JP2002293552A - 成形用型及びその製造方法 - Google Patents

成形用型及びその製造方法

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JP2002293552A JP2001093687A JP2001093687A JP2002293552A JP 2002293552 A JP2002293552 A JP 2002293552A JP 2001093687 A JP2001093687 A JP 2001093687A JP 2001093687 A JP2001093687 A JP 2001093687A JP 2002293552 A JP2002293552 A JP 2002293552A
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molding
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Katsuyuki Kiriyama
勝之 桐山
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化珪素粒子が脱落することがなく長期間に
渡って安定して使用することができる成形用型を提供す
ること。 【解決手段】 プレス成形を行う際に使用する成形用型
であって、上記成形用型は、炭化珪素基材と、上記炭化
珪素基材上にCVD法により積層形成され、被プレス材
料と接触する成形部が設けられた炭化珪素積層体とから
構成され、上記成形部における加工脆性層の厚さが1μ
m以下であることを特徴とする成形用型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形を行う
際に使用する成形用型及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学機器に使用される光学ガラス
レンズのような、その形状等に高い精度が要求される製
品がプレス成形により製造されており、このような製品
を製造する際には、その成形面が高精度に加工された成
形用型が使用されている。
【0003】例えば、上記光学ガラスレンズの一つであ
る非球面ガラスレンズは、高精度に加工された成形用型
内にガラス素材を供給し、不活性ガス雰囲気中で加熱し
てガラス素材を軟化した後、上記成形用型でガラス素材
を加圧プレスして成形用型の面形状をガラス素材に転写
する熱間プレス法等のプレス成形法により成形されてい
る。
【0004】図4は、従来の非球面ガラスレンズを成形
する際に使用していた成形用型の一例を模式的に示した
斜視図であり、図5は、プレス装置を模式的に示した断
面図であり、図6(a)及び(b)は、図5に示したプ
レス装置で、非球面ガラスレンズを成形する様子を模式
的に示した部分拡大断面図である。
【0005】図4に示した通り、従来の成形用型40
は、セラミック、カーボン等の硬質材料からなる略円柱
状の基材41の上面の中央付近に、凹形状の成形部43
が形成されている。
【0006】このような成形用型40を用いて非球面ガ
ラスレンズを成形する際には、図5に示したようなプレ
ス装置50を用いる。プレス装置50は、その上部と下
部とに、上プレスヘッド51及び下プレスヘッド52が
設けられており、これらの間に筒状の胴型53が形成さ
れている。胴型53の内部には、それぞれ異なった面形
状の成形部43a、43bを有する成形用型40(上型
40a及び下型40b)が、成形部43a、43bを有
する面同士が向かい合うように同軸上に固定されてい
る。
【0007】このようなプレス装置50を用いて非球面
ガラスレンズを成形するには、図6(a)に示した通
り、まず、上型40aの成形部43aと、下型40bの
成形部43bとの間に予備加熱したガラス素材48を供
給する。そして、図6(b)に示した通り、上型40
a、下型40bとともにガラス素材48を加熱、昇温さ
せた後、上下プレスヘッド51、52(図5参照)を稼
働させて上型40a、下型40bを上下に移動させ、上
型40a及び下型40bでガラス素材48を挟み込むよ
うに加圧し、成形部43a、43bの面形状をガラス素
材48に転写して非球面ガラスレンズ49を成形する。
その後、非球面ガラスレンズ49、上型40a、下型4
0bを冷却し、上型40a、下型40bを先程と逆方向
に移動させて、非球面ガラスレンズ49を取り出す。
【0008】このようにして成形する非球面ガラスレン
ズには、形状精度が0.1μm、面粗度が0.01μm
程度の精度が要求されるものがあるが、成形用型の成形
部は、成形するガラスレンズに直接接触する部分であ
り、成形部の面形状は、成形されるガラスレンズの面形
状に直接影響する。従って、このような高精度の非球面
ガラスレンズをプレス成形により製造する際に使用する
成形用型の成形面にも、形状精度が0.1μm、面粗度
が0.01μm程度の高い精度が要求される。また、そ
れと同時に、このような成形用型の材料には、高温領域
でガラス素材と反応しない高温安定性、耐熱性、高硬度
及び離型性に優れる等の特性も要求される。なお、上記
形状精度とは、設定した曲面と、実際の曲面とのズレの
大きさのことをいう。
【0009】このような成形用型として、例えば、特開
平10−226526号公報には、その表面に金属成分
が付着した黒鉛基板にSiC被膜が被覆され、該SiC
被膜の上にCVD法による緻密質SiC膜が被覆形成さ
