JP4352761B2 - プレス成形型及びそれを用いた成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形する際に用いるプレス成形型に関する。特にガラスやプラスチックあるいはセラミックス等からなるレンズをプレス成形する際に用いるプレス成形型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プレス成形によってガラスレンズを成形することが行われていた。プレス成型時に用いる成形型の表面粗さ等の表面状態は、そのまま成形したレンズの表面に転写される。そのため、例えば金属製成形型を用いた場合は、成形したままではレンズとして用いることができず、仕上げの研磨加工が必要であった。また、いわゆる離型性もよくなかった。
【0003】
そこで、成形したままでレンズとして用いることができるように、特開昭47−11277号公報には、成形型の材質をガラス状カーボンとしたガラスレンズの成形方法が開示されている。この発明によれば、成形したままでレンズとしての性能を得ることができる。しかも離型性もよい。しかし、ガラス状カーボンは、脆性材料であり、衝撃強度が低いので、成形型として使用中に亀裂等が発生し、耐久性が劣るという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭47−11277号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、成形性能が良く、しかも耐久性も高いプレス成形型を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のプレス成形型は、セラミックス多孔体を母材とし、その表面にガラス状カーボン又は熱分解炭素を被覆したことを特徴とする。ガラス状カーボン又は熱分解炭素の表面を被成型物例えばレンズの表面に要求される精度、形状に加工しておけば、成型後のレンズの仕上げ加工が不要であり、離型性もよい。母材にセラミックス多孔体を用いるので、ガラス状カーボンよりセラミックス多孔体の方が強度が高いため、耐久性が向上する。また、母材をレンズ形状に加工した後に、ガラス状カーボンを被覆するので、加工の手間を省くことができ、また、母材がセラミックス多孔体であるので母材の加工も容易である。
【0007】
母材として用いるセラミックス多孔体は、窒化物セラミックス多孔体もしくは炭化物セラミックス多孔体であることが好ましい。より好ましくは、窒化ケイ素多孔体もしくは炭化ケイ素多孔体である。また、母材は、少なくとも最表面が多孔体構造であるセラミックス焼結体であってもよい。
【0008】
母材であるセラミックス多孔体の気孔率は、10%以上、70%以下にすることが望ましい。気孔率が、70%を超えると、セラミックス多孔体の強度が低下するので、耐久性向上の効果が少なくなるからである。また、気孔率が10%未満の緻密体では、ガラス状カーボンと多孔質セラミックスとの密着強度が低くなり、成形型として使用中にガラス状カーボンが剥離する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のプレス成形型は、セラミックス多孔体を母材とし、その表面にガラス状カーボンを被覆している。ガラス状カーボンの強度は、三点曲げ強度で、150MPa程度である。セラミックス多孔体の強度は、例えば、気孔率50%の窒化ケイ素多孔体では、350MPaである。また、例えば、気孔率20%の酸化アルミニウム多孔体では、200MPaである。これらの強度は、セラミックス多孔体の気孔率が高くなるにつれて低下する。
【0010】
このようにセラミックス多孔体の強度は、その材質によって変わるが、ガラス状カーボンよりは、はるかに高い。従って、プレス成形型として使用した時に、ガラス状カーボン製の成形型では、その強度が低いために、成形型に割れが発生し、耐久性に劣る。これに対して、セラミックス多孔体を母材とし、ガラス状カーボンを被覆した本発明のプレス成形型は、母材であるセラミックス多孔体の強度が高いので、ガラス状カーボン製レンズ成形型に比べて割れが発生しにくく、耐久性に優れている。
【0011】
さらに、本発明のプレス成形型は、被成型物例えばレンズと接触する成形型の表面はガラス状カーボンであるので、成形されたレンズの表面は、仕上加工が不要な程度の表面精度を有している。
【0012】
