JP2002280424A - スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール - Google Patents

スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール

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JP2002280424A JP2001083013A JP2001083013A JP2002280424A JP 2002280424 A JP2002280424 A JP 2002280424A JP 2001083013 A JP2001083013 A JP 2001083013A JP 2001083013 A JP2001083013 A JP 2001083013A JP 2002280424 A JP2002280424 A JP 2002280424A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で、剛性、耐熱性及び耐磨耗性が優れた
スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リ
ールを提供する。 【解決手段】 リール1において、コア2、スポーク3
及びリング4を設ける。コア2は、JISH4000に
記載されている3000系、6000系又は7000系
アルミニウム合金であって、耐力が80N/mm
上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐
力が50N/mm以上であるアルミニウム材を使用し
て製造し、スポーク3は、耐力が250N/mm
上、高温耐力が100N/mm以上であるアルミニウ
ム材を使用して製造し、リング4は、耐力が80乃至3
50N/mm、伸びが10%以上、高温耐力が50N
/mm以上であるアルミニウム材を使用して製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TAB(Tape Aut
omated Bonding)テープ、T−BGA(Tape-Ball Grid
Array)テープ、CSP(Chip Size Package)テー
プ、ASIC(Application Specific Integrated Circ
uit)テープ等の電子部品実装用フィルムキャリアテー
プ上に電子部品を実装する工程及びこれに付随する工程
等において前記電子部品実装用フィルムキャリアテープ
を巻き取るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリア
テープ用リールに関し、特に、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金(以下、総称してアルミニウム材という)か
らなるスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテー
プ用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】近時、パーソナルコンピュータ、液晶テ
レビ、電子手帳、ワードプロセッサ等の電子機器の小型
化、軽量化、高機能化が要望されている。このため、I
C(集積回路)、LSI(大規模集積回路)等の電子部
品を実装する方法として、TABテープ等の電子部品実
装用フィルムキャリアテープを使用する実装方法が多く
採用されている。
【0003】この電子部品実装用フィルムキャリアテー
プ(以下、テープという)においては、樹脂からなるフ
ィルムキャリアテープ上に銅からなる配線が形成されて
いる。電子部品の実装は、この電子部品の電極を前記配
線に圧着して接続することにより行われる。
【0004】このテープは専用のリール、即ち電子部品
実装用フィルムキャリアテープ用リール(以下、リール
という)に巻装されており、前記電子部品の実装工程及
びこれに付随する工程においては、テープが複数のリー
ル間を搬送され、この搬送に伴いリールによるテープの
巻取り及び巻きほどきが繰り返される。
【0005】従来、このリール(電子部品実装用フィル
ムキャリアテープ用リール)には、合成樹脂製のリール
が使用されてきた。しかしながら、合成樹脂製のリール
には以下に示す問題点がある。近時、電子部品の実装工
程の生産性を向上させるため、リールの大型化が進んで
いる。リールが大型化すると、合成樹脂製のリールは剛
性が保てなくなるという問題点がある。電子部品の実装
は、例えば0.5乃至5μmといった極めて高い精度が
要求されるため、リールの形状にも高い精度が要求され
る。このため、リールが剛性を保てずに変形すると、電
子部品の実装が不可能になる。また、リールの剛性を向
上させるために樹脂を厚肉化すると、リールの質量が増
加する。これにより、リールを回転させるステッピング
モータのトルクが不足しがちになるため、ステッピング
モータの大型化が必要になり、設備コスト及びランニン
グコストが増加する。更に、リールの大型化に伴い射出
成形が困難になると共に、歪みが発生しやすくなり、リ
ールの加工精度が低下するという問題点がある。
【0006】また、電子部品の実装工程においては、レ
ジストの焼付け及びテープの乾燥に伴い、リールが13
0乃至180℃程度の温度に加熱される。しかしなが
ら、合成樹脂製のリールは耐熱性が低く、温度の上昇に
伴いリールの強度が低下してリールが変形するという問
題点がある。これにより、テープがリールの軸方向にず
れ、精密な位置決めが困難になる。その結果、電子部品
の実装に際してリード線と電極の位置がずれると共に、
テープの巻取り及び巻き戻しが困難になる。また電子部
品がテープから剥離することもある。
【0007】更に、合成樹脂製のリールは耐摩耗性が低
いため、使用に伴ってリールが摩耗するという問題点が
ある。これにより、リールの形状が狂い、電子部品の実
装の精度が低下すると共に、テープ及びテープ間に挿入
される緩衝材に巻き擦れが発生し製品(電子部品及びテ
ープ)を傷つける。また、リールが摩耗すると摩耗粉が
発生し、この摩耗粉が電子部品及びテープを傷つける。
電子部品の実装工程においては塵及び埃による害が極め
て大きいため、作業はクリーンルーム内で行われる。従
って、リールからの摩耗粉の発生は極めて深刻な問題と
なる。
【0008】上述のような合成樹脂製のリールの問題点
を解決するために、近時、ステンレス製のリールが使用
されている。ステンレス製のリールは合成樹脂製のリー
ルと比較して、剛性、加工精度及び耐摩耗性が優れてい
