JP2002289897A - 集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システム - Google Patents

集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システム

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JP2002289897A
JP2002289897A JP2001084257A JP2001084257A JP2002289897A JP 2002289897 A JP2002289897 A JP 2002289897A JP 2001084257 A JP2001084257 A JP 2001084257A JP 2001084257 A JP2001084257 A JP 2001084257A JP 2002289897 A JP2002289897 A JP 2002289897A
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secondary optical
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Makoto Sasaoka
誠 笹岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 矩形入射面を有する一次光学系と、矩形射出
面を有する二次光学系を備えた集光型太陽電池モジュー
ルにおいて、太陽光線を光量むら及び色収差無くかつ効
率良く光起電力素子に集光し、特に小型で安価な集光型
太陽電池モジュール及び該集光型太陽電池モジュールと
追尾装置から構成する集光型太陽光発電システムを提供
する。 【解決手段】 矩形入射面を有する一次光学系408
と、一次光学系408で集めた太陽光線を入射面から略
全入射し、側面では全反射し、射出面から射出する二次
光学系108を備え、二次光学系108は側面が平滑性
を有する中実かつ均一媒質からなる透明材料で構成され
ており、かつ、矩形の射出面203を有し、この矩形射
出面203の直後に光起電力素子204を少なくとも備
えることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽追尾装置に搭
載して使用する集光型太陽電池モジュール、及び該集光
型太陽電池モジュールを用いた集光型太陽光発電システ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、安全で環境に負荷をかけない
エネルギー源として太陽電池モジュールを利用した太陽
光発電システムが注目されてきているが、近年では火力
発電等の従来型の発電手段に対して経済性の観点からも
競争力を持つために、より高効率で安価な太陽電池モジ
ュールの開発に重点が置かれてきている。
【0003】こうした観点から近年注目を集めつつある
のが集光型太陽電池モジュール及び該集光型太陽電池モ
ジュールと太陽追尾装置から構成される集光型太陽光発
電システムである。通常の太陽光発電システムでは太陽
電池モジュールそのものは一定位置に固定されている
が、言うまでもなく太陽と地球との関係は時々刻々と変
化するものであるので、固定された太陽電池モジュール
と太陽との相対角度が最適な角度になるのは一瞬に過ぎ
ず、その他の時刻は不適切な角度で太陽エネルギーを受
け取っているとも言える。このことは、太陽電池モジュ
ール側からみた太陽の方角(いわゆる時角)だけでなく
太陽経路の季節変化(赤緯の変化)に関しても同様であ
る。また、太陽電池モジュール表面の反射率も太陽光線
の入射角度が太陽電池モジュールの法線から離れるに従
って大きくなるため、こうした面でも太陽電池モジュー
ルの受光角度が不適切であるための損失は発生してい
る。このような損失は、本来受け取るべきエネルギーの
20〜30%にもなると言われている。
【0004】このような受光角度の不適切さを解消する
ためには、太陽電池モジュールが常に太陽に対して最適
な角度を維持すればよく、こうした考え方から太陽追尾
型の太陽光発電システムが考案されており、太陽追尾を
行うことで年間の発電量は25%〜40%向上すること
が見込まれる。
【0005】また、同様に発電単価の低減を目指して太
陽追尾型の集光型太陽光発電システムも研究されてい
る。集光型太陽光発電システムによれば、太陽光発電シ
ステムを構成する集光型太陽電池モジュールの構成部品
のうち最も高価である光起電力素子を大幅に節約できる
ため、極めて大きなコスト削減が可能となる。
【0006】また、一般に言われているように、光強度
が大きくなることによって発生電圧が高まるために、入
射エネルギーに対する出力エネルギーの割合、即ち変換
効率が向上し、同一面積に光起電力素子を敷き詰めた場
合に比較すると大きな出力が得られることになる。
【0007】こうした効果を十分に得るためには高倍率
で集光を行う集光型太陽光発電システムを構築する必要
があり、その場合には太陽光線を効率よく集光する光学
系を有した集光型太陽電池モジュールは不可欠になる。
【0008】従来、太陽光線を集光する手段としては図
13に示すようにフレネルレンズ201の略焦点距離の
位置に、光起電力素子204をフレネルレンズ201に
対し平行に設け、フレネルレンズ201上に入射した太
陽光線107を集光して光起電力素子204に入射する
ようになっている。
【0009】しかしながら、この方法によればフレネル
レンズ201の球面収差や色収差等のためにフレネルレ
ンズ201の口径を大きくしていくにしたがい太陽光線
107を一点に集光できず、結果としてフレネルレンズ
201の口径を大きくできないといった制限があった。
また、フレネルレンズ201の球面収差や色収差等のた
め集光した太陽光線107を光起電力素子204に均一
に照射できず光起電力素子204の効率低下、場合によ
って局部のみの温度上昇を招き、結果として光起電力素
子204にダメージを与えた。また、光起電力素子20
4に多重接合構造のもの(数個の異なる材料で作ったp
n接合を光の進行方向に重ねて配列したもの)を使用し
た場合、色収差により光起電力素子204上の波長分布
にばらつきが生じ、光起電力素子204の変換効率が大
幅に低下した。
【0010】さらには、四角形あるいは円形のフレネル
レンズ201に太陽光線が照射するエリア302の形状
は焦点近傍では共に略円形であり、四角い光起電力素子
204を用いた場合は図13に示すように太陽光線が照
射するエリア302と光起電力素子204が完全に重な
らず有効に太陽光線107を利用できなかった。
【0011】こうした問題を解決するために、フレネル
レンズ等の一次光学系で集光した太陽光線を光起電力素
