JP2002284862A - 高分子化合物およびその製造方法と使用法 - Google Patents
高分子化合物およびその製造方法と使用法Info
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- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Abstract
造方法および使用法を提供する。 【解決手段】 下記式(1)で示される構造を主鎖内に
持つ高分子化合物。 【化17】 [式(1)において、X1およびX2は、各々、同一でも
異なるものであってもよく、ベンゼン環を構成する炭
素、またはピリジン環を構成する窒素を表す。R1およ
びR2は、各々、同一でも異なるものであってもよく、
置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン環を構成す
るときは0、1、2または3であり、ピリジン環を構成
するときは0、1または2である。Yは、5〜7員のヘ
テロ環を完成させるための原子または原子群を表す。]
Description
役系を有する新規な高分子化合物とその製造方法に関す
るものであり、具体的には、有機ELデバイス、有機F
ET(電界効果トランジスタ)デバイス等の機能性有機
デバイス用の材料としての用途が期待できる高分子化合
物とその製造方法に関する。また、エレクトロクロミッ
ク材料、電池用活物質としての使用法に関する。
学的機能材料として注目されており、例えば2次電池や
有機ELデバイス、あるいは有機FETデバイス等に応
用されている。例えば、2次電池には、ポリアニリンや
ポリチオフェン等が、有機ELデバイスには、ポリパラ
フェニレンビニレン(PPV)や、ポリパラフェニレン
(PPP)等が、有機FETデバイスには、ポリチオフ
ェン等が用いられている。しかしながら、これまでに開
発されてきた材料の多くが電子供与性の高分子であるた
め、デバイスの設計が限られる、等の制約が生じてい
る。例えば、高分子ELデバイスの領域では、現在報告
されているデバイスのほとんどが電子供与性材料からな
る電子輸送能力に乏しいデバイスであり、電子受容性を
有しn型導電体としての特性が期待される高分子材料と
組み合わせることでさらなる特性の改善が可能である。
また、導電性高分子を用いたFETデバイスの領域では
電子供与性のポリチオフェンベースのp型FETデバイ
スの報告は数多くされているが、電子受容性高分子を用
いるFETデバイスはいまだ報告されておらず、電子受
容性を持ちn型特性を示す高分子材料の出現が望まれて
いる。
ELデバイス、有機FETデバイス等の機能性有機デバ
イスの機能材料としての用途が期待できる、電子受容性
を有する新規なπ共役高分子化合物と、その製造方法を
提供することにある。また、エレクトロクロミック材
料、電池用活物質としての使用法を提供することであ
る。
の本発明によって達成される。
鎖内に持つ高分子化合物。
々、同一でも異なるものであってもよく、ベンゼン環を
構成する炭素、またはピリジン環を構成する窒素を表
す。R1およびR2は、各々、同一でも異なるものであっ
てもよく、置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン
環を構成するときは0、1、2または3であり、ピリジ
ン環を構成するときは0、1または2である。Yは、5
〜7員のヘテロ環を完成させるための原子または原子群
を表す。] (2) 式(1)中のX1およびX2が、ピリジン環を構
成する窒素である上記(1)の高分子化合物。 (3) 式(1)中のYが、O、S、N=N、またはR
11N−CO−NR1 2(但し、R11およびR
12は、各々、同一でも異なるものであってもよく、水
素または置換基を表す。)である上記(1)または
(2)の高分子化合物。 (4) 分子量が、重量平均分子量で1000以上であ
る上記(1)〜(3)のいずれかの高分子化合物。 (5) 式(2)で示される上記(1)〜(4)のいず
れかの高分子化合物。
々、同一でも異なるものであってもよく、ベンゼン環を
構成する炭素、またはピリジン環を構成する窒素を表
す。R1およびR2は、各々、同一でも異なるものであっ
てもよく、置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン
環を構成するときは0、1、2または3であり、ピリジ
ン環を構成するときは0、1または2である。Yは、5
〜7員のヘテロ環を完成させるための原子または原子群
を表す。nは重合度を表し、5〜1000である。] (6) 上記(1)〜(5)のいずれかの高分子化合物
を、下記式(3)で示されるジハロゲン化合物を脱ハロ
ゲン化して重合することにより得る高分子化合物の製造
方法。
々、同一でも異なるものであってもよく、ベンゼン環を
構成する炭素、またはピリジン環を構成する窒素を表
す。R1およびR2は、各々、同一でも異なるものであっ
てもよく、置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン
環を構成するときは0、1、2または3であり、ピリジ
ン環を構成するときは0、1または2である。Yは、5
〜7員のヘテロ環を完成させるための原子または原子群
を表す。Z1およびZ2は、各々、同一でも異なるもので
あってもよく、ハロゲンを表す。] (7) 脱ハロゲン化重合が、銅またはゼロ価ニッケル
化合物の存在下で行われる上記(6)の高分子化合物の
製造方法。 (8) 上記(1)〜(5)のいずれかの高分子化合物
を、エレクトロクロミック材料または電池用活物質とし
て使用する高分子化合物の使用法。
示される構造を主鎖内に持つ高分子化合物であり、電子
受容性を有する新規なπ共役高分子化合物である。
々、同一でも異なるものであってもよく、ベンゼン環を
構成する炭素、またはピリジン環を構成する窒素を表
す。R1およびR2は、各々、同一でも異なるものであっ
てもよく、置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン
環を構成するときは0、1、2または3であり、ピリジ
ン環を構成するときは0、1または2である。Yは5〜
7員のヘテロ環を完成させるための原子または原子群を
表す。
1およびX2は、通常、同一であり、電子受容性を発現さ
せる上では、窒素同士の組合せが好ましい。
ってもよく、例えばニトロ基、アミノ基等が好ましく、
炭素数1〜3のアルキル基等であってもよい。kは、ベ
ンゼン環、ピリジン環のいずれの場合も0(すなわち、
所定の結合以外に置換基をもたないもの)であることが
好ましい。
好ましくは、O、S、N=N、R1 1N−CO−NR
12、等が挙げられ、特に、O、N=N、R11N−C
O−NR12、等が好ましい。ここで、R11およびR
12は、各々、同一でも異なるものであってもよく、水
素または置換基(例えば、炭素数1〜3のアルキル基)
を表し、通常同一であることが好ましく、特に、水素同
士の組合せが好ましい。
れる構造を主鎖内に有するものであれば、その構造に特
に制限はなく、式(1)の構成繰り返し単位のほか、電
子受容性を阻害しない範囲内で、他の構成繰り返し単位
(例えば、ピリジン、ピリミジン、キノリン、ナフチリ
ジンなどから誘導されるもの)を有するものであっても
よいが、特に、式(1)で示される構造からなる高分子
化合物であることが好ましい。この場合、式(1)の構
成繰り返し単位が同一のホモポリマーであってもよく、
式(1)の構成繰り返し単位の異なる組合せのコポリマ
ーであってもよいが、合成の容易さや特性上、ホモポリ
マーであることが好ましい。
均分子量で、1000以上が好ましく、さらには300
0〜50000であることが好ましい。このような分子
量を持つことで、成型しやすくなり、また成形品の強度
が向上する。
(2)で示されるものが好ましく、なかでも、ホモポリ
マーが好ましい。
k、Yは、式(1)中のものと同義のものであり、好ま
しいものも同様である。nは、重合度であり、5〜10
00である。
すが、これらに限定されるものではない。併せて、重量
平均分子量Mwを示す。また、末端基はすべてHであ
る。
造に応じて、下記式(3)で示されるジハロゲン化合物
を出発原料とし、これらを脱ハロゲン化するとともに、
重合することにより得られる。
k、Yは、式(1)中のものと同義のものである。Z1
およびZ2は、各々、同一でも異なるものであってもよ
く、ハロゲンを表す。Z1、Z2で表されるハロゲンとし
ては、Cl、Br、I等が挙げられる。Z1およびZ
2は、同一であることが好ましく、Br同士の組合せな
どが好ましい。
ロゲン化能を有する金属または金属化合物を存在させ
る。本発明に用いる金属または金属化合物としては、多
様なものが挙げられる。まず、金属としては、還元性金
属または有機ハロゲン化物のC−Cカップリング反応を
起こす金属が望ましく、例えば、Li、Na、K等の1
族金属、Mg、Ca等の2族金属、Ti、V、Cr、F
e、Co、Ni、Cu等の遷移金属、Zn等の12族金
属、Al、Ga等の13族金属、Sn等の14族金属が
挙げられる。これらの金属は、必要に応じて、他の金属
または金属化合物からなる触媒を用いてもよい(Mgを
用いる類似の重合において、ニッケル化合物を触媒とす
る例が雑誌「高分子」第46巻、68頁(1997年)
中の式(1)に記載されている)。また、金属化合物と
しては、特に制限はないが、還元性金属化合物または有
機ハロゲン化物のC−Cカップリング反応を起こさせる
ものが望ましく、例えばゼロ価ニッケル化合物、ゼロ価
パラジウム化合物などが挙げられる。これらのゼロ価金
属化合物を用いる場合、こうしたゼロ価金属化合物その
ものを用いてもよいし、また2価ニッケル化合物、2価
パラジウム化合物等を加え反応系中において亜鉛Znや
ヒドラジン等の還元剤を用いて発生させてもよい。ゼロ
価ニッケル化合物を用いてC−C結合生成を伴う単独重
合の形式としては、特願平6−42428号に記載の重
合形成を挙げることができる。
ケル化合物が好ましく、特に、ゼロ価ニッケル錯体(例
えば、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル:
Ni(cod)2)の使用が好ましい。
アミド(DMF)等の有機溶媒などを用いて、60℃程
度の温度で行えばよい。
を得る場合の反応スキームを以下に示す。
元素分析、赤外吸収スペクトル(IR)等によって同定
することができる。また、分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフ(GPC)法によって求めたもので
ある。
物であり、有機ELデバイスや有機FETデバイス等の
電子受容性をもつ高分子材料としての用途が期待され
る。また、本発明の高分子化合物のうち、X1=X2=N
のものは、金属に対する高分子キレート剤としての用途
も期待できる。
を伴う電気化学的還元反応を示すことから、エレクトロ
クロミック材料として使用することができる。また、酸
化還元機能を利用した電池用活物質として使用すること
もできる。これらの具体的な適用方法や形態について
は、公知のものに準じる。
明する。 実施例1(合成) 高分子化合物P−2(ポリ(ジピリド[3,2-c:2',3'-e]
ピリダジン−3,8−ジイル))の合成 高分子化合物P−2の反応スキームを以下に示す。
(2) 2−クロロ−3−ニトロピリジン(1)(10g,63.1mmo
l)、N,N−ジメチルホルムアミド(30cm3)、および
銅ブロンズ粉末(12g)を100℃で2時間、オイルバス中
で撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過物にアンモニア
水を加えた。沈殿物を濾別し、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーで精製した(溶離剤CHCl3)。真空下で蒸
発乾固し、薄黄色の目的物の粉末を得た(4.93g,収率64
%)。同定は、元素分析、IR(KBr法)、1HNMR
により行った。 1−2)ジピリド[3,2-c:2',3'-e]ピリダジン(3) 3,3’−ジニトロ−2,2’−ビピリジル(2)(0.