る。しかしながら、ステンレス製のリールは合成樹脂製
のリールよりも重いという問題点がある。このため、リ
ールを回転させるステッピングモータのトルクが不足し
がちになり、ステッピングモータ及びその周辺設備の大
型化が必要となる。特に、リールを大型化するとこの問
題点が顕著になる。
【0009】このようなステンレス製のリールの問題点
を解決するために、特開平11−245988号公報に
はチタン製のリールが開示されている。特開平11−2
45988号公報に記載されたリールは、1対のフラン
ジ部、軸心ハブ部及び巻取りハブ部からなるフランジ型
TAB用リールであり、少なくともフランジ部がチタン
又はチタン合金により構成されている。これにより、ス
テンレス製のリールと比較して、リールの質量をある程
度軽減することができる。
【0010】チタン製のリールは、ステンレス製のリー
ルと比較するとある程度軽量化されているが、軽量化の
程度はまだ不十分である。また、チタン及びチタン合金
は機械加工が難しく、加工コストが高く、加工精度が低
く、且つ耐摩耗性が劣るという問題点がある。更に、チ
タン及びチタン合金は材料コストが高いという問題点が
ある。
【0011】そこで、コア、リング及びスポークの全て
をアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム
材)製とすることにより、ステンレス製リール、チタン
又はチタン合製リールと比較して、リールを軽量化する
ことができると共に、合成樹脂製リールと比較して、リ
ールの剛性、耐熱性及び耐摩耗性を向上させることがで
きる。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】しかしながら、上述の従来の技術には以下
に示すような問題点がある。アルミニウム材は軽量であ
り機械加工性が優れるが、反面、ステンレスと比較する
と強度及び耐摩耗性が劣る。特に、スポークは前記スポ
ーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール
を構成する部品の中でも特に大きな力が印加される部品
であり、また棒状の形状を持つため変形しやすく、テー
プが直接接触するため摩耗しやすい。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、軽量であり、剛性、耐熱性及び耐摩耗性が
優れたスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテー
プ用リールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスポーク型
電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールは、電
子部品実装用フィルムキャリアテープが巻き付けられる
コアと、前記コアから放射状に延びるように前記コアの
幅方向両端部に夫々複数個固定された2組のスポーク
と、前記コアと同心に配置されるように各組の前記スポ
ークの先端に固定された1対のリングとがアルミニウム
又はアルミニウム合金からなるスポーク型電子部品実装
用フィルムキャリアテープ用リールにおいて、前記スポ
ークが、耐力が250N/mm以上、180℃の温度
に100時間保持したときの高温耐力が100N/mm
以上であるアルミニウム又はアルミニウム合金により
製造されていることを特徴とする
【0015】本発明においては、スポークを構成するア
ルミニウム材の耐力を250N/mm以上とすること
により、スポークの剛性を向上させ、リールの製造工程
及び電子部品の実装工程におけるスポークの変形を防止
することができる。また、アルミニウム材の高温耐力を
100N/mm以上とすることにより、スポークの耐
熱性が良好になり、電子部品の実装工程においてレジス
トの焼付け及びテープの乾燥に伴う加熱によるスポーク
の変形を防止できる。
【0016】更に、クリープ強さを100N/mm
上とすることにより、長期間の使用に伴うスポークの変
形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことが
できる。このため、スポークを構成するアルミニウム材
のクリープ強さを100N/mm以上とすることが好
ましい。なお、本発明において、クリープ強さとは温度
が150℃のときクリープ速度が1.0%/1000時
間になる応力値をいう。
【0017】また、前記リングは、耐力が80乃至35
0N/mm、伸びが10%以上、180℃の温度に1
00時間保持したときの高温耐力が50N/mm以上
であるアルミニウム材により製造されていることが好ま
しい。
【0018】リングを構成するアルミニウム材の耐力を
80N/mm以上とすることにより、リングの剛性を
向上させてリールの回転中にリングが撓むことを防止で
きる。また、耐力を350N/mm以下、伸びを10
%以上とすることにより、リールの製造工程においてリ
ングを曲げ加工により成形することができる。更に、高
温耐力を50N/mm以上とすることにより、電子部
品の実装工程においてレジストの焼付け及びテープの乾
燥に伴う加熱によるリングの変形を防止できる。更にま
た、クリープ強さを50N/mm以上とすることによ
り、長期間の使用に伴うリングの変形をより確実に防止
でき、リールの寿命を延ばすことができる。
【0019】更に、前記コアは、JISH4000に記
載されている3000系、6000系又は7000系ア
ルミニウム合金であって、耐力が80N/mm以上、
180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が
50N/mm以上であるアルミニウム材により製造さ
れていることが好ましい。
【0020】コアを構成するアルミニウム材の耐力を8
0N/mm以上とすることにより、コアの剛性が向上
し、リールの製造工程及び電子部品の実装工程における
コアの変形を防止することができる。また、高温耐力を
50N/mm以上とすることにより、電子部品の実装
工程においてレジストの焼付け及びテープの乾燥に伴う
加熱によるコアの変形を防止できる。更に、クリープ強
さを50N/mm以上とすることにより、長期間の使
用に伴うコアの変形をより確実に防止でき、リールの寿
命を延ばすことができる。更にまた、前記コアの素材と
してJISH4000に記載されている3000系、6
000系又は7000系アルミニウム合金を使用するこ
とにより、前記各特性が得られると共に、ポートホール
押出し性が良好になる。
【0021】前記スポークは、Si:4.6乃至13.
