゆっくりと混ぜながらよく混
合したのち、水道水429g(樹脂70gに対して30
g)を加え羽根の外径が5cmのディゾルバーを使用し
て回転数4000rpmで5分間高速撹拌し、O/W型
水性分散体(B1)を得た。得られた水性分散体は、
N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2部添加し
たときの25℃でのゲル化時間は15分であった。
cmの金属製容器に、液状エポキシアクリレート樹脂
(日本ユピカ(株)製、「ネオポール8250H」(比
重1.05))100gを秤量し、これに禁止剤として
ハイドロキノン0.04g、硬化剤として市販の50重
量%濃度の過酸化ベンゾイル2g(樹脂100gに対し
て純分1g)、界面活性剤として「プルロニックL−6
1」1gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合したの
ち、水道水43g(樹脂70gに対して30g)を加え
羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4
000rpmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分散体
(B2)を得た。得られた水性分散体は、N,N−ジメ
チルアニリンを樹脂に対し0.2部添加したときの25
℃でのゲル化時間は50分であった。
散体(C1)の調製)上記のゲル化時間が15分の水性
分散体(B1)1350gと、ゲル化時間が50分の水
性分散体(B2)150gとを混合し水性分散体混合物
からなる水性分散体(C1)を調製した。この水性分散
体(C1)は、N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し
0.2部添加したときの25℃でのゲル化時間は17分
であった。
窒素導入管を付けた、5リットルのガラス製5つ口フラ
スコにイソフタル酸1900g、ジエチレングリコール
2000gプロピレングリコール700gを入れ200
℃で10時間を要して酸価15mgKOH/gまで反応
させた。120℃まで冷却後無水マレイン酸1100g
を加え、210℃で9時間反応させて酸価4mgKOH
/g,水酸基価60mgKOH/gの不飽和ポリエステ
ルを得た。得られた不飽和ポリエステルは、ハイドロキ
ノン1gを溶解させた3300gのスチレンに溶解して
8300gの不飽和ポリエステル樹脂(A1)を得た。
m、高さ30cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポ
リエステル樹脂(A1)2000gを秤量し、これに禁
止剤としてハイドロキノン0.1g、硬化剤として市販
の50重量%濃度の過酸化ベンゾイル40g(樹脂10
0gに対して純分1g)、界面活性剤として「イオネッ
トT−20C」(ポリオキシエチレンソルビタンエステ
ル 三洋化成(株)製)20gを加えゆっくりと混ぜな
がらよく混合したのち、水道水667g(樹脂75gに
対して25g)を加え羽根の外径が5cmのディゾルバ
ーを使用して回転数4000rpmで5分間高速撹拌
し、O/W型水性分散体(B3)を得た。得られた水性
分散体は、N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.
2部添加したときの25℃でのゲル化時間は8分であっ
た。
cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポリエステル樹
脂(A1)500gを秤量し、これに禁止剤としてハイ
ドロキノン0.3g、硬化剤として市販の50重量%濃
度の過酸化ベンゾイル10g(樹脂100gに対して純
分1g)、界面活性剤として「イオネットT−20C」
5gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合したのち、水
道水167g(樹脂75gに対して25g)を加え羽根
の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数400
0rpmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分散体(B
4)を得た。得られた水性分散体は、N,N−ジメチル
アニリンを樹脂に対し0.2部添加したときの25℃で
のゲル化時間は80分であった。
cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポリエステル樹
脂(A1)500gを秤量し、これに抗菌剤として「ノ
バロンAGZ330」(東亜合成(株)製)2.5g、
禁止剤としてハイドロキノン0.025g、硬化剤とし
て市販の50重量%濃度の過酸化ベンゾイル10g(樹
脂100gに対して純分1g)、界面活性剤として「イ
オネットT−20C」5gを加えゆっくりと混ぜながら
よく混合したのち、水道水167g(樹脂75gに対し
て25g)を加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを
使用して回転数4000rpmで5分間高速撹拌し、抗
菌性を付与したO/W型水性分散体(B5)を得た。得
られた水性分散体は、N,N−ジメチルアニリンを樹脂
に対し0.2部添加したときの25℃でのゲル化時間は
8分であった。
cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポリエステル樹
脂(A1)500gを秤量し、これに抗菌剤として「ノ
バロンAGZ330」2.5g、禁止剤としてハイドロ
キノン0.3g、硬化剤として市販の50重量%濃度の
過酸化ベンゾイル10g(樹脂100gに対して純分1
g)、界面活性剤として「イオネットT−20C」5g
を加えゆっくりと混ぜながらよく混合したのち、水道水
167g(樹脂75gに対して25g)を加え羽根の外
径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4000r
pmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分散体(B6)
を得た。得られた水性分散体は、N,N−ジメチルアニ
リンを樹脂に対し0.2部添加したときの25℃でのゲ
ル化時間は80分であった。
散体(C2)の調製)上記のゲル化時間8分の水性分散
体(B3)1200gと、ゲル化時間80分の水性分散
体(B4)300gを混合して水性分散体混合物からな
る水性分散体(C2)を調製した。この水性分散体は、
N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2部添加し
たときの25℃でのゲル化時間は10分であった。
用した水性分散体混合物からなる水性分散体(C3)の
調製)上記のゲル化時間8分の水性分散体(B3)16
0gと、ゲル化時間80分の抗菌性を付与した水性分散
体(B6)40gを混合して水性分散体混合物からなる
水性分散体(C3)を調製した。この水性分散体は、
N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2部添加し
たときの25℃でのゲル化時間は10分であった。
窒素導入管を付けた、5リットルのガラス製5つ口フラ
スコにイソフタル酸790g、ジエチレングリコール1
500gジプロピレングリコール1500gを入れ20
0℃で10時間を要して酸価15mgKOH/gまで反
応させた。120℃まで冷却後無水マレイン酸1800
gを加え、210℃で8時間反応させて酸価25mgK
OH/g、水酸基価45mgKOH/gの不飽和ポリエ
ステルを得た。得られた不飽和ポリエステルは、ハイド
ロキノン1gを溶解させた3300gのスチレンに溶解
して8300gの不飽和ポリエステル樹脂(A2)を得
た。
還流冷却管,窒素導入管を付けた、5リットルのガラス
製5つ口フラスコにイソフタル酸2500g、ジエチレ
ングリコール1360gジプロピレングリコール138
0gを入れ220℃で14時間を要して酸価15mgK
OH/gまで反応させた。120℃まで冷却後無水マレ
イン酸630gを加え、210℃で6時間反応させて酸
価22mgKOH/g,水酸基価40mgKOH/gの
不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステ
ルは、ハイドロキノン1gを溶解させた3300gのス
チレンに溶解して8300gの不飽和ポリエステル樹脂
(A3)を得た。
m、高さ30cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポ
リエステル樹脂(A2)1000gを秤量し、これに禁
止剤としてハイドロキノン0.1g、硬化剤として市販
の50重量%濃度の過酸化ベンゾイル40g(樹脂10
0gに対して純分1g)、界面活性剤として「PEG4
00」10gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合した
のち、水道水333g(樹脂75gに対して25g)を
加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転
数4000rpmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分
散体(B7)を得た。得られた水性分散体は、N,N−
ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2部添加したときの
25℃でのゲル化時間は9分であった。
cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポリエステル樹
脂(A3)1000gを秤量し、これに禁止剤としてハ
イドロキノン0.1g、硬化剤として市販の50重量%
濃度の過酸化ベンゾイル40g(樹脂100gに対して
純分1g)、界面活性剤として「PEG400」(ポリ
オキシエチレングリコール型 三洋化成(株)製)10
gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合したのち、水道
水333g(樹脂75gに対して25g)を加え羽根の
外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4000
rpmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分散体(B
8)を得た。得られた水性分散体は、N,N−ジメチル
アニリンを樹脂に対し0.2部添加したときの25℃で
のゲル化時間は11分であった。
cmの金属製容器に、上記の液状不飽和ポリエステル樹
脂(A3)500gを秤量し、これに禁止剤としてハイ
ドロキノン0.3g、硬化剤として市販の50重量%濃
度の過酸化ベンゾイル10g(樹脂100gに対して純
分1g)、界面活性剤として「イオネットT−20C」
5gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合したのち、水
道水167g(樹脂75gに対して25g)を加え羽根
の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数400
0rpmで5分間高速撹拌し、O/W型水性分散体(B
9)を得た。得られた水性分散体は、N,N−ジメチル
アニリンを樹脂に対し0.2部添加したときの25℃で
のゲル化時間は80分であった。
散体(C4)の調製)上記のゲル化時間9分の水性分散
体(B7)500gと、ゲル化時間11分の水性分散体
(B8)850g、およびゲル化時間80分の水性分散
体(B9)150gを混合して水性分散体混合物からな
る水性分散体(C4)を調製した。この水性分散体は、
N,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2部添加し
たときの25℃でのゲル化時間は11分であった。
の各水性分散体500gにN,N−ジメチルアニリンを
樹脂に対し0.2部添加混合し、気泡を除いた後、厚さ
3mmのスペーサーを置いた40cm角のガラス板上に
静かに流し、40cm角のガラス板で覆い25℃で2時
間硬化させた。得られた硬化物は80℃で30分後硬化
して厚さ3mmの多孔質硬化物を作製し、該多孔質硬化
物をそれぞれ硬化物番号1,2,3とした。尚、得られ
た多孔質硬化物のそれぞれの気孔率、気孔径は、硬化物
1は気孔率32容量%,気孔径0.6μm、硬化物2は
気孔率27容量%,気孔径0.5μm、硬化物3は気孔
率28容量%,気孔径0.6μm、であった。
2およびC4を硬化させた多孔質硬化物の曲げ強度を下
記表1に示す。曲げ強度はJIS K7203に準拠し
て測定した。尚、比較として上記水性分散体混合物(C
4)に使用した個々の水性分散体(B3)および水性分
散体(B4)につき同様にして作製した厚さ3mmの多
孔質硬化物(硬化物番号4、5)の曲げ強度を示す。
性分散体から得られる多孔質硬化物が、個々の水性分散
体から得られる多孔質硬化物に比べ明らかに強度が向上
していることが分る。
(C4)500gに、促進剤N,N−ジメチルアニリン
を樹脂に対し0.2部を添加混合し、気泡を除去した後
25℃に保たれた部屋で、縦40cm×横40cmのガ
ラス板上に厚さ3mmのスペーサーを置いた型内に水性
分散体を静かに流し、40cm角のガラス板で覆った。
型内に流し込んだ水性分散体がゲル状態に達した段階で
(N,N−ジメチルアニリン添加11分経過後)、80
℃の熱風炉で30分硬化させて多孔質硬化物を得た。得
られた多孔質硬化物は気孔率27容量%、気孔径0.6
μmであった。この多孔質硬化物の曲げ強度は8.3M
Paであり、上記実施例3の多孔質硬化物(曲げ強度
6.9MPa)に比べ、水性分散体がゲル状態に達した
段階で加熱を行うことにより強度が一段と向上した。
実施例4と同様の型に促進剤N,N−ジメチルアニリン
を樹脂に対して0.2部混合した水性分散体(C4)を
流し込み、ガラス板で覆い、該水性分散体がゲル状態に
達した段階で(N,N−ジメチルアニリン添加11分経
過後)、18Kgの重りをガラス板上に置きゲル状物を
加圧下(圧力113Pa)に常温で2時間硬化させた
後、80℃で30分後硬化させて多孔質硬化物を得た。
得られた多孔質硬化物は気孔率27容量%、気孔径0.
6μmであった。この多孔質硬化物の曲げ強度は7.9
MPaであり、上記実施例3の多孔質硬化物(曲げ強度
6.9MPa)に比べ、強度が一段と向上した。
実施例4と同様に促進剤を混合した水性分散体(C4)
を型に流し込み、ガラス板で覆い、該水性分散体がゲル
状態に達した段階で(N,N−ジメチルアニリン添加1
1分経過後)、電気式振動器で10分間振動を与えた
後、25℃で1時間硬化させた後、80℃で30分後硬
化させて多孔質硬化物を得た。得られた多孔質硬化物は
気孔率27容量%、気孔径0.6μmであった。この多
孔質硬化物の曲げ強度は7.5MPaであり、上記実施
例3の多孔質硬化物(曲げ強度6.9MPa)に比べ、
強度が一段と向上した。
(B3)500gにジメチルアニリンを樹脂に対し0.