子前面に配された二次光学系で再び光起電力素子に導く
といった手段が採られるようになった。
【0012】二次光学系としては、内面鏡や光ファイバ
や円錐台形状のレンズ等が用いられている。
【0013】内面鏡を利用した例としては、特開平11
−307803号公報に、二次光学系として大径端を受
光面側とした先細り内面鏡の従来例が記載されている。
この構造では二次光学系に太陽光線が浅い角度で入射し
た際など、内面鏡に入射した太陽光線の一部が入射側に
出て行ってしまうといった場合もあり効率が悪かった。
一般に内面鏡の反射材として用いられるアルミあるいは
銀の反射率は85〜95%(可視領域)であり、太陽光
線が内面鏡に数回反射して光起電力素子に導かれる際、
太陽光線のエネルギーは内面鏡に反射する度に低下し太
陽光線を効率良く光起電力素子に導けないといった問題
もあった。また、反射材の劣化等も考慮する必要があ
る。
【0014】光ファイバを利用した例では、特開平7−
335004号公報や特開平9−54215号公報等が
提案されているが何れも製造コストが高く、また大型化
が難しく、また光ファイバの構造上、入射面における太
陽光線の入射許容角度が狭く、結果として光量むら及び
色収差を無くすには一次光学系の焦点距離及び光ファイ
バの長さを十分に採る必要があり集光型太陽電池モジュ
ールとして大型になるといった問題があった。さらに、
それだけでなく、それを追尾する追尾装置も大型にする
必要があるといった問題もあった。
【0015】円錐台形状のレンズを利用した例として
は、特開平3−171614号公報に、二次光学系とし
て大径端面を受光端面とした円錐台形状のレンズを光起
電力素子の表面に載置した例が記載されている。この構
造では、二次光学系に太陽光線が浅く入射した際など、
入射した太陽光線の一部が入射側に出て行ってしまうと
いった場合もあり効率が悪かった。
【0016】また、上記の何れの方式も、太陽光線を光
量むら及び色収差無くかつ効率良く光起電力素子に集光
し、特に小型で安価な集光型太陽電池モジュールを提供
するまでに至っていなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明に
おける目的は、矩形入射面を有する一次光学系と、矩形
射出面を有する二次光学系を備えた集光型太陽電池モジ
ュールにおいて、太陽光線を光量むら及び色収差無くか
つ効率良く光起電力素子に集光し、特に小型で安価な集
光型太陽電池モジュール及び該集光型太陽電池モジュー
ルと追尾装置から構成する集光型太陽光発電システムを
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の認識に
基づいて発案されたものである。
【0019】即ち、本発明の集光型太陽電池モジュール
は、矩形入射面を有する一次光学系と、一次光学系で集
めた太陽光線を入射面から略全入射し、側面では全反射
し、射出面から射出する二次光学系を備え、二次光学系
は側面が平滑性を有する中実かつ均一媒質からなる透明
材料で構成されており、かつ、矩形の射出面を有し、前
記矩形射出面の直後に光起電力素子を少なくとも備える
ことを特徴とする。
【0020】かかる構成によれば、一次光学系で集光さ
れた太陽光線は二次光学系の入射面から入射し、二次光
学系の入射面から入射した太陽光線のうち側面に到達し
たものは、平滑性を有する側面において全反射を繰り返
すことで太陽光線は混和され、太陽光線は光量むら及び
色収差が低減した状態で光起電力素子に導くことがで
き、光量むら及び色収差が起因する光起電力素子の効率
の低下を防ぐことができる。
【0021】なお、本発明における一次光学系における
入射面とは、光軸に垂直な面内の、一次光学系に有効に
太陽光線が入射する領域を示す。
【0022】また、本明細書で言う均一媒質とは、屈折
率が場所や伝搬方向によらず一様な媒質を言う。
【0023】また、本明細書で言う略全入射とは、一次
光学系の収差等によって二次光学系の入射面に太陽光線
を100%集光することが困難なことや、太陽光線の入
射時の反射ロス等を考慮すると90%程度の効率で太陽
光線が入射する状態を言う。
【0024】本発明の集光型太陽電池モジュールにおい
ては、光起電力素子の形状が二次光学系の射出面形状と
同形状であることが好ましい。かかる構成によれば、二
次光学系の射出面から射出する太陽光線を効率よく光起
電力素子に導くことができ、矩形であるため最も低コス
トで光起電力素子を製造できる。
【0025】また、一次光学系と二次光学系の光軸は同
一直線上にあり、一次光学系の矩形入射面と二次光学系
の矩形射出面を、前記光軸と垂直な面に光軸に沿って投
影した場合に、前記矩形入射面の辺と前記矩形射出面の
辺が平行ではなく、かつ、それらのなす最小角度が0度
でないことが好ましい。かかる構成によれば、二次光学
系内での太陽光線の混和がより効果的に行われ、結果と
してより短い二次光学系長で太陽光線を光量むら及び色
収差無く光起電力素子に導くことができる。
【0026】すなわち、図11に示すように、矩形入射
面508を有する一次光学系408と、矩形射出面50
9を有する二次光学系108を備えた集光型太陽電池モ
ジュールにおいて、一次光学系408内の回転対称領域
505、すなわち一次光学系408の光軸504を中心
とする内接円507内においては、内接円507内に入
射する太陽光線は、一次光学系に対する二次光学系の回
転角がいかなる回転角を有していても二次光学系108
内で太陽光線が混和する状態は一定である。しかし、一
次光学系408内の非回転対称領域506、すなわち一
次光学系408の光軸504を中心とする内接円507
外においては、内接円507外に入射する太陽光線10
7は、二次光学系108の一次光学系408に対する回
転角によって太陽光線107が混和する状態が変化す
る。
【0027】なお、本明細書においては、一次光学系4
08と二次光学系108の光軸504は同一直線上にあ
って、一次光学系408の矩形入射面508と二次光学
系108の矩形射出面509を、前記光軸504と垂直
な面に光軸504に沿って投影した場合に、前記矩形入
射面の辺601と前記矩形射出面の辺602が平行では
なく、かつ、それらのなす最小角度(図10(a)中の
角度A)を、『一次光学系に対する二次光学系の回転
角』あるいは『二次光学系の回転角』、あるいは単に
『回転角』と呼称し、そのとりうる最大値は45度であ
る。
【0028】また、ここで言う光量むら及び色収差が無
くなった状態とは、光起電力素子の発電に寄与する波長
域の太陽光線が、光起電力素子の発電性能に影響しない
光量むら及び色収差になった状態を言う。
【0029】図10は上記を模式的にあらわしたもので
あり、一次光学系408の非回転対称領域506、すな