25g,1.0mmol)を水(7.2cm3)中にNa2S・9H2O
(2.2g,9.2mmol)を溶解した溶液を加え、室温で4.5時
間撹拌した。この溶液をクロロホルム(100cm3)で2回
抽出し、抽出物を水で洗い、乾燥し、蒸発乾固した。明
黄色の残渣をエタノールから再結晶し、目的物の明黄色
針状結晶を得た(0.16g,収率89%)。同定は、元素分
析、IR(KBr法)、1HNMRにより行った。 1−3)3,8−ジブロモジピリド[3,2-c:2',3'-e]ピ
リダジン(4) ジピリド[3,2-c:2',3'-e]ピリダジン(3)(1.6g,8.6m
mol)、濃HBr(70cm3)、およびBr2(41.4g,259mm
ol)を100℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、沈殿
物を濾別し、水とエタノールで洗った。沈殿物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(溶離剤エチ
ルアセテート)。蒸発乾固により、薄黄色の目的物の粉
末を得た(2.7g,収率92%)。同定は、元素分析、IR
(KBr法)、1HNMRにより行った。 2)高分子化合物P−2:ポリ(ジピリド[3,2-c:2',3'
-e]ピリダジン−3,8−ジイル)、PDpyPd
(8) ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、
Ni(cod)2(0.86,3.1mmol)を室温で乾燥DMF
(20cm3)中に加えて溶液とし、これに、2,2’−ビ
ピリジル(0.41g,2.6mmol)と1,5−シクロオクタジ
エン(1.45cm3、11.8mmol)を加えた。1時間撹拌後、
3,8−ジブロモジピリド[3,2-c:2',3'-e]ピリダジン
(4)(0.41g,1.21mmol)を反応系に加えた。その混合
物を60〜70℃で48時間反応させた。室温まで冷却後、混
合物をアンモニア水(500cm3)に加え、1晩撹拌した。
濾別した粉末を温EDTA水溶液、温水、希アンモニア
水、メタノールで洗い、100℃で15時間真空乾燥し、目
的物のPDPyPd(0.154g,収率70%)を得た。元素分
析の結果を以下に示す。なお、2,2’−ビピリジンが
水和物であることは一般的に知られている。 実測値:C52.23%、H4.19%、N24.37% 計算値:(C10H4N4・2.8H2O)n:C52.08%、H4.20%、N24.30% IR(KBr法)の結果を、ジピリド[3,2-c:2',3'-e]
ピリダジン(3)および3,8−ジブロモジピリド[3,2
-c:2',3'-e]ピリダジンとともに図1に示す。図1から
モノマーにおいて1100〜900cm-1付近のν(C−Br)
のシャープなピークがポリマー化により消失しているこ
とがわかる。
のMwは、DMF溶解部分のGPC分析から求めて、3.
0×103であり、固有粘度ηは0.10dLg-1(30℃、ギ酸
中)であった。 実施例2(合成) 高分子化合物P−1(ポリ(ベンゾ[c]シンノリン−
3,8−ジイル))の合成 高分子化合物P−1の反応スキームを以下に示す。
ェニル(6) DMF(100cm3)中の1,4−ジブロモ−2−ニトロベ
ンゼン(5)(12g,43mmol)を銅ブロンズ(8.2g)とと
もに4時間環流させた。反応混合物を濾過し、濾過物に
アンモニア水を加えた。沈殿物を濾別し、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製した(溶離剤CHCl3/ヘ
キサン=1/1)。真空下で蒸発乾固し、薄黄色の目的物
の粉末を得た(3.32g,収率39%)。同定は、元素分析、
IR(KBr法)、1HNMRにより行った。 1−2)3,8−ジブロモベンゾ[c]シンノリン(7) 4,4−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル
(6)(1.2g,3.0mmol)、ドライエーテル(50cm3)お
よびベンゼン(50cm3)を、ドライエーテル(70cm3)と
LiAlH4の混合物に加えた。室温で2時間撹拌し、1
5分間ウォーターバスで温め、その後冷却した。水を加
えて、過剰なLiAlH4を分解し、混合物を濾過し、
濾液を蒸発させ、残渣をシリカクロマトグラフィーを使
用してクロロホルムで分離精製した。真空下で溶媒を蒸
発させ、薄黄色の目的物を得た(0.88g,収率88%)。元
素分析、IR(KBr法)、1HNMRで同定した。 2)高分子化合物P−1:ポリ(ベンゾ[c]シンノリン
−3,8−ジイル)、PBC(9) ビス(1,5−シクロオキタジエン)ニッケル(0)、
Ni(cod)2(0.72,2.6mmol)を室温で乾燥DMF
(20cm3)中に加えて溶液とし、これに、2,2’−ビ
ピリジル(0.34g,2.2mmol)と1,5−シクロオクタジ
エン(1.3cm3、10.2mmol)を加えた。1時間撹拌後、
3,8−ジブロモベンゾ[c]シンノリン(7)(0.35g,
1.0mmol)を反応系に加えた。その混合物を60〜70℃で4
8時間反応させた。室温まで冷却後、混合物をアンモニ
ア水(500cm3)に加え、1晩撹拌した。濾別した粉末を
温EDTA水溶液、温水、希アンモニア水、メタノール
で洗い、100℃で15時間真空乾燥し、目的物のPBC
(0.18g,収率約100%)を得た。元素分析の結果を以下に
示す。なお、実測値と計算値に少々差があるのは、この
ポリマーの熱的安定性が高いためと考えられる。 実測値:C74.78%、H4.63%、N13.79%、Br0.0% 計算値:(C12H6N2・0.85H2O)n:C74.49%、H4.01%、N14.48% IR(KBr法)の結果を、1,4−ジブロモ−2−ニ
トロベンゼン(5)、4,4’−ジブロモ−2,2’−
ジニトロビフェニル(6)および3,8−ジブロモベン
ゾ[c]シンノリン(7)とともに図1に示す。図1から
モノマーにおいて1100〜900cm-1付近のν(C−Br)
のシャープなピークがポリマー化により消失しているこ
とがわかる。
のMwは、DMF溶解部分のGPC分析から求めて、1.