2部添加混合し、気泡を除去した後25℃に保たれた部
屋で、上記の実施例4と同様の成型型に流し込み40c
m角のガラス板で覆い、該水性分散体がゲル状態に達し
た段階で(N,N−ジメチルアニリン添加8分経過
後)、80℃の熱風炉で30分硬化させて多孔質硬化物
を得た。得られた多孔質硬化物は気孔率27容量%、気
孔径0.6μmであった。この多孔質硬化物の曲げ強度
は3.1MPaであり、水性分散体がゲル化を呈した後
加熱しないで常温(25℃)で2時間硬化した後、80
℃,30分後硬化した多孔質硬化物の曲げ強度(0.8
MPa)に比べ、強度が著しく向上した。
用いた硬化物)上記の製造例4で製造したゲル化時間8
分の水性分散体(B3)450gと、上記製造例7で製
造したゲル化時間80分の抗菌性を付与した水性分散体
(B6)50gを混合して水性分散体混合物からなる水
性分散体を調製した。該水性分散体にN,N−ジメチル
アニリンを樹脂に対し0.2部を添加混合し、気泡を除
去した後25℃に保たれた部屋で、縦40cm×横40
cmのガラス板上に厚さ3mmのスペーサーを置いた型
内に水性分散体を静かに流し、40cm角のガラス板で
覆い、常温で2時間硬化させた後、80℃で30分後硬
化させて多孔質硬化物(硬化物番号6)を得た。尚、気
孔率は27容量%、気孔径は0.5μmであった。この
硬化物は抗菌性を有する水性分散体の樹脂が多孔質硬化
物表層部に存在する硬化物である。
性分散体を用い、ゲル化時間の長い他の水性分散体とか
らなる硬化物)上記実施例3で製造したゲル化時間8分
の抗菌性を有する水性分散体(B5)450gと、ゲル
化時間80分の水性分散体(B4)50gを混合して水
性分散体混合物からなる水性分散体を調製した。該水性
分散体にN,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.2
部を添加混合し、気泡を除去した後、上記実施例8と同
様にして多孔質硬化物(硬化物番号7)を得た。尚、気
孔率は26容量%、気孔径は0.5μmであった。この
硬化物は抗菌性を有しない水性分散体の樹脂が多孔質硬
化物の表層部に存在する硬化物である。
化物)ゲル化時間80分の水性分散体(B4)450g
と、ゲル化時間は80分の抗菌性を付与した水性分散体
(B6)50gとを混合して水性分散体混合物からなる
水性分散体を調製した。該水性分散体にN,N−ジメチ
ルアニリンを樹脂に対し0.2部を添加混合し、気泡を
除去した後、上記実施例8と同様にして多孔質硬化物
(硬化物番号8)を得た。尚、気孔率は27容量%、気
孔径は0.6μmであった。
化時間80分の水性分散体(B4)50gとを混合して
水性分散体混合物からなる水性分散体を調製した。該水
性分散体にN,N−ジメチルアニリンを樹脂に対し0.
2部を添加混合し、気泡を除去した後、上記実施例8と
同様にして多孔質硬化物(硬化物番号9)を得た。尚、
気孔率は27容量%、気孔径は0.6μmであった。
6〜9の多孔質硬化物について抗菌性試験を行った。そ
の結果を表2に示す。尚、本抗菌性試験は、大腸菌を
1.5×105個/ml含有する水を、上記の硬化物番
号6〜9の多孔質硬化物で濾過し、濾過水を密閉容器中
に38℃で24時間放置した後、容器内の濾過水中の菌
体個数を調べた。
た水性分散体をゲル化時間の短い水性分散体に混合した
水性分散体から得られた多孔質硬化物で、該多孔質硬化
物は表面層に抗菌性を有する水性分散体からなる樹脂層
が存在しており、該多孔質硬化物で濾過した濾過水は菌
の増殖は殆ど認められなかった。 (2)硬化物番号7の多孔質硬化物は、抗菌性を有する
水性分散体がゲル化時間が短く抗菌性を有する樹脂粒子
の表面に、ゲル化時間の長い他の水性分散体の樹脂が付
着した硬化物で、該多孔質硬化物で濾過した濾過水では
菌の増殖が認められ除菌効果が殆どない。 (3)硬化物番号8の多孔質硬化物は、抗菌性を有する
水性分散体と他の水性分散体とのゲル化時間が等しく同
時にゲル化が起こり硬化が進行した硬化物で、該多孔質
硬化物で濾過した濾過水では菌の増殖が認められ除菌効
果が殆どない。 (4)硬化物番号9の多孔質硬化物は、抗菌性を有しな
い水性分散体2種の混合物からなる水性分散体からなる
多孔質硬化物で、該多孔質硬化物で濾過した濾過水では
菌の増殖が認められ除菌効果はない。
ゲル化時間が22分の不飽和ポリエステル樹脂からなる
水性分散体(B1)500gに、N,N−ジメチルアニ
リンを樹脂に対して2部添加、混合し、気泡を除去した
後、20℃に保たれた部屋で、450g/m2のガラス
チョップドストランドマット3プライに含浸させた後、
該ガラスチョップドストランドマットをセロハン紙およ
びポリエステルフィルムで被覆した。ジメチルアニリン
添加22分経過後に80℃の熱風炉で30分硬化させ
た。硬化後被覆材を除き室温で一昼夜放置して乾燥し、
ガラス繊維で強化された厚さ3mmの板状の多孔質硬化
物を得た。得られた多孔質硬化物は曲げ強度75MPa
であった。比較として室温で24時間硬化させた後80
℃で30分後硬化し硬化後被覆材を除き室温で一昼夜放
置して乾燥し、ガラス繊維で強化された厚さ3mmの板
状の多孔質硬化物を得た多孔質硬化物は曲げ強度42M
Paであった。尚、得られた多孔質硬化物は気孔径0.