わち一次光学系408の内接円507外からの太陽光線
107が一次光学系408により集光され二次光学系1
08の入射面から入射し、二次光学系108内の側面で
全反射を繰り返しながら混和していく状態を示してい
る。
【0030】図10(a)は、集光型太陽電池モジュー
ルを上面から見た図であり、一次光学系に対する二次光
学系の回転角を夫々0度及び45度とした。
【0031】ここで図10(b)の左図に示すように、
二次光学系108の回転角が0度の場合、一次光学系の
非回転対称領域から入射した太陽光線107は、二次光
学系108の入射面の対角線方向から入射するため一度
側面で全反射した太陽光線107が次に側面に達するに
は長い二次光学系長を必要とし結果として図10(c)
の左図に示す様に十分に太陽光線107の混和が行われ
ない(図10(c)の左図は、二次光学系の回転角0度
の場合、太陽光線107が二次光学系108内を3〜4
回全反射した後に射出面に到達する様子をあらわ
す。)。
【0032】一方、二次光学系108の回転角が45度
の場合、図10(b)の右図に示すように一次光学系の
非回転対称領域から入射した太陽光線107は、二次光
学系108の入射面の辺方向から入射するため一度側面
で全反射した太陽光線107が次に側面に達するには二
次光学系の回転角0度の際ほど二次光学系長を必要とせ
ず、結果として図10(c)の右図に示す様に太陽光線
107の混和がより積極的に行われる(図10(c)の
右図は、二次光学系の回転角45度の場合、太陽光線1
07が二次光学系108内を5回全反射した後に射出面
に到達する様子をあらわす。)。
【0033】また、図11乃至図12は矩形の一次光学
系408と四角柱(射出面が矩形)からなる二次光学系
108とを組み合わせた一例であり、二次光学系108
の回転角を0〜45度もたせて配したものである。図1
2のグラフにおいて横軸は二次光学系の長さ、縦軸は光
量むら(平均光量に対する誤差)をあらわす。ここで、
ある光起電力素子の発電性能に影響しない光量むらを±
30%としたとき、回転角25度を有した二次光学系で
は全長約40mmあれば太陽光線を十分混和できるのに
対し、回転角0度の場合は二次光学系の長さを約80m
m必要とする。以上より、使用する光起電力素子の種類
毎に発電性能に影響しない光量むらが存在するため、そ
の光量むらに合った二次光学系の最適回転角を設定する
ことで集光型太陽電池モジュールの小型化を実現でき
る。
【0034】また、図14は図12のグラフを横軸が回
転角、縦軸が太陽光線の光量むらを無くすのに必要な二
次光学系の長さとしたものであり、光起電力素子の発電
性能に影響しない光量むらを25%、30%、35%、
40%と設定した。本図からも分かるように、回転角を
5度〜45度、より好ましくは25〜45度とすること
で、より短い二次光学系長で太陽光線を光量むら及び色
収差無く光起電力素子に導くことができる。
【0035】なお、図12及び図14のグラフは一例で
あり、一次光学系及び二次光学系の大きさ、及び一次光
学系の焦点距離及び一次光学系と二次光学系間の距離等
によってその傾向は若干異なる。また、上記では光量む
らについてのみ述べたが、色むらに関しても光起電力素
子の発電に寄与する各波長毎の太陽光線において同様の
実験を行えば、太陽光線を光量むら無く光起電力素子へ
導くための二次光学系の最適回転角及び最短全長を導く
ことができる。
【0036】また、一次光学系の入射面、あるいは二次
光学系の射出面の形状が、円形状である場合は以上の様
な効果は発生しない。
【0037】以上の説明から分かるように、本発明の集
光型太陽電池モジュールにおいては、前記最小角度及び
二次光学系の全長が、光起電力素子に到達する太陽光線
の光量むら及び色収差が光起電力素子の発電性能に影響
しない最小角度及び全長であることが好ましい。かかる
構成によれば、光起電力素子において、より高効率に太
陽エネルギーを電気エネルギーに変換することができ
る。
【0038】また、二次光学系の入射面より後部の形状
を、柱状あるいは射出面から入射面に至り先細りに形成
されていることが好ましい。かかる構成によれば、二次
光学系の入射面から入射した太陽光線が全反射を繰り返
していくうちに、再び入射面方向へ戻るといったエネル
ギーロスを防止できる。
【0039】また、二次光学系と光起電力素子との間に
透過性を有する透過性部材を配し、透過性部材の屈折率
が二次光学系の屈折率より大きいことが好ましい。かか
る構成によれば、二次光学系内を進んできた太陽光線が
二次光学系射出面から射出する際の反射ロスを抑え、効
率良く光起電力素子に導くことができる。
【0040】また、二次光学系の射出面と光起電力素子
が密着していることも好ましい。かかる構成によれば、
光起電力素子の表面に表面層を有している場合その屈折
率は2〜3であるのに対し、二次光学系として用いるガ
ラスや樹脂等の屈折率は1.4〜1.9と低いため、二
次光学系内を進んできた太陽光線をより効率よく光起電
力素子に導くことができる。
【0041】また、二次光学系側面の二次光学系を保持
する個所に反射膜を有していることが好ましい。かかる
構成によれば、二次光学系側面の二次光学系を保持する
個所では太陽光線が全反射しないためロスが発生する
が、反射膜により太陽光線を反射することで当部分での
ロスを最小限に抑えることができる。
【0042】また、二次光学系の側面を覆う形で、二次
光学系の側面に接触しない状態で保護層を有しているこ
とが好ましい。かかる構成によれば、長期的な使用下に
おいて二次光学系の側面にごみや汚れが付着し側面での
反射率が低下するといったトラブルを防げ、長期にわた
って二次光学系の性能を維持することができる。
【0043】また、本発明の集光型太陽光発電システム
は、上記本発明の集光型太陽電池モジュールと太陽追尾
装置を組み合わせたことを特徴とする。
【0044】本発明の集光型太陽光発電システムによれ
ば、太陽光線を光量むら及び色収差が無くかつ効率良く
光起電力素子に集光し、特に小型で安価な集光型太陽電
池モジュールを備えた追尾型の集光型太陽光発電システ
ムとなる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明は、光起電力素子、太陽か
らの放射された太陽光線を集光する一次光学系、上記集
光された太陽光線を光起電力素子に導く二次光学系から
構成される集光型太陽電池モジュール、さらには上記集
光型太陽電池モジュールと追尾装置から構成される集光
型太陽光発電システムである。以下に本発明の各構成要
素を詳述する。
【0046】(集光型太陽電池モジュール)集光型太陽
電池モジュールとは、受光側の最表面に位置し太陽から
の太陽光線を最初に入射する一次光学系、一次光学系で
集光した太陽光線を屈折および全反射を利用して光起電