64×104であった。 実施例3(測定) 実施例1、2で得られた高分子化合物P−2(PDpy
Pd)、P−1(PBC)について、種々の溶媒に対す
る溶解性(25℃)を調べた結果を表1に示す。表1よ
り、PDpyPdは、DMF、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、N−メチル−2−ピロリジノン(NM
P)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン(DM
I)のような極性有機溶媒に対しては一部溶解し、ギ
酸、硫酸のような酸性溶媒に対しては良好な溶解性を示
すことがわかった。これに対し、PBCは、N数が少な
いためか、PDpyPdに比べて、有機溶媒、酸性溶媒
のいずれに対しても溶解性が劣った。なお、表中のTH
Fはテトラヒドロフランである。
Pd)、P−1(PBC)について、可視紫外吸収スペ
クトル(UV−vis)、ホトルミネッセンス(PL)の
スペクトルの測定を行った。
OH中で可視紫外吸収スペクトルを測定し、この結果を
図3および表2に示した。PLは、DMF中で測定し、
励起スペクトル(図中、Excitationで示す)と発光スペ
クトル(図中、Emissionで示す)について図5に示し、
表2にλmaxを示した。
中で可視紫外吸収スペクトルを測定し、この結果を図4
および表2に示した。PLはDMSO中で測定し、励起
スペクトルと発光スペクトルについて図6に示し、表2
に発光のλmaxを示した。
ナントロリン−3,8−ジル)、PPhenのデータ
と、ポリ(ジヒドロフェナントロリン−2,7−ジイ
ル)、PH2Phのデータを表2に併記した。
と、PBC、PH2Phについては、ビフェニル単位中
にオルト水素が存在するために、立体障害が存在すると
考えられ、ポリマー鎖にそって広がるπ−共役系の形成
が阻害されると考えられる。このような現象は、ギ酸中
のPDpyPD、PPhenがプロトン化されるため、
同様に生じると考えられる。これに対し、DMSO、D
MF中では、PDpyPdは、このような立体障害が存
在しないと考えられ、事実、こうした有機溶媒中では吸
収ピークが長波長側に移行している。
に比べて、発光のλmaxが長波長側にある。吸収スペク
トルの吸収端およびPL(λmax)から、それぞれ、計
算したバンドギャップを表2に示したが、PDpyPd
のバンドギャップが他に比べて0.5eV程度小さいこと
がわかる。
Pd)、P−1(PBC)のサイクリック ボルタンメ
トリー(CV)の測定を行った。[NEt4][BF4]
のCH3CN溶液(0.1mol/L)中で行い、白金プレート
上のキャストフィルムを測定試料とした。結果を図7に
示す。図中a)は、掃引速度が50mVs- 1であり、
b)、c)は100mVs-1であり、スキャニングは、
a)は2.3〜−2.1V(vs.Ag+/Ag)、b)、c)
は0〜−2.5V(vs.Ag+/Ag)の範囲で行った。な
お、a)に示すように、電位変化に伴い、暗茶色(dark
brown)から茶色(brown)の色の変化がみられた。
な酸化還元サイクルを示し、還元ピーク(Epc)、酸
化ピーク(Epa)は、それぞれ、−2.02V、−
1.82V(vs.Ag+/Ag)であり、これらのピークはP
BCのn−ドーピングとn−脱ドーピングに対応してい
る。一方、PDpyPdフィルムは、0〜−2.5V
(vs.Ag+/Ag)のスキャニングで、n−ドーピング、n
−脱ドーピングに対応するピークを1.38V、0.8
2V(vs.Ag+/Ag)にもつことがわかる。これらの結果
から、PDpyPdはPPhen(後記表3のEpc参
照)、PBCに比べて、繰り返し構成単位に2個余分に
イミン窒素をもつことに起因して、より還元されやすい
ことがわかる。一方、PDpyPdについて−2.1〜
+2.3Vの範囲で測定したCVでは、3段階の還元ピ
ーク(−0.1V、−0.6V、−1.3Vvs.Ag+/A
g)がみられるが、−0.1Vと−0.6Vのピーク
は、1.9Vの酸化ピークとカップリングしており、
1.9V付近のp−ドープPDpyPdのp−脱ドーピ
ングピークに帰属されるものであることがわかった。
BC、PPhen、およびPBCの原料となるモノマー
であるBC、PDpyPdの原料となるモノマーである
DpyPdのCVデータを表3にまとめる。E1 0は還元
電位である。
フラン−3,7−ジイル))の合成 高分子化合物P−3の反応スキームを以下に示す。
2,2’−ビピリジン(2) 5,5−ジブロモ−3,3’−ジニトロ−2,2’−ビ
ピリジン(1)(4.60g,11.4mmol)を、SnCl2・2H2
O(24.5g,106mmol)の濃HCl(40cm3)溶液に加え、60
℃で2時間撹拌した。室温まで冷却し、20%NaOH水
溶液でアルカリ化し、クロロホルムで抽出した。抽出物
を水洗し、MgSO4で乾燥した。溶媒留去後、残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤クロロホ
ルム)で精製した。溶媒留去後、黄色の目的物の粉末が
得られた(3.88g,収率99%)。同定は、元素分析、IR
(KBr法)、1HNMRにより行った。 1−2)3,7−ジブロモジピリド[3,2-b:2',3'-d]フ
ラン(3) 3,3’−ジアミノ−5,5’−ジブロモ−2,2’−
ビピリジン(2)(0.52g,1.5mmol)を80%ギ酸(2c
m3)に溶解し、これに、0〜5℃で、濃硫酸(1.5cm3)
のNaNO2(0.15g,12.2mmol)溶液を滴下した。この混
合物をガス放出がなくなるまで、50〜60℃で撹拌
し、その後、さらに90℃で10分間撹拌した。20%N
aOH水溶液でアルカリ化し、クロロホルムで抽出し、
無水MgSO4で乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤クロロホルム)
で精製した。溶媒を留去すると、黄色の目的物の粉末が
得られた(0.12g,収率25%)。同定は、元素分析、IR
(KBr法)、1HNMRにより行った。 2)高分子化合物P−3(ポリ(ジピリド[3,2-b:2',3'
-d]フラン−3,7−ジイル))、PDpyFu(4) ビス(1,5−シクロオキタジエン)ニッケル(0)、
Ni(cod)2(0.25,0.91mmol)を室温で乾燥DMF
(20cm3)中に加えて溶液とし、これに、2,2’−ビ
ピリジル(0.12g,0.77mmol)と1,5−シクロオクタジ
エン(0.43cm3、350mmol)を加えた。10分撹拌後、3,
7−ジブロモジピリド[3,2-b:2',3'-d]フラン(3)
(0.114g,0.35mmol)を反応系に加えた。その混合物を6
0〜70℃で48時間反応させた。室温まで冷却後、混合物
をアンモニア水(500cm3)に加え、1晩撹拌した。濾別
した粉末を温EDTA(EDTA・2K+・2H2O)水溶液、温
水、希アンモニア水、メタノールで洗い、100℃で15時
間真空乾燥し、目的物のPDpyFu(0.44g,収率75
%)を得た。元素分析の結果を以下に示す。なお、2,
2’−ビピリジンが水和物であることは一般的に知られ
ている。 実測値:C64.11%、H3.49%、N15.14%、O14.20% 計算値:(C10H4N2O・0.95H2O)n:C64.25%、H3.18%、N14.9
9%、O16.69% IR(KBr法)の結果を、3,7−ジブロモジピリド
[3,2-b:2',3'-d]フランとともに図8に示す。図8から
モノマーにおいて1074cm-1付近のν(C−Br)のシャ
ープなピークがポリマー化により消失していることがわ
かる。
のMwは、DMF溶解部分のGPC分析から求めて、2.
9×103であった。
u)について、種々の溶媒に対する溶解性(25℃)を
調べた。この結果を表4に示す。
Pのような極性有機溶媒に対しては一部溶解し、ギ酸、
硫酸のような酸性溶媒に対しては可溶であることがわか
った。
u)について、可視紫外吸収スペクトル(UV−vi
s)、ホトルミネッセンス(PL)のスペクトルの測定
を行った。
OH中で可視紫外吸収スペクトルを測定し、この結果を
図9および表5に示した。PLは、DMF中で測定し、
励起スペクトル(図中、Excitationで示す)と発光スペ
クトル(図中、Emissionで示す)について図10に示
し、表5にλmaxを示した。なお、表5には、比較のた
め、PDpyFuのモノマー原料であるDpyFuと、
ポリ(ピリジン−2,5−ジイル)Ppyおよびポリ
(2,2’−ビピリジン−5,5’−ジイル)PBpy
の可視紫外吸収スペクトルの結果を併記する。
λmaxはDMF中よりギ酸の方が長波長側となってい
る。ギ酸中のλmaxは、PpyやPBpyよりも長波長
側にある。これは縮合フラン環によりπ−共役系が広が
ったためと考えられる。
となるモノマーDpyFuよりは、PDpyFuの方
が、π−共役系の形成により、λmaxが40〜80nm長
波長側に移行し、フィルム状では、有機溶媒中よりも長
波長側となる。
400nmであり、0.85に至る高量子収率(吸光度
0.01)の青色発光が得られる。濃硫酸中のPDpy
Fuは0.42のかなりの量子収率(吸光度0.05)
を示す。
u)のサイクリック ボルタンメトリー(CV)の測定
を行った。[NEt4][BF4]のCH3CN溶液(0.1
0mol/L)中で行い、白金プレート上のキャストフィルム
を測定試料とした。掃引速度は100mVs-1である。結
果を図11に示す。
uフィルムは、−1.5Vと−2.2Vに還元ピークを
もち、−2.0Vと−1.8V(vs.Ag+/Ag)に酸化ピ
ークをもつ酸化還元サイクルを有する。なお、0.0〜
−2.4Vのスキャニングとした。還元ピークは、PD
pyFuのn−ドーピング(ドーピングレベル0.4
V、0.2V)およびn−脱ドーピングに対応してい
る。第1サイクルのドーピングレベルは0.6Vである
が、第2サイクルよりも0.2〜0.3V小さくなって
いる。また、図11a)に示されるように、0.0〜+
2.0Vの酸化領域では、酸化ピークが1.3Vと1.
