JP2002292222A - エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体 - Google Patents

エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーンルーム等の外調機で用いる中性能フ
ィルタ用のエアフィルタ用濾材であり、その後段のHE
PAフィルタやケミカルフィルタの塵埃に対する濾過寿
命を延ばしつつ、クリーンルーム等への汚染ガスの進入
を軽減し、また該ケミカルフィルタの汚染ガス除去寿命
を延ばし、フィルタシステムの運転維持経費の削減に寄
与する。 【解決手段】 メルトブロー法による繊維を含み、熱接
着性繊維によって結合しており、発生する総有機物質の
量が、それらの繊維の面密度に換算して、1.0(pg
/m・hr)以上19(μg/m・hr)以下であ
るエアフィルタ用濾材を提供する。また、アウトガス発
生の少ないエアフィルタ用濾材を得るため、メルトブロ
ー法による繊維と熱接着性繊維を含むウェブを加熱接着
処理の後に加熱除去処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体や液晶の生
産施設などのクリーンルームなどにおいて、主に該クリ
ーンルーム内に流入する外気中に含まれる粉塵を除去す
るエアフィルタ用濾材であり、主としてHEPAフィル
タ(高性能フィルタ)の前段や、該クリーンルーム内の
ガス状汚染物質を除去するケミカルフィルタの前段で用
いる、アウトガス発生の少ない中性能フィルタ用のエア
フィルタ用濾材及びエアフィルタユニット、及びその製
造方法、並びにその包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体や液晶の生産施設、または半導体
や液晶の周辺技術関連で用いるクリーンルーム等におい
ては、該生産施設内または該クリーンルーム内の空気や
雰囲気に対して高い清浄度が要求される。しかし、これ
ら空気や雰囲気中には粉塵や有機系ガス状汚染物質や無
機系ガス状汚染物質が含まれているのみならず、クリー
ンルーム構成部材や作業員等からも粉塵や有機系ガス状
汚染物質や無機系ガス状汚染物質が発生するため、この
ような粉塵やガス状汚染物質を除去するフィルタシステ
ムが図1に例示するように設置されている。外気空気は
外調機1の粗塵除去用のプレフィルタ2、中性能フィル
タ3、エアワッシャー4、HEPAフィルタ(高性能フ
ィルタ)6の順に通過した後、さらに循環系のHEPA
フィルタ8を通過して、空気中の塵埃が除去される。ま
た、クリーンルーム内に流入するガス状汚染物質は必要
に応じて循環系に設置されたケミカルフィルタ7によっ
て除去される。特に、外気中にガス状汚染物質が多く含
まれる場合は、外調機1のHEPAフィルタ6と中性能
フィルタ3の間に更にケミカルフィルタ5が設置されて
いる。
【0003】前記ガス状汚染物質には、有機系ガス状汚染物
質や、無機系ガス状汚染物質が含まれるが、特に有機系
ガス状汚染物質は、半導体基板であるシリコンウェハ表
面上に付着すると、シリコンウェハ表面上に形成される
絶縁酸化膜の絶縁耐圧が低下したり、空気中に浮遊する
微粒子が静電吸着し易くなり、絶縁破壊が起こり易くな
る等、半導体や液晶の製造に悪影響を及ぼす。これら、
有機系ガス状汚染物質のウェハ表面への吸着を防止する
には、クリーンルーム雰囲気中の該有機物質の濃度をで
きるだけ低いレベルで管理しなければならない。このよ
うな管理濃度は次のようにして求めることができる。す
なわち、1999年版SIA(Semiconduct
or Industry Association)ロ
ードマップによれば、西暦2000年のウェハ表面上で
の有機物質管理レベルは6.6×1013Catoms
/cmと言われている。これをトルエン換算すると1
4.4μg/mとなる。これらウェハ表面上での管理
レベルの値と、一般に知られている付着確率から、下記
の算出式1によりクリーンルーム空気中での管理レベル
の推定値を算出すると、総有機物質は41.7μg/m
の管理濃度となる。 算出式1:N=As/(v・t・γ) N;空気中の汚染物質濃度(空気中の管理濃度)(μg
/m) As;ウェハ表面の汚染物質濃度(ウェハ表面上での管
理レベル)(μg/m) v;クリーンルーム空気の流速(0.4m/sec) t;ウェハの空気中暴露時間(86400sec) γ;付着確率 (芳香族炭化水素類の付着確率1×10
-5
【0004】このような汚染物質を吸着除去するケミカルフ
ィルタには、例えば活性炭、活性炭繊維、ゼオライト、
イオン交換樹脂、その他化学吸着材等の吸着材が利用さ
れており、これら吸着材が単独で用いられたり、ネット
状物や不織布等の基材に吸着材等が担持されている。そ
して該ケミカルフィルタは前記フィルタシステム中の循
環系に設置され、また必要に応じて外調機にも設置され
ている。
【0005】しかし、ガス状汚染物質の中でも有機系のガス
状汚染物質は、外気中のみならず、ケミカルフィルタの
下流位置に配置されるHEPAフィルタ自体からも発生
していることが判ってきた。しかもHEPAフィルタは
クリーンルームでは多用され、濾材の使用面積が非常に
多いため、特にHEPAフィルタからの発生ガスの防止
が課題とされてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、HEP
Aフィルタの上流位置の外調機に主として配置される微
塵除去用の中性能フィルタについては、HEPAフィル
タと比較して濾材の使用面積が少なく、またケミカルフ
ィルタの上流位置に配置される場合はプレフィルタより
の発生ガスがケミカルフィルタによって除去されるため
大きな問題とは考えられていなかった。しかし、本発明
者によって、熱接着性の有機質繊維によって繊維間が熱
接着された中性能フィルタであっても多量の有機系のガ
ス状汚染物質が発生していることが新たに判り、その原
因を追求したところ、以下のことに気が付いた。すなわ
ち中性能フィルタは、その下流に位置するHEPAフィ
ルタやケミカルフィルタが空気中の塵埃によって、すぐ
に目詰まりするのを防ぐため設置されるが、特に微塵が
捕集できるよう、極細繊維を形成することのできるメル
トブロー法を含む方法による不織布が使用されている。
しかし、このような不織布は繊維が細いため、通風時に
圧力損失が高くなり、濾過寿命も短くなってしまう。そ
こで、プリーツ加工や袋状に加工され面積の大きいフィ
ルタユニットとして使用されている。また、できるだけ
低い圧力損失で多量の微塵を保持できるよう、嵩高な構
造とするため、また厚みが風圧でつぶれないようにする
ため、厚み方向にできるだけ繊維が配向する構造とした
うえで、熱接着性繊維によって繊維同士を接着固定して
いる。そして、その接着のために接着剤を使用すると有
機質のガス状汚染物質の発生が著しいため、接着剤は使
用せず、繊維の固定には熱接着性の有機質繊維を用いる
ようにしている。しかし、これら接着性の有機質繊維か
らも、有機質のガス状汚染物質が多く発生することを見
出した。また、メルトブロー法による極細繊維はスパン
ボンド等による長繊維とは異なり、有機質のガス状汚染
物質が発生しやすいのに加えて、繊維の表面積が非常に
多くなるため、接着性の有機質繊維と同様有機質のガス
状汚染物質が多く発生することを見出した。しかも、ク
リーンルーム内の管理基準は年々厳しくなる一方であ
り、上記のように中性能フィルタから有機系のガス状汚
染物質が多量に発生すると、クリーンルーム内に有機質
のガス状汚染物質が多量に進入したり、その後段にケミ
カルフィルタが設置されている場合はケミカルフィルタ
の寿命を縮めてしまい、クリーンルーム等のフィルタシ
ステムの運転経費が大きくかかってしまうという問題が
あることを見出した。そこで、有機質のガス状汚染物質
の発生量が少ない中性能フィルタとしてのエアフィルタ
用濾材や、そのエアフィルタ用濾材を成型してフィルタ
枠に装着したエアフィルタユニットを検討することを課