力素子に導く二次光学系、二次光学系の直後に配された
光起電力素子、一次光学系および二次光学系および光起
電力素子を保持あるいは外環境からの保護目的とした筐
体から構成される。また、上記構成要素の各々一つずつ
からなる集光型太陽電池モジュールの他に、複数の光起
電力素子と複数の二次光学系とが一つの筐体と一つの一
次光学系(複数の一次光学系が一体成型により作成され
ている。)によって構成されるユニット型の集光型太陽
電池モジュールもある。また、光起電力素子に防水処理
や絶縁処理等の外環境からの影響を考慮した仕様になっ
ていれば、別途外環境から光起電力素子を保護する筐体
等は必要としない。また、一次光学系の一部で二次光学
系や光起電力素子を保持する構造となっていれば、別途
それらを保持するための筐体等を必要としない。
【0047】また、集光型太陽電池モジュールにおい
て、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する部
分である光起電力素子は、光起電力素子を接続して電気
エネルギーを取り出す銅回路板を有した回路基板、回路
基板から集光型太陽電池モジュール外へ電気エネルギー
を取り出すリード線、回路基板の裏面に取り付け光起電
力素子の温度上昇を抑えるヒートシンクと併用するのが
一般的である。また、上記のユニット型の集光型太陽電
池モジュールの場合、複数の光起電力素子をモジュール
内で適宜直列あるいは並列接続してリード線にて集光型
太陽電池モジュール外へ電気エネルギーを取り出しても
良い。
【0048】また、上記の構成に関わらず同様の機能を
実現する構成はすべて含みうる。
【0049】(集光型太陽光発電システム)集光型太陽
光発電システムとは、上記集光型太陽電池モジュールと
追尾装置を組み合わせ発電を行うシステムである。具体
的には、上記集光型太陽電池モジュールを一つあるいは
複数、追尾装置に機械的に接続して使用する。この場
合、補助的に集光型太陽電池モジュールを保持するため
の保持部材、回転自在に支持するための支持機構、追尾
装置の駆動力を伝達するための伝達機構が必要であれば
必要に応じて適宜導入する。また、追尾装置には太陽経
路を予測しそれに応じて追尾装置を制御する制御部、晴
天時に太陽の位置を検出するためのセンサ等が一般には
含まれる。また、集光型太陽電池モジュールにて発電さ
れた直流電力はそのまま利用されたり、蓄電池に一度蓄
電し必要に応じて利用したり、直流電力を電力変換装置
により交流電力に変換した後に利用される。
【0050】また、上記の構成に関わらず同様の機能を
実現する構成はすべて含みうる。
【0051】(一次光学系)一次光学系とは、太陽から
放射された太陽光線を集光し、二次光学系の入射面に導
くことができれば良く、フレネルレンズ、平凸レンズ、
両凸レンズ、プリズム、複合レンズ等の屈折を利用して
集光を行うレンズ、あるいは凹面鏡等の反射を利用して
集光を行う反射鏡、あるいはこれらを組み合わせたもの
が考えうるが、上に挙げたものには限定されず同様の機
能を実現するものはすべて含みうる。また、一次光学系
は集光型太陽電池モジュールの最表面に位置し、一般に
は一次光学系の他に、集光レンズやレンズ、一次光学素
子、一次レンズ、反射鏡等と呼んでいる。
【0052】一次光学系を設計する上では、光起電力素
子の発電に寄与する波長域の太陽光線が二次光学系の入
射面に入射する必要がある。
【0053】一次光学系の開口部の形状としては、単位
面積当りの発電量を考慮すると、隙間無く配列できる矩
形が好ましい。
【0054】また、一次光学系を非球面で成型したもの
や、アロマティックレンズ(2枚の光学特性の異なるレ
ンズを張り合わせたもの)にすることで球面収差が略無
くなり、太陽光線を一点に集光できる。また、一次光学
系にフレネルレンズを使用した場合は、その凹凸面を曲
面あるいは非球面から近似される面で形成することで同
効果が得られる。また、一次光学系に、アクロマティッ
クレンズ、異常部分分散レンズ、回折光学素子等を使用
することで色収差を略無くすことができる。但し、色収
差に関しては二次光学系の混和効果により無くすことが
できるため、一次光学系としては光起電力素子の発電に
寄与する波長域の太陽光線を二次光学系入射面に導けれ
ば良い。
【0055】一次光学系を構成する材料としてはガラ
ス、ゴム、樹脂等の透過性有機材料、透過性結晶、ある
いはこれらを組み合わせたもの、あるいは空気や液体等
を利用した空気レンズや液体レンズ等も考えられる。
【0056】また、材料としては、外環境にさらされる
ため耐侯性に優れた材料が好ましく、特に紫外線による
劣化及び雨や温湿度による劣化の少ない材料が好まし
い。
【0057】また、光起電力素子の発電に寄与する波長
域の透過率が高いことが好ましく、この透過率が90%
以上あることがより好ましい。また、透過波長に選択性
のある材料を利用することや、同機能を有する添加剤を
材料に添加することで、材料劣化の原因となる短波長域
の太陽光線をカットすることもできる。また、一次光学
系の表面や裏面に、各種コート層を設けることで反射率
の低減、紫外線のカット、一次光学系の耐摩擦性等の機
能を付加することもできる。また、高屈折率材料を使用
することで、より短い焦点距離で太陽光線を集光できる
ため、結果として集光型太陽電池モジュールの大きさを
小さくすることができる。
【0058】(二次光学系)二次光学系とは、一次光学
系で集光した太陽光線を入射面では略全入射し側面では
全反射し射出面で射出し、二次光学系の直後に配された
光起電力素子に光量むら及び色収差が無く太陽光線を導
くことができれば良い。形状としては、射出面の形状
が、矩形の光起電力素子(最も量産性が高い形状)と同
形状である角柱あるいは角錐台が最適であり、一般には
これらを二次光学系、二次光学素子、二次レンズ、光導
体等と呼んでいる。
【0059】また、この様に射出面の形状を光起電力素
子形状と略同形状とすることで、効率良く太陽光線を光
起電力素子に導くことができる。
【0060】また、二次光学系の入射面より後部の形状
を、柱状あるいは四角錐台のような射出面から入射面に
至り先細りの形成とすることで、二次光学系の入射面に
太陽光線が浅い角度で入射した際も、入射した太陽光線
の一部が二次光学系内部で反射し入射面側に出て行って
しまうといったことなく光起電力素子に導くことができ
る。
【0061】二次光学系の利点としては、例えばガラス
で作成した角柱を用いた際など、二次光学系の入射面に
いかなる角度で入射した太陽光線も入射面では略全入射
し、側面で全反射もしくは二次光学系内を直進し、射出
面に導くことができる。但し、入射面及び射出面では反
射により太陽光線のエネルギーロスが発生するため、反
射防止膜等を設け上記の反射によるエネルギーロスを低
