JP2002287747A - 演奏データの自動編集装置および自動編集方法 - Google Patents

演奏データの自動編集装置および自動編集方法

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JP2002287747A
JP2002287747A JP2001088801A JP2001088801A JP2002287747A JP 2002287747 A JP2002287747 A JP 2002287747A JP 2001088801 A JP2001088801 A JP 2001088801A JP 2001088801 A JP2001088801 A JP 2001088801A JP 2002287747 A JP2002287747 A JP 2002287747A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 楽音信号に対して同時に2つの表情(演奏手
法によって発生楽音信号に付与される一種の音楽的効
果)付けがなされないようにすることにより、音楽的に
好ましい表情付けがなされるようにする。 【解決手段】 自動演奏用の演奏データに基づいて表情
付けのための第1および第2条件に合致する一つまたは
複数の音符を検索する(S12,S14)。次に、第1
条件に従って検索された音符に対応した楽音信号の発生
態様が第1条件に対応した態様に変更されるように、同
音符に関する演奏データを変更し(S16)、同演奏デ
ータの変更した範囲を記憶しておく(S18)。第2条
件に従って検索された音符に対応した楽音信号の発生態
様が第2条件に対応した態様に変更されるように、前記
記憶されている変更範囲を避けて同第2条件に従って検
索された音符に関する演奏データを変更する(S20,
S22)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記憶装置内に記憶
されていて音符列を表す演奏データを自動的に編集する
演奏データの自動編集装置および自動編集方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、演奏データを自動的に編集し
て、同データの再生によって発生される楽音信号に表情
(演奏手法によって発生楽音に付与される一種の音楽的
効果)を付けるようにした演奏データ編集装置は知られ
ている。この演奏データ編集装置においては、演奏デー
タに基づいて予め定められた表情付けルールに従った所
定の音符を検索し、同検索した所定の音符に対応した楽
音信号に同ルールに従った所定の音楽的効果を付与する
ように演奏データを自動的に変更する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置にあっては、同一の音符に対して異なる表情付けルー
ルが適用されて、楽音信号に複数の異なる表情付けが同
時に適用されると、音楽的に好ましくない場合がある。
【0004】例えば、図6(A)に示すように、「隣り合
う3個の音符列W1,W2,W3において、第1音符W
1から第2音符W2への音高変化が3半音分上昇する変
化であり、かつ第2音符W2から第3音符W3への音高
変化が2半音分上昇する変化であるとき、第2音符W2
と第3音符W3をチョーキング効果で結び(すなわち、
第2音符W2と第3音符W3とのピッチを連続的に変化
させて結び)、かつピッチの変化を遅めにする」という
表情付けルールが用意されているとする。これによれ
ば、図6(B)のピッチチェンジPCとして示すように、
第3音符W3の発音開始タイミングより少し前のタイミ
ングにて楽音信号のピッチを第2音符W2の本来の音高
ピッチから徐々に上昇させ始めて、第3音符W3の発音
開始タイミングより少し後のタイミングにて楽音信号の
ピッチが第3音符Wの本来の音高ピッチになる。
【0005】また、別の表情付けルールとして、「2分
音符以上の長さの音符にはビブラートを付加する」とい
うルールがあったとする。これによれば、図6(C)のピ
ッチチェンジPCとして示すように、第3音符W3の発
音開始タイミングから楽音信号のピッチが第3音符Wの
本来の音高ピッチを中心に低周波数にて周期的に変動す
るようになる。
【0006】そして、前記のような2つの表情付けルー