れた成形表面を有するガラスレンズ成形用型が開示され
ている。
【0010】このガラスレンズ成形用型は、CVD法に
よる緻密質SiC膜が被膜形成された成形面に、さら
に、鏡面処理を施すことにより、該成形表面における高
い形状精度と良好な面粗度とを実現させているものであ
るが、上記成形表面には、通常、機械的な加工により形
成された10〜30μm程度の厚さの加工脆性層が存在
していた。このような加工脆性層は脆くて剥がれやす
く、また、炭化珪素粒子同士の結合が弱く、炭化珪素粒
子が脱落しやすいという性質を有する。そのため、上記
ガラスレンズ成形用型を長期間使用していると、繰り返
し印加される圧力と冷熱サイクルとにより、上記成形表
面の加工脆性層から炭化珪素粒子が脱落し、この脱落し
た炭化珪素粒子が成形するガラスレンズ表面に付着して
パーティクルとなり、高い形状精度及び良好な面粗度を
有するガラスレンズを成形することができなくなること
があった。
【0011】また、上記黒鉛を基材とするガラスレンズ
成形用型は、CVD法により形成した緻密質SiC膜の
膜厚が100μm以下と薄いものであった。そのため、
緻密質SiC膜に鏡面処理を施した際、ガラスレンズ成
形用型の成形表面に、SiC被膜中の比較的大きなSi
C粒子が現れることがあり、この比較的大きなSiC粒
子が脱落することで、ガラスレンズに付着してパーティ
クルとなり、高い形状精度及び良好な面粗度を有するガ
ラスレンズを成形することができなくなることもあっ
た。
【0012】さらに、黒鉛からなる基材上にSiC被膜
を被覆しているものであったため、長期間の使用によ
り、黒鉛とSiC被膜との熱膨張係数の相違に起因し
て、両者の間に歪みが発生して剥離することがあり、耐
久性に劣るものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたものであり、炭化珪素粒子が脱落するこ
とがなく長期間に渡って安定して使用することができる
成形用型及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の成形用型は、プ
レス成形を行う際に使用する成形用型であって、上記成
形用型は、炭化珪素基材と、上記炭化珪素基材上にCV
D法により積層形成され、被プレス材料と接触する成形
部が設けられた炭化珪素積層体とから構成され、上記成
形部における加工脆性層の厚さが1μm以下であること
を特徴とする。
【0015】また、本発明の成形用型の製造方法は、上
記成形用型の製造方法であって、炭化珪素基材上に、C
VD法により炭化珪素積層体を積層形成する積層体形成
工程と、上記炭化珪素積層体に加工処理を施す加工処理
工程と、上記加工処理を施した炭化珪素積層体の加工脆
性層を薄層化する後処理工程とからなることを特徴とす
る。以下、本発明の成形用型及びその製造方法を詳細に
説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】初めに、本発明の成形用型につい
て説明する。本発明の成形用型は、プレス成形を行う際
に使用する成形用型であって、上記成形用型は、炭化珪
素基材と、上記炭化珪素基材上にCVD法により積層形
成され、被プレス材料と接触する成形部が設けられた炭
化珪素積層体とから構成され、上記成形部における加工
脆性層の厚さが1μm以下であることを特徴とするもの
である。
【0017】図1は、本発明の成形用型の一例を模式的
に示した斜視図である。図1に示した通り、本発明の成
形用型10は、主に、円柱状の炭化珪素基材11と、炭
化珪素基材11上に積層形成された円柱状の炭化珪素積
層体12とから構成されており、炭化珪素積層体12の
上面の中央付近には、平面視円形で凹形状の成形部13
が形成されている。なお、以下の説明においては、成形
部13の形状は図示したような平面視円形で凹形状のも
のとするが、成形部13の形状はこれに限定されるもの
ではなく、目的とする製品の形状に合わせて適宜決定さ
れ、例えば、炭化珪素積層体12の表面から盛り上がっ
たような凸形状のものであってもよい。
【0018】本発明の成形用型10では、成形部13に
おける加工脆性層(図示せず)の厚さは1μm以下であ
る。即ち、本発明の成形用型10の成形部13には、炭
化珪素粒子同士の結合が弱く、炭化珪素粒子が脱落しや
すい加工脆性層が殆ど存在せず、成形用型10を長期間
に渡って使用しても、繰り返し印加される圧力や冷熱サ
イクルに起因して、成形部13から炭化珪素粒子が脱落
し、該炭化珪素粒子が被プレス材料に付着してパーティ
クルとなることがない。成形部13における加工脆性層
の厚さが1μmを超えると、その結合が弱く、脱落しや
すい炭化珪素粒子が成形部13に多数存在するため、成
形用型10を長期間に渡って使用すると、上記加工脆性
層から炭化珪素粒子が脱落し、該炭化珪素粒子が被プレ
ス材料に付着してパーティクルとなる。なお、このよう
に、成形部13における加工脆性層の厚さを1μm以下
とする具体的な方法については、後述する本発明の成形
用型の製造方法において詳しく説明する。
【0019】成形部13は、プレス成形を行う際、被プ
レス材料と直接接触する部分であり、成形部13の面形
状が、そのままプレス成形により製造される製品の面形
状となる。従って、成形部13の大きさ、面形状及び中
心肉厚等は、目的とする製品の大きさや面形状等に合わ
せて適宜決定される。なお、上記中心肉厚とは、炭化珪