5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.
2乃至1.5質量%を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物からなる組成を有するアルミニウム合金により製
造することができる。
【0022】このアルミニウム合金は、強度、耐力及び
切削性が優れているため、スポークの剛性、耐摩耗性及
び加工精度が向上する。また、スポーク表面の摩擦係数
が低下すると共に、焼付きを防止することができる。な
お、このアルミニウム合金は、不可避的不純物として、
Fe、Mn、Zn、Ti、Cr及びZrからなる群から
選択される1種又は2種以上の元素を、夫々0.1質量
%以下含有していてもよい。
【0023】また、前記スポークは、Si:4.6乃至
13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、M
g:0.2乃至1.5質量%を含有し、更に、Fe:
0.1乃至1.0質量%、Mn:0.2乃至1.0質量
%、Ti:0.001乃至0.05質量%、Cr:0.
05乃至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25
質量%からなる群より選択された1種又は2種以上の元
素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組
成を有するアルミニウム合金により製造することができ
る。
【0024】このアルミニウム合金の強度、耐力及び切
削性が優れていると共に、耐熱性が高いため、スポーク
の剛性、耐摩耗性、加工精度及び耐熱性が向上する。ま
た、スポーク表面の摩擦係数が低下すると共に、焼付き
を防止することができる。
【0025】前記スポークは、温度が25℃のときの線
膨張係数が2.3×10−5/deg以下であるアルミ
ニウム材により製造されていることが好ましい。これに
より、スポークの熱変形を抑制し、リングの形状が狂う
ことを抑制することができる。
【0026】また、前記スポーク、コア、リングのうち
少なくとも1つは、押出し法により形成されていること
が好ましい。
【0027】これにより、鋳造法により形成する場合と
比較して、コアを薄肉化することができ、より軽量化す
ることができる。また、鋳造法により形成する場合と比
較して、リールを低コストで精度よく製造することがで
きる。更に、スポーク、コア、リングの全てを押出し法
により形成すれば、製造設備を1ヶ所にまとめることが
でき、設備コスト及び製造設備間のリールの輸送コスト
を削減することができる。
【0028】また、各組の前記スポークにおける他の組
の前記スポークの方向を向いている面及び前記1対のリ
ングにおける互いに対向する面に耐摩耗性皮膜を形成し
てもよい。これにより、スポーク及びリングにおけるテ
ープが接触する面に耐摩耗性皮膜が形成されることにな
るため、リールの耐摩耗性をより向上させることができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)及び
(b)は、本発明の実施例に係るスポーク型電子部品実
装用フィルムキャリアテープ用リールの構成を示す側面
図及び正面断面図である。図2(a)及び(b)は、夫
々図1(a)及び(b)に示すA断面及びB断面の構成
を示す断面図である。
【0030】図1(a)及び(b)に示すように、本実
施例に係るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリア
テープ用リール1は、コア2、スポーク3及びリング4
から構成されている。コア2、スポーク3及びリング4
はアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム
材)により構成されている。コア2は二重円筒構造を有
し、リール1の中心に配置されている。スポーク3は棒
状の形状を有し、8本設けられ2本ずつ対になりコア2
を挟むようにコア2に連結されている。この4対のスポ
ーク3は夫々の一端がコア2に連結されコア2を中心に
放射状に延びるように配置されている。換言すれば、ス
ポーク3は4本を1組として2組に分けられ、この2組
が夫々コア2の幅方向両端部において同一平面を形成す
るように配置されている。スポーク3の他端には1対の
リング4が連結されている。リング4は円環状の形状を
有し、コア2と同軸に配置され、リール1の外縁部を構
成している。
【0031】図2(a)に示すように、リング4の形状
は断面形状が曲げ加工が容易な平板形状である。また、
図2(b)に示すように、スポーク3の形状は押出性が
優れる丸形である。
【0032】本実施例において、コア2を二重円筒構造
とする理由を以下に説明する。コア2の外面にはTAB
テープ等のテープ(電子部品実装用フィルムキャリアテ
ープ)が巻き付けられるが、このテープにはある程度剛
性があるため、例えばコア2の外径が100mm未満で
はテープが破損する可能性がある。一方、テープの製造
設備におけるシャフト径は通常25乃至70mm程度で
ある。従って、コア2の内径はシャフトと嵌合するよう
にシャフト径と同程度にする必要がある。このため、コ
ア2を一重円筒構造にしようとすると、肉厚が厚くなり
質量が増加してしまう。従って、コア2は二重円筒構造
とする。コア2の外径は、巻き取るテープの種類により
異なるが、例えば約120mmである。コア2の幅はテ
ープの幅により決定され、例えば40乃至60mm程度
が一般的である。
【0033】また、本実施例において、コア2はポート
ホール押出し法により製造されている。この理由を以下
に説明する。コア2を鋳造法により製造しようとする
と、湯流れを確保するため、各部の肉厚を10mm以上
にする必要がある。このため、コア2の質量が増加す
る。また、鋳造法は生産性が低く、品質が安定しない。