減することが好ましい。
【0062】また、二次光学系側面の二次光学系を保持
する個所では太陽光線が全反射しないためロスが発生す
る。そのため、二次光学系側面の二次光学系を保持する
個所には予め銀蒸着やアルミ蒸着等の反射膜を設け、さ
らには保持に要する面積を可能な限り小さくすることで
当部分でのロスを最小限に抑えることができる。
【0063】また、通常は二次光学系の全長を長くする
ことで光量むら及び色収差は無くなっていくため(図4
参照。詳しくは後述する。)、二次光学系の全長を決定
する上では、二次光学系材料の屈折率および諸特性等を
考慮して、光起電力素子の発電性能に影響しない光量む
ら及び色収差になる全長にすることが好ましく、これに
より光起電力素子を高効率で使用することができる。
【0064】二次光学系を構成する材料としてはガラ
ス、ゴム、樹脂等の透過性有機材料、透過性結晶、ある
いはこれらを組み合わせたもの、あるいは空気や液体等
を利用した空気レンズや液体レンズ等も考えられる。ま
た、材料としては、光起電力素子の発電に寄与する波長
域の透過率が高いことが好ましく、この透過率が90%
以上あることがより好ましい。即ち、光起電力素子の発
電に寄与する波長域のうち透過率の低い波長域は、二次
光学系長を長くすることでエネルギーロスが大きくなる
ため、材料選択時に十分考慮する必要がある。また、透
過波長に選択性のある材料を利用したり、同機能を有す
る添加剤を材料内に混ぜることで、材料劣化の原因とな
る短波長域をカットすることもできる。
【0065】また、高屈折率材料を使用することで、よ
り短い二次光学系長で太陽光線を混和できるため、結果
として集光型太陽電池モジュールの大きさを小さくする
ことができる。
【0066】また、二次光学系へは一次光学系で集光さ
れた太陽光線が入射するため、二次光学系の温度上昇が
考えられるため、耐熱性の優れた材料を用いることが好
ましい。耐熱性に優れ材料コストの安いものとしてはガ
ラスが挙げられる。ガラスとしては、一般に太陽電池モ
ジュールの表面材として用いられる白板ガラスや、各種
光学ガラスを用いることができる。
【0067】また、二次光学系の側面で太陽光線が全反
射する反射率は理論的には100%だが、表面の平滑性
や、ごみや汚れの付着により大きく低下するため、側面
の表面粗さが小さいことが好ましく、鏡面研磨等の処理
がされていることがより好ましい。また、長期的な使用
下において二次光学系の側面へのごみや汚れが付着する
ことでも上記の反射率が大きく低下するため、その防止
策として、二次光学系の側面に接触しない状態で保護層
等を設けることで二次光学系の性能を長期にわたって維
持することができる。
【0068】(光起電力素子)光起電力素子とは、太陽
エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であり、そ
れらが単体あるいは複数で太陽光線を受けて電気出力を
発生するよう構成された部材で、光電変換素子としては
シリコン、ガリウム砒素、カドミウムテルル、銅インジ
ウムセレナイド、等の光電変換素子が用いうるが、上に
挙げたものには限定されず、同様の機能を実現するもの
はすべて含みうる。一般には光起電力素子の他に、太陽
電池、太陽電池セル、セル、光電変換素子、光起電力素
子セル等と呼ばれている。
【0069】また、光起電力素子の形状としては最も量
産性の高い矩形が好ましい。
【0070】また、光起電力素子は、二次光学系の直後
に配される。具体的には、二次光学系と光起電力素子と
の間に透過性を有する透過性部材を配し、透過性部材の
屈折率が二次光学系の屈折率より大きいものを使用する
手段や、二次光学系の射出面と光起電力素子を密着する
手段等で、二次光学系内を進んできた太陽光線を効率良
く光起電力素子に導くことができる。二次光学系の射出
面と光起電力素子とを密着する手段としては、射出面と
光起電力素子とを圧接する手段や、射出面上に光起電力
素子を形成する手段等がある。また、透過性部材に弾性
を有するものを使用することで二次光学系と光起電力素
子とが干渉することによって光起電力素子表面に傷を与
えることを防ぐことができる。
【0071】
【実施例】以下に本発明の実施例について記載するが、
本発明の実質的内容は下記実施例の具備する具体的な記
述に限定されるものではない。
【0072】(実施例1)図1乃至図5に本発明の第1
の実施例を示す。本図は集光型太陽光発電システム及び
集光型太陽電池モジュールに関連する部分を模式的に表
示したものである。
【0073】図1において、101は集光型太陽光発電
システムであり、複数の集光型太陽電池モジュール10
2と追尾装置103から構成している。追尾装置103
は、カレンダーと時計機能を有した制御装置及び太陽位
置検出センサ104により、太陽位置を捉え太陽を追尾
する動作が可能となっている。
【0074】追尾の方式としては、天文台の望遠鏡や高
射砲のように、仰角と方位角を独立の回動軸のまわりに
回動させて追尾を行なう方式や、予め太陽経路の季節変
化(赤緯の変化)に見合った仰角を設定した後、時角の
みで追尾を行う方式等があるが、どちらでも同様に扱え
る。また、追尾装置103の追尾精度に関しては集光型
太陽電池モジュール102の集光倍率が高くなるほど高
精度なものが求められる。
【0075】また、複数の集光型太陽電池モジュール1
02で発電された直流電力は、適宜直列あるいは並列接
続しリード線207により集光型太陽電池モジュール外
へ出力され、そのまま利用されたり、蓄電池に一度蓄電
し必要に応じて利用したり、直流電力を電力変換装置に
より交流電力に変換した後に利用する。
【0076】集光型太陽電池モジュール102は、ボル
ト・ナットにより追尾装置103の保持部材106に固
定した。固定手段としては、ねじやスナップフィット、
両面テープ、固定バンド、溶接、かしめ等のその他接合
手段も使用できるが、メンテナンス性を考慮し脱着可能
な接合手段であることが好ましい。
【0077】集光型太陽電池モジュール102は、図1
乃至図3に示すように、太陽光線107を集光し二次光
学系108の入射面109に導くためのフレネルレンズ
201(一次光学系)と、フレネルレンズ201で集光
した太陽光線107を入射面109では略全入射し側面
202では全反射し射出面203から射出し二次光学系
108の直後に配された光起電力素子204に光量むら
及び色収差が無く太陽光線107を導く二次光学系10
8と、二次光学系108の直後に配され二次光学系10
8から導かれた太陽光線107を直流電力に変換するた
めの光起電力素子204と、光起電力素子204で発電
した直流電力をプラス極とマイナス極に分配しかつ光起
電力素子204を保持する回路基板205と、回路基板
205で分配された直流電力をリード線207に導くた