素積層体12の上面と成形部13を平面視した際の中心
点との距離のことをいう。
【0020】炭化珪素積層体12を構成する炭化珪素粒
子の平均粒径は1〜20μmであることが望ましい。炭
化珪素粒子の平均粒径が20μmを超えると、粒子径が
大きくなりすぎて、炭化珪素積層体12を余り密な構造
にすることができず、炭化珪素粒子が脱落しやすくな
り、この脱落した炭化珪素粒子が被プレス材料に付着し
て高い形状精度及び良好な面粗度を有する製品を成形す
ることができないことがある。一方、炭化珪素粒子の平
均粒径が1μm未満となるように制御することは、事実
上困難である。
【0021】炭化珪素積層体12における不純物の含有
量は5ppm以下であることが望ましい。不純物の含有
量が5ppmを超えると、プレス成形を行う際、炭化珪
素積層体12から不純物が放出されやすく、この放出さ
れた不純物が被プレス材料に付着し、高い形状精度及び
良好な面粗度の製品を成形することができなくなること
がある。
【0022】炭化珪素積層体12は、炭化珪素基材11
上にCVD法により積層形成されるものであるため、そ
の形状は炭化珪素基材11と同様であることが望まし
く、その直径も、炭化珪素基材11の直径と同様である
ことが望ましいが、炭化珪素積層体12の厚さは4mm
以上であることが望ましい。炭化珪素積層体12の厚さ
が4mm未満であると、成形部13を形成した際や、成
形部13を鏡面性状に仕上げた際、成形部13の底部に
炭化珪素基材11の上面が露出してしまい、成形部13
の平滑性を確保することができないことがある。なお、
炭化珪素積層体12を炭化珪素基材11上に積層形成す
る際に行うCVD法の条件等については、後述する。
【0023】炭化珪素基材11の直径及び厚さは、成形
する製品の大きさ等に合わせて適宜調整される。また、
炭化珪素基材11の形状は、図示したような円柱状に限
定されるものではなく、例えば、角柱状や楕円柱状のも
のであってもよい。
【0024】炭化珪素基材11の不純物含有量は、10
ppm以下であることが望ましい。このように不純物の
含有量が少ない炭化珪素基材11は、炭化珪素積層体1
2中に上記不純物が拡散することが殆どなく、炭化珪素
積層体12中の不純物含有量が増加することを防止する
ことができる。
【0025】また、炭化珪素基材11は緻密体であって
もよく、多孔質体であってもよい。炭化珪素基材11が
緻密体である場合、成形用型10は、その強度が極めて
優れたものとなる。その内部に気孔が殆ど存在せず、焼
結した炭化珪素粒子相互が強固に結合し、高密度状態と
なっているからである。
【0026】このときの炭化珪素基材を構成する炭化珪
素粒子の平均粒径は1〜100μmであることが望まし
い。炭化珪素基材を曲げ強度に優れた炭化珪素緻密体と
することができる範囲だからである。
【0027】また、炭化珪素基材11が多孔質体である
場合、成形用型10は、昇温降温特性及び炭化珪素積層
体12との接着強度が特に優れたものとなる。上記昇温
降温特性が優れたものとなる理由は、その内部に多数の
気孔を有しているため、熱容量が小さくなるからである
と考えられる。このように炭化珪素基材が昇温降温特性
に優れたものであると、プレス成形する際の温度制御を
正確に行うことができる。
【0028】また、炭化珪素積層体12との接着強度が
特に優れたものとなる理由は、炭化珪素基材11の炭化
珪素積層体12と接している面に存在する気孔内に、炭
化珪素積層体12の一部が含浸され、この含浸された炭
化珪素積層体12がアンカー効果の役割を果たすからで
あると考えられる。なお、炭化珪素基材11中に含浸さ
れる炭化珪素積層体12の厚さは、炭化珪素基材の表面
から10〜500μmであることが望ましい。10μm
未満であると、炭化珪素基材11と炭化珪素積層体12
との間に充分なアンカー効果を得ることができず、一
方、500μmを超えると、炭化珪素基材11と炭化珪
素積層体12との間に充分なアンカー効果を得ることが
できるが、これ以上厚くすると、成形用型10の生産性
に劣り、また、製造コストが高くつく。
【0029】このときの炭化珪素基材を構成する炭化珪
素粒子の平均粒径は2〜150μmであることが望まし
く、10〜70μmであることがより望ましい。上記炭
化珪素粒子の平均粒径が2μm未満であると、その内部
に存在する気孔の気孔径が小さくなりすぎ、成形用型の
昇温降温特性が劣るものとなる。一方、上記炭化珪素粒
子の平均粒径が150μmを超えると、その内部に存在
する気孔の気孔径が大きくなりすぎ、成形用型の強度が
低下してしまうおそれがある。また、所定の割合の開放
気孔を有し、平均粒径が150μmを超えるような炭化
珪素粒子を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造すること
自体が余り容易でない。また、このような多孔質体から
なる炭化珪素基材の平均気孔径は1〜40μmであるこ
とが望ましい。
【0030】炭化珪素基材11の炭化珪素積層体12を
積層形成する面は、JIS B 0601による面粗度
Raが0.5〜10μmであることが望ましく、Rma
xが2〜100μmであることが望ましい。炭化珪素積
層体12をCVD法により炭化珪素基材11上に積層形
成した際、上記面粗度に起因するアンカー効果が得ら
れ、炭化珪素基材11と炭化珪素積層体12との接着強
度がさらに向上するからである。
【0031】上述したような構成の炭化珪素積層体及び
炭化珪素基材からなる本発明の成形用型は、ガラスレン