題とした。
【0007】すなわち、本発明は、クリーンルーム等で使用
される中性能フィルタ用のエアフィルタ用濾材であり、
主としてHEPAフィルタやケミカルフィルタの前段で
用いるアウトガス発生の少ない中性能フィルタ用のエア
フィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造
方法、並びにその包装体を提供することよって、該HE
PAフィルタのみならず該ケミカルフィルタの塵埃に対
する負担を少なくして寿命を延ばしつつクリーンルーム
等への汚染ガスの進入を軽減し、また該ケミカルフィル
タの汚染ガス除去に関する負担を少なくして寿命を延ば
し、クリーンルームなどのフィルタシステムの運転維持
経費の削減に寄与することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は、請求項1の発明では、比色法による粒子捕集
平均効率が20〜99%であるエアフィルタ用濾材であ
って、該エアフィルタ用濾材はメルトブロー法による繊
維を少なくとも5重量%以上含み、且つ該エアフィルタ
用濾材に含まれる繊維が熱接着性繊維によって結合して
おり、該エアフィルタ用濾材から発生する総有機物質の
量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により23℃
において算出して、次に該エアフィルタ用濾材に含まれ
る熱接着性繊維とメルトブロー法による繊維合計の繊維
の面密度100g/mあたりから発生する、単位時間
における、該総有機物質の量を算出すると、1.0(p
g/m・hr)以上19(μg/m・hr)以下で
あることを特徴とする中性能フィルタ用のエアフィルタ
用濾材であり、該エアフィルタ用濾材をフィルタ枠に装
着したエアフィルタユニットをクリーンルーム等のフィ
ルタシステムの外調機内に設置することによって、該フ
ィルタシステム中に設置されたHEPAフィルタのみな
らずケミカルフィルタの塵埃に対する負担を少なくして
寿命を延ばしつつクリーンルーム等への汚染ガスの進入
を軽減し、また該ケミカルフィルタの汚染ガス除去に関
する負担を少なくして寿命を延ばし、該フィルタシステ
ムの運転維持経費の削減に寄与することができる。
【0009】また、請求項2の発明では、請求項1に記載の
エアフィルタ用濾材がフィルタ枠に装着されていること
を特徴とするエアフィルタユニットである。
【0010】また、請求項3の発明では、エアフィルタ用濾
材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を
発生ガス推測法により23℃において算出すると、エア
フィルタユニットの間口面積の単位面積あたりから発生
する、単位時間における、該総有機物質の量が1.0
(pg/m・hr)以上1000(μg/m・h
r)以下であることを特徴とする請求項2に記載のエア
フィルタユニットであり、該エアフィルタユニットをク
リーンルーム等のフィルタシステムの外調機内に設置す
ることにより、該フィルタシステム中に設置されたHE
PAフィルタのみならずケミカルフィルタの塵埃に対す
る負担を少なくして寿命を延ばしつつクリーンルーム等
への汚染ガスの進入を特に軽減し、また該ケミカルフィ
ルタの汚染ガス除去に関する負担を特に少なくして寿命
を延ばし、該フィルタシステムの運転維持経費の削減に
寄与することができる。
【0011】また、請求項4の発明では、(1)メルトブロ
ー法による繊維を少なくとも5重量%以上含み且つ熱接
着性繊維を含む繊維ウェブ、又は(2)メルトブロー法
による熱接着性繊維を少なくとも5重量%以上含む繊維
ウェブを該熱接着性繊維の融点以上の温度で加熱処理し
て繊維同士接着した後、さらに80℃以上で、且つ該熱
接着性繊維の融点より10℃以下の温度の気体中で加熱
処理することを特徴とするエアフィルタ用濾材の製造方
法であり、該エアフィルタ用濾材から発生する総有機物
質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により2
3℃において算出して、次に該エアフィルタ用濾材に含
まれる熱接着性繊維とメルトブロー法による繊維合計の
繊維の面密度100g/mあたりから発生する、単位
時間における、該総有機物質の量を算出すると、1.0
(pg/m・hr)以上19(μg/m・hr)以
下である中性能フィルタ用のエアフィルタ用濾材を製造
することができる。
【0012】また、請求項5の発明では、請求項4に記載の
製造方法によって得られたエアフィルタ用濾材をフィル
タ枠に装着してエアフィルタユニットとすることを特徴
とするエアフィルタユニットの製造方法であり、総有機
物質の発生量が少ない濾材をフィルタ枠に装着してエア
フィルタユニットとすることによって、総有機物質の発
生量が少ないエアフィルタユニットを得ることができ
る。
【0013】また、請求項6の発明では、(1)メルトブロ
ー法による繊維を少なくとも5重量%以上含み且つ熱接
着性繊維を含む繊維ウェブ、又は(2)メルトブロー法
による熱接着性繊維を少なくとも5重量%以上含む繊維
ウェブを該熱接着性繊維の融点以上の温度で加熱処理し
て繊維同士接着し、エアフィルタ用素材とした後、該エ
アフィルタ用素材を用いてエアフィルタユニット中間体
とし、該エアフィルタユニット中間体を80℃以上で、
且つ該熱接着性繊維の融点より10℃以下の温度の気体
中で加熱処理することを特徴とするエアフィルタユニッ
トの製造方法であり、ユニット加工した後に、本発明に
よる条件で加熱処理することにより、ユニット加工後に
エアフィルタ用素材に付着する有機物質をも除去するこ
とができ、総有機物質の発生量が少ないエアフィルタユ
ニットを得ることができる。
【0014】また、請求項7の発明では、比色法による粒子
捕集平均効率が20〜99%である中性能フィルタ用の
エアフィルタ用濾材が、通気性を有しないシート状物に
よって包装されてなる包装体であって、該シート状物か
ら発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を発生
ガス推測法により23℃において算出すると、該シート
状物の単位面積あたり(1mあたり)から発生する、
単位時間(1hr)における、該総有機物質の量が、該
エアフィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トル
エン換算重量)を発生ガス推測法により23℃において
算出すると、該エアフィルタ用濾材の単位面積あたり
(1mあたり)から発生する、単位時間(1hr)に
おける、総有機物質の量より少ないことを特徴とするエ
アフィルタ用濾材包装体であり、該エアフィルタ用濾材
を使用するまでに、該エアフィルタ用濾材にガス状汚染
物質が付着するのを防ぐことができる。尚、該エアフィ
ルタ用濾材の単位面積とは、該エアフィルタ用濾材を使
用する場合の通風面の見かけの表面の単位面積(1
)のことをいう。
【0015】また、請求項8の発明では、フィルタ枠に、比
色法による粒子捕集平均効率が20〜99%である中性
能フィルタ用のエアフィルタ用濾材が装着されたエアフ
ィルタユニットが、通気性を有しないシート状物によっ
て包装されてなる包装体であって、該シート状物から発
生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス
推測法により23℃において算出すると、該シート状物
の単位面積あたり(1mあたり)から発生する、単位
時間(1hr)における、該総有機物質の量が、該エア
フィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン
換算重量)を発生ガス推測法により23℃において算出
すると、該エアフィルタ用濾材の単位面積あたり(1m
あたり)から発生する、単位時間(1hr)におけ
る、総有機物質の量より少ないことを特徴とするエアフ
ィルタユニット包装体であり、該エアフィルタユニット
を使用するまでに、該エアフィルタユニットにガス状汚