ルが適用されれば、図6(D)のピッチチェンジPCとし
て示すように、前者の表情付けルール(チョーキング)
の適用によって楽音信号のピッチが変化している最中
に、後者の表情付けルール(ビブラート)の適用によっ
て楽音信号のピッチが低周波数で変動し始める。すなわ
ち、楽音信号のピッチが、第3音符W3の音高ピッチに
安定する前に、ビブラートの付与によって変動し始め
る。その結果、楽音信号のピッチ変化が不自然となり、
音楽的に好ましくない。
【0007】
【発明の概要】本発明は上記問題に対処するためになさ
れたもので、その目的は、楽音信号に対して同時に2つ
の表情付けがなされないようにすることにより、音楽的
に好ましい表情付けがなされるようにした演奏データの
自動編集装置および自動編集方法を提供することにあ
る。
【0008】前記目的を達成するために、本発明の特徴
は、記憶装置内に記憶されていて音符列を表す演奏デー
タを自動的に編集する演奏データの自動編集装置におい
て、演奏データに基づいて所定の第1条件に合致する音
符を検索する第1検索手段と、第1条件に合致する音符
に対応した楽音信号の発生態様が所定の第1態様に変更
されるように演奏データの一部を変更する第1変更手段
と、演奏データに基づいて第1条件とは異なる所定の第
2条件に合致する音符を検索する第2検索手段と、第2
条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生態様が所
定の第2態様に変更されるように、第1変更手段により
楽音信号の発生態様が第1態様に変更された範囲を避け
て演奏データの一部を変更する第2変更手段とを設けた
ことにある。
【0009】この場合、楽音信号の発生態様が第1変更
手段によって第1態様に変更された範囲を避けて、第2
変更手段が演奏データの一部を変更することを実現する
ために、第1変更手段により楽音信号の発生態様が第1
態様に変更された範囲を表す変更範囲データを記憶する
変更範囲記憶手段を設け、第2変更手段は、変更範囲記
憶手段に記憶されている変更範囲データによって表され
る範囲を避けて演奏データの一部を変更するようにすれ
ばよい。
【0010】これによれば、同一の音符に対して異なる
表情付けルールが適用されても、楽音信号に複数の異な
る表情付けが同時に適用されることを避けることがで
き、不自然さを回避したうえで音楽的に好ましい表情付
けが自動的になされる。例えば、上述のように、チョー
キングおよびビブラートによる表情付けが同一音符の楽
音信号に適用される場合でも、チョーキングによる楽音
信号のピッチ変化が終了した時点でビブラートによるピ
ッチ変化が楽音信号に付与されるようにすることができ
る。その結果、楽音信号の不自然なピッチ変化を回避し
て、音楽的に好ましい表情付けが自動的になされる。
【0011】また、本発明を他の観点から捉えれば、本
発明の他の特徴は、記憶装置内に記憶されていて音符列
を表す演奏データを自動的に編集する演奏データの自動
編集方法において、演奏データに基づいて所定の第1条
件に合致する音符を検索し、第1条件に合致する音符に
対応した楽音信号の発生態様が所定の第1態様に変更さ
れるように演奏データの一部を変更し、演奏データに基
づいて第1条件とは異なる所定の第2条件に合致する音
符を検索し、第2条件に合致する音符に対応した楽音信
号の発生態様が所定の第2態様に変更されるように、楽
音信号の発生態様が第1態様に変更された範囲を避けて
演奏データの一部を変更するようにしたことにもある。
【0012】さらに、本発明を他の観点から捉えれば、
本発明の他の特徴は、前記演奏データの自動編集方法を
実現するプログラムおよび同プログラムを記憶した記録
媒体にもある。これらによっても、上述した場合と同様
に、楽音信号の発生態様の不自然な変化を回避して、音
楽的に好ましい表情付けが自動的になされる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を用いて説明すると、図1は本発明の適用されたパーソ
ナルコンピュータを概略的に示している。
【0014】このパーソナルコンピュータは、複数の操
作子11、表示装置12および音源回路13を備えてい
る。操作子11は、文字入力キー、数字入力キー、カー
ソル移動キー、マウスなどからなり、ユーザによるデー