ズをプレス成形により成形する際に使用するガラスレン
ズ成形用型であることが望ましい。ガラスレンズは特に
高い形状精度及び良好な面粗度が求められるものが多
く、上述したような炭化珪素積層体及び炭化珪素基材か
らなる本発明の成形用型は、高い形状精度及び良好な面
粗度を有するとともに、成形部から炭化珪素粒子が脱落
することが殆どないため、ガラスレンズ表面に付着して
パーティクルとなり、ガラスレンズの表面の形状精度や
面粗度を低下させることが殆どないからである。
【0032】本発明の成形用型は、ガラスレンズを成形
するためのガラスレンズ成形用型である場合、非球面ガ
ラスレンズは勿論、球面ガラスレンズを成形する際にも
好適に使用することができる成形用型である。従って、
本発明の成形用型を用いてガラスレンズを成形する際に
は、従来の技術において説明したプレス装置50と同様
のプレス装置を用いることができる。即ち、本発明の成
形用型を用いて両面の形状がそれぞれ異なるガラスレン
ズを成形する際には、それぞれ面形状の異なる成形部を
有する成形用型を2個使用することとなる。また、目的
とするガラスレンズの面形状が、その両面で全く同一で
ある場合には、成形部の形状が同一である本発明の成形
用型を2個使用することとなる。
【0033】本発明の成形用型を用いてガラスレンズを
成形する方法は、上述した従来の技術で説明した方法と
同様の方法を挙げることができる。従って、ここでは、
その説明を省略することとする。
【0034】以上、説明した通り、本発明の成形用型
は、CVD法により積層形成された炭化珪素積層体の成
形部における加工脆性層の厚さが1μm以下である。即
ち、被プレス材料と直接接触する部分である成形部に
は、炭化珪素粒子同士の結合が弱く、炭化珪素粒子が脱
落しやすい加工脆性層が殆ど存在していない。従って、
本発明の成形用型は、長期間に渡って使用し、繰り返し
圧力や冷熱サイクルが印加された場合であっても、上記
成形用型の成形部から炭化珪素粒子が脱落することがな
く安定して使用することができる。
【0035】また、上記成形部は、CVD法により形成
された緻密な炭化珪素粒子からなる炭化珪素積層体に形
成されており、被プレス材料と上記成形部とが融着する
ことがなく、離型性に優れるとともに、上記成形部から
不純物の放出が発生しにくいため、被プレス材料に不純
物が付着することも殆どない。
【0036】さらに、炭化珪素基材と炭化珪素積層体と
は、共に炭化珪素からなるものであり、その接着強度は
極めて良好なものとなり、ガラスレンズ成形用型を長期
間に渡って繰り返し使用しても、熱膨張係数の差に起因
する剥離や歪み等が発生することがなく耐久性に優れた
ものとなる。
【0037】次に、本発明の成形用型の製造方法を説明
する。本発明の成形用型の製造方法(以下、本発明の製
造方法ともいう)は、上述した本発明の成形用型の製造
方法であって、炭化珪素基材上に、CVD法により炭化
珪素積層体を積層形成する積層体形成工程と、上記炭化
珪素積層体に加工処理を施す加工処理工程と、上記加工
処理を施した炭化珪素積層体の加工脆性層を薄層化する
後処理工程とからなることを特徴とするものである。
【0038】本発明の製造方法においては、まず、炭化
珪素基材を製造する。上記炭化珪素基材は、本発明の成
形用型において説明した通り、緻密体であってもよく、
多孔質体であってもよい。
【0039】初めに、上記炭化珪素基材が緻密体からな
る場合について説明する。炭化珪素基材が緻密体である
場合、まず、少なくとも炭化珪素粉末とバインダーと分
散媒液等とを含む混合組成物を調製する。次に、この混
合組成物をスプレードライ法等により顆粒とした後、目
的とする形状の金型に入れ、所定の圧をかけることで成
形体(生成形体)を形成する。そして、上記成形体に脱
脂処理、焼成処理を施すことで緻密体からなる炭化珪素
基材を製造することができる。
【0040】上記炭化珪素粉末の粒径は10〜100μ
mであることが好ましい。このような粒径の炭化珪素粒
子を用いることで緻密な炭化珪素基材を得ることができ
るからである。また、上記炭化珪素粉末は、α型炭化珪
素粉末、β型炭化珪素粉末のどちらであってもよい。
【0041】また、上記炭化珪素粉末の不純物の含有量
は20ppm以下であることが望ましい。このような高
純度の炭化珪素粉末を用いて作製した成形体は、従来か
ら作製されていた成形体よりも不純物含有量が少なくな
る。さらに、このような成形体を、一般的な炭化珪素の
焼成温度よりも低い温度で焼成することで、得られる炭
化珪素基材中の不純物含有量は格段に少なくなる。この
ように炭化珪素基材中の不純物含有量が格段に少ない
と、該炭化珪素基材上に積層形成する炭化珪素積層体中
に上記不純物が拡散し、炭化珪素積層体中の不純物含有
量が増加する等の問題が発生しにくくなる。なお、この
ような高純度の炭化珪素粉末は、例えば、酸の水溶液又
はガスにより炭化珪素粉末を純化することで得ることが
できる。
【0042】上記バインダーとしては特に限定されず、
例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オリゴエステ
ルアクリレート、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、DFK樹脂、フラン樹脂、アミノ
樹脂等の熱硬化性樹脂、その他、アクリル樹脂、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレ
ングリコール等を挙げることができる。これらの中で
は、熱硬化性樹脂が望ましく、特にフェノール樹脂であ
ることが望ましい。製造する炭化珪素基材の曲げ強度が
優れたものとなるからである。
【0043】上記バインダーの配合量は、炭化珪素粉末
100重量部に対して、1〜10重量部であることが好
ましい。1重量部未満であると、後に形成する成形体の
曲げ強度が不充分となり、割れや変形等が発生しやす
く、取り扱い性に劣る。一方、10重量部を超えると、
脱脂等によってバインダー等を除去する際にクラックが
生じやすくなり、歩留りが悪化する。
【0044】上記分散媒液としては、例えば、ベンゼ
ン、シクロヘキサン等の有機溶媒、メタノール等のアル
コール、水等を挙げることができる。このようなバイン
ダー及び分散媒液等の有機成分は、例えば、粉末と混合
した際、その粘度が一定の範囲内となるように適量配合
される。
【0045】また、上記混合組成物には分散剤が含まれ
ていてもよい。上記分散剤としては特に限定されず、例
えば、ニトリロトリエタノール、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレ
ジル・ジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系化
合物等を挙げることができる。また、この分散剤は、炭
化珪素粉末100重量部に対して0.1〜5重量部添加
されることが望ましい。
【0046】上記顆粒は、その水分率が0.1〜2.0
重量%であることが望ましく、また、上記顆粒に加熱処
理を施すことが望ましい。製造する炭化珪素基材の曲げ
強度が優れたものとなるからである。このときの加熱条
件としては、加熱温度が50〜100℃、加熱時間が3
〜9時間であることが望ましい。
【0047】上記顆粒にラバープレス成形、射出成形、
押出成形、鋳込み成形等を施すことにより、図1に示し
た炭化珪素基材と略同形状の成形体(生成形体)を成形
することができる。また、上記成形体を形成する際に
は、冷間静水圧(CIP)法を用いてもよく、このとき
の成形圧力は、96〜144MPaであることが望まし
く、106〜134MPaであることがより望ましい。
成形する成形体の曲げ強度及び密度が高くなるからであ
る。
【0048】上記脱脂処理は、上記成形体を脱脂炉に搬
入し、酸素含有雰囲気下、400〜650℃に加熱する
ことが望ましい。この脱脂処理により、上記バインダー
等の有機成分が揮散するとともに、分解、消失して略炭
化珪素粒子のみが残留する。
【0049】上記焼成処理は、上記脱脂した成形体を焼
成炉に搬入し、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、15
00〜2000℃に加熱することが望ましい。焼成温度
が1500℃未満であると、焼結が充分に進行せず、高
強度の炭化珪素基材を得ることができない。一方、焼成
温度が2000℃を超えると、炭化珪素の焼結が速く進
行してしまうため不純物の除去が不充分となることがあ
る。
【0050】次に、上記炭化珪素基材の表面に、CVD
法により炭化珪素積層体を積層形成する積層体形成工程
を行う。上記CVD法としては、減圧CVD法であるこ
とが望ましい。大量生産に適していることに加え、炭化
珪素基材が単純な形状でない場合であっても、確実に炭
化珪素積層体を積層形成することができるからである。
【0051】上記CVD法では、珪素含有ガスと炭素含
有ガスとを気相若しくは炭化珪素基材表面で反応させる
か、又は、珪素と炭素とを同時に含有したガスを気相若
しくは炭化珪素基材表面で反応させることで、炭化珪素
基材上に炭化珪素積層体を積層形成する。上記珪素含有
ガスとしては特に限定されず、例えば、SiCl
ス、SiHClガス等を挙げることができ、また、
上記炭素含有ガスとしては特に限定されず、例えば、C
Clガス、Cガス等を挙げることができる。ま
た、上記珪素と炭素とを同時に含有したガスとしては特
に限定されず、例えば、トリクロロメチルシラン(CH
SiCl)等が挙げられる。
【0052】また、このときの処理温度は1000〜1
700℃であることが望ましい。緻密な炭化珪素積層体
をムラなく積層形成することができる範囲だからであ
る。
【0053】このようにして炭化珪素基材に積層形成し
た炭化珪素積層体において、炭化珪素粒子の平均粒径
は、1〜20μmであることが望ましく、不純物の含有
量は、5ppm以下であることが望ましい。上記本発明
の成形用型で説明した通りである。
【0054】次に、上記炭化珪素積層体に研削加工や鏡
面加工を施す加工処理工程を行う。この加工処理工程に
おいては、まず、上記炭化珪素積層体の表面に研削加工
を施し、被プレス材料と接触する成形部を形成する。
【0055】図2は、炭化珪素積層体に研削加工を施す
様子を模式的に示した平面図であり、図3は、図2に示
した研削加工における正面図である。
【0056】図2及び図3に示した通り、上記研削加工
を施す際には、円板状の砥石21を使用する。上記砥石
としては、ダイヤモンド砥石であることが望ましい。形
成する成形部の面形状を高精度に研削加工する必要があ
り、容易に磨耗することのない材料である必要があるか
らである。
【0057】砥石21は回転しながら、図2に直線と曲
線とからなる矢印で示したような経路を通って炭化珪素
積層体22を研削する。また、このような研削と同時
に、炭化珪素積層体22も図中矢印で示した方向に回転