染物質が付着するのを防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるエアフィル
タ用濾材、エアフィルタユニット及びその製造方法、並
びにその包装体の好ましい実施の形態について詳細に説
明する。
【0017】本発明のエアフィルタ用濾材は、比色法による
粒子捕集平均効率が20〜99%であるエアフィルタ用
濾材であって、該エアフィルタ用濾材はメルトブロー法
による繊維を少なくとも5重量%以上含み、且つ該エア
フィルタ用濾材に含まれる繊維が熱接着性繊維によって
結合しており、該エアフィルタ用濾材から発生する総有
機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法によ
り23℃において算出して、次に該エアフィルタ用濾材
に含まれる熱接着性繊維とメルトブロー法による繊維合
計の繊維の面密度100g/mあたりから発生する、
単位時間における、該総有機物質の量を算出すると、
1.0(pg/m・hr)以上19(μg/m・h
r)以下であることを特徴とする中性能フィルタ用のエ
アフィルタ用濾材である。
【0018】また、本発明のエアフィルタ用濾材がフィルタ
枠に装着されている本発明のエアフィルタユニットは、
図1に例示するように、半導体や液晶の生産施設などの
クリーンルーム9などにおいて、該クリーンルーム内に
流入する外気中に含まれる粉塵を除去するHEPAフィ
ルタ(高性能フィルタ)6の前段や、該外気中のガス状
汚染物質を除去するケミカルフィルタ5の前段で用いる
アウトガス発生の少ない中性能用のエアフィルタとして
主に用いられ、主として外調機に設置される中性能フィ
ルタ3として用いられるエアフィルタユニットである。
【0019】上記エアフィルタユニットは比色法によって測
定評価される濾過性能を有する中性能フィルタ用のエア
フィルタ用濾材を、ジグザグ状の形状にプリーツ加工し
て通風面積を増やしてからフィルタ枠に装着したり、又
は袋状に加工して通風面積を増やしてからフィルタ枠に
装着したものであり、外気中の微塵を捕捉して、その後
段に配置する計数法によって測定評価される濾過性能を
有するHEPAフィルタの濾過寿命を長く保つことを主
目的とする。
【0020】本発明のエアフィルタ用濾材は中性能用のエア
フィルタ用濾材であり、ASHRAE 52.1−19
92に準じた試験方法において、比色法による粒子捕集
平均効率が20〜99%であり、好ましくは粒子捕集平
均効率が60〜95%である。粒子捕集平均効率が20
%未満である場合は微塵除去が不十分であり、下流位置
に配置されるHEPAフィルタやケミカルフィルタの寿
命を延ばすにしては設置の費用が掛かり過ぎるため使用
できない。また、粒子捕集平均効率が99%を超える場
合は、濾材の開孔径が細かくなり過ぎるため、すぐに濾
材前後の圧力損失が限界に達して寿命が短くなり中性能
用のフィルタとして使用できない。
【0021】本発明のエアフィルタ用濾材の構造はメルトブ
ロー法を含む方法によって形成された不織布であり、メ
ルトブロー法のみによって得られた不織布であるか、又
は乾式法、エアレイ法、スパンボンド法など他の不織布
の製法とメルトブロー法とを組み合わせた方法によって
得られる不織布である。このようにメルトブロー法を含
む方法によって形成された不織布であるため、繊維は極
細繊維を含み、微塵に対する捕集効率が高い。また、例
えばメルトブロー法とエアレイ法を組み合わせて得られ
る不織布としては、乾式法で用いるカード機等で開繊し
た短繊維ウェブを空気流で送るエアレイ法により、その
短繊維ウェブをメルトブローの繊維ウェブ形成中に混入
させて得られる不織布がある。このような不織布であれ
ば、微塵に対する捕集効率が高く、厚みも高いので、濾
過寿命の長い中性能エアフィルタ用濾材として好適であ
る。すなわち、メルトブロー法とエアレイ法を組み合わ
せることで、短繊維が厚み方向に多数配向するので、厚
みが出易くなり嵩高となり、且つ厚みがつぶれ難くなる
のである。また、本発明のエアフィルタ用濾材は、メル
トブロー法による繊維の重量が不織布全体の5重量%以
上であり、10重量%以上がより好ましく、15重量%
以上が最も好ましい。5重量%未満の場合は中性能フィ
ルタとしての微塵の捕集効率が十分に得られない。
【0022】本発明のエアフィルタ用濾材の繊維は、不織布
の製造で一般的に用いられる合成繊維、半合成繊維、無
機繊維、天然繊維等である。また、熱接着性繊維には、
例えば他の繊維よりも融点が低く他の繊維を熱接着する
ことのできる単一樹脂成分からなる繊維や、他の繊維よ
りも融点が低く他の繊維を熱接着することのできる低融
点成分を繊維表面に有する複合繊維があり、この複合繊
維はメルトブロー法によって形成されていてもよい。こ
のような複合繊維には、その横断面形状が例えば、低融
点成分を繊維表面に有する芯鞘型やサイドバイサイド型
等の複合繊維があり、またその材質は例えば、共重合ポ
リエステル/ポリエステル、共重合ポリプロピレン/ポ
リプロピレン、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリエチ
レン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエステ
ル、ポリエチレン/ポリエステルなどの繊維形成性重合
体の組み合わせからなる複合繊維がある。また、該熱接
着性繊維の全体の繊維に占める割合は好ましくは100
〜5重量%であり、更に好ましくは100〜50重量%
であり、最も好ましくは100〜75重量%である。熱
接着性繊維の割合が5重量%未満であると熱接着による
結合力が弱く、エアフィルタ用濾材として使用しても、
風圧で容易に厚みがつぶれてしまい、不具合を生じる場
合がある。また、本発明のエアフィルタ用濾材の繊維は
メルトブロー法による繊維の場合、平均径は0.1〜1
0μmが好ましく、メルトブロー法以外の繊維の場合、
平均径は10〜100μmが好ましい。
【0023】本発明のエアフィルタ用濾材は上記の熱接着性
繊維によって、熱接着性繊維同士、又は熱接着性繊維と
他の繊維が、該熱接着性繊維の融点以上の温度で加熱処
理されることにより結合している。この加熱接着処理に
は、例えば熱風吹き出し型乾燥機を用いるか、エアスル
ー型の乾燥機を用いる方法がある。
【0024】本発明のエアフィルタ用濾材の面密度は50〜
300g/mの面密度が好ましく、100〜200g
/mが更に好ましい。また、本発明のエアフィルタ用
濾材の厚さは、袋状に加工する場合は5〜50mmであ
ることが好ましく、10〜30mmが更に好ましい。ま
た、プリーツ加工する場合は0.1〜5mmであること
が好ましく、0.5〜3mmが更に好ましく、0.8〜2
mmが最も好ましい。
【0025】本発明のエアフィルタ用濾材は、該エアフィル
タ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を発生ガス推測法により23℃において算出して、
次に該エアフィルタ用濾材に含まれる熱接着性繊維とメ
ルトブロー法による繊維合計の繊維の面密度100g/
あたりから発生する、単位時間における、該総有機
物質の量を算出すると、1.0(pg/m・hr)以
上19(μg/m ・hr)以下である、好ましくは該
総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)以上10
(μg/m・hr)以下である、更に好ましくは該総
有機物質の量が1.0(pg/m・hr)以上5(μ
g/m・hr)以下である。このように、エアフィル
タ用濾材から発生する総有機物質の量を少なくするに
は、前記熱接着性繊維によって、熱接着性繊維同士、又
は熱接着性繊維と他の繊維が、該熱接着性繊維の融点以
上の温度で加熱処理されることにより結合しているエア
フィルタ用素材をさらに80℃以上で、且つ該熱接着性
繊維の融点より10℃以下の温度の気体中で加熱処理す
ることによって得ることができる。