5μm、気孔率26容量%であった。
としてゲル化時間の異なる複数のO/W型熱硬化性樹脂
水性分散体の混合物からなるO/W型熱硬化性樹脂水性
分散体を使用することにより、単一のO/W型熱硬化性
樹脂水性分散体から得られる硬化物に比べ、強化材の存
在下で硬化させた場合は勿論、強化材の存在しない系で
硬化させた場合においても得られる多孔質硬化物の強度
が向上する。 (2)ゲル化時間の異なる水性分散体を複数を混合した
O/W型熱硬化性樹脂水性分散体の混合物から多孔質硬
化物を製造するに際して、ゲル化時間の長い水性分散体
をが抗菌性、防黴性または消性等の機能を付与した水性
分散体を使用することにより、抗菌剤、防黴材、消臭剤
等の高価な機能性付与剤を表面層に局在化させた多孔質
硬化物成型品を得ることができる。 (3)またゲル化時間の異なる複数のO/W型水性分散
体混合物からなる水性分散体、または単一のO/W型水
性分散体がゲル状態に達した段階で、加熱、加圧または
振動の少なくとも1つの処理を行って硬化させることに
より、さらに機械的強度に優れた高強度の多孔質硬化物
を得ることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂を水相
中に分散してなるゲル化時間の異なる複数のO/W型熱
硬化性樹脂水性分散体混合物からなるO/W型熱硬化性
樹脂水性分散体を硬化させることを特徴とする多孔質硬
化物の製造方法。 - 【請求項2】ゲル化時間の異なる複数のO/W型熱硬化
性樹脂水性分散体の少なくとも1種が、抗菌性、防黴性
または消臭性の少なくとも1種の機能を有するラジカル
重合型熱硬化性樹脂からなるO/W型熱硬化性樹脂水性
分散体であることを特徴とする請求項1記載の多孔質硬
化物の製造方法。 - 【請求項3】ゲル化時間の異なる複数のO/W型熱硬化
性樹脂水性分散体混合物からなるO/W型熱硬化性樹脂
水性分散体がゲル状態に達した段階で、加熱、加圧また
は振動の少なくとも一つの処理を行って硬化させること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質硬化
物の製造方法。 - 【請求項4】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂を水相
中に分散してなる単一のO/W型熱硬化性樹脂水性分散
体を硬化させて多孔質硬化物を製造するに際して、O/
W型熱硬化性樹脂水性分散体がゲル状態に達した段階
で、加熱、加圧または振動の少なくとも一つの処理を行
って硬化させることを特徴とする多孔質硬化物の製造方
法。 - 【請求項5】強化材の存在下にO/W型熱硬化性樹脂水
性分散体を硬化させることを特徴とする請求項1〜4の
いずれかに記載の多孔質硬化物の製造方法。 - 【請求項6】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂が、液
状不飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メタ)アク
リレート樹脂、液状ウレタン(メタ)アクリレート樹
脂、液状(メタ)アクリル樹脂である請求項1〜5のい
ずれかに記載の多孔質硬化物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001095606A JP4833423B2 (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 多孔質硬化物の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001095606A JP4833423B2 (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 多孔質硬化物の製造方法 |
Publications (2)
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