することで、図1に示したような凹形状の成形部を研
削、形成することができる。ここで、砥石21が移動す
る経路は目的とする成形部の面形状に合わせて適宜設定
する。
【0058】次に、このようにして形成した成形部にポ
リッシング処理等を施して、成形部の面形状の形状精度
が0.1μm以下、面粗度が0.01μm以下の鏡面性
状となるように鏡面加工を施す。このように成形部表面
に鏡面加工を施すことにより、成形する製品の形状精度
及び面粗度が極めて良好なものとなる。具体的には、本
発明の製造方法に係る成形用型を用いて非球面ガラスレ
ンズを成形する場合、上記非球面ガラスレンズの形状精
度を0.1μm以下、面粗度を0.01μm以下にする
ことができる。
【0059】次に、上記加工処理工程を行った炭化珪素
積層体の加工脆性層を薄層化する後処理工程を行う。即
ち、上記加工処理工程を経た炭化珪素積層体(成形部)
の表面には、通常、10〜30μm程度の厚さの加工脆
性層が形成されているが、この後処理工程において、上
記加工脆性層を1μm以下、望ましくは0.5μm以下
にするのである。
【0060】上記加工脆性層を薄層化するには、化学的
な処理であって、炭化珪素を溶解し得る酸性のエッチン
グ液を用いたエッチングを行うことが望ましい。上記エ
ッチング液としては、ふっ硝酸に所定量の弱酸を混合し
たものであることが望ましい。上記弱酸としては、例え
ば、酢酸等の有機酸を挙げることができる。なお、弱酸
という条件を満たすものであるならば、無機酸であって
もよい。
【0061】また、上記エッチング液の組成は、重量比
で、ふっ酸:硝酸:酢酸=1:2:1であることが望ま
しい。加工脆性層の下層に存在する炭化珪素積層体を浸
食することなく、加工脆性層のみを確実に溶解、除去す
ることができるからである。
【0062】また、この後処理工程では、ケミカルポリ
ッシングを行うことが望ましい。加工脆性層のみを確実
にかつ極めて短時間で効率よく除去することができるか
らである。ここで、上記ケミカルポリッシングとは、上
述したような重量比のふっ硝酸からなるエッチング液を
用いたエッチング処理と、表面研磨とを並行して行う処
理のことをいう。即ち、上記ケミカルポリッシングを行
うと、上記加工脆性層には、上記エッチング液による化
学的溶解作用と、機械的な表面研磨作用とが同時に作用
するのである。
【0063】また、上記ケミカルポリッシングは、0.
5〜5分間行うことが望ましく、1〜5分間行うことが
より望ましく、1〜2分間行うことが最も望ましい。ケ
ミカルポリッシングの実施時間が0.5分未満である
と、加工脆性層を1μm以下に薄層化することが困難と
なり、一方、ケミカルポリッシングの実施時間が5分を
超えると、加工脆性層は、略確実に1μm以下に薄層化
することができるが、加工脆性層の下方にある炭化珪素
積層体までケミカルポリッシングの影響が及び、炭化珪
素積層体が浸食されるおそれがあるとともに、生産性が
低下する。
【0064】次に、上記炭化珪素基材が多孔質体からな
る場合について説明する。炭化珪素基材が多孔質体から
なる場合、初めに、上述した緻密体からなる炭化珪素基
材の場合と同様に炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液
等とを含む混合組成物を調製する。次に、この混合組成
物をスプレードライ法等により顆粒とした後、目的とす
る形状の金型に入れ、所定の圧をかけることで成形体
(生成形体)を形成する。そして、上記成形体に脱脂処
理、焼成処理を施すことで多孔質体からなる炭化珪素基
材を製造することができる。
【0065】上記炭化珪素粉末は、不純物の含有量が2
0ppm以下の平均粒径5〜100μmのα型炭化珪素
の粗粉末100重量部に対して、平均粒径0.1〜1.
0μmのα型炭化珪素の微粉末を10〜100重量部を
均一に混合することが望ましい。なお、微粉末としてα
型を選択した理由は、β型に比べて熱伝導率が幾分高く
なる傾向があるからであるが、β型であってもよい。ま
た、上記炭化珪素粉末の不純物含有量が20ppm以下
であることが望ましいのは、上述した緻密体からなる炭
化珪素基材で説明した通りである。
【0066】上記バインダー及びその配合量としては、
上記緻密体からなる炭化珪素基材において説明したもの
と同様のものを挙げることができる。また、その後に行
う顆粒の形成、脱脂処理、及び、焼成処理の条件も、上
記緻密体からなる炭化珪素基材と同様の条件を挙げるこ
とができる。
【0067】なお、焼成処理においては、炭化珪素粒子
のネック部の成長を促進させるために、成形体からの炭
化珪素の揮散を抑制することが好ましい。成形体からの
炭化珪素の揮散を抑制する方法としては、外気の侵入を
遮断可能な耐熱性の容器内に成形体を装入することが好
ましい。上記耐熱性の容器の成形材料としては、例え
ば、黒鉛、炭化珪素等を挙げることができる。
【0068】その後、上述した緻密体からなる炭化珪素
基材の場合と同様に、多孔質体からなる炭化珪素基材上
にCVD法により炭化珪素積層体を積層形成する積層体
形成工程を行った後、加工処理工程を行い、この炭化珪
素積層体に被プレス材料と直接接触する成形部を作製
し、該成形部に鏡面処理を施す。そして、炭化珪素積層
体の加工脆性層を薄層化する後処理工程を行うことによ
り、炭化珪素基材が、多孔質体からなる成形用型を製造
することができる。なお、上記炭化珪素基材上に炭化珪