本発明のセラミックス多孔体は、既存のセラミックス多孔体を用いることができる。例えば、窒化ケイ素多孔体の場合は、平均粒径0.5μmの窒化ケイ素粉末に、焼結助剤としてAl2O3粉末、Y2O3粉末、MgO粉末をそれぞれ2重量%、5重量%、1重量%添加し、これに平均粒径20μmのトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)の粉末を40体積%添加し、均一に混合した後、圧縮成形して得られた成形体を、真空中でポリシラザン溶液を充分に含浸させて、窒素ガス中において120℃で2時間仮焼成することによりTSHを消失させ、引き続き窒素ガス中において1700℃で5時間焼結することにより、得ることができる。セラミックス多孔体は、予めプレス成形型の形状に加工しておく方が好ましい。
【0013】
また、上記セラミックス多孔体に、ガラス状カーボンを被覆する方法も、既存の方法を用いることができる。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)のようなビニル樹脂を熱処理と粉砕により熱分解し、冷却後数μmの大きさの粉末に粉砕し、この粉末を例えばベンゼンなどの芳香族溶剤中に溶解してスラリーを作成し、該スラリーをセラミックス多孔体の表面に塗布し、加熱乾燥させることにより、セラミックス多孔体の表面を、ガラス状カーボンで被覆することができる。
【0014】
このようにして作成したガラス状カーボンで被覆したセラミックス多孔体の、ガラス状カーボンの表面を研削、切削あるいは研磨などの方法によって、被成型物例えばレンズの表面に要求される精度まで加工することにより、本発明のプレス成形型を得ることができる。
【0015】
【実施例】
セラミックス多孔体として、直径20mm、厚さ10mmの大きさで、気孔率が30%の酸化アルミニウム多孔体(Al2O3)と気孔率40%の窒化ケイ素多孔体(Si3N4)を用意した。これらのセラミックス多孔体の表面に、ガラス状カーボンを2〜3μm被覆した。被覆したガラス状カーボン(GC)の表面を研磨加工して、鏡面の成形面を有するプレス成形型を得た。
【0016】
これらの成形型を用いて、ガラスやZnSセラミックスの成形を最大10000回行い、成形可能回数と成形が不可能となった時の不具合理由を調べた。また、比較のために、ガラス状カーボン製のプレス成形型でも同様の試験を行った。これらの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
窒化ケイ素多孔体を母材とした成形型は、10000回の成形で不具合は発生しなかった。酸化アルミニウム多孔体を母材とした成形型では、ZnSセラミックスの成形では、100回の成形で、成形型に割れが発生し、ガラスの成形では50回の成形で、ガラス状カーボンの剥がれが発生した。また、ガラス状カーボン製の成形型では、ZnSでもガラスでも10回の成形で、成形型に割れが発生した。
【0019】
以上のように、窒化ケイ素多孔体を母材とした本発明のプレス成形型は、ガラス状カーボンと母材の密着強度に優れ、成形型としての耐久性に優れていることが判る。酸化アルミニウム多孔体を母材とした場合でも、ガラス状カーボンよりは耐久性に優れるが、窒化ケイ素多孔体を母材としたものよりは耐久性が劣る。
【0020】
窒化ケイ素は酸化アルミニウムに比べてその強度が高いことに加えて、窒化ケイ素多孔体中に存在するSiが、ガラス状カーボン中のCと反応してSiC的な結合状態をとることにより、密着強度が向上するためであると考えられる。従って、Siを含むセラミックス多孔体を母材とすれば、ガラス状カーボンの密着強度を向上させることが期待できる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば耐久性に優れたプレス成形型を提供することができる。特に、レンズ成形型として、窒化ケイ素多孔体を母材とし、ガラス状カーボンを被覆した本発明のプレス成形型は、従来のプレス成形型に比べて非常に優れた耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプレス成形型の断面模式図の一例である。
【符号の説明】
1 セラミックス多孔体
2 ガラス状カーボン
Claims (3)
- 10%以上70%以下の気孔率を有する窒化ケイ素多孔体を母材とし、その表面にガラス状カーボン又は熱分解炭素を被覆したことを特徴とするプレス成形型。
- ZnSセラミックスの成形に用いられることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形型。
- 請求項1に記載のプレス成形型を用いて、ZnSセラミックスを成形することを特徴とする成形方法。
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