6Vに存在するが、第2サイクルでは消失している。図
11c)では、+2.0〜−2.4V(vs.Ag+/Ag)の
スキャニングを行っているが、−2.2Vにある第2の
n−ドーピングピークとその脱ドーピングピークは小さ
くなっている。一方、−1.5Vの第1のn−ドーピン
グピークは−1.9Vと−1.6Vに分離しており、こ
れは+0.5、+1.4Vの広い酸化ピークに関係して
いると考えられる。
ジアゼピン−6−オン−3,9−ジイル))の合成 高分子化合物P−4の反応スキームを以下に示す。な
お、次の実施例11の高分子化合物P−5のものも併せ
て示す。
ニル(2a) 実施例2の1−1)と同様にして合成した。 1−2)2,2’−ジアミノ−ジブロモビフェニル(3
a) 4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル
(2a)(2.8g,7.0mmol)を、SnCl2・2H2O(15g,
6.5mmol)の濃HCl(30cm3)溶液に加えた。この混合
物を60℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合
物を20%NaOH水溶液でアルカリ化し、クロロホルム
で抽出した。抽出物を水洗し、MgSO4で乾燥した
(溶融剤クロロホルム)。溶媒留去の後、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒留
去により青味がかった黄色の目的物の粉末が得た(2.1
g,収率87%)。同定は、元素分析、IR(KBr法)、1
HNMRにより行った。 1−3)3,7−ジブロモジベンゾ[2,1-d:1',2'-f]ジ
アゼピン−6−オン(4a) 2,2’−ジアミノ−4,4’−ジブロモビフェニル
(3a)(0.51g,1.5mmol)と尿素(0.30g,5.0mmol)をDM
F(15cm3)に加え、12時間還流した。この混合物を冷
却し、水(10cm3)で希釈した。沈殿物を濾過し、水洗
し、真空下で乾燥すると、白色の目的物の粉末が得られ
た(0.52g,収率95%)。同定は、元素分析、IR(KB
r法)、1HNMRにより行った。 2)高分子化合物P−4:ポリ(ジベンゾ[2,1-d:1',2'
-f]ジアゼピン−6−オン−3,9−ジイル)、PDB
DAz(5a) ビス(1,5−シクロオキタジエン)ニッケル(0)、
Ni(cod)2(0.93g,3.4mmol)を室温で乾燥DMF
(40cm3)中に加えて溶液とし、これに、2,2’−ビ
ピリジル(0.47g,3.0mmol)と1,5−シクロオクタジ
エン(1.7cm3、14mmol)を加えた。10分間撹拌後、
3,9−ジブロモジベンゾジアゼピン−6−オン(4
a)(0.50g,1.4mmol)を反応系に加えた。その混合物
を60〜70℃で48時間反応させた。室温まで冷却後、混合
物をアンモニア水(500cm3)に加え、1晩撹拌した。濾
別した粉末を温EDTA(EDT・2K+・2H2O)水溶液、温
水、希アンモニア水、メタノールで洗い、100℃で15時
間真空乾燥し、目的物のPDBDAz(0.26g,収率91
%)を得た。元素分析の結果を以下に示す。 実測値:C72.58%、H4.97%、N12.73%、O9.16% 計算値:(C13H8N2O・0.41H2O)n:C72.42%、H4.12%、N12.
99%、O10.46% IR(KBr法)の結果を、3,9−ジブロモジベンゾ
ジアゼピン−6−オンとともに図12に示す。図12か
らモノマーにおいて1100〜900cm-1付近のν(C−B
r)のシャープなピークがポリマー化により消失してい
ることがわかる。
のMwは、DMF溶解部分のGPC分析からピーク面積
で4:6の2型の曲線が得られ、これに対応して4.14×
103および2.66×103と求められた。
ジアゼピン−6−オン−3,9−ジイル)の合成 反応スキームは前述のとおりである。 1)モノマーの合成 1−1)3,3’−ジアミノ−5,5’−ジブロモ−
2,2’−ビピリジン(3b) 実施例6の1−1)と同様にして合成した。 1−2)3,9−ジブロモジピリド[3,2-d:2',3'-f]ジ
アゼピン−6−オン(4b) 5,5’−ジブロモ−3,3’−ジアミノ−2,2’−
ビピリジン(3b)(0.18g,0.52mmol)と尿素(0.22g,3.