タ入力、動作の指示などのために利用される。この操作
子11の操作は、通信バス20に接続された操作子検出
回路14によって検出されるようになっている。なお、
操作子11としては、ジョイスティックなどの特殊なス
イッチ、電子楽器のキーまたは操作子など、データ入
力、作動指示などのためにユーザによって操作されるも
のであれば、種々の操作子を利用できる。
【0015】表示装置12は、液晶ディスプレイ、CR
Tなどで構成され、文字、図形などを表示する。この表
示装置12の表示状態は、通信バス20に接続された表
示回路15によって制御される。音源回路13は、演奏
データを入力して同データに対応した楽音信号を形成し
て、同形成した楽音信号をサウンドシステム16に出力
する。サウンドシステム16は、アンプ、スピーカなど
を含み、音源回路13からの楽音信号に対応した楽音を
発音する。
【0016】通信バス20には、コンピュータ本体部を
構成するCPU21、タイマ22、ROM23、RAM
24および外部記憶装置25が接続されている。CPU
21は、後述するプログラムを含む各種プログラムを実
行して、演奏データの編集処理、演奏データの再生処理
などを行う。タイマ22は、時間計測に利用される。R
OM23は、各種プログラムおよび各種データを記憶す
る。RAM24は、各種プログラムを記憶するととも
に、各種データ、各種フラグなどの各種プログラムの実
行に必要な変数を一時的に記憶する。本実施形態の場
合、このRAM24には、特に編集される演奏データ
(元演奏データ)、編集された演奏データ(新演奏デー
タ)、および編集のために変更された演奏データの範囲
を示す変更範囲データが記憶される記憶領域が用意され
る。
【0017】外部記憶装置25は、このパーソナルコン
ピュータに予め組み込まれているハードディスクHD、
同コンピュータに装着可能なコンパクトディスクCD、
ミニディスクMD、フロッピー(登録商標)ディスクF
Dなどの種々の記録媒体と、同各記録媒体に対するドラ
イブユニットを含むものであり、大量のデータおよびプ
ログラムを記憶および読み出し可能にしている。本実施
形態の場合、ハードディスクHDには、図2のプログラ
ムを含む各種プログラム、表情付けルールデータ、各種
演奏データなどが記憶されている。これらのプログラ
ム、表情付けルールデータ、演奏データは、コンパクト
ディスクCD、ミニディスクMD、フロッピーディスク
FDからハードディスクHDに供給されたり、後述する
ミディーインターフェース回路(MIDI I/F)3
1に接続された各種音楽機器、通信ネットワーク34を
介した外部からハードディスクHDに供給されるように
してもよい。
【0018】表情付けルールデータとは、音符列のうち
の一つまたは複数の音符を特定するための条件と、同条
件に合致した音符に対応した楽音信号の変更態様とを規
定する複数種類のデータ群であり、テーブルの形で記憶
されている。この変更態様を本明細書では表情付けとも
いい、同変更態様は演奏手法によって発生楽音に付与さ
れる一種の音楽的効果である。具体例を挙げれば、「隣
り合う3個の音符列W1,W2,W3において、第1音
符W1から第2音符W2への音高変化が3半音分上昇す
る変化であり、かつ第2音符W2から第3音符W3への
音高変化が2半音分上昇する変化であるとき、第2音符
W2と第3音符W3をチョーキングで結び(すなわち、
第2音符W2と第3音符W3とのピッチを連続的に変化
させて結び)、かつピッチの変化を遅めにする」、「2
分音符以上の長さの音符にはビブラートを付加する」な
どである。
【0019】演奏データとは、各種楽曲の音符列を表す
もので、図3(A)〜(C)に示すように、音符イベントデ
ータ、ピッチチェンジデータなどの各種イベントデータ
と、タイミングデータとからなる。イベントデータと
は、楽音信号の発生態様の変化の種類を表すデータであ
る。そして、同イベントデータの一種である音符イベン
トデータは、発音の開始される楽音信号すなわち音符の
音高(ノートコード)を表す。ピッチチェンジデータ
は、発生中の楽音信号のピッチの変化量を表す。タイミ
ングデータは、前回のイベントデータに対応した楽音信
号の発生態様の変化から今回のイベントデータに対応し
た楽音信号の発生態様の変化までの時間を表す。この場
合、前回および今回のイベントデータが共に音符イベン
