JP2002285067A - 水性顔料分散体の製造方法およびその利用 - Google Patents

水性顔料分散体の製造方法およびその利用

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JP2002285067A
JP2002285067A JP2001084509A JP2001084509A JP2002285067A JP 2002285067 A JP2002285067 A JP 2002285067A JP 2001084509 A JP2001084509 A JP 2001084509A JP 2001084509 A JP2001084509 A JP 2001084509A JP 2002285067 A JP2002285067 A JP 2002285067A
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water
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aqueous
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JP2001084509A
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Eriko Suzuki
会理子 鈴木
Toshifumi Kamimura
敏文 上村
Jun Kaneda
潤 金田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経時での保存安定性、沈降性およびろ過性に優
れた水性顔料分散体を提供し、さらにその顔料分散体を
用いたインクジェットインキ用記録液において、ノズル
での吐出安定性、さらには印字した場合の充分な色再現
性範囲を有し、優れた耐水性と耐光性の両立した性能を
有する顔料型インクジェット用記録液を提供する。 【解決手段】顔料を強酸中でスルホン化し、塩形成して
いないスルホン酸基含有顔料誘導体を析出させる工程
と、該スルホン酸基含有顔料誘導体を有機溶剤で洗浄す
る工程と、洗浄したスルホン酸基含有顔料誘導体を用い
て顔料を水中に分散させる工程を含む水性顔料分散体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散性、経時分
散安定性に優れた水性顔料分散体の製造方法に関する。
更に本発明は、印字後の耐光性、耐水性、色相に優れ、
ノズルでの吐出安定性の良好なインクジェット用記録液
に関する。
【0002】
【従来の技術】スルホン酸基含有顔料誘導体は硫酸等の
スルホン化能を有する強酸中に顔料を溶解させてスルホ
ン化反応することにより得られる。得られたスルホン酸
基含有顔料誘導体は水分散性が強くかつ微粒子で形成さ
れているため、スルホン酸基含有顔料誘導体を反応系か
ら通常のろ過により分離して取り出す場合、顔料誘導体
がろ布を通過し、捕集が困難であったり、ろ過に長時間
を要する等の困難な問題があった。そこで、顔料誘導体
の捕集方法としては、塩析法ならびに酸析法を使用する
ことが試みられた。
【0003】塩析法とは、塩化カリウムや塩化ナトリウ
ム等の水溶性塩の高電解質により顔料誘導体を凝集さ
せ、取り出す方法であるが、この場合、使用する塩に含
まれる金属イオンが顔料誘導体中のスルホン酸基と強固
な化学結合をすることにより強い凝集体を形成し、沈降
性が高くなる問題があった。また、酸析法においては、
塩酸洗浄することで硫酸濃度を低下させ、かつ塩析法で
見られる金属塩の形成による凝集は避けられるものの、
水性顔料分散体の経時安定性を妨げる塩化物イオンを多
量に含む塩酸を除去する工程が必要であった。このよう
に塩析法および酸析法は、水性顔料分散体の顔料の分散
安定性を崩す要因となっているCa、Mg、Fe、B
a、Al、Ni等の金属イオン、あるいは塩化物イオ
ン、硫酸イオン、ナトリウムイオン等の夾雑イオンを後
工程で除去する必要があった。
【0004】スルホン酸基含有顔料誘導体の水分散液も
しくは最終的に得られた顔料分散体から夾雑イオンを除
去するために、限外ろ過法、半透膜法、イオン交換樹脂
によるイオン交換法、キレート法、酸洗浄法等の処理が
試みられたが、これらはプロセスを複雑にし、かつコス
ト高の要因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、経時での保
存安定性、沈降性およびろ過性に優れた水性顔料分散体
を提供することを目的とする。
【0006】更に本発明は、インクジェットインキ用記
録液に使用した場合のノズルでの吐出安定性、さらには
印字した場合の充分な色再現性範囲を有し、優れた耐水
性と耐光性の両立した性能を有する顔料型インクジェッ
ト用記録液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、顔料を強酸中
でスルホン化し、塩形成していないスルホン酸基含有顔
料誘導体を析出させる工程と、該スルホン酸基含有顔料
誘導体を有機溶剤で洗浄する工程と、洗浄したスルホン
酸基含有顔料誘導体を用いて顔料を水中に分散させる工
程を含む水性顔料分散体の製造方法に関する。
【0008】更に本発明は、上記製造方法で得られた水
性顔料分散体に関する。更に本発明、上記水性顔料分散
体を含むインクジェット用記録液に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の顔料としては、フタロシ
アニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、イ
ソインドリノン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロ
ール系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、チオイ
ンジゴ系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ピラン
スロン系、アンスアンスロン系、フラバンスロン系、イ
ンダンスロン系、金属錯体系等の縮合多環系顔料、ベン
ズイミダゾロン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、溶性ア
ゾ系等の有機顔料から選ばれる。
【0010】本発明の顔料は、上記の顔料を形成する顔
料分子骨格の置換可能な任意の位置に置換基を有した化
合物を包含する。これらの置換基としては、メチル基、
エチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ
基などの低級アルコキシ基、塩素、臭素などのハロゲン
元素、ハロゲン置換アルキル基、カルボキシレート基、
アセチル基、水酸基等がある。
【0011】本発明の顔料の具体例をC.I.ピグメン
トナンバーにより例示する。フタロシアニン系顔料とし
ては、C.I.ピグメントブルー15、15:2、1
5:3、15:4、15:5、15:6、16,C.
I.ピグメントグリーン7、36等がある。
【0012】キナクリドン系顔料としては、C.I.ピ
グメントバイオレット19、42、C.I.ピグメント
レッド122、192,202、206、207、20
9、C.I.ピグメントオレンジ48、49等がある。
イソインドリノン系顔料としては、C.I.ピグメント
イエロー109、110、173、C.I.ピグメント
オレンジ61等がある。
【0013】イソインドリン系顔料としては、C.I.
ピグメントイエロー139、185、C.I.ピグメン
トオレンジ66、69、C.I.ピグメントレッド26
0、C.I.ピグメントブラウン38等がある。
【0014】キノフタロン系顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー138がある。ジケトピロロピロール
系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、2
55、264、272、C.I.ピグメントオレンジ7
1、73、等がある。
【0015】ベンズイミダゾロン系顔料としては、C.
I.ピグメントイエロー120、151、154、15
6、175、180、181、194、C.I.ピグメ
ントオレンジ36、60、62、72、C.I.ピグメ
ントレッド171、175、176、185、208、
C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメ
ントブラウン25等がある。
【0016】不溶性アゾ系顔料としては、C.I.ピグ
メントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、13、14、15、16、17、1
8、20、21、22、23、31、32、37、3
8、41、95、111、112、114、119、1
36、146、147、148、150、164、17
0、184、187、188、210、212、21
3、222、223、238、245、253、25
6、258、261、266、267、268、26
9、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、6、1
3、15、16、22、24、34、38、44、C.
I.ピグメントバイオレット13、25、44、50、
C.I.ピグメントブラウン1、C.I.ピグメントイ
エロー1、2、3、5、6、10、12、13、14、
17、49、55、60、63、65、73、74、7
5、81、83、87、90、97、98、106、1
11、113、114、116、121、124、12
6、127、130、136、152、165、16
7、170、171、172、174、176、18
8、C.I.ピグメントブルー25等がある。
【0017】縮合アゾ系顔料としては、C.I.ピグメ
ントイエロー93、94、95、128、166、C.
I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントレッ
ド144、166、214、220、221、242、
248、262、C.I.ピグメントブラウン23、4
1、42等がある。ペリレン系顔料としては、C.I.
ピグメントレッド123、149、178、179、1
90、224、C.I.ピグメントバイオレット29、
C.I.ピグメントブラック31、32等がある。
【0018】ペリノン系顔料としてはC.I.ピグメン
トオレンジ43、C.I.ピグメントレッド194、バ
ットレッド14等がある。インジゴ系顔料としては、
C.I.ピグメントブルー63、73015:X等があ
る。チオインジゴ系顔料としては、C.I.ピグメント
レッド88、181等がある。ジオキサジン系顔料とし
ては、C.I.ピグメントバイオレット23、37等が
ある。アンスラキノン系顔料としては、C.I.ピグメ
ントイエロー99、108、123、147、193、
199、C.I.ピグメントレッド83、89、177
等がある。ピランスロン系顔料としては、C.I.ピグ
メントレッド216、226、C.I.ピグメントオレ
ンジ40、51等がある。
【0019】アンスアンスロン系顔料としては、C.
I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントバイ
オレット31、バットオレンジ3等がある。フラバンス
ロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー2
4、バットイエロー1等がある。インダンスロン系顔料
としては、C.I.ピグメントブルー60、64、バッ
トブルー4等がある。金属錯体系顔料としては、C.
I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントイエ
ロー117、129、150、153、177、17
9、257、271、C.I.ピグメントオレンジ5
9、65、68等がある。ジケトピロロピロール系顔料
としては、C.I.ピグメントレッド254、255、
264、272、C.I.ピグメントオレンジ71、7
3等がある。
【0020】本発明の水性顔料分散体における顔料粒子
の平均一次粒径は、1000〜5nmが好ましく、更に
好ましくは150〜5nmである。このような粒径の顔
料を調整するため、粗製顔料または顔料品位の顔料をソ
ルトミリング、ソルベントミリング等の湿式粉砕又は乾
式粉砕して顔料の微細化処理を行う。ソルトミリングと
は、有機顔料と水溶性の無機塩からなる混合物に少量の
水溶性の溶剤を加え、水冷等で30〜65℃に温度制御
しながらニーダー等の混練機により混合物を強く混練し
た後、粉砕混合物を水中に投入し、水溶性の無機塩およ
び水溶性の溶剤を溶解、除去するものである。
【0021】水溶性の無機塩は、有機顔料の磨砕助剤と
して加えるものであり、有機顔料の2〜20重量倍、好
ましくは3〜10重量倍を使用する。水溶性の無機塩と
しては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウ
ム等がある。水溶性の溶剤は、有機顔料と磨砕助剤とし
て用いられる水溶性の無機塩との適度な粘度状態をつく
り、充分な磨砕を効率よく行うために加えるものであ
り、混合物中の水溶性の溶剤の量は、有機顔料の0.5
〜5重量倍、好ましくは0.5〜3重量倍を使用する。
水溶性の溶剤としては、例えば、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコールおよびそれらのモノアルキ
ルエーテル等がある。
【0022】本発明においてスルホン酸基含有顔料誘導
体の存在下に顔料の微細化処理を実施することもでき
る。
【0023】顔料の水性顔料分散体中での分散粒径は、
レーザー光散乱粒度分布計により測定した平均粒子径が
10nm〜150μmである。さらに超微粒子分散を必
要とするインクジェット記録液においては、平均粒子径
が10〜150nm、かつ250nm以上の粗大粒子が
全粒子の1重量%以下、又、50nm<D50<150
nmかつ150nm<D99<400nm、好ましくは
150nm<D99<250nmである。平均分散粒径
が大きすぎるとインクジェット用記録液として使用した
場合吐出安定性を損なったり、沈殿を生じる等の欠点が
あり、粗大粒子が少なければ少ない程良い。
【0024】顔料にスルホン酸基を導入するには、例え
ば、顔料に発煙硫酸や濃硫酸、クロロ硫酸などのスルホ
ン化剤を作用させればよい。スルホン化は顔料分子にス
ルホン酸基が一つだけ導入される割合が最大になるよう
に反応温度、反応時間などの反応条件を制御することが
好ましい。しかしながら、スルホン化工程において全て
の顔料分子にスルホン酸基を一つだけ導入することは困
難であり、通常は1分子中に2個以上のスルホン酸基が
導入された化合物および未反応物との混合物として得ら
れる。反応混合物は水中に投入するとスルホン酸基含有
顔料誘導体の微細な粒子が析出する。
【0025】この析出したスルホン酸基含有顔料誘導体
をろ別し、有機溶剤を用いてスルホン化剤を除去洗浄す
る。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール
などが挙げられる。これにより粒子が非常に細かくな
り、顔料粒子表面への吸着力が強くなる。さらに、有機
溶剤を用いて洗浄された顔料誘導体は水への再分散性が
非常に高いため、顔料の分散安定性に大きく寄与してい
る。
【0026】本発明では、顔料の硫酸反応後の高い酸性
条件下でも有機溶剤での洗浄が可能であり、顔料誘導体
の取り出しおよび乾燥が容易に行なえる手段である。さ
らに、有機溶剤による洗浄は限外ろ過、半透膜ろ過、イ
オン交換樹脂精製やキレート精製を用いた場合と同等レ
ベルまで種々の夾雑イオンの洗浄が可能である。つまり
この手法を用いることで、工程の簡略化およびコスト的
なメリットもあり、かつ溶剤を再利用することで環境面
への負荷を低減することが可能であり、品質とコストを
両立した良好な手段といえる。
【0027】さらに、本発明の有機溶剤による洗浄は酸
析法や塩析法と比べ、2価以上の金属イオンや1価の金
属イオンの混入が極めて少なく、高い凝集力がないた
め、易分散な顔料分散体を製造することが可能である。
【0028】本発明のスルホン酸基含有顔料誘導体は、
水性顔料分散体中で、アンモニウム塩もしくは有機アミ
ン塩を形成する。スルホン酸基含有顔料誘導体は顔料を
分散前にアンモニア又は有機アミンにより塩形成してお
いてもよいし、顔料分散時に水中にアンモニア又は有機
アミンを添加しておいてもよい。
【0029】有機アミンとしては、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、
トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミ
ン、ジプロピルアミン、ブチルアミン,イソブチルアミ
ン、sec−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプ
ロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジメチル
エタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブ
チルジエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−
ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミ
ノプロパンなどが挙げられる。
【0030】本発明においてスルホン酸基含有顔料誘導
体の吸着した顔料は、顔料表面が負帯電となり、その静
電反発により水中で分散するものと考えられる。又、本
発明の水性顔料分散体中の顔料誘導体は、顔料に吸着し
たものの他に、水媒体中に溶解ないし分散している未吸
着の顔料誘導体も存在する。本発明の水性顔料分散体
は、顔料粒子の表面を改質することによって顔料表面の
水親和性を増加させ、分散剤、界面活性剤、水溶性樹脂
などの外部的な分散助剤を必要とすることなく水中に安
定する自己分散型の顔料分散体である。
【0031】本発明の水性顔料分散体は、スルホン酸基
含有顔料誘導体の存在下に顔料を分散処理して得ること
ができる。さらに、スルホン酸基含有顔料誘導体の存在
下に顔料をアンモニアもしくは有機アミンを含む水中に
分散処理して得ることもできる。
【0032】アンモニア又は有機アミンの存在下で顔料
を分散させる場合、水はアンモニア又は有機アミンによ
りpHが7〜11、好ましくは8〜10となるように調
整することが好ましい。使用する水は、2価以上の金属
イオンを含まない精製水、純水またはこれに準ずる水を
使用する。
【0033】分散工程に使用する分散機としては、ペイ
ントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミ
ル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダ
イノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリ
ッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキ
サー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレア
ミックス」等)を用いることが出来る。しかし、これら
の分散機でメディアを使うものには、ガラスビーズ、ジ
ルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、スチレ
ンビーズが用いられ、メディアからの金属イオンの混入
が起きてしまう。よって、メディアを必要としない、湿
式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノ
マイザー社製「ナノマイザー」)や超音波分散機等を用
いるほうが好ましく、分散工程での金属イオンの混入を
極力防ぐことが出来る。
【0034】本発明の水性顔料分散体は、スルホン酸基
含有顔料誘導体が高い解離度を示すため、アルカリ性が
強すぎるとスルホン酸基に対するカウンターイオンの量
が過剰となって顔料誘導体の水に対する溶解性または親
水性が高くなるため、顔料表面への吸着力が低下し、分
散安定性が低下する。このため、水性顔料分散体のpH
は11を越えないようにすることが好ましい。
【0035】本発明において水性顔料分散体の表面張力
は、60mN/m以上、好ましくは60〜75mN/m
とすることができる。このことにより、広範囲の表面張
力を持ったインクジェット用記録液を調整することが可
能となる。一般に、水性顔料分散体に活性剤や水性分散
樹脂等を使用すると表面張力は低下するため、顔料分散
剤として活性剤や水溶性分散樹脂を用いた水性顔料分散
体は、表面張力が25〜50mN/mと低くなり、イン
クジェット用記録液は表面張力が狭い範囲に限定され
る。又、本発明の水性顔料分散体は、pHが7〜10、
伝導度が600μS/cm以下、粘度が4.0mPa・
s以下、好ましくは1.0〜4.0mPa・sである。
【0036】本発明の水性顔料分散体は、インクジェッ
ト用記録液100重量部中に0.5〜10重量部、さら
には2〜8重量部含まれていることが好ましい。顔料が
少なすぎると記録液としての充分な濃度が得られず、ま
た多すぎると記録液として要求される吐出安定性、ノズ
ルの耐目詰まり性が損なわれる。
【0037】本発明の水性顔料分散体を用いたインクジ
ェット用記録液には、紙への定着性、インキ塗膜の耐水
性を向上させるために、水性樹脂を用いることができ
る。使用できる水性樹脂としては、水溶性樹脂と水分散
性樹脂に大別でき、それぞれアクリル系樹脂、スチレン
−アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ブタジエン系樹脂、石油系樹脂、フッ素系樹脂等の
水溶性樹脂および水分散性樹脂が挙げられる。
【0038】水分散性樹脂の分散粒径は、重合操作や界
面活性剤等により種々変えることができ、通常は数十〜
数千nmの粒径のものが得られる。ノズルでの目詰まり
を無くすためには、レーザー光散乱粒度分布計により測
定した水分散性樹脂の平均粒径が20〜300nm、か
つ500nm以上の粗大粒子が全樹脂粒子の3重量%以
下、さらには平均粒径が50〜200nm、かつ500
nm以上の粗大粒子が全樹脂粒子の2重量%以下である
ことが好ましい。
【0039】水溶性樹脂または水分散性樹脂は、インク
ジェット用記録液100重量部中に0.05〜5重量
部、さらには0.1〜3重量部含まれていてもよい。
【0040】本発明の水性顔料分散体をインクジェット
用記録液に使用した場合、表面張力調整用、紙への浸透
性の調整用として、アニオン性、カチオン性、ノニオン
性、両性の界面活性剤や高分子界面活性剤を用いること
ができる。
【0041】アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホ
ン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキル
スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル
ジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフ
タレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチ
レンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪
酸エステル等が例示できる。
【0042】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロ
ピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレング
リコール系、フッ素系、シリコン系等の非イオン性界面
活性剤が例示できる。
【0043】カチオン性界面活性剤としては、アルキル
アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウ
ム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が例示できる。両イ
オン性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキ
ルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が例示でき
る。
【0044】高分子界面活性剤としては、アクリル系水
溶性樹脂、スチレン/アクリル系水溶性樹脂、水溶性ポ
リエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂等が例示でき
る。界面活性剤は、必要に応じてアニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高
分子界面活性剤等の2種以上を併用しても良い。
【0045】本発明の水性顔料分散体およびこの水性顔
料分散体を用いたインクジェット用記録液は、水系媒体
中に顔料、顔料誘導体および必要に応じて水系樹脂その
他の添加剤により構成される。水系媒体とは、水、水と
混和可能な有機溶媒およびそれらの混合物を表し、水と
しては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸
留水を、水性顔料分散体またはインクジェット用記録液
の49〜95重量%の範囲で用いられる。
【0046】本発明において水性溶剤とは水と混和可能
な有機溶剤であり、インクジェット用記録液としてのノ
ズル部分での乾燥、記録液の固化を防止し、安定な記録
液の噴射およびノズルでの経時の乾燥を防止するもので
あり、単独ないし混合して記録液の1〜50重量%、好
ましくは2〜25重量%の範囲で用いられる。
【0047】水性溶剤としては、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3
−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエー
テル、1,2−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピ
ロリドン、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフ
ルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペンタノ
ン等を例示できる。また、記録液の乾燥を速める目的に
おいては、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール等のアルコール類も用いることができる。
【0048】本発明の水性顔料分散体をインクジェット
用記録液に使用した場合、必要に応じて下記の様な種々
の添加剤を用いることができる。記録液の被印刷体が紙
のような浸透性のある材料のときは、紙への記録液の浸
透を早め見掛けの乾燥性を早くするため浸透剤を加える
ことができる。浸透剤としては、水性溶剤で例示したジ
エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール
エーテル、アルキレングリコール、ポリエチレングリコ
ールモノラウリルエーテル。ラウリル硫酸ナトリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナ
トリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等を用
いることができる。これらは、記録液の0〜5重量%、
好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いられる。浸透
剤は上記使用量で十分な効果があり、これよりも多いと
印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こし好まし
くない。
【0049】防腐剤は、記録液への黴や細菌の発生を防
止する目的で添加し、防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオ
ン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキ
サイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1
−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用い
られる。これらは、記録液中に0.05〜1.0重量%
の範囲で含まれることが好ましい。
【0050】キレート剤は、記録液中の金属イオンを封
鎖するものであり、ノズル部での金属の析出や記録液中
での不溶解性物の析出等を防止するものであり、エチレ
ンジアミンテトラアセティックアシッド、エチレンジア
ミンテトラアセティックアシッドのナトリウム塩、エチ
レンジアミンテトラアセティックアシッドのジアンモニ
ウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシッド
のテトラアンモニウム塩等が用いられる。これらは、記
録液中に0.005〜0.5重量%の範囲で用いられ
る。
【0051】また、記録液のpHを調整し、記録液の安
定または記録装置中の記録液配管との安定性を得るた
め、アミン、無機塩、アンモニア等のpH調整剤、リン
酸等の緩衝液を用いることができる。また、記録液の吐
出時あるいは配管内部での循環、移動、または記録液の
製造時の泡の発生を防止するため消泡剤を添加すること
もできる。
【0052】インクジェット用記録液は、顔料分散体お
よび水系樹脂を水系媒体中に分散し、適宜水で希釈、他
の添加剤を混合することにより製造できる。分散は、デ
ィスパー、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、
ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて行うこと
ができる。また、混合攪拌は通常の羽を用いた攪拌機に
よる攪拌の他、高速の分散機、乳化機等により行うこと
ができる。
【0053】混合された記録液は、希釈の前または後
に、孔径0.65μm以下のフィルター、さらには孔径
0.45μm以下のフィルターにて十分濾過することが
好ましい。フィルター濾過に先立ち遠心分離による濾過
を行うこともでき、これにより、フィルター濾過におけ
る目詰まりを少なくし、フィルター交換を少なくでき
る。
【0054】記録液は、記録装置の方式にもよるが、粘
度0.8〜15cps(25℃)の液体として調整する
ことが好ましい。表面張力は、25〜73dyn/cm
に調整することが好ましい。pHは、特に制約されない
が7〜10の弱アルカリ性が好ましい。
【0055】本発明の水性顔料分散体は、インクジェッ
ト用記録液に用いた場合に、優れた耐水性、保存安定性
を有し、ノズルでの目詰まりが無く、長期にわたり安定
な吐出を与える。また、紙に印字した印字品位において
充分な濃度を有し、色域再現範囲が広く、染料タイプと
比べて耐光性に優れている。そのため、オフィスにおけ
る書類作成、郵便物の宛名書き、ダンボールのマーキン
グ、ナンバーリング、バーコード付与等の分野でカラー
化印字物として広範囲な分野で利用できる。さらに、本
発明の水性顔料分散体は、グラビアインキ、水性塗料、
その他印刷インキ分野に用いることができる。
【0056】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものでは
ない。実施例中、部は重量部を表す。なお、顔料誘導体
中のスルホン酸基が1個である化合物(n=1)の成分
比測定、2価以上の金属イオン含有量、粒径、粘度、表
面張力、伝導度、保存安定性、沈降性、ろ過性、起泡
性、ゼータ電位の測定、およびインクジェット用記録液
の粒径、粘度、表面張力、沈降性、ろ過性、保存安定
性、吐出安定性、耐水性、耐目詰まり性の評価、普通紙
への印字品質の測定等は下記の方法で行った。
【0057】(1)顔料誘導体中のスルホン酸基を1個
有する化合物(n=1)の成分比測定顔料誘導体をメタ
ノール、ジメチルホルムアミド、水などの極性溶媒に溶
解させ、逆相のHPLC(HPLC用カラム:日本分光
製CrestpakC18S)を用いて分離し測定し
た。
【0058】(2)2価以上の金属イオン量の測定 顔料、顔料誘導体および顔料分散体を乾燥し、乾燥粉体
を硝酸、過塩素酸水溶液で酸分解した水溶液を発光分光
分析によりカルシウム量、マグネシウム量、鉄量、バリ
ウム量、アルミニウム量、ニッケル量を分析し、それら
の合計量を2価以上の金属イオン量とした。
【0059】(3)塩化物イオン量と硫酸イオン量の測
定 顔料分散体を精製水で測定可能範囲まで希釈し、イオン
クロマトグラフ測定装置(DIONEX社製2010
i)、カラム(DIONEX社製IonPacAS4
A)を用いて顔料分散体の塩化物イオンと硫酸イオン含
有量を測定した。
【0060】(4)顔料の平均粒径 顔料を溶剤に分散させ、セル上に塗布したあと透過型電
子顕微鏡(TEM)によって観察し平均粒径を求めた。
【0061】(5)分散粒径 レーザー回折方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロ
トラックUPA」)を用いて測定し、D50、D99を
測定した。
【0062】(6)粘度 低粘度領域では振動式粘度計(山一電気社製「VM−1
A」)、中粘度領域以上についてはB型粘度計を用いて
25℃における粘度を測定した。
【0063】(7)pH測定 pHイオンメーター(DKK社製「IOL−50」)を
用いて25℃におけるpHを測定した。
【0064】(8)保存安定性 水性顔料分散体では、50℃での粒径変化が15nm未
満および粘度の変化が0.5cps未満である保存期間
の日数を示した。保存安定性が一日以下の場合について
は×で示した。インクジェット用記録液では、50℃で
3週間保存後の粒径および粘度の変化から保存安定性を
評価した(○:粒径の変化15nm未満かつ粘度の変化
0.2cps未満、×:粒径の変化15nm以上または
粘度の変化0.2cps以上)。
【0065】(9)沈降性 水性顔料分散体、インクジェット用記録液、および1.
4重量%に調整した顔料誘導体の水分散液をそれぞれ、
50℃で3週間にて保存した後、容器の底の沈降物の量
を目視で確認した(◎:容器の底に沈降物なし、○:容
器の底に沈降物が少しある、×:容器の底に沈降物あ
り)。
【0066】(10)ろ過性 水性顔料分散体、インクジェット用記録液、および1.
4重量%に調整した顔料誘導体の水分散液をそれぞれ、
50℃で3週間にて保存した後、No.5Cのろ紙を用
いて15mLろ過し、ろ紙をを通過した量を評価した
(◎:15mLが全通した、○:10mL以上15mL未
満通過した、△:5mL以上10mL未満通過した、
×:5mL未満しか通過しない)
【0067】(11)ゼータ電位 顔料分散体を精製水で測定可能範囲まで希釈し、ゼータ
電位測定装置(日機装社製「Zeta PALS」)に
よって顔料分散体のゼータ電位を測定した。 (12)吐出安定性 インクジェット用記録液をインクジェットプリンター
(エプソン社製「HG−5130」)のカートリッジに
詰めて、普通紙(ゼロックス社製「K」)に印字を行
い、吐出安定性を評価した。(○:ノズルから120分
以上安定に連続吐出する、△:連続吐出120分以内で
液滴の着弾位置に乱れが生ずる、×:ノズルから安定に
吐出しない)。
【0068】(13)耐水性 (12)で得られた印字物を、水に濡らしたのち指で擦
り、印字物の変化を目視で評価した(○:インキの滲
み、剥がれが認められない、×:インキの滲み、剥がれ
が認められる)。
【0069】(14)耐目詰まり性 (12)と同様にして印字後にプリンタのキャップを外
し、1時間後に再度印字を行い、目詰まりの有無を評価
した(○:ノズルの目詰まり無し、×:ノズルの目詰ま
り有り)。
【0070】(16)印字品質 インクジェット用記録液をインクジェットプリンター
(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに
詰めて、普通紙(ゼロックス社製「4024」)にMS
明朝により文字サイズ10Pで印字を行い、インキのフ
ェザーリング性を評価した。(○:フェザーリングが殆
どなく、「龍」の字がにじまずに判別可能、×:フェザ
ーリングが有り、にじみにより「龍」の字が判別困難。
【0071】
【製造例1】(顔料誘導体(a)の製造)C.I.ピグ
メントバイオレット19 200部を98重量%硫酸2
000部に20℃以下で添加した。次に、昇温し75℃
で4時間撹拌した後、氷水に投入し析出させた。沈殿物
をろ過、アセトンで洗浄、乾燥して、顔料のスルホン化
物を、310部得た。この顔料のスルホン化物のn=1
(スルホン酸基を1個含有する化合物)成分比は65
%、n=2(スルホン酸基を2個含有する化合物)成分
比は12%、残りは無置換体であった。なお、得られた
顔料のスルホン化物の2価以上の金属イオン含有量は2
60ppm、塩化物イオンと硫酸イオンの合計含有量は
51ppmであった。この顔料のスルホン化物はカウン
ターイオンがない顔料誘導体であることを確認した。
【0072】
【製造例2】(顔料誘導体(b)の製造)製造例1で得
られた顔料誘導体(a)をイオン交換水にリスラリー
し、2重量%の水分散液(1L)を調整し、3時間煮沸
をし、常温に戻し、限外ろ過を20Lのイオン交換水を
用いて行なった。この煮沸および限外ろ過工程を顔料の
スルホン化物のn=2(スルホン酸基を2個含有する化
合物)組成比が3%以下になるまで繰り返した。最終的
に得られた顔料のスルホン化物のn=1(スルホン酸基
を1個含有する化合物)成分比は72%、n=2は1
%、残りは無置換体であった。なお、得られた顔料のス
ルホン化物の2価以上の金属イオン含有量は319pp
m、塩化物イオンと硫酸イオンの合計含有量は70pp
mであった。この顔料誘導体(b)の水分散液は濃縮さ
れ、3重量%に調整された。また、顔料のスルホン化物
はカウンターイオンがない顔料誘導体であることを確認
した。
【0073】
【製造例3】(顔料誘導体(c)の製造)C.I.ピグ
メントレッド122 100部を22重量%発煙硫酸2
88部および98重量%硫酸712部の混合液に20℃
以下で添加した。次に、昇温し85℃で3時間撹拌した
後、氷水に投入し析出させた。沈殿物をろ過、メタノー
ルで洗浄、乾燥して、顔料のスルホン化物120部を得
た。この顔料のスルホン化物のn=1(スルホン酸基を
1個含有する化合物)成分比は62%、n=2は17
%、残りは無置換体であった。なお、得られた顔料のス
ルホン化物の2価以上の金属イオン含有量は348pp
m、塩化物イオンと硫酸イオンの合計含有量は64pp
mであった。この顔料のスルホン化物はカウンターイオ
ンがない顔料誘導体であることを確認した。
【0074】
【製造例4】(顔料誘導体(d)の製造)製造例3で得
られた顔料誘導体(c)をイオン交換水にリスラリー
し、2重量%水分散液(2L)を調整し、3時間煮沸を
し、常温に戻し、限外ろ過を45Lのイオン交換水を用
いて行なった。この煮沸および限外ろ過工程を顔料のス
ルホン化物のn=2(スルホン酸基を2個含有する化合
物)組成比が3%以下になるまで繰り返した。最終的に
得られた顔料のスルホン化物のn=1(スルホン酸基を
1個含有する化合物)成分比は71%、n=2は3%、
残りは無置換体であった。なお、得られた顔料のスルホ
ン化物の2価以上の金属イオン含有量は319ppm、
塩化物イオンと硫酸イオンの合計含有量は70ppmで
あった。この顔料誘導体(d)の水分散液は濃縮され、
3重量%に調整された。また、顔料のスルホン化物はカ
ウンターイオンがない顔料誘導体であることを確認し
た。
【0075】
【製造例5】(顔料誘導体(e)の製造)C.I.ピグ
メントイエロー180 50部を97重量%硫酸750
部に10℃以下で添加した。次に、昇温し10℃で1時
間撹拌した後、氷水に投入し析出させた。沈殿物をろ
過、エタノールで洗浄、乾燥して、顔料のスルホン化物
を53部得た。この顔料のスルホン化物のn=1(スル
ホン化物のn=1(スルホン酸基を1個有する化合物)
成分比は55%、n=2(スルホン酸基を2個有する化
合物)成分比は21%、残りは無置換体であった。な
お、得られた顔料のスルホン化物の2価以上の金属イオ
ン含有量を549ppm、塩化物イオンと硫酸イオンの
合計含有量を79ppmとした。この顔料のスルホン化
物はカウンターイオンがない顔料誘導体であることを確
認した。
【0076】
【製造例6】(顔料誘導体(f)の製造)C.I.ピグ
メントブルー15:3 200部を22重量%発煙硫酸
1500部および98重量%硫酸400部の混合液に2
0℃以下で添加した。次に、昇温し47℃で4.5時間
撹拌した後、氷水3500部に投入し析出させた。沈殿
物をろ過、アセトンで洗浄し顔料のスルホン化物を乾燥
して310部得た。この顔料のスルホン化物のn=1
(スルホン酸基を1個含有する化合物)成分比は81
%、n=2(スルホン酸基を2個含有する化合物)成分
比は12%、残りは無置換体であった。なお、得られた
顔料のスルホン化物の2価以上の金属イオン含有量を4
24ppm、塩化物イオンと硫酸イオンの合計含有量を
94ppmとした。 この顔料のスルホン化物はカウン
ターイオンがない顔料誘導体であることを確認した。
【0077】
【実施例1】平均一次粒径が90nmであるC.I.ピ
グメントレッド122(2価以上の金属イオンを510
ppm含有する)を13.64g、製造例1の顔料誘導
体(a)を1.4gおよびイオン交換水85gを混合
し、メディアレス型分散機ジーナスPY(ジーナス社
製)を用いて顔料分散体を得た(流量300cc/mi
n.、圧力200MPa、パス回数:5)。この水性顔
料分散体のpHが2であることから、この水性顔料分散
体中の顔料誘導体(a)のスルホン酸基はカウンターイ
オンがなく、塩形成していないことを確認した。
【0078】
【実施例2】実施例1において顔料誘導体(a)1.4
gを製造例2の顔料誘導体(b)の水分散液45gに変
更したほかは実施例1と同操作により水性顔料分散体を
得た。
【0079】
【実施例3】平均一次粒径が90nmであるC.I.ピ
グメントレッド122(2価以上の金属イオンを510
ppm含有する)を13.64g、製造例3の顔料誘導
体(c)1.4gおよびイオン交換水65gを混合し、
混合液のpHが9.0となるようにアンモニア水を添
加、実施例1と同操作により顔料分散体を得た。この水
性顔料分散体中の顔料誘導体(c)のスルホン酸基の中
和率は100%であった。
【0080】
【実施例4】実施例3において顔料誘導体(c)1.4
gを製造例4の顔料誘導体(d)の水分散液45gに変
更したほかは実施例3と同操作により水性顔料分散体を
得た。
【0081】
【実施例5】平均一次粒径が80nmであるC.I.ピ
グメントバイオレット19(2価以上の金属イオンを4
30ppm含有する)を13.64g、製造例1の顔料
誘導体(a)を1.4gおよびイオン交換水65gを混
合し、混合液のpHが8となるように2重量%トリエタ
ノールアミンを添加、実施例1と同操作により顔料分散
体を得た。この水性顔料誘導体中の顔料誘導体(a)の
スルホン酸基の中和率は100%であった。
【0082】
【実施例6】実施例5において顔料誘導体(a)1.4
gを製造例2の顔料誘導体(b)の水分散液45gに変
更したほかは実施例5と同操作により水性顔料分散体を
得た。
【0083】
【実施例7】平均一次粒径が80nmであるC.I.ピ
グメントイエロー180(2価以上の金属イオン含有量
を395ppm含有する)20g、製造例5の顔料誘導
体(e)2.0gおよびイオン交換水110gを混合
し、混合液のpHが9.0になるようにアンモニア水を
添加し、実施例1と同操作により顔料分散体を得た。
【0084】
【実施例8】平均一次粒径が80nmであるC.I.ピ
グメントブルー15:3(2価以上の金属イオンを50
0ppm含有する)20g、製造例6の顔料誘導体
(f)を2.0gおよびイオン交換水50gを混合し、
混合液のpHが9.0になるようにトリエタノールアミ
ン水溶液を添加し、実施例1と同操作により顔料分散体
を得た。
【0085】
【比較製造例1】(誘導体(g)の製造)製造例1と同
様に顔料のスルホン化をおこない、アセトン洗浄を5重
量%の食塩水洗浄に変更し、顔料のスルホン化物の水ペ
ースト1600部(乾燥時315部)を得た。この顔料
のスルホン化物のn=1(スルホン酸基を1個含有する
化合物)成分比は61%、n=2(スルホン酸基を2個
含有する化合物)成分比は13%、残りは無置換体であ
った。次に、顔料誘導体の水ペーストをイオン交換水で
リスラリーして1重量%水分散液に調整し、ろ過膜(日
本ポール社製「セントラルメイトカセット」分画分子量
300000)を備えた限外ろ過機(日本ポール社製
「セントラメイト」)を用いて脱塩洗浄し、2価以上の
金属イオン含有量を950ppmから670ppm、塩
化物イオンと硫酸イオンの合計含有量を76000pp
mから30ppmとした後、イオン交換水を添加し、顔
料誘導体(g)の水分散液を3重量%の調整した。
【0086】
【比較製造例2】(顔料誘導体(h)の製造)比較製造
例1で得られた顔料誘導体(g)の水ペーストを製造法
2と同様にして煮沸および限外ろ過をした。得られた顔
料のスルホン化物のn=1(スルホン酸基を1個含有す
る化合物)成分比は70%、n=2(スルホン酸基を2
個含有する化合物)成分比は2%、残りは無置換体であ
った。また、得られた顔料のスルホン化物の2価以上の
金属イオン含有量は428ppm、塩化物イオンと硫酸
イオンの合計含有量は68ppmであった。この顔料誘
導体(h)の水分散液を濃縮し、3重量%に調整した。
【0087】
【比較例1】平均一次粒径が90nmであるC.I.ピ
グメントレッド122(2価以上の金属イオンを510
ppm含有する)を13.64g、比較製造例1の顔料
誘導体(g)の水分散液を45gおよびイオン交換水3
0gを混合し、実施例1と同操作により顔料分散体を得
た。
【0088】
【比較例2】比較例1において顔料誘導体(g)の水分
散液を比較製造例2の顔料誘導体(h)の水分散液に変
更したほかは比較例1と同操作により水性顔料分散体を
得た。
【0089】各製造例で得られた顔料誘導体の水分散液
の沈降性およびろ過性の評価結果を表1に示した。
【0090】
【表1】
【0091】各実施例および比較例で得られた顔料分散
体の評価結果を表2に示した。
【0092】
【表2】
【0093】実施例9〜16および比較例3〜4 表3に示す組成の原料を攪拌槽に仕込み、ディスパーに
より攪拌、混合を行なった後、0.8μmのメンブラン
フィルターでろ過し、インクジェット用記録液を得た。
得られたインクジェット用記録液について、粒経および
粘度を測定し、保存安定性、沈降性、ろ過性、吐出安定
性、耐水性、耐目詰まり性を評価した。結果を表3に示
す。
【0094】
【表3】
【0095】水溶性樹脂溶液:ジョンソンポリマー
(株)製スチレン/アクリル系水溶性樹脂水溶液、「ジ
ョンクリルJ−62」、固形分約34% 活性剤:花王(株)製アニオン性界面活性剤「ペレック
ス0T−P」、固形分約70% 防黴剤:ゼネカ(株)製「プラクセルGXL」
【0096】
【発明の効果】本発明の水性顔料分散体は、有機溶剤で
洗浄した塩形成していないスルホン酸基を含む顔料誘導
体を用いて顔料を水中に分散させることで、凝集や沈降
の原因となっている金属イオン含有量が非常に少ない分
散体が得られる。さらにこの水性顔料分散体の顔料では
高い分散安定性が得られ、経時における沈降性およびろ
過性が非常に良好である水性顔料分散体とすることがで
きた。また、この水性顔料分散体はアンモニア又は有機
アミンの存在下で水中に分散させることで、より安定な
沈降性やろ過性の優れた水性顔料分散体とすることがで
きた。又、本発明は、 ・にじみがなく高品位な記録画像が得られること、 ・記録液の乾燥、定着速度が速いこと、 ・ノズルや記録液流通経路で目詰まりせず、安定して記
録液が吐出すること、 ・記録液の保存安定性が良いこと、 ・記録濃度が高いこと、 ・印刷物の耐候性、耐水性が良いこと 等の要求特性を満たす水性インクジェット用記録液に使
用できる水性顔料分散体の製造法を提供する事が出来
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC01 2H086 BA54 BA55 4J037 AA30 CA20 EE19 EE25 EE28 EE33 EE43 EE46 EE48 FF03 FF15 FF22 4J039 BC39 BC60 BE01 CA06 DA02 DA08 EA15 EA16 EA17 EA20 EA21 EA35 EA38 EA41 EA42 EA44 EA47 GA24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料を強酸中でスルホン化し、塩形成し
    ていないスルホン酸基含有顔料誘導体を析出させる工程
    と、該スルホン酸基含有顔料誘導体を有機溶剤で洗浄す
    る工程と、洗浄したスルホン酸基含有顔料誘導体を用い
    て顔料を水中に分散させる工程を含む水性顔料分散体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 アンモニア又は有機アミンの存在下で水
    中に分散させる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造方法で得られ
    た水性顔料分散体。
  4. 【請求項4】請求項3記載の水性顔料分散体を含むイン
    クジェット用記録液。
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JP2004143337A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Sharp Corp 水性マジェンタインク
JP2006206626A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Toray Ind Inc 水性顔料分散液、およびそれを用いたインク組成物
TWI553062B (zh) * 2008-01-31 2016-10-11 Sakata Inx Corp Pigment dispersions and color filters for pigment dispersion photoresist compositions

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