更に、鋳造材は表面処理が困難であるという問題点があ
る。一方、コア2は二重円筒構造を持つため、マンドレ
ル押出し法により製造することができない。これに対し
て、ポートホール押出し法によれば、薄肉の二重円筒構
造を持つコア2を生産性良く製造することができる。更
に、コア2をポートホール押出し法により製造すること
により、コア2を押出し管の形態で保管し、注文に応じ
て所定の幅に切断して出荷することができる。これによ
り、製品の納期を短縮化できると共に、在庫管理が効率
的になる。従って、コア2はポートホール押出し法によ
り製造する。
【0034】従って、コア2には、ポートホール押出し
性、剛性、機械加工性(切削性)及び耐熱性が要求され
る。このため、コア2を構成するアルミニウム材は、耐
力が80N/mm以上、180℃の温度に100時間
保持したときの高温耐力が50N/mm以上であるこ
とが好ましい。この理由を以下に詳しく説明する。
【0035】コアを構成するアルミニウム材の耐力:8
0N/mm以上 耐力を80N/mm以上とすると、コアの切削加工工
程、リール組み立て工程及びテープ製造工程におけるリ
ールハンドリング作業時にコアが変形することを確実に
防止することができる。従って、コアを構成するアルミ
ニウム材の耐力は80N/mm以上であることが好ま
しい。より好ましくは、100N/mm 以上である。
【0036】コアを構成するアルミニウム材の高温耐
力:50N/mm以上 電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテ
ープの乾燥に伴いリールが加熱される。一般に、高温に
なるとアルミニウム材は焼きなまされ強度が低下する。
強度低下に伴い、リールに印加される外力によりリール
の各部品が変形する。この変形によりテープの傷付き及
び電子部品の実装精度の低下が起こるため、テープの巻
取りが困難又は不可能になる。リールが加熱される温度
は、電子部品の実装に使用するレジストの種類、焼付炉
とリールとの間の距離及び気温等により異なるが、およ
そ130乃至180℃程度である。このため、180℃
の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/
mm以上であれば、前記変形を防止できる。従って、
高温耐力は50N/mm以上であることが好ましい。
【0037】なお、リールには形状凍結性が必要である
が、前述の如く長時間に渡り高温雰囲気中で外力が印加
され続けることにより、リールの各部にクリープ変形が
発生する。クリープ強さを50N/mm以上とするこ
とにより、加熱によるコアの変形をより確実に防止で
き、リールの寿命を延ばすことができる。従って、クリ
ープ強さは50N/mm以上であることが好ましい。
【0038】上述の性能を満たすアルミニウム材とし
て、JISH4000に記載されている3000系合
金、6000系合金、7N01合金及び7003合金等
が好適である。これに対して、JISH4000に記載
されている2000系合金、4000系合金及び500
0系合金はポートホール押出しが困難であるため、本実
施例におけるコアの材料としては好ましくない。
【0039】スポーク3には、押出し性、剛性、機械加
工性(切削性)、耐熱性及び耐摩耗性が要求される。特
に、スポーク3の形状は棒状であり他の部品と比較して
変形しやすいため、高い剛性が要求される。また、リー
ル1によるテープの巻取り及び巻きほぐしに伴い、スポ
ーク3にはテープの端縁が直接接触するため、スポーク
3には特に高い耐摩耗性が要求される。スポーク3が摩
耗すると、対向するスポーク3間の間隔が広くなり、テ
ープが蛇行するようになって、実装精度が低下すると共
に巻き擦れが発生する。このため、スポーク3を構成す
るアルミニウム材は、耐力が250N/mm以上、1
80℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が1
00N/mm以上であることが必要である。また、2
5℃における線膨張係数が2.3×10−5/deg以
下であることが更に好ましい。上述の数値限定理由を以
下に説明する。
【0040】スポークを構成するアルミニウム材の耐
力:250N/mm以上 耐力を250N/mm以上とすると、スポークの切削
加工工程、リール組み立て工程及びテープ製造工程にお
けるリールハンドリング作業時におけるスポークの変形
を防止することができる。従って、スポークを構成する
アルミニウム材の耐力は250N/mm以上であるこ
とが必要である。
【0041】スポークを構成するアルミニウム材の高温
耐力:100N/mm以上 電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテ
ープの乾燥に伴いり−−ルが加熱される。180℃の温
度に100時間保持したときの高温耐力が100N/m
以上であれば、この加熱による変形を防止できる。
従って、高温耐力は100N/mm以上であることが
必要である。好ましくは、200N/mm以上であ
る。
【0042】なお、クリープ強さを100N/mm
上とすることにより、長時間の高温加熱によるスポーク
の変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすこ
とができる。従って、クリープ強さは100N/mm
以上であることが好ましい。より好ましくは、200N
/mm以上である。
【0043】スポークを構成するアルミニウム材の25
℃における線膨張係数:2.3×10−5/deg以下 リールが加熱されることにより、リールが熱膨張し形状
精度が低下する場合がある。また、リール内の各部が相
互に異なる温度に加熱されると、熱膨張の違いからリー
ルが変形する。特にスポークの形状は棒状であるため、
長手方向の膨張が他の部品と比較して顕著である。25
℃における線膨張係数が2.3×10 /deg以下