トデータであれば、それらの間のタイミングデータは前
回の音符イベントデータに対応した音符の長さに対応す
る。
【0020】また、通信バス20には、ミディーインタ
ーフェース回路31および通信インターフェース回路3
2も接続されている。ミディーインターフェース回路3
1には、電子楽器、シーケンサなどの各種音楽機器が接
続されるようになっており、各種音楽機器はミディー通
信規格に従ったデータの授受を行えるようになってい
る。なお、図1においては、このミディーインターフェ
ース回路31に電子楽器が接続されている例が示されて
いる。通信インターフェース回路32は、インターネッ
トなどの外部の通信ネットワーク34に接続されるよう
になっている。
【0021】次に、上記のように構成した実施形態の動
作を説明する。まず、ユーザは、パーソナルコンピュー
タの電源スイッチ(図示しない)を投入し、演奏データ
の自動編集動作を行わせるために操作子11を操作す
る。これにより、CPU21は、ROM23に記憶され
た図示しないプログラムの実行により、外部記憶装置2
5のハードディスクHDに記憶されている図2のプログ
ラムを含む演奏データの自動編集動作を行わせるための
自動編集用プログラムおよび同プログラムの実行時に利
用される表情付けルールデータなどを読み出してRAM
24に記憶させ、同RAM24に記憶された自動編集用
プログラムを起動する。なお、自動編集用プログラムが
ハードディスクHDに記憶されていない場合には、コン
パクトディスクCD、ミニディスクMD、フロッピーデ
ィスクFDなどに記憶されている自動編集用プログラム
をハードディスクHDに記憶させた後、またはミディー
インターフェース回路31に接続された音楽機器もしく
は通信ネットワーク34を介した外部から前記自動編集
用プログラムをハードディスクHDにダウンロードした
後、前記自動編集用プログラムをRAM24に転送して
起動する。
【0022】この自動編集用プログラムの起動後、ユー
ザは、同自動編集用プログラムの図示しない処理に従っ
て、編集されるべき楽曲の演奏データを選択する。この
選択により、外部記憶装置25のハードディスクHDに
記憶されている演奏データに対応した複数の楽曲のうち
で所望の楽曲が指定されると、同楽曲に関する演奏デー
タがハードディスクHDから読み出されてRAM24に
書き込まれる。また、ユーザが所望とする楽曲に関する
演奏データがハードディスクHDに記憶されていない場
合には、コンパクトディスクCD、ミニディスクMD、
フロッピーディスクFDから所望の楽曲に関する演奏デ
ータをRAM24に読み込んだり、ミディーインターフ
ェース回路31に接続された音楽機器から、または通信
ネットワーク34を介した外部から所望の楽曲に関する
演奏データをRAM24に読み込むようにしてもよい。
ただし、この場合には、演奏データの繰り返し利用を実
現するために、RAM24に書き込んだ演奏データをハ
ードディスクHDにも書き込んでおくとよい。
【0023】このようなRAM24に書き込まれた演奏
データの一部を図3(A)に示す。図3(A)は、図5の3
個の音符列W1,W2,W3及びその前後の音符X,Y
(図示せず)に関する演奏データを示している。前記演
奏データのRAM24への書き込み後、CPU21は、
図示しないプログラムの実行により、前記演奏データに
基づいてRAM24内に各音符に対応した変更範囲デー
タ記憶領域を用意する。この変更範囲データ記憶領域を
説明するために、図4(A)に前記音符列W1,W2,W
3に対する変更範囲データ記憶領域を示す。この変更範
囲データ記憶領域内の各音符に対応した各領域は、音符
の長さとは無関係に各音符ごとの領域を確保するように
しておいてもよいが、各音符ごとに音符の長さに対応し
た容量(長さ)の領域を確保しておくようにしてもよ
い。
【0024】このような処理の後、ユーザが図2の表情
付けプログラムの実行開始を指示すると、CPU21は
ステップS10にてこの表情付けプログラムの実行を開
始する。この表情付けプログラムの実行開始後、ステッ
プS12,S14にて、表情付けルールデータを用い、
演奏データに基づいて表情付けルールデータに従った表
情付けのための各種条件に合致する一つまたは複数の音
符を検索する。そして、ステップS16にて、優先順位
の高い表情付けのために、前記検索した音符に対応した