【0026】本発明では、有機質ガス状汚染物質の定量に
は、ダイナミックヘッドスペース法によって、加熱状態
で促進試験を行ない、発生ガス量を定量した後、その値
を発生ガス推測法によって、室温時の値に換算した値を
使用している。
【0027】次に、ダイナミックヘッドスペース法を説明す
る。図2はこの方法に用いる発生ガス捕集装置(ジーエ
ルサイエンス(株)製 MSTD−258M)の説明図で
ある。まず、測定したい素材を直径7cmの円形に切
り、試料14を作成する。試料14をチャンバー10内
の中央のガス吹き出し口13の上に設置する。次に、清
浄なヘリウムガス11をチャンバー内に流速120ml
/minで連続的に流通させながら所定の温度(60℃
または80℃)で加熱する。ヘリウムガス11は試料1
4と接触する際、試料14から発生する汚染物質がヘリ
ウムガス中に混入するので、気体濃度が平衡になった
後、捕集速度100ml/minで固体吸着材12(成
分;2,6-diphenylene oxide)に捕集する。次いで、固
体吸着材12に捕集した物質をガスクロマトグラフ質量
分析計で分析する。((株)島津製作所製 QP−505
0を使用)加熱の温度は60℃と80℃の2条件で測定
する。
【0028】次に、発生ガス推測法とは、高温下で発生ガス
の促進試験を行ない、実験式を用いて、室温での結果を
推測する方法であり、以下、発生ガス推測法について具
体的に説明する。実際のクリーンルームの室温23℃で
の発生ガスは極微量なので実測では分析感度の点で長時
間の測定が必要になるなど、現実的には測定困難なた
め、前述のダイナミックヘッドスペース法により、試験
条件を例えば60℃、80℃の高温下に設定して、試料
から発生する有機物質の量を定性定量的に測定した結果
から下記の式を用いて室温23℃での結果を推測する。
(株)住化分析センターの竹田らによれば、試験温度と
発生ガスの関係については、経験則として下記の式が成
り立つことがわかっている。(平成11年第17回コン
タミネーションコントロール研究大会予稿集などに記
載) ln(M/A・h)=−C1/T+C2 M;トルエン換算の発生ガス量(μg) A;測定試料面積(m2) h;捕集に要した時間(h) T;試験温度(絶対温度K) C1およびC2;定数
【0029】また、本発明のエアフィルタ用濾材は上記のエ
アフィルタ用濾材と同じもの又は異なるものが複数積層
していても構わない。また、上記のエアフィルタ用濾材
と他の通気性を有するシート状物が積層していても構わ
ない。このような通気性を有するシート状物には、例え
ば織物、編物、ネット、不織布、ろ紙等があるが、ガス
状汚染物質を多く発生しないものが好ましい。
【0030】本発明のエアフィルタユニットは、本発明のエ
アフィルタ用濾材がフィルタ枠に装着されていることを
特徴とするエアフィルタユニットである。このようなエ
アフィルタユニットの形態には、エアフィルタ用濾材が
プリーツ折の型、エアフィルタ用濾材が袋形状の型等が
ある。プリーツ折の型の場合、エアフィルタ用濾材の面
積はユニットの間口面積あたり最大60倍程度まで、ま
た袋形状の型の場合、エアフィルタ用濾材の面積は最大
20倍程度まで増加できる。また、エアフィルタユニッ
トに用いる枠体としては、有機質ガス状汚染物質の発生
が少ない合成樹脂の板や、該汚染物質の発生がほとんど
無いアルミ等の金属であることが好ましい。
【0031】本発明のエアフィルタユニットは、前述のよう
な本発明のエアフィルタ用濾材を用いているため、要求
される塵埃に関する濾過性能に応じて適宜使用面積を変
えたとしても、該エアフィルタ用濾材から発生する総有
機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法によ
り23℃において算出すると、エアフィルタユニットの
間口面積の単位面積あたりから発生する、単位時間にお
ける、該総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)
以上1000(μg/m・hr)以下である、好まし
くは該総有機物物質の量が1.0(pg/m・hr)
以上750(μg/m・hr)以下である、更に好ま
しくは該総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)
以上500(μg/m・hr)以下であるエアフィル
タユニットとすることができる。
【0032】次に、本発明の請求項3に係るエアフィルタユ
ニットをクリーンルームに使用した場合の効果を示す。
例えば、エアフィルタユニットをケミカルフィルタを有
する外調機に設置して、その時のユニット間口を通過す
る風速を2.5m/secに設定したとすると、エアフ
ィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換
算重量)を発生ガス推測法により23℃において算出す
ると、エアフィルタユニットの間口面積の単位面積あた
りから発生する、単位時間における、該総有機物質の量
が1000(μg/m・hr)である場合、空気中の
汚染物質濃度は1000μg/m・hr÷2.5m/
sec=0.11μg/mとなり、前述の管理基準値
の41.7μg/mを十分に満足できる。また、本発
明のエアフィルタユニットを、ケミカルフィルタの前に
設置する場合はエアフィルタ用濾材から発生する有機物
質は、該ケミカルフィルタによって除去されるので、ク
リーンルーム中の空気中の汚染物質濃度は実質的に0μ
g/mであるが、後述の実施例で示すように、本発明
によるエアフィルタ用濾材からの発生ガス量は、従来タ
イプのエアフィルタ用濾材からの発生ガス量と比較し
て、極めて少なく、ケミカルフィルタへの負担を格段に
軽減して、ケミカルフィルタの寿命を大きく延ばすこと
ができる。尚、このように本発明のエアフィルタ用濾材
またはエアフィルタユニットからの発生ガスは従来タイ
プより極めて少ないため、例えばケミカルフィルタ等を
配置しなくても良いような管理基準のあまり厳しくない
室内用途にも用いることができる。
【0033】本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法は、
(1)メルトブロー法による繊維を少なくとも5重量%
以上含み且つ熱接着性繊維を含む繊維ウェブ、又は
(2)メルトブロー法による熱接着性繊維を少なくとも
5重量%以上含む繊維ウェブを該熱接着性繊維の融点以
上の温度で加熱処理して繊維同士接着した後、さらに8
0℃以上で、且つ該熱接着性繊維の融点より10℃以下
の温度の気体中で加熱処理することを特徴とするエアフ
ィルタ用濾材の製造方法である。
【0034】上記ウェブの形成法は不織布の製法のうちメル
トブロー法に準じて行えばよく、またメルトブロー法と
例えば乾式法、エアレイ法、スパンボンド法を組み合わ
せた方法等も用いることができる。このように、メルト
ブロー法によれば、繊維を極細繊維とすることができ、
微塵に対する捕集効率が向上する。また、乾式法で用い
るカード機等で開繊した短繊維ウェブを空気流で送るエ
アレイ法により、その短繊維ウェブをメルトブローの繊
維ウェブ形成中に混入させて、混合ウェブとすることも
できる。このようなメルトブロー法とエアレイ法とを組
み合わせた方法によれば、微塵に対する捕集効率を高く
しながら、厚みも高く出せるので濾過寿命の長い中性能
エアフィルタ用濾材を得ることができる。すなわち、エ
アレイ法を組み合わせることで、短繊維が厚み方向に多
数配向するので、厚みが出易くなり嵩高となり、且つ厚
みがつぶれ難くなるのである。
【0035】本発明のエアフィルタ用濾材の製造法で用いる
繊維は、不織布の製造で一般的に用いられる合成繊維、
半合成繊維、無機繊維、天然繊維等である。また、熱接
着性繊維には、例えば他の繊維よりも融点が低く他の繊
維を熱接着することのできる単一樹脂成分からなる繊維
や、他の繊維よりも融点が低く他の繊維を熱接着するこ
とのできる低融点成分を繊維表面に有する複合繊維があ
り、この複合繊維はメルトブロー法によって形成されて