であればこのような変形を確実に防止できる。従って、
25℃における線膨張係数は2.3×10−5/deg
以下であることが好ましい。
【0044】上述の性能を満たすアルミニウム材とし
て、例えば、JISH4000に記載されている200
0系合金、4000系合金及び7000系合金等が好適
である。特に、Si:4.6乃至13.5質量%、C
u:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5
質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からな
る組成を有するアルミニウム合金が適している。また、
このアルミニウム合金は更に、Fe:0.1乃至1.0
質量%、Mn:0.2乃至1.0質量%、Ti:0.0
01乃至0.05質量%、Cr:0.05乃至0.3質
量%及びZr:0.05乃至0.25質量%からなる群
より選択された1種又は2種以上の元素を含有していて
もよい。このような合金の例として、4000系の開発
合金であるAl−10質量%Si−2.7質量%Cu−
0.7質量%Mg系合金が挙げられる。以下、前述の数
値限定理由を説明する。
【0045】Si:4.6乃至13.5質量% Siはアルミニウム材に添加することにより、耐摩耗性
を向上させると共に、MgSiを析出させて表面の摩
擦係数を低下させる効果がある。これにより、テープの
接触による摩耗を軽減することができる。Siを4.6
質量%以上添加することにより前記効果が十分に発揮さ
れる。一方、13.5質量%を超えて添加すると切削性
が低下すると共に、初晶Siが析出して押出し性が低下
する。また、靭性及び疲労強度が低下する。従って、S
i含有量は4.6乃至13.5質量%であることが好ま
しい。
【0046】Cu:2.0乃至5.0質量% CuはAlCu及びAl−Cu−Mg系析出物を生成
してアルミニウム材を析出強化すると共に、MgSi
を微細化して強度、切削性、焼付き防止性及び耐摩耗性
を向上させる効果がある。Cuを2.0質量%以上添加
することにより前記効果が十分に発揮される。一方、
5.0質量%を超えて添加すると、加工性及び押出し性
が低下する。従って、Cu含有量は2.0乃至5.0質
量%であることが好ましい。
【0047】Mg:0.2乃至1.5質量% Mgはアルミニウム材の強度を向上させる効果がある。
また、Siと共にMg Siを析出させ、アルミニウム
材の摩擦係数を低下させる効果がある。Mgを0.2質
量%以上添加することにより前記効果が十分に発揮され
る。一方、1.5質量%を超えて添加すると、耐摩耗性
が低下すると共に、加工性及び押出し性が低下する。従
って、Mg含有量は0.2乃至1.5質量%であること
が好ましい。
【0048】また、前記スポーク用のアルミニウム合金
に、Fe:0.1乃至1.0質量%及びMn:0.2乃
至1.0質量%のうち少なくとも一方を添加することに
より、耐摩耗性及び耐熱性をより向上させることができ
る。また、Mnにはアルミニウム合金の金属組織を繊維
状にして機械的性質を向上させる効果もある。この効果
を得るための好適添加範囲は0.3乃至0.7質量%で
ある。更に、Tiを0.001乃至0.05質量%添加
することにより、アルミニウム合金の鋳塊組織を微細化
して機械的性質を安定化させることができる。更にま
た、Cr:0.05乃至0.3質量%及びZr:0.0
5乃至0.25質量%の少なくとも一方を添加すること
により、アルミニウム合金の金属組織を繊維状にして機
械的性質を向上させることができる。
【0049】更にまた、前記アルミニウム材の鋳塊の溶
製に際し、Na、Sr及びPのうち少なくとも1種の元
素を添加することにより、Siを微細化し球状化するこ
とができる。
【0050】リング4は押出し法により平板形状の部材
を形成し、これを長手方向に沿って円環状に湾曲させ長
手方向両端部を突き合せて溶接することにより製造され
ている。従って、リング4には、押出し性、剛性、曲げ
加工性、耐熱性及び溶接性が要求される。このため、リ
ング4を構成するアルミニウム材は、耐力が80乃至3
50N/mm、伸びが10%以上、180℃の温度に
100時間保持したときの高温耐力が50N/mm
上であることが好ましい。この理由を以下に詳しく説明
する。
【0051】リングを構成するアルミニウム材の耐力:
80乃至350N/mm 耐力を80N/mm以上とすると、強度不足により回
転中にリングが撓むことを確実に防止することができ
る。一方、耐力を350N/mm以下とすることによ
り、良好な曲げ加工性を確保し、曲げ加工時の材料の破
断を防止すると共に加工精度を向上させることができ
る。従って、リングを構成するアルミニウム材の耐力は
80乃至350N/mmであることが好ましい。
【0052】リングを構成するアルミニウム材の伸び:
10%以上 伸びを10%以上とすると、より良好な曲げ加工性を実
現することができる。従って、このアルミニウム材の伸
びを10%以上とすることが好ましい。
【0053】リングを構成するアルミニウム材の高温耐
力:50N/mm以上 電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテ
ープの乾燥に伴いリールが加熱される。180℃の温度
に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm
以上であれば、前記加熱に起因するリングの変形を確実
に防止できる。従って、高温耐力は50N/mm以上
であることが好ましい。
【0054】なお、クリープ強さを50N/mm以上
とすることにより、長時間の高温加熱によるリングの変
形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことが
できる。従って、クリープ強さは50N/mm以上で
あることが好ましい。
【0055】上述の性能を満たすアルミニウム材とし