素積層体をCVD法により積層形成した際、炭化珪素基
材の表面から10〜500μmの厚さで、上記炭化珪素
基材の炭化珪素積層体と接している面に存在する気孔内
に、炭化珪素積層体の一部を含浸することが望ましい。
上述した本発明の成形用型で説明した通りである。
【0069】以上、説明した通り、本発明の成形用型の
製造方法は、炭化珪素基材上に、CVD法により炭化珪
素積層体を積層形成する積層体形成工程と、上記炭化珪
素積層体に加工処理を施す加工処理工程と、上記加工処
理を施した炭化珪素積層体の加工脆性層を薄層化する後
処理工程とからなるものである。即ち、本発明の成形用
型の製造方法においては、上記後処理工程を行うことに
より炭化珪素積層体上に形成された加工脆性層を1μm
以下にすることができる。従って、本発明の成形用型の
製造方法によると、被プレス材料と直接接触する成形部
には、炭化珪素粒子同士の結合が弱く、炭化珪素粒子が
脱落しやすい加工脆性層が殆ど存在しない成形用型を製
造することができ、また、上記成形用型を長期間に渡っ
て使用しても上記成形部から炭化珪素粒子が脱落し、被
プレス材料に付着してパーティクルとなることもない。
【0070】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。
【0071】実施例1 不純物の含有量が10ppm以下の平均粒径50μmの
炭化珪素粉末100重量部に対して、フェノール樹脂7
重量部、アクリル系樹脂(中央理化工業社製 リカボン
ド)1重量部、水50重量部を配合した後、ボールミル
中にて5時間混合することにより、均一な混合組成物を
得た。この混合組成物を所定時間乾燥して水分をある程
度除去した後、その乾燥混合組成物を適量採取し、スプ
レードライ法等を用いて顆粒化した。このとき、顆粒の
水分率を約0.8重量%になるように調製した。
【0072】次に、乾燥機を用いて、加熱温度80℃、
加熱時間5時間の条件で、上記顆粒を加熱処理した。そ
して、上記混合組成物の顆粒を、金型に入れた後、神戸
製鋼社製の冷間静水圧(CIP)を利用する成形機を用
いて、96MPaの圧力で、30秒間保持して円柱状の
炭化珪素成形体を形成した。
【0073】次に、上記炭化珪素成形体を脱脂炉に搬入
し、5%の酸素濃度を有する空気と窒素との混合ガス雰
囲気下、600℃で2時間加熱することにより炭化珪素
成形体の脱脂を行った。
【0074】次に、脱脂された炭化珪素成形体を、黒鉛
製ルツボに装入し、タンマン型焼成炉を使用して、1気
圧のアルゴン雰囲気中、1800℃で4時間保持するこ
とで、上記脱脂された炭化珪素成形体の焼成を行うこと
で、直径22mm、厚さ9mmの緻密体からなる炭化珪
素基材を製造した。この炭化珪素基材の不純物含有量は
5ppmであった。
【0075】次いで、積層体形成工程として、上記炭化
珪素基材をCVD用の真空炉にセットし、炉内を減圧状
態にしてから、SiClガス及びCClガスを流通
させ、高純度で緻密な炭化珪素積層体(厚さ4mm、不
純物含有量1ppm以下)を形成した。
【0076】次に、加工処理工程として、円板状のダイ
ヤモンド砥石を用いて、上記炭化珪素積層体表面の中央
部に直径12mm、中心肉厚1mmの成形部を形成し、
その後、上記成形部の形状精度が0.1μm以下、面粗
度Raが0.02μm以下の鏡面性状となるようにポリ
ッシング処理を施した。
【0077】そして、上記鏡面処理を施した成形部に後
処理工程として、エッチング液としてふっ硝酢酸(重量
比がふっ酸:硝酸:酢酸=1:2:1)を用いて、エッ
チング処理時間を1分間として、ケミカルポリッシング
を行い、成形用型を製造した(図1参照)。
【0078】実施例2 不純物の含有量が10ppm以下の平均粒径30μmの
α型炭化珪素粉末(#400)100重量部、平均粒径
0.3μmのα型炭化珪素粉末(GMF−15H2)3
0重量部を配合し、均一に混合した。次に、この混合物
100重量部に対して、ポリビニルアルコール5重量
部、フェノールレジン3重量部、水50重量部を配合し
た後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均
一な混合物を得た。この混合物を所定時間乾燥して水分
をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、
スプレードライ法等を用いて顆粒化した。このとき、顆
粒の水分率を約0.8重量%になるように調整した。
【0079】次いで、上記混合物の顆粒を、金属製押し
型を用いて、127MPaのプレス圧力で成形した。得
られた円柱状の生成形体の密度は、2.6g/cm
あった。
【0080】続いて、5%の酸素濃度を有する空気と窒
素との混合ガス雰囲気下、600℃で2時間保持するこ
とで上記生成形体の脱脂を行った。
【0081】その後、黒鉛製ルツボに上記脱脂工程を経
た生成形体を装入し、タンマン型焼成炉を使用して、1
気圧のアルゴン雰囲気中、1800℃で4時間保持する
ことで上記生成形体の焼成を行い、その後、研削加工を
施すことにより、直径が22mm、厚さが9mmの多孔
質体からなる炭化珪素基材を得た。この炭化珪素基材の
不純物の含有量は5ppm以下であり、その気孔率は2
0%であった。
【0082】このようにして得られた炭化珪素基材の表
面に、実施例1と略同様にして積層体形成工程を行い、
CVD法により厚さ4mmの炭化珪素積層体を形成し
た。なお、炭化珪素基材の表面から100μmの位置に