めの電極タブ206と、集光型太陽電池モジュール10
2で発電した直流電力を集光型太陽電池モジュール外へ
出力するためのコネクタ303付きのリード線207
と、光起電力素子204の発熱を回路基板205〜熱伝
導性シート208〜ヒートシンク209経由して外気へ
放熱する冷却構造と、以上の構成要素を保持し外環境か
ら光起電力素子204を保護する筐体301から構成さ
れる。
【0078】フレネルレンズ201は、アクリル樹脂を
用い射出成型により作成し、二次光学系108の入射面
109に太陽光線107を効率よく導く設計とした。ま
た、フレネルレンズ201は光学レンズの中では、球面
収差を比較的容易に取り除け、焦点距離を短く、口径を
大きく、かつ軽量で、かつ安価に大量生産できるという
メリットを有する。また、フレネルレンズ201内には
紫外線吸収剤を添加し紫外線による材料劣化を防止し
た。また、フレネルレンズ201の表裏には反射防止膜
を設け、太陽光線107がフレネルレンズ201に入射
あるいは射出する際のエネルギーロスの低減を図った。
【0079】二次光学系108は、鉄分含有量が少なく
光起電力素子の発電に寄与する波長域の透過率が高い白
板ガラスの板材をカット及び研磨することで、二次光学
系108の射出面203の形状が光起電力素子204と
略同形状となる四角柱状に作成した。
【0080】ガラスを用いた二次光学系108の作成方
法としては、上記の他に、撰塊されたガラスを適当な大
きさに切断した後、再度加熱してプレス、その後研磨す
る方法や、溶解されたガラスを高温で溶けた状態のまま
プレスしレンズ形状に成型した後、研磨する方法や、溶
解した低融点ガラス材料を低温度でプレスするのみで作
成できる研磨不要の作成方法等がある。
【0081】また、二次光学系108の入射面109及
び射出面203での反射によるロスが懸念されるため、
反射防止膜を設けた。
【0082】二次光学系108と光起電力素子204間
には、二次光学系108と光起電力素子204とが干渉
することによって光起電力素子204表面に傷を与える
のを防ぐために透過性及び耐熱性の有する透過性部材3
04としてシリコーンゴムを配した。透過性部材304
としては、シリコーンゴムの他、フッ素ゴム、アクリル
ゴム、ウレタン樹脂、EVA等を用いることができる
が、耐紫外線性及び耐熱性、屈折率、透過率を考慮して
適宜選択する必要がある。また一般にこれらの材料は、
二次光学系として用いるガラスに対し屈折率が低く、二
次光学系の射出面での反射によるエネルギーロスが懸念
されるため、二次光学系の射出面に反射防止膜を設ける
等の対策もしくは軽減策が必要である。
【0083】光起電力素子204には、結晶シリコン半
導体を用いた。この光起電力素子204は集光型太陽電
池モジュール用に開発されたもので、非受光面側に集電
電極および該集電電極から集めた直流電力を光起電力素
子外部へ出力するための電極305(正極/負極)を有
しており、受光面側は全領域が発電部となっている。
【0084】回路基板205は、熱伝導率が高く絶縁体
であるセラミック基板上に銅回路板306(正極/負
極)を直接接合した。セラミック基板としては、アルミ
ナ板やAlN基板等が使用できる。
【0085】熱伝導性シート208としては、一般に半
導体とヒートシンクを接合する際に伝熱を目的として使
用される熱伝導性ゴムシートやシリコーンコンパウン
ド、シリコーングリス等が使用できる。
【0086】ヒートシンク209としては、アルミの押
出し材を適宜使用寸法に切断して使用した。また、冷却
性能及び耐侯性の向上を目的として表面にブラックアル
マイト処理を施した。
【0087】筐体301は、アルミ合金板をプレス加工
及び折り曲げ加工及び溶接により接合加工することで作
成した。また、表面には耐侯性向上を目的として表面に
アルマイト処理を施した。筐体301の材料としては、
アルミ合金板を加工したもの他に、各種金属及び非金属
板を加工したものや耐侯性を有した樹脂により筐体を成
型したもの等が使用できる。
【0088】以下に、上記構成要素を用いて集光型太陽
電池モジュール102を作成した手順について説明す
る。
【0089】まず、光起電力素子204及び電極タブ2
06をリフローにより回路基板205上の銅回路板30
6に半田付けした。この時、光起電力素子204は、二
次光学系108の射出面203に相対する向きで配し
た。
【0090】次に、該回路基板205を熱伝導性シート
208を介してヒートシンク209にねじにより固定し
た。
【0091】次に、筐体301に該ヒートシンク209
をねじ止めにより固定した。この際、筐体301に設け
た電極タブ206を取り出すための孔より電極タブ20
6を取り出し、該孔に止水処理を施した。そして該電極
タブ206にコネクタ303付きのリード線207を接
続した。
【0092】次に、フレネルレンズ201の焦点近傍に
二次光学系108の入射面109が位置し、かつ二次光
学系108の回転角が45度となる様に、二次光学系1
08の側面202に設けた二次光学系保持部307を筐
体301の一部で拘持した。この際、二次光学系108
の射出面203を透過性部材304を介して光起電力素
子204に当接した。
【0093】最後に、フレネルレンズ201をゴム製ブ
ッシング308を介して筐体301の開口部に固定し
た。また、予め二次光学系保持部307にはアルミ蒸着
により反射膜309を設けておいた。
【0094】以下に、上記集光型太陽電池モジュール1
02を用いて集光型太陽光発電システム101を作成し
た手順について説明する。
【0095】上記の方法で作成した複数の集光型太陽電
池モジュール102の集光型太陽電池モジュール保持部
401を追尾装置103上の保持部材106にボルト・
ナットで固定した。そして、複数の集光型太陽電池モジ
ュール102からのリード線207を、適宜直列あるい
は並列接続し外部出力線105により外部へ出力し、適
宜、そのまま利用したり、蓄電池に一度蓄電し必要に応
じて利用したり、直流電力を電力変換装置により交流電
力に変換した後に利用した。
【0096】以上の様に作成した集光型太陽電池モジュ
ール102は、一次光学系であるフレネルレンズ201
により太陽光線107を二次光学系108の入射面10
9近傍に集光し、二次光学系108の入射面109から
入射した太陽光線107のうち側面202に到達したも
のは、側面202で高効率で全反射するため、二次光学
系108内の太陽光線107は混和され、太陽光線10
7を光量むら及び色収差が無くかつ効率良く光起電力素
子204に導くことができた(図4参照。図4は二次光
学系108内を進む太陽光線107が、入射面109か
らの距離が長くなるほど、光量むらが無くなって行く様
子をあらわす。)。
【0097】また、二次光学系が回転角を有して配され