楽音信号の発生態様が所定の態様に変更されるように、
演奏データの一部を変更する。このステップS16の処
理後、ステップS18にて、前記ステップS16の処理
により楽音信号の発生態様が変更された範囲を表す変更
範囲データを、前記予め用意されたRAM内の変更範囲
データ記憶領域に書き込んでおく。
【0025】この場合、変更範囲データ記憶領域の各音
符に対応した各領域として音符の長さとは無関係に各音
符ごとの領域を確保するようにしておいた場合には、楽
音信号の発生態様を変更した範囲の開始タイミングと同
範囲の長さを表すデータを記憶するようにすればよい。
また、各音符ごとに音符の長さに対応した容量(長さ)
の領域を確保するようにしておいた場合には、楽音信号
の発生態様を変更した範囲に対応した記憶領域にわたっ
て、楽音信号の発生態様を変更したことを表すデータを
連続して書き込み、その他の領域における楽音信号の発
生態様を変更していないことを表すデータ(未使用を表
すデータ)を初期に書き込んだままにしておけばよい。
【0026】つぎに、ステップS20にて、次に優先順
位の高い表情付けのために検索された音符に関し、前記
楽音信号の発生態様が変更された範囲を除く領域、言い
換えれば開放領域があるかを判定する。そして、開放領
域があれば、ステップS20にて「YES」と判定し、
ステップS22にて、次に優先順位の高い表情付けのた
めに、前記検索した音符に対応した楽音信号の発生態様
が所定の態様に変更されるように、前記開放領域にある
演奏データを変更する。このステップS22の処理後、
ステップS24にて、前記ステップS22の処理により
楽音信号の発生態様が変更された範囲を表す変更範囲デ
ータを、前記予め用意されたRAM24内の変更範囲デ
ータ記憶領域に書き込んでおく。そして、ステップS2
6にてこの表情付けプログラムの実行を終了する。な
お、前記ステップS20にて「NO」すなわち開放領域が
ないと判定された場合には、ステップS26にてこの表
情付けプログラムの実行を終了する。
【0027】前記表情付けプログラムでは、2種類の表
情付けのみについて説明した。しかし、表情付けルール
データがさらに多くの種類の表情付けルールを表してい
る場合には、ステップS12,S14の検索処理を各表
情付けルールごとに行い、ステップS20,S22,S
24の処理を表情付けの優先順に繰返し行うようにすれ
ばよい。
【0028】次に、表情付けルールが、第1および第2
ルールの2種類のみであり、かつ第1ルールが第2ルー
ルよりも優先順位が高い場合について、図2のフローチ
ャートに沿って具体的に説明する。ここで、第1ルール
は、前述した「隣り合う3個の音符列W1,W2,W3
において、第1音符W1から第2音符W2への音高変化
が3半音分上昇する変化であり、かつ第2音符W2から
第3音符W3への音高変化が2半音分上昇する変化であ
るとき、第2音符W2と第3音符W3をチョーキングで
結び(すなわち、第2音符W2と第3音符W3とのピッ
チを連続的に変化させて結び)、かつピッチの変化を遅
めにする」というものである。第2ルールは、「2分音
符以上の長さの音符にはビブラートを付加する」という
ものである。
【0029】ステップS10の表情付けプログラムの実
行開始後、ステップS12にて、RAM24内の演奏デ
ータに基づいて、前記第1ルールで規定される「隣り合
う3個の音符列W1,W2,W3において、第1音符W
1から第2音符W2への音高変化が3半音分上昇する変
化であり、かつ第2音符W2から第3音符W3への音高
変化が2半音分上昇する変化である」という条件に合致
する音符列を検索する。この検索により、例えば、図5
(A)に示すような音符列W1,W2,W3が検索され
る。
【0030】次に、ステップS14にて、RAM24内
の演奏データに基づいて、前記第2ルールで規定される
「2分音符以上の長さの音符である」という条件に合致
する音符を検索する。この検索により、例えば、図5
(A)に示すような音符W3が検索される。そして、この
状態では、図4(A)に示すように、RAM24に用意さ
れた変更範囲データ記憶領域の音符列W1,W2,W3
に対応した各領域は未使用(開放領域)のままに保たれ
る。
【0031】次に、ステップS16にて、第1ルールに
従った表情付け(チョーキング付与)のために、演奏デ