て、例えば、JISH4000に記載されている500
0系合金、6000系合金及び7000系合金の一部等
が好適である。これに対して、JISH4000に記載
されている1000系合金及び3000系合金は強度が
低い。また、4000系合金は強度が高すぎて曲げ加工
性が劣る。更に、2000系合金及び7000系合金の
一部は溶接割れが発生する。更にまた、1000系合金
及び4000系合金は薄肉のアングル部材の押出し加工
が困難である。従って、これらのアルミニウム合金は、
本実施例におけるリングの材料としては好ましくない。
【0056】また、本実施例においては、少なくともス
ポーク3における互いに対向する面及びリング4におけ
る互いに対向する面に、耐摩耗性皮膜を形成してもよ
い。耐摩耗性皮膜としては、例えば、陽極酸化法、溶射
法、アークプレーティング法、電気めっき法、無電解め
っき法等の湿式及び乾式のめっき方法により形成された
硬質アルマイト皮膜、TiN皮膜、CrN皮膜、Cr皮
膜及びNi−P皮膜等がある。これにより、スポーク3
及びリング4におけるテープが接触する面に耐摩耗性皮
膜が形成されるため、リール1の耐摩耗性をより向上さ
せることができる。
【0057】本実施例においては、コア2、スポーク3
及びリング4の全てをアルミニウム材により構成してい
るため、リール1はステンレス製リール、チタン又はチ
タン合製リールと比較して軽量である。また、アルミニ
ウム材は機械加工性が優れるため、リール1の加工精度
が良好である。更に、コア2、スポーク3及びリング4
の素材となるアルミニウム材の性質を夫々前述のように
規定しているため、リング1全体の剛性、耐熱性及び耐
摩耗性が良好であり寿命が長い。更に、コア2、スポー
ク3及びリング4を押出し法により形成しているため、
生産性が優れると共に薄肉化が可能である。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例の効果について、その
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説
明する。先ず、共通の評価方法について説明する。押出
し性の評価は、ビレットから所定の形状へ押出し加工を
行い、このとき、押出し速度が3m/分以上で押出し可
能であったものを◎、押出し速度が2m/分以上3m/
分未満で押出し可能であったものを○、押出し速度が1
m/分以上2m/分未満で押出し可能であったものを
△、押出し加工が不可能であったものを×とした。押出
し形状を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】耐摩耗性の評価は、大越式摩耗試験機を使
用し、相手材が鋳鉄、線速度が0.2m/秒、荷重が
3.2kgfの条件で摩耗試験を行い、比摩耗量を測定
して行った。また、溶接性の評価は、溶接試験を行い溶
接性が良好であったものを○、溶接性がやや劣るものを
△、溶接性が劣るものを×とした。
【0061】曲げ加工性の評価は、幅が30mm、厚さ
が3mmの平板形状の試験片を使用し、曲げ半径が25
0mmの180°曲げを行い、試験片の外観を観察し
た。試験片に割れが認められた場合を×、割れが認めら
れなかった場合を○とした。
【0062】耐テープ摩耗性の評価は、外径が30m
m、幅が50mmの円筒形状の試験片を使用し、この試
験片を円筒形の軸を回転軸として回転速度が50rpm
になるように回転させた。この回転している円筒形状の
試験片の外周面に、銅ポリエステルラミネートテープを
接触させた。この銅ポリエステルラミネートテープは、
銅層の厚さが50μm、ポリエステル層の厚さが100
μmである。所定の時間接触させた後、試験片の接触面
(外周面)の表面粗さを測定した。耐テープ摩耗性をW
Sとし、接触試験前の試験片の外周面の平均粗さをR
(μm)とし、接触試験後の試験片の外周面の平均粗さ
をR(μm)とするとき、下記数式1により耐テープ摩
耗性が与えられる。
【0063】
【数1】WS=1−R/R
【0064】切削性の評価は、外径が30mm、長さが
300mmの丸棒形状の試験片を使用し、この試験片を
削り速度0.1mm/分で10分間切削し、切削後のバ
イトの後退距離を測定して評価した。
【0065】剛性及び耐熱性の評価は、リールの変形を
評価する方法によって行った。評価対象となるアルミニ
ウム材を使用してスポーク、リング又はコアを加工し、
このスポーク、リング又はコアを使用してリールを作製
した。次いで、このリールにTABを満巻し、この満巻
した状態で24時間放置した後、TABを巻きほぐして
空リールとし、スポーク、リング又はコアの変形の有無
を観察した。
【0066】第1試験例 本試験例はスポークについての試験例である。表2に本
試験例において使用するアルミニウム材の組成及び調質
条件を示す。表2に示す組成のアルミニウム材を溶製
し、所定の寸法に加工して各試験片を作製した。その
後、この試験片について引張強度、耐力(常温耐力)、
伸び、高温耐力、線膨張係数及びビッカース硬さを測定
した。その後、耐摩耗性の評価を行った。更に、前記ア
ルミニウム材を使用してスポークを作製し、このスポー
クを使用してリールを組み立て、このリールの変形を観
察した。評価結果を表3に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】表2及び3に示すNo.1乃至6は請求項
1に記載の発明の実施例である。実施例No.1乃至6
は、いずれも耐力が250N/mm以上であり、高温
耐力が100N/mm以上であるため、リールの変形
が認められず、剛性及び耐熱性が優れていた。更に、比
摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であった。
【0070】これに対して、表2及び3に示すNo.7
及び8は比較例である。比較例No.7は耐力が145