ているため、二次光学系108内での太陽光線107の
混和がより効果的に行われ、結果としてより短い二次光
学系長で太陽光線を光量むら及び色収差無く光起電力素
子204に導くことができた。
【0098】また、二次光学系側面202の二次光学系
を保持する二次光学系保持部307に反射膜309を設
けたため、当部分では全反射が起こらないためロスが発
生するものの、そのロスを最小限に抑えることができ、
かつ強固に二次光学系108を保持することができる。
さらには、反射膜309上を筐体301により保持する
ため、反射膜自体の酸化等による材質劣化も抑えられ
る。
【0099】また、筐体301の一部で二次光学系10
8の側面202を側面に接触しない状態で覆う構造とし
たため、長期的な使用下において二次光学系108の側
面202にごみや汚れが付着し側面202での反射率が
低下するといったトラブルを防げ、長期にわたって二次
光学系の性能を維持することができた。
【0100】また、二次光学系108の入射面109よ
り後部の形状を、射出面から入射面に至り先細りとなっ
ている形状(図5参照)としたことで、二次光学系の入
射面から入射した太陽光線が再び入射面へ戻るといった
ロスを防止できた。
【0101】(実施例2)図6乃至図7に本発明の第2
の実施例を示す。
【0102】二次光学系の回転角は45度とした。
【0103】実施例1の集光型太陽電池モジュールに対
して、複数の光起電力素子204と複数の二次光学系1
08とが一つの筐体301及び一つのフレネルレンズ2
01(複数のフレネルレンズが一体成型により作成され
ている。)によって構成されるユニット型の集光型太陽
電池モジュール102とした。それによって、部品点数
が少なくなりかつ組み立て工数が減るためコストダウン
が図れる。本実施例は、光起電力素子204を2つ配し
た例だが、これに限られず奥行き方向にも光起電力素子
を配することでさらにコストダウンを図ることができ
る。また、本実施例は、二次光学系108の側面202
への防汚対策として別途樹脂製の保護カバー403を設
けた。
【0104】また、集光による光起電力素子204の発
熱を回路基板205〜熱伝導性シート208〜ヒートパ
イプ404〜ヒートシンク209及び筐体301を経由
して外気へ放熱する冷却構造となり、より多くの放熱面
積により冷却性能が向上した。また、ヒートシンク20
9を奥行き方向にわたって押出し成型で作成すること
で、奥行き方向にも光起電力素子を配した場合など、複
数の光起電力素子204に対して一つのヒートシンク2
09といった構成となり、ヒートシンクの加工コストや
組み立て工数が減りコストダウンが図れる。
【0105】さらには、筐体301に設けた凹部405
にヒートシンク209を配したことで、集光型太陽電池
モジュール102を薄型化でき、追尾装置の耐風圧性能
や強度を軽減できた。
【0106】(実施例3)図8乃至図9に本発明の第3
の実施例を示す。
【0107】二次光学系の回転角は45度とした。
【0108】実施例1の集光型太陽電池モジュールに対
して、本実施例は二次光学系108の前面にロート状の
反射鏡407を設けた。それによって、集光型太陽電池
モジュール102が追尾誤差等により、一次光学系であ
るフレネルレンズ201で集光した太陽光線107が二
次光学系108の入射面109の中心よりずれた際も、
反射鏡407で捉えた太陽光線107が二次光学系10
8の入射面109に導かれることにより、より多くの太
陽光線107を捉えることが可能となる。また、これら
の反射鏡407は高反射率のアルミ合金板をプレス加工
することで容易に作成でき、コストダウンが図れる。
【0109】
【発明の効果】本発明の集光型太陽電池モジュールは、
矩形入射面を有する一次光学系と、一次光学系で集めた
太陽光線を入射面から略全入射し、側面では全反射し、
射出面から射出する二次光学系を備え、二次光学系は側
面が平滑性を有する中実かつ均一媒質からなる透明材料
で構成されており、かつ、矩形の射出面を有し、前記矩
形射出面の直後に光起電力素子を少なくとも備えること
で、一次光学系で集光され太陽光線は二次光学系の入射
面から入射し、二次光学系の入射面から入射した太陽光
線のうち側面に到達したものは、平滑性を有する側面に
おいて全反射を繰り返すことで太陽光線は混和され、太
陽光線は光量むら及び色収差が低減した状態で光起電力
素子に導くことができ、光量むら及び色収差が起因する
光起電力素子の効率の低下を防ぐことができた。
【0110】また、光起電力素子の形状を二次光学系の
射出面形状と同形状としたことにより、二次光学系の射
出面から射出する太陽光線を効率よく光起電力素子に導
くことができ、矩形であるため最も低コストで光起電力
素子を製造できた。
【0111】また、一次光学系と二次光学系の光軸は同
一直線上にあり、一次光学系の矩形入射面と二次光学系
の矩形射出面を、前記光軸と垂直な面に光軸に沿って投
影した場合に、前記矩形入射面の辺と前記矩形射出面の
辺が平行ではなく、かつ、それらのなす最小角度が0度
でない形態としたことにより、二次光学系内での太陽光
線の混和がより効果的に行われ、結果としてより短い二
次光学系長で太陽光線を光量むら及び色収差無く光起電
力素子に導くことができた。
【0112】また、前記最小角度及び二次光学系の全長
が、光起電力素子に到達する太陽光線の光量むら及び色
収差が光起電力素子の発電性能に影響しない最小角度及
び全長としたことにより、光起電力素子において、より
高効率に太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するこ
とができた。
【0113】また、前記最小角度を5度〜45度、より
好ましくは25〜45度とすることで、より短い二次光
学系長で太陽光線を光量むら及び色収差無く光起電力素
子に導くことができた。
【0114】また、二次光学系の入射面より後部の形状
を、柱状あるいは射出面から入射面に至り先細りとなっ
ている形状としたことにより、二次光学系の入射面から
入射した太陽光線が全反射を繰り返していくうちに、再
び入射面方向へ戻るといったエネルギーロスを防止でき
た。
【0115】また、二次光学系と光起電力素子との間に
透過性を有する透過性部材を配し、透過性部材の屈折率
が二次光学系の屈折率より大きいものとしたことによ
り、二次光学系内を進んできた太陽光線が二次光学系射
出面から射出する際の反射ロスを抑え、効率良く光起電
力素子に導くことができた。
【0116】また、二次光学系の射出面と光起電力素子
を密着したことにより、光起電力素子の表面に表面層を
有している場合その屈折率は2〜3であるのに対し、二
次光学系として用いるガラスや樹脂等の屈折率は1.4
〜1.9と低いため、二次光学系内を進んできた太陽光
線をより効率よく光起電力素子に導くことができた。