ータの一部を変更する。この演奏データの変更は、図4
(A)および図5(A)の音符列を例にとれば、音符W3の
発音開始タイミングt3よりも少し前のタイミングt21か
ら同音符W3の発音開始タイミングt3よりも少し後のタ
イミングt31までの時間にわたり、発生楽音信号のピッ
チが音符W2の音高ピッチから音符W3の音高ピッチま
で徐々に変化するように演奏データを変更することを意
味する。
【0032】したがって、図3(A)に示す演奏データの
うちで、音符W2の音長に関するタイミングデータ(W
2)、音符W3に関する音符イベントデータ(W3)およ
び音符W3の音長に関するタイミングデータ(W3)が、
図3(B)に示すようなチョーキングに相当するピッチチ
ェンジデータ列に変更される。具体的には、タイミング
データ(W2)、音符イベントデータ(W3)およびタイミ
ングデータ(W3)を削除して、音符W2に対応した楽音
信号の発生開始タイミングt2からピッチの変更開始タイ
ミングt21までの時間を表すタイミングデータ(W2’)
を音符イベントデータ(W2)の直後に配置する。そし
て、微小なピッチ変化を表す多数のピッチチェンジデー
タΔP1,ΔP2・・・ΔPmをタイミングデータ(W2’)の
後に挿入するとともに、ピッチチェンジデータΔP1,Δ
P2・・・ΔPmの各間に、微小時間を表すタイミングデー
タΔT1,ΔT2・・・ΔTm-1を挿入する。最後に、音符W
3に対応した楽音信号の発生開始タイミングt3からピッ
チの変更終了タイミングt31までの時間をタイミングデ
ータ(W3)から減算した値を表すタイミングデータ(W
3’)を、ピッチチェンジデータΔPmと音符イベントデ
ータ(Y)との間に挿入する。この場合、ピッチチェンジ
データΔP1,ΔP2・・・ΔPmおよびタイミングデータΔ
T1,ΔT2・・・ΔTm-1は、発生される楽音信号のピッチ
を音符W2の音高ピッチから音符W3の音高ピッチまで
に徐々に上昇させるもので、各ピッチチェンジデータΔ
P1,ΔP2・・・ΔPmの合計は、音符W2の音高ピッチと
音符W3の音高ピッチとの差に等しい。
【0033】次に、ステップS18にて、前記ステップ
S16の処理により演奏データを変更した範囲すなわち
チョーキングのためにピッチチェンジデータを挿入した
範囲を表す変更範囲データを、RAM24内の変更範囲
データ記憶領域に書き込む。この処理により、図4(B)
に示すように、変更範囲データ記憶領域の開放領域(未
使用領域)中に、チョーキングを付与した範囲(t21〜t
31)を表すデータが書き込まれる。
【0034】前記ステップS18の処理後、ステップS
20にて、第2ルールに従って検索された音符に関し、
変更範囲データ記憶領域に書き込まれているデータに基
づいて同第2ルールに従ったビブラートを付加できる開
放領域があるかを判定する。前記図4,5の例では検索
音符はW3であり、この場合、ステップS20にて、音
符W3に関して開放領域があるか否かを判定することに
なる。
【0035】開放領域が存在しなければ、ステップS2
0にて「NO」と判定して、ステップS26にてこの表情
付けプログラムの実行を終了する。前記図4,5の例で
は、音符W3に関するタイミングt31から次の音符Yの
発音開始タイミングまでは開放領域であるので、ステッ
プS20にて「YES」と判定してステップS22に進
む。
【0036】ステップS22においては、第2ルールに
従った表情付け(ビブラート付与)のために、演奏デー
タの一部を変更する。この演奏データの変更も、図4
(B)および図5(B)の音符列を例にとれば、音符W3の
発音開始タイミングt3よりも少し後のタイミングt31か
ら次の音符Yの発音開始タイミングまでの時間にわた
り、発生楽音信号のピッチが低周波数で周期的に変化す
るように演奏データを変更することを意味する。
【0037】したがって、図3(B)に示す演奏データの
うちで、タイミングデータ(W3’)が、図3(C)に示す
ようなビブラートに相当するピッチチェンジデータ列に
変更される。具体的には、タイミングデータ(W3’)を
削除して、ピッチチェンジデータΔPmの直後に、同デー
タΔPmに対応した楽音信号のピッチを持続させる時間を
表すタイミングデータ(W3”)を配置する。そして、微
小なピッチ変化を表す多数のピッチチェンジデータΔP
1,ΔP2・・・ΔPnをタイミングデータ(W3”)の後に