N/mmと低く剛性が劣っており、リールが変形し
た。また、比摩耗量が多く耐摩耗性が劣っていた。ま
た、比較例No.8は耐力が70N/mmと低く剛性
が劣っており、リールが変形した。また、比摩耗量が多
く耐摩耗性が劣っていた。
【0071】第2試験例 本試験例はリングについての試験例である。表4に本試
験例において使用するアルミニウム材の組成及び調質条
件を示す。表4に示す組成のアルミニウム材を溶製し、
押出し法により所定の寸法に加工して各試験片を作製し
た。このとき、各アルミニウム材の押出し性を評価し
た。但し、表4に示すNo.16のアルミニウム材は押
出し法による加工が不可能であったため、鋳造法により
試験片を加工した。その後、この試験片について引張強
度、耐力(常温耐力)、伸び、高温耐力及び線膨張係数
を測定した。その後、溶接性及び曲げ加工性を測定し
た。また、前記アルミニウム材を使用してリングを作製
し、このリングを使用してリールを組み立て、このリー
ルの変形を観察した。評価結果を表5に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】表4及び5に示すNo.9乃至12は請求
項2に記載の発明の実施例である。実施例No.9乃至
12は、いずれも耐力が80乃至350N/mmであ
り、伸びが10%以上であり、高温耐力が50N/mm
以上であるため、剛性、耐熱性及び曲げ加工性が優れ
ていた。また、溶接性及び押出し性が良好であった。
【0075】これに対して、表4及び5に示すNo.1
3乃至16は比較例である。比較例No.13は伸びが
8%と低いため、曲げ加工性が劣っていた。また、溶接
性も劣っていた。比較例No.14は耐力が415N/
mmと高く、曲げ加工性が劣っており、曲げ加工自体
が困難であった。また、溶接性が劣っていた。比較例N
o.15は耐力が43N/mmと低いため、リールに
変形が認められ、剛性が劣っていた。また、押出し性が
やや劣っていた。比較例No.16は、伸びが5%未満
と低いため、曲げ加工性が劣っていた。また、押出し性
及び剛性も劣っていた。
【0076】第3試験例 本試験例はコアについての試験例である。表6に本試験
例において使用するアルミニウム材の組成及び調質条件
を示す。表6に示す組成のアルミニウム材を溶製し、押
出し法により所定の寸法に加工して各試験片を作製し
た。このとき、各アルミニウム材の押出し性を評価し
た。但し、表6に示すNo.24のアルミニウム材は、
鋳造法により試験片を加工した鋳造材である。その後、
これらの試験片について引張強度、耐力(常温耐力)、
高温耐力及び線膨張係数を測定した。また、前記アルミ
ニウム材を使用してコアを作製し、このコアを使用して
リールを組み立て、このリールの変形を観察した。評価
結果を表7に示す。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】表6及び7に示すNo.17乃至19は請
求項3に記載の発明の実施例である。実施例No.17
乃至19は、いずれも耐力が80N/mm以上であ
り、高温耐力が50N/mm以上であるため、剛性及
び耐熱性が優れていた。また、押出し性が良好であっ
た。
【0080】これに対して、表6及び7に示すNo.2
0乃至24は比較例である。比較例No.20は耐力が
70N/mmと低いため、剛性が劣っていた。また、
比較例No.21は耐力が43N/mmと低く、高温
耐力が26N/mmと低いため、剛性及び耐熱性が劣
っていた。比較例No.22はJISH4000に記載
の2000系合金であり、ポートホール押出し加工がで
きなかった。比較例No.23はJISH4000に記
載の5000系合金であり、ポートホール押出し加工が
できなかった。比較例No.24は、高温耐力が41N
/mmと低く、耐熱性が劣っていた。
【0081】第4試験例 本試験例においては、スポークを構成するアルミニウム
材の組成がスポークの性能に及ぼす影響を示す。表8乃
至10に本試験例におけるアルミニウム材の組成を示
す。表8乃至10に示す組成のアルミニウム材を溶製
し、所定の寸法に加工して各試験片を作製した。その
後、この試験片について摩擦係数、耐摩耗性、耐テープ
摩耗性、切削性(工具摩耗性)、押出し性、引張強度及
び耐力を測定した。評価結果を表8乃至10に示す。
【0082】
【表8】
【0083】表8はSiの影響についての評価結果を示
す。表8に示すNo.27乃至29は請求項4に記載の
発明の実施例である。実施例No.27乃至29は、い
ずれもアルミニウム合金中のSi含有量が4.6乃至1
3.5質量%、Cu含有量が2.0乃至5.0質量%、
Mgが0.2乃至1.5質量%の範囲内にあり、残部が
Al及び不可避的不純物であるため、比摩耗量が1×1
−6mm/kg以下、耐テープ摩耗性が0.20以
下と耐摩耗性が良好であった。また、摩擦係数が0.2
0以下と良好であった。更に、切削性が30μm以下で
あり良好であった。更にまた、押出し性も良好であっ
た。
【0084】これに対して、表8に示すNo.25、2
6及び30は比較例である。比較例No.25及び26
は、Si含有量が4.6質量%未満であるため、比摩耗
量が1×10−6mm/kgを超え、耐テープ摩耗性
が0.20を超え耐摩耗性が劣っていた。また、摩擦係
数が0.20を超え大きかった。比較例No.30はS
i含有量が13.5質量%を超えているため、切削性が
30μmを超え劣っていた。また、押出し性が劣ってい
た。
【0085】
【表9】
【0086】表9はCuの影響についての評価結果を示
す。表9に示すNo.32は請求項5に記載の発明の実
施例である。実施例No.32はアルミニウム合金中の
Si含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が
2.0乃至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至1.