7mmol)をDMF(5cm3)に加え、12時間還流した。この
混合物を冷却し、水(10cm3)で希釈した。沈殿物を濾
過し、水洗し、真空下で乾燥すると、明茶色の目的物の
粉末が得られた(0.19g,収率100%)。同定は、元素分
析、IR(KBr法)、1HNMRにより行った。 2)高分子化合物P−2(ポリ(ジピリド[3,2-d:2',3'
-f]ジアゼピン−3,9−ジイル))、PDpyDAz
(5b) ビス(1,5−シクロオキタジエン)ニッケル(0)、
Ni(cod)2(0.28,1.0mmol)を室温で乾燥DMF
(15cm3)中に加えて溶液とし、これに、2,2’−ビ
ピリジル(0.14g,0.9mmol)と1,5−シクロオクタジ
エン(0.51cm3、4.1mmol)を加えた。10分間撹拌後、
3,9−ジブロモジピリド[3,2-d:2',3'-f]ジアゼピン
−6−オン(4b)(0.15g,0.41mmol)を反応系に加え
た。その混合物を60〜70℃で48時間反応させた。室温ま
で冷却後、混合物をアンモニア水(500cm3)に加え、1
晩撹拌した。濾別した粉末を温EDTA(EDTA・2K+・2H
2O)水溶液、温水、希アンモニア水、メタノールで洗
い、100℃で15時間真空乾燥し、目的物のPDPyDA
z(0.025g,収率30%)を得た。元素分析の結果を以下に
示す。なお、2,2’−ビピリジンが水和物であること
は一般的に知られている。 実測値:C56.42%、H3.95%、N23.56%、O17.05% 計算値:(C11H6N4O・1.4H2O)n:C56.12%、H3.77%、N23.80
%、O16.31% IR(KBr法)の結果を、3,9−ジブロモジピリド
[3,2-d:2',3'-f]ジアゼピン−6−オンとともに図13
に示す。図13からモノマーにおいて1100〜900cm-1付
近のν(C−Br)のシャープなピークがポリマー化に
より消失していることがわかる。
z)のMwは、DMF溶解部分のGPC分析から求め
て、2.9×103であった。
BDAz)、P−5(PDpyDAz)について、種々
の溶媒に対する溶解性(25℃)を調べた。この結果を
表6に示す。
(DMF、DMSO、NMP、DMI)、酸性溶媒(ギ
酸、硫酸)のいずれに対しても一部溶解する程度である
が、PDpyDAzは、2個のイミン窒素に起因して、
極性有機溶媒、酸性溶媒のいずれに対しても良好な溶解
性を示す。
BDAz)、P−5(PDpyDAz)について、可視
紫外吸収スペクトル(UV−vis)、ホトルミネッセン
ス(PL)のスペクトルの測定を行った。
OH中で可視紫外吸収スペクトルを測定し、この結果を
図14および表7に示した。PLは、DMF中で測定
し、励起スペクトル(図中、Excitationで示す)と発光
スペクトル(図中、Emissionで示す)について図17に
示した。
COOH中あるいはフィルム(Film)状で可視紫外吸収
スペクトルを測定し、この結果を図15および表7に示
した。PLはDMF中で測定し、励起スペクトルと発光
スペクトルについて図18に示した。
なるモノマーのDBrDBDAz、PDpyDAzの原
料となるモノマーのDBrDpyAzの可視紫外吸収ス
ペクトルのλmaxを表7に併記した。
PDBDAzでは、DMF中よりHCOOH中の方がλ
maxが短波長側になっているのに対し、PDpyDAz
ではHCOOH中の方がλmaxが長波長側になってい
る。このような傾向は各モノマーにおいても同様であ
る。これは、PDpyDAzでは、2個のイミン窒素と
尿素単位が単一系に存在するため、HCOOH中では、
図16に示されるように、有機溶媒中と同様のAタイプ
の水素結合に加えて、イミン窒素の水素化による新たな
分子間水素結合が生成し、ポリマー鎖の平面性が増し
て、π−共役系が拡大するためと考えられる。したがっ
て、対応するモノマーの溶媒の違いによる長波長化より
も大きくなっている。また、ポリ(ピリジン−2,5−
ジイル)やポリ(2,2’−ビピリジン−5,5’−ジ
イル)のように、尿素単位を持たない高分子化合物では
HCCO中の長波長化はみられない。また、フィルムで
の測定も、有機溶媒と比べて、長波長化はさほどでもな
い。
クは455nm、PDpyDAzのPLピークは480nm
であり、量子収率は、PDBDAzが0.51、PDp
yDAzが0.34であった。
Az)、P−5(PDpyDAz)のサイクリック ボ
ルタンメトリー(CV)の測定を行った。[NEt4]
[BF4]のCH3CN溶液(0.1mol/L)中で行い、白金
プレート上のキャストフィルムを測定試料とした。掃引
速度は100mVs-1である。結果を各々図19、20に
示す。
BDAzフィルムは0.0〜−2.0V(vs.Ag+/Ag)
の範囲でスキャンさせたとき、還元ピークを−1.4
V、酸化ピークを−1.1Vに持つ可逆的な酸化還元サ
イクルを示し、各ピークはPDBDAzのn−ドーピン
グとn−脱ドーピングに各々対応する。第1のサイクル
のドーピングレベルは1.0Vであるが、第2のサイク
ルでは0.5〜0.6Vに減少する。
1.5Vの酸化側では、酸化ピークは0.4Vと1.2
Vに存在し、おそらく、各々、アミン窒素とPPP(ポ
リパラフェニレン)骨格によると考えられる。第2のサ
イクルからは、これらのピークはほとんど消失する。
−2.0Vの範囲でスキャンすると、図19a)と同位
置の0.5〜0.6Vのドーピングレベルとともに、n
−ドーピングとn−脱ドーピングに対応する可逆的酸化
還元ピークがみられる。しかしながら、1.2Vの酸化
ピークは依然として不可逆的である。
pyDAzフィルムは0.0〜−1.7V(vs.Ag+/A
g)の範囲でスキャンさせたとき、還元ピークを−1.