挿入するとともに、ピッチチェンジデータΔP1,ΔP2・
・・ΔPnの各後に、微小時間を表すタイミングデータΔ
T1,ΔT2・・・ΔTnを配置する。この場合、ピッチチェ
ンジデータΔP1,ΔP2・・・ΔPnおよびタイミングデー
タΔT1,ΔT2・・・ΔTnは、発生される楽音信号のピッ
チを低周波数で周期的かつ滑らかに変動させるためのも
のである。
【0038】次に、ステップS24にて、前記ステップ
S22の処理により演奏データを変更した範囲すなわち
ビブラートのためにピッチチェンジデータを挿入した範
囲を表す変更範囲データを、RAM24内の変更範囲デ
ータ記憶領域に書き込む。この処理により、図4(C)に
示すように、変更範囲データ記憶領域の開放領域(未使
用領域)中に、ビブラートを付与した範囲(t31〜)を
表すデータが書き込まれる。そして、ステップS26に
て、この表情付けプログラムの実行を終了する。なお、
この場合には、他の表情付けルールは存在しないので、
ステップS20〜S24の処理を繰返し実行することは
ない。
【0039】このようにして種々の表情付けルールに従
って変更した演奏データを図示しない自動演奏プログラ
ムを用いて再生すると、前記ルールに従って表情付けさ
れた楽音信号が音源回路13にて形成される。そして、
この形成された楽音信号に対応した楽音がサウンドシス
テム16を介して発音される。その結果、豊かな演奏表
現力をもった楽音が再生される。
【0040】前記図5の例によれば、(B)に示すよう
に、音符W2に対応した音高ピッチの楽音が発音中、タ
イミングt21になるとチョーキングが付加されて、ピッ
チが徐々に上昇し始める。そして、タイミングt31にて
発音中の楽音のピッチが音符W3に対応した音高ピッチ
に達する。その後、発音中の楽音にビブラートが付加さ
れ、同楽音のピッチは音符W3に対応した音高ピッチを
中心に低周波数で周期的かつ滑らかに変動し始める。
【0041】上記作動説明からも理解できるように、上
記実施形態によれば、音符W3のように同一の音符に対
して異なる表情付けルール(チョーキングおよびビブラ
ート)が適用される場合でも、楽音信号に複数の異なる
表情付け(チョーキングおよびビブラート)が同時に適
用されることを避けることができる。その結果、チョー
キングとビブラートとの同時付与による不自然なピッチ
変化のように、複数の異なる表情付けの同時付与による
楽音信号の不自然な発生態様を回避でき、音楽的に好ま
しい表情付けが自動的になされるようになる。
【0042】なお、上記実施形態においては、具体的な
表情付けの例として、楽音信号の周波数に関係したチョ
ーキングおよびビブラートについてのみ説明した。しか
し、表情付けの音楽的効果として、楽音信号の他の要素
である音量および/または音色を変更することを採用す
ることもでき、これらの表情付けにより楽音信号の発生
態様をより複雑に種々に時間変化させることもできる。
【0043】また、上記実施形態においては、変更範囲
データ記憶領域を各音符に対応させてRAM24内に設
けて、表情付けの処理ごとに開放領域と表情付け領域と
を更新するようにした。しかし、これに代えて、各表情
付けのルールごとに変更範囲データ記憶領域を設けるよ
うにしておき、各ルールごとに開放領域と表情つき表領
域とを管理するようにしてもよい。
【0044】また、上記実施形態においては、複数の異
なる表情付けを完全に分離して付与するようにしたが、
僅かな部分において異なる表情付けをオーバーラップさ
せるようにしてもよい。この場合、フェードイン・フェ
ードアウトのように、先に付与されている表情付けの重
みを徐々に小さくして、後に付与される表情付けの重み
を徐々に大きくするようにすると、さらによい。また、
本発明のような複数の異なる表情付けの同時付与禁止
と、前記オーバーラップによる複数の異なる表情付けの
同時付与許容とをユーザに選択させるようにしてもよ
い。
【0045】また、上記実施形態では、本発明に係る演
奏データの自動編集装置および自動編集方法をパーソナ
ルコンピュータで実現したが、これらの自動編集装置お
よび自動編集方法は、コンピュータ装置を備えた電子楽
器、シーケンサ、その他の音楽機器でも実現できるもの
である。また、コンピュータ装置さえ備えていれば、他
の電子機器でも実現できるものである。