5質量%、Fe含有量が0.1乃至1.0質量%の範囲
内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるため、
耐テープ摩耗性が0.20以下と耐摩耗性が良好であっ
た。また、切削性も30μm以下であり良好であった。
また、No.33は請求項4に記載の発明の実施例であ
る。実施例No.33はアルミニウム合金中のSi含有
量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が2.0乃
至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至1.5質量%
の範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物である
ため、耐テープ摩耗性が0.20以下と耐摩耗性が良好
であった。また、切削性も30μm以下であり良好であ
った。
【0087】これに対して、表9に示すNo.31及び
34は比較例である。比較例No.31は、Cu含有量
が1.00質量%と少ないため、耐テープ摩耗性が0.
20を超え劣っていた。また、比較例No.34はCu
含有量が7.00質量%と多いため、切削性が劣ってい
た。
【0088】
【表10】
【0089】表10はMgの影響についての評価結果を
示す。表10に示すNo.36は請求項5に記載の発明
の実施例である。実施例No.36はアルミニウム合金
中のSi含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有
量が2.0乃至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至
1.5質量%、Fe含有量が0.1乃至1.0質量%の
範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるた
め、摩擦係数が0.20以下と低く、耐テープ摩耗性が
0.20以下と良好であった。また、耐力も250N/
mm以上であり良好であった。
【0090】これに対して、表10に示すNo.35及
び37は比較例である。比較例No.35は、Mg含有
量が0.10質量%と少ないため、耐力が240N/m
と低かった。また、摩擦係数が0.20を超えると
共に耐テープ摩耗性が0.20を超え劣っていた。比較
例No.37はMg含有量が2.00質量%と多いた
め、耐テープ摩耗性が0.20を超え劣っていた。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
アルミニウム又はアルミニウム合金から構成されるため
軽量で、更に、剛性、耐熱性及び耐磨耗性が優れたスポ
ーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施例に係るス
ポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リー
ルの構成を示す側面図及び正面断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、夫々図1(a)及び
(b)に示すA断面及びB断面の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1;リール 2;コア 3;スポーク 4;リング

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子部品実装用フィルムキャリアテープ
    が巻き付けられるコアと、前記コアから放射状に延びる
    ように前記コアの幅方向両端部に夫々複数個固定された
    2組のスポークと、前記コアと同心に配置されるように
    各組の前記スポークの先端に固定された1対のリングと
    がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるスポーク
    型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールにお
    いて、前記スポークが、耐力が250N/mm以上、
    180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が
    100N/mm以上であるアルミニウム又はアルミニ
    ウム合金により製造されていることを特徴とするスポー
    ク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
  2. 【請求項2】 前記リングが、耐力が80乃至350N
    /mm、伸びが10%以上、180℃の温度に100
    時間保持したときの高温耐力が50N/mm 以上であ
    るアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されて
    いることを特徴とする請求項1に記載のスポーク型電子
    部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
  3. 【請求項3】 前記コアが、JISH4000に記載さ
    れている3000系、6000系又は7000系アルミ
    ニウム合金であって、耐力が80N/mm以上、18
    0℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50
    N/mm以上であるアルミニウム又はアルミニウム合
    金により製造されていることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリア
    テープ用リール。
  4. 【請求項4】 前記スポークが、Si:4.6乃至1
    3.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:
    0.2乃至1.5質量%を含有し、残部がAl及び不可
    避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金によ
    り製造されていることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルム
    キャリアテープ用リール。
  5. 【請求項5】 前記スポークが、Si:4.6乃至1
    3.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:
    0.2乃至1.5質量%を含有し、更に、Fe:0.1
    乃至1.0質量%、Mn:0.2乃至1.0質量%、T
    i:0.001乃至0.05質量%、Cr:0.05乃
    至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25質量%
    からなる群より選択された1種又は2種以上の元素を含
    有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有
    するアルミニウム合金により製造されていることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスポーク
    型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
  6. 【請求項6】 前記スポークが、温度が25℃のときの
    線膨張係数が2.3×10−5/deg以下であるアル
    ミニウム又はアルミニウム合金により製造されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リ
    ール。
  7. 【請求項7】 前記スポークが押出し法により形成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項
    に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテ
    ープ用リール。
  8. 【請求項8】 前記コアが押出し法により形成されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記
    載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ
    用リール。
  9. 【請求項9】 前記リングが押出し法により形成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に
    記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテー
    プ用リール。
  10. 【請求項10】 各組の前記スポークにおける他の組の
    前記スポークの方向を向いている面及び前記1対のリン
    グにおける互いに対向する面に耐摩耗性皮膜が形成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項
    に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテ
    ープ用リール。
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