まで、上記炭化珪素積層体が含浸されていた。
【0083】その後、実施例1と同様に、上記炭化珪素
積層体に研削加工を施して成形部を形成し、該成形部に
ポリッシング処理を施すことで、その形状精度を0.1
μm以下、面粗度Raが0.02μm以下の鏡面性状と
なるように加工処理工程を行った。
【0084】そして、実施例1と同様に後処理工程を行
い、上記鏡面処理を施した成形部にケミカルポリッシン
グを行って成形用型を製造した。
【0085】比較例1 緻密質黒鉛からなる基材に、直径12mm、中心肉厚1
mmの凹面形状の成形部を研削加工により形成した。こ
の成形部を研磨紙で研磨した後、無水塩化コバルトを付
着させ、炭化珪素被膜を形成し、該炭化珪素被膜の上に
CVD法により炭化珪素膜を形成した。上記炭化珪素被
膜の膜厚は120μmであり、上記炭化珪素膜の膜厚は
30μmであった。そして、成形部の表面にポリッシン
グ処理を施して、面粗度Raが0.02μm以下の鏡面
性状の成形用型を製造した。
【0086】実施例1、2及び比較例1に係る成形用型
の成形部の断面を電子顕微鏡にて観察し、加工脆性層の
有無を確認したところ、実施例1及び2に係る成形用型
の加工脆性層は、0.5μm、0.8μmと、いずれも
1μm以下であった。一方、比較例1に係る成形用型の
加工脆性層は、3μmと1μmを超える大きなものであ
った。
【0087】また、実施例1、2及び比較例1に係る成
形用型を、図5に示したようなプレス装置に設置し、ガ
ラス素材にプレス加工を施してガラスレンズを成形する
プレス加工を10000回繰り返し、ガラスレンズ成形
用型に剥離等が発生しているか否かを確認するととも
に、成形したガラスレンズに、炭化珪素粒子の脱落の有
無の確認、及び、形状精度及び面粗度を測定した。
【0088】その結果、実施例1及び2に係る成形用型
には、炭化珪素基材と炭化珪素積層体との間に剥離は全
く観察されず、成形したガラスレンズには、全く炭化珪
素粒子の脱落は確認されず、その形状精度は0.1μm
以下であり、面粗度は0.01μm以下であった。
【0089】一方、比較例1に係る成形用型には、プレ
ス成形を1000回繰り返した時点から、黒鉛基板と炭
化珪素膜との間に隙間が観察され、剥離が発生してい
た。また、成形したガラスレンズには、炭化珪素粒子の
脱落が観察され、その形状精度は、上記剥離が観察され
た時点から、0.1μmを超える大きなものとなり、面
粗度も0.01μmを超える大きなものとなった。
【0090】
【発明の効果】本発明の成形用型は、上述した通りの構
成であるので、上記成形用型を長期間に渡って使用して
も、炭化珪素粒子の脱落が生じることなく安定して使用
することができる。
【0091】また、本発明の成形用型の製造方法は、上
述した通りであるので、長期間に渡って使用しても、炭
化珪素粒子の脱落が生じることなく安定して使用するこ
とができる成形用型を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスレンズ成形用型の一例を模式的
に示した斜視図である。
【図2】本発明のガラスレンズ成形用型の製造工程の一
部を模式的に示した説明図である。
【図3】本発明のガラスレンズ成形用型の製造工程の一
部を模式的に示した説明図である。
【図4】従来のガラスレンズ成形用型の一例を模式的に
示した斜視図である。
【図5】ガラスレンズを成形する際に使用するプレス装
置の一例を模式的に示した断面図である。
【図6】図5に示したプレス装置を用いてガラスレンズ
を成形する様子を模式的に示した部分拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
10、40 ガラスレンズ成形用型 11 炭化珪素基材 12 炭化珪素積層体 13、43 成形部 50 プレス装置 51 上プレスヘッド 52 下プレスヘッド 53 胴型

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス成形を行う際に使用する成形用型
    であって、前記成形用型は、炭化珪素基材と、前記炭化
    珪素基材上にCVD法により積層形成され、被プレス材
    料と接触する成形部が設けられた炭化珪素積層体とから
    構成され、前記成形部における加工脆性層の厚さが1μ
    m以下であることを特徴とする成形用型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成形用型の製造方法であ
    って、炭化珪素基材上に、CVD法により炭化珪素積層
    体を積層形成する積層体形成工程と、前記炭化珪素積層
    体に加工処理を施す加工処理工程と、前記加工処理を施
    した炭化珪素積層体の加工脆性層を薄層化する後処理工
    程とからなることを特徴とする成形用型の製造方法。
  3. 【請求項3】 後処理工程において、ふっ硝酸に所定量
    の弱酸を混合したエッチング液を用いてエッチングを行
    う請求項2記載の成形用型の製造方法。
  4. 【請求項4】 エッチング液の組成は、重量比で、ふっ
    酸:硝酸:酢酸=1:2:1である請求項3記載の成形
    用型の製造方法。
  5. 【請求項5】 後処理工程において、ケミカルポリッシ
    ングを行う請求項2〜4のいずれか1記載の成形用型の
    製造方法。
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