【0046】さらに、本発明の実施にあたっては、上記
実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本
発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るパーソナルコンピ
ュータの概略ブロック図である。
【図2】 図1のパーソナルコンピュータにて実行され
る表情付けプログラムのフローチャートである。
【図3】 (A)〜(C)は、本発明に係る演奏データの一
例を示すデータフォーマット図である。
【図4】 (A)〜(C)は、図3の演奏データに対応して
設けた変更範囲データ記憶領域を説明するための図であ
る。
【図5】 (A)(B)は、本発明による楽音信号の発生態
様の変更を説明するための図である。
【図6】 (A)〜(D)は、従来例における楽音信号の発
生態様の変更を説明するための図である。
【符号の説明】
11…操作子、12…表示装置、13…音源回路、21
…CPU,23…ROM,24…RAM、25…外部記
憶装置。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記憶装置内に記憶されていて音符列を表す
    演奏データを自動的に編集する演奏データの自動編集装
    置において、 前記演奏データに基づいて所定の第1条件に合致する音
    符を検索する第1検索手段と、 前記第1条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第1態様に変更されるように、前記演奏デ
    ータの一部を変更する第1変更手段と、 前記演奏データに基づいて前記第1条件とは異なる所定
    の第2条件に合致する音符を検索する第2検索手段と、 前記第2条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第2態様に変更されるように、前記第1変
    更手段によって第1態様に変更された範囲を避けて前記
    演奏データの一部を変更する第2変更手段とを設けたこ
    とを特徴とする演奏データの自動編集装置。
  2. 【請求項2】記憶装置内に記憶されていて音符列を表す
    演奏データを自動的に編集する演奏データの自動編集装
    置において、 前記演奏データに基づいて所定の第1条件に合致する音
    符を検索する第1検索手段と、 前記第1条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第1態様に変更されるように、前記演奏デ
    ータの一部を変更する第1変更手段と、 楽音信号の発生態様が前記第1変更手段によって第1態
    様に変更された範囲を表す変更範囲データを記憶する変
    更範囲記憶手段と、 前記演奏データに基づいて前記第1条件とは異なる所定
    の第2条件に合致する音符を検索する第2検索手段と、 前記第2条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第2態様に変更されるように、前記変更範
    囲記憶手段に記憶されている変更範囲データによって表
    される範囲を避けて前記演奏データの一部を変更する第
    2変更手段とを設けたことを特徴とする演奏データの自
    動編集装置。
  3. 【請求項3】記憶装置内に記憶されていて音符列を表す
    演奏データを自動的に編集する演奏データの自動編集方
    法において、 前記演奏データに基づいて所定の第1条件に合致する音
    符を検索し、 前記第1条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第1態様に変更されるように、前記演奏デ
    ータの一部を変更し、 前記演奏データに基づいて前記第1条件とは異なる所定
    の第2条件に合致する音符を検索し、 前記第2条件に合致する音符に対応した楽音信号の発生
    態様が所定の第2態様に変更されるように、前記楽音信
    号の発生態様が第1態様に変更された範囲を避けて前記
    演奏データの一部を変更するようにしたことを特徴とす
    る演奏データの自動編集方法。
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