【0117】また、二次光学系側面の二次光学系を保持
する個所に反射膜を有している構造としたことにより、
二次光学系側面の二次光学系を保持する個所では太陽光
線が全反射しないためロスが発生するが、反射膜により
太陽光線を反射することで当部分でのロスを最小限に抑
えることができた。
【0118】また、二次光学系の側面を覆う形で、二次
光学系の側面に接触しない状態で保護層を設けたことに
より、長期的な使用下において二次光学系の側面にごみ
や汚れが付着し側面での反射率が低下するといったトラ
ブルを防げ、長期にわたって二次光学系の性能を維持す
ることができた。
【0119】また、上記の集光型太陽電池モジュールと
太陽追尾装置を組み合わせることで、太陽光線を光量む
ら及び色収差が無くかつ効率良く光起電力素子に集光
し、特に小型で安価な集光型太陽電池モジュールを備え
た追尾型の集光型太陽光発電システムを実現することが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施例を説明する太陽光発電シス
テムの構成図である。
【図2】本発明第1の実施例を説明する集光型太陽電池
モジュールの上面図である。
【図3】本発明第1の実施例を説明する概念図である。
【図4】本発明第1の実施例を説明する概念図である。
【図5】本発明第1の実施例を説明する概念図である。
【図6】本発明第2の実施例を説明する集光型太陽電池
モジュールの構成図である。
【図7】本発明第2の実施例を説明する集光型太陽電池
モジュールの上面図である。
【図8】本発明第3の実施例を説明する集光型太陽電池
モジュールの構成図である。
【図9】本発明第3の実施例を説明する集光型太陽電池
モジュールの上面図である。
【図10】一次光学系と二次光学系の関係を説明するた
めの図である。
【図11】一次光学系と二次光学系の関係を説明するた
めの図である。
【図12】一次光学系と二次光学系の関係を説明するた
めの図である。
【図13】従来例を説明する構成図である。
【図14】二次光学系の回転角と長さの変化による光量
むらの変化を示す図である。
【符号の説明】
101 集光型太陽光発電システム 102 集光型太陽電池モジュール 103 追尾装置 104 太陽位置検出センサ 105 外部出力線 106 保持部材 107 太陽光線 108 二次光学系 109 入射面 201 フレネルレンズ 202 二次光学系の側面 203 二次光学系の射出面 204 光起電力素子 205 回路基板 206 電極タブ 207 リード線 208 熱伝導性シート 209 ヒートシンク 301 筐体 302 太陽光線が照射するエリア 303 コネクタ 304 透過性部材 305 電極 306 銅回路板 307 二次光学系保持部 308 ゴム製ブッシング 309 反射膜 401 集光型太陽電池モジュール保持部 403 保護カバー 404 ヒートパイプ 405 凹部 407 反射鏡 408 一次光学系 504 光軸 505 回転対称領域 506 非回転対称領域 507 内接円 508 矩形入射面 509 矩形射出面 601 矩形入射面の辺 602 矩形射出面の辺

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 矩形入射面を有する一次光学系と、一次
    光学系で集めた太陽光線を入射面から略全入射し、側面
    では全反射し、射出面から射出する二次光学系とを備
    え、二次光学系は側面が平滑性を有する中実かつ均一媒
    質からなる透明材料で構成されており、かつ、矩形の射
    出面を有し、前記矩形射出面の直後に光起電力素子を少
    なくとも備えることを特徴とする集光型太陽電池モジュ
    ール。
  2. 【請求項2】 光起電力素子の形状が二次光学系の射出
    面形状と同形状であることを特徴とする請求項1に記載
    の集光型太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 一次光学系と二次光学系の光軸は同一直
    線上にあり、一次光学系の矩形入射面と二次光学系の矩
    形射出面を、前記光軸と垂直な面に光軸に沿って投影し
    た場合に、前記矩形入射面の辺と前記矩形射出面の辺が
    平行ではなく、かつ、それらのなす最小角度が0度でな
    いことを特徴とする請求項1又は2に記載の集光型太陽
    電池モジュール。
  4. 【請求項4】 前記最小角度及び二次光学系の全長が、
    光起電力素子に到達する太陽光線の光量むら及び色収差
    が光起電力素子の発電性能に影響しない最小角度及び全
    長であることを特徴とする請求項3に記載の集光型太陽
    電池モジュール。
  5. 【請求項5】 前記最小角度が5度以上45度以下であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の集光型太陽電池モ
    ジュール。
  6. 【請求項6】 二次光学系の入射面より後部の形状が、
    柱状あるいは射出面から入射面に至り先細りに形成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記
    載の集光型太陽電池モジュール。
  7. 【請求項7】 二次光学系と光起電力素子との間に透過
    性を有する透過性部材を有し、透過性部材の屈折率が二
    次光学系の屈折率より大きいことを特徴とする請求項1
    乃至6のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
  8. 【請求項8】 二次光学系の射出面と光起電力素子が密
    着していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の集光型太陽電池モジュール。
  9. 【請求項9】 二次光学系側面の二次光学系を保持する
    個所に反射膜を有していることを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
  10. 【請求項10】 二次光学系の側面を覆う形で、二次光
    学系の側面に接触しない状態で保護層を有していること
    を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の集光型
    太陽電池モジュール。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    集光型太陽電池モジュールと太陽追尾装置を組み合わせ
    たことを特徴とする集光型太陽光発電システム。
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