いてもよい。このような複合繊維には、その横断面形状
が例えば、低融点成分を繊維表面に有する芯鞘型やサイ
ドバイサイド型等の複合繊維があり、またその材質は例
えば、共重合ポリエステル/ポリエステル、共重合ポリ
プロピレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリア
ミド、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン
/ポリエステル、ポリエチレン/ポリエステルなどの繊
維形成性重合体の組み合わせからなる複合繊維がある。
また、該熱接着性繊維の配合比率は100〜5重量%で
あり、好ましくは100〜50重量%であり、更に好ま
しくは100〜75重量%である。熱接着性繊維の配合
比率が5重量%未満であると熱接着による結合力が弱
く、エアフィルタ用濾材として使用しても、風圧で容易
に厚みがつぶれてしまい、不具合を生じてしまう。
【0036】上記繊維ウェブの形成に際しては、繊維ウェブ
に含まれるメルトブロー法による繊維の平均径は0.1
〜10μmが好ましく、メルトブロー法以外の繊維の平
均径は10〜100μmが好ましい。また、繊維ウェブ
の面密度は50〜300g/mの面密度が好ましく、
100〜200g/mが更に好ましい。また、メルト
ブロー法による繊維ウェブの面密度は繊維ウェブ全体の
5重量%以上であり、10重量%以上がより好ましく、
15重量%以上が最も好ましい。5重量%未満の場合は
中性能フィルタとしての微塵の捕集効率が十分に得られ
ない。
【0037】本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法では、
次に上記繊維ウェブを該繊維ウェブに含まれている熱接
着性繊維の低融点成分の融点以上の温度で加熱接着処理
を行う。この加熱接着処理は、例えば熱風吹き出し型乾
燥機を用いて、コンベアー上にある繊維ウェブの上から
熱風を静かに吹きつけ、風圧で厚みがあまりつぶれない
ようにして、熱接着繊維同士接着するか、または熱接着
繊維と他の繊維とを接着する方法や、エアースルー型の
乾燥機を用いて、網状コンベアー上にある繊維ウェブの
上から該コンベア−の下へ熱風を通して接着する方法な
どがある。
【0038】しかし、上記の加熱接着処理を行うだけでは、
上記熱接着性繊維の表面にガス状汚染物質となる有機物
質が生成してしまい、上記融点以上の温度から室温まで
徐々に温度が降下しても、その間の加熱状態において
は、生成した該有機物質が除去されないことが判った。
そこで本発明による製造方法では、上記の加熱接着処理
の次に、加熱接着処理した繊維ウェブを80℃以上の温
度で、且つ熱接着性繊維の低融点成分の融点より10℃
以下、より好ましくは20℃以下の気体中で加熱処理を
行う。この2回目の加熱処理は、例えば上記熱風吹き出
し型乾燥機を用いて、上記と同様に、コンベアー上にあ
る繊維ウェブの上から熱風を吹きつける方法によって行
うことができる。そして、この2回目の加熱処理によっ
て該熱接着性繊維の表面に生成した該有機物質を除去す
ることができる。また、メルトブロー法によって形成さ
れた繊維の表面に、ガス状汚染物質となる有機物質が生
成された場合もこの有機物質を除去することができる。
この加熱除去処理に要する時間は5分間以上が好まし
い。また、この加熱除去処理温度が80℃未満であるな
らば、該有機物質を十分に除去することができない。ま
た、上記低融点成分の融点よりも低い温度であり、該融
点との差が10℃未満である場合には、熱接着性繊維の
表面やメルトブロー法によって形成された繊維の表面か
ら該有機物質を除去するどころか、かえって熱接着性繊
維などの表面に新たにガス状汚染物質となる有機物質を
生成してしまい、有機物質の発生量が少ないエアフィル
タ用濾材を得ることはできない。尚、熱接着性繊維の低
融点成分の融点近くの温度で加熱することによって、熱
接着性繊維の表面にガス状汚染物質となる有機物質が生
成する理由としては、該融点成分の一部が分解すること
によるか、低融点成分に含まれていた繊維の可塑剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤が繊維表
面に溶出することなどが考えられる。また、十分に接着
するため熱接着性繊維の溶融時間を長く保っていること
などが考えられる。
【0039】本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法では、
上記の加熱接着処理を行った後に引き続いて上記の加熱
除去処理を行うことができるが、加熱接着処理を行った
後に一旦繊維ウェブを室温近くまで冷却してから加熱除
去処理を行うこともできる。また別法として、加熱接着
処理によってエアフィルタ用素材とした後、該エアフィ
ルタ用素材にプリーツ加工やユニット加工を行い一旦エ
アフィルタ中間体として、その後に該エアフィルタユニ
ット中間体を80℃以上で、且つ該熱接着性繊維の融点
より10℃以下の温度の気体中で加熱除去処理すること
もできる。プリーツ加工やユニット加工した後に加熱除
去処理する場合は、加熱処理対象全体を上記所定の温度
の乾燥機中に放置するか、ユニットに上記所定の温度の
熱風を通過させる等の方法で行うことができる。このよ
うに、プリーツ加工やユニット加工した後に加熱除去処
理した場合は、熱接着によって熱接着繊維表面に生成し
た有機物質のみならず、該プリーツ加工や該ユニット加
工までに、大気中よりエアフィルタ用素材やエアフィル
タユニット中間体に付着した有機物質をも除去すること
ができる。
【0040】このようにして得られるエアフィルタ用濾材の
厚さは、袋状に加工する場合は5〜50mmであること
が好ましく、10〜30mmが更に好ましい。また、プ
リーツ加工する場合は0.1〜5mmであることが好ま
しく、0.5〜3mmが更に好ましく、0.8〜2mmが
最も好ましい。
【0041】本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法では、
上記のように加熱除去処理を行うことによって、エアフ
ィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換
算重量)を発生ガス推測法により23℃において算出し
て、次に該エアフィルタ用濾材に含まれる熱接着性繊維
とメルトブロー法による繊維合計の繊維の面密度100
g/mあたりから発生する、単位時間における、該総
有機物質の量を算出すると、1.0(pg/m・h
r)以上19(μg/m・hr)以下である、好まし
くは該総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)以
上10(μg/m・hr)以下である、更に好ましく
は該総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)以上
5(μg/m・hr)以下であるエアフィルタ用濾材
を得ることができる。
【0042】本発明のエアフィルタユニットの製造方法は、
本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法によって得られ
たエアフィルタ用濾材をフィルタ枠に装着してエアフィ
ルタユニットとすることを特徴とするエアフィルタユニ
ットの製造方法である。
【0043】本発明のエアフィルタユニットの製造方法は、
本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法によって得られ
たエアフィルタ用濾材をプリーツ状に多数折り曲げてか
らフィルタ枠に装着することによって、或いは得られた
エアフィルタ用素材をプリーツ状に多数折り曲げてから
フィルタ枠に装着してから前述の加熱除去処理を行うこ
とにより、プリーツ折型の本発明のエアフィルタユニッ
トとすることができる。エアフィルタユニットの形態に
は、プリーツ折型の外に、濾材を袋形状に形成してフィ
ルタ枠に装着した袋形状型等がある。このようにして、
エアフィルタ用濾材の面積はユニットの間口面積あたり
最大60倍程度まで、また袋形状に加工するとエアフィ
ルタ用濾材の面積は最大20倍程度まで増加することが
できる。また、エアフィルタユニットに用いる枠体とし
ては、有機質ガス状汚染物質の発生が少ない合成樹脂の
板や、該汚染物質の発生がほとんど無いアルミ等の金属
を用いることが好ましい。また、本発明のエアフィルタ
用濾材の製造方法で得られたエアフィルタ用濾材を、要
求される塵埃に関する濾過性能に応じて適宜使用面積を
定めて用いることにより、エアフィルタ用濾材から発生
する総有機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推
測法により23℃において算出すると、エアフィルタユ
ニットの間口面積の単位面積あたりから発生する、単位
時間における、該総有機物質の量が1.0(pg/m
・hr)以上1000(μg/m ・hr)以下であ
る、好ましくは該総有機物質の量が1.0(pg/m
・hr)以上750(μg/m・hr)以下である、
更に好ましくは該総有機物質の量が1.0(pg/m
・hr)以上500(μg/m・hr)以下であるエ
アフィルタユニットを得ることができる。
【0044】本発明のエアフィルタ用濾材包装体は、比色法
による粒子捕集平均効率が20〜99%である中性能フ
ィルタ用のエアフィルタ用濾材が、通気性を有しないシ
ート状物によって包装されてなる包装体であって、該シ
ート状物から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を発生ガス推測法により23℃において算出する
と、該シート状物の単位面積あたり(1mあたり)か
ら発生する、単位時間(1hr)における、該総有機物
質の量が、該エアフィルタ用濾材から発生する総有機物
質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により2
3℃において算出すると、該エアフィルタ用濾材の単位
面積あたり(1mあたり)から発生する、単位時間
(1hr)における、総有機物質の量より少ないことを
特徴とするエアフィルタ用濾材包装体であり、該エアフ
ィルタ用濾材を使用するまでに、該エアフィルタ用濾材
にガス状汚染物質が付着するのを防ぐことができる。
尚、該エアフィルタ用濾材の単位面積とは、該エアフィ
ルタ用濾材を使用する場合の通風面の見かけの表面の単
位面積(1m)のことをいう。
【0045】また、本発明のエアフィルタユニット包装体
は、フィルタ枠に、比色法による粒子捕集平均効率が2
0〜99%である中性能フィルタ用のエアフィルタ用濾
材が装着されたエアフィルタユニットが、通気性を有し
ないシート状物によって包装されてなる包装体であっ
て、該シート状物から発生する総有機物質の量(トルエ
ン換算重量)を発生ガス推測法により23℃において算
出すると、該シート状物の単位面積あたり(1mあた
り)から発生する、単位時間(1hr)における、該総
有機物質の量が、該エアフィルタ用濾材から発生する総
有機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法に
より23℃において算出すると、該エアフィルタ用濾材
の単位面積あたり(1mあたり)から発生する、単位
時間(1hr)における、総有機物質の量より少ないこ
とを特徴とするエアフィルタユニット包装体であり、該
エアフィルタユニットを使用するまでに、該エアフィル
タユニットにガス状汚染物質が付着するのを防ぐことが
できる。このような包装体としては、例えば、該エアフ
ィルタユニットのエアフィルタ用濾材から発生する総有
機物質の量(トルエン換算重量)が、10(μg/m
・hr)である場合、該シート状物から発生する総有機
物質の量(トルエン換算重量)が10(μg/m・h
r)未満の該シート状物によって、該エアフィルタユニ
ットが包装されているエアフィルタユニット包装体があ
る。
【0046】本発明で用いられるシート状物としては、アル
ミ箔等の金属箔、ポリエステル樹脂等の樹脂フィルム、
アルミ蒸着樹脂フィルム等があり、通気性を有しないシ
ート状のものが適している。また、包装体の形態として
は、対象となるエアフィルタ用濾材やエアフィルタユニ
ットをシート状物で包みこんだ形態や、シート状物から
なる袋に対象となるエアフィルタ用濾材やエアフィルタ
ユニットを入れて、袋の口を止める形態など、該エアフ
ィルタ用濾材や該エアフィルタユニットが直接外気に触
れないようにすればよい。また、必ずしも密封している
必要はないが、密封すれば該エアフィルタ用濾材や該エ
アフィルタユニットに大気中のガス状汚染物質が付着す
るのをより効果的に防ぐことができる。また、該シート
状物の単位面積あたり(1mあたり)から発生する、
単位時間(1hr)における、該総有機物質の量(トル
エン換算重量)が、該エアフィルタ用濾材の単位面積あ
たり(1mあたり)から発生する、単位時間(1h
r)における、総有機物質の量(トルエン換算重量)よ
り少ないので、該シート状物によって包装されている該
エアフィルタ用濾材や該エアフィルタユニットに対し
て、該シート状物から発生するガス状汚染物質が付着す
ることがないか、又は付着することがあっても、その量
は極めて少ない。
【0047】以下、本発明の実施例につき説明するが、これ
は発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本願
発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0048】(実施例1)芯成分が融点160℃のポリプロ
ピレン、鞘成分が融点130℃のポリエチレンからな
る、繊度が3デシテックス、繊維長が51mmの複合繊
維である熱接着性繊維100%からなる繊維を開繊した
後、空気流で送りながら、ポリプロピレンのメルトブロ
ーのウェブを形成中に混入させて、メルトブロー法とエ
アレイ法の組み合わせによる混合ウェブを形成した。こ
の混合ウェブの混合比率は熱接着性繊維83重量%、メ
ルトブローによる繊維17重量%であった。次に、この
混合ウェブに145℃の乾燥機で3分間加熱接着処理を
行ない、鞘成分のポリエチレンを溶融して、その混合ウ
ェブの繊維交点で繊維接着を行ない、その後空冷して面
密度170g/m、厚さ10mmのエアフィルタ用素
材を作製した。次に、このエアフィルタ用素材に、11
0℃の乾燥機で10分間加熱除去処理を行ない、面密度
170g/m、厚さ10mmのエアフィルタ用濾材を
得た。このエアフィルタ用濾材から発生する総有機物質
の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により23
℃において算出して、次に該エアフィルタ用濾材に含ま
れる熱接着性繊維とメルトブロー法による繊維合計の繊
維の面密度100g/mあたりから発生する、単位時
間における、該総有機物質の量を算出すると、1.04
(μg/m・hr)であった。次に、このエアフィル
タ用濾材6mを片面が約595cm×約860cmの
大きさの袋状に6枚成型して、外寸法が595cm×5
95cmの間口のステンレス製のフィルタ枠に装着し
て、エアフィルタユニットを得た。このエアフィルタユ
ニットは、ASHRAE 52.1−1992に準じた
試験方法によると風速56m/minの試験条件で、
比色法による粒子捕集平均効率が79%であり、中性能
フィルタとしての性能を満足するものであった。また、
エアフィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トル
エン換算重量)を発生ガス推測法により23℃において
算出すると、エアフィルタユニットの間口面積の単位面
積あたりから発生する、単位時間における、該総有機物
質の量は30.0(μg/m・hr)であり、クリー
ンルーム用フィルタシステムの外調機に取り付ける中性
能フィルタとして好適であった。
【0049】(実施例2)エアフィルタ用素材に100℃で
5分間加熱除去処理を行なったこと以外は実施例1と同
様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ
用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を実施例1と同様にして算出すると、3.34(μ
g/m・hr)であった。次に、実施例1と同様にし
て、エアフィルタユニットを得た。このエアフィルタユ
ニットは、実施例1と同様に比色法による粒子捕集平均
効率が79%であり、中性能フィルタとしての性能を満
足するものであった。また、エアフィルタ用濾材から発
生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を実施例1
と同様にして(エアフィルタユニットの間口面積の単位
面積あたり)算出すると、96.0(μg/m・h
r)であり、クリーンルーム用フィルタシステムの外調
機に取り付ける中性能フィルタとして好適であった。
【0050】(比較例1)エアフィルタ用素材に加熱除去処
理を行なわなかったこと以外は実施例1と同様にしてエ
アフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ用濾材から
発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を実施例
1と同様にして算出すると、20.4(μg/m・h
r)であり、クリーンルーム用フィルタシステムの外調
機に取り付ける中性能フィルタとして、有機質のガス状
汚染物質が多く不適であった。
【0051】(比較例2)エアフィルタ用素材に150℃で
3分間加熱除去処理を行なったこと以外は実施例1と同
様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ
用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を実施例1と同様にして算出すると、該総有機物質
の量が50.8(μg/m・hr)であり、クリーン
ルーム用フィルタシステムの外調機に取り付ける中性能
フィルタとして、有機質のガス状汚染物質が多く不適で
あった。
【0052】(実施例3)芯成分が融点260℃のポリエス
テル、鞘成分が融点130℃の変性ポリエステルからな
る、繊度が3デシテックス、繊維長が51mmの複合繊
維である熱接着性繊維100%からなる繊維を開繊した
後、空気流で送りながら、ポリプロピレンのメルトブロ
ーのウェブを形成中に混入させて、メルトブロー法とエ
アレイ法の組み合わせによる混合ウェブを形成した。こ
の混合ウェブの混合比率は熱接着性繊維84重量%、メ
ルトブローによる繊維16重量%であった。次に、この
混合ウェブに145℃の乾燥機で3分間加熱接着処理を
行ない、鞘成分の変性ポリエステルを溶融して、その混
合ウェブの繊維交点で繊維接着を行ない、面密度125
g/m、厚さ10mmのエアフィルタ用素材を作製し
た後、引き続きスリットを設けた145℃の加熱ロール
の間に通して厚さを1mmに調整して、そのまま空冷し
た。次に、このエアフィルタ用素材に、110℃の乾燥
機で10分間加熱除去処理を行ない、面密度125g/
、厚さ1mmのエアフィルタ用濾材を得た。このエ
アフィルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエ
ン換算重量)を発生ガス推測法により23℃において算
出して、次に該エアフィルタ用濾材に含まれる熱接着性
繊維とメルトブロー法による繊維合計の繊維の面密度1
00g/mあたりから発生する、単位時間における、
該総有機物質の量を算出すると、0.83(μg/m
・hr)であった。次に、このエアフィルタ用濾材15
を用いてプリーツ折りを行い、外寸法が610cm
×610cmの間口で奥行きが290cmのフィルタ枠
に装着して、エアフィルタユニットを得た。このエアフ
ィルタユニットは、ASHRAE 52.1−1992
に準じた試験方法によると風速56m/minの試験
条件で、比色法による粒子捕集平均効率が83%であ
り、中性能フィルタとしての性能を満足するものであっ
た。また、エアフィルタ用濾材から発生する総有機物質
の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により23
℃において算出すると、エアフィルタユニットの間口面
積の単位面積あたりから発生する、単位時間における、
該総有機物質の量は42.0(μg/m・hr)であ
り、クリーンルーム用フィルタシステムの外調機に取り
付ける中性能フィルタとして好適であった。
【0053】(実施例4)エアフィルタ用素材に100℃で
5分間加熱除去処理を行なったこと以外は実施例3と同
様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ
用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を実施例3と同様にして算出すると、5.12(μ
g/m・hr)であった。次に、実施例3と同様にし
て、エアフィルタユニットを得た。このエアフィルタユ
ニットは、実施例3と同様に比色法による粒子捕集平均
効率が83%であり、中性能フィルタとしての性能を満
足するものであった。また、エアフィルタ用濾材から発
生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を実施例3
と同様にして(エアフィルタユニットの間口面積の単位
面積あたり)算出すると、258(μg/m・hr)
であり、クリーンルーム用フィルタシステムの外調機に
取り付ける中性能フィルタとして好適であった。
【0054】(比較例3)エアフィルタ用素材に加熱除去処
理を行なわなかったこと以外は実施例3と同様にしてエ
アフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ用濾材から
発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を実施例
3と同様にして算出すると、14.5(μg/m・h
r)であり、クリーンルーム用フィルタシステムの外調
機に取り付ける中性能フィルタとして、有機質のガス状
汚染物質が多く不適であった。
【0055】(比較例4)エアフィルタ用素材に150℃で
3分間加熱除去処理を行なったこと以外は実施例3と同
様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ
用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重
量)を実施例3と同様にして算出すると、46.7(μ
g/m・hr)であり、クリーンルーム用フィルタシ
ステムの外調機に取り付ける中性能フィルタとして、有
機質のガス状汚染物質が多く不適であった。
【0056】以上のように、実施例1では、本発明による加
熱除去処理を行うことによって得られたエアフィルタ用
濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)
を発生ガス推測法により23℃において算出して、次に
該エアフィルタ用濾材に含まれる熱接着性繊維とメルト
ブロー法による繊維合計の繊維の面密度100g/m
あたりから発生する、単位時間における、該総有機物質
の量を算出すると、1.04(μg/m・hr)であ
る。また実施例2では、3.34(μg/m・hr)
である。これに対して、加熱接着処理しか行わなかった
従来タイプの比較例1では20.4(μg/m・h
r)である。このように本発明のエアフィルタ用濾材は
該総有機物質の発生量が従来タイプのエアフィルタ用濾
材の約20分の1及び約6分の1と極めて少なく、また
同様に、実施例3及び実施例4に対して比較例3を対比
した場合も、本発明のエアフィルタ用濾材は該総有機物
質の発生量が従来タイプのエアフィルタ用濾材の約17
分の1及び約3分の1と極めて少ない。従って、本発明
のエアフィルタ用濾材によって、クリーンルーム等への
汚染ガスの進入を大幅に軽減し、また下流にケミカルフ
ィルタが配置される場合はケミカルフィルタへの負担を
格段に軽減して、ケミカルフィルタの寿命を大きく延ば
すことができる。また、比較例2及び比較例4におい
て、総有機物質の量が多くなった理由としては、比較例
2ではポリエチレンの融点130℃以上の温度での加熱
除去処理であったため、また比較例4では変性ポリエス
テルの融点130℃以上の温度での加熱除去処理であっ
たため、エアフィルタ用濾材表面のガス状汚染物質とな
る有機物質が除去されるよりは、むしろエアフィルタ用
濾材表面にガス状汚染物質となる有機物質が新たに生成
したためと考えられる。
【0057】
【発明の効果】本発明によるエアフィルタ用濾材、エア
フィルタユニット、及びその製造方法によって、アウト
ガス発生量の少ないエアフィルタ用濾材を提供すること
ができ、このエアフィルタ用濾材又はエアフィルタユニ
ットをクリーンルームなどで使用されるHEPAフィル
タやケミカルフィルタの前段で用いることにより、該H
EPAフィルタや該ケミカルフィルタの塵埃に対する負
担を少なくして寿命を延ばしつつクリーンルーム等への
汚染ガスの進入を軽減し、また該ケミカルフィルタの汚
染ガス除去に関する負担を少なくして寿命を延ばし、ク
リーンルームなどのフィルタシステムの運転維持経費の
削減に寄与することができる。また、本発明によるエア
フィルタ用濾材包装体により、エアフィルタ用濾材を使
用するまでに、該エアフィルタ用濾材にガス状汚染物質
が付着するのを防ぐことができる。更にまた、本発明に
よるエアフィルタユニット包装体により、エアフィルタ
ユニットを使用するまでに、該エアフィルタユニットに
ガス状汚染物質が付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クリーンルームなどのフィルタシステム
【図2】ダイナミックヘッドスペース法に用いる発生ガ
ス捕集装置の説明図
【符号の説明】
1 外調機 2 プレフィルタ 3 中性能フィルタ 4 エアワッシャ− 5 ケミカルフィルタ 6 HEPAフィルタ 7 ケミカルフィルタ 8 HEPAフィルタ 9 試料 10 チャンバー 11 ヘリウムガス 12 固体吸着剤 13 ガス吹出し口 14 試料
フロントページの続き Fターム(参考) 3B154 AA09 BA60 BB12 BF01 BF12 BF30 DA30 3L058 BE02 BF04 4D019 AA01 BA13 BB03 DA01 4L047 AA14 AB03 BA09 BB01 BB02 BB09 CB10 CC12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比色法による粒子捕集平均効率が20〜
    99%であるエアフィルタ用濾材であって、該エアフィ
    ルタ用濾材はメルトブロー法による繊維を少なくとも5
    重量%以上含み、且つ該エアフィルタ用濾材に含まれる
    繊維が熱接着性繊維によって結合しており、該エアフィ
    ルタ用濾材から発生する総有機物質の量(トルエン換算
    重量)を発生ガス推測法により23℃において算出し
    て、次に該エアフィルタ用濾材に含まれる熱接着性繊維
    とメルトブロー法による繊維合計の繊維の面密度100
    g/mあたりから発生する、単位時間における、該総
    有機物質の量を算出すると、1.0(pg/m・h
    r)以上19(μg/m・hr)以下であることを特
    徴とする中性能フィルタ用のエアフィルタ用濾材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のエアフィルタ用濾材が
    フィルタ枠に装着されていることを特徴とするエアフィ
    ルタユニット。
  3. 【請求項3】 エアフィルタ用濾材から発生する総有機
    物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により
    23℃において算出すると、エアフィルタユニットの間
    口面積の単位面積あたりから発生する、単位時間におけ
    る、該総有機物質の量が1.0(pg/m・hr)以
    上1000(μg/m・hr)以下であることを特徴
    とする請求項2に記載のエアフィルタユニット。
  4. 【請求項4】 (1)メルトブロー法による繊維を少な
    くとも5重量%以上含み且つ熱接着性繊維を含む繊維ウ
    ェブ、又は(2)メルトブロー法による熱接着性繊維を
    少なくとも5重量%以上含む繊維ウェブを該熱接着性繊
    維の融点以上の温度で加熱処理して繊維同士接着した
    後、さらに80℃以上で、且つ該熱接着性繊維の融点よ
    り10℃以下の温度の気体中で加熱処理することを特徴
    とするエアフィルタ用濾材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造方法によって得ら
    れたエアフィルタ用濾材をフィルタ枠に装着してエアフ
    ィルタユニットとすることを特徴とするエアフィルタユ
    ニットの製造方法。
  6. 【請求項6】 (1)メルトブロー法による繊維を少な
    くとも5重量%以上含み且つ熱接着性繊維を含む繊維ウ
    ェブ、又は(2)メルトブロー法による熱接着性繊維を
    少なくとも5重量%以上含む繊維ウェブを該熱接着性繊
    維の融点以上の温度で加熱処理して繊維同士接着し、エ
    アフィルタ用素材とした後、該エアフィルタ用素材を用
    いてエアフィルタユニット中間体とし、該エアフィルタ
    ユニット中間体を80℃以上で、且つ該熱接着性繊維の
    融点より10℃以下の温度の気体中で加熱処理すること
    を特徴とするエアフィルタユニットの製造方法。
  7. 【請求項7】 比色法による粒子捕集平均効率が20〜
    99%である中性能フィルタ用のエアフィルタ用濾材
    が、通気性を有しないシート状物によって包装されてな
    る包装体であって、該シート状物から発生する総有機物
    質の量(トルエン換算重量)を発生ガス推測法により2
    3℃において算出すると、該シート状物の単位面積あた
    り(1mあたり)から発生する、単位時間(1hr)
    における、該総有機物質の量が、該エアフィルタ用濾材
    から発生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を発
    生ガス推測法により23℃において算出すると、該エア
    フィルタ用濾材の単位面積あたり(1mあたり)から
    発生する、単位時間(1hr)における、総有機物質の
    量より少ないことを特徴とするエアフィルタ用濾材包装
    体。
  8. 【請求項8】 フィルタ枠に、比色法による粒子捕集平
    均効率が20〜99%である中性能フィルタ用のエアフ
    ィルタ用濾材が装着されたエアフィルタユニットが、通
    気性を有しないシート状物によって包装されてなる包装
    体であって、該シート状物から発生する総有機物質の量
    (トルエン換算重量)を発生ガス推測法により23℃に
    おいて算出すると、該シート状物の単位面積あたり(1
    あたり)から発生する、単位時間(1hr)におけ
    る、該総有機物質の量が、該エアフィルタ用濾材から発
    生する総有機物質の量(トルエン換算重量)を発生ガス
    推測法により23℃において算出すると、該エアフィル
    タ用濾材の単位面積あたり(1mあたり)から発生す
    る、単位時間(1hr)における、総有機物質の量より
    少ないことを特徴とするエアフィルタユニット包装体。
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