4V、酸化ピークを−1.1Vに持つ可逆的な酸化還元
サイクルを示し、各ピークはPDpyDAzのn−ドー
ピングとn−脱ドーピングに各々対応する。第1のサイ
クルのドーピングレベルは0.4Vであるが、第2のサ
イクルでは0.2〜0.3Vに減少する。
1.0Vの酸化側では、酸化ピークは0.4Vと1.2
Vに存在し、おそらく、各々、アミン窒素とポリピリジ
ン骨格によると考えられる。第2のサイクルからは、こ
れらのピークはほとんど消失する。
−1.7Vの範囲でスキャンすると、図20b)と同位
置の0.4Vと0.1Vにアミノ基による酸化ピークと
そのドーピングピークがみられた。n−ドーピングとn
−脱ドーピングに対応するピークは、各々、−1.1V
と+0.1Vのピークを与えるように正方向に移行して
いる。
(ポリマー)も含めて、以下の高分子化合物の酸化還元
特性を比較した。
原料となるモノマーのE1 0(還元電位)とEpc、Ep
aを表8に示す。ポリマーは、前述のとおり、フィルム
状で、モノマーは溶液としてサイクリックボルタンメト
リー(CV)から求めたものである。
ク(n−脱ドーピング)の電位の平均値はE1 0と考えら
れる。
LUMO(最低空軌道)のエネルギーレベルの計算値で
ある繰り返し構成単位(モノマー単位)のEA(電子親
和力)を表9に示す。MOPAC計算はCACheシス
テムを使用して行った。
て、モノマー単位のEAに対するポリマーのE1 0の関係
を示す。図21から、E1 0とEAとに直線関係があるこ
とがわかる(E1 0=ρ1・EA+a1、ρ1=2.37、
a1=−4.11V)。
て、モノマー単位のE1 0に対するポリマーのE1 0の関係
を示す。図22から、直線関係を示すことがわかり、E
1 0(ポリマー)=ρ2・E1 0(モノマー)+a2、ρ2=
2.07、a2=2.19V)の関係を示す。この結果
から、還元能力はモノマー単位の電子受容能力に依存す
ることがわかる。しかし、このほかのポリマーでは、構
造上の違いによるためか、直線性は示さなかった。
位のIP(イオン化ポテンシャル)をUPS(紫外分光
法)の測定から求めた。この値を表10に示す。
マー単位に対するIP(IPM)の関係を示したが、直
線関係を示すことがわかる(IPP=ρ3・IPM+a3、
ρ3=2.299、a3=−6.77V)。
高被占軌道)に対応するものである。一方、可視紫外吸
収スペクトルの吸収端およびホトルミネッセンスのλma
xはバンドギャップに対応している。ポリマーのバンド
構造は、HOMOエネルギーレベルと可視紫外吸収スペ
クトルの吸収端から計算されたバンドギャップから得ら
れる。ポリマーのEA、IP、吸収端から計算したバン
ドギャップを表11に示す。また、バンド構造を図24
に示す。
共役高分子化合物が得られる。これらは、有機ELデバ
イスや有機FETデバイス等の高分子機能材料としての
用途が期待できる。また、エレクトロクロミック材料や
電池用活物質として使用できる。
Rスペクトル図である。
Rスペクトル図である。
ル図である。
ル図である。
スペクトル図である。
スペクトル図である。
メトリー図である。
Rスペクトル図である。
ル図である。
のスペクトル図である。
ンメトリー図である。
IRスペクトル図である。
IRスペクトル図である。
トル図である。
トル図である。
す模式図である。
のスペクトル図である。
のスペクトル図である。
ンメトリー図である。
ンメトリー図である。
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 下記式(1)で示される構造を主鎖内に
持つ高分子化合物。 【化1】 [式(1)において、X1およびX2は、各々、同一でも
異なるものであってもよく、ベンゼン環を構成する炭
素、またはピリジン環を構成する窒素を表す。R1およ
びR2は、各々、同一でも異なるものであってもよく、
置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン環を構成す
るときは0、1、2または3であり、ピリジン環を構成
するときは0、1または2である。Yは、5〜7員のヘ
テロ環を完成させるための原子または原子群を表す。] - 【請求項2】 式(1)中のX1およびX2が、ピリジン
環を構成する窒素である請求項1の高分子化合物。 - 【請求項3】 式(1)中のYが、O、S、N=N、ま
たはR11N−CO−NR12(但し、R11およびR
12は、各々、同一でも異なるものであってもよく、水
素または置換基を表す。)である請求項1または2の高
分子化合物。 - 【請求項4】 分子量が、重量平均分子量で1000以
上である請求項1〜3のいずれかの高分子化合物。 - 【請求項5】 式(2)で示される請求項1〜4のいず
れかの高分子化合物。 【化2】 [式(2)において、X1およびX2は、各々、同一でも
異なるものであってもよく、ベンゼン環を構成する炭
素、またはピリジン環を構成する窒素を表す。R1およ
びR2は、各々、同一でも異なるものであってもよく、
置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン環を構成す
るときは0、1、2または3であり、ピリジン環を構成
するときは0、1または2である。Yは、5〜7員のヘ
テロ環を完成させるための原子または原子群を表す。n
は重合度を表し、5〜1000である。] - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの高分子化合物
を、下記式(3)で示されるジハロゲン化合物を脱ハロ
ゲン化して重合することにより得る高分子化合物の製造
方法。 【化3】 [式(3)において、X1およびX2は、各々、同一でも
異なるものであってもよく、ベンゼン環を構成する炭
素、またはピリジン環を構成する窒素を表す。R1およ
びR2は、各々、同一でも異なるものであってもよく、
置換基を表す。kはX1およびX2がベンゼン環を構成す
るときは0、1、2または3であり、ピリジン環を構成
するときは0、1または2である。Yは、5〜7員のヘ
テロ環を完成させるための原子または原子群を表す。Z
1およびZ2は、各々、同一でも異なるものであってもよ
く、ハロゲンを表す。] - 【請求項7】 脱ハロゲン化重合が、銅またはゼロ価ニ
ッケル化合物の存在下で行われる請求項6の高分子化合
物の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかの高分子化合物
を、エレクトロクロミック材料または電池用活物質とし
て使用する高分子化合